スモーキー・バレー / The Smoky Valley
(3人でインスト込み5時間半ほど)
【概要&ルール】
1840年、ここはカナダのグリフィントウンの街に産業を誘致しつつ、運河を広げ、街を発展させるとともに、海外に商品を輸出し、街での名声を高めよう。
産業(建物)の建築、建物からの資源獲得、各資源を使ってのエリアの価値を高めたり、特殊能力を獲得したり、資源を海外に輸出して勝利点にしたりと、街を発展させながら勝利点を稼ぐ系のゲームです。
毎手番、お金を払ってアクションをするか、パスしてラウンドから抜けるかの選択をし、規程ラウンド終了時に勝利点が高いプレイヤーが勝利します。
アクションをすると選択した場合、以下の流れで手番を行います。
1. アクションする地区の選択
2. アクション実施
+フリーアクション(資材の売却/購入)
●アクションする地区の選択
各プレイヤーの手元にある水先案内ボード上でアクションを行いたいエリアに船コマを移動させます。この時、ボード上に示されたエリアの並びで、今船コマのあるエリアと同じ、またはより左側のエリアにコマを移動させる場合、1金かかります。船コマを右に移動させる場合は無料です。

(各プレイヤーがこんな感じのアクション位置を決めるためのボードを持ってます。エリアの並びはゲーム開始時にランダムです)
●アクション実施
手番にお金を払って実施できるアクションは以下の通り(※お金≒APと捉えてもらった方がわかりやすいです)
※基本的に手元のボード上で船コマが置かれているのと同じエリアでしかアクションは行えません。
・産業の設立:2金と必要な木材を払って、サプライにある産業タイルをメインボード上に配置します。
・産業の改良:1金と必要な資源を払って自分の産業タイルを裏返し、タイルに書かれた点を得ます。
・生産:エリア内の任意の数の産業をコスト(主にお金)を払って起動します。産業の持ち主が自分以外の場合、持ち主に何かしらおまけがもらえます(麦を2つ生産する産業の場合、麦1つもらえるとか)
・公共施設の建設:1金と必要資源を払って公共施設ボードに置かれたタイルから、エリアに建設可能なものを選んで配置します。
・運河タイルの獲得:1金と必要資源を払って自分の場所に対応した候補から運河タイルを獲得し、個人ボード下部に配置します。また、運河の基礎点があがります。
・カード獲得:1金と必要資源を払って候補の中から特殊効果カードを獲得します
・貿易商/荷物を船に積む:1金払ってメインボード上にある船に貿易商コマ1つ、もしくは手元の資源2種1コマずつを配置します。船タイル1つにつき、1種しか荷物は詰めず、1つ目の荷物を積むプレイヤーが指定できます。
●人気について
自分以外も得するアクション(産業設立とか、公共施設作るとか、他人の産業使って生産するとか)を行うと人気があがります。規程ラウンドごとに市長選があり、人気が最も高いプレイヤーが市長に選ばれます。市長は優遇する政策を決定(実質的にはどの色のカードが何点か決める)し、所持しているカードに応じて点数が入ります。
●船の輸送について
船の輸送先は3つあり、輸送先ごとに輸送できる荷物と輸送による得点が決まっています。船単位に輸送先は固定&1種類の資源しか積むことができません。輸送先に置かれているトークンを船の先頭において載せている資源を表すので、トークンのない資源を載せる船は作ることができません。
また、船には貿易商を1人載せることができ、貿易商が輸送先につくと特定の資源などがもらえる他、加工資源(小麦粉やビール、蒸気機関など)1つあたりの点数が上がります。
●ゲーム終了
規程ラウンド終了後、各エリアに設立していた産業の個数×そのエリアの価値点(基礎点+公共施設点)、各プレイヤーの運河の基礎点×そのエリアの産業などの点数を得た上で、もっとも点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
一味さん、キノさん、僕の3人で。
Spielworxxのルールはお世辞にも構成が良いとは言えないことも要因かとは思うのですが、それ以上に、このゲーム、要素も多いうえに、ひとつのアクションで段取りが4つくらいあり、しかも、アクション間で共通のものもあればそうでないのもあると、なかなかインストがすんなりいかない作りです(初プレイでしたし)。
そんなわけで90分程度かけてインストがようやく終わりゲーム開始です。
(モノも多いのでセットアップも少し手間がかかります)
で、スタートプレイヤーの一味さん。
「何やっていいかわからん!」
手番でやることは、
・アクションするエリアを決めて
・アクション
という2段階で、まあ、よくあるやつではあるんですが、
このゲームでは、毎回エリアは移動しないと追加APが必要、しかも、エリアの並びに順番があり、並びに逆らう方向のエリア選ぶと追加APという作りなので、追加APを払いたくなければ、5つのエリアを順番に並び通りに選択するしかありません(3人プレイではスタート時は7APあるので少し余裕はありますが)。
※AP,APと書いてますが、ゲーム的な名称はお金(ドル)です。全てのアクションでお金を使うので、わかりやすさ優先でAPと書いてます。
(エリアの並びは個人ボード上にタイルで示されていて、順番ランダム=各プレイヤーで並びが違う&特殊効果で並び替えもできる、です)
とはいえ、ゲーム終了時の得点である公共施設の点にせよ、運河からの点にせよ、そこらへんを考慮すると分散させるよりもある程度はまとめた方がよさそうです。
そんなわけで、3人とも初期配置で自分の製材所を置いたエリアを中心にすることにしました。といっても、ずっと1つのエリアに力入れて過度に移動/同エリアに立ち止まるのにAP使うのも微妙っぽいんだよなーと、個人ボードの左のエリアから、アクションは始めて、右へ移動、右へ移動、立ち止まる、立ち止まる、右へ移動…みたいな感じにしましたが。
多少の順番の違いはありますが、3人ともまずは運河タイル=特殊能力を獲得します。
運河タイルは、運河に面している3つのエリアのどこでも獲得できますし、獲得したエリアに関係なく、個人ボードの好きな場所におけますが、獲得対象のタイルの候補は3エリアで全て異なる上に、タイルを獲得したエリアでだけゲーム終了時の運河点の係数があがるので、自分が力をいれたいエリアで運河タイルを獲得したいとなります。
運河タイルの種類はほぼユニークで結構な数があるので、自分がやりたいことにあった能力のタイルが都合よく、力を入れたいエリアのサプライにでてくるとは当然限りません。
そんなこんなで、みんな、それがやりたかったのかはさておき、
キノさんは改良アクション付きのタイル、一味さんは産業設立時に1金安くなるタイル、僕は産業設立時に人気が+1もらえるタイルを最初にとりました。
あと、序盤で重要視されていたのは収入アップ! まあ、これはAPアップなので当然っちゃ当然ですね。収入トラックの作りがいやらしいというか、なかなか収入が増えない作りで1金(1AP)収入増やすのに、2段階トラックを進めないとならず、どうやって進めるんだ!?(手が回らん)ってなってました。
(これは公共施設作った時にも収入トラック進むという処理を何故か全員忘れていたのが原因なので、実際には1ラウンド中に1金収入増やせると思います)
序盤、強力だったのはキノさんの改良能力! 前述の通り、プレイヤーは個人ボード上で対象に選んだエリアでしかアクションを行えないのですが、運河タイルの能力は任意のエリアを対象に使うことができます(ただし、運河タイルはエリアにつくので、使いたい運河タイルを配置したエリアでアクションを行わないと効果が発動しませんが)。
改良すると即点数が入る他、生産アクションで作れる資源数が増えます。他人の産業も使うことができるので、まあ、僕らも嬉しいと言えば嬉しいのですが、他人の産業を使うと持ち主に1資源(大抵は作った資源と同じもの)が入るので、あまり嬉しがってもいられませんし、点数がぱかぱかぱかぱかキノさんに入るので、おいおいこれ大丈夫か?と心配になります。
1つのエリアに力をいれるためにはそこに留まらないとならない(=APを余計に使う)という縛りに対して、運河タイルの能力で任意のエリアを選べるので移動せずに別エリアをいじれるというのがすごく強そうに見えてました。
(あとで、一味さんも同じ能力のタイルをとってましたw)
そして、一味さんは設立コストが安くなってるので、当然、産業を作ることに力を入れます。産業タイルの配置数数=ゲーム終了時の得点の一方の係数なので、これもまた強烈な得点要素です。
僕やキノさんとは異なり、移動へのコストも心持ち多めに使われていた(=特定エリアに集中されていた)ように思います。
僕の人気+1の能力も、人気を上げればお金や資源もらえますし、決して弱くはないのですが、運河タイルでアクションしたり、ある程度移動にコストを使っている二人に比べるとどうも手が遅く、ラウンドからパス抜けした際にもらえる1金や1資源分で多く行動されて結局人気も似たような感じになるということを1、2ラウンド目では繰り返してました。
うーん、これはちょっと目先変えて勝負どころを別のところに求めないとダメだなと、3人とも一切触っていなかった船での輸送に手を付けます。そのために、僕が選んだのは船アクションを選んだ際に追加で貿易商を1コマ乗せることができる能力を持った運河タイルです。
貿易商は上級資源を輸送した際にもらえる点数をあげられるほか、輸送先に到着(船が荷物で埋まるか、ドックが埋まって押し出されると出港)すると、輸送先に応じて3木材や1蒸気機関など、それなりの資源がもらえます(点数をもらうこともできます)。
僕は二人に比べて施設数も施設の生産力も劣っていたので、船を自力で埋めるのはちょっと難しいのですが、序盤に貿易商を置いておけば押し出しで勝手に出港します。なので、貿易商による資源獲得と終盤の点数を見越してみました。

(序盤に写真を撮り忘れてたのである程度形ができてきたところから)
それぞれが得意分野を作りつつゲームは中盤に。中盤に猛威を振るったのは水力マークの公共施設。
公共施設の効果は、ゲーム終了時にもらえる産業1つあたりの点数アップと、産業設立or改良時にボーナスがもらえる、または、産業で生産した時におまけがもらえるの2つ。
水力マークの公共施設は「同エリアに産業設立/改良した場合、対象産業が1回起動する」です。
生産アクションも当然コスト(お金=AP)払うのですが、お金は不要で起動するので手番+コスト圧縮できます。しかも、改良すれば点数も入りますし。
水力マークの公共施設が強いのは効果見た時からわかっていたのですが、1ラウンド目に出てきた時には全員”自分の”エリア的なものがなかったので、公共施設作るのだけ自分がやって、他の人の方が施設たくさん建てられたら嫌だなあと思って、手を出していませんでした。
無事、2ラウンド目に僕が力を入れていたエリアに配置することができたので、うっしゃうっしゃです。そして、一味さんが力を入れていたエリアにキノさんが水力マークの公共施設を配置(キノさんが力を入れていたエリアのキノさん施設は既に全て改良されていたので、まだ未改良の施設がある方を選ばれたようですが…)。
余剰などないので、1ラウンド目に出て来たぶんも含めて、水力マークはこれで枯れました。
水力マークの公共施設のおかげか改良を繰り返されたこともあり、生産力が全体的に上がってます。僕はここらへんでようやく生産した資源をどう得点化するかに目が行くようになりました。

(見づらいですが、中央奥に公共施設の配置されたボードがあります。毎ラウンド3枚ずつでてきて、ラウンド中の補充はありません。また、その下にあるタイル並んだボードが建設可能な産業の残りが置かれたタイルです。3人プレイでは全体でも置ききる程度くらいの数しかなかったので、建てたい産業を先に取られるとかも良くありました)
このゲームの主な得点手段は、産業を作ってそのエリアの基礎点+公共施設点を得たり、改良して点数を得る「建築型」と、貿易商を送り込んで1資源当たりの点数をあげてからの上級資源を輸送する「出荷型」。
貿易商を送り込むのは序盤の人だけおいて放置とか、中盤になってからも貿易商ばらまき&下級資源で出荷をそれなりに行っていたので、この後、上級資源を出荷できればかなりの点数が見込めます。
現に小麦粉を満載した船を出荷して一気に得点し、最下位から頭1つみなさんからとび出たくらいの位置まで得点トラックを進めることができました(といっても、一味さんは手元に大量の資源を持っており、かなり不気味というか、この後、ガンガン得点化されるのが見えていたのですが)。
しかも、貿易商をのせているので出荷の都度、3木材やらの資源が手に入り、獲得した資源で産業を作ったり改良したりと、出荷と建築を両方こなすことができるように!
しかし、船に荷物を載せるアクションは「2つの異なる資源を船に載せる」効果なので、上級資源が手元に2種類ないとどうにも非効率さを感じます。
この頃になると、設立可能な土地もかなり減ってきていましたが、さらなる出荷を狙ってビール工場を新しいエリアに作りました(結果的にはこれが良くなかったのですが…)。
これで、出荷が効率的になったぜと思ったのですが、実はそんなことはなく…。
これまでは、小麦粉を作れるエリアで小麦粉+下級資源を手に入れる→出荷という流れだったのが、小麦粉とビールの獲得エリアがわかれているので、出荷前に2手番かけて資源を用意しないとならなくなりました。この手番損がじわじわと効いてきます。
さらに言えば、終盤に入って産業を新たに作る場所がもうほぼない状態になっており、一味さんもキノさんも意識がかなり出荷よりになっていました。
(作れる場所はあるけど、最終得点計算で得られる点が少なく得点効率が悪い)

