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第40回偽エッセン会

この日は朝まで雪が振っており、予報だと夜も降るとか言っていたので、電車大丈夫か!?というか、夕方くらいは大丈夫でも会が終わった頃には電車とまってるとかだったら洒落にならんぞと思っていたのですが、昼くらいから予報も変わり、夜にはすっかり雪(雨)も落ち着いていたので、無事決行となりました。

トリカーリオン/Trickerion
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優秀な奇術師たちが街に繁栄をもたらせてきた偉大な大奇術師の後継者を争うというゲームです。

ゲームの基本的なシステムはワーカーコマをアクションマスにおいて対応するアクションを行うというものではあるんですが、2つ特徴があります。

1つ目はラウンド開始時に各ワーカーコマにこのラウンドどの場所に行かせてアクションするかプロットしておくこと、2つ目はワーカーコマ及びアクションマスにAPが設定されており、コマとマスの合計APを実際に行うアクションに割り振ってアクションを行うことです。
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(各自の個人ボード上におかれたワーカーコマの下にカードを置いて、このラウンドどこでアクションするかをプロットします)

要はプレイヤーがコマをおけるようになった段階で既に場所は決まっていて公開もされているので、あの人と行き場所が被っているワーカーコマから先にアクションしようとか、そういうことができます。

アクションを行う場所は(基本ゲームでは)4箇所で、新しい手品やワーカーを獲得できるダウンタウン、手品に使うコンポーネントが買えるマーケットロウ、舞台で演じられるよう手品の準備をするワークショップ、舞台に手品の用意をしたり実際に演じたりするシアターです。

基本的には新しい手品を手に入れて、必要なコンポーネントを買い、準備して演じるという流れになります。
カードのプロット、実際のアクションという流れを規定回数繰り返し、最も高い点数を稼いでいたプレイヤーが勝利します。

いつものぐんまさん、しのぽさん、たる田さん、僕の4人で。
最初から箱に入っている闇小路という拡張があるのですが、今回は基本ゲームだけで遊びました。

ゲーム開始時に、最初から持っている手品、コンポーネント、スペシャリストを選びます。
手品はエスケープやスピリチュアルといった4種の系統があり、各系統とも初級4種、中級4種の手品があります(上級手品ももちろん有りはしますが、基本ゲームでは中級までしか使えません)。つまり、基本ゲームに32種類の手品が登場します。

手品は持っていればシアターで演じられるかというとそうではなく、

1.手品カードを獲得する
2.手品カードに書かれたコンポーネント(ガラスや布、ハト、鏡など)を必要数揃える
3.1&2を行った上で、ワークショップで手品の準備をする

という3つの段階を踏んで初めてシアターで演じられるようになります。

ゲーム開始後は、手品カードの獲得はダウンタウンで、コンポーネントの購入はマーケットロウで行う必要があるのですが、開始時に、各プレイヤーは得意にする手品の系統があり、その系統の初級の手品カードを1枚と、合計2金までのコンポーネントをもらえます。

スペシャリストというのは、特殊能力のついたワーカーのことで、以下の3種がいます。
・弟子を雇うスロット+1&その弟子の給料をゼロにするアシスタント
・購入したコンポーネントを配置するスロットを増やし、かつ、その増やしたスロットに置かれたコンポーネント数を+1枚するマネージャー
・獲得した手品を配置するスロットを増やし、かつ、その増やした手品に配置した手品のマーカーを+1枚するエンジニア

同じ初級の手品でも必要なコンポーネント数は異なりますし、当然、シアターで演じた時にもらえる点数やお金も異なります。さらに一度手に入れたコンポーネントはなくなることはないので、今後、どういった手品を手に入れるか、コンポーネントの使い回しも考えつつ、初期の手品やコンポーネントを決めたくなります。

初期手品を、必要コンポーネントの少ない、容易に準備できるもの(ただし、点数は低い)にするか、それとも、必要コンポーネントが多くてちょっと準備にアクションが必要になるけど点数も高く、その後の中級手品にもつながるものにするかというのが結構悩ましいです。さらに初期のスペシャリストの選定も、この後のことを考えてアシスタントで手数を増やすか、それとも、目先の手品の準備をとっととするためにマネージャーにするかなどなど、色々と考えてしまいます。僕自身もそうなのですが偽エッセン会の面子は結構考えるみなさんなので、インスト終了から初期手品などを決めて1ラウンドを開始するまでそれなりの時間がかかりましたw。

