ディセプション:協力者たち/Deception: Undercover Allies,

(5人でインスト込み30分ほど)
【概要&ルール】
プレイヤーの中の誰が犯人役かを当てる、ゲームマスターありの正体隠匿系のゲームであるディセプションの拡張です。
拡張と言っても基本的なルールに追加はなく、プレイヤーの役職と凶器&証拠カードの追加のみです。
基本的なルールは、犯人役が当たりに決めた凶器カードと証拠カードを、ゲームマスターのヒントから当てるというゲームです。
(そんな詳しく書いてないですが基本ゲームの記事にもルール書いてます)
基本的には、ゲームマスター、犯人、捜査官(その他)でゲームとしては成立するのですが、人狼と似た感じで色々と能力を持った役職がいます。基本ゲームにあったのは、
・目撃者(捜査官側で犯人が誰か知ってる。犯人に当てられると捜査官側が負け。レジスタンスアヴァロンでのマーリン)
・共犯者(人狼でいう狂人)
ですが、拡張では、
・ボディガード(目撃者が誰か知ってる)
・検査技師(毎ラウンド終了時、GMに凶器カード、または証拠カード1枚が当たりかどうか聞ける)
・潜入者(毎ラウンド終了時、プレイヤーひとりの回答権を捨てさせることができる)
※検査技師と潜入者が入る際はラウンド終了時に全プレイヤーが顔を伏せる処理が入り、その時に能力を使います。
が追加されています。
・テーマパック
拡張とは別に公式サイトなどで販売されている北米、南米、ヨーロッパの文化的なモノを取り上げた凶器/証拠カードです。

(国旗付いてるのがテーマパックのカード)
おふざけにも取れるような内容のものもありますが、そこの国々で事件が起こったり、関係者がその国出身だったと妄想できたりします。
【プレイ内容】
拡張&テーマパックが届いたので、ディセプションが好きそうな方々が集まる会に持ち込んでみました。
立卓したのが閉会まじかだったこともあり、Hal99さん、ウキンさん、一味さん、タロ吉さん、僕の5人と、ちょっと少な目の人数で。
5人でも十分面白いゲームですが、ゲームマスター役もいりますし、7人くらいいた方がよいかと思います。
人数が少ない時は特殊役職を入れるのはルール上推奨されていませんが、せっかくだから新役職いれてみたいと検査技師はいれてみました。あとは、基本では弾丸コマ&紙製だった回答権トークンを、バージョンアップキットとして購入してた、顕微鏡コマ&金属製バッジに変えてみました。
凶器と証拠カードは基本ゲームのと混ぜても遊べますが、拡張&テーマパークのものだけが出てきた方が楽しかろうとあえて混ぜませんでした。
初回のゲームマスターはウキンさん。僕は普通の捜査官でした。
ひと通り全員に配られた凶器と証拠を眺めると…、

おい!ターミネーターおるじゃねえか!(小さく写してしまいましたが右上にいます)
タロ吉さんのところに殺人機械人という名のターミネーターが凶器の候補としてあります。
もうこの人犯人でいいんじゃないかなと言いながら、ウキンさんが顔を伏せるように指示をだし、犯人による凶器と証拠の指定も完了。ウキンGMが出したヒントは、
死因:出血死
場所:トイレ
でした。
出血死というと切ったり、刺したりと刃物系の凶器が有力候補と思われます。
では、刃物系の凶器カードを持っている人はと場を見てみるも、あまりありません。
血が出るかは状況次第でしょうが、刺さるということであえていうなら、リベット。ちょっと妥協してイグアナ。限界まで妥協してサボテンというところでしょうか。
で、誰のところにあるのかというと、リベットもイグアナも、サボテンもタロ吉さんのところ。
さらにタロ吉さんは証拠カードにパンツ(おむつ)を持っています。
(断頭台も一味さんのとこにありましたが、失血死かあ?ということより、証拠にトイレぽいのがないので除外です)
ターミネーターも持ってるし、この人犯人でいいんじゃないかな。
いやいや、いくらなんでも犯人特定しやすすぎるだろうと自分も含め、みなさんのカードを見てみますが、どう見ても出血死を示しそうな凶器はありませんし、どの証拠もトイレよりも他の場所の方がしっくりくるものばかりです。
カーリングの石で殴って、その傷から大量出血で死亡くらいのものしかありません(たぶん、この場合だと重傷が選ばれますが)。
一番怪しい回答(リベット&トイレ)が怪しすぎてまわりから回答されたため、2回外しはしましたが、最後に正解し捜査官チームの勝ち。何故、他に隠れ蓑にできる凶器も証拠もないのに選んでしまったんだと謎を残したまま犯人は逮捕されました。
まだ時間ありますということで、続けて2回目。
今度は僕が犯人役に。

今度はHal99さんのところに、証拠としてホッケーのマスク(というよりジェイソンマスク)と凶器としてエルム街の悪夢のフレディのようなかぎ爪が。
もうこの人犯人でいいんじゃないかなと思いながら、犯人役は僕なので、何を当たりの凶器&証拠にするか考えます。
配られた凶器候補は手裏剣、風船、整氷車(アイスリンクの氷を整えるアレ)、ロードローラー。どれも魅力的です。ロードローラーで押しつぶすのも素敵かと思いましたが、フレディも容疑に組み込めた方が楽しかろう&タロ吉さんのところに剣とマタドールのサーベルがあり、刃物系で迷わせられそうということで、凶器は手裏剣に。
証拠の候補は、インスタントラーメン、ナプキン(レストランでかけるあれ)、カナダ騎馬警官隊の帽子、ソンブレロ(メキシカンなつばの広い帽子)の4つ。インスタントラーメンはともかく、残りの3つは出てくるヒントタイル次第ではありますが特定はどれも難しかろうと適当にソンブレロを選びました。
今度のGMである一味さんが出したヒントは、死因が出血死で場所は森。あと特徴的なヒントとしては、現場のにおいが汗臭いとのこと。
おそらく出血死と森で忍者=手裏剣、においで衣料品であることを示されているのでしょうが、出血、森、汗臭いって、つまり、ジェイソンマスクとフレディのかぎ爪ですよね!
まさか2連続でそんなわかりやすい犯人ですかー?とか言いながら、しめしめと思う僕。
刃物を2つ持っているタロ吉さんもエプロンやジーンズという衣料系のカードを持っているので、特定はなかなか難しかろう。迷彩は完璧だなと思っていると、次にひかれたヒントタイルは肌の特徴で、刺青があったとのこと。
やばい。実際に刺青してるかどうかはともかく“和”イメージということで手裏剣が特定されるかも?と思っていると、Hal99さんが「宗教的なものとか、刺青しない文化の方が珍しいですからね。インカとか南米系の文化圏の司祭は刺青のイメージあるでしょう」と、ソンブレロが怪しいという主旨の発言をされます(ソンブレロはメキシコなんで中米ではありますが、ぴったりのヒントが出せるような融通の利くヒントタイルはなかなかでないので)。
うおい、やばいと思いつつも会話をソンブレロからなんとか離してゲームを続けます。
うーん、負ける前にこれは回答しておかないとなと、ジェイソンマスクとカギ爪で回答。僕が犯人ですし、これは当然外れですが、これが本当に悪手。
残っている捜査官はタロ吉さんとHal99さんのおふたりなので、できれば僕はお互いに怪しみあう展開に持っていくのがベターな展開だったにも関わらず、Hal99さんのとこにある凶器&証拠で怪しめるのはジェイソン&フレディしかないのにそれを僕がつぶしてしまったため、タロ吉さんから見ると僕の持ってる手裏剣から衣料品を指摘すればいいだけの状況になりました。
タロ吉さんのカードの怪しさをもっとあげるような発言をしてから、候補をつぶしに行っているように見せかける回答をすれば、Ha99さんに味方ですよアピールをしながら、タロ吉さんにまだ選択肢を残せたんですが…。
その直後にタロ吉さんから手裏剣&ソンブレロを指摘されて敗北してしまいました。
捜査官は誰も気づいていませんでしたが、犯行時間は日中というヒントも一味GMは出しており、日中→太陽→ソンブレロという意図だったとのこと。なるほど!
さらにタロ吉さんは検査技師で、すでに手裏剣と警官隊の帽子について正解かを確認されてたそうなので、どう口八丁を駆使しても逃げ道なかったようです…。いや、タロ吉さん本当にお見事でした。犯人に捜査官に八面六臂の大活躍。
【感想】
カードを拡張&テーマパックのものを使ったというだけで、ゲーム性が変わるような拡張の追加要素は入れられなかったので、あまり拡張の感想というわけでもないですが、ディセプションはやはり面白いゲームだと再確認できました。人狼ベースの正体隠匿系のゲームの中では一番好きです。
それは基本ゲームの時にも書きましたが、
・テーマが殺人事件でドラマや小説などでなじみがあるおかげで、こういう犯罪があったという想像しやすく、ゲームマスターと認識を共有させやすいので、正解を目指すゲームとして遊びやすいということ、
・テーマも相まって本当に“推理ごっこ”ができること、
・怪しみ推理する対象が具体的な凶器や証拠のカードでしかもそれはランダムに配られているので、(人狼系ゲームの欠点だと僕は思っている)個人を攻撃したり、責めたりということをする必要がないこと
の3点が主な理由です。
遊ぶ分には楽しいのですが、ヒントが伝わりやすすぎてゲームとしては犯人側が勝つのが難しいという欠点?もあったので、犯人側に回答権を捨てるという強い能力を持った潜入者という犯人側の役職が加わったのは良いことだと思います。最後までだらだらと検討を続けるという捜査官側のゆるみも改善できますし、ゲームの展開が変わってくる良い要素だと思います。
検査技師、ボディガードも強すぎるということもなく、ゲームの展開に変化がうまれそうですし、是非入れて遊んでみたいです。
拡張の凶器カード&証拠カードは意図されてかそうでないかはわかりまへんが、基本的なというか、よくある凶器や証拠は既に基本ゲームのカードにあるので、拡張の凶器&証拠は色物、特徴的なものが多くなってます。なので結果的に展開にメリハリがつきやすくなっているんじゃないでしょうか。
テーマパックの凶器&証拠も見ればわかる通り非常に特徴的なものばかりですし。
ディセプションの基本ゲームや拡張はトリックプレイさんやバネストさんに入荷することもあるようです(人気なのか入荷数が少ないのか、入荷後すぐになくなって、普段から在庫があることはあまりないですけど)が、アップグレードキットやカードだけのテーマパックやプロモカードパックなどは国内流通を見かけたことはないので、好きな方はパブリッシャーの公式サイトで売られてますので是非購入してみてください。
といあえず北米パック売ってるページへのリンクです(公式サイト)
あと、版によるかもしれませんが、うちのは基本と拡張でカード裏の色合いが微妙に異なってました。役職カードの種類によっては裏面でわかってしまうのでスリーブに入れるなど工夫が必要かもしれません(今回のゲームでは色合いが違うのに気づかなかったので問題ありませんでした。違うと言わなければ気づかないもんかもしれません)
メトロックス/MetroX

(4人でインスト込み20分ほど)
【概要&ルール】
出発進行!東京(または大阪)の各路線に数字入れて先に進もう!
めくられた数字に書かれた数字分、手元のシートに〇を書いていくゲームです。
プレイヤー全員に共通のシートが配られます。シートには東京や大阪の路線図を模した絵が描かれています。
(数字カードと手元のシートを一緒に写真撮ればよかったんですが、カードの写真撮るの失念してました)
プレイヤーの1人が山札から1枚めくります。ここに書かれている数字を各路線の始発の二重四角内に記入し、始発個所から一番近い空白のマスから路線に沿って数字分の○を記入します。
この時、既に○が書かれている別の路線と交差する場合、数字分の〇を書いていなくてもそこで書き終えます。
(空白マスで交差する場合は、書き終わる必要はなく〇を書きます)
・特殊な数字
山札には数枚特殊なカードが混ざってます。数字分の〇を書き終わる前に別路線の○書き済のマスと交差することになっても、そのマスをとばして先に進んで〇が書けるスキップ数字や始発駅から一番近い空きマスに出入りしている路線数×2の数字(=点数)を書き込める☆カードなどです。

(この上の画像だと、
まず青の路線に星を記入して1番近くにあるマスに路線数×2の数字(4)を記入。
次に緑の路線に3を記入して1番近くにある空きマス(=既に空いていない4のマスはとばして隣のマス)から○を3つ記入。
その後、ピンクの路線にスキップ数字の③(丸数字の3)を記入。普通の数字なら1マスだけ◯した後に緑路線と交差して既に◯が書かれてるマスで止まるとこをスキップ数字なので交差のマスをとばして◯を2つ記入。
という流れになってます)
・ゲーム終了&点数計算
全ての始発駅の二重四角が埋まったらゲーム終了です。
1つの路線の最後のマスまで〇を埋まっている路線から点数を得ます。点数は各路線で異なっており、また、ゲーム中にトップで埋めていると(埋めました宣言する)他プレイヤーよりも高い点が入ります。路線点と☆点を加え、最後に空きマス数に応じたマイナス点の処理をした点が最終的な点数です。
【プレイ内容】
Hal99さん、タロ吉さん、一味さん、僕の4人で。
まずはなじみがあるでしょう&大阪の方がちょっと難しめということで東京マップを遊ばせてもらいました。
各始発駅の二重四角の数をパッと見てみるとどの路線も2,3個のみで指示カードの内訳的によく出てくる数字は2,3,4あたり。終点までの長さは路線ごとに異なりはしますが、6~8マスということはないので、普通によく出てくる数字を適当に埋めただけでは路線の終点まで届かなそうです。
んでは、どうやって終点に届かせるかというと、
『複数路線が入っているマス(駅)はいずれかの路線で〇をつければ、他の路線でそこに〇を付ける必要がない(寧ろつけられない)』
というルールを活用して、路線の重複部分をうまいこと端折らせていくしかないようです。
東京マップではシートの中央から左下あたりが路線が複雑に入り組んで重複しています(永田町あたり?)。
そこら辺の重複が多い路線に先に○つけして、○つけ不要な路線を増やしてやろう!と思ってスタートしたつもりが、素点の高さに目がくらんでか日比谷線からスタートしてました(我ながら何故かわかりません)。
まあ、別に1度選んだ路線を終点まで行かないといけない制限もないので、中央から左下あたりを走っている銀座線、半蔵門線も〇をつけはじめますが…。
つらい!
中途半端に進めると
『既に〇がついているマスにぶつかるとそこでストップ』
のルールのせいで数字が無駄になります。
かといってある程度進めている路線を作ってないと星カードの
『マスにはいってる路線数×2点』
もらえる効果を高得点のマスに使えません。
あまり数字を散らしても終点までたどり着くのが遅くなり、トップ到着のボーナスがもらえませんし。
全部うまくやるのは無理なので、この路線は捨てた!と思っていたはずが、しばらくすると、あれ?こっち進めたほうが良い?なんで止めちゃったんだっけ?と頭のなかがてんやわんやのまま終了。
トップボーナスと星カードの点で高得点を稼いでいた一味さんが(タロ吉さんだったかも)勝利。
いや、これはうまいこと全く出来ませんということで続けて大阪マップをプレイ。
大阪マップはシート中央から始まっている路線があったり、路線が細かく入り組んでいるように見えます。
東京マップの経験から、うまいことやろうとしても混乱してしまってあっちこっちと手を出してどれも中途半端になる と思い、終点到着時の点数が高い路線で終着にたどり着くのを優先し、点数の低い路線は不要な数字を書き込むための捨て路線にすることにしました。
開始直後に5や6といった高い数字がでたのは、タロ吉さんたちがマス数の少ないニュートラムを終点にたどり着くのに使っているのを尻目に、初志貫徹でいかんとダメだと一番点数の高い谷町線に使い狙い通りにこれは終着にトップで到着。他にも高得点の路線で得点できましたが、交差をうまく使って先に進むという考えを放棄していたので、ゲーム終了してもかなりの空きマスが残ってしまいました。
マイナス8点と、谷町線の得点7点を打ち消してしまいましたが、星カードが序盤も序盤、まだ入っている路線数が多いマスまで進めているプレイヤーがいないうちに連発されたこともあり、そこまで星点の差がつかなかったこともあり、タロ吉さんと同点トップ(同点2位で、一味さんが勝ってたかも)になれました。
【感想】
全員が共通の単純な指示(タイル配置だったり、シートに◯×や数字を記入したり)に従うのにプレイヤー間で差がついていくゲームはいくつもありますが、僕が遊んだその種のゲームの中では一番工夫のしがいがあるゲームでした。
指示がランダムで、プレイヤーは決まったことに対応するだけというゲームだと、どうプレイすれば良いのか、どうすれば高得点になるのか。次の一手が自由にならないのであれば、要はギャンブルです。
そのギャンブルをサイコロの期待値だったり、残りのカードの内訳だったりで少しでも得点が有利になる方や待ちが多くなる方、または、確率は低いけど点数の高い方などなど、プレイヤーの個性を出しつつ指示への対応をしていって、ギャンブルに勝った負けたの阿鼻叫喚が発生したり、阿鼻叫喚にならないよう対応成功したやったぜというのが、この種のゲームの面白さだと思います。
メトロックスもそういったギャンブル性はありますし、ぎゃー、欲しいのこなかったー/やったー欲しいのきたーとカードがめくられる度に声が上がってはいましたが、それに加えて、ギャンブル性の絡まない箇所で高得点を取るための工夫ができます。しかもシンプルな形でです。
路線の重複箇所は、別路線を先に進めることで小さい数字で終着駅にたどり着くようにできる&入っている路線数の多いマスの手前で○をとめて星がでるのを待つというのがその”工夫”なんですが、特に前者は、この路線書き込める数字少ないし終着までたどり着くの無理だろうと思っていたところでもたどり着けるようになったり、やったぜ感がかなりあります。
いいゲームだなーと思うのは上記の”工夫”もどの程度点数に結びつくかは結局のところギャンブルで、うまくいかないこともあるということです。
A路線を効率良く進めるためにB路線を先に進めたら、B路線と交差している別のC路線との間のマスが1マスしかなかった!スキップ数字こないと死ぬわ!だったり、いつまで経っても星カードが出てこないー。他の路線の都合もあるし、ここで止めておくのもう限界!だったり。
このうまくいかないは、カードの引き運が悪かったせいとは言え、自分で”工夫”した結果なので、自業自得だってことでひどい状況を(ゲームですし)笑えるんですよねw。
そもそも得点要素が、終着までたどり着いている(先に進んでいる)+入っている路線数の多いマスに星カードの数字をかく効果を使う(星がでるまで止まっている)の、進む系と止める系で相反してるので、悩ましくないわけありません。
”工夫”も単純なものとはいえ、重複箇所をどう進めるのが効率的なのかって考えるのだけで面白いっていうひといると思うんですよね。僕は混乱して、うがーってなっちゃいましたが、静かに考えてみたい気持ちはあります。
コアシステムは流用して、ルート構築やピック&デリバーのボードゲームにして欲しいくらいです。きっと面白いに違いないと思うんです。
ブラック・オーケストラ/Black Orchestra

(4人でインスト込み2時間半ほど ※カードテキストの英語直読み&歴史的な背景の話がところどころ挟まれるという素敵プレイ環境でです)
【概要&ルール】
ヒトラー閣下は素晴らしい人物だよ → ヒトラー閣下についていってはダメなのでは? → うおおお、ヒトラー暗殺じゃあああ → いや、やっぱり素晴らしい人だ → やっぱダメだ!タマとったらあああとヒトラーに対する思いがいったりきたりしつつ、ヒトラー暗殺グループの一員になり、ヒトラー暗殺を目指すゲームです。
プレイヤーはヒトラー暗殺を試みるひとりとなり、全員が協力してヒトラー暗殺を成功させれば勝利となる協力ゲームです。
プレイヤーの手番は以下の流れで行います。
1.ナチス幹部の場所チェック
マップ上でプレイヤーと同じ場所にナチスの幹部たち(ヒトラー、ヘス、ゲッペルスなど)のコマがないかを確認します。もし幹部コマがあるなら、幹部ごとに決まったペナルティを手番プレイヤーが受けます(ヒトラーならやる気減少、ゲッペルスなら特殊能力使用不可など)。
複数の幹部コマがある場合、その全てのペナルティを受けます。
2.アクション実施
いくつかの選択肢から3アクションを実施します。一部を除いて、同手番に同アクションを実施可能です。選択肢には、
・アイテム獲得:今いる場所に落ちているアイテムを獲得する
・共謀者カード獲得:共謀者カードデッキから共謀者カードを1枚獲得します。共謀者カードには弱い効果を持った合法カード、強い効果を持った非合法カード、条件を満たすことで暗殺が実行できるようになる暗殺計画カードがあります。
・移動:隣接するスペースに移動します。ゲームが進むに従って移動可能範囲は変化します(開戦前のゲーム序盤はドイツ国内のみ、戦線が進むに従って東西に移動可能範囲が増えていきますが、終盤はドイツが劣勢になるため逆に移動可能範囲が狭くなっていきます)。
・共謀:(1手番に1回のみ)残りのアクション数の内、任意の数を消費し、それと等しい数のダイスを振ります。ダイスはタカの目(第三帝国の目)、数字(1~3)、照準の目があり、数字がでるとその数字分のアクション数を獲得し、照準の目だとモチベーションをあげるなど特殊効果が得られます。ただし、タカの目がでると同じ場所にいる全プレイヤーの容疑レベルがあがります。
・解放:刑務所に捕まったプレイヤーを救出します。ダイス判定があり、失敗すると解放する代わりに自分が捕まります。
・カード効果/特殊能力などの使用:右向き矢印のついている能力を発動させます。特殊能力はプレイヤーキャラクターごとに異なるものを持っています。
・暗殺計画実行:暗殺計画カードに書かれた条件(ヒトラーが○○にいるなど)を満たしている暗殺計画を実行します。暗殺計画カードに書かれた副条件(所持アイテムやキャラクターの属性(市民/軍人など)など)に応じて、ダイスを獲得し、その全てのダイスを振ります。出目の条件を満たせばヒトラーの暗殺に成功したことになり、勝利です。
などがあります。
3.イベントカードを引く
イベントカードデッキからイベントカードを1枚引いてその効果を解決します。イベントカードの効果はプレイヤーにとって良い物も悪いものもあります。
半分ほどが歴史上、実際にあったイベントになっており、ゲームが進むに従って時代が進んでいくようになっています。
イベントカードの中に、「ゲシュタポの手入れ」カードが何枚かあり、このカードを引くと、容疑が最高レベルになっているプレイヤーは逮捕されて刑務所に入れられたり、非合法のカードを持っていると容疑レベルがあがったりします。
・刑務所について
ゲシュタポの手入れによって逮捕されたプレイヤーは刑務所へ収監されます。他プレイヤーが迎えに来てくれ、ダイスロールに成功すれば刑務所から解放されます。解放される前に刑務所にいるプレイヤーの手番が回ってきた場合、尋問カードを引きます。
尋問カードには「書類を公開する」「仲間を売る」「抵抗する」のような選択肢が書かれおり、そのいずれかを選択し、指示に従います。プレイヤーは尋問カードの内容を他プレイヤーに見せることはできず、相談することもできません。
選択肢の中には、手番プレイヤー以外に不利益なものもありますが、他プレイヤーは手番プレイヤーの選択に口出ししてもいけません。
その後、イベントカードを引いて手番を終えます。
【プレイ内容】
ウキンさん、さくらさん、如月さん、僕の4人で。
まず最初に各プレイヤーのキャラクターを決めます。適当に顔で選びつつ、一応、所属は万遍なく出るように選びました。
設定されているわけではありませんが、たぶん、この人がメインの人と言われた映画ワルキューレでトムクルーズが演じたXXを、せっかくだからとウキンさんが担当、僕は外交官のおっさん、さくらさんと如月さんは諜報部所属の軍人さんです。

(キャラクターシート。名前、どんな人物か、特殊能力などがかかれてます。ゲーム中に変化するパラメータはモチベーションと容疑レベルだけです)
それぞれの能力は、ウキンさんが手番のアクション数が他プレイヤーより1多い4回、僕はイベントカードの上から3枚を見て任意の順番に入れ替えれる、さくらさんは扇動して同じ場所のプレイヤーキャラのモチベーションを上げる、如月さんがアイテムを捨てる(たぶん賄賂的なものに使ってる)ことで、いずれかのプレイヤーキャラの容疑レベルを下げるです。
ただし、この特殊能力はモチベーションが3段階目以上になっていないと使えません。
モチベーションは重要なステータスで1段階目だと共謀カードの所持上限が少なくなったり、暗殺計画を実行するためには4段階以上でないとならないなど、色々と制限に関わってきます。
モチベーションというと“やる気”のように思ってしまうかもしれませんが、ヒトラーへの心酔度的なものも表しており、これヒトラー閣下大丈夫なの? → ぶち殺さんとダメだな!というような上がり方をします。
では、どうやってモチベーションを上げるかというと、以下のいずれかになります。
・共謀者カードの効果を使用する
・共謀アクションで照準の目を既定数出す
・アウシュビッツなど、強制収容所のある場所に移動する
・イベントカードの効果
アウシュビッツなどの強制収容所のある場所に移動可能になる(たぶん実際に作られる年代に達する)のは、ステージ4以降なのでまだ使えませんし、イベントカードも完全に引き運次第です。
ぶっちゃけた話、今回が初プレイで共謀者カードやイベントカードの中にモチベーションを上げる効果があるというのを知らなかったので、共謀アクションしかないねということでダイスロールです。
共謀アクションは容疑レベルがあがるリスクはありますが、アクション回数が増える可能性もありますしダイス振った方がよかろう(振りたい)と、スタートプレイヤーのウキンさん、次手番のさくらさんと続けて3アクションともダイスに変えてダイスロール!
ウキンさんは7、さくらさんは6とアクション数が倍増。
期待値は3なので、お二人ともかなり大きい目がでてます。
暗殺計画などでアイテムは使うので、とりあえず、どこに何があるか伏せられているアイテムをめくりながら移動しつつ、共謀者カードも引きつつでお二人とも手番終了。
そして、3番手の如月さんの手番になったわけですが、
僕:「如月さん、これはやばい流れですよ。僕ら2人のどちらかでオチがつきます」
でも、振るよねーと振った3つのダイスの出目は、タカ、タカ、1!
容疑レベルが2段階上がって、一気に最高値のExtremeになります。あれ?確か…とルールを確認してみると、同じ場所にいるプレイヤー全員の容疑レベルが上がるということなので、同じスタート地点にいた僕も容疑が最大に。

(超疑われるひとに)
いやー、うっかりしてましたねー。同じ場所にいるなら一歩動いてからダイスロールですねーとか言いながら、波乱の幕開けです。
とはいえ、容疑レベルが最大になったといっても、すぐに悪いことが起きるわけではありません。
イベントカードでゲシュタポの手入れカードが引かれなければ、ほぼ制限なく行動できます。ゲシュタポの手入れが出たら即逮捕ですが。
さらにいうなら、ステージ1ではほぼやることがないというか、まだ戦争が本格化してないため、ドイツ国内の狭い範囲しか移動できませんし、前述の通り、モチベーションが上がらないと暗殺はできません。なので、ひたすらアイテムをめくって、共謀者カードを引いてというどちらかと言えば淡々とした手番が続きます。
暗殺計画カードを引けば、その計画に必要なアイテムを集めるなどの動きもできたのですが、今回はカード運が悪く、ステージ2中盤くらいまでずっと合法カードばかり引いてました。
なんというか、レジスタンス的な動きをしているのかというと、特にそんなこともなく。色んなところを移動して何があったこれがあったと言いながら、たまに酒を飲んで「ナチスはねえ…。いかんですよ!」とくだをまく(共謀アクションをする)という、そこらのおっさんのロールプレイをしているみたいな状況です。
ヒトラーやその副官たちが手番開始時に自分と同じスペースにいると、モチベーションが下がったり、アイテムを失ったりと禄でもないことが起こるので、避けたいといっても、これもイベントカードの効果での移動ですし、たまに「一番近いプレイヤーのところに移動」とかいう指示もあるので、基本的に避けようはありませんし、手番開始時に、なので、途中で同じ場所に来てもまたイベントでどこかにいくこともあります。
運任せとは言え、避けたいと思うのは当然で、総統官邸やベルクホーフ(ヒトラーの愛人が管理してた別荘がある)などは、たぶん来るから留まるのはやめとこうとみんな言ってました。

(党大会?でニュルンベルグに集まるヒトラーと副官のみなさん。「ニュルンベルグトイフェアだなと」言うのはボードゲーマーのお約束)
ステージ2の中ごろ、イベントカードを引くとそこには「ゲシュタポの手入れ」の文字が!
特に悪いことをしてたわけじゃないけども、集まって反政府的なくだをまいていたということで、容疑レベルが最高だった僕とさくらさんが逮捕されました