(これはたぶん中盤終わったくらいらへん。序盤は僕しか置いてなかった船の上に各プレイヤーのコマが置かれています。これでも少し減ったくらい)

(終盤に入りかけくらいの盤面。右上、一味さんの個人ボード上にやべえ数の資源コマが置かれてます)
キノさんは貿易商を送り込むことで蒸気機関がもらえる出荷先を優先、されてはいたんですが、前述の通り1度の出荷アクションで異なる2つの船に資源を載せられるので、僕が既に貿易商を送り込み済で高得点を狙っていた出荷先にも手元にある資源をどんどん送ってきます。
おかげで僕が載せたかった資源は載せられなくなるし、船の荷物の積み場所も埋まるわで、さっきまでの得点源をつぶされていくことに。
困ったなあと思いながらも、僕ら3人の中で一番船に手を出すのが遅れていた一味さんには、まだ…と甘い考えを持っていたのですが、いつの間にか「貿易商を追加で1人載せる」効果の運河タイルを獲得されており、なかつ、この時点では唯一蒸気機関を力を入れているエリアで作れるプレイヤーでもあったので、貿易商を送って得点をあげてからの蒸気機関×3つを一気に出荷して18点!とか獲得されてました(ゲーム終了時にトップが160点くらいだったので、1割以上の点をここで取ってます)。
この蒸気機関の船、出荷前からやばいなーとは思っており、僕も荷物を載せる機会を狙っていたのですが、残りのアクションポイント(お金)や手元の資源などの関係から、僕の方が1手早く載せられるはず!だったのが、場に並んだカードに連続手番の効果があるのを見逃しており、見事にカード獲得からの連続手番で思いっきり思惑を崩されたところでした。
まあ、後手を踏んだのなら改めて手元の資源を得点化すればいいやというわけにもいかず、このゲーム、先ほど産業建てる場所がなくなったと書きましたが、今度は船が枯れました。共有の船は有限です。
産業として造船所を作っておけば、マイ船を作ることもできるのですが、今回は造船所を建てられる場所を他産業で埋めてしまったため、今回のゲームでは造船所は存在せず(造船所を作った本人のメリットより、他人に船を作られるデメリットの方が大きそうに見えたので建てなかったというのもあるんですが、実際のところはどうかわかりません)。

(個人ボードの下に置かれた運河タイル、出荷寄りのものを終盤でも追加でとったんですが、上記の通り、船がなくなってほぼ活用する前にお役御免に…。上手く使ってやれなくてごめんなさい…)
そうなると、やれることはもう少ないですが、とりあえずやれることやるかーと、各自が自分のAPと所持資源をどう消費するかというソロゲーを考えて、淡々とこなして終わりました。
結果的に中盤で作った僕のリードは見事に終盤に先に出荷されることなどでなくなり、まくった一味さんが勝利されました。

(終了時。結局、出荷した上級資源1つ差くらいで負け。序盤にぶいぶいやってたキノさんいわく、(いい場所押さえたりが優先で)アップグレードしてる場合じゃなかったとのこと)
結局、序盤から通してAPを上手く消費することに目がいってしまい、スピード勝負!みたいなところで1,2歩遅れてしまうようなプレイングが敗因でした…。
まあ、みんなよりもゆっくりのプレイだったため人気ではまくりやすかったこともあり、市長選後のカードからの得点ではたぶん一番稼げているので良し悪し…、いや、単に先に船などの取り合い部分を優先してそこからのんびりでも構わないので、得点源の確保は早めの方が良い気がします。
【感想】
ソロでどう回すのが効率的かと、他人との先取りの争いの2点でプレイヤーへの負荷が高く、悩ましくも楽しいゲームでした。
ほぼすべての要素で先取りされると狙っていたことができなくなるので、他プレイヤーが何をやりたいか、何を優先して実施するのが大事かのゲームではあるんですが、序盤から中盤にかけてはまだ各エリアの空きも多い、船もたくさん残っている、どのエリアでアクションするのが有利とか決まっていないということもあり、運河タイルの特殊能力も含め、どういう路線で自分はこのゲームを回すかの方針付けと、それをどう実現するかに非常に頭のリソースを使います。
(一度、方針立てちゃったり、少し進めば空きが減ってきて見通しは徐々によくなってくるんですが)
「運河タイルの能力やこれまでに設立した産業的にこのエリアでアクションした方がよい、だが、エリアを(右に)移動すればその分ラウンド内に行えるアクションは増える」
ゲームを通してずーっとこれに悩まされます。
実施アクションを増やせば当然、設立したり改良する産業は増えますし、公共施設も沢山作れるでしょう。
実施アクションを増やす=複数エリアでアクションするになりますが、点数の構造上、アクション実施するエリアはまとめた方が得点効率は良いはずです。
移動とアクションにどうAPを振り分けるかが、他プレイヤーとの先取りと混ざり合うことで、非効率だが優先度は高い行動と、効率的だがのんびりな行動の選択も生んで、上手く回すだけのソロゲーに依らず、(ちょっとモダンではないですが)熱いインタラクションを持ったゲームになってます。
特に船の積み荷の種類決めや船倉の取り合いは、往年の名作プエルトリコを思い出しました(プエルトリコほど、自分の損より相手の損がより大きければ得みたいな酷い絞り合いではないですが)。
そして、僕が好きな要素である「ゲーム中に重要視すべき要素がゆるく変わっていく」ところもあります。
プレイングのところに建築型、出荷型と書きましたが、スモーキーバレーはそこまではっきり分かれていることはないです。(たぶん初プレイの序盤・中盤は両立とか無理じゃね?ってなりはするかと思いますが)一方に偏りながらでも十分手を出せる程度のバランスだと思います(APのやりくりや注ぎ込み次第なので、取り合いが熱くなればなるほど、先取りのためにAP使って、色んな所に手を出す余裕はなくなるので、絶対という訳ではないですが)。
この、両立できるというのが曲者で、終盤、運河タイルの獲得が大きな得点源になるということもあり、終盤で各プレイヤーの持っている特殊効果の追加/更新が起こるのですが、これにより、あっという間にそれまでの各プレイヤーの得意なプレイスタイルが変わり、それまで力を入れてなかった方にもずんずんずんと力をいれることができるようになります。
特殊効果タイルって、大抵のゲームでは「強いけど、獲得に使う手番/APとのバランス(取りすぎたら弱くなる)」という作りなのが、スモーキーバレーの終盤では、「得点としても強い」という作りなのが、ちょっと斬新というか、いい感じにゲームの流れが変わって面白いです。
※コストは高いので、“うまく回している”が前提にはなりますが。
欠点は、長時間であるということ。APをどううまく使うかとか、上記の特殊効果タイル獲得によるプレイスタイルの変化を効果的に感じさせるためとか、色々な要素が長時間である必要性につながってはいますし、冗長ということはないのですが、まあ、あと1,2時間短い方が遊びやすいです。
とはいえ、プレイ内容のところでも触れていませんが、フリーアクションを使ったAP+人気獲得や、どの産業を自分で建てるか、他人のAPや資源をみつつのアクション優先度決め等々、細かいところも含め、魅力の多いゲームではあると思います。
【概要&ルール】
1840年、ここはカナダのグリフィントウンの街に産業を誘致しつつ、運河を広げ、街を発展させるとともに、海外に商品を輸出し、街での名声を高めよう。
産業(建物)の建築、建物からの資源獲得、各資源を使ってのエリアの価値を高めたり、特殊能力を獲得したり、資源を海外に輸出して勝利点にしたりと、街を発展させながら勝利点を稼ぐ系のゲームです。
毎手番、お金を払ってアクションをするか、パスしてラウンドから抜けるかの選択をし、規程ラウンド終了時に勝利点が高いプレイヤーが勝利します。
アクションをすると選択した場合、以下の流れで手番を行います。
1. アクションする地区の選択
2. アクション実施
+フリーアクション(資材の売却/購入)
●アクションする地区の選択
各プレイヤーの手元にある水先案内ボード上でアクションを行いたいエリアに船コマを移動させます。この時、ボード上に示されたエリアの並びで、今船コマのあるエリアと同じ、またはより左側のエリアにコマを移動させる場合、1金かかります。船コマを右に移動させる場合は無料です。

