クランズ・オブ・カレドニア/Clans of Caledonia

(4人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
カレドニアっつう島に住んでみただけんども、ここは牛っこも羊もよう育つし、小麦もよう採れる。わしらの小麦で作ったパンもウイスキーも最高じゃあ。ぎょうさん作ってぎょうさん売って、わしらの家族が一番じゃつうところを見せつけてやるかの。
カレドニア(現在のスコットランド)に入植し、家畜を飼い、小麦を育て、それらから羊毛や牛乳を得たり、ウイスキーやパンといった加工品を手に入れて、契約を達成することなどで点数を稼ぐゲームです。
手番順に以下のいずれかを行います。
・領地を広げる:種類に応じたお金と配置場所に応じたお金を払い、個人ボード上のコマ1つをメインボードへ配置します。この時、他人のコマと隣接した場所に配置するとそのコマが産みだす資源を相場より安く購入することもできます。
・商品取引:取引ボード上に商人コマを置き、資材(羊毛、ミルク、小麦、チーズ、パン、ウイスキー)を売るか/買うかを行います。一度に売り/買いできるのは1種のみですが、商人コマ数に応じて数は変わります。
・契約書の獲得:場にある契約書から1つを獲得します。ラウンドが進むに従って獲得に必要なお金が増えます。
・契約書の達成:契約書に書かれた資源をストックに戻し、その後、契約書に書かれたものを受け取ります。
・個人ボードの改善:収入の改善、商人コマ数の増加、航海術の改善のいずれか1つを規定のお金を払って行います。
・パス:このラウンドから抜けます。抜けた順に応じてお金を受け取ります。抜けた順=次ラウンドの手番順になります。
全員がパスしたらラウンド終了時の処理を行い、次ラウンドに進みます。
規定のラウンドを行った後、最終得点計算を行い、最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
・個人ボード
ゲームスタート時、個人ボード上はコマで満たされています。メインボード上にコマを配置することでコマが置かれていた場所に書かれているモノをラウンド終了時の収入として獲得できるようになります。

(パンコマや小麦コマの下にはパンや小麦が、牛コマや羊コマの下には牛乳や羊毛が、木こりや鉱夫の下にはお金(収入)が書かれています)
【プレイ内容】
如月さん、UKINさん、Blueroseさん、僕の4人で。
ゲーム開始時に自分の氏族を決めます。氏族ごとに特殊能力が設定されており、それを活かしてゲームを進めましょうというやつです。
それなりの数の氏族が用意されており、その中からプレイヤー数に応じた数を並べ、1ラウンド目の手番順と逆に選んで行きます。その結果、
如月さん:ウイスキーを毎ラウンド1つずつ熟成させることができる。熟成している間は資源として使えませんが、熟成をやめる際に年数に応じたお金がもらえる。
UKINさん:通常2コマの初期配置が3コマ行える&ゲーム開始時から商人コマ数+2、航海術+3の状態で始まる。
Blueroseさん:商品取引のたびにお金が少しずつ戻ってくる。
僕:河口の土地にコマを配置する際のコストが3金安くなる
となりました。
スタートして色々やりたいことはありますが、とりあえず、1ラウンド中に最低でも契約書の獲得は必須でやりたいとみなさん取りに行きます。
どう進めればいいか方向性が決まるというのもありますが、1ラウンド目に獲得するとお金がもらえるのですw。契約書の獲得はラウンドが進むに従って5金ずつお金がかかるようになって行きます。1ラウンド目なら5金もらえ、2ラウンド目ならタダ、5ラウンド目は15金払うというような具合です。
契約達成には契約書にかかれたモノが必要なわけですが、手元にトークンとして生産したり取引したりして手に入る6種(羊毛、牛乳、小麦、チーズ、パン、ウイスキー)に加え、ラム肉と牛肉も含めた8種の中から、1~3種類がいくつかずつ要求されます。
トークンのある6種はラウンド終了時の処理において生産する、もしくは、取引で手に入れられますが、ラム肉牛肉はちょっと特殊で、契約達成時にメインボード上に配置済みの羊コマや牛コマを除去することで支払います(除去したコマは個人ボードに返ってきます)。
何しろ初プレイで損得はよくわかりませんが、羊も牛も配置に手番とお金を使っているわけで配置し直しになるのは、契約達成時に得られるものを吟味する以前に損した気分になるのでなんか嫌です。
しかし、獲得候補になる契約書の補充はラウンド終了時なので、後手番のプレイヤーには選択権はさほどありません。
今回も肉類を使う契約は敬遠され、前手番の方々に肉を使わない契約は全部取られた状態で手番が回ってきました。
(肉類入りの契約がそうそう取られるとは思いませんが)契約書は1つしか持てない(2つ持てる氏族も能力もありますが)ので、みなさんこのラウンドは取ることなかろうとコマの配置を優先させます。
メインボードのマップはモジュラーボードを組みわせで作るタイプのやつなので毎回形が変わりますが、今回のマップは僕に有利な河口の土地が左下辺りに固まってます。そこを抑えない手はないとばかりにみなさんが契約獲得や取引をされているのを尻目にコマ配置です。
コマの種類と特徴をざっくり書くと、加工不可の羊毛を生む羊コマ、牛乳→チーズが作れる牛コマとチーズ工場、パンとウイスキー、両方の原料にできる小麦と加工用のパンコマ、ウイスキーコマ、各ラウンドの収入を増やす木こりコマと鉱夫コマです。
コマの価格は大抵10金前後ですが、小麦コマのみ18金と他の2倍くらいの価格になってます。小麦はパンとウイスキー、2つの加工品の材料になりますし、そもそも小麦コマひとつで小麦を2つ生産するので価格差は妥当なんでしょうけど(他のコマはコマひとつから、資源ひとつしか生みません)。
お金がある限りアクションできることを考えると実質的にお金イコールアクションポイントとも言えそうですが、ラウンドごとの収入を単純に増やす木こりコマと鉱夫コマは配置制限がある(森や岩山にしか置けない。そのため僕の能力である河口に安く配置と合わないことが多い)のと、資源売ればいいやという考えで後回しにして契約達成につながりそうな小麦とウイスキーとパンを置きます。
ちなみに初期資金は大抵50数金ですが、コマひとつの配置に十数金(小麦コマは二十数金)かかるので、1ラウンド目に配置できるのは4コマ前後です。2ラウンド目以降はパス時にもらえるお金と配置済みのコマからもらえるお金や資源を売った金になり、それらは少なくとも序盤は50金なんて大金にはなりません。
そんなわけで1ラウンド目の動向は大事だったはずで、如月さんは氏族の特徴を活かすべく小麦コマとウイスキーコマを配置。UKINさんは牛やチーズ工場も置きつつも、開始時に木こりコマ鉱夫コマをひとつ多く配置している強みを活かそうとされたのか更に木こり&鉱夫をどんどんと配置。Blueroseさんは配置は加工用の工場コマ中心にしつつ、『他プレイヤーのコマと隣接した際はそのコマが生産する資源を相場より安く買える』ルールで資源を買い集めてました。Blueroseさんの氏族の能力は市場に売る時と他プレイヤーから買う時に発動する(売買が1金有利になる)のでそれも考慮されてのようです。

(たぶん1ラウンド終了した当たり)
そして2ラウンド目の開始です。ゲーム開始前に経験者の方が「なかなか契約達成できない」と言っていたこともあり、みなさんの手元にまだ必要な資源が揃ってなかったので契約達成は次のラウンド辺りからかな?とのんびり構えていたら、UKINさんやBlueroseさんといった肉類の不要な契約を取っていた方々はサクッと市場から足りてない資源を購入して契約達成、そして次の契約を取ってきます。
前述の通り契約が補充されるのはラウンドをまたぐ時だけなので、またもや残り物をとるしかありません…。
でも、如月さんはパン作れないから、僕の達成しやすいパンが含まれた契約残るだろうと思ってましたが、如月さんが力を入れてたウイスキーが必要な契約はひとつもなく、それなら報酬の良いものをと(残り物の中で)僕が狙っていたのは如月さんがとっていってしまいました。
あちゃーと思いはしますが、そもそも1ラウンド目に獲得した契約を達成しないと次の契約を取れません。1ラウンド目に達成しやすい契約取れてればなーと少し思いますが(そもそも、5金に目が眩んで1ラウンド目に無理して獲得してるのが自業自得ではありますが)、そんなこと言ってても始まらないので僕の契約に必要な羊を配置していきます。
そして、達成可能にはなったものの新たな問題が。契約に肉が含まれる場合、達成時に肉にするコマはメインボードから除去されて個人ボードに返ってきます。このゲーム、最終得点計算時につながっているコマの数をプレイヤー間で比べてトップには結構な点数が入ります(『つながっている』がちょっと特殊なんですがここでは割愛)。
あとから配置し直せばいいやと思ってたんですが、除去した位置に乗っとる形でコマを置ける場所にBlueroseさんと如月さんがいます。メインボードの四隅には港があり、ゲーム中に一回だけではありますが、フリーアクションでお得な行動ができます。その港にたどり着くための土地を僕が塞いでしまってたんですが、まさにそこが開くわけで、飛び込まれない道理がありません。そして、飛び込まれると僕のコマ達は分断されてしまうと。
契約達成は今やらなくてもいいか?いや、結局達成はするわけだし、そもそもこれ以上羊コマ(少なくとも当面は)置きたくないし…とうんうんしばらく悩みましたが、よくよく見ると如月さんは配置に必要なお金が手元になく、最低2手番かかりそうです。Blueroseさんだけであれば、僕の分断を優先すると港へ向かう土地を僕に埋められる危険性があるので恐らく分断より港を優先されるはずです。
よしよし良かった良かったと初めての契約達成!
分断されないかと冷や冷やしていましたが無事分断もされずに肉になった羊の代わりのコマも配置できてひと安心です。
僕はようやく1つ目の契約を達成したわけですが、UKINさんはもう3つ目を手に入れようとしているところ。ラウンド頭の選択肢が沢山あるうちに自分の達成しやすいものを選び、そのラウンド中にサクッと達成、達成しやすいものが残っていれば取り残っていなければ次ラウンド頭の補充まで待つという契約達成に有利な流れを作られているようです。
僕はこのラウンド中に2つ目を取るか、それとも(5金値上がりしますが)次ラウンドまで待つか迷いましたが、次ラウンドまで待つことにしました。
そして、3ラウンド目。出てきた契約書は…、うーん、微妙w。とっても達成に苦労したら意味ないしなあと思いながら色々考えていると、個人ボードに書かれたアイコンが目につきました。そういえば、チーズ、パン、ウイスキーの加工工場のコマは手元から全てメインボードに置き切ると『山から3枚で契約書を引き、1枚選んで買える』というルールがあったのをすっかり忘れてました。よっしゃー!これだー!3枚も引けば1枚くらい良いのあるだろ!領地も増えて一石二鳥だ!と、個人ボード上に残っていたパンコマ2つを配置して契約書を引きます。
うむ!3枚とも微妙!
まあ、コマ配置のアクションのおまけで引けてるんだから手番は得してるのでよかよかと肉が不要なものを選択しました。基本的には契約達成が大変なものほど得点にはなるはずなので、まあよかよかです。
僕も契約には苦労していましたが、それ以上に苦労されていたのは如月さん。
如月さんはウイスキーメインにコマを置き、それなりの生産量をお持ちだったんですが、ウイスキーが必要になる契約がでてこない!(この後もそれは変わらず、ウイスキー絡みの契約はゲーム終了までほとんど場に出てきませんでした)
仕方ないのでウイスキーを売る→チーズやパンを買う→契約達成と手間をかけてされてましたが、ウイスキーは僕も作っていて、僕もウイスキー売って金にするというところは同じ。
このゲーム、売られると価格は下がり、買われると価格は上がるという非常にベーシックな市場の作りになっており、手番のアヤというか、流れの問題で、僕が売った後に如月さんが売ることが多く、ちょっとずつ損されてました。
あと、僕はあくまで売ってできたお金はコマの配置に使い、資源を買うことは控えて、契約はできるだけ自分のとこで作られたものを使っていました。売るのも買うのも資源ひとつにつき、商人コマがひとつ必要になり、ゲーム開始時には商人コマは2つしか持っておらず、毎ラウンド2回の売り/買いをやったらおしまいです。
商人コマを増やすアクションをすれば毎ラウンド可能な取引数は増えますが商人コマもタダではないので、迷いなく投資というのも若干難しいです。UKINさんは最初から商人コマ数が多い氏族でしたし、Blueroseさんは取引が有利な氏族だったので商人コマは序盤から増やされてました。
そんなわけで、如月さんは契約書の出方にもろに影響を受けてしまわれてました。
UKINさんは契約達成数で先行されていたのですが、その原動力はお金!資源を生産するコマよりも現金収入をあげる木こりコマ、鉱夫コマを優先して配置し、契約達成時にもらえる効果で収入改善も手に入れ、2ラウンド終了時点で全ての木こりを配置、4ラウンド目には鉱夫も全て配置されて僕ら他プレイヤーの1.5~2倍近いダントツの現金収入を得た上で契約達成に必要なものはほとんどお金で買われてました。
それと同じく力を入れられていたのが、ラウンド最後に得られる得点です。ゲーム開始時にランダムに並べられますが、とにかく毎ラウンドの最後に「外周沿いに配置したコマ2つにつき3点」とか、「改善してる能力の段階につき1点」とかの条件を満たしているぶん得点というのをしっかり見て、ちゃんと計画的にできる限りの数を達成されていたようです。

(市場ボードと契約書が並ぶボード。左端に並んでいる盾が毎ラウンドの目標というか点数になる項目です)
それからも契約達成数ではUKINさんがトップを走り、Blueroseさんと如月さんが追従、僕は少し遅れてついていくというゲームは進みました。
最終得点計算時にもらえるボーナスは、契約達成数のトップ3人と領地の広がりトップ3人です。結構な傾斜がついていてできればトップを取りたい、というか、契約達成数はもう今からめくれないのでせめて領地では…!と頑張ります。

(中盤~終盤あたり。僕の黒は左上からぐるっとまわして右上のポツンと離れているコマにつなげたかったのですが、白のUKINさんや青のBlueroseさんも左上あたりにコマをおきそう(置いてきた)ので無理と判断して空いている右下に伸ばしていきます)
序盤から契約に必要なものを商人から買うのではなく、自前で作ること主体にしていたのが活きてかなりのコマはメインボードにおいてましたし、実際どうなのかな?勝てるのかな?と領地数を数えて見たところ、たぶん、逆転は無理という程度の差をつけていることが判明。
領地は単純にコマ数が多ければいいわけではなく、隣接していない自コマの塊の数を数えるルールです。川を挟むとそれは隣接してない扱いになるのですが、僕の氏族の能力『河口に隣接する土地に配置する際の安くなる』だと自然と川を挟むような配置が増え、そこ以外に置くの嫌だなと勝手に飛び地気味になるということのようです(配置ルールがあるので完全な飛び地にはできません。正確には湖(や川)を挟んだ飛び地)。
とはいえ、ゲーム終了時には契約書にかかれたタバコや綿花といった輸入品も結構な得点(書かれた数の3~5倍点)になるので基本的に契約達成数が多い方が強そうなのも確か。
他になんか得点になりそうなのないかなーと色々見た結果、ゲーム終了時に残っていた資源が得点になり、加工品ならひとつ2点ということが発覚!(インストは受けてました)
コマ優先でおいてた僕にはこれだ!と小麦、パン、ウイスキーを置ききり、最終ラウンド後の収入でパンとウイスキーを4つずつ獲得、2×8=16点だ!と夢見ましたが、氏族の能力を使ってもわずかにお金がたりません。
諦めるか…と思いましたが、マップ右下の港の能力『メインボード配置済みのコマ2つを個人ボードのコマと置き換える』がありました。最もやすい羊コマを配置後にウイスキーコマに置き換えれば数金浮くのでなんとかなりそうです。
やったぜ!と羊コマを配置し始める僕を「肉が必要な契約も持ってないのになぜ今更羊を…?」と奇異な目で見られましたが、港の能力を使うとみなさん納得してくださりました。
すまん!置き換えの港くん!ゲーム開始前にこの港の能力だけ微妙だねーとかみんなで話しててすまん!
ウイスキーコマ置ききりによる契約書獲得もしっかり得点にし、最終ラウンドはちょっと多く契約が達成できました。
が、それ以上に契約達成が加速したのがUKINさん。領地数で3位にも入れなそうと気づいた後は、チーズ生産のために配置していた牛コマをどーんどーんと肉に変える!有り余る現金収入&最大まで増やした商人で買い物しまくる!で僕らが2つ達成、やったーとかやってる横で3枚4枚と達成しようとされてます。これはやばいでしょと如月さんに狙ってる契約書をカットされてましたが。
それでもUKINさんがゲームを通して一番うまいことやってるように思っていたので、UKINさん勝ったと思うけど最終得点計算やりますかーと色々な点数を加算していったところ、なんか僕が勝ってました。僕を含めた全員が、いやいやいや計算間違ってるでしょ(UKINさん勝ってるでしょ)wとみんなで検算したのは面白かったです。
契約書に書かれたタバコや綿花などの輸入品からの得点も最後に計算するのですが、輸入品一つあたりの点数は、全員の契約書に書かれた数が一番少ないものが5点、その次が4点、一番多いものが3点とゲーム終了時に決まり、これがUKINさんは一番点数が低くなった綿花の数が大半を占め、僕は綿花はほぼなくて、点数の高いタバコとサトウキビの数が多めだったため、変なドラマが起こってしまったようです。

(ゲーム終了時)
【感想】
めっちゃくちゃバランスが取れていて、すごい遊びやすい/遊び方の自由度の高いゲームです。
遊ぶと個性がないように感じてしまうんですが、それは、偏りなくバランスが取られた市場(お金と資源)まわりの調整のせいだと思います。
クランズ・オブ・カレドニアは領地の拡大や毎ラウンド設定された得点条件の達成などといった超長期、超短期のゲーム指針も提示されているんですが、主には契約書を獲得→必要な資源を集める→達成ということを繰り返すゲームです。
契約書を達成するためのどうアクションをするかというパズルを途切れずに、それまでの資産を継承しつつ、何度も繰り返していきます。
この契約書達成にいたるルートの自由度が高く、どれを選んでも基本的には差がつかない作りになっています(と思ってしまうくらいバランスが取れてます。差がつく話は後述)。
なので、「収入はお金特化して、資源は買う」だとか、「お金は全部コマの配置に使って、生産した資源で契約達成する」だとか、プレイヤーの好みだったり、最初に選ぶ氏族の能力にあわせたプレイをどのようにしても、ストレスなく、『俺の選んだ戦術、うまくいってるぜ!』となるような作りです。
他と比べてちょっと効率の良い行動だったり、得点手段だったりをプレイヤーが探し当てる部分に楽しさだったり、その行動の選択権を競わせる部分に面白さを作っているゲームとはちょっと違ってます。
単純に、『自分の選択を気持ちよくプレイさせることによる面白さ/楽しさを感じさせる』ゲームです。
契約達成のルートの自由度が高いと書きましたが、その根幹は、お金の価値のバランス良さ、損得が自分の中に閉じられた手番、間接的なプレイヤーインタラクションで構成されているように思います。
収入としてお金を得るコマ、資源を得るコマに大きく分かれますが、オールマイティなリソースだが商人を増やすという事前投資と市場からの購入というワンクッションが必要になるお金、コマの配置のみで契約達成に必要な形で手に入るが汎用性はなく、契約書次第では使えないものになってしまう資源という関係です。
多少の手間を許容して手堅い汎用性を取るか、ギャンブル要素もあるがはまれば手が早い方を取るかという形です(もちろんハイブリッドもありです)
これをゲームの特性(有利不利)でなく、自分の性格で選べて、しかも、差が出ないって何気にすごいことだと思います。
※お金と交換できない資源も一部ありますがお金の万能性を適度に具合に下げていていい感じです。
お金をどう運用するのかと、資源をどう生産してどう使うかは似ているようで、人によっては全く別の思考回路を使うかと思うのでそこの選択肢があるのは良いことやと。
実際に使う際にはそこまで気になりませんが、アクションに必要なお金がある程度高いこと、様々な価格設定があることの2つによって、1金の価値/重みを下げているのも遊びやすさに貢献しています。なんども書いてますが得点へのルートの自由度が高いので余程固執しなければ、ぐがああああ、1金足りねええ!と煩悶することはそうなく、今できることをやって、収入入ったらやればいいやとか、やっぱりこっちでいいやとなる場面が多いように思います。
んで、自由度が高くてインタラクションも強いと正直やってられないというか、他人に潰されないアクションを探したり、他人の機嫌に気を揉むことになるんですが、クランズ~はそんなのとなく、基本的には自分の好きにできます。
これは自分の箱庭の成長であるところのコマの配置について、どこに置くかはゆるい制限(他人と同じとこはダメ、2種類コマ(木こり鉱夫)のみ場所指定)がありますが、何を置くかはお金さえ用意できれば制限なしなので、描いた生産計画は実現できますし、ワーカープレイスメントでもないので、その他のアクションを含め、計画通りにプレイできる気持ち良さがあります。
計画通りにプレイできると書くとソロゲーか?と思われるでしょうし、実際遊んでみても、ソロゲー??と感じる場面もあるんですが、僕にはクランズ~がソロゲーというのは違和感があります。
それは、メインボード上の配置合戦であり、市場の価値の変動でありという、システム側に決められない、調整も入らないプレイヤー同士のアクションによってしか定まらない部分があるからです。
恣意的に他人に影響を与えられる場面はそうありませんが、確実に他人のアクションによって計画の微調整を要求されます。
頼むからこの一周はXXアクションしないでくれ〜と祈ることもあります。
精緻な計画通りに進むわけではないが、妥協策や代替策が用意されており、ゆるーいインタラクションの影響をうけつつ自由度の高いアクションの海を自分のやりたい方向に泳いでいく。精緻な計画がたてられるわけではないのですが、僕は緩いのが好きなので、これくらいが丁度よかったです。
真面目な人は、毎手番状況が変わって長考を誘発されるとも思うので、そこは周りの人にとってはよろしくない要素ではあるんですが。
しかし、ゲーム中のプレイは大変楽しいのですが、勝ち負けに関してはプレイングの上手い下手以上に、契約書の出方、引き運に左右される結構運の要素が高いのは気になります。遊びやすさ、カジュアルさに運要素が貢献しているのは確実なんですが、気する人はいると思います。
プレイングの楽しさ重視か、フェアな勝ち負けまで含めて真にバランス良いと言えるんじゃないかと上を見始るとキリがないですが、まあ、僕はプレイングが面白く、勝ち負けは運で決まるというゲームの方が好みなので、欠点とは思いませんがそういう面もありますということで。
やりたいことが、自分の好みに合わせて、ほぼやりたいようにできる。ちゃんとインタラクションもある。優等生なゲームでした。
(優等生過ぎて個性がないかのように感じてしまう面は弱点と思いますが)
汽車は進むよ(ポチョンク)/Jedzie pociąg z daleka

(4人でインスト込み30分ほど)
【概要&ルール】
線路の書かれたタイルを配置して汽車を駅まで進ませるゲームです。
ニューヨークスライスピザ(もっとホイップを!)やシトラスのデザイナーであるジェフリー・アラーズの2017年の新作で、Nasza Ksiegarniaという花見小路やカルタヘナといった他パブリッシャーの軽中量級ゲームをポーランド語版にローカライズしていたパブリッシャーが、近年、オリジナルゲームを出し始めている中の1つになります。
各プレイヤーに駅と線路がかかれたフレームと、タイル、4色の汽車が配られます。
プレイヤーは配られた自分用のタイルをシャッフルして各自の山を作り、汽車を既定のスタート位置に置きます。
ゲームは以下を終了条件を満たすまで繰り返します。
1.全プレイヤーが一斉にタイル1枚を自分の山から取り、フレームの縁、または配置済のタイルに隣接するように配置する。
2.配置したタイルによって接続された線路にあわせて汽車を移動させる。
※どの汽車も移動できない位置へのタイル配置は禁止(スタートから埋めていく必要がある)
汽車が移動してタイルに入るたびに移動点として、1点を得る。汽車が移動して別の汽車にぶつかった場合は、2両ともゲームから除外する。
汽車を移動させたことによって、駅に到達したら得点ボードの該当の駅の該当の順位のとこにトークンを配置する。もし同ターンに複数プレイヤーの汽車が同じ駅に到達したら、全て順位は同じものとして扱う(1位が3人とか)。この場合、次に到達したプレイヤーの順位は同着者数分とばした順位になる(1位が3人なら、次に入ったプレイヤーは4位)
1つの駅に到達できる汽車は各プレイヤー1両のみ。もし既に汽車1両が到達している駅に自分の別汽車が到達したら2両目の汽車は順位点はもらえず、汽車をゲームから除外する(1両目には何も起こらない)。
「移動可能な汽車がいない(全ての汽車が駅に到達または衝突によってゲームから除外されている)」、または「全てのタイルが配置された」のどちらかでゲームは終了し、ゲーム中に獲得した移動点に、駅への到達点を加えてもっとも点数の高いプレイヤーが勝利します。
※ルールブック上では、駅への到達点だけで勝負するのが基本ルールで、移動点のみで勝負するのがバリアントルール1、到達点+移動点で勝負するのはバリアントルール2という扱いになっています。プレイ内容と合わせてバリアントルール2で↑は書いてます。

(4人用の得点ボード。最高点が高い駅は順位が落ちた時の点数の落差が激しく、最高点がぼちぼちの駅は順位が落ちても点数はさほど下がらない配分になっていて、最高点の駅への到着争いは熱くなります)
【プレイ内容】
キノさん、Kさん、Blueroseさん、僕の4人で。
会場が閉まるまで30分ほどしかなかったのですが、会の前半でキノさんたちが遊ばれていたのが楽しそうだったのと、せっかく訳してきたのだから自分でも遊びたい!ということで、のんびりしなければ終わるはずと立てることにしました。
非常に可愛い見た目ではあるのですが、うっかり他の汽車のいる線路とつなげてしまうと、汽車同士で
タイルには、各辺2本ずつ線路があり、1タイルで8本の線路が出たり入ったりしています。それが素直にまっすぐ突き抜けていたり、単純に右に曲がっていたりすればいいんですが、ちょっと曲がっていたり、トンネルに入っていて見にくくなっていたりと判断ミスをしそうな絵柄で、序盤にそうそうぶつかるようなことが起こるはずがないのに、ビクビクしながらプレイ開始です。
思わぬ事故を防ぐため僕がとったのはできるだけ単純な線路にしようという作戦。安全第一です。
まず、1枚目のタイルを配置して、そこに汽車が2台入り、真っ直ぐ行ったり曲がったりでとにかくタイルを抜けて2点とやってると、みなさん3点、3点と。あれー?とよく見てみるとフレームは駅かUの字の線路のどちらかのみで脱線するような線路にはなっていません(脱線というルールはないので当たり前と言えば当たり前なんですが)。
なので、フレームに向けて汽車を走らせてタイル→フレーム→タイルで走行点を稼がれていたようです。
なるほどと思いはするものの、上に進ませたい汽車が右や左に向かいそうになるのはやはり心配になので、とりあえず、寄り道させるのはやめて、スタート位置から最も遠い場所にある紫色の駅を目指します。
紫色の駅はトップで到達した時の点数は20点とゲーム中最高点です。

(最高点である右上の紫駅目指して優先してタイルをおいていきます)
当たり前といえば当たり前なんですが、突出するような形でタイルを置くと進ませられる汽車の数は少なくなります。そんなわけで1両だけしか前に進んでないのをちょっと不安になり、他も進めるか…?とスタートから1タイルしか動いていなかった汽車たちを動かすべくスタート近くにタイルを配置していると…、
キノさん「紫色の駅に到達しました」
Kさん「同じく」
Blueroseさん「みんな到達なら私も到達させます」(同ターン到達なら同着扱いで同じ点がもらえるので)
みんな、真っ直ぐ紫色の駅目指してたのか…、自分のとこばっか見て全くまわり見てなかった…。と後悔もしますが、これで紫色の駅に到達しても僕は4位ということになり、1点しかもらえません。1位扱いのみなさんは20点なので19点差です。いやいやそれはないだろうと紫色の駅の近くにあるオレンジ駅にルートを引きました。ここの1位は17点と紫駅に次ぐ点数です。
危ないところでしたが、今度はちゃんと周りを見つつ他の未到達の汽車たち用に線路を敷いていきます。
またトップがとれそうだったのでピンク駅目指して進めていたところ、あと1マスというところでピンク駅に真っ直ぐ向かうタイルを無事山から引いてよっしゃよっしゃと思ったのですが、ん?これもしかしてとくるくるとタイルを回して見たところ、寄り道しながらピンク駅に到達できることが判明!

(結果からすれば、すぐ上のピンク駅に到着するんですが、ぐるぐるぐるぐるまわって7点も獲得できました)
移動点がここまで僕は1,2点しか稼げておらず移動点を2〜4点ずつくらい毎手番稼いでいたキノさんとはかなり離されていましたが、この7点でかなり追い上げました。
よしよしと残りの汽車も進めます。さすがにもう終盤でほとんどの駅で1位は決まっており、2位になんとか滑り込みたいところです。とりあえず残りのうちの1両は『1位でも9点と高くはないが、4位まで全部同じ点』の黒駅に手堅く到達させ、最後の1両をまだ2位があいている緑駅を目指させます。
近くまでは来たものの良いタイルが引けません。とにかくすぐ右にある駅に到達したかったのですが、狙ってたような線路があるタイルは引けず!
もう会場の閉まる時間も近づいていたので、ええーーーい!とタイルを適当に配置しました。

これがなんと、列車がシュッポシュッポと色んなタイルをあっちこっちして…。

当初の狙っていたすぐ右の駅になんと到達してしまいましたw。
そして、これが11点のビッグムーブ。この11点のおかげで数点差で高得点駅に先着していたみなさんを追い抜いて勝利することが出来ました。
【感想】
タイル1枚を配置した時の変化のダイナミックさとどうなるのかのワクワクがたまらないゲームで、短時間で終わるタイル配置ゲームでは一番好みで面白いゲームでした。
ダイナミックさがあって、何が起こるかわからないと言うと、運要素が大きいように聞こえてしまうでしょうし、タイル自体は選択の余地はなく手番頭に山の1番上のものを引くだけなので、運に翻弄されるのを楽しむゲームのように思われるかもしれません(僕もルールを読んだときにはそういうゲームだと思ってました)。
実際には、タイルは色々なバリエーションがあるものの、大抵の場合、そのタイルに入っていく汽車を希望の方向に進ませることができます。全てのタイルで行き止まりなどなく、1辺あたり2本の線路がある(4本の線路が色んな方向からきて交差したりして出ていってる)ので、当たり前なんですけど。
タイル単体で見るとプレイヤーの好きな方向に進めせられることはできますが、これが複数タイルが組み合わさったり、以前のターンにこうなることを考えずに配置したタイルがあると、あっという間にジェットコースターに変わりますw。
プレイ内容に書いたとおり、序盤は汽車を進ませたい方向に進ませることができますが、徐々に配置済のタイルが増えてきて、タイル同士の連結が増えるとゲーム終了間際の11点ムーブのように、ぐるぐるぐるぐーると、うおおいどこに行くんだ!?となっていきます。
この緩急というか、制御できる部分とできない部分が両方あり、駅への到達では制御が重要になり、移動点では制御できない(しづらい)部分が重要になるという、どちらも楽しめる作りになっていたのが大変良かったです。
僕は目先のことというか、いま目の前の状況に対処したり、だいたいの目標でプレイするのはまだできるんですが、長いスパンでちゃんと完成図を頭に描いてプレイするのはあまり得意ではありません。
タイル配置でルートや地図を作るゲームでも、数枚で作れるくらいのものはこういうタイルが欲しい、取りたいと作戦を立てて取り組めますが、もっと大きな絵を描くようなゲームはあまり得意ではありませんし、あまり楽しめません。例えば、カルカソンヌをやってもでかい町とか草原を作るのは苦手で、つい小さめの得点要素に飛びついてしまいます。キングドミノや2つの街の物語くらいの、理想形をぼんやり頭に置きながらも、基本的には出てきたタイルに右往左往しながらとりあえず、1,2手の最適解で進めていくようなタイプのゲームの方が好みです。
そういうこともあって、このゲームでもとりあえず到達点重視のプレイをしましたが、最後の方は偶然に助けられて思いもよらぬ大きな完成図を描けて気持ちよく遊べました。一方でキノさんはゲームを通して移動点が大きくなるような線路をちゃんと考えて作っていた(けど、終盤に間違えて閉じてしまったそうでw)と仰っていて、目先だけでなくちゃんとでかい完成図を描ける人は、それを実現することもできる作りになっていて、駅への到達点と移動点の組み合わせでタイル配置ゲームの両極端な遊び方のどちらでも楽しめるようになっています。
※ルールのとこにかいてますが、駅到達点だけで遊ぶのが基本ルール、移動点だけで遊ぶのがバリアントルール1、両方組み合わせるのがバリアントルール2です。
タイル配置ゲームは、目先にせよ遠大なものにせよ、とにかく理想像があって、それに大してままならないタイルの出方によって、計画を妥協・変更させられるところに悩ましさが、計画通りのタイルが出てきた時に喜びが、全く妥協も変更も効かないどうしようもないタイルが出てきた時にがっかりがあり、それらが楽しさにつながっていると思ってます。
汽車は進むよは、計画(理想像)に幅をもたせ、妥協・変更はタイルの引きでなく、他プレイヤーとの絡みに重点をおくなど、タイル引きによるがっかりをほぼなくし、悩ましさよりもかなり楽しさ方向にチューニングされているゲームです(見た目も可愛らしくそういう層向けと思われます)。
ゲーマー向けの悩ましいゲームでは決して無いですが、(大抵好きな方向に進ませられるとは言え)どの向きにすればいいのかとちょっとしてパズル的な楽しさはもちろんありますし、ワクワクとドキドキは是非体験して見て欲しいゲームです。
タイルが置けるのは汽車が動ける場所のみという制限はあるものの、どこに置くのが最適解かと、すべての経路を確認して遊ぶような人がいると長考しちゃうかもというのは若干気になります。ワクワクとドキドキをパッションで楽しめる方向けかと思います。

(箱絵もかわいいんですが、箱の中敷きもかわいいです)

(各プレイヤー、国(地方)が違うという設定のようで、タイルはプレイヤーごとに絵柄が違います。表面はもちろん、裏面も全部ユニークで、同じ絵はひとつもありません)
スパイア/Spires

(3人or4人でインスト込み30分ほど)
【概要&ルール】
塔を集めろ!尖塔を集めるんだ!でも自分のできる範囲でな。
なんかようわからんですが、(たぶん)名誉をかけて塔を建てる権利を取り合うゲーム。でも、各自のキャパシティ以上の分を取ると作りきれなくてマイナスです。
場にⅠ、Ⅱ、Ⅲの市場カードとその下に塔のカードが並べられます。

(市場はこんな感じ)
プレイヤーは、どの市場のカードが欲しいかを秘密裏に選び、せーので欲しいカードの市場と同じ数字の書かれたカードを公開します。
誰ともバッティングしなければ、そこにあるカードを獲得します。
バッティングした場合は、バッティングした同士で手札からカードを1枚ずつ出し合い、勝ったプレイヤー(※)が市場にあるカード、プレイヤーが出し合ったカードの全てを獲得します。
※カードには数字が書かれており、数字の大きいプレイヤーが勝利します。ただし、数字が小さくても取り合っているカードと同じ色のカードのほうが強いです(場にある、「青の32」のカードを取り合う場合、各プレイヤーが赤46、緑71、黒53とプレイしたなら、数字の大きい緑71をプレイしたプレイヤーが勝ちますが、各プレイヤーが赤46、緑71、青26とプレイしたなら、同色である青26をプレイしたプレイヤーが勝ちます。同色が複数枚プレイされたなら同色内で数字の大きいプレイヤーが勝ちます)
獲得したカードは手元に並べておきます。

(塔は全部で6色あり、終盤には手元の獲得したカードはこんな感じになります)
取り合いを行ったプレイヤーと市場にカードを補充した後、次ラウンドに移ります。これをカードが補充できなくなるまで行います。
ゲーム終了時は、手札を手元の獲得カードに加えた後で、以下の得点計算を行い、最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
・各色のカード×5点。ただし、各色4枚以上獲得していた場合、その色のカードは1枚マイナス1点
・カード右上に書かれたマークの数をプレイヤー間で比べ、各マーク最も持っていたプレイヤーにボーナス点
【プレイ内容】
Halさん、やざわさん、僕の3人で。
市場には3つの獲得候補が並んでいるので、4人なら必ずバッティングしますが、3人だとバッティングせずにすんなり取れることもありますし、そもそも3人で遊ぶゲームではないのでは…?とも思いましたが、もうおひとりいらっしゃるまでの時間合わせで、まあ、やってみましょうということでスタート。
とりあえず、3枚まではカード1枚5点になるので、なんでもいいから集めればいいやと適当に始めた結果、全くバッティングしない我々。
数ラウンド経過しても淡々と自分の取りたいカードを1枚ずつ集めてるだけの展開になり、おい、これ大丈夫なのかという空気に。
そこで黒のカードを取りにいった僕とHalさんがようやくバッティング。僕の手札には黒のカードがあるのでHalさんの手札にも黒がない限り数字に関係なく必勝です。そして、お互いにカードを公開すると、僕は黒でHalさんは緑。僕の勝ちです。
よしよしと場の黒カードと僕が出した黒のカードとHalさんが出した緑のカードを回収しました。
が、よくよく見てみると回収したカードを加えたことで、僕の手元には緑のカードが4枚に! 3枚で15点だったところが、1枚ぶっこまれたために一気に4枚でマイナス4点になってしまいました。点数が20点くらい下がってしまったことになります。
あーー、こういうゲームかーー。そりゃあそうだわあと今更ながら気づきました。
補充用の山札を見ると、まだまだカードはあり、どうも各色をどうにかして3枚以内におさめるのが大事なゲームのようです。
一応、市場に並ぶカードの中には手元に並んだカードを1枚、もしくは2枚ゲームから除外できる特殊カードも数枚あることはあるのですが、基本的に獲得したカードをなくすことはできません。
3枚と4枚とでかなり点数が変わりますが、4枚目以降はずっと1枚マイナス1点なので、これから後、逆に取りまくっても大した痛手ではないというか、マークのマジョリティボーナス点が最大20点とかなりでかいので、マイナス点になった色でマークを積極的に取っていくようにします。
もちろんマイナス点になっていない色でもマーク付きのカードが市場に並べば取りに行くわけですが、バッティングしてカード勝負になるとやざわさんが強い!取り合いに負けるなら負けるで、やざわさんがマイナス点になるようなカードを出していけばいいんですが、マーク付きのカードだったり、ちょうど良い色が手札になかったりでうまくありません。
結局、マジョリティは2つのマークで取れたものの、3,4色がマイナス点になり、普通に素点が高かったやざわさんが勝利されました。
そして、ゲーム中にいらしていたちとさんも参加いただいての2戦目を即座に開始。
4人だと必ずバッティングするわ、一気にカード集まるケースが増えるわで非常にスリリングなゲームになりました。今回もマジョリティ重視のプレイングでしたが、バッティング後の取り合いで負けるばかりで全くカードが獲得できません。今回もバッティングするとやざわさんが強く、中盤過ぎても数枚しか獲得できておらず、正直マジョリティとか言ってる場合じゃない状況です。
しかし、一気にカードを獲得して枚数で追いつくには、バッティング後の勝負で勝つしか無いので、バッティングしやすい人気カードを狙って取りに行きます。そして、そろそろ終盤かという場面で、4人バッティングの取り合いを制し、一気に5枚獲得!
なんとか勝負できる枚数にまで増やすことができました。
マジョリティも2つのマークでトップを取り、よし、これでいけるか!?と思ったものの、序盤の差が響いて、2戦目もやざわさんが勝利されました。
その後、面子を変えて、彼葉さん、タロ吉さん、僕の3人でも遊びました。
この時は彼葉さん、タロ吉さんのプレイスタイルがもうあからさまで、とにかく僕にバッティングしてくる彼葉さんとバッティングしないようにしないようにと人気カードを避けるタロ吉さんと、両極端でした。
彼葉さんとガンガンバッティングするわけですが、僕の手元がマイナスになるようにカードをぶち込んできたり、(カードがなかったのか手札を山札と交換したかったのか)単に弱いカードを出してきたりと、今市場にあるカードが欲しい、欲しくないだけでないバッティングの一歩先を見ているプレイングに翻弄されました。
それを尻目に淡々とバッティングを避けて1枚ずつとっていくタロ吉さんと、色が出るプレイングで楽しかったです。結果は、バッティングしまくって増えたカードの中で、マイナス分をプラス分で補えた僕が勝利しました。
【感想】
バッティングゲームに苦手意識と言うか、そこまで好きではないなあと思っていたのですが、このゲームは楽しめました。
バッティングをシステムの中心に据えたゲームだと、単純にアクション効率だけを考慮して行動を選択すると結局バッティングが発生し、何ももらえないか、もらえるものが減るというものの多く、素直に自分のやりたいこと、ベストだと思うことをやるのではなく、他人が何を選択するのかを読もうとすることに主眼、楽しさのポイントが置かれていることが多いです。
もちろんそれはそれで面白いシステムだとは思うのですが、「え?この農場を発展させようってテーマが置き去りになってない?」などとテーマ的にやるべきことと、システム的にやるべきことの差に違和感を覚えるというか、そこにある捻れのようなものが正直言って気に入らないわけです。
で、スパイアはどこが良かったのか、何故大丈夫かというと、バッティングすることが高得点や他プレイヤーとのさらなる絡みなどの起点になっているため、『バッティングを避ける必要がない』からです。
バッティングするメリットがあること、バッティング後に選択肢があることが楽しく遊べた理由です。
スパイアはバッティングしなければ各ラウンドで手に入るカードは市場にあるカード1枚のみです(例外パターンもあるにはありますが稀です)。しかし、バッティングすれば市場にあるカードに加え、取り合い時に各プレイヤーがプレイした全てのカードが手に入ります。もちろん取り合いで負ければ1枚も手に入りませんがバッティング時に獲得できるカード枚数の期待値は、1.25枚~1.5枚とバッティングする人数によらずバッティング無し時よりも多くなってます。
期待値は単純に人数で割ったものですが、取り合いしている市場のカードと同じ色、大きい数字が手札にあれば勝てる確信を持ってバッティングや、その後の取り合いに挑めもします。
※ルール説明で端折りましたがカード補充時に通常の塔のカードではなく、特殊カードである巻物を引いた場合、任意の市場に追加することができ、狙って価値の高い、バッティングを起こりやすくさせる対象を作り出せます。
これだけだと、バッティングすると少し得という程度なのですが、同色のカードを4枚以上持っているとマイナス点というルールがあるため、バッティングでは勝てなくても相手の点数を減らす、勝負に負けて試合に勝つ!という一手がうてるというのが、非常に大きいです。
しかも、この相手にカードをぶち込むことと手札をリフレッシュする(使ったぶん補充があるので)ことがつながっているため、仮に取り合いで勝てるカードも相手にとってマイナス点になるカードもないとしても、この手札では勝負にならないから手札入れ替えていこう、いまはマイナス点ではないが、渡したカードは楔になっていつかマイナス点につながるだろう!と負けてる割に気分良くプレイもできます。
バッティングゲームの大半がバッティング後に大半はがっかりしてしまう(その分成功時の喜びも大きいのはもちろんですが)一方で、スパイアのバッティングはほとんどの場合でポジティブな気持ちでプレイできました。
うまいことバッティング後の処理をプラスにもマイナスにもつながているので、他人にマイナス点を押し付ける場面をつくることで、バッティングゲームによくあるちょっとした他人の失敗に対する笑いというか、アクシデント性を残したまま、常にプラスの気持ちでプレイできるものに仕上がってます。
バッティング後にマイナス効果ではなく、プラス効果をつけるというのって安易にそういう作りにしてしまうと、プレイヤーが談合すれば良いだけになってしまうので、そう単純なものでもありません。スパイアでは、バッティング後のプラス(マイナス)は一方にだけ発生し、双方が同じように得することがない作りになっているのでうまく機能しているのではないかと思われます。
カードを受け取る、押し付けられるが、結局最後の最後まで加点になるのか、減点になるのか、はっきりしない、軽めのカードゲームであるというのももちろん大きいのでしょうが。
あと、スパイアはカード枚数(ラウンド数)が絶妙に調整されていることも感心しました。バッティング優先してカードを沢山集めたプレイヤーがマイナスばかりになるわけでもなく、バッティングを抑えて少なめの枚数を集めたプレイヤーが結局有利というわけでもなく、『この枚数ならカードを集めた/集めなかった方が有利だね』などと、語られない枚数に山札が調整されているように感じました。
僕は単純なので、ゲームのデベロップというと、ルール調整やカードの強弱などに目がいきがちですが、こういう繊細な調整もあるのだなと。