僕は初期手品に必要コンポーネントは多いものの演じた際の点数がちょっと高めの手品を選択し、とっととそれを実行するためにスペシャリストはコンポーネントを増やすマネージャーを選択しました。

僕は最終的にやりたい手品もあったので、序盤はぼちぼち、色々準備ができてから点を稼いでいこうという方針で1ラウンド目はマーケットロウやダウンタウンにワーカーをさきました(たぶんこれは良くなくて、最初に強めの手品をわざわざ選んでいるんでとっととシアターにワーカーを配置してどんどん手品をしていくべきだった気がします)。

みなさんは点はとってなんぼじゃろーと、僕以外の3人は全力でシアターやワークショップにワーカーを配置していきなり3公演行われることに。3公演といっても基本的に点の低い手品だったり、手品マーカーもそう数をおけてなかったりでぐんまさん、たる田さんの得点はそう多くはなかったんですが、ここで一気に点を伸ばしたのがしのぽさん。
もともと2点と初期コンポーネントで準備可能な手品の中では点数が多めのものを選ばれていたというのもあるんですが、初期スペシャリストもアシスタントでシアターに配置することで加点ボーナスがあり、さらに公演時にに選んだ劇場のボーナスも点数だったということもあり、いきなり中級手品をリスク無しで獲得可能な16点に達されてました。
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(1ラウンド目からシアターは混雑してます)

(やればわかるんですが、最初の16点を超えるのは案外大変です。現にしのぽさん以外の僕ら3人は3ラウンド目を終えた辺りでようやく16点に達してます)

まあ、このゲーム、点数の低い側から手番順を決めるので、最終ラウンド手前までずーっと最後手番だったしのぽさんはかなりつらそうでしたが。

毎ラウンド給料を払う必要があるのですが、お金を手に入れる方法はダウンタウンにいってお金を獲得するアクションを行うか、お金がもらえる手品を演じるのか、シアターに配置する際に他手品とリンクさせてボーナスでお小遣いをもらうかの3つしか方法がない上に、ダウンタウンでお金をもらうのは、毎ラウンド使えるAPのうち1/3から1/2を費やすというかなり重いアクションなので実質的にシアターで手品を演じる(その際に運良くリンクボーナスが取れれば取っていく)というのが現実的です。

そんなわけで1ラウンド目にシアターに配置しなかった僕は2ラウンド目で早くも金欠になったので、慌てて手品の準備やシアターへのワーカー配置を行いましたが、逆にみなさんはシアターにはワーカーは割かずにダウンタウンなどの街に配置されてました。

手品を準備することで得られる手品マーカーは「同じマーカーを同じ劇場には配置できない」という制限があるため、ある程度複数の劇場にばらまく必要がありますが、

・みんなばらまくのでリンクボーナスが取りやすくなる
・公演は劇場単位で選択するので、ばらまくと自分が手品を置いた劇場を選択できなくなるが、手品からもらえる点数やお金などは他プレイヤーがその劇場を選択しようと手に入れられる

という理由であまり関係なかったり、逆にうまみになったりもします。ただし、あくまで複数プレイヤーがシアターにワーカーを置いていればという前提で、ひとりだけシアターに行ってしまうとリンクボーナスは取れないわ、ばらまいた手品が演じられなくて次ラウンドに持ち越しになるわで良いことはあまりありません。

そんなわけで、人とシアターに行くタイミングがずれるというのが地味に痛く、僕はこのラウンドでお金も点数も獲得はできたもののちょっと物足りない結果に。

そして、この後、行動は二極化して、僕としのぽさんは獲得できる点数の高い中級手品を最終的に獲得することを目的にダウンタウンやマーケットロウにワーカーを割き、ぐんまさん、たる田さんは3ラウンド目にもう1つ手品を手に入れた後は初期手品と合わせてその2つをひたすら回していく作戦。
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(4ラウンド目開始時点。黄色いしのぽさんがトップ。緑のぐんまさん、青のたる田さんが数点差で続き、赤の僕が少し遅れて最下位です)

結論からいうとたる田さん、ぐんまさんの取った作戦がえらく強かった!