(各プレイヤーがこんな感じのアクション位置を決めるためのボードを持ってます。エリアの並びはゲーム開始時にランダムです)
●アクション実施
手番にお金を払って実施できるアクションは以下の通り(※お金≒APと捉えてもらった方がわかりやすいです)
※基本的に手元のボード上で船コマが置かれているのと同じエリアでしかアクションは行えません。
・産業の設立:2金と必要な木材を払って、サプライにある産業タイルをメインボード上に配置します。
・産業の改良:1金と必要な資源を払って自分の産業タイルを裏返し、タイルに書かれた点を得ます。
・生産:エリア内の任意の数の産業をコスト(主にお金)を払って起動します。産業の持ち主が自分以外の場合、持ち主に何かしらおまけがもらえます(麦を2つ生産する産業の場合、麦1つもらえるとか)
・公共施設の建設:1金と必要資源を払って公共施設ボードに置かれたタイルから、エリアに建設可能なものを選んで配置します。
・運河タイルの獲得:1金と必要資源を払って自分の場所に対応した候補から運河タイルを獲得し、個人ボード下部に配置します。また、運河の基礎点があがります。
・カード獲得:1金と必要資源を払って候補の中から特殊効果カードを獲得します
・貿易商/荷物を船に積む:1金払ってメインボード上にある船に貿易商コマ1つ、もしくは手元の資源2種1コマずつを配置します。船タイル1つにつき、1種しか荷物は詰めず、1つ目の荷物を積むプレイヤーが指定できます。
●人気について
自分以外も得するアクション(産業設立とか、公共施設作るとか、他人の産業使って生産するとか)を行うと人気があがります。規程ラウンドごとに市長選があり、人気が最も高いプレイヤーが市長に選ばれます。市長は優遇する政策を決定(実質的にはどの色のカードが何点か決める)し、所持しているカードに応じて点数が入ります。
●船の輸送について
船の輸送先は3つあり、輸送先ごとに輸送できる荷物と輸送による得点が決まっています。船単位に輸送先は固定&1種類の資源しか積むことができません。輸送先に置かれているトークンを船の先頭において載せている資源を表すので、トークンのない資源を載せる船は作ることができません。
また、船には貿易商を1人載せることができ、貿易商が輸送先につくと特定の資源などがもらえる他、加工資源(小麦粉やビール、蒸気機関など)1つあたりの点数が上がります。
●ゲーム終了
規程ラウンド終了後、各エリアに設立していた産業の個数×そのエリアの価値点(基礎点+公共施設点)、各プレイヤーの運河の基礎点×そのエリアの産業などの点数を得た上で、もっとも点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
一味さん、キノさん、僕の3人で。
Spielworxxのルールはお世辞にも構成が良いとは言えないことも要因かとは思うのですが、それ以上に、このゲーム、要素も多いうえに、ひとつのアクションで段取りが4つくらいあり、しかも、アクション間で共通のものもあればそうでないのもあると、なかなかインストがすんなりいかない作りです(初プレイでしたし)。
そんなわけで90分程度かけてインストがようやく終わりゲーム開始です。
(モノも多いのでセットアップも少し手間がかかります)
で、スタートプレイヤーの一味さん。
「何やっていいかわからん!」
手番でやることは、
・アクションするエリアを決めて
・アクション
という2段階で、まあ、よくあるやつではあるんですが、
このゲームでは、毎回エリアは移動しないと追加APが必要、しかも、エリアの並びに順番があり、並びに逆らう方向のエリア選ぶと追加APという作りなので、追加APを払いたくなければ、5つのエリアを順番に並び通りに選択するしかありません(3人プレイではスタート時は7APあるので少し余裕はありますが)。
※AP,APと書いてますが、ゲーム的な名称はお金(ドル)です。全てのアクションでお金を使うので、わかりやすさ優先でAPと書いてます。
(エリアの並びは個人ボード上にタイルで示されていて、順番ランダム=各プレイヤーで並びが違う&特殊効果で並び替えもできる、です)
とはいえ、ゲーム終了時の得点である公共施設の点にせよ、運河からの点にせよ、そこらへんを考慮すると分散させるよりもある程度はまとめた方がよさそうです。
そんなわけで、3人とも初期配置で自分の製材所を置いたエリアを中心にすることにしました。といっても、ずっと1つのエリアに力入れて過度に移動/同エリアに立ち止まるのにAP使うのも微妙っぽいんだよなーと、個人ボードの左のエリアから、アクションは始めて、右へ移動、右へ移動、立ち止まる、立ち止まる、右へ移動…みたいな感じにしましたが。
多少の順番の違いはありますが、3人ともまずは運河タイル=特殊能力を獲得します。
運河タイルは、運河に面している3つのエリアのどこでも獲得できますし、獲得したエリアに関係なく、個人ボードの好きな場所におけますが、獲得対象のタイルの候補は3エリアで全て異なる上に、タイルを獲得したエリアでだけゲーム終了時の運河点の係数があがるので、自分が力をいれたいエリアで運河タイルを獲得したいとなります。
運河タイルの種類はほぼユニークで結構な数があるので、自分がやりたいことにあった能力のタイルが都合よく、力を入れたいエリアのサプライにでてくるとは当然限りません。
そんなこんなで、みんな、それがやりたかったのかはさておき、
キノさんは改良アクション付きのタイル、一味さんは産業設立時に1金安くなるタイル、僕は産業設立時に人気が+1もらえるタイルを最初にとりました。
あと、序盤で重要視されていたのは収入アップ! まあ、これはAPアップなので当然っちゃ当然ですね。収入トラックの作りがいやらしいというか、なかなか収入が増えない作りで1金(1AP)収入増やすのに、2段階トラックを進めないとならず、どうやって進めるんだ!?(手が回らん)ってなってました。
(これは公共施設作った時にも収入トラック進むという処理を何故か全員忘れていたのが原因なので、実際には1ラウンド中に1金収入増やせると思います)
序盤、強力だったのはキノさんの改良能力! 前述の通り、プレイヤーは個人ボード上で対象に選んだエリアでしかアクションを行えないのですが、運河タイルの能力は任意のエリアを対象に使うことができます(ただし、運河タイルはエリアにつくので、使いたい運河タイルを配置したエリアでアクションを行わないと効果が発動しませんが)。
改良すると即点数が入る他、生産アクションで作れる資源数が増えます。他人の産業も使うことができるので、まあ、僕らも嬉しいと言えば嬉しいのですが、他人の産業を使うと持ち主に1資源(大抵は作った資源と同じもの)が入るので、あまり嬉しがってもいられませんし、点数がぱかぱかぱかぱかキノさんに入るので、おいおいこれ大丈夫か?と心配になります。
1つのエリアに力をいれるためにはそこに留まらないとならない(=APを余計に使う)という縛りに対して、運河タイルの能力で任意のエリアを選べるので移動せずに別エリアをいじれるというのがすごく強そうに見えてました。
(あとで、一味さんも同じ能力のタイルをとってましたw)
そして、一味さんは設立コストが安くなってるので、当然、産業を作ることに力を入れます。産業タイルの配置数数=ゲーム終了時の得点の一方の係数なので、これもまた強烈な得点要素です。
僕やキノさんとは異なり、移動へのコストも心持ち多めに使われていた(=特定エリアに集中されていた)ように思います。
僕の人気+1の能力も、人気を上げればお金や資源もらえますし、決して弱くはないのですが、運河タイルでアクションしたり、ある程度移動にコストを使っている二人に比べるとどうも手が遅く、ラウンドからパス抜けした際にもらえる1金や1資源分で多く行動されて結局人気も似たような感じになるということを1、2ラウンド目では繰り返してました。
うーん、これはちょっと目先変えて勝負どころを別のところに求めないとダメだなと、3人とも一切触っていなかった船での輸送に手を付けます。そのために、僕が選んだのは船アクションを選んだ際に追加で貿易商を1コマ乗せることができる能力を持った運河タイルです。
貿易商は上級資源を輸送した際にもらえる点数をあげられるほか、輸送先に到着(船が荷物で埋まるか、ドックが埋まって押し出されると出港)すると、輸送先に応じて3木材や1蒸気機関など、それなりの資源がもらえます(点数をもらうこともできます)。
僕は二人に比べて施設数も施設の生産力も劣っていたので、船を自力で埋めるのはちょっと難しいのですが、序盤に貿易商を置いておけば押し出しで勝手に出港します。なので、貿易商による資源獲得と終盤の点数を見越してみました。

(序盤に写真を撮り忘れてたのである程度形ができてきたところから)
それぞれが得意分野を作りつつゲームは中盤に。中盤に猛威を振るったのは水力マークの公共施設。
公共施設の効果は、ゲーム終了時にもらえる産業1つあたりの点数アップと、産業設立or改良時にボーナスがもらえる、または、産業で生産した時におまけがもらえるの2つ。
水力マークの公共施設は「同エリアに産業設立/改良した場合、対象産業が1回起動する」です。
生産アクションも当然コスト(お金=AP)払うのですが、お金は不要で起動するので手番+コスト圧縮できます。しかも、改良すれば点数も入りますし。
水力マークの公共施設が強いのは効果見た時からわかっていたのですが、1ラウンド目に出てきた時には全員”自分の”エリア的なものがなかったので、公共施設作るのだけ自分がやって、他の人の方が施設たくさん建てられたら嫌だなあと思って、手を出していませんでした。
無事、2ラウンド目に僕が力を入れていたエリアに配置することができたので、うっしゃうっしゃです。そして、一味さんが力を入れていたエリアにキノさんが水力マークの公共施設を配置(キノさんが力を入れていたエリアのキノさん施設は既に全て改良されていたので、まだ未改良の施設がある方を選ばれたようですが…)。
余剰などないので、1ラウンド目に出て来たぶんも含めて、水力マークはこれで枯れました。
水力マークの公共施設のおかげか改良を繰り返されたこともあり、生産力が全体的に上がってます。僕はここらへんでようやく生産した資源をどう得点化するかに目が行くようになりました。

(見づらいですが、中央奥に公共施設の配置されたボードがあります。毎ラウンド3枚ずつでてきて、ラウンド中の補充はありません。また、その下にあるタイル並んだボードが建設可能な産業の残りが置かれたタイルです。3人プレイでは全体でも置ききる程度くらいの数しかなかったので、建てたい産業を先に取られるとかも良くありました)
このゲームの主な得点手段は、産業を作ってそのエリアの基礎点+公共施設点を得たり、改良して点数を得る「建築型」と、貿易商を送り込んで1資源当たりの点数をあげてからの上級資源を輸送する「出荷型」。
貿易商を送り込むのは序盤の人だけおいて放置とか、中盤になってからも貿易商ばらまき&下級資源で出荷をそれなりに行っていたので、この後、上級資源を出荷できればかなりの点数が見込めます。
現に小麦粉を満載した船を出荷して一気に得点し、最下位から頭1つみなさんからとび出たくらいの位置まで得点トラックを進めることができました(といっても、一味さんは手元に大量の資源を持っており、かなり不気味というか、この後、ガンガン得点化されるのが見えていたのですが)。
しかも、貿易商をのせているので出荷の都度、3木材やらの資源が手に入り、獲得した資源で産業を作ったり改良したりと、出荷と建築を両方こなすことができるように!
しかし、船に荷物を載せるアクションは「2つの異なる資源を船に載せる」効果なので、上級資源が手元に2種類ないとどうにも非効率さを感じます。
この頃になると、設立可能な土地もかなり減ってきていましたが、さらなる出荷を狙ってビール工場を新しいエリアに作りました(結果的にはこれが良くなかったのですが…)。
これで、出荷が効率的になったぜと思ったのですが、実はそんなことはなく…。
これまでは、小麦粉を作れるエリアで小麦粉+下級資源を手に入れる→出荷という流れだったのが、小麦粉とビールの獲得エリアがわかれているので、出荷前に2手番かけて資源を用意しないとならなくなりました。この手番損がじわじわと効いてきます。
さらに言えば、終盤に入って産業を新たに作る場所がもうほぼない状態になっており、一味さんもキノさんも意識がかなり出荷よりになっていました。
(作れる場所はあるけど、最終得点計算で得られる点が少なく得点効率が悪い)

(これはたぶん中盤終わったくらいらへん。序盤は僕しか置いてなかった船の上に各プレイヤーのコマが置かれています。これでも少し減ったくらい)

(終盤に入りかけくらいの盤面。右上、一味さんの個人ボード上にやべえ数の資源コマが置かれてます)
キノさんは貿易商を送り込むことで蒸気機関がもらえる出荷先を優先、されてはいたんですが、前述の通り1度の出荷アクションで異なる2つの船に資源を載せられるので、僕が既に貿易商を送り込み済で高得点を狙っていた出荷先にも手元にある資源をどんどん送ってきます。
おかげで僕が載せたかった資源は載せられなくなるし、船の荷物の積み場所も埋まるわで、さっきまでの得点源をつぶされていくことに。
困ったなあと思いながらも、僕ら3人の中で一番船に手を出すのが遅れていた一味さんには、まだ…と甘い考えを持っていたのですが、いつの間にか「貿易商を追加で1人載せる」効果の運河タイルを獲得されており、なかつ、この時点では唯一蒸気機関を力を入れているエリアで作れるプレイヤーでもあったので、貿易商を送って得点をあげてからの蒸気機関×3つを一気に出荷して18点!とか獲得されてました(ゲーム終了時にトップが160点くらいだったので、1割以上の点をここで取ってます)。
この蒸気機関の船、出荷前からやばいなーとは思っており、僕も荷物を載せる機会を狙っていたのですが、残りのアクションポイント(お金)や手元の資源などの関係から、僕の方が1手早く載せられるはず!だったのが、場に並んだカードに連続手番の効果があるのを見逃しており、見事にカード獲得からの連続手番で思いっきり思惑を崩されたところでした。
まあ、後手を踏んだのなら改めて手元の資源を得点化すればいいやというわけにもいかず、このゲーム、先ほど産業建てる場所がなくなったと書きましたが、今度は船が枯れました。共有の船は有限です。
産業として造船所を作っておけば、マイ船を作ることもできるのですが、今回は造船所を建てられる場所を他産業で埋めてしまったため、今回のゲームでは造船所は存在せず(造船所を作った本人のメリットより、他人に船を作られるデメリットの方が大きそうに見えたので建てなかったというのもあるんですが、実際のところはどうかわかりません)。

(個人ボードの下に置かれた運河タイル、出荷寄りのものを終盤でも追加でとったんですが、上記の通り、船がなくなってほぼ活用する前にお役御免に…。上手く使ってやれなくてごめんなさい…)
そうなると、やれることはもう少ないですが、とりあえずやれることやるかーと、各自が自分のAPと所持資源をどう消費するかというソロゲーを考えて、淡々とこなして終わりました。
結果的に中盤で作った僕のリードは見事に終盤に先に出荷されることなどでなくなり、まくった一味さんが勝利されました。

