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大鎌戦役/Scythe

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(インスト込みで5人で2時間半ほど)

【概要&ルール】

メック(ロボ)と農民が共存するマルチゲーム。でっかい動物とおっさんもいるぞ。

プレイヤーはある一国を担当し、最も国を盛り上げることを目指します。

終了条件を満たすまで時計回りに手番を行います。手番にはプレイヤーは個人ボード上のアクションスペースひとつにワーカーを置き、そこに書かれたアクションを実行します。

各アクションスペースにはふたつずつアクションが書かれており、アクションスペースの上側に書かれたもの、下側に書かれたものの順に実行します(順番は固定ですが実行しなくても構いません)。
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(こんな感じになってます。このアクションスペースは上側が『生産』、下側が『改善』で、赤アイコンがアクション時に支払うコスト、緑アイコンがもらえるものです)

上側のアクションは、自コマを1マス動かす『移動』、3種類の自コマ(ワーカー、メック、キャラクター)のうちワーカーのいるマスを指定して資源を得る『生産』、規定数の資源を買う『交易』、戦力を増やす『軍備』の4種類、下段のアクションは、上段アクションでもらえるものを増やして、同時に下段アクションのコストをさげる『改善』、建物を建てる『建築』、メックを作る『配備』、自分&隣接プレイヤーが該当アクションを行った際に金などがもらえるようになる『徴兵』の4種類です。

どの上段アクションとどの下段アクションが同じアクションスペースにあるかはプレイヤーごとに異なります。

また、『移動』で他プレイヤーのコマがいるマスにも、メックまたはキャラクターなら進めることができます。この際、他プレイヤーのコマもメックかキャラクターの場合、戦闘が発生します。戦闘は戦力と戦闘カードをいくつ使うかを秘密裏に決めて、一斉公開して勝者を決めます。
勝った側は相手側のコマにワーカーが含まれていれば、その数だけ民心を下げ、負けた側は本拠地までコマを戻さなければなりません。

民心はゲーム終了時の得点計算における倍率に影響します。

ゲームには星トークンを配置する条件(改善を6回行うや、戦闘に勝利するなど)が10個設定されており、ひとりのプレイヤーが6個達成(星トークンを配置)したらゲーム終了で、配置済みの星トークン数、自コマが置かれているエリア数、持っている資源数に民心に応じた倍率をかけて点数計算し、最も点数の高いプレイヤーが勝利します。

【プレイ内容】

一味さん、如月さん、ノンさん、ひげさん、僕の5人で。

ゲーム開始時に国と個人ボードがランダムで決められ、僕は黒国を担当することになりました。

国の本拠地は決まっており、僕の黒国から時計回りに、白国(ひげさん)、青国(如月さん)、赤国(ノンさん)、黄色国(一味さん)という並びです。

国には特殊能力があり、僕の黒国は、星トークン配置条件である、「目的カードを達成する」と「戦闘に勝利する」の配置上限がとっぱわれます(他の国は目的カードは1回のみ、戦闘は2回のみ達成可能(星トークン配置可能)です)。
他には赤国は続けて同じアクションスペースを選べるとか、青国はワーカーが川を渡れるとかなどなどです。

各国共に本拠地とそこに隣接する2エリアにコマがある状態からスタートするのですが、その2エリアに隣接する1エリアを加えた3エリアはどの国も川に囲まれています。川は通常はどのコマも渡ることができないため、メックを配備して渡河能力を開放するか、建設で鉱山を建てて川を越えた先のトンネルにつなげるしかありません。

そんなわけでまずは自分の本拠地周りの3エリアでちょこちょこと資源集めて、ある程度国が発展してから中央へ進んでいくという流れに自然となります。
このゲームの『生産』アクションで手に入るものは、金属、食料、原油、木材、ワーカーの5種類です(ワーカーも資源と同じ『生産』アクションで増えます)。何が『生産』できるかはエリアの地形に依存している(山で金属、畑で食料とか)ので、最初の3エリアによって各国で『生産』できるものが異なります。

僕の国の最初の3エリアで取れるのは、金属、原油、ワーカー。そして、僕の個人ボードの上段、下段のアクションの組み合わせでは『生産』アクションの下に、原油を消費する『改善』アクションがあります。
(ワーカーを除く4種の資源は4種の下段アクションに対応しており、下段アクション実施に対応する資源を支払う必要があります。『建築』なら木材、『配備』なら金属とかです)

