2016年振り返り
今年も終わりということで1年を振り返ってみました。
ベストゲームというのはあげてはいますが、基本的に印象に残ったゲーム中心で、ここにあがってるゲームがあがってないゲームより面白くなかったということは必ずしもありません。
ノースアメリカンレイルウェイズ

つい先日、記事を上げたばかりですが今年のベストゲームはこれです。
システムは買いたい株の値段を自分で決めて指定する形式の競りゲーム。しかも、株の購入額の半分がその会社の運営資金になるので安く買ったら買ったで上手くなく、高すぎればまた美味くなくなるという悩ましさ。
何回かやってもどうすればいいのかさっぱりわかりませんが、その場その場の状況にあわせてあれか?これか?と同卓のみなさんと試行錯誤するのが楽しすぎるゲームでした。
プレイ時間はインスト込みで1時間前後と手頃ですが、「これぞゲーマーズゲーム」と仰ってた方がいらっしゃったように、前述のとおり親切でない感じのシステムは人を選んでしまうとは思います。
重ゲー枠
ロレンツォ・イル・マニーフィコ

今年のエッセン新作でこれも最近遊んだばかりですが、プレイ時間が2~4時間の重ゲー枠では今年、一番よかったかなーと思うのはこれです。
どんなセッションでも面白くなるようなソロ要素は控えめにワーカープレイスメントとというシステムが持つ面白さを深くしたり、楽しめ易くしたりといろいろ進化させてるようなゲームです。
自分以外のプレイヤーのやりたい手は何なのか?相手の手元のリソースとボード上の残ったアクションスペースから推察して、自分のやりたいことをやるというワーカープレイスメントのお手本のようなシステムなんですが、「ちょっと無理すれば…」「ちょっとコスト払えば…」という、やりくりの苦しさと苦しさを乗り越えた先の見返りのバランスがよかったです。
斬新さなんてなくてもええんや!
ロードオブザアイスガーデン

これまだ記事かいてませんし、ポーランド発のゲームで国内流通もないので検索してもあまりひっかからないかもしれません。
ざっくりいうと、地味な陣取りに特殊能力つきのユニットが混ざった「エルグランデ meets ケイオスインジオールドワールド」です。
悪いやつらが自分らの目的のために国の取り合いをやる感じのゲームで、土地のマナを奪ったり、信仰対象の塔を建てたり、他国のワーカーをさらったりと、各陣営ごとの達成目標のほかに、規定点に達する、規定ラウンド経過する、悪事をやりすぎて世界が滅ぶという複数の終了条件があり、どの終了条件なら勝てるか、誰かがサドンデス勝利条件を満たさないか、まわりをよく見たプレイが求められます。
各陣営が、悪ぶってる割に毎ラウンド一番悪事をはたらいているぷれいやーのところにやってきて問答無用でユニットをぶっ壊すNPCの勇者を怖がって、いや、俺、悪いことやってませんよ?と空とぼけたプレイになるところも面白かったです。
横濱紳商伝

あまり同人ゲームはこれいいな!ってのに出会うことがないのですが、横濱紳商伝は僕がこれまでに遊んだ同人ゲームの中ではピカイチでした。誤解されそうな表現ですが、同人ゲーム、国産ゲームなんですが、面白さ、アートワーク、ゲームの出来栄え等など、まったく同人ゲームくささがなくて驚きました。
特殊能力カードがーとか、複数の得点手段による戦術がーとか、色々マニアックな考察もされてしかるべきゲームだとは思うのですが、とにかくひたすら、コアシステムである「部下コマを規定数ボード上に配置、その後、社長コマを動かしてアクション」の出来が素晴らしかったです。社長コマを移動させるルート上には部下コマが置かれている必要があるので、自分のやりたいアクションとアクションの間に部下コマを置く。社長のアクションは同じマスに置かれている部下コマ数が多い方が効果があがるので、ターンごとに徐々に徐々に、社長の動線と、自分のやりたいことの順位付けをうまく折り合いをつけて、どこに部下コマを置けばいいのかの最適解を求めていく過程がたまりませんでした。
サイズ:大鎌戦役

ユーロの皮を被ったマルチ。どういう順番でアクションを行い、どう自分の国を成長させていくかの最適解を自分の手元で考える、最近のユーロによくあるタイプのシステムを目の前に用意しておきながら、勝敗は殴り合いの先で決まるというゲーム。
あまりマルチやらない人を誘い込むのに最適。
七王国の玉座とかユーロよりのマルチでも多人数で遊ぶと5時間以上はかかるのに、サイズは2,3時間あれば終わるのもいいところ。
しかし、マルチの面白さはインタラクションの面白さなので、(システム的な面白さはあるけども)あまりシステムについて書くことがなかった。
グレートウエスタントレイル

間違いなくユーロゲームのいまの最先端。デッキをどうまわすか、ルートをどう作るか、複数の得点ルートのうち、どれとどれを特化させるか…、やることやれること悩ましいことはたくさんあれど、基本的に自分の中にだけで閉じていてインタラクションは十分あるようにも思えるけど、それは本筋ではないというか、そのインタラクションのあっちの先っぽが人である必要はない程度のインタラクションしかない。
くそたくさんの要素をくそ上手に面白さを感じるように組み合わせて作ってるのは本当にお見事。
しかし、正直なところ、この方向でゲームが進化していくと、頭にチューブつながれてる未来につながってるような気がしてしまいそんなに好きにはなれません。
けど、遊ぶと面白いですし、今度はあれをこうやって…って次戦のことを考えてしまう恐ろしいゲーム。
軽ゲー枠
コンプレット

アニマルオリンピックという1989年発売のゲームのリメイクだそうですが、そんなの関係ない良ゲーム。
システム的には山札から自分の欲しいカードが出てくるまで引き続けるのと大差ないんですが、色々なところにある「自分の選択のおかげ感」が素晴らしく、それによってゲームが楽しめる作りになってます。山札でいいところを場にランダムに並べる、各プレイヤーの手から場に戻させるなどなど。
ややこしいことをさせなくても人が根源的に面白く感じるポイントを積み重ねれば良ゲームになるんだなーというゲームでした。
キングドミノ

こちらは間違いなく新作。ほんとシステムが簡単な良ゲームを遊ぶと、なんで今までなかったんだろう。ほんとに今までなかったのかな?と思うのですが、これもその1つです。
手番順に欲しいタイルを取り、取ったタイルの強さで次の手番も決まるというのを12回繰り返すだけ。タイルの配置も配置済みのタイルと1箇所柄が同じであればOKと緩い制限で、得点も同じ柄でくっついてれば高得点とくっそ単純。
わかりやすいが故にプレイヤー間であの人はこれが取りたそう、僕はこれが欲しいけど、先にとられるかな?と他人の思考が読めたり、勝手に縛りプレイになったりで面白いという。
緩い、単純と書いてますが、まあ、タイル配置はまったく思い通りにいかないんですよね…。ようできてます。
推理ゲーム枠
ワトソンアンドホームズ

今年はいくつか面白い推理ゲーム(謎解きゲーム)が遊べたのですが、その中でも白眉はこれ。
消去法系の推理ゲームではなく、カードの裏に書かれた小説風の文章から情報を集めて、そこから推測される真相を当てるというタイプのゲーム。シナリオは6,7個くらい遊んでますが、まあ、出来不出来はシナリオごとに結構ありますし、ほとんどのシナリオは普通に推理小説としたらそこまで出来は良くない(よくいえば、解きやすいレベルの出来)なんですが、このゲームで圧倒的に面白いのは、ボードゲーム的な仕組みで、先に解いた人が勝つために情報が足りなくても回答にいったり、情報が全部揃ってるかどうか確定させられずに解きに行くなどなど、人と争っているために起こるてんやわんやです。
来年はスペースカウボーイズから新版がでるようなので、国内流通も期待です。
ディセプション

人狼の亜種ではあるんですが、犯人役の決めた凶器と証拠品を、GMがストーリー立てたヒントで正解させようとするために、プレイヤー達がヒントの解釈をすることが推理ドラマの一場面にみえるというか、圧倒的な推理ドラマごっこが楽しめるゲームです。
当てるべき対象が犯人というよりも、GMの出したヒントにあうカード(凶器&証拠品)のため、個人攻撃もなく、適当に思いついたことを気軽にいえるのもよい点です。
拡張枠
フレスコ全部入り(拡張1~10+ミニ拡張)
フレスコってインスト込みで60~90分程度、適度な重さで遊べるゲームという印象なのですが、ビッグボックスを手に入れた記念に拡張を全部入れてやってみました。インストだけで1時間近く、プレイ時間は2時間半くらいになりましたが、その分、面白さはあがっていたと思います。
拡張がどんなに入っても毎ラウンドでやれることの種類は変わらない(拡張要素が使いたければ通常ルールのアクションスペースを上書きする)のでバカみたいに拡散してしまうこともなくしつつ、要素が増えてやれることが減ることのないよう、アクションスペース自体にワーカーをつけたり、ボーナス要素を増やしたりなどして、全体のアクションのバランスを取っているのは上手だなあと思いました。まあ、お金を必要とする拡張に関しては、複数入れると死んでしまった要素もでてきてはいましたが。
ただ、あまりにも要素が多すぎてどの拡張がいい悪いというよりも全部入れてもバランス悪くない!という評価しかできませんw。
(拡張10:医師はあまり遊ばれてないようですが、戦術に幅が出来るので遊んでみて欲しい拡張ではあります)
協力ゲーム枠
カムレッド
マストフォローのトリックテイクで全員の宣言を達成させようとする協力ゲーム。
マストフォローのトリックテイクの楽しさは他人の手を推測しつつ、自分の思い通りにやるにはどうするかという一種のパズルに通じるところがあると思うのですが、カムレッドは、協力ゲームなので宣言にもプレイしたカードにも、伝わってくれ!という意思が感じられ、それを全員が拾い上げて、それならば…と徐々に徐々に正解の一手をさぐっていくところがたまらなく楽しいゲームです。
トランプで遊べるのもよいところかと。
・その他感想
今年の感想はひたすらにブログ書きたいゲームはたくさんあるのに、全然書けなかった!につきます。
来年は倍とまではいかなくても1.5倍くらいは書きたいものです。
何があったかなーと年越しまで1時間をきって今更考えているんですが、ここ数年行ってなかったゲームマーケットに行ったことでしょうか。行ったと言っても買い物ではなくアンケートを取りにいったんですがw。僕はマニアよりだと思ってますし、普段、話したり遊んだりする方々もそれなりにマニアよりの方々なので、色々なメディアに取り上げられて、人口が増えてきているというボードゲームクラスタの大多数だったり、新しく入ってきてる人たちの実態ってどうなんだろう?というのに興味があるんですよね。
まだ公開できてませんが、先日開催されたゲームマーケット2016秋でもアンケート取りにいったので近いうちに公開できればと思っています。まあ、一番取りたかった層には色々あってアンケート取れなかったんですが。
あとは、僕以外にはどうでもいい話とは思いますが、とりあえず、BGGに今上がっているクーの全バリエーションをようやく揃えたことがやっと長かった旅が終わる・・・という感じで感慨深いです。買っても買ってもどんどん新しいアートワークでまたとんでもない国のバージョンが出てるので来年もBGGのクーのページを戦々恐々としながらチェックする日々は続くとは思うんですが。
このクーのバージョン揃える過程で、ロシアやポーランドからゲームを買うことになり、それによってナンジャモンジャ(なまえをよんで!)とか、長蛇の列とかと出会えたのですから、ひょうたんからこまというか、転んでもただでは起きないというか。
やはり新しいことをやると新しい発見や楽しさがあるので、いい機会をもらってるのは確かなんですよね。
去年の振り帰りでは、多くの人と知り合う機会が得られたという話を書いていたのですが、今年はボードゲーム関連ではないのですが、たくさんの人や慣れた環境と別れることになった年でした。ボードゲームは、これまで知り合ったたくさんの方に引き続き遊んでもらえていて、ありがたい話だと思います。
今年のエッセン新作は傑作、佳作ぞろいでまだまだまだまだまだ遊びたいゲームが山盛りです。
来年もまた色々な機会、色々な場所でたくさんの方々とボードゲームを通して楽しい時間を過ごせますように。
どうぞよろしくお願いいたします。
ベストゲームというのはあげてはいますが、基本的に印象に残ったゲーム中心で、ここにあがってるゲームがあがってないゲームより面白くなかったということは必ずしもありません。
ノースアメリカンレイルウェイズ

つい先日、記事を上げたばかりですが今年のベストゲームはこれです。
システムは買いたい株の値段を自分で決めて指定する形式の競りゲーム。しかも、株の購入額の半分がその会社の運営資金になるので安く買ったら買ったで上手くなく、高すぎればまた美味くなくなるという悩ましさ。
何回かやってもどうすればいいのかさっぱりわかりませんが、その場その場の状況にあわせてあれか?これか?と同卓のみなさんと試行錯誤するのが楽しすぎるゲームでした。
プレイ時間はインスト込みで1時間前後と手頃ですが、「これぞゲーマーズゲーム」と仰ってた方がいらっしゃったように、前述のとおり親切でない感じのシステムは人を選んでしまうとは思います。
重ゲー枠
ロレンツォ・イル・マニーフィコ

今年のエッセン新作でこれも最近遊んだばかりですが、プレイ時間が2~4時間の重ゲー枠では今年、一番よかったかなーと思うのはこれです。
どんなセッションでも面白くなるようなソロ要素は控えめにワーカープレイスメントとというシステムが持つ面白さを深くしたり、楽しめ易くしたりといろいろ進化させてるようなゲームです。
自分以外のプレイヤーのやりたい手は何なのか?相手の手元のリソースとボード上の残ったアクションスペースから推察して、自分のやりたいことをやるというワーカープレイスメントのお手本のようなシステムなんですが、「ちょっと無理すれば…」「ちょっとコスト払えば…」という、やりくりの苦しさと苦しさを乗り越えた先の見返りのバランスがよかったです。
斬新さなんてなくてもええんや!
ロードオブザアイスガーデン

これまだ記事かいてませんし、ポーランド発のゲームで国内流通もないので検索してもあまりひっかからないかもしれません。
ざっくりいうと、地味な陣取りに特殊能力つきのユニットが混ざった「エルグランデ meets ケイオスインジオールドワールド」です。
悪いやつらが自分らの目的のために国の取り合いをやる感じのゲームで、土地のマナを奪ったり、信仰対象の塔を建てたり、他国のワーカーをさらったりと、各陣営ごとの達成目標のほかに、規定点に達する、規定ラウンド経過する、悪事をやりすぎて世界が滅ぶという複数の終了条件があり、どの終了条件なら勝てるか、誰かがサドンデス勝利条件を満たさないか、まわりをよく見たプレイが求められます。
各陣営が、悪ぶってる割に毎ラウンド一番悪事をはたらいているぷれいやーのところにやってきて問答無用でユニットをぶっ壊すNPCの勇者を怖がって、いや、俺、悪いことやってませんよ?と空とぼけたプレイになるところも面白かったです。
横濱紳商伝

あまり同人ゲームはこれいいな!ってのに出会うことがないのですが、横濱紳商伝は僕がこれまでに遊んだ同人ゲームの中ではピカイチでした。誤解されそうな表現ですが、同人ゲーム、国産ゲームなんですが、面白さ、アートワーク、ゲームの出来栄え等など、まったく同人ゲームくささがなくて驚きました。
特殊能力カードがーとか、複数の得点手段による戦術がーとか、色々マニアックな考察もされてしかるべきゲームだとは思うのですが、とにかくひたすら、コアシステムである「部下コマを規定数ボード上に配置、その後、社長コマを動かしてアクション」の出来が素晴らしかったです。社長コマを移動させるルート上には部下コマが置かれている必要があるので、自分のやりたいアクションとアクションの間に部下コマを置く。社長のアクションは同じマスに置かれている部下コマ数が多い方が効果があがるので、ターンごとに徐々に徐々に、社長の動線と、自分のやりたいことの順位付けをうまく折り合いをつけて、どこに部下コマを置けばいいのかの最適解を求めていく過程がたまりませんでした。
サイズ:大鎌戦役

ユーロの皮を被ったマルチ。どういう順番でアクションを行い、どう自分の国を成長させていくかの最適解を自分の手元で考える、最近のユーロによくあるタイプのシステムを目の前に用意しておきながら、勝敗は殴り合いの先で決まるというゲーム。
あまりマルチやらない人を誘い込むのに最適。
七王国の玉座とかユーロよりのマルチでも多人数で遊ぶと5時間以上はかかるのに、サイズは2,3時間あれば終わるのもいいところ。
しかし、マルチの面白さはインタラクションの面白さなので、(システム的な面白さはあるけども)あまりシステムについて書くことがなかった。
グレートウエスタントレイル

間違いなくユーロゲームのいまの最先端。デッキをどうまわすか、ルートをどう作るか、複数の得点ルートのうち、どれとどれを特化させるか…、やることやれること悩ましいことはたくさんあれど、基本的に自分の中にだけで閉じていてインタラクションは十分あるようにも思えるけど、それは本筋ではないというか、そのインタラクションのあっちの先っぽが人である必要はない程度のインタラクションしかない。
くそたくさんの要素をくそ上手に面白さを感じるように組み合わせて作ってるのは本当にお見事。
しかし、正直なところ、この方向でゲームが進化していくと、頭にチューブつながれてる未来につながってるような気がしてしまいそんなに好きにはなれません。
けど、遊ぶと面白いですし、今度はあれをこうやって…って次戦のことを考えてしまう恐ろしいゲーム。
軽ゲー枠
コンプレット

アニマルオリンピックという1989年発売のゲームのリメイクだそうですが、そんなの関係ない良ゲーム。
システム的には山札から自分の欲しいカードが出てくるまで引き続けるのと大差ないんですが、色々なところにある「自分の選択のおかげ感」が素晴らしく、それによってゲームが楽しめる作りになってます。山札でいいところを場にランダムに並べる、各プレイヤーの手から場に戻させるなどなど。
ややこしいことをさせなくても人が根源的に面白く感じるポイントを積み重ねれば良ゲームになるんだなーというゲームでした。
キングドミノ

こちらは間違いなく新作。ほんとシステムが簡単な良ゲームを遊ぶと、なんで今までなかったんだろう。ほんとに今までなかったのかな?と思うのですが、これもその1つです。
手番順に欲しいタイルを取り、取ったタイルの強さで次の手番も決まるというのを12回繰り返すだけ。タイルの配置も配置済みのタイルと1箇所柄が同じであればOKと緩い制限で、得点も同じ柄でくっついてれば高得点とくっそ単純。
わかりやすいが故にプレイヤー間であの人はこれが取りたそう、僕はこれが欲しいけど、先にとられるかな?と他人の思考が読めたり、勝手に縛りプレイになったりで面白いという。
緩い、単純と書いてますが、まあ、タイル配置はまったく思い通りにいかないんですよね…。ようできてます。
推理ゲーム枠
ワトソンアンドホームズ

今年はいくつか面白い推理ゲーム(謎解きゲーム)が遊べたのですが、その中でも白眉はこれ。
消去法系の推理ゲームではなく、カードの裏に書かれた小説風の文章から情報を集めて、そこから推測される真相を当てるというタイプのゲーム。シナリオは6,7個くらい遊んでますが、まあ、出来不出来はシナリオごとに結構ありますし、ほとんどのシナリオは普通に推理小説としたらそこまで出来は良くない(よくいえば、解きやすいレベルの出来)なんですが、このゲームで圧倒的に面白いのは、ボードゲーム的な仕組みで、先に解いた人が勝つために情報が足りなくても回答にいったり、情報が全部揃ってるかどうか確定させられずに解きに行くなどなど、人と争っているために起こるてんやわんやです。
来年はスペースカウボーイズから新版がでるようなので、国内流通も期待です。
ディセプション

人狼の亜種ではあるんですが、犯人役の決めた凶器と証拠品を、GMがストーリー立てたヒントで正解させようとするために、プレイヤー達がヒントの解釈をすることが推理ドラマの一場面にみえるというか、圧倒的な推理ドラマごっこが楽しめるゲームです。
当てるべき対象が犯人というよりも、GMの出したヒントにあうカード(凶器&証拠品)のため、個人攻撃もなく、適当に思いついたことを気軽にいえるのもよい点です。
拡張枠
フレスコ全部入り(拡張1~10+ミニ拡張)
フレスコってインスト込みで60~90分程度、適度な重さで遊べるゲームという印象なのですが、ビッグボックスを手に入れた記念に拡張を全部入れてやってみました。インストだけで1時間近く、プレイ時間は2時間半くらいになりましたが、その分、面白さはあがっていたと思います。
拡張がどんなに入っても毎ラウンドでやれることの種類は変わらない(拡張要素が使いたければ通常ルールのアクションスペースを上書きする)のでバカみたいに拡散してしまうこともなくしつつ、要素が増えてやれることが減ることのないよう、アクションスペース自体にワーカーをつけたり、ボーナス要素を増やしたりなどして、全体のアクションのバランスを取っているのは上手だなあと思いました。まあ、お金を必要とする拡張に関しては、複数入れると死んでしまった要素もでてきてはいましたが。
ただ、あまりにも要素が多すぎてどの拡張がいい悪いというよりも全部入れてもバランス悪くない!という評価しかできませんw。
(拡張10:医師はあまり遊ばれてないようですが、戦術に幅が出来るので遊んでみて欲しい拡張ではあります)
協力ゲーム枠
カムレッド
マストフォローのトリックテイクで全員の宣言を達成させようとする協力ゲーム。
マストフォローのトリックテイクの楽しさは他人の手を推測しつつ、自分の思い通りにやるにはどうするかという一種のパズルに通じるところがあると思うのですが、カムレッドは、協力ゲームなので宣言にもプレイしたカードにも、伝わってくれ!という意思が感じられ、それを全員が拾い上げて、それならば…と徐々に徐々に正解の一手をさぐっていくところがたまらなく楽しいゲームです。
トランプで遊べるのもよいところかと。
・その他感想
今年の感想はひたすらにブログ書きたいゲームはたくさんあるのに、全然書けなかった!につきます。
来年は倍とまではいかなくても1.5倍くらいは書きたいものです。
何があったかなーと年越しまで1時間をきって今更考えているんですが、ここ数年行ってなかったゲームマーケットに行ったことでしょうか。行ったと言っても買い物ではなくアンケートを取りにいったんですがw。僕はマニアよりだと思ってますし、普段、話したり遊んだりする方々もそれなりにマニアよりの方々なので、色々なメディアに取り上げられて、人口が増えてきているというボードゲームクラスタの大多数だったり、新しく入ってきてる人たちの実態ってどうなんだろう?というのに興味があるんですよね。
まだ公開できてませんが、先日開催されたゲームマーケット2016秋でもアンケート取りにいったので近いうちに公開できればと思っています。まあ、一番取りたかった層には色々あってアンケート取れなかったんですが。
あとは、僕以外にはどうでもいい話とは思いますが、とりあえず、BGGに今上がっているクーの全バリエーションをようやく揃えたことがやっと長かった旅が終わる・・・という感じで感慨深いです。買っても買ってもどんどん新しいアートワークでまたとんでもない国のバージョンが出てるので来年もBGGのクーのページを戦々恐々としながらチェックする日々は続くとは思うんですが。
このクーのバージョン揃える過程で、ロシアやポーランドからゲームを買うことになり、それによってナンジャモンジャ(なまえをよんで!)とか、長蛇の列とかと出会えたのですから、ひょうたんからこまというか、転んでもただでは起きないというか。
やはり新しいことをやると新しい発見や楽しさがあるので、いい機会をもらってるのは確かなんですよね。
去年の振り帰りでは、多くの人と知り合う機会が得られたという話を書いていたのですが、今年はボードゲーム関連ではないのですが、たくさんの人や慣れた環境と別れることになった年でした。ボードゲームは、これまで知り合ったたくさんの方に引き続き遊んでもらえていて、ありがたい話だと思います。
今年のエッセン新作は傑作、佳作ぞろいでまだまだまだまだまだ遊びたいゲームが山盛りです。
来年もまた色々な機会、色々な場所でたくさんの方々とボードゲームを通して楽しい時間を過ごせますように。
どうぞよろしくお願いいたします。
ノースアメリカンレイルウェイズ/North American Railways

(インスト込み5人で60分ほど(頑張ればインスト込み30分で終わりました))
【概要&ルール】
俺が育てた会社の株を買うんじゃねえええ。おめえ一人にうまい汁吸わせてたまるかあああ。
…まあ、何円で買えばいいかまじわからんよね。そだよね…。
株を買い、会社を運営し配当で儲けるゲームです。
1ラウンドは3フェーズに分かれており、終了条件を満たすまでラウンドを繰り返します。
フェイズ1:株購入
スタートプレイヤーから順に1巡、手番を行います。
手番では、パスするか、場に並べられている株カードのうち、各列の1番下のもののいずれかを指定します。
この時、以下の場合分けで処理を行います。
1.社長がまだいない会社の株を購入する場合:自分の所持金のうち、任意のお金を支払い、その株の会社の資金に全額入れる。その会社の社長トークンを得る。
2.社長がいる株を購入する場合:
a) 自分が社長でない:任意の購入希望価格を社長のプレイヤーに伝え、OKがでればその額を支払い、株カードを手に入れる。社長と株数が同数になったら社長トークンを得る。支払ったお金の半分は会社に、半分は銀行にいく。売らないと言われた場合、その額で株カードは社長が購入し、社長は半分を会社に、残りを手番プレイヤーに払う。手番プレイヤーは続けて手番を行う(株を指定するかパスする。ただし同じ色の株は指定できない)
b) 自分が社長である:500ドルを会社、500ドルを銀行に払う
フェイズ2:駅購入
スタートプレイヤーから巡に手番を行う。
手番には、ハードパスしてフェイズから抜けるか、自分の持っているいずれかの株の会社の金を使って、場に並べられている駅カードのうち、各列の1番下のもののいずれかを購入して、その会社のものにすることができる。
※自分が社長である必要はない
駅カードには、購入額、収入額、ゲーム終了時の株の売却に関係するアイコンが書かれてます。
全員がパスしたらフェイズ終了です。
フェイズ3:配当
各会社の持つ駅カードに書かれた収入を合計し、株の枚数で割って株主に分配する。割り切れずに余った収入は規定額を社長に渡し、それでも残ったら会社に残す。
・ゲーム終了
株カード、駅カードが規定枚数以下になる、または、すべての会社がフェイズ2で駅を1つも購入できなかったらそのラウンドでゲームは終了し、各会社の持つ駅カードに書かれたアイコン数×100ドルを株券1枚毎に株主に配る。
その後、最も金を持つプレイヤーが勝利する。
【プレイ内容】
僕と一味さんは2回目、他のみなさんは初めてです。
2回目ではあるんですが、最初1枚目の株を買って社長になるとき、いくらぐらい払えばいいかはさっぱりわかりません。各社とも1枚目の株の購入時のみプレイヤーが支払った金額が全額会社に入り、2枚目以降は支払った金額の半分しか会社に入らないので、株をプレイヤーが買うフェイズ1の後にある、会社のお金で駅(線路)を買うフェイズ2のことを考えると出来るだけ多くのお金をぶち込みたいですが、誰かが同じ会社の株を買ってしまえば、会社の儲けはざっくり折半なので、「俺が大量にぶち込んだ金でうまい汁吸いやがって…!」となってしまいます。
一応、社長以外のプレイヤーが株を買おうとした際には、社長に拒否権があります。なので、独占したければ理屈の上では独占も可能ではあるんですが、その買おうとしたプレイヤーの言い値を払う必要があるので、自社株を守りたければお金をある程度以上持っている必要があります。
まあ、それほど収入差のつくゲームではないのでよほど株の出方が良くなければ独占とか夢物語ですし、前述の通り、会社に多くの金を持たせて、それで駅を買うと考えれ複数人で1社を育てた方がよいのではないかとも思うのですが…。
とにかく、会社に金をぶち込みたくて所持金の大半を支払うと他プレイヤーがその株を買おうとした時に全く防御できません。しかも、株数が同じになった時点で社長は移動するので、
・紫色の会社に全所持金をぶち込む
→これで紫色会社は大金持ち!駅買いまくって配当うはうはだー!と盛り上がる
→下家のプレイヤーが青色株を買いたいという。自分はもうお金がないので買わせざるを得ない。金がないのは知られているので安値で買い叩かれる。
→下家プレイヤーは社長ゲット&安値で買った株で配当うはうはー!
→自分しょぼーん
となる可能性があります。かといって、自分が社長になった会社の株を守りたくてあまりお金を支払わなければ会社の収入の伸びが心配…とうだうだ考えていたんですが、僕の前の手番のたる田さん、如月さん、一味さんはみなさん初期所持金の半分かそれ以下で株を買い、社長になられていたので、みんな同じことやっても仕方なからろう!と思いきって所持金のほとんどを紫の株購入にぶち込みました。
このゲーム、買う株は自由に選べるわけではなく、各列の最下段にあるものしか選べません(4列しかないので場合によっては1,2種類からしか選べなかったりもします)。
所持金はもうほとんどないので、僕の買った紫の株が下家であるしのぽさんの購入対象になっているかどうかが非常に大きいポイントだったんですが、見事に購入対象の1つにありましたw。盤面をよく見てから購入金額決めればよかったとは思ったものの後の祭り。

(写真では上のほうが購入対象になる株カードです。紫株購入対象ゾーンに固まりすぎです…)
僕の株買った方がいいと思いますよと正直な気持ちはお伝えしたものの、単独での社長にあこがれるということで、誰も株を持っていない赤の株を購入対象に選ばれたため、僕は単独株主、他会社の2倍近い会社の所持金という状況で1ラウンド目のフェイズ2がはじまりました。
フェイズ2もスタートプレイヤーから時計回りに手番を行うわけですが、このときに買える候補になる駅も、株券と同様に各列の最下段にあるもののみです。
この駅の並びは完全にランダムなので列の上の方ほど収入が良い駅があるというわけでもないです。そのため、自分の手番にはあまり購入価格と収入の割合がよろしくないものしかないのに、そのどれかを買ってしまうと下家の人たちにはよさそうな駅が買われてしまうという状況もでてきます。
しかし、ハードパスのため、いまの状況が良くないからといってパスしてしまうと全く収入が伸びないまま1ラウンド経過してしまいます。
(別に社長でなくても会社の金を使って駅は買えるので、2手番先のプレイヤーが自分の伸ばしたい会社の株を持ってるからその人に駅を買うのは任せてパス抜けするとか、自分はあまり重要視してないが自分より上の順位になってそうな奴がたくさん株を持ってる会社だから、変な駅買って邪魔してやれとか、色々出来はします)
今回はなんか駅の並びと手番順のめぐりがよく、紫会社はそれなりによい駅を購入できました。
これで、当面全員でつぶすべき対象は僕に確定。
2ラウンド目、スタートプレイヤーは如月さん。購入可能な株券に紫株が含まれてます。この状況なら当然、紫株を指定。ここで如月さんが値段を高くつけるか、安くつけるかが僕にとって非常にポイントになります。
安くつけられればさっきの配当を利用して僕が株を買うことができますが、会社に入るお金は少なくなります。株券の枚数は限られているので会社を成長させようとするならすべての株をそれなりの額で買ってもらった方がありがたいです。会社が成長しきっていれば安く買えるのは万々歳なんですが、さすがにまだ2ラウンド目なので僕としては安くつけられるよりも、それなりに高く値段をつけてもらいたいところです。
1ラウンド目の配当は僕が一番もらっていたとはいえ、1ラウンドに残していたお金を含めれば所持金で負けているかもしれませんが、全財産をつっこんでくるわけもたぶんなく、常識的な金額であれば僕が株を買えて、社長も守れるし、会社も裕福になるし、僕が払ったお金の半額、会社に入ったお金の残りは如月さんのお金になるので、Win-Winです。
自分の懐に入るお金を減らしてまで僕を叩きたければ別ですが、如月さんならきっと…と思っていると、やはり、それなりに高い値段をつけてくれ、紫株は僕が購入、如月さんも懐が潤う想定通りWin-Winの展開に。
その後、如月さんは僕からもらったお金を使って赤株を購入し、しのぽさんから社長を奪い取ります。所持株数が同じで社長が移動するため、結構、社長は簡単に移動します。
如月さんの隣の一味さんも紫株を指定してきましたが、さすがにこの株まで買えるほどのお金は持ってなかったので、紫株は一味さんと分け合うことに。といっても社長は移動してないので、共同経営は望むところではあったんですが。
その後の手番の僕は、たる田さんが社長の青株を指定。さっきの如月さんの手番での紫株購入での支払いが結構懐にダメージがあり、ちょっと懐を暖めたいなという思惑からたる田さんが買ってくれるように安めの金額をつけたところ、狙い通りたる田さんが買ってくれました。
が、やはりお金がない&今買うべき株はないと判断してパスしてお金をためることを選択しました。
しかし、僕の思惑から外れたのはたる田さん。株券の並びで社長であった青株が列の下の方にかたまっていたこともあり、よく指定されていたんですが、それをほぼ全て自分で買い取ります。あまり高くない金額での購入なので会社にはさほど金は入っていないとはいえ、ゲーム終了時には所持株券×各社の株価のお金が入るので、株券を多く持ってるプレイヤーはやはり脅威です。
僕よりもたる田さんがやばいんじゃないかな?と思いながらの3ラウンド目。
スタートプレイヤーの一味さんが奇策に出ます。
400ドルとか200ドルとか、その色の社長が比較的楽に払える金額での値付けを3連発。ちゃちゃちゃっと手元に1ラウンド分の配当くらいのお金を獲得した後、なんとパスを選択。自分が社長である黄色か、下家の僕が社長である紫は選択可能でしたが、あえて選ばないクレバーさ。さすがです。
なぜ、一味さんが黄色や紫を買わなかったかというと、黄色に関しては自分が社長なので購入金額が1000ドルとかなり高い、もうおそらくゲーム終了時までに黒字になることはない金額を払わされるからで、これは紫株の社長である僕にも同じことが言えます。
僕はまだ紫会社を伸ばしたいと思っており、1000ドルつっこんでもいいかな?と思っていた(けども、一味さんがそれよりも安い金額で買おうとしてくれれば、社長権限で買いとれてラッキーではあった)ので、紫に手を付けずにパスされたのは非常に困りました。
元は取れるだろうけどももっと安く買いたかったーと思いながらも紫株を1000ドルで購入。まあ、半額である500ドルを会社にいれたかったんだと自分を納得させます。一味さんは紫株持ってるので僕がつぎ込んでくれれば労せず得を取れるんですよね…。
一味さんの作戦によりさらに株券の枚数をたる田さんが増やすことになったので、うおおおおいとは思いましたが、一味さん自身の得もあった(少なくとも一味さんは自分が得していると思って手を打たれてる)わけで、というか、どうすればいいのか、ようわからんのですよね。このゲーム…。
僕も所持金増やすのにこの金額なら買ってくれるだろ!?という額でたる田さんに株券の購入機会与えてはいるわけで。難しいです。
なんかたる田さんが社長の株を指定すればたる田さんが買ってくれるという状況になり、決して高いという金額ではないですが、しのぽさんもたる田社長からお小遣いをもらってました。たる田さんはさすがにもう金がないと自分の手番ではパスされてましたが。
一味さんは自分から黄色会社の株を買わないが、他人が社長の株を指定して貯めた金で黄色株を守るという手に出て、見事に黄色会社の社長を守りきられてました。
(といっても、このゲーム、各社の収入が株数で割り切れちゃうと社長であることにメリットはないんですが)
最後に残った1枚の紫株は如月さんが購入。このラウンドで終了条件を満たし、この後のフェイズ2と配当が終われば株を売ってゲーム終了です。
最後のフェイズ2、駅購入ですが、紫は僕が500ドルいれたこと、如月さんがそれなりの額で買ってくれたことから、会社の資金はそれなりにありました。しかし、駅カードの並びが悪く、株価があがるような駅が僕の手番では買えません。もう紫の株価は伸ばせないのか?と思っていたところ、ついさっき株主になったばかりの如月さんから素敵な提案が。紫の全財産900ドルで購入できる株価300ドルアップのサンフランシスコの手前にあるソルトレイクシティを緑の会社で買えというのです。900ドル持ってる会社は黄色と紫ですが、黄色の株は一味さんしか持っておらず僕と如月さんの間に手番があるしのぽさん、たる田さんはサンフランシスコを買える分だけの資金を持った会社の株は持っていません。
散々つぶすべきトップ、みんなの敵としてこのゲーム中扱われた僕は、本当に如月さんが紫会社でサンフランシスコを買ってくれるのか?全く株価があがらないバンクーバーとかをしれっと買われるのではないかと疑心暗鬼になっていたのですが、如月さんは有言実行。「こちらの方が自分の順位はあがるんです」とにこやかに笑いながらサンフランシスコを紫会社で購入してくれました。
これで株券1枚の価値が300ドルあがり、紫株を3枚持ってる僕の総資産は900ドルもアップ。この差のおかげで黄色独占でかなりの資産を持っていた一味さんを交わして勝利できました(如月さんは紫をおとして4位になるか、紫をあげて3位になるかの選択だったようです)。

(最後の紫会社(トークンは白ですけど、紫会社です)。経路はともかくニューヨークとサンフランシスコをつなげてるとはなかなかの会社だと思います)
【感想】
僕の2016年遊んだ中で一番面白かったゲームです。3,4回遊んでますが、遊ぶたびに面白くなってるといっても過言ではありません。
とはいえ、ぶっちゃけた話、今風のゲームではないです。新しい斬新なシステムがあるわけでもなし、流行りの自分ひとりでやったぜ爽快!ひゃっふー的な要素もありません。
どちらかといえば古臭い、90年代のゲームといっても信じてもらえそうなシステムです。
競りの価格を手番プレイヤーが自由に決めてOK,ただし宣言は1回のみという時点でかなりプレイヤーは絞られてしまうようにも思います。何円で値つけるのがいいの?は、遊んだプレイヤー全員が感じるところでしょうし、それをストレスに感じてしまう人もいるだろうと思います。
何回か遊んでますが、それでも、具体的な価格までもいかない、株の購入は高い値段で行うのがいいのか、安い値段で行うのがいいのか、その程度のこともさっぱりわかりません。これは一意に定まるものではなく、株カードの並び方、駅カードの並び方、各プレイヤーの株の持ち方、手番順、ゲームが序盤か終盤か、誰がトップ目かなどなど、複数の、ゲームに登場しているほぼ全ての要素を考慮しないと決められないからです。
一応、各プレイヤーの所持金は非公開情報ですが、それ以外の要素は公開されてるので競りゲームをプレイしているというよりも、多人数アブストラクトをプレイしているのが近い感覚になると思います。
(そういう思考が得意な人は別として)何が最適手かをその場の状況を全て把握して行うなどできないので、「自分の所持金」という自分以外にはわからない情報で最終的な判断は手番プレイヤーが行うとして、それ以外の公開情報をもとに、
「トップ目はAさんだからAさんの収入削る意味で、Aさんの独占している黄色株を買うのがいいんじゃない?」
「フェイズ2のスタートプレイヤーはいま手番のBさんなんだから、いま駅カードの購入可能対象になってるよさそうなカードを買うってことで黄色に拘らなくてよくない?」
「Bさんが緑株買えば、緑株持ってる人の手番が3手続くことになるから、いま見えてるおいしい駅カードは全部緑で買えそう。そうなると黄色じゃなくて緑買った方が…」
「いやいや、おいしい駅が買えるのはどの株買っても同じでしょ?だったら既にかなりの株価になってる黄色買うのもありでしょ」
「株価あげてAさんにトスするのはないでしょー。さっきまでの話の通り緑買うのがいいんじゃない」
「そりゃあ、Bさんが緑買ってくれれば、Cさんは社長確定するからなあ」
などと、(非常にマニアックな話で恐縮なんですが)プレイヤー全員で色々と最適手の検討をして、思いもよらない手に気づけたり、みんなでうんうん唸ったりするのが非常に楽しいゲームだったんですよね。プレイヤーインタラクション全開でゲームの半分はプレイヤー間の絡みでできているようなゲームなので全員で話すことに(少なくとも僕がよく遊んでもらってる面子の方々では)必然的になりますし。
下手したら“口出し”でマナー違反ではあるんですが、僕は、この「自分以外のプレイヤーが最適手を考えるにあたって考慮が漏れていると思われる手の気づきを与える」というのを結構やります。
最終的な判断はもちろん手番プレイヤーに任せるとしても、少しでも全プレイヤーが取り得る最大の点を目指していくセッションの方が圧倒的に楽しいですし、大好きなのですが、まあ、そこは人それぞれで。
(念のため補足しますが、どの手を打つのか決定するための考え自体には口出ししないようにしてますし、普段は頻度は低いです。あくまで考えるにあたって、そのプレイヤーが見逃してそうなボード上の状況、忘れてそうなルールなどを検討対象に入ってますか?と、ん?ここって重要局面じゃない!?という時に僕の気付いた点を伝えて、検討材料にしてもらおうとする程度です)
最近のある程度以上の重量級ゲームは、各プレイヤーの手元に得点ルーチンを作ったり、強力なユニークの特殊能力を持っていたりで、各プレイヤーの状況が違いすぎて、全プレイヤーが手を検討するために必要な情報を共有するのが難しかったり、自分のことで手いっぱいでよそまで見てられなかったり、選択肢は多くても点数効率的に実際に選択肢になり得る手自体は少なくて言われるまでもなかったりと、案外、プレイヤー全員で検討しあうというのが少ない中で、ノースアメリカンレイルウェイズは、がっつり全員で検討できて、それでも最適手がようわからんというゲームでした。
この「みんなで手を検討する」楽しさというのは、どのゲームでもあって、例えばごきぶりポーカーで「Aさんにごきぶりたまってきてるから、今、ごきぶり出すべきなんじゃない!?」だの言うのも一種といえなくもないと思います。ただ、みんなでワイワイがやがやと検討しあうには、その場の全員の中に完璧な最適手を答えられる人間は一人もいないが(重要!)、同じ土俵で状況を把握できて(ガッチガチのアブストラクトとかだと、僕は思考停止してしまうので無理)、みんながちゃんとゲーム自体を楽しんでいるという場であることが必要で、つまり、ノースアメリカンレールウェイズは、僕&僕と遊んでくれる方々にとってちょうどいい塩梅のゲームだったんだと思います。
「トップが会社の株独占してるのはとっととやめさせないとダメだから、みんなで株カードの列を掘っていこうぜ」
とか言いながら、全員で時に協力してトップ叩きし、時にその協力を裏切って抜け駆けしようとするのが最高に楽しかったです。
遊び方や好みの話を除けば、かなりプレイヤーにぶん投げてますし、色んなとこでこの手がいいのか悪いのかようわからんのんじゃーばかりのゲームなので決して万人におススメはできませんが、ゲーマーの方々であれば琴線にふれるものがあるかもしれません。
生産が500部限定となかなか手に入れにくいゲームではあるんですが、この記事を公開した今時点ではFunagainで購入可能です(他のものを買うなど結構頑張って送料減らしてもカードゲームの割に5千円とか6千円とかしちゃうので、気軽に買うのはなかなか難しいんですが…)。
ロレンツォ・イル・マニーフィコ/Lorenzo il Magnifico

(4人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
中世の貴族が塔に行って人を雇ったりしてなんか頑張る感じ。
ワーカープレイスメントのゲームです。
プレイヤーは自分の色の3種のワーカーと色のないワーカーをひとつずつ持っています。
これを手番にボード上のアクションスペースにひとつ置くことでアクションを行なっていきます。
自分の色付きの3種のワーカーは、それぞれ黒、白、オレンジの印がついており、各ラウンドの頭に振られるダイスと対応しています。
そして、各アクションスペースにはダイス目が一定以上でなければ置けないという制限があり、例えば、黒の目3、白の目6、オレンジの目5のラウンドは4の目以上しか置けないスペースには白とオレンジに対応しているワーカーしか置けません(助手というリソースを捨てることで目を大きくすることもできはします)。
無色のワーカーはゼロの目なので助手で補正しないとどこのアクションスペースにもおけません。
置ける場所がなくなるか、パスするか、ワーカーがなくなったらラウンド終了で、規定ラウンド繰り返せばゲーム終了です。勝利点の高いプレイヤーが勝利します。
・アクションスペース
アクションスペースは大きく分けて4種あります。
1.カードを獲得する塔。カードに描かれたコストを払ってカードを獲得します。カードは緑、黄色、青、紫の4色あり、それぞれ対応する塔のアクションスペースに置かれています。緑と黄色はゲーム中に使用してリソースや点を得るカード、青はダイス目やカード獲得時に必要なリソースに補正がはいる永続効果のあるカード、紫は主にゲーム終了時に得点の入るカードです。
各塔に配置するふたつ目以降(誰のものかは関係なく)は3金のコストが必要になります。
2.手元の緑や黄色カードの効果を発動させるスペース。緑なら斧、黄色なら歯車のかかれたスペースにダイスを置きます。緑も黄色も各カードにダイス目がかかれており、配置したワーカーのダイス目以下のカードの効果が発動して、リソースや得点が手に入ります。
ただし、緑も黄色もふたつ目以降のワーカーにはダイス目にマイナス3の補正が入ります。
3.なんか貰えるところ。お金や助手、軍事力などスペースごとに決まったものが多めに(5金とかですが、このゲームではかなりの量です)もらえます。
4.手番決め。1金+任意の資源が少しもらえます。このスペースに置いた順が次ラウンドの手番順になります。
・信仰
偶数ラウンド終了時、各プレイヤーの信仰力が試されます。規定のマスまで信仰力をあげてないとペナルティをその後のゲーム中ずっと負います。規定のマス以上にあげているプレイヤーはペナルティ受けてそのままにするか、進み具合をリセットしてペナルティなし+進み具合に応じた点を得るかを選びます。
・偉人
上級ルールから入れられる要素で、ゲーム開始時にドラフトで偉人カードを各プレイヤーに配り、ゲーム中、偉人カードに描かれた条件(石をX個とか、青カード4枚に緑カード2枚を手に入れるとか)を満たせば永続効果の特殊能力が発動します。
【プレイ内容】
僕のTL上でえらい評判が良かったので、やりてーいと言っていたらBlueroseさんがやらせてくれました。
Blueroseさん、ウキンさん、一味さん、僕の4人で。
インストが終わり偉人カードのドラフトです。
最初は偉人カードに描かれた条件をプレイの指針にすれば良いという話なのですが、まあ、ようわからんということで条件は色々な種類のものにしてみました(3枚目あたりから達成しやすそうなのはなくなってたとも言いますが)。

(僕の偉人カード)
石を10個集めると毎ラウンド3金もらえるというのが達成しやすく効果も便利そうだったので、それを目指すことにしてみました。
ワーカープレイスメントとはいっても、本当に同じ効果が得られないスペースは何かしらリソースがもらえるところだけで、他は出目にマイナス補正を受けたり、追加でお金を払わなければならなかったりするものの、2つ目以降にワーカーを置いても、ほぼ同じ効果が得られます。
(厳密にいえば、塔は同じ場所には置けないんですが、「ある種類のカードを得る」という意味では同じ効果のワーカー配置場所が各塔4ヶ所ずつあります)
そうはいっても、マイナス補正受けるのは嫌ですし、塔で取れるカードも全く同じものはない(はず)ので、どこから先にワーカーを置いていくかは重要です。
まあ、まずはカード取るか…と各塔をみてみますが、はっきりいってどれが良いのかよくわかりませんw。
各塔にある4つのワーカー配置場所は、ダイス目の条件が1以上、3以上、5以上、7以上となっており、各ラウンドの頭にふるダイス目次第では助手を使わないとワーカー配置できる場所がぐぐっと狭まります。
(7以上の目が必要なところは助手を追加したり、出目に補正をするカードが必要になります)
共通ダイスの出目がよければ効果が高そうなカードを素直に取りに行けばよかったんでしょうが、このラウンドは1-4-2と決して高くはありません。うーん、助手使って5以上も選択肢にいれるのか、それとも1以上か3以上のところだけにするか…。
と散々悩んだ挙句、助手を使うのを嫌って低い目で取れるカードを獲得。
その直後にすぱすぱと7以上とか5以上のところに助手を払いつつワーカーを置いていくプレイ経験者のBlueroseさんと一味さん。
カードの配置はランダムなので、高い目が要求される場所に置かれたカードの効果が必ずしも強いというわけではないので、余程強かったり欲しかったりするわけでもなければ取りに行く必要ないだろうと思ってたんですが、どうも強いカードがあったようで。
それは、追加効果で別の塔のカードがとれるカード。他のゲームでこういう効果のものがあれば大抵追加で取れるのは弱い効果のカードだけだったりしますが、完全にランダムに配置されるこのゲームでは単純に1ワーカー得する形になります(追加でカードがとれる以外の効果が弱いといえば弱いんですが、場合によってはほぼノーコストでカードもう一枚なので、たぶん強いです)。
あー、なるほどー。とは思いましたが、まあ、仕方ない仕方ないということで次ラウンド以降に活かすことにします。
塔へのカードの配置が完全ランダム(奇数ラウンドを迎えるたびに時代が進んで徐々に強い効果のカードが出て来ますが、同時代内のカードは特にランク分けとかされておらず、高い目でないとワーカーを置けない場所に配られたカードだから強いというわけでもないです)なので、助手を消費して無理して高い目が必要な場所にワーカーを配置するのは効率が悪いと思ってたんですが、ワーカーの数に対してやりたいことが多いので多少コストを払ったり無駄があったりしてもその時その時で自分のやりたいことと一番あってるカードを取っていった方がどうも良さそうだということに2ラウンドの終盤に気づきました。
なんでかというと、偶数ラウンド終了時(つまり初回は2ラウンド目)にある信仰心のチェックに、全然手が足りねー!という状況で引っかかったからです。信仰心伸ばしてるだけで半分かそれ以上の出番が必要になってしまうのでは?トロトロやってる場合じゃない!と。
しかし、それに気づけてもいま信仰心チェックでひっかかったのはどうしようもなく、僕はこれ以降、助手獲得時にマイナス1のペナルティを受けることに。色々なカードやアクション場所に助手+1という効果があるんですが、これが今後は全部ゼロということにw。

(こんな風に各偶数ラウンド終了時に受けるペナルティと目標値が示されます。黄色と緑のキューブは僕と一味さんがそのの目標値を達成できなかったからおかれてますw)
一味さんもこのペナルティをくらったのでボード上に1箇所だけある「助手を5つもらえる(僕と一味さんは4つ)」場所の取り合いが熱くなりそうです。
そして3ラウンド目。どうも今回のゲームでは共通ダイスの目がそこそこしぶい展開らしく、3つのうち2つは1か2の目というのが続いています。
そうなると助手が手に入れにくい僕らには不利なんですが、前ラウンドに手に入れた「青カードの塔配置時にダイス目+2する」効果のおかげで青カード「緑カードの効果発動時にダイス+3する」を獲得、更に、なんか人気のなかった「信仰心+1」の緑カードも獲得しました。これで、1ラウンド目にとっていたのとあわせて緑カードの効果を発動するたびに信仰心が+1、石が+2されます。
この効果が強いのか弱いのかはおいといてとにかく石を10個ためて偉人カードの効果を発動させよう&信仰心でひっかかるのはもう勘弁だぜの気持ちのみです。
そのかいあって、このラウンドで石10個は達成。これで毎ラウンド3金の臨時収入が入るようになります。
カードが4種類あって、それぞれ手に入れるための塔(ワーカー配置場所)が異なるのは前述のとおりですが、カードを手に入れるために支払うものの種類もカードの色ごとに違います。
緑は支払うものなし、青色はお金、黄色は主に石や木、紫色はお金や石、木の他に軍事力というパラメータも求められます。
軍事力はカード効果やアクションスペースの効果で獲得でき、既定値以上にすることで、段階的に獲得可能な緑カードの上限が増えていきます(緑カードは獲得にコスト不要だが軍事力もあげないと獲得できる枚数に上限があるということです)。
臨時収入が毎ラウンド入るようになりましたし、なにげにお金はたまってきていたので、お金を使ってもらえるカードでなんかいいのないかな?と見てみると、コストにお金が必要な青カードの7の目のスペースに、追加で紫カードが取れる効果のものがありました。紫カードもコストがお金のもので軍事力が6も増えるものがあります。
7の目のスペースだと助手が必要ですし、欲しい紫カードも同様に助手を必要だったので、助手の補充にペナルティをくらってる身としては、正直悩みました。2枚とっちゃうとお金もすっからかんになりますし。
しかし、まあ、この先、共通ダイスがどうなるかわからないし、カードはラウンドの切れ目に全て交換されるため、今並んでるカードはこのラウンドしか取れる機会はありません。よし!思い切ってやってみるか!と、青カード&紫カードを獲得。
しかも、ここでやった助手も次手番に助手+5(僕は+4)にワーカーを置けたのでほぼ元通りにまで回復できました。
さらに、軍事力がぐいっと伸びたため、軍事力が12必要だった偉人カードの条件も満たして毎ラウンド石、木、お金が1ずつ手に入るようになりました。

(数は少ないが活躍が期待されている緑カード&黄色カード)
あとは、残りのラウンドでスタートから貯めてきていた石と使いみちがなくて自然に貯まっていた木を、得点に変換していくだけです。
信仰心も3ラウンド目から意識してあげたため、4ラウンド終了時のチェックでわざとペナルティを受けることでゲーム終了時には、最大値(30点入る)まであげられる可能性がみえてきました。というか、30点はでかいのであげまくることにします。
ゲームが半分以上終わってから、ようやく周りを見る余裕がでてきました。
さすがにこの頃になるとみなさん色々と個性がでてきてます。
まず、ウキンさんは偉人カードの条件達成が早い!2ラウンド目には軍事と信仰心の条件をクリアして「無色ワーカーの目+3」の能力、その後も黄色カードをマックスの6枚まで素早く獲得されて「黒、白、オレンジのダイス目に+2する」偉人も開放。
前述の通り、今回のゲームでは共通ダイスの目がそれほど良くなく、みんな苦労してたんですが、偉人カードによる補正でウキンさんはそれをあまり気にせずプレイされていたように見えました。
偉人カードの達成のために集められた6枚の黄色カードも発動すると結構なリソースやお金、点数が手に入るようになっており、カードがたまってきてた中盤以降はそれを稼働することで得点をどんどん稼がれてました。
ウキンさんは、序盤から即点になるカードを重視され、ひとりでどんどん先に進んでしまい、トップを独走。最終ラウンド前にビリの僕とは得点トラックで半周、50点差がついてましたw。
プラス補正のついたダイス目で条件を満たして黄色カード発動→リソース、お金、点数を得るというのは強そうでしたが、ロレンツォでは、黄色カードの発動アクションにワーカーを置いた際に持っていたリソースやお金だけで、カード発動に必要なコストを賄わなければならないルール(要はカードAで得た資源で、カードBを発動して、そこで得たお金でカードCを発動させる…というコンボができなくなってる)なので、どこまでカード発動できるリソースをためてから発動させるのか、いくつかのカードの発動を諦めるのか、不足分のリソースをどこで調達するのかというのに悩まれていたようです。
一味さんは、緑のカード重視で緑カードの所持数上限があがる軍事力もあわせてあげつつ、発動時にダイス目+2する青カードも序盤に手に入れられ、発動した緑カードの効果を起点に得点を稼ぐ…というのを狙われてたようなのですが、ウキンさん以外の3人は緑カードを集めていたのでアクションスペースが取り合いになったり、(横から見てるとそうでもないんですが)他にもうまく回らないと珍しく苦労されているようでした。
緑カードは軍事力による制限があるためか、3枚目以降は獲得するだけでゲーム終了時に得点が入るようになっていることもあり、最終的には緑カードを上限まで手に入れられていました。
Blueroseさんは序盤から紫カードを獲得してリソースを手に入れ、それを使って緑カード、黄色カード、青カードとバランス良く手に入れていく戦術。最終的には一味さんと同じように緑カードを多く集められていましたが、バランス良くプレイされていたようにみえました。
僕は前述の通り、緑カードの発動と信仰心あげを中心に後半はまわしていこうとしていたのですが、ちょうど場に石や木をコストにして信仰心や勝利点を稼げるカードがいくつかでてきてました。
お、これは取れるといいなとよくよくコストを見てみると僕の欲しいカードはどれも石が3つか4つ以上必要です。
まあ、このうち1枚取れればいいくらいか。でも急いで取らないとみんなに取られるよなーと周りを見てみると案外みなさんリソースを持っておらず、石が1,2個くらいしかありません。
これは、石を取る手間がかかるので取りたいやつ全部とれるかも?と思いながら手番を待っていると、僕の先手番のウキンさんが手元のリソースの関係でリソースがもらえるスペースにワーカーを配置、黄色カードを発動するスペースが空いたまま手番がまわってきました。
んー!? まだみんな石を取ってないのでカードを取るのは急がなくていいし、これ、黄色カードの発動をさきにやっちゃった方がいいんじゃないのか!? と考えて、カード獲得は後回しにして黄色カード発動のスペースにワーカー配置。
ウキンさんから苦しそうな声が聞こえてきましたが、その後、カード獲得時の点数などを入れても、最終ラウンド終了時点では2位以下を50点前後離してウキンさんがダントツのトップのまま。
これはさすがにおいつかないでしょうwと笑いながら、信仰心の点や紫カードの点などをいれていった結果…。

(ゲーム終了時)
なんと1点差でまくって僕が勝ってしまいました。得点が大きくなる最後のラウンドのカードで狙っていたものを全て取れたのが大きかったのではないかと思います。
【感想】
ワーカー配置のインタラクションに重きを置いた非常にピュアなワーカープレイスメントゲームです。
インタラクションはほどほどに、個人個人が手元で行う特殊効果のコンボの気持ちよさに面白さを見出したり、ワーカーに種類とそれぞれの個性を作ってワーカーの取捨選択とそれに伴う方向性の差を作ることで面白さを提供したりというゲームが多く、(やり尽くした感のせいかもしれませんが)ワーカープレイスメントと言うシステムを取り入れるだけで発生するプレイヤーインタラクションだけのゲームやそれを突き詰めようとしているゲームは最近はあまり見かけません(あるにはあるんでしょうが、前述の通りワーカープレイスメントを土台にした派生系の方が主流かと思います)。
そんな中でぶっこんできた純粋無垢なワーカープレイスメントの2016年のカタチとでもいうゲームです。
近年の流行りというか、ゲームの方向性は確実に「気持ち良さ重視」です。
リソースのやりくりが厳しい、手番が全然足りない、色々と苦しさは提供されてますが、それを上回るか、忘れさせるくらいの気持ち良さを用意してくれてます。
で、ゲームの展開によらずに全てのプレイヤーに気持ち良さを与えようとしたら、その気持ち良さ(と、そこにつながる楽しさ)はプレイヤー個人の手元に用意しておく必要があります。そこにないと他人に邪魔されちゃうからです。
そんなわけで、システムにワーカープレイスメントを採用してもワーカープレイスメントと言うシステムによって生じるインタラクションを追求して、そこに面白さを詰め込むという行為は、プレイヤーによっては面白さ、気持ち良さを味わえないかもしれないんで、思いっきり今のゲームの方向性の本流では基本的にあり得ない、よろしくない手だと僕は思ってます。
※一応補足。インタラクション中心のゲームがダメだと言ってるわけでは決してないです!むしろ僕の好みは圧倒的にインタラクション重視ですし。
そこにロレンツォはワーカープレイスメントの本道に戻りインタラクション中心のゲームを作ってきてます。
カード効果に差があるにも関わらず、扱いは全て同列、配置は全てランダムという作りからも、僕は「オラ、手前らワーカー配置で殴り合いやがれ」という声を聞きました。
他にも緑や黄色のカード効果発動時に、発動前に持っていたリソースで、必要リソースをまかなう必要があり、発動後に得たリソースを使うことができない」( 要はカード間のコンボができない)仕様も、面白さを感じて欲しいのはそこじゃない!とでも言いたいかのようです(コンボを作らせればある程度の面白さは担保されるのにやらせないんですから)。
んじゃ、どこに面白さを感じさせるような仕組みになってるかというと、愚直といってもいいほどストレートな選択肢の取り合い部分です。
他人がどの選択肢を重要視してるか?それを潰すのと自分のやりたいことをやるのどちらが良いのか?を見極めるのがワーカープレイスメントの難しい点だと思うのですが、ロレンツォではプレイヤーごとの個性はシステムでは基本的に提供せず、全プレイヤーをフラットな状態で選択させます。そのため、自分の一番やりたいことは他人の一番やりたいことでもあり、それをすることで邪魔にもなりつつ、邪魔ではなくて自分に一番得なことをやっただけであるという話も成り立ちます。
一応、とったカードによってダイス目に補正がついたりもしますが、他のゲームのように序盤の選択によって道がついて各プレイヤーがそれぞれの道を伸ばしていく(優先度がプレイヤーごとに異なっていく)ということはそれほどありません。Aさんにとって強い選択肢がBさんにとっても強い、取るべき選択肢であるという状況は最後まで続きます(どの要素を重視するかという”好み”はもちろんシステム上ではカバーできないんで、プレイヤーごとの色はでるといえばでるんですが)。
このフラットさは、巻物という獲得後に任意のモノ(お金、リソース、信仰心などなど、基本的にゲームに登場する全て)に変換できる資源があること、カード獲得コストがどういう手を取っていても準備できてしまう程度の個数/ものに抑えられていることなどの工夫によって作られてます。
※ 「方向性がつくから上級ルール(偉人)入れた方が良い」という話をよく見かけるのですが、これって何やっていいかわからないからという話以上に、偉人入れてないとフラットすぎて選択肢が被っちゃうからなんですよね。
さらに、ワーカープレイスメントを楽しいゲームにするのを難しくしている点として、やりたいアクションができなくなることによる失望、がっかり感があると思います(なので、プレイヤーごとに個性を設けて方向性を分けたり、コンボさせたりとインタラクションを弱くして他の要素で楽しみを持たせていったともいえると思うんですが)。
それは、「コストを払えば」、「マイナス補正を受ければ」という条件付きで好きなアクション(既に他人のワーカーがおかれたアクション)を実行できるという方向で解決されてます。僕が面白いと思うのは、「コスト払えばおけるよ」なんて、その事象だけ見れば嫌なことには変わりないんですが、やりたいことに対するワーカーの少なさや本来のワーカープレイスメントの制約の厳しさのせいからか、何故か、ありがたいこと、遊びやすくなってる点にカウントされちゃってるんですよね。無論、そうでない人もいるでしょうが、このゲームのターゲット層は「ありがてえありがてえ。ロレンツォ様は慈悲深いお方だ」という人らだと思いますw。
共通ダイスを使うところも思考の固定化を回避して、毎ラウンド、全プレイヤーにアクションスペースの優先度付けをやり直させるため、ワーカープレイスメントの面白さを増すための仕組みだと思ってるんですが、ここで1-2-1とかのようなひどい出目になると5以上や7以上の目が必要なスペースへの配置がしづらくなり、実質的な選択肢がかなり減ってしまって欲しいカードが取れない、やりたいことができなくなります。ここだけは制限がかかることによる面白さよりも、縛られることによる爽快感の喪失の方が勝っているので、少し残念です。ダイス3つとも1~6の目のものを使うのではなく、1つは4~6だけしか出ないものにするとかしてもよかったんじゃないかとは思うんですが、まあ、振れ幅がデカイほうが緑や黄色カードのとり方にも関係してくる(効果でかいくて発動しにくいものを選ぶか、効果小さくても発動しやすいものを選ぶか)ので、展開に各自の好みがより出て来る方向の調整にしてるのかなーとか。
まあ、こんな風にあばたもエクボ的、我田引水的に全部の仕組みがよく考えられてるんだよ!という話を書いたわけですが、実際、斬新な仕組みもなく、古風なシステムを洗練させただけのよく出来たワーカープレイスメントゲームだと思いますので、他人との絡みが嫌いでなければ遊んでみてください。