(終了時。結局、出荷した上級資源1つ差くらいで負け。序盤にぶいぶいやってたキノさんいわく、(いい場所押さえたりが優先で)アップグレードしてる場合じゃなかったとのこと)
結局、序盤から通してAPを上手く消費することに目がいってしまい、スピード勝負!みたいなところで1,2歩遅れてしまうようなプレイングが敗因でした…。
まあ、みんなよりもゆっくりのプレイだったため人気ではまくりやすかったこともあり、市長選後のカードからの得点ではたぶん一番稼げているので良し悪し…、いや、単に先に船などの取り合い部分を優先してそこからのんびりでも構わないので、得点源の確保は早めの方が良い気がします。
【感想】
ソロでどう回すのが効率的かと、他人との先取りの争いの2点でプレイヤーへの負荷が高く、悩ましくも楽しいゲームでした。
ほぼすべての要素で先取りされると狙っていたことができなくなるので、他プレイヤーが何をやりたいか、何を優先して実施するのが大事かのゲームではあるんですが、序盤から中盤にかけてはまだ各エリアの空きも多い、船もたくさん残っている、どのエリアでアクションするのが有利とか決まっていないということもあり、運河タイルの特殊能力も含め、どういう路線で自分はこのゲームを回すかの方針付けと、それをどう実現するかに非常に頭のリソースを使います。
(一度、方針立てちゃったり、少し進めば空きが減ってきて見通しは徐々によくなってくるんですが)
「運河タイルの能力やこれまでに設立した産業的にこのエリアでアクションした方がよい、だが、エリアを(右に)移動すればその分ラウンド内に行えるアクションは増える」
ゲームを通してずーっとこれに悩まされます。
実施アクションを増やせば当然、設立したり改良する産業は増えますし、公共施設も沢山作れるでしょう。
実施アクションを増やす=複数エリアでアクションするになりますが、点数の構造上、アクション実施するエリアはまとめた方が得点効率は良いはずです。
移動とアクションにどうAPを振り分けるかが、他プレイヤーとの先取りと混ざり合うことで、非効率だが優先度は高い行動と、効率的だがのんびりな行動の選択も生んで、上手く回すだけのソロゲーに依らず、(ちょっとモダンではないですが)熱いインタラクションを持ったゲームになってます。
特に船の積み荷の種類決めや船倉の取り合いは、往年の名作プエルトリコを思い出しました(プエルトリコほど、自分の損より相手の損がより大きければ得みたいな酷い絞り合いではないですが)。
そして、僕が好きな要素である「ゲーム中に重要視すべき要素がゆるく変わっていく」ところもあります。
プレイングのところに建築型、出荷型と書きましたが、スモーキーバレーはそこまではっきり分かれていることはないです。(たぶん初プレイの序盤・中盤は両立とか無理じゃね?ってなりはするかと思いますが)一方に偏りながらでも十分手を出せる程度のバランスだと思います(APのやりくりや注ぎ込み次第なので、取り合いが熱くなればなるほど、先取りのためにAP使って、色んな所に手を出す余裕はなくなるので、絶対という訳ではないですが)。
この、両立できるというのが曲者で、終盤、運河タイルの獲得が大きな得点源になるということもあり、終盤で各プレイヤーの持っている特殊効果の追加/更新が起こるのですが、これにより、あっという間にそれまでの各プレイヤーの得意なプレイスタイルが変わり、それまで力を入れてなかった方にもずんずんずんと力をいれることができるようになります。
特殊効果タイルって、大抵のゲームでは「強いけど、獲得に使う手番/APとのバランス(取りすぎたら弱くなる)」という作りなのが、スモーキーバレーの終盤では、「得点としても強い」という作りなのが、ちょっと斬新というか、いい感じにゲームの流れが変わって面白いです。
※コストは高いので、“うまく回している”が前提にはなりますが。
欠点は、長時間であるということ。APをどううまく使うかとか、上記の特殊効果タイル獲得によるプレイスタイルの変化を効果的に感じさせるためとか、色々な要素が長時間である必要性につながってはいますし、冗長ということはないのですが、まあ、あと1,2時間短い方が遊びやすいです。
とはいえ、プレイ内容のところでも触れていませんが、フリーアクションを使ったAP+人気獲得や、どの産業を自分で建てるか、他人のAPや資源をみつつのアクション優先度決め等々、細かいところも含め、魅力の多いゲームではあると思います。
サーチ・フォー・プラネットX / The Search for Planet X

(3人でインスト込み80分ほど)
【概要&ルール】
俺たち天文台! この広い宇宙に隠れている惑星Xを探してる。どうもこの世界には天体同士の法則性が存在しているらしくて…。
※個人ボードにもすばるなどの世界の有名天文台が書かれており、点数コマも天文台の形をしているのでたぶんプレイヤーは天文台だと思われます。
プレイヤーは各天文台(の中の人)になり、空を観測して、惑星Xの場所を突き止めるのが目的です。
この宇宙には、隕石は通る場所が限られている、アステロイド同士は近くにあるなどの天体にまつわる法則があり、その法則と実際の観測結果をもとに空の様々な天体の場所を特定していきます。
プレイヤーが手番に行うアクションにはそれぞれ経過時間が設定されており、最も時間を使っていないプレイヤーが手番を行います。
手番にできるアクションは以下の4つです。
・探索:指定した対象(隕石やアステロイド、ガス星雲等)が、指定した範囲内にいくつあるか
・ターゲット:指定したエリアに何があるかを調べる。ただし、惑星Xがあるエリアの場合、「何もない」(観測できなかった)として回答される。
・調査:6種類の中から、指定した対象の法則(論理ヒント。例えば、「ガス星雲の真向かいのエリアにはアステロイドはない」等)が回答されます。
・惑星Xの特定:惑星Xが存在するエリアと、その両サイドのエリアに何があるかを入力します。
アクションごとに経過時間が設定されており、アクション実施後にその時間分、自コマを時間トラック上で進めます。
アクション選択とその結果は全部スマホのアプリ上で行います。ゲームごとのコードを入力すれば、複数のスマホを使うこともできます。

(アクション選択画面です)

(探索(Survey)するならこんな画面で、対象とその範囲を入力します)

(探索の調査結果はこんな感じで、どの範囲、どの対象を調べたかとその結果と経過時間が表示されます。)
●論文発表フェイズ
時間トラック上で一番後ろのコマが時間トラックを1/4ずつ進むたびに論文発表フェイズがあります。各プレイヤーは、手元の隕石やアステロイドなどの書かれたトークン1つ選び、その対象が存在していると考えるエリアに配置します。
このトークンは規定回数論文発表フェイズが行われた後に公開され、ただちにアプリで正解/間違いの確認をします。
正解なら得点し、間違いならトークンをゲームから除外した後に1マス分時間を進めます。
●ゲーム終了と勝者の決め方
惑星Xの特定アクションで全て(Xのあるエリアとその両サイドのエリアにある対象)を当てることができたプレイヤーが出たら、ゲーム終了です。残りのプレイヤーは最後に惑星Xの特定アクションか、論文発表を1度だけ行うことができます。この点数は、特定に成功したプレイヤーとの時間トラックの離れ具合に応じて変わります。
ゲーム途中の論文発表で得た点数+惑星X特定の点数の合計点が高かったプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
はるさん、ちとさん、僕の3人で。
このセッションの前に遊んだ際に、難易度はベーシックでいいですよね?とついベーシックで始めたところ、初プレイというということもあってか、えらいプレイ時間がかかってしまった(2,3時間)ので、今後は難易度を一番簡単なものに落として始めました。
(難易度は、エリア数(ボードの表面12エリア、裏面18エリア)と、開始時のヒントの数(簡単12個、標準8個、経験者4個、天才0個)で調整できます。この時は、エリア数12、ヒント数12の一番簡単なのでやりました。ヒント数はプレイヤーごとに変えることができるので、一応、経験者だけ別難易度みたいなこともできます)
ボードの表側(全12エリア)で特定しなければならない天体の数は固定で、
・隕石:2エリア
・アステロイド:4エリア
・ガス星雲:2エリア
・準惑星:1エリア
・惑星X:1エリア
となります。あとは何もないエリアが2つで全12エリアに重複無しで対象が存在していることになります。
このゲーム、手番ごとにアプリに質問をして、その回答を基に惑星Xやその他の対象の位置を絞り込んでいくわけですが、全ゲームに共通して各対象の位置に関する法則があります。
・隕石:特定の5エリア(エリア2,3,5,7,11)のいずれか
・アステロイド:必ず2つが隣あう(2組ずつ分かれているか、4エリア連続かのどちらか)
・ガス星雲:必ず何もないエリア1つと隣接する
・準惑星:惑星Xとは隣接しない
・惑星X:準惑星と隣接しない
この法則と、スタート時のヒント、手番のヒントなどを基に推理を進めます。
僕はスタート時のヒントで隕石に関するものがあったこと、隕石は5エリア中2つ見つければ良いので、簡単に見つけられるのではないかという当てを付け、隕石の場所から特定することにします。

(別ゲームの時のものですが、スタート時のヒントはこんな感じです)
ゲーム開始時、プレイヤーのコマは時間トラックの1の位置にいます。プレイヤーが観測できるのは(アプリに質問できるのは)手番プレイヤーの位置から半周分なので、1~6エリアの中を調べることができます。
エリア2と3に隕石がいくつあるかを“探索”アクションでアプリに質問します。
もし、これで2つと回答が返ってくればいきなり確定しますし、ゼロと返ってくれば残りの5,7,11の3エリア内に2つなので、ほぼ確定みたいな状態になります。
で、さて回答は―――、1つ。
特に絞り込めもしない微妙な回答返って来ちゃったなあ……。
次手番のはるさんも隕石、もしくは次に当てやすそうなアステロイドを探索されるかな?と思っていると、はるさんの選択はいきなり準惑星。
共通ヒントだと、惑星Xに隣接しないという、それわかってたらゲーム終わっちゃうんじゃないみたいなヒントしかないため、特定はかなり大変だと思うのですが、果敢です。
はるさん:「スタート時のヒントで準惑星に関するものがかなり多かったんですよ」
なるほど。いまのいちばん易しい難易度だと12個も開始時にでるので、ヒントが偏って出たのなら当てやすそうです。
論文発表で当てた際の点数も僕が特定しようとしている隕石と、準惑星では倍くらい違うので、仮に少し手間がかかっても十分ありです。
前回遊んだ時は、難易度を普通にしたところ、ほぼ全員が隕石やアステロイドという当てやすい対象の探索から着手していたので、ヒント数が増えたことによってちょっと展開が変わってきていて面白いです。
そして、ちとさんはエリア1~4でアステロイドを探索。
僕とはるさんがちょっと狭めのエリアを探索していたのに対して、ちょっと広めの4エリアを調べられました。4エリア以上調べると3エリア以下の時よりも時間が少なくて済むので連続手番になります。
みなさんやるなあと思いながらの2手番目。僕はリサーチを選択しました。リサーチアクションは、天体の関係性についての法則をアプリから教えてもらえるアクションで、ガス星雲と準惑星の関係性ならAをリサーチ、ガス星雲とアステロイドの関係ならBをリサーチと、何が知りたいなら何をリサーチの対象にすればいいか、ゲーム開始時に選択肢を教えてもらっています。
そして、時間が1時間しかかかりません。これで時間コストを節約する、というのも目的でしたが、こういうアクションもありますよという紹介も兼ねてです(もちろんインスト時には説明していましたが)。
僕が情報を持っているのは隕石の位置に関する者なので、隕石を軸にしたヒントをもらうことにします。隕石の次に探しやすいのはアステロイド(数も多く、必ず2つ隣接してペアになっているので特定もしやすい)かなということで、隕石とアステロイドの関係についてリサーチしました。
「アステロイドと隕石は隣接しない」(※この法則はこのゲームだけのもので、毎ゲームランダムに変わります)
これで、アステロイドか隕石のどちらかの位置が特定できれば、もう一方の位置も特定できるようになりました(これだ!と1ヵ所を特定するには少々幅のある情報ですが)
この後、何手番か経過後、2回目の論文発表で僕は特定できていた1つの隕石の位置を発表。はるさん、ちとさんも何らかの場所を発表します。といっても、この段階では論文トークンは裏向きにおかれているので、場所はわかっても対象が何かはわかりません。
しかし、リサーチしたりアステロイドの探索もしていた僕はともかく、はるさんが特定できそうなくらい調べていらしたのは準惑星なので、たぶん準惑星なんだろうなというのはわかります。みなさんの手元の情報と組み合わせれば僕も隕石というのはたぶん特定されていたとは思いますが。
この後、僕は隕石とアステロイドの位置を確定させるために探索を何手番か行いました。
探索できるのは、時間トラック上の自コマを始点にしたボードの半分(地球から観測できるのは最大で180度の範囲内ということのようです)だけなので、同じ場所を続けて調べるというのもちょっと難しくなってます。何らかのアクションをすると自コマが先に進んで、観測可能なエリアがずれるので。
そうこうしてる間に最初の論文が公開されます。やはりはるさんは準惑星の位置を発表されていたようです。そして、ちとさんはなんとガス星雲(これも見つけるのはなかなか難しいので、最初のヒントでかなり絞り込まれていたようです)の論文でした。
これで準惑星とガス星雲1つの位置がわかったので、今度は準惑星を軸にしたリサーチを行います。
ほぼ特定はできていたものの、確定には至っていなかったアステロイドとの関係についてにすると、
「準惑星は少なくとも1つのアステロイドに隣接している」
というヒントが。(※この法則はこのゲームだけのもので、毎ゲームランダムに変わります)
準惑星は1つしかなく、一方の隣接エリアは隕石であることはわかっていたので、もう一方の隣接がアステロイドであることが確定しました。
そして、時間トラックを1周したので惑星Xに関するヒントがプレイヤー全員に公開されます。
「惑星Xの向かいのエリアは空ではない(何かしらの対象がある)」(※この法則もこのゲームだけのもので、毎ゲームランダムに変わります)
この時点で、僕の手元のメモでは、隕石2つ、アステロイド4つ、準惑星1つ、ガス星雲1つの場所が特定できていました。エリアは全部で12エリアあるので、全体の3/4が判明してます。
さすがにもう解けて良さそうなもんだけど……。と、手元のメモを見直すと、「ガス星雲は必ず何もないエリア1つと隣接する」という法則が目に入りました。
もう8エリアが埋まってるんだけど、空きエリアの横で未確定のエリアってあるのか?とよくよくメモを見てみると、残り1つのガス星雲があり得る場所の候補はもう1エリアしかありません。
そして、ガス星雲をセットで何もない空きエリアの位置も1つ特定できました。
残るは空きエリア1つと、惑星Xの特定作業だけです。
ここで先ほどの「惑星Xの向かいのエリアは空ではない」を思い出してみると、見事に未確定の残り2エリアの片方は向かいが空きエリアです。つまり!
僕:「わかった!」
ちとさん:「なら惑星Xの場所の入力します」
つい口から答えが分かったことを漏らしてしまいました。
一応、誰かが正解を出した後でも惑星Xの場所を当てに行くことはできるのですが、一番初めに当てた方が点数は高いので、ちとさんが回答入力を始めます。が、不正解。
(とはいえ、得ているヒントの種類は違えど、数や質はほぼ同じはずなので、もう誰が当ててもおかしくない状況ではあります)
僕は手番で回答を入力し、正解! その後のラストチャンスではるさんも当てられましたが、途中の論文発表の数の差=点数の差で僕が勝利しました。