僕はこのゲームを遊ぶのが2回目だったので、どんなに強い手品をとっても、取れるのが最終の5ラウンド目だったりで結局、その手品で得点できるのは1,2回というのはわかってましたし、その分のワーカーとAPを得点に回したほうがよいかもしれないというのも冷静に考えればそりゃそうだなんですが、すごい手品取りたかったんですし、そっちのが良いと思っちゃったんですよね…。

特にたる田さんは1つ1つの手品の点数はぐんまさんに負けていたものの、手品マーカーが足りなくなるほど、ワークショップとシアターに特化した戦術で手数勝負。ぐんまさんは最小限のワーカーで高得点の中級手品を獲得されてやや劣る手数を手品の優秀さでカバーという戦術で2点差でたる田さんをおさえて勝利されました!(途中、アシスタントを獲得された際に弟子も一緒に獲得されてたというルールミスがあったとのことなので、実際にはたる田さんが勝たれていたようです)。
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(最後の得点)

僕としのぽさんも最後に得られた手品で点数はそれなりに伸ばしたものの、おふたりの得点の伸びは全くかないませんでした。
前回のゲームからとか見れば僕もしのぽさんもそう悪い点ではなかったんですが。

【感想】

アクションプロット、ワーカープレイスメント、アクションポイントという既に使い古されたようなシステムを複合したゲームですが、その組み合わせ方がうまく驚くほど遊びやすく、かつ、面白いゲームになっています。

ゲームの主軸はワーカープレイスメントでアクションプロットとアクションポイントがスパイスという感じです。
具体的に書くと、ワーカープレイスメントは、「ワーカーを置かれたアクションはもう実行できない」ことによるどのアクションを優先するのが効率的かを、自分&他プレイヤーの状況から考えるということで、要は、「あー、こっちやりたいけど、そうしたらあの人にこっちやられちゃうんじゃない?じゃあ、こっちを先にやっとくべき?あー、どうすりゃあええんじゃああ」という悩ましさが素敵なシステムですが、実際には、あの人は別にそんなアクションに興味はなく、悩んだのが無駄というか、自分の中だけでうだうだ考えてるという状況が案外良く起こってたりします。

もちろん実際に人とやりたいことが被っていて、それを先に取り合うという熱い展開もよくあるのですが、そのせいで被ってない時の無駄な悩みを助長している感もあります。
それが、トリカーリオンでは、アクションプロットによって、誰がどこにワーカーを置こうとしているかは事前にわかります。なので、プロット開示後、ワーカーを配置する際には、「こっちのワーカーは誰とも被ってないので後回しでいいな。みんなと被ってるこっちのワーカーを先に動かそう」という思考になり、ワーカープレイスメントというシステムによって発生する悩ましさ、妙味を無駄なくきっちり味わうことができる仕組みになってます。
(誰とも被ってないのに、あーどうするどうするってやるのも嫌いじゃないですけどねw)

そうするとアクション公開後は淡々とした展開になるのかというと、ここで効いてくのがアクションポイント制。
ダウンタウンやマーケットロウでは先に置けばAPにボーナスがつき、シアターではAPボーナスか公演時のボーナスかの選択ができます。ダウンタウンやシアターではAPには基本的に余裕がないので先に置くのは重要ですし、マーケットロウではAPは余りがちではありますが、余ったAPはディスカウントに使え、お金もカツカツなことが多いのでやはり先置き重要です。
若干でもAPに余裕があればそこにワーカーを置くのを後回しにすれば良いだけですし。

ワーカープレイスメントによって起こる悩ましさをアクションプロット制でわかりやすくし、更にアクションポイント制で各アクションに対する重み付け、優先度をプレイヤーごとに異ならせることで単純さがなくなるようにして、ワーカープレイスメントの妙味を残している

という仕組みになってます。

僕は最近(というかアグリコラとか以降なので数年前から)の重ゲーの流行は、「ソロゲーでの悩ましさ、楽しさ」+「プレイヤーインタラクション」で、それぞれの複雑さでプレイ時間や対象プレイヤーをわけているのだと勝手に思ってます。違うのももちろんありますが、ソロゲーの気持ちよさとゲームに複雑さを加えるインタラクションの両立は最近のウケる重ゲーにはほぼ不可欠なんじゃないかと。