これは、生産してその資源をすぐに下段アクションで使えるって国の立地と個人ボードがかみ合ってていい感じなんじゃない?
と心の中でにやにやします。
最初は村にワーカーを集中させてワーカーを増やし、それを山地やツンドラに送り込んで原油と金属を生産しまくります。
アクションスペースでいうと、『生産』と『移動』を交互にやる感じです。

ワーカーを増やすと『生産』に必要なコストが増えて、戦力や民心を消費するようになるので『軍備』なども挟みながら。
キャラクターを遭遇トークンのあるエリアに移動させると、ちょっとしたものもらう、コスト払っていいものもらう、民心を減らしていいものをもらうという3択から1つを選択するイベントが発生するのですが、今回はこのイベントで民心がらもらえたため、『生産』で民心が不足することがなかったのが大きかったです。
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(イベントはこんな感じで、民と交流する、酒を渡して宴会を行う、民が飼っている動物を殺して食料にするみたいな感じでちょっとしたテキストがついてます)

僕は自分の国のとこに引きこもって淡々と『生産』していましたが、青国の如月さんはワーカーが川をこえられる特徴を活かして最初の3エリアの資源にこだわることなく、やりたいことをどんどんやっている感じで、最初にメックを開発して渡河能力を獲得、キャラクターを中央のファクトリーに送り込んでアクションスペースが1つ増えるファクトリーカードを獲得されてました。
ひげさんも白国の能力である遭遇時に3つから2つを選ぶことができるを最大限活かすべく、さくっと鉱山を作ってトンネルとつなげてからは、どんどん移動して遭遇を繰り返し、イベントの恩恵で国力を上げられていました。
ノンさんも僕と同じく最初の3エリアの資源で国を成長させて徐々に中央に向けて進出という思惑だったようですが、どうも進みたいエリアに如月さんがことごとくいるらしくちょっとどけてくれませんかとよく言われてましたw。
一味さんは隣の僕が戦闘で勝利する度に何個でも星トークンが置ける(通常は2個まで)とい特徴を持っていたせいか、戦力を優先して上げられてるように見えました。

当の僕は戦力消費して生産しまくってたので戦闘仕掛ける気はまったくありませんでしたが(その分他人に攻められると大変まずかったですが)。

本拠地周辺の3エリアで手に入らない資源を求めて中央に出て行ってからはいつ攻め込まれるか冷や冷やしてました。『生産』のためにワーカーを大量に連れて行ってたので、民心を3,4段階も落とすのは痛いということで他国からすれば攻め込むという選択肢はなかったようですが。

戦力捨てて『生産』中心にアクションをまわしてたおかげで、資源を消費して行うアクションに関する星トークンも順調におけていきました。最後の得点計算の倍率のために民心をもうちょっとあげたいなー。そうすると、まずここのアクションやって、こっちやって…、民心の倍率がもう1段階上にあがるのは3,4ラウンド後になるかと思いながらよくよく個人ボードを見ると、この手番で6個の目の星トークンを置いてゲームを終わらせられます。
倍率上げて磐石にしたい気持ちもありましたが、他プレイヤーはまだ2,3個しか星トークンを置いてないので星トークン以外の土地や資源、あと今の手持ちのお金(勝利点)が同じくらいなら倍率上げなくても勝てます。
星トークンはやろうと思えば1手番に3つ置けるので一気にまくられる可能性もあり、終わらせるのが得策だろうな…と終了トリガーをきろうとしたら、各国から一斉にブーイングがw。

これやって、ここで作ったこれを使ってあれやって、今度はそれができるようになるから…と計画が描き易く、計画通りに進めて国が充実してくるのが楽しいゲームなので、それを途中でぶちきられるのは嫌なのはよくわかるし、僕も点数伸ばせるしいいかということで終了トリガーきらずに1ラウンドだけ続行。
次手番でまたブーイングされましたが、もういいでしょ!?ということで終了トリガーをきって終了。事前の思惑通り、星の数の差で勝つことができました。

【感想】

戦闘要素ありますし、戦闘で勝てば色々メリットもあるしで、一見地政学マルチゲーム的なんですが、内政中心に自分の国を成長させていくのが楽しい、その成長をどうすれば効率的にまわせるのかを計画するのが楽しい類のゲームです。

下段アクションの『改善』『建築』『配備』『徴兵』はいずれもそれなりに効果が大きく、成長した!とアクションの効果を毎回毎回実感できるため内政が楽しいです。
移動の制限がちょっと厳しめだったり、4人以上で遊ぶと案外マップが狭く、欲しい資源が他国と競合すると思うように取れなかったり(もうその資源がいらなくても移動の手がまわらなくてほったらかしにされてたりするのが非常に邪魔です)と、若干の難しさをこえて計画し、ちょっとした他プレイヤーの手で計画修正を余儀なくされて、それでもえいやっと計画をまわしていく。そんなとこが楽しいんだと思います。

前述のとおり、戦闘要素はあるんですが他のマルチゲームのように殴り合いが頻発したり、エリアに関して他国と協定を結んだりというようなことはあまりありません。
それは、最後の得点計算で民心高いほうが得点高くなる(民心最高と最低ではエリア点は倍、資源点は3倍も違う)ので、民心は高くしておきたいのに対して、戦闘でワーカーを巻き込むと民心が下がるというのが効いていて戦闘が起こりにくい…というようなことがルールブックに書いてあり、そのほかにも、戦力を戦闘で消費せずに最大まで貯めれば星トークンがおける、戦闘に3回以上勝っても直接得点にならない等など、戦闘が起こりにくい要素がいくつかあるから…と思ってたんですが、実際のところ、戦闘が起こらないのは、戦闘しなくても勝てるからですね。

地政学マルチで戦闘が中心になるのは、勝利条件や得点方法がある土地をおさえることだったり、空きエリアがなかったりと戦闘しないと始まらない作りになってるからで、大鎌戦役がゆるいマルチゲームになってるのは、戦闘が起こりにくい要素があるからよりも、勝利条件/得点方法の大半が戦闘を行わなくても達成可能なものだからだなと。

しかし、そうなると単に効率よく内政アクションを回したプレイヤーが勝つゲームになってしまいます。
個人ボードは全員異なるとはいえ、基本的な作りは同じですし内政だけの場合、他プレイヤーとのインタラクションが「行きたいエリアに誰かいる」のと「遭遇トークンを先にとる」くらいしかないんで、トップが何かしら失敗しない限り逆転できません。
前述のとおり、内政中心に計画をちゃんとまわすのも面白いんですが、それでいいんかいという思いになります。

じゃあ、どないすればいいんじゃいというと、やっぱ戦闘するしかないんですよね。
前述のとおり戦闘しにくい要素だらけのゲームではありますが、トップを止められる手段が戦闘しかないんで、他プレイヤーの状況を見て、内政の進み具合で負けてるプレイヤーは、淡々と内政を計画通りにまわすというそれなりに楽しい作業から抜けてトップ(に見えてる)プレイヤーを殴るというマルチゲームらしいことを始めないと勝てません。

(何度も書いてますが、内政まわすだけで楽しいんで、ずーっとみんなで内政やって、あー勝ち/負けましたねーでもいいんですけどね)

本拠地周辺の3エリアだけでは資源が不足するというのも前線にでてくるようシステムに強いられてますし、移動が結構大変なゲームでもあるので前線にいるトップを殴ればそれなりに手を遅らせられます。資源奪えるので『生産』の代わりに戦闘という考え方もできますし(民心のマイナスが勝利時に獲得できるものでまかなえるのかは難しいところですが)。

まあ、殴り合いを始めちゃうとゲームが長引きますし、平和なゲームの方が明らかに万人向きなのでトップをとめるために戦闘を吹っかけるとかは擦れたゲーマーで遊ぶ時だけでいいかもしれません。

箱絵にもメックとかいて、いかにも戦闘起こりそうな雰囲気のゲームではあるんですが、基本的には内政をどう計画してどう効率的にまわすかというゲームで、それだけで面白いので、「戦闘があるから(マルチだから)」と敬遠されるのはもったいないよく出来たゲームだと思います。

ポンジ・スキーム/Ponzi Scheme

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(5人でインスト込み2時間ほど)

【概要&ルール】

ポンジ・スキームとは、詐欺師チャールズ・ポンジが行った、高配当を売りに出資を募るものの実際には運用はせず、別口で募った出資を配当に当てるのを繰り返すという行為のことで、詐欺の一種とされるが、自転車操業でやりくりしてるだけといえなくもないもの。
運用をしていないので出資金以外に収益がなく、配当は出資金以上の額を支払うので出資を募りまくっても必ず支払えなくなる時がくる。

ゲームではプレイヤーは詐欺師になって、得たお金を元に品物のやり取りをします。そして、ひとりのプレイヤーが破産した時に最も価値のある品物を持っていたプレイヤーが勝利します。

ラウンドは以下の流れで行います。

1.ファンドカードを獲得し、書かれている額面のお金と、産業タイルを得る。ファンドカードには獲得できる金額の他に、何ラウンド後に何金支払わなければならないかも書かれている。

2.全員が1を行った後、手番プレイヤーが任意のプレイヤーに産業タイル1枚と任意の金額を提示する(タイルは全プレイヤーに公開、金額は提示するプレイヤーにのみ公開します)。具体的には財布のようなものに、提示する金額分のお金を入れて交渉したいプレイヤーに渡します。渡されたプレイヤーは、お金を受け取りその代わり産業タイルを渡すか、提示された金額と同額を財布に入れて手番プレイヤーに財布を返し、産業タイルを受け取るかの選択します。

3.全プレイヤーが2を行ったらラウンド終了し、支払わなければならないファンドカードがないか確認。あれば書かれた額を支払う。この時、支払えず破産するプレイヤーがひとりでもいたらゲーム終了し、産業タイルから勝利点を得て、最も高いプレイヤーが勝利する。破産したプレイヤーはその時点でゲームから脱落する。

【プレイ内容】

一味さん、キノさん、ひげさん、タロ吉さん、僕の5人で。

ファンドカードに書かれた額はかなり幅があって、10金程度しかもらえないものもあれば、80金もらえるものもあります。ただ、もらえる金額が大きいカードは支払う金額も多く、例えば17金もらえるものは3ラウンド後に11金支払えばいいのに対し、78金もらえるものは3ラウンド後に140金支払う必要があります。

さらにいえば、このゲーム、一旦獲得したファンドカードは1度書かれた金額を支払っても、再度書かれたラウンド後には同額を支払わなければならないのです。先ほどの78金もらえるカードで言えば、3ラウンド後に140金、さらに3ラウンド後に140金…と、例えば獲得後12ラウンド経ったらトータル560金も支払うことになります。

うーん、支払いきつそうだし貰える額が少なくても支払い少ないカード優先でいこうとスタート。最初はみなさん出来る限り支払いが先のラウンドで、額も少ないファンドカードを取られていました。

本当に一部のカードを除いて1回めの支払いでさえマイナスになるものがほとんどですし、ゲームの勝ち負けを決めるのは産業タイルからの点数。ということで、値段指定のブラインドオークションとでもいうようなこのゲーム独特のやり取りがゲームの本番、本質です。

このお金のやり取りがコソコソしていて、自分が絡んでいてもいなくてもめっちゃドキドキします。1ラウンド目はタロ吉さんに10金ほどを提示したところ、どうも安かったようでその金額で産業タイルをご購入。ならばとちょっと上げた金額を今度は一味さんに提示。
これまたスルッと一味さんは産業タイルを購入。んー、まだ安い?

当たり前なんですが、他人がどの程度の金額でやり取りしているか全くわからないので自分のつけた値段が高いのか安いのかさっぱりわかりません。それでも、産業タイルを買われているのだからやはり安すぎるのでしょう。誰か僕に取引を持ちかけてくれれば自分の提示額と比べられるのにと思うのですが、3ラウンド経過しても誰も僕に取引を持ちかけてくれませんw。まあ、毎度毎度産業タイルが買われているので手元にタイルがないプレイヤーと取引もクソもないのは確かなんですが…。それでも初期に配られるものもあるので手元のタイルはゼロではないので。

僕:「誰か取引してくださーい。相場がわからなくて不安なので頼みます!」

と泣き言をいったところ、

一味さん:「仕方ないな!」

と一味さんから取引相手に選んでもらえ、財布が渡されました。
そこに入っていた金額は、先ほど一味さんに僕から提示した金額とほぼ同じ額。

えええええ!? これは、素直に自分の相場観はあっていたと安心すべきなのか、それとも、一味さんが仕掛けた巧妙な罠なのか…。下手に不安になりすぎていたので、ダメな方向に疑心暗鬼になってしまいます。

取引ありがとうございますと、タイルは購入しましたが、うーん、どうにもわからんです。

が、わからなすぎて吹っ切れたので一味さんを信じて、大体の相場を自分の中で決めちゃいました。

そして、その頃最初の支払いの時期がまわってきました。ここはみなさん問題なくクリアしましたが、人によっては次ラウンド、そうでなくても2,3ラウンド後にはまた支払いがやってきます。

(足切りになるので)とにかく破産だけは避けたく、産業タイルよりもお金を手に入れたいです。どうすれば取引でお金を手に入れられるのか…。

産業タイルには複数種類があり、各種1枚ずつ持っているよりも1種を数多く集めた方が点数効率はあがります(ファンドカード獲得に制限がかかったりもするんですけど)。であれば、1種を複数枚持ってる人は手放したくないだろうから、ちょっと高めの提示額でもお金を払ってくれるのでは?と考えて、同種を3枚持っているキノさんにちょっと高めの額を提示してみたところ、こんなにくれるんならタイルあげますよと、お金とられてしまってちょっとやばいことに。

確かに僕は1枚しか持っていないので、渡しちゃっても点数的に負けるわけでもないですし、それならお金をもらっとこういうのも分かる話です。

分かりはするもののお金を取ろうとしたのに逆に取られてしまったわけで次回の支払いに向けて、ちょっと額の大きめのファンドカードを取らざるをえない状況に。
これ、どんどん支払いが苦しくなってくるやつだ!とは思うものの、「支払いが大きくなる前に自己破産しました」というわけにもいかないので、誰かの何かの拍子のうっかりに期待して早くも悪あがき開始です。

この後も、同じように1種を何個か持っていたひげさんにちょっと高めの額で取引を持ちかけたら、やっぱり金を選ばれてまた1段階破産に向けた一歩を踏み出したりしつつも、なんとかファンドカードからの収益で支払いをクリアするという、驚異的な自転車操業でゲームが進みます。

しかし、さすがにこのあたりまで来ると僕だけがケツに火がついているということもなく、みなさんお金のやりくりが厳しそうです。
そんな中、表情や言動から察するに比較的余裕がありそうなタロ吉さん。

これまでに取っていたファンドカードを見ると、支払いの少ないものしか取っておらず、お金も産業タイルも少なめ、とにかく破産しない戦術を取られていたようです。お、タロ吉さん余裕ありそうじゃないですかと見るや、取引相手として大人気になるタロ吉さんw。

それでも産業タイルの数や種類から見ると、勝ってそうなのはキノさんか一味さん。誰かひとりが破産した時に破産したプレイヤーを除いて勝利点トップのプレイヤーが勝利なので、破産は回避していてもそれだけでは勝てません。

タロ吉さん的には、産業タイル数も微妙な僕が破産するよりも、キノさんたち上位陣を破産させたいところ。このゲーム、ファンドカードにクマの書かれたものがあり、それが規定枚数以上場にでると2つラウンドが進み、予期せぬ支払いがきてしまうというルールがあります。キノさんは2ラウンド先に大きな支払いがあり、タロ吉さんは、ここで一気にラウンドを進むよう祈られてましたが、そんなにうまくいかないもので、クマカードは収入額が大きいので、「もう資金繰りが厳しいから取るしかない」と、みなさんクマカードばかり取られて思惑成就ならず。

このラウンドでたぶん誰かが破産するので取引相手の選定と金額は超重要です。
そして、取引開始時点の手持ちのお金では破産確定している僕は最後手番。誰が金を持っているかを見極めなければなりません。やはり余裕があるように見えるのはタロ吉さん。キノさんはやばいと口にされているので本当にきつそう。一味さん、ひげさんもそんなに余裕はなさそうです。
キノさんが取引相手に選んだのはタロ吉さん。まあ、金持っていそうではありますが、タロ吉さんとしてはキノさんに脱落して欲しいはずなので、産業タイルを渡してお金は受け取っちゃうんじゃないのかな?と思っていたら、お金を渡して産業タイル購入。
タイルをキノさんから受け取って得点的には優位になりますし妥当な手です(僕は自分が助かりたいので僕にお金をくれればいいのにと思ってますがw)。

うーん、これは僕が取引できる相手がいなくなったんじゃないだろうかと思いながら手番を待っていると、タロ吉さんは手番で取引しないを選択。やっぱお金がぎりぎりだから取引できないんだなーと思いはするものの、一番お金を出してくれる可能性があるのはタロ吉さんだろうと、タロ吉さんからお金がもらえれば自分が破産にならない額で取引を持ちかけてみるも、まあ、予想通りお金を受け取って代わりにタイルが返ってきました。

これで僕は破産確定。ここでゲームは終了で、最後まで安定してお金を持ち、タイルを集めていた一味さんが勝利されました。

【感想】

よく競りゲームで、相場がー相場がーと言いはするものの大抵は金額は公開されているのでゲーム中に相場が次第にそのテーブル内で形成されていくものですが、ポンジスキームでは当事者を除いて本当に未公開でやり取りするので、えー、この額で本当にいいの?払い過ぎてない?と疑心暗鬼になるのがめっちゃ楽しいです。

競りゲームというと相場がわかってないと楽しくない(相場を見つけていく過程も面白いですが)と思い込んでいたので、目隠し状態でやる競りがこんなにドキドキして楽しいものというのは驚きました(競り合いとか発生しない指し値での売買ではあるんですが)。

破産によってゲームから脱落することの恐怖もいい要素で、うがー、もうすぐ支払いなのに金がなーいと右往左往するのもまた最高です。

ただ、この目隠しと破産の恐怖のせいで、ゲーム性が落ちている部分もあります。このゲームの主な得点源は産業タイルのセットコレクションで、1種をたくさん集めた方が点は上がります。こういう、あるタイルの1枚目と3枚目は価値が異なる(3枚目の方が価値がある)のは、この差があることで悩ましくなったり、足元を見た交渉ができるようになったりします。同じものがプレイヤー間で等価ではないというは、一般的にはゲームにおける重要な要素であることが多いです。
しかし、ポンジスキームでは、あまりにも破産の恐怖がでかいせいか産業タイルの得点云々よりも目先のお金が重要視されることがままあり、取引で適正な金額を提示したとしても思うような結果が得られないことがあります。
これが競りを公開でやっていてちょっとおかしな結果になれば、ああ、あの人は懐が寂しいんだなとなりますが、非公開でやっているので適正な金額を提示できなかったのか、それとも相手に問題があったのかの判断材料がないんですよね。
これによってどうなるかというと、産業タイルの点数的な価値は関係なく、単に、取引はこの程度の額でやってれば問題ないということで、似たような額が各プレイヤーの懐状況に応じて行ったり来たりするだけになってしまいます。

誰の懐状況がいいか悪いかを見極めてやり取りするゲームというだけで十分面白いのは確かです。
これまでにないドキドキワクワクが味わえました。

あと、僕にはできませんでしたが、どのファンドカードが取られたかと、誰が何金を何ラウンド後に支払うかは公開情報なので、プレイヤー全員で何金持っているかは把握可能です。これでどうプレイヤー内でお金がやり取りされても誰かが破産するというタイミングは知れるので、それをうまく使うというのもまた面白いかもしれません。

横濱紳商伝/YOKOHAMA

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(3人でインスト込み2時間、4人でインスト込み3時間半)

【概要&ルール】

横浜カーストというのをご存知だろうか?横浜市は神奈川県全体の2割を占める巨大な市であるがゆえに都市とそうでない場所の差が激しく、また、一般的に”横浜”と聞いて思い浮かべるイメージと合致する場所は一部に集中しているため、同じ横浜市民であってもお前のところは横浜じゃないじゃん?と言われてしまうような地域があったりなかったりするらしく、とりあえず、県外の人は中区と西区が所謂横浜と思っておけばいいらしいです。

ゲームは手番に以下を行い、ゲーム終了条件を満たすまで時計回りに手番を繰り返します。
1.ボード上に部下コマを配置する。配置は部下コマは1エリアに1つずつ計3エリアまでor1エリアだけに2つのどちらかを選びます
2.社長コマを今いるエリアから部下コマのいるエリアを通って移動させる
3.移動先のエリアでアクションを行う。

エリアには、お茶や生糸などのリソースが手に入る場所や、注文書(書かれたリソースを消費すると得点)、特殊能力カードを手に入れる場所などがあります。

そしてエリアでアクションを行う際、そのエリアに置かれている部下コマの数に応じてアクションの効果があがります。リソース類であれば、基本的に部下コマ数が1増えるごとにもらえるリソースも1つずつ増え、注文書など1つしか手に入れることの出来ないものについては選択肢が増えます。

【プレイ内容】

キノさん、一味さん、僕の3人で。

キノさんは初プレイ、一味さんは何回目か、僕は人が遊んでいるのを横で見ていたことだけあります。

その横で見ていた時もそうだったのですが、このゲーム、開始時からできないことはないですし、得点手段と得点までの経路が自由多彩すぎて、初プレイ時には「え?やれることはわかったけど、じゃあ、何やればいいの?」と案外なります。

でも、まあ、リソースは所持数制限ないし、とりあえず最初に1枚もらった注文書を達成して点数もらうためにもモノを集めるとこから始めるかーとまずは適当に茶畑とその周辺に部下コマを配置してスタートしました。
注文書には、お茶、魚、生糸、銅の4種類のリソースの組み合わせが書かれています(「生糸2つ、魚3つ、銅1つ」とか)。ぱっと見た感じではリソースの種類によって得点の高低が決まっているようには思えなかったのですが、入手のし易さに関してはあからさまに差があります。魚やお茶が獲得数=アクション実行時のパワー(※)なのに、生糸はパワーマイナス1個、銅はパワーマイナス2個になっています。

※パワー:アクション実行するエリアにある社長コマ+部下コマ数+自分の建物数(商館orお店)で決まる。この強さでアクションの効果が決まります。

じゃあ、銅を手に入れやすくしといた方が当然いいなと、たまたまゲーム開始時から研究所(特殊能力カードを獲得できる)に並んでいた採掘技術(効果:銅獲得時に+1)のカードを獲得しました。

このゲーム、注文書の達成以外にも教会への寄付や税関へ交易品を持っていくことでも得点できます。
教会や税関はゲーム全体で使用回数の制限があり、ゲーム最後に使った回数の多い順に点数が入るのでこれらのエリアも使いたいところではありますが、1回のアクション効率を上げるにはできるだけ高いパワーでアクションを行う=部下コマを分散させないのが大事だろうと浮気はせずにリソースがもらえるエリア中心に部下を配置してアクションを行っていきます。

で、キノさん、一味さんはどうされていたかというと、前述の税関を使った得点を重視されようとしていたのがキノさん。

交易品は注文書の達成や高パワーでアクションした際にもらえることがあるのですが、それを積極的に税関に持ち込もうとされてました。今回のゲームでは税関はボードの隅にあり(ボードはモジュラータイプで毎回どこにどのエリアがあるのか変わります)、その隣に教会もあったので税関に通おうとされてたキノさんは必然的に教会にも部下コマを置くことになり、キノさんは税関&教会プレイに。
(手番に社長コマの移動エリア数の制限ありませんが、社長の通るエリアには部下コマが1つ以上置かれてなければなりません)
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(教会プレイのキノさん)

一味さんは手元の部下コマを増やす斡旋所とお金がもらえる銀行中心に部下コマを配置。さらに1手番に部下コマを最大4エリアにまでおけるようになる特殊能力カード(名前失念)を獲得されて、増やした部下コマを余すことなく配置して高いパワーでアクションを行われていました。

最初にもらえる部下コマ数は全員同じで、1手番における数は僕とキノさんが最大3つ、一味さんが4つ。1手番に一味さんの方が3割ちょっと多くコマを置いていることになりますが、その分手元の部下コマ切れも一味さんのほうが起こりやすく、そこに付け入る隙が…と思っていたのですが、前述の通り、部下コマを増やせる斡旋所で事前にコマを増やされていたこともあってか、「コマが足りねえ!」とはおっしゃるものの上手に立ち回られてコマ切れは(たぶん)なし。
逆に僕たちの方が、コマが足りないからこのターンに置くのは3つじゃなくて2つで…とか言い始める始末で圧倒されました。

ゲーム開始時にランダムに決められる3つの目的カード(10金集めるとか、お店を指定の場所に立てるとかの内容で達成すると得点。さらに最初に達成した人は若干点数が高くなってる)を3つとも最初に達成されてしまって、もう勝ち負けに関しては盤石。

それでも、少しでも点数を上げねばとキノさんはゲーム終了時にボーナス点が入る教会や税関のマジョリティ勝負や特殊能力カードの数字比べに注力され、僕は注文書と特殊能力カードに書かれたマークでのセットコレクションをそろえちゃるでーと頑張ってみました。
「1エリアに2つ部下コマを置いてさらに隣接するエリアに1つコマをおける」という特殊能力カードを手に入れてからは高パワーでのアクション連発で、リソースも沢山手に入れて、よし!と思ったのですが既に終盤ですぐにゲームが終わってしまい十分に活かせませんでした。
結果は数十点差がつけられてやはり一味さんがトップで終了となりました。
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(終了時点)

【感想】

(そんなに数やってるわけではないですが)僕が遊んだ国産の長時間ゲームの中では間違いなく一番面白く、完成度も高いゲームでした。国産長時間ゲームの金字塔と今後呼ばれたりするんじゃないでしょうか。

インスト後、さあゲームやるか!となった時にやれることに制限がなさすぎて、そして、目指すべき方向も多岐にわたりすぎて、何やればいいんだ?と途方にくれるのは確かなのですが、最初の1手、本当に最初の1手で部下コマを置きさえすれば、あとは前のターンに配置した部下コマを活用するように…と短期的な目標ができるため、一気にプレイしやすくなります。

じゃあ、あとは手なりにやるだけかと言われると効率よく点を取れる(ように見える)手段や金や部下コマが足りないから補充しないとなどなど数ターン先に達成したい目標に自然と目がいくので、短期、中期、長期(最終的な勝利)みたいな感じでやりたいことがつながっていき、じゃあ、それらを行うにはどうすればいい?と、するするとゲームが回り始めます。

やることが明確になったらなったで、「3つのエリアに1つずつ部下コマを置く」か、「1つのエリアに2つ部下コマを置く」かの二択か、今後のことも考えて布石をうっておくか、それとも、とりあえず目先のアクション効率のためのプレイをするのかと手番アクションの選択肢でうんうん悩めたりと、ほんと隙がありません。

これらに置きたい時におけるよう手元の部下コマがなくならないようにするには部下コマのマネジメントをうまくやらないとならないという点も加えて、「基本的にやりことはできる。やりたいのにできないのはうまいこと配置やマネジメントができなかった自分のせい」という、ゲーム中に発生するストレスがシステム(ゲーム)から与えられるものでなく、自分が原因であるというのは、ほんとうまいこと作られてるなあと思いました(特殊能力カードの出方とかシステムにぶーぶーいう時もありはしますがw)。

自分の能力以上のことを望んだり、どうすればうまくいくんだーと悩まなければ本当にストレスレスに進行するゲームだと思います(この場合のストレスは、ほぼイコール悩ましさなので楽しさでもあるんですけど)。

で、このゲームの恐ろしいところは、どういう手を打ってもその後の手につながる可能性がある作りであるにもかかわらず、結構如実にプレイの上手い下手が出てくるところで、たまにドイツゲームにあるどの手をうつか悩ましいけど超うまいこと調整してあって、どの手を打ってもなんだかんだで接戦になるというようなことがありません。上手い人下手な人でかなりの差が普通につきます。

必要な時に必要なだけ部下コマを用意していて、最後、徐々にやるべきことが絞られて、序盤、中盤ほど部下コマが必要でなくなった時に余っている部下コマは最小限というような打ち回しを目指してやりこむ人もいそうです。ボードがモジュラータイプで毎回構成が変わるので大変そうですけど(逆に言えば毎回ボード構成が変わるからこそ経験の差がまだ出にくいのかもしれません)。

あと驚いたのは同人っぽさのなさです(※良い悪いの話ではないです)。

国産(同人)ゲームの特徴といか魅力ってそのトンガリ具合というかゲームの中心となる1アイディアでぶち抜いた一点突破の作りやアートワークを含めたゲーム全体から感じるちぐはぐさだと思っているのですが、横濱紳商伝はそうでなく、部下コマの配置とそれを使ったアクションというメインシステムを中心に全体が過不足なく、1アイディアの突き抜けを活かしたまままーるくまーるく収めるよう(あまり使いたくない表現ですが)海外の老舗パブリッシャーと同じようにディベロップされているゲームでした。
おもいっきり主観的な話で恐縮なのですが、ハンスやコスモス、ペガサスなどなどのドイツパブリッシャーのゲームと同じく”優しい”ゲームだなあと思いました(あくまでプレイングの話で前述のとおり勝ち負けに関してはうまくプレイできた人とは結構残酷な差がついちゃうんですが)。
プロフィール

ひだり

Author:ひだり
川崎市で相方や友人たちとボドゲやってます。

オールタイムベストは、
・グローリー・トゥ・ローマ
・バサリ
・インペリアル
・アフター・ザ・フラッド
・ゴッズプレイグラウンド
・HABA社製品 全般

推理ゲーム好きだけど↑には入ってないという
-------------------------
連絡先:hidarigray@gmail.com
※当blogはリンクフリーです

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