(正解おめでとう!の画面。惑星Xの場所だけでなく、その両サイドに何があるかも入力しないとならないので運任せで偶然正解とかはなかなかできないと思います)

(ペンで隠れてますが、ゲーム終了時のメモ。暗号みたいに見えますが、誰が何を行ったかと自分の分はアプリの応答結果も略語みたいな感じでメモしてます)
【感想】
ここ数年増えている範囲を絞っていくヒントと、探しているものの関係性のヒントの組み合わせで答えを導いていくタイプの推理ゲームです。
このタイプのゲームに共通でいえることですが、一方のヒントで行き詰ってるところにもう一方のヒントを照らし合わせると、パッ!と謎が解けるような作りに爽快感があるのが楽しいです。
あと、同じことを繰り返して正解以外の場所を塗りつぶしていくような作業感を感じることも少ないのもよいかなと。
サーチ・フォー・プラネットXでは論文発表というプロセス点を追加することで、ゲーム途中のメリハリをつけていますし、さらに最終的な勝ち負けが“惑星Xを見つけた”でなく、最多得点者ということで、積極的に自分の捜査状況を公開していくシステムになっています。
この他人にどんどん捜査状況を公開していくスタイルが、この種の段階的に最終目標に到達するかたちの推理ゲームに非常に合っていて、ゲームを面白くしています。
具体的には主に2点あり、まず1点目。自分の知らない確定情報が突然公開されるので、それまでに得ている法則性のヒント次第で、一気に他の対象の特定が進みます。これが気持ち良いです。
(「あ! それならこっちが決まるから、あ! こっちもか!」ってなることがあり、自分であっても他人であっても楽しくなります)
2点目は途中から追いついて逆転までできる点です。徐々にエリアを特定していくことで、残った対象と法則からさらに絞り込んでいくというのがプレイの流れになるわけですが、通常であれば、いったんついた差は取り返せることはまずありません。プレイヤー同士でどの程度情報を持っているか、正解に近い位置にいるかが隠されているのであまり気にならないだけで、実際にはゲーム中盤くらいで逆転不可のプレイヤーもいます。
それが、このゲームだと先に進んでいる人が自ら情報を公開してくれるのである程度ではありますが、追いつくことができます(そして、この追いつく幅が大きいほど、前述の気持ちよさは倍増します)。
そして、この全員で同じ答えへの道をたどりながら段階的に正解をだしていけるというのが、アプリを使っているとこが大きいです(やろうと思えば同じことが手作業でできるかもしれませんが)。
あとはアプリは間違えないので、こういう推理ゲームでよくあるプレイヤー間でヒントを出し合うタイプによくあるヒントを間違ってしまうヒューマンエラーが発生しないのもアプリは推理ゲーム向きといえそうです。
(アプリのメンテナンスがされなくなったら遊べなくなりますが)
ただ、アプリに入力して表示される回答をメモするという非常に地味なことの繰り返しなので、盛り上がるか?と言われると全員で競争しているのが明らかなクリプティッドとかの方がそういう点では上だと思います(クリプティッドは質問への回答で間違えがないかめっちゃ確認してしまうので、楽しさとは別のところで僕は苦手ですが)
あと、触れておきたいのは、難易度についてです。このゲームではボードの裏表(エリア数12or18)と、ゲーム開始時のヒントの数(12,8,4,0の4段階)で、難易度を選ぶことができます。
ただ、この難易度は特定が難しくなるというよりも、踏むべき段階が増えるというだけなので、長い時間このゲームに触れていたいとか、もう何度も遊んで本当に1、2手番で答えがわかってしまって十分に楽しめないという人を除けば、できる限り低い難易度でまずは遊ぶのをお勧めします。
僕ははじめ、ボードは表、ヒント数は8で始めたら初回で不慣れということもあって、4人プレイで2時間以上かかってしまいました。このゲームの良いところは爽快感だと思うのですが、そこにたどり着くまでかなり時間がかかってしまいましたので。
ヒントたくさんもらってぱぱぱっと解けた!を楽しむのがよいのではないかなあと。
最初のヒントが多ければ、プレイ内容のところに書いたようにプレイヤーごとに最初に手を付ける対象に差がでてきやすいですし。
アプリが使えない環境ではプレイできない、ゲームとして遊べる期限(メンテナンス切れ)がある、プレイングが淡々としているという欠点もありますが、ぱぱぱっと視界が開けていくような感覚が味わえる良いゲームだと思います。
サン・ドニ

(4人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
パリ北部にあるサンドニで建物建てたり壁作ったりする。
お金や資源を手に入れるワーカープレイスメントのフェイズと、資源を使って建物を建てる建築フェイズを繰り返していくゲームです。
各ラウンドの流れは以下。
1.収入フェイズ
基本収入や建物からの収入など、お金や資源を獲得します。
2.アクションフェイズ
ボード上のアクションスペースにワーカーを配置します。基本的にお金を払って、資源/お金を獲得するアクションです。
アクションスペースは左から右に行くほど効果が強くなっています。アクションスペースには配置時のコスト(お金)が書かれており、空いているスペースにはどこでもワーカーを置けますが、配置場所+左の空きマス全ての合計コストを払う必要があります。
ワーカーを配置せずにパスをしてアクションフェイズから抜けることができます。建築フェイズまで手番はまわってきませんが、建築フェイズの手番は抜けた順になります。
3.建築フェイズ
資源を売ってお金にする。
資源を払って建物カードを獲得する。
資源またはお金を払って城壁カード(特殊効果なし、点数のみあり)を獲得する。
を行います。
・エリアについて
ゲームには5つのエリアがあり、エリアにワーカーを送り込むと毎ラウンドの頭にエリアに対応した収入(お金が資源)がもらえます。ゲーム終了時、各エリアでマジョリティによる点数がプレイヤーにはいります。
【プレイ内容】
偽エッセン会にて、たる田さん、しのぽさん、ぐんまさん、僕の4人で。
アクションスペースは大きく5つにわかれており、内訳は、赤資源が手に入る、白資源が手に入る、青資源が手に入る、お金が手に入る、ちょっとした特殊効果+任意の資源が手に入るになってます。最後の特殊効果+任意の資源のエリアはゲーム後半まで出て来ません。
各エリア内のアクションスペースで左から右に強い効果になっていきます。例えば赤のエリアなら、一番左は赤資源1つ、左から2つ目は任意の資源を払って赤資源2つ、3つ目は2金と赤資源1つ…とちょっとずつ効果が上がっていきます。アクションスペースはどのエリアでも6つあり、資源がもらえる系なら右から2つ目は資源が2つもらえるスペース、一番右はラウンド終了時にエリアにワーカーを送り込める(収入&最後のマジョリティ争い用)ようになってます。
最初は所持金も少ないですし、いきなり高コストの手を打つ必要もないので、1~3番手のみなさんが資源がもらえるエリアの一番左にワーカーを配置し、赤、青、白の資源を1つずつ獲得。まあ、僕も一番左に置きましょうとお金のエリアの一番左のスペースに置きました。
お金さえあれば、いきなり強い効果のアクションができるので、お金ためるのも悪くないなと思いながらの2手番目。ちょっと困ったことに。
アクションコストはランダムに決まる(ボードに印刷されているわけではなく、コストが色々なパターンのカードがある)ようになっています。一番左は1金で固定のようなのですが、左から2つ目以降はたまにコスト2金のスペースがあります。まあ、価値があるならそのアクションをするだけなんですが、下手にアクションスペースにワーカーを置いてしまうと、その右側のアクションコストが下がるという仕組みになってます。
なので、お金に余裕がない序盤は基本的には左から埋めていくようになります。僕が困ったのは、お金がもらえるエリアの2つ目のアクションスペースはコストが1金ではなくて、2金ということ。3金もらえるので赤字ではないですが、3つ目のアクションスペースがコスト1金でもらえるのが4金で、2つ目のスペースに置くのが完全にトスになってしまうのでお金エリアは置いておき、みなさんと同様に資源のもらえるエリアに繰り出すことにしました。
資源は次ラウンドに持ち越せないルールなので、建物カードを買える分を用意するか、建物は買わずに資源を売ってお金として次ラウンドに持ち越すかの2択です。
1番安い建物でも資源が3つ必要で、初期ワーカーは4つ、安いアクションは資源が1つしかもらえないので、お金をもらうのに1ワーカー使ってる僕は余裕がありません。
そして、建物カードを買う際の資源は何でもいいと言う訳でもなく、当然、種類が特定されてます。建物カード購入は建築フェイズの手番順=アクションフェイズから抜けた順なので、この時点で僕が建築フェイズの最後手番になることはほぼ確定しています。
(全ワーカー使わないと資源が集まらない僕に対して、みなさんは3ワーカーで必要資源が集まる)
なので、集める資源がみなさんと被ると目も当てられないことになります。
よく皆さんの手元の資源を見ながら、ワーカーを置いていき、なんとか僕も建物カードを買うことができました。

(何とか買えた相棒。収入が他建物より1金多いかわりに特殊効果はありません)