トリカーリオンでも、事前に手に入れたコンポーネントを活かしつつどう高得点の手品を手に入れていくのが効率的なのかというはっきりしたソロゲー部分と、ワーカープレイスメントというインタラクションがあります。ワーカープレイスメントを単純なものでなく、プロットやアクションポイントと組み合わせたことによる遊びやすさ=計画破綻のリスク軽減=ソロゲー部分の気持ちよさの向上ってのは、すごく今風のゲームだと思います。
まんまと面白え面白えと僕も言っちゃってますし、ゲームに負けてもある程度望み通りに上の手品を獲得できれば満足とかも言っちゃってるあたり、まんまとしてやられてるわけなんですが。

でも、今回のプレイでちょっと欠点かな?と思ったところもあります。ある手品を効率よく手に入れるソロゲーの達成という目隠しはあるものの、それに目を隠されずに淡々とゲームに勝つための効率をちゃんと求めると、手品獲得というソロゲーの達成目標はほどほどにしてひたすら公演回すというプレイが強い(かもしれない)というのは、手品というテーマに浮かれされた夢から覚めるには十分すぎました(ツイッターとか見ていても60点いったらすげえ!みたいなプレイをしてたところに80点をさくっと取られるという辛い事実)。

が、しかし!しかし! 記事の頭の方に書いたとおり、トリカーリオンには闇小路という拡張が最初から入っており、これを入れることでフルゲームになり、更にこのフルゲームだと獲得可能になる上級手品には、ゲーム終了時のボーナス点が結構大きめに設定されています。既に何回かフルゲームを遊んだ感じだと、今回のたる田さんたちのように手品を細かく回す戦術に上級手品を獲得する手は得点効率的に負けてないように思えました(というか、上級手品は象を消すなど、ロマン溢れる感じで得点なんてどうでもいいから俺は上級手品を獲得して公演するんじゃああという思いが復活しましたw)。
そんなわけで、トリカーリオンに興味を持たれた方は是非、フルゲームでもあ遊んでみていただければと思います(プレイ時間が4,5時間かかりますが…)。

また、今回の記事では4人プレイでおふたりが積極的に公演を行っていく展開でしたが、何回か遊んだ感じだと、4人プレイでも公演がおさえられる展開になれば1回あたりの点数が高い手品を取るのは悪い手ではなくなりますし、3人プレイだとアクションスペースに余裕が出来て4人プレイ以上にやりたいことができやすく、気持ち良いプレイができます。
ソロゲー部分の比重もそれなりにあるゲームですが、他プレイヤーで展開はきちんと変わりますのでちゃんと他プレイヤーを意識して遊ぶのが良いかと思います。

クリスマスの12日/12 days of Christmas

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(3人でインスト込み30分ほど)

【概要&ルール】

手札を一番最初になくした人が勝利という大富豪系のカードゲーム。
チーパスにもほぼ同じタイトルのカードゲームがありますが、こちらはイーグルグリフォンやホビーワールドのです。

カードは1~12がそれぞれ数字と同じ枚数分あり、ラウンドごとにプレイヤーに規定枚数配ります。

リードプレイヤーが出したのと同じ出し方でかつ強くなるようカードを出すかパスするかの2択で全員がカードを出すかパスするかしたら一番強かった人が次のリードプレイヤーになります。
カードの出し方は、1枚だけか2枚以上で連番か、同じ数かの3通りで、カードの強さは数字の小さいほうが強く、枚数は関係ありません(例えば連番だと6,7,8,9,10,11,12の7枚出しよりも5,6の2枚出しの方が強いですし、同じ数なら12を5枚よりも10を2枚とかのほうが強いです)。

通常はリードプレイヤーよりも強ければカードを出せますが、プレイして手札がすべてなくなる時だけはその場で最も強くなければなりません。より強いカードがだされると手札に戻します。

最も早く手札をなくすとプレゼントがもらえ、規定ラウンドプレイして最もプレゼントを集めたプレイヤーが勝利します。

【プレイ内容&感想】

タロ吉さん、一味さん、僕の3人で。

序盤の3,4ラウンドくらいは手札が悪かったり勘所がつかめてなくて全く勝てなかったのですが、徐々にカード運も回復してきましたし、ポイントみたいなものもわかってきました。

ルール繰り替えてるだけっちゃだけなんですが、「あがる時も勝たなければならない」ことと「強さに枚数は関係ない」というのがポイントで、結局最後に、1枚か、連番か、同じ数か、どれを残すかの3択をやる羽目になるのは初期手札がどんなに強かろうと変わりません。
他の大富豪系のゲームよりもプレイできるカードの縛りがゆるい代わりに、最後に弱いカードを捨ててあがるというのができないという縛りがあるわけで、最後に勝つために残すカードを上記3択のうちどれにするかで博打を打つ必要があります。

他の大富豪系のゲームがあがる直前のトリックで勝つためにどうプレイすればいいかやリードによる縛りがきつめなのでそれを回避するために自分がリードプレイヤーを続けることが大事なのに対して、このゲームは最後の1トリックをどうすれば勝てるか?が重要で、そこに向かってどう手札を減らしていくかというゲームなんじゃないかと。

最後の3択博打もどうすれば勝ちやすいかが展開によって変わるのも面白く、当たり前ではあるんですが、自分が他プレイヤーよりも早くにあがり直前までいったなら他プレイヤーがリードしてくれやすそうな残し方をした方がプレイする機会があるので勝ちやすく、逆に他プレイヤーがあがり直前までいったいた状態で自分も上がり直前になったなら他プレイヤーにプレイされないようなカードが残せた方が勝ちやすいです(たぶん)。

そううまく残すカードや出すカードをコントロールできるかはともかく、僕はどの形でカードを残すのがあがりやすいか&とにかく先行で手札をできるだけ減らして、他プレイヤーが手札を減らそうとしてプレイしたカードに勝つというのを意識して、中盤以降プレイしたところ、カード運がえらい悪かった1,2回を除き勝つことができ、トータルでも勝利できました。

最後の3択ギャンブルと、どの程度の強さのカードの残すか、どうやってカードを出していくのが早く手札を減らせるのかを考えるところとで、適度な悩ましさとパーティーゲームの楽しさを味わえ良いゲームだと思います。
ひとりがあがった際に一番手札を残していたプレイヤーは得点カードを勝者にとられるので、勝ち目がないと思ったらあがるのを諦めてとにかくカードを減らしてもいいですし、「最後の1トリックは勝たないとあがれない」というたった1つのルールがあるおかげで、ギャンブル性やゲームの展開に幅ができているというのが興味深くもあり、また、楽しくなっているのに感心します。うまいこと作るもんです。

そして誰もいなくなった/10 Negritos (And Then There Were None)

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(インスト込み1時間半ほど)

【概要】

アガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』が舞台の協力ゲームです。

小説は、黒人島(※)に招かねれた10人の男女が、童謡「10人の黒人」の歌詞に則ってひとり、またひとりと殺されていくという物語なのですが、ゲームでは小説と同じ10人とともにプレイヤーキャラクターたちも同様に島を訪れており、小説の登場人物たちとともに真犯人を探すというゲームになっています。
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(箱絵は黒人島、ボード裏は黒人人形です)

【タイトルに関する余談】

※イギリスで出版された当初のタイトルは『Ten Little Niggers(10人の黒人)』なのですが、アメリカではNiggerが差別的に使われている単語であるということから、『And Then There Were None』に改題され、童謡もTen Little Indiansに、島名もインディアン島に変更されています(10人の黒人も10人のインディアンも実在する童謡)。
イギリス版も後に『And Then There Were None』に改題され、日本でも『そして誰もいなくなった』のタイトルで出版されています。
なのですが、このゲームはスペインの出版社によるものだからか、デザイナーが推理小説マニアなのかはわかりませんが、『10 Negritos (10人の黒人)』というタイトルになっています。

余談の余談ですが、インディアンも差別用語じゃね?という至極当然の話から、最近の版では英米日ともインディアンも使わずにソルジャー(兵隊)に変更されているようです。

【ルール】

ゲームは10ラウンド(10日間)の間に、証拠トークンを9つ集め、かつ、共犯者がいるなら共犯者を当てることが目的です。

1ラウンドは3つのフェイズで構成されており、目的を満たすか10ラウンド経過するまで繰り返します。

1.移動フェイズ

島に招待されている10人の男女の生き残りを1人以上、3人以下に分け、そこに1人以上のプレイヤーキャラを追加したグループを作ります。
そのグループをボード上の探索したい場所に移動させます。
ただし、各場所には移動するために必要なアイテム(鍵だったり、ランタンだったり)が決められており、プレイヤーの手札か、または、グループ内の人物の所持カードからそれらのカードを捨てる必要があります。
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(各場所には捨てなければならないアイテムが書かれています。?は任意のアイテム、人のマークは人数分という意味です)

2.調査フェイズ

各グループで移動した場所にある調査トークンを1つずつ裏返すことができます(裏返さなくても良い)。
トークンは、カード補充などのプラス効果や次ラウンド以降の移動制限がつくなどのマイナス効果つきのものなどがありますが、なかには集めることがゲームのクリア目的になっている数字の書かれた証拠トークンと人影が書いてある共犯者トークンが有ります。
証拠トークンはめくるだけでは手に入らず、書かれた数字と丁度になるように手札に書かれた数字を調整して捨てる必要があります。
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(こんな感じです)

共犯者トークンは規定数手に入れることで共犯者を指摘できるようになります。

3.イベントフェイズ

グループ内でカードを分配したあと、山札から補充する。
10人の男女のうち誰かひとりが死に、ボード上に新たな調査トークンが置かれます。

※共犯者をゲームに入れると、プレイヤーたちを不利にするカードが登場したり、共犯者がプレイヤーたちを妨害するためにレジスタンス的なこと(選ばれたメンバー全員が肯定カードを選べば成功、ひとりでも(要は共犯者が)反対カードを出していると失敗)をする要素も入ります。

【プレイ内容】

タロ吉さん、一味さん、キノさん、僕の4人で。
共犯者のとこのルールや使うカードを訳し終えてなかった(というかベースゲームも怪しかった)ので共犯者はなし、難易度も前回イージーでやったらえらく簡単だった(そして誰もいなくならなかった)のでハードでスタートしました。
(難易度によって死人の出る早さや証拠トークンの補充スピードが変わります)

調査トークンの置かれた各場所のうち、館内の場所はいずれも鍵がひとつ+移動した人数分の任意のアイテム(アイテム=カードです)+その部屋に関連するアイテム(遊戯室ならビリヤードの玉など)が、館外ならランタンひとつ+人数分の雨合羽と長靴+αが必要です。
同種の絵柄のカード2枚で任意のアイテムとして使用できますが、鍵だけはこの変換で作ることができません。

そんなわけで鍵が重要なのですが人物たちが持っているカードでは鍵は1枚しかありません。ただ、人物たちが所持していて何度でも使えるアイテムにも鍵を持っている人物がいたので、これで2つ。
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(毎ラウンド大活躍する無限鍵マン(左の人です))

僕は手札に鍵があったので、それも含めて僕、キノさん、一味さんの3人が鍵を持つ人物+数人を連れて館内の探索を行い、鍵を持っていると手札を捨てなければならない制限のあるタロ吉さんは館外にいくことにしました(プレイヤーキャラクターにはゲームを有利に進める能力と不利になる制限が1つずつ設定されています)。
こうして、館内、館外の探索を行ったのですが、今回のプレイでは鍵のカードがなかなか出てこず苦労しました。

鍵が出ないと館内の探索はできませんが、かといって館外にいくのも雨合羽と長靴が移動した人数分捨てられるので、鍵がでて欲しいんですが…。
鍵を持っていた人物が初日から殺されたりでなかなかうまくいきません。
(人物が殺された場合、自室に遺体を安置しているという設定になり、生きている間に持っていたカードは鍵を使って取りにいかないとその後のゲームでは使うことが出来ません)

まあ、僕の手札には何故か補充の度に鍵が入り、僕ひとりだけ見れば鍵に困ってはいなかったんですが。
前回のゲームから続けて使っている緑の帽子を被ったおじいちゃんのキャラクターと、これまた前回のプレイからよく行動を共にしているウォーグレイブという人物と一緒に館内の部屋を探索しまくります。
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(向かって一番右が僕のキャラで、真ん中が仲良しのウォーグレイブさん)

全部で9つ集めればゲームクリアとなる証拠トークンも徐々に見つかり、4日目が終わった時点で見つけなければならない証拠トークンは残り4つ。
しかし、人物たちの人数はスタート時の半分になり次第に使えるカードが減ってきます。調査トークンの中にはカード補充できるものもあり、前回はそれが序盤にたくさんでてかなり楽になったのですが、今回はここまでまったく出ていません。

そんな6日目は鍵を持っているのが無限鍵マンしかおらず、雨合羽&長靴もひと組しか用意できそうになかったので、大半の人物たちには休んでいてもらい、少人数で探索へ。結果、証拠トークンを1つずつ見つけられたのですが、連れて行く人数をけちったせいで手持ちのカードでは獲得に必要な数字を作ることができず、獲得失敗。
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(15と6が作れなかったチームへっぽこ)

これで5日間が経過し、ゲームオーバーとなる10日目まで折り返しです。

人物達も当然残りは半分の5人。人物たちが減れば減るほどどんどん苦しくなるのは目に見えていたのでちょっと焦りがでてきました。その日に誰が殺されるかはランダムなので無限鍵マンが死ぬとこのカード状況から考えるに超ピンチです。

このラウンドはさっき獲得に失敗した証拠トークンを取りにいくこと。さっき失敗したぼんくらふたりは別の場所を調べに行き、キノさん、一味さんが代わりに証拠を無事獲得してくださいます。
これで必要な証拠トークンは残りは2つ。

しかも、このラウンドに調べた調査トークンは手札補充のものばかりで一気に全員の手札が裕福に。

この日も無限鍵マンは生き残り、お、これならいけるかも?と思ってたら、あっさり残り2つの証拠トークンも発見&獲得成功で7日目でクリアすることが出来ました。
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(上に並んだ人たちは殺された方々です)

【感想】

テーマや設定から推理要素があるゲームだと思われるでしょうが(そして、僕も推理要素があると思っていましたが)、共犯者がプレイヤーの誰かを推理する以外は、まったく推理要素はありません。移動にも証拠トークン獲得にも使用するカードのマネジメントをどう行っていくか、いま見えているカードをどう使って館内、館外を調査するのが効率的かを考えるゲームです。
BGGに「推理ゲームじゃなくてパズル」というような感想がありましたが、その通りだと思います。
パズルやるのも楽しいんですが、このテーマだともったいないなあという気持ちのが大きいです。

協力ゲームとしてみた場合、かなり運の要素が大きく、無限鍵マンがいつ死ぬかだったり、補充されるカードや調査トークンの内容次第であっさりクリアできてしまったり、クリアは出来てもぎりぎりの日程になったりとかなり左右されそうです。
それでも、共犯者なしで遊ぶ分にはかなりぬるめの調整がされており、たぶん共犯者をいれないとほぼ確実にクリアできるのではないかと思われます(細かくルール間違えてるだけかもしれませんが)。

おそらく共犯者を入れることが前提の難易度設定になっている気がします。そんなわけでとっとと共犯者を入れられるようカードの訳を進めようかなと思います。

記事にしたプレイの前にイージーのセットアップで遊んでいるのですが、その時は、3人しか殺されていないのにクリアしてしまいましたし、カード運もよくて困ることもなかったので、ゲーム中は結構退屈でした。正直、あまり面白くなかったです。
協力ゲームはある程度以上の難易度があって、苦しさがないと面白さがでてこないんだなと今更ですが思い至りました。クリアできないだろうという難易度の協力ゲームってかなり多いように思うのですが、「クリアできない。面白くない」という感想ってほとんど見かけないんですよね。確かに。

そう考えるとそして誰もいなくなったを推理要素無しの協力ゲームにしたのはちょっと失敗だったのではないかという気もします。徐々に仲間が死んでいくという状況自体は面白いのですが、終盤、人がある程度死んでいてもなんとかなるようにすると逆に人がたくさんいる序盤はくそぬるくなってることになります。このゲーム、実際、序盤は楽ですし。

誰が死ぬかによって出てくる証拠トークンが変わったり、もちっとテーマに即したプレイヤーを楽しませる仕組みがあればよかったのですが、単にラウンド経過しないと調査トークンが補充されないというシステム上の理由でだらだらと時間を過ごさないとならないというのが結構つらったです。

ここらの不満点もひっくるめて共犯者をいれると払拭できるとよいのですが。

最後に、このゲーム、英語版が出版されるという話が去年くらいからあるので、たぶん近いうちに英語版がでるのではないでしょうか。じゃあ、何故お前は待たずにわざわざスペイン語版を買ったのかというと、英語版はタイトルが『And Then There Were None』になるようなので、こっちのタイトルの方がよかったというアホな理由なんですけど。
プロフィール

ひだり

Author:ひだり
川崎市で相方や友人たちとボドゲやってます。

オールタイムベストは、
・グローリー・トゥ・ローマ
・バサリ
・インペリアル
・アフター・ザ・フラッド
・ゴッズプレイグラウンド
・HABA社製品 全般

推理ゲーム好きだけど↑には入ってないという
-------------------------
連絡先:hidarigray@gmail.com
※当blogはリンクフリーです

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