(2ラウンド目開始時あたり。お金エリアに寂しく1つだけ僕のワーカーがあります)
で、2ラウンド目開始です。ラウンド頭の収入フェイズで建物からの収入に加え、基礎収入として、ワーカー1つと2金がもらえます。
これでワーカーが増えてたくさんアクションができるようになるかというと実はそんなことはありません。何故かと言うと、アクションスペースにおいたワーカーは、1番右端のスペース(マジョリティにワーカーを送り込む場所)にいずれかのプレイヤーのワーカーが置かれないと戻ってきません。
いきなり右端に置くには大金が必要ですし、徐々に埋まっていくにしてもしばらくかかります。つまり序盤にはあまりワーカーが戻ってこない作りになってます。
そこら辺を考えてしのぽさんやたる田さんは1ラウンド目、ワーカーを残した状態でアクションフェイズを抜けていらしたのですが、僕はなんとか資源を揃えるために全てのワーカーを使ってしまっていたため、このラウンドで使えるのは先ほど補充のあった1ワーカーしかありません。
まあ、ないものはどうしようもないのでこのラウンドはアクションせずにしゃがんで、次ラウンド以降に頑張るか?とも思いましたが、逆にどんどんワーカーを吐き出して行ってみるか!?とマジョリティ争い重視の選択をしてみました。
そんなわけで右端のスペースにおいて、その後の手番でパスしました。このラウンドは赤白青のエリアは全部埋まって、マジョリティに送り込まれたもの以外、ワーカーは手元に返ってきました。
ただし、僕が最初においたお金エリアの左端のものを除いてですが。とにかく、ここは2スペース目を埋めると次の人が得してしまうため、アクションエリアとして死んでるので仕方ないです。
ワーカーが初期から1.5倍になってることもあり、ここら辺からアクションスペースがたくさん埋まるようになります。まだまだお金がないので、いきなり右側の強アクションに飛び込むこともないですが。
建物カードに必要な資源は3〜9とかなり幅があります。もちろん必要資源数と能力の強さは比例するわけですが、ラウンド間に資源を持ち越しできないこのゲームでは、安いカードを獲得したり、マジョリティにコマを送り込むなどして収入を増やすことや、増えてきたワーカーを1ラウンドにドバッと使うことで必要資源を一気に集める必要があります。
しのぽさん、たる田さんが必要資源が少ないものから徐々に建物カードを取ってる中、ぐんまさんは少しずつ無理をして高めのカードを先に取られてました。
そのおかげで安いカードが残ったため、ワーカー数不足で苦しんでいる僕でも拾える建物が残ってたりとおこぼれもありました。効果はさておきとにかく建物を増やして収入アップが大事と判断してます。どうせ資源はラウンド間でなくなりますし。
4ラウンド前後で大体方向性がみなさん決まりました。
たる田さんは序盤の終わりにとった「ラウンド最後に空きスペースにワーカーを配置できる」建物でみんなの動向を見てから動ける体制を作り、しのぽさんは建物コストを下げる建物で建物カード重視の構え(ただ、これは城壁(という得点だけの建物)には適用されないのを見逃されていたようなので本来狙った形とは違うのかもしれません)。
ぐんまさんは「ワーカーを置く場所のコストが2金ならそれを無視」「毎ラウンド追加ワーカーをひとつ獲得」を軸にみなさんがアクションフェイズから抜けた後で豊富なワーカーを使い残っているスペースを埋めていく形が出来上がりました。
そして僕は前述の通りマジョリティ重視です。序盤から中盤にはワーカー不足からくる資源不足で苦しんだりもしましたが、終盤に入った頃にはエリアにコマを送り込んで増えた収入とラウンド末に資源が2つもらえるアクションとでラウンド頭の所持資源が増えていたため、「アクションにかかる総コストを半額にする」建物も獲得できました。
この半額にする建物とマジョリティ戦術の相性がよく、
・空きスペースに関係なくいきなりマジョリティのためにエリアにワーカーを送り込む右端のスペースにワーカーが置ける
・エリアに送り込むことでワーカーが手元から減るのでワーカー配置のために必要なお金が減る
と、ほぼお金を気にしなくて良い状態になりました。
さらにエリアにワーカーを3つ送り込むことでもらえる特殊効果付きのカードを獲得し、「アクションフェイズの開始前に手番順と無関係にひとつワーカーを配置できる」も獲得し、最後の2ラウンドは、手番が1,2回で終わるようなことに。

(終盤の充実した効果の僕の建物群)
ぐんまさんが大量ワーカーで資源や金をどばっと取って城壁(点数)に変えていくのも脅威ではありましたが、エリアに送り込んだワーカーから点数がもらえる建物も獲得するなど、結果的にかなりやりたい放題させてもらって勝つことができました。

(終了時)
【感想】
こういうことか!?と最善手かと閃いた手がラウンドの進行に伴ってどんどん変わっていくのが楽しいゲームでした。
純粋にワーカープレイスメントとしても良くできているとは思いますが、僕はこの変わっていく様がよりやられました。
ワーカープレイスメントとしては、自分がワーカーを置くことが他人が効果の良いアクションを行うためのコスト減少につながるという、常に他人の動向を気にしてしまうゲーマーよりの人々に非常に優しくない、聞くだけで「最高じゃないですか」と思わず言ってしまう仕掛けがポイントです。
実際遊んでみてもルールを読んで感じた通りの「お前が楽になるのが嫌だから次善の手をうつ」ような場面はあります。序盤は所持金が少ないこともあり、特に自分がワーカーをおくことで下家のプレイヤーが楽にならないかというところが気になります。
で、この状況を打開するためにはどうすればよいのか?というと、理屈の上では、高コストの場所におけるよう所持金を増やすか、他プレイヤーがワーカーで埋めた後、自分だけ行動できるようワーカーを増やすかすれば良いはずです。なので、ゲーム序盤、プレイヤーたちは収入を増やすために建物カードを手に入れようとしたり、他プレイヤーとワーカー数の差をつけるために早めにパスをしたりします。
この収入増の動きやワーカー数をどうコントロールするのかというゲームでも良かった/楽しかったと思います。思いますが、サン・ドニはそうはなっていません。
上記のような1金を惜しんだり、相手の1金を削ろうとしたりする動きはあくまで序盤から中盤にかけての話です。
何故なら、1金1ワーカーが重要になるというのは非常にデリケートで、毎ラウンド少しずつ増える収入や、1つずつ補充されるワーカーで簡単に崩れるからです。
ワーカーが増えれば増えたワーカーでお金を獲得して、そのお金でいきなり強いアクションを行うこともできますし、そもそも収入で所持金が増えていればワーカーを使うまでもなく強いアクションが行えます。
これでゲームが壊れるかというと決してそんなことはありません。いきなり強いところに置かれるというのは、普通のワーカープレイスメントゲームですし、いきなり強いアクションがうたれる→金がなくなる&埋まっているのは右側のアクションなので弱い側のアクションコストには変動はない→元々の苦しさはそう変わらないからです。
そして、いよいよプレイヤーたちの懐が潤い、強いアクションから順にワーカーが置かれるような“本当に普通のワーカープレイスメント”になるのと前後して終了トリガーがきられ、ゲームは終わります。
この1金や1ワーカーに対する価値観の変化というか、その変化に伴うプレイヤーのアクション選択の変化がこのゲームのポイントだと僕は思いました。
もちろん、終盤になるに従って裕福になるゲームはたくさんあります。徐々に飛び交うアクションの効果や回数が増えていくゲームです。サンドニは序盤から実行可能なアクションの種類はそう変わらないまま、プレイスタイルが変化していく、しかも、感覚的にはだいたい2ラウンドごとに序盤、中盤、終盤とドン、ドン、ドンと変わってあっという間にゲームが終わるというのが非常に印象的でした。
そして作りとしてうまいなと感じたのが、資源の持ち越しができないことです。つまり、建物に必要な資源は1ラウンド内で稼ぐ必要があります。ラウンドを跨った長期的な戦術というよりも、このラウンドをどう過ごせば良いのかという短期間の目標をプレイヤーは考えれば良い作りなわけです(もちろん、残したワーカーや収入、エリアマジョリティ等、ラウンドを跨る要素もあるので、まったく長期的な思考が不要かというとそうではないですが)。
1金1ワーカーが手を変える厳しそうなゲームですが、とりあえず、手元のワーカーで無駄にならない資源を集められるかだけ考えれば、プレイはできます。
さらに建物の必要コストの種類が偏らせられている(コストの半数以上が赤資源でないとならない等)ため、どのプレイヤーがどの建物を狙っているかは、ちょっと選んでいるアクションを見れば明らかにもなります。アクションがシンプルなこともあり、後追いで所有資源を追い越すことはほぼ無理なので、非常に指針の立てやすいゲームになっていました。
これはアクションフェイズから抜けた順=建築フェイズの手番順であることも効いてます。無駄にアクションフェイズに残って資源を集めていると、狙っていた建物を先にとられるため、必要な資源を集めるのに一直線!となるからです。
建物効果が派手(というか建物効果なし時が地味)ということもあって、勝ち負けという段になると、○○が強い、XXが弱いという話になるかと思いますが、僕の感覚的にははっきりいって状況次第!です。前述の通り、序盤と終盤とではアクション選択の優先度が全く違いますし、マジョリティに送り込まれているワーカー数、建物を使い始めた時期など、建物を活かせる状況がどれだけできているかかなと。
ゲーマー受けする絞り合うようなコストの仕組みだけでなく、やること/やれることを短期的に選択すればよい遊びやすさを持ち、派手な建物効果でという楽しさも用意してくれている、良いゲームだと思います。
(勝ち負けに関していえば、きっちり長期戦略や他プレイヤーの動向次第で有効な手が変わるなど、ゲーマー向けな作りかと思いますけど、楽しめるという意味では決して苦しいだけのゲームではなく、システムによってどんどん救済されていくので、ゲーマー以外にも楽しまれるゲームなんじゃないかと)
サイズ 大鎌戦役 拡張 フェンリス襲来 /Scythe: The Rise of Fenris
※フェンリス襲来はキャンペーンタイプのゲームです。どの回がどういったストーリーやギミックかは書きませんが、全体としてどういう感じのことが起こるかは書いてます。何も知らずに遊びたい方は読まないようにご注意ください。

【ゲーム概要】
繰り返しになりますが、キャンペーンタイプのゲームです。
全X話のシナリオ回数分サイズをプレイし、各回の終了時に得点状況等をプレイヤーシートに記載していきます。
全話終了後に総合点数(毎回の得点の合計というわけではありません。最終話の点数とそれまでの得点状況をある程度反映したものの合計)で最終的な順位が決まります。
毎回、基本的にはサイズ(6個星を置くのが終了条件&民心に応じて星数、エリア数などから得点)ですが、この拡張独自要素として、
・XXのへクスに到達する等、終了条件が追加される場合がある
・星を置ける条件が変わる(戦闘で1つしか置けなくなる等内訳が変わる)場合がある
・メック&キャラクター能力を上書きする(他国の能力が使えるようになる)タイルが獲得できる
・1回だけタダで下段アクション(建物建てるとか)できたり、戦闘時に戦力を+2できたりする特殊能力タイルが獲得できる
・各話開始時に民心+2や戦闘カード+2枚などのボーナスがもらえる(買える)
などがあります。
プレイヤーが選択できる新たな勢力が2つ追加されます(勢力は固定ではなくキャンペーン中に変更できるようになります)。
【感想】
まず、サイズが面白いゲームなので、それを10回弱繰り返すのは普通に楽しかったです。
それはそれとして、(シナリオの設定という形で)終了条件や得点条件(星のおける行動)が変わるのは、ゲームの展開にバリエーションが生まれるという点で非常に良い拡張要素だと思いました。
僕は元々サイズは好きなゲームではあるのですが、他プレイヤーの行動傾向や得点状況に応じてプレイングを変えるべきなのに、結局、いつも同じことをやってる人がいたり、同じことしかできなかったりというのが正直不満でした。
正確に言えば、(最適手を考えて、計画通りに動かすのが楽しい類のゲームなので)他人を気にせずに多人数ソロゲームとして成り立つというのが不満というか、もうちょっとどうにかならんかなと思ってました。
それがこの拡張では、追加される終了条件のせいでめちゃくちゃ早く終了することがあったり、通常なら星を置ける状態になっても置けなくなったりするので、必然的にプレイングを変えないとなりませんでした。
(これは偶々ですが、うちらの集まりが勝利条件が変わるたびに勝つ人が変わったというのもまた良かったです)
このプレイングが変わる/変えさせられるというのがフェンリル襲来の拡張としての意義というか、正直、キャンペーンのシナリオはストーリーはあまり魅力的ではないので、キャンペーンで遊ばなくても、一回通しで遊んだ後でも、ランダムに今日は〇〇シナリオでやろうぜーとかやっちゃえばいいと思います。ルールブックを自分で読んでないので、そういう遊び方が公式にあるのかはわかりませんが。
メック能力を変えたり、一度限りとはいえ、下段アクションをタダでできる(序盤をちょっとスキップできる)とか、星3つ置いたくらいの時期に終了トリガーを切られるとか、キャンペーンの中で使われるだけではもったいない要素盛沢山ので、(例えとしてちょっと適当ではないですが思いつかないのでご容赦ください)テラフォーミングマーズのプレリュードみたいな感じの、ちょっとプレイ感&プレイ時間を変える拡張として使うことで、サイズといえば毎回似たような手順を毎回繰り返すだけみたいなプレイングから解放されて良いかと思うのです。
ただ、キャンペーン終了時の勝者を決める得点方法は不満が残ります。
逆転の要素を残しつつ、それまでのキャンペーンの実績も点数に考慮されている良い得点方法ではあります。
その得点バランスもちょっとどうかと思いますが、まあ、キャンペーン最終話スタート時点で勝者決まっててもつまらないですし、及第点な得点方法です。
しかし、この点数計算方法にしちゃうと、2周目以降は結局、早く終わる終了条件とかあんま関係なくならない?(プレイング変えなくね?)って思うんですよね。
せっかく、終了条件が変わってプレイングが変わる/勝つために変える良拡張だなあと思ってたところに、ええー、そうしちゃうのと脱力してしまいました。なので、(どうせストーリー性は薄いので、どこかの話のギミックだけ活かした1戦用の変則セットアップ拡張としてどうかというような話を書いてたわけです。
そんなわけで、僕は最後の最後に若干、それはどうなのよという思いは生まれてしまいましたが、キャンペーンとして遊ばなくても、十分に使える、楽しい拡張です。キャンペーンタイプというところで見ると、どうせ再販とか鈍くなりそうなので、単純に追加勢力、プレリュード的拡張としてサイズファンはさっさと買うべし!かと思います。

【ゲーム概要】
繰り返しになりますが、キャンペーンタイプのゲームです。
全X話のシナリオ回数分サイズをプレイし、各回の終了時に得点状況等をプレイヤーシートに記載していきます。
全話終了後に総合点数(毎回の得点の合計というわけではありません。最終話の点数とそれまでの得点状況をある程度反映したものの合計)で最終的な順位が決まります。
毎回、基本的にはサイズ(6個星を置くのが終了条件&民心に応じて星数、エリア数などから得点)ですが、この拡張独自要素として、
・XXのへクスに到達する等、終了条件が追加される場合がある
・星を置ける条件が変わる(戦闘で1つしか置けなくなる等内訳が変わる)場合がある
・メック&キャラクター能力を上書きする(他国の能力が使えるようになる)タイルが獲得できる
・1回だけタダで下段アクション(建物建てるとか)できたり、戦闘時に戦力を+2できたりする特殊能力タイルが獲得できる
・各話開始時に民心+2や戦闘カード+2枚などのボーナスがもらえる(買える)
などがあります。
プレイヤーが選択できる新たな勢力が2つ追加されます(勢力は固定ではなくキャンペーン中に変更できるようになります)。
【感想】
まず、サイズが面白いゲームなので、それを10回弱繰り返すのは普通に楽しかったです。
それはそれとして、(シナリオの設定という形で)終了条件や得点条件(星のおける行動)が変わるのは、ゲームの展開にバリエーションが生まれるという点で非常に良い拡張要素だと思いました。
僕は元々サイズは好きなゲームではあるのですが、他プレイヤーの行動傾向や得点状況に応じてプレイングを変えるべきなのに、結局、いつも同じことをやってる人がいたり、同じことしかできなかったりというのが正直不満でした。
正確に言えば、(最適手を考えて、計画通りに動かすのが楽しい類のゲームなので)他人を気にせずに多人数ソロゲームとして成り立つというのが不満というか、もうちょっとどうにかならんかなと思ってました。
それがこの拡張では、追加される終了条件のせいでめちゃくちゃ早く終了することがあったり、通常なら星を置ける状態になっても置けなくなったりするので、必然的にプレイングを変えないとなりませんでした。
(これは偶々ですが、うちらの集まりが勝利条件が変わるたびに勝つ人が変わったというのもまた良かったです)
このプレイングが変わる/変えさせられるというのがフェンリル襲来の拡張としての意義というか、正直、キャンペーンのシナリオはストーリーはあまり魅力的ではないので、キャンペーンで遊ばなくても、一回通しで遊んだ後でも、ランダムに今日は〇〇シナリオでやろうぜーとかやっちゃえばいいと思います。ルールブックを自分で読んでないので、そういう遊び方が公式にあるのかはわかりませんが。
メック能力を変えたり、一度限りとはいえ、下段アクションをタダでできる(序盤をちょっとスキップできる)とか、星3つ置いたくらいの時期に終了トリガーを切られるとか、キャンペーンの中で使われるだけではもったいない要素盛沢山ので、(例えとしてちょっと適当ではないですが思いつかないのでご容赦ください)テラフォーミングマーズのプレリュードみたいな感じの、ちょっとプレイ感&プレイ時間を変える拡張として使うことで、サイズといえば毎回似たような手順を毎回繰り返すだけみたいなプレイングから解放されて良いかと思うのです。
ただ、キャンペーン終了時の勝者を決める得点方法は不満が残ります。
逆転の要素を残しつつ、それまでのキャンペーンの実績も点数に考慮されている良い得点方法ではあります。
その得点バランスもちょっとどうかと思いますが、まあ、キャンペーン最終話スタート時点で勝者決まっててもつまらないですし、及第点な得点方法です。
しかし、この点数計算方法にしちゃうと、2周目以降は結局、早く終わる終了条件とかあんま関係なくならない?(プレイング変えなくね?)って思うんですよね。
せっかく、終了条件が変わってプレイングが変わる/勝つために変える良拡張だなあと思ってたところに、ええー、そうしちゃうのと脱力してしまいました。なので、(どうせストーリー性は薄いので、どこかの話のギミックだけ活かした1戦用の変則セットアップ拡張としてどうかというような話を書いてたわけです。
そんなわけで、僕は最後の最後に若干、それはどうなのよという思いは生まれてしまいましたが、キャンペーンとして遊ばなくても、十分に使える、楽しい拡張です。キャンペーンタイプというところで見ると、どうせ再販とか鈍くなりそうなので、単純に追加勢力、プレリュード的拡張としてサイズファンはさっさと買うべし!かと思います。
シティ・オブ・ザ・ビッグショルダーズ/ City of the Big Shoulders

(4人でインスト込み5時間ほど)
【概要&ルール】
City of the Big shoulders、肩幅の広い男たちの街=労働者の街=シカゴだそうです。これはカール・サンドバーグというアメリの詩人の “Chicago”という詩で初めて使われた表現とのことです。詩“Chicago”は、ルールブックの最初のページやゲームの箱の上蓋の裏にも印刷されています。

(箱裏の詩。カール・サンドバーグさんは500ドルのカードに描かれています)
そんなこんなでプレイヤーはシカゴの資産家のひとりになり、企業を作って、大火事にあったシカゴの街を復興していくぜーというゲームです。
ゲームの流れは、1ラウンド目の開始前にスタート会社を手番順の逆に各プレイヤー1社ずつ立ち上げます。
立ち上げ方は、以下。
・全部で10社(拡張入れると+5社)ある会社から1社を選ぶ(業種、生産数、売値などが社ごとに異なります)
・初期株価を決めて3株分株(社長株)を買って、その分のお金を会社に入れる
そのあとは、以下の5フェイズを規程ラウンド繰り返します。
・株式フェイズ:株を複数売るand/or1枚買う、ソフトパスするを全員パスするまで繰り返す。新しい会社を設立することもできます(株価決めて3株分のお金を払えばよい)。
・建物フェイズ:毎ラウンド配られたもの+前ラウンドからの持ち越しの建物タイルから1枚をメインボードに配置する。
・アクションフェイズ:自分のパートナーコマをメインボード上の建物に配置して、建物に書かれたアクションを実行する(ワーカープレイスメントします)
・運営フェイズ:アピール度の高い会社から順に資源購入→商品生産→売却を行う。売却後、儲けたお金を株主に配当すれば株主に現金が入り&株価があがり、内部留保すれば株価は下がります。会社の運営はその会社の株を一番持っているプレイヤーが行います(同数の場合は社長株を持っている方)
・リセットフェイズ:次ラウンドの準備をする
〇会社の成長&運営について

(会社シート)
会社には↓な要素があります。アクションフェイズで会社の各要素を成長させ、儲けを大きくしたり、儲けやすくしたりします。
業種:会社シート右上のアイコン。ブタ、ミシン(服職業)、靴、穀物の4種類があります。
アピール値:右上の星アイコンが初期値。アピールトラックで管理され、アクションやマネージャーの能力で上げることができます。アピール値の高いプレイヤーから運営するのに加え、アピール値があがっていくとボーナスがもらえます(株価があがったり、パートナーもらえたり)
商品の売値:左側の袋に書かれた数字=商品1つ当たりの売値。アクションでセールスマンを雇うと基本的に+10ドルされます。
生産ライン:稼働に必要な労働者&資源、稼働時に作られる商品数、マネージャー雇用時の能力が示されています。労働者やマネージャーの雇用はアクションで行います。生産に必要な資源はアクションで手に入れたり、アセット能力で手に入れることができます。また、運営フェイズの頭で購入することもできます。
アセット=特殊能力タイル:所持可能かどうかはスパナとトンカチの枠の有無でわかります(上の画像だとアセットタイルを置いているのでそのアイコンは見えませんが)。アクションでアセット獲得アクションをすることで購入できます。アセットには即時効果と使用効果があり、即時効果は所持できない会社でも購入時に受けることができます。使用効果はアクションフェイズ、または運営フェイズ中にタップすることで受けることができます。
【プレイ内容】
ありきりさん、しゅだっちさん、さたもとさん、僕の4人で。
僕は以前ベータ版をPnPで自作して遊んだことがありますが、製品版では初プレイです。
といっても、会社の能力の調整と、プレイヤーの手番順の決め方に調整が入ったくらいで大枠は変更ないように思います。
まずは最初の会社決めです。1ラウンド目のアクションフェイズの手番順の逆に行うので、まずしゅだっちさん、ありきりさん、僕、さたもとさんの順で決めます。
業種は4つあるので、プレイヤー同士で被らないようにするのか、それとも被せていくのか。ちなみに会社は10社から選ぶのですが、ミシンだけ4社あり、他は2社ずつです。
しゅだっちさんはミシンの会社を選択。ミシンの会社はそれぞれ方向性があって面白いのですが、しゅだっちさんが選んだのは、1ラウンド目に生産ラインを2つとも動かすことのできる可能性の高い会社(生産で使う資源がランダムで供給されるので確定にはならないのですが、基本ゲームの10社の中ではほぼ確定で2ラインとも動かせるのは、この1社のみかと思います)。
会社には生産ラインが1~3あり、全ての生産ライン度を動かすことができるとアクションフェイズで使えるパートナーコマが1つ追加されるのです(1ラインの会社は拡張にしかありません)。
ワカプレの王道戦術、ワーカー数増を狙われている模様です。
続くありきりさんは穀物の会社を選択。
僕は売値も高く、そこそこ生産数も多い、マネージャー能力もよくてアセットも所持可能と、なんか強そうなブタの会社(Swift)を選択。この後、ありきりさんから、「なんかそっちの方が完全に上位互換じゃない?」と何度か言われましたw。
(感想戦やその後に何回か遊んだ感じSwiftは確かに強い会社のようです)
さたもとさんは穀物の会社を選択。ありきりさんと被った形に。靴の会社が出て来ませんでしたが、これは別卓でもそうだったようで、靴会社弱くないか?という声が上がってました。

(この時は3卓同時にインストして遊んでました)
その後、1ラウンド目の株式フェイズで買い足しできるだけ株を買い足していよいよゲームスタートです。
(会社の初期株価はある程度プレイヤーの自由になります。3株分でできる限り自分の金がなくなるように高めに設定してもいいですし、逆に安く設定して株の枚数(保有割合)を増やしても構いません。株価があがる機会は限られている&株価は上がれば上がるほど上がり幅が大きくなるので初期株価を高めにしておいた方が最終的な株価(初期株価からの上がり幅)が高くなりますし、株価を下げて株の枚数を増やせば会社が利益を配当する際にプレイヤーに入るお金が増えます。
僕は初回プレイということもあって、よくわからん!と選択できる真ん中あたりに設定しました。ありきりさん、しゅだっちさんも僕と同額。
さたもとさんは一番安い値段にして株の枚数を増やしました。

(はじまった辺)
そして、建物フェイズを挟んで、アクションフェイズに移ります。1ラウンド目はパートナー(ワカプレのワーカー)が2体しかいませんし、会社に大した金もないので、この後の運営フェイズに向け、労働者を雇ったりアセットを購入されたりと、最低限のことをみなさんされていましたが、さたもとさんが大胆な手を打たれます。
パートナー2体を両方とも「100ドルを臨時配当する」アクションに配置されたのです。会社の資産を100ドルずつ株主に配当するというアクションで会社とさたもとさんの持ち株は50%ずつだったので、さたもとさんはこれで50+50=100ドルを獲得。労働者を雇ってないので運営フェイズで生産はできず株価は下がりますが、臨時配当でも株価は上がるので、プラスマイナスでいえば株価はプラスです。
正直、これはやられたなーと思いましたが、株価>配当総額の場合は株価があがらないため、この手が使えるのは1ラウンド目だけでしょうし、1ラウンド目に(株価以外)会社が全く成長してないわけなので、まっとうな経営をしたうちらにもまだアドバンテージはあります。
この後、各社の運営フェイズに入ります。アピール値トップの僕は無難に1ラインだけ起動して終了。続く、ありきりさんの会社でちょっとした事件が起こります。ありきりさんは会社が生産するために必要な資源を買ったのち、次ラウンド目にも必要な資源があるとは限らないというリスクヘッジの考えから、このラウンドでは使わない分の資源も購入されました(このゲーム、資源や生産した商品等は制限なく次ラウンドに持ち越せます)。
これで困ったのがしゅだっちさん。1ラウンド目に2ラインを動かすために選んだ会社にも関わらず、資源が足らずに1ラインしか動かないという事態に。
(しゅだっちさんの取った会社は商品単価、生産数等の面では他会社にちょっと劣っている代わりに、パートナーが増やしやすい会社なので、結構な損害です)
一応、資源の補充は各会社の手番が終わった際に、資源のボックスが空になっていれば補充というルールなので、中途半端に買われると補充が入らず、こんな感じで事故ります(ボックスにはセットアップ時には3-3-3と3個ずつ資源があります。これが0-2-0とかになれば、ずれた上で補充が入って2-3-3になるのですが、1-1-1とかになると各会社の手番終了時には補充は起こりません)

(補充させない鬼畜残しの例。この場合はまだピンクは人気のある色ですし、3つ目のボックスに資材が複数あるのでまだましではありますが)
しゅだっちさんには残念でしたが、2ラウンド目に突入。さたもとさんはスタート時に設立した会社の自社株を1枚売った上で、2社目を設立。ガンガン攻めてきます。
しかし、パートナー数(=ワーカー数)が会社の成長に直結するのがこのゲーム。2社設立してもパートナーの数は変わってないので、1社持ちのプレイヤーと比べて2社持ちでは成長率は半分になります。これがどうなるのか。
2ラウンド目ではアセットの即時ボーナスや自動化アクションを組み合わせることで僕のSwiftは2ライン目も起動させるだけの労働者を雇用できました。
アピール値トップは変わらないので、運営ラウンド開始時の資源の状況=自分の使える資源が見えているのでリスクヘッジするかどうかの判断がしやすく、作戦が立てやすいのもあって、全力で会社の成長に力を入れます。
そんなわけで、運営ラウンドでは2ラインとも稼働させることに成功。追加パートナーを獲得します。
マネージャー効果でアピール値は順調に上がっており、このままいけば次ラウンドでアピール値が規定値に達した際にもらえる追加パートナーも獲得できそうです。
そして、3ラウンド目開始。パートナーがこのラウンドのアクションフェイズで5つになるのはわかっていたので、満を持して2社目を設立します。
この2社目の設立は考えがありました。ゲーム終了時に200ドルもらうことのできるゴールタイルの条件の1つが、自分が社長の会社すべての合計アセット数トップというものだった&アセットを持てる会社はもう1つしかなかったので、その会社を設立してしまえばアセット数トップの200ドルをもらえることが確定します。そんなわけでアセットを持てる会社を設立。よっしゃよっしゃと思っていたのですが、ここで1つミスをやっちまいます。
会社の株価の初期値を高めにしたんですが、僕の所持金では30%程度しか買うことができませんでした。が、実は、ありきりさんの方が僕よりお金を持っていることが発覚。40%分を購入されると会社を乗っ取られてしまいます(自分の所持金で50%以上買える程度の金額にしておけば、より金持ちがいても乗っ取られることはありません)。
やっちまったーと思ったんですが、ありきりさんはまだパートナー数も増えていなかったからか、「大変そうだから」という理由で乗っ取らないことを選択されます。助かりました!

(2社目たってしばらくした辺り)
しかし、会社経営は僕も結構うまくやってたと思うんですが、何故、ありきりさんの方がお金を持っていたのか?
よくよく考えてみると、理由がわかりました。
建物フェイズで建ててる建物(アクションスペース)の性能がありきりさんはどれも良く、みんなに使われており、その使用料で潤っていたのでした。なるほど!一方で僕の建てた建物は自分も含めほぼ使う人はいなかったので、収入差が生まれていたようです。
ここは完全に引き運(一応、3枚のタイルから1枚を選ぶ形ですが、強いタイルの引ける引けないはある)なので、考えても仕方なしと割り切ります。
僕の2社目(BBC)の業種はミシンでしゅだっちさんと被りましたが、BBCは生産量が少なく単価が高い(初期値も最大値も高い)という特徴の会社なので需要の取り合いになってもあまり問題なし。みなさんより2つ多い(みなさん3つ、僕5つ)パートナーを使ってガンガン強化して、すぐに売値を最大にして、生産量も増やすアクションを踏み…と、1社目も2社目も順調な売り上げを記録しました。
と、簡単に書いてますが、3ラウンド目以降はパートナーの数も3~5に増えてますし、建物(アクション)の能力も上がっているのでワーカープレイスメントでどのアクションを先に選ぶかが熱いというか、強いアクションはあっという間に埋まるので、手番順の取り合いが熱かったです。パートナー数で一歩リードしていたのでそこを有利に運べたのが大きかったように思います。
(手番がみなさんにより多いので、手番順を取るアクションにパートナーを回せたのと、ラウンド終了直前に手番を取りに行けば次のラウンド開始時にまた1番手で始められたので)。
復興からの大恐慌を再現しているので、最終ラウンド付近では需要が枯れるのですが、Swiftはブタ会社中で手番がトップなのであまり影響なし。BBCはアピール値が低く、手番が遅かったので影響を受けましたが、株価が上がる程度には稼げたのでまあ、想定通りということで問題なし。
ありきりさんが3社経営したり、10%株を買いまくるなどゴールタイルのボーナスを意識したプレイングをされ、経営もうまくいっているように見えており、脅威でしたが、僕もアセット数やセールスマン数などでゴールタイルをいくつか取り、Swiftが1社目の中で株価トップ、BBCが2社目の中で株価トップを取れたのが大きく、勝つことができました。

(終了時)
【感想】
ベータ版で遊んだ時からかなり面白いと思っていましたが、製品版もやはり面白かったです!
以前、ベータ版の感想を書いた際には、ワーカープレイスメント用のワーカーが要は会社を成長させる資源なので、どう会社に使うかが面白いとか、書いたような覚えがあります。改めて製品版で遊んでみて、そこももちろん魅力的なんですが、そういうシステム的な話はさておいて、単純にこのゲーム、会社を成長させるのがめっちゃおもしれえ!と思いました。
会社の成長要素が多く、また、成長させる度合いも深いので、かなり力を入れて(ワーカーを注いで)成長させようとしてもなかなか『これで完成』という状態にまで達しません。その割に、ちょっと手をかけると確実に成長が実感できます(1アクションで収入が3割増し、5割増しとかになる)。
手をかけたら手をかけただけ強くなる!というのがまず楽しい。
んで、その運営がぬるいか?というと決してそうではありません。会社が商品を生産する際に必要な資源はランダムに提供される上に、大抵の会社で必要になる重要の高い資源、あまり使われない需要の低い資源が故意に作られているせいで、ナチュラルに下家を絞る/絞られる作りになっていて、どんなに会社を成長させても能力をフルに発揮できないリスクが常にあります。
なので、会社を成長させる方向性も商品の単価を高くしたり、生産数をあげたりする正統派もあれば、アクションフェイズ中に先に資源を確保しておく等のリスクヘッジをする防御的なものもありますし、はたまた、アピール値を上げて会社の手番を早くし、他プレイヤーに邪魔される前に手番を行う(あわよくば下家を絞る)という攻撃的なものもあります。
自分の好みや他人の動向を見つつ、こういった、様々な会社を成長させる方法の中から最適と思われるものを選ぶというのが、また楽しいです。
そして、(投資家としての本分かもしれませんが)株価を上昇させるために必要な収入額という具体的な目標もあるので、やり甲斐もあるんですよね。『現時点の株価以上の収入がないと株価は上がらない』、『収入が現時点の株価の2倍以上/3倍以上なら株価は2段階/3段階上がる』仕組みなので、必然的に毎ラウンド目標値は上がっていきますし。
これらの会社の成長、収入を上げようとする動きの元手になるお金がプレイヤーの金ではなく、会社の金というプレイヤーの勝ち負けに関係ない(厳密には関係ありますが少なくとも大抵の場合、表面的には関係ない)というのがまた良く、100金かけて儲けが40金上がるみたいなことは他のゲームならやりませんが、このゲームのような会社とプレイヤーのお金が別というシステムならどんどんやっちゃって構わないんですよね。
どんなにアホなプレイングでも許されます!
(すいません。言いすぎました。自分の金よりは自由が効きますが、前述の通り、資源が絞られる等して、生産できないリスクがあるので、生産に向けて若干お金に余裕は持たせておいた方が良いです)
ベースに会社運営の面白さがある上で、僕の好みにめっちゃあってるのが、プレイヤー間の強インタラクションです。
このゲーム、インタラクションとして3つの軸があります。
ワーカープレイスメントでのアクション選択、同業種の他社との需要の取り合い、他社との資源の絞り合いです。
アクションの一部にめっちゃ超強いやつせいともいえますが、アクション効果にメリハリが効いてるので手番順争い含め、ワカプレは普通に熱いです。ワーカー数が会社の成長に従って増えるシステムもあるので、どう増やすか?も頭を使えるところでなかなか面白いです。
需要の取り合いと資源の絞り合いは結局、会社の手番順(アピール値)に集約されはするのですが、会社の能力や需要量などによって、プレイヤー同士が争うように仕組まれてるのが超最高です。需要を先に取られれば売れなくなったり、販売額が半額になっちゃいますし、資源を絞られれば生産が減る、酷いときには生産できない状態にもなります。
まあ、この辺はシステムに仕込まれており、生産に必要な資源、ピンク(家畜)と青(鉄)を必要とする会社が圧倒的に多くなってます。そのため、市場にあるピンクや青は(会社の懐事情にもよりますが)ほぼ残りません。そして、下家にはピンクも青も枯れた、黒と茶色だけが残った市場が引き継がれるという辛さ。
一応、資源の2:1変換は自由にできますが、上家の鬼畜具合によって、3個しか市場にない状態を作られると、2:1変換しようにも変換元の資源がないということになります。酷いです。
しかも、複数社経営できるので、2社目の需要を確保するために2社目より先に行動する他社の生産量を絞ることを目的に1社目で資源の買い占めを行うみたなこともできます。
ここら辺の削り合い、絞り合いが嫌ならアピール値を上げて手番順を操作するか、資源を事前に確保できるアセットかアクションを事前に選んでおけという作り、僕は嫌いじゃないです(嫌いな人もいるかと思います。前述の通り、狙わなくても必要資源の色を偏らせる作りになってるので故意でなくても、絞るような形にはなりがちです)。
一応ですが、あまり他の会社で使われない資源を主に使う会社もいます。そういう会社は資源確保が気楽ではあります。
まあ、手番順が大事すぎるため、アピール値ゲームになってしまっているところは正直あります(しかも、アピール値を上げた時のボーナスもでかいので上げない理由がない)。会社の生産順と売却順はアピール値とは別要素で決まればよかったのかもしれませんが、煩雑さやプレイ時間などの関係で諦めたのかなとも思います。まあ、超重要事項がこれ!と決まってるのはシンプルではあります。
それでも、この厳しさ、辛さがあってこその会社経営の楽しさ、大金を稼いだ時の達成感!かと思います。
正直言ってめっちゃ粗いゲームです。ゲーム終了時に6000ドル前後稼ぐゲームですが、ある1アクションで300ドル以上稼ぐこともできますし、1アクションの効果が2倍くらい違うものが平気で出て来ますが、アクションスペースである建物は完全にランダムに配られるだけです(引き運のある人、ない人で建物の使用料が100ドル以上差がでることもよくあります)。そもそもこのルール意味ないだろというルールもあります。
さらに言えば、(初回プレイはともかく)勝ち負けを公平に争うのなら4人プレイ必須みたいなところもあります。
前述の通り、故意か偶然かはあれど、プレイヤーの起こした行動でガンガン下家が殴られるゲームでもあります。
何度か遊びましたが、会社の強さの差とその能力を見れば見るほど、強い会社を取ったプレイヤーを上家は業種被せて積極的に殴っていけっていう作りなんですよね。その辺の攻撃性の強さも気になる人はいるかと思います。
(もちろんアガペーに満ちたプレイングも可能ですし、それはそれで楽しいと思います)。
そういう人を選ぶ点、欠点はあっても、抜群に単純に会社運営が楽しい、他人との強インタラクションが楽しいゲームです。
複数会社を運営する際のワーカーの割り振り、どのアクションから先に実行していくか等、手をかける対象が複数になったワーカープレイスメントというあまり経験したことのないことをするのも楽しいですし、長時間ゲームに耐性があるメンツが集まるのであれば、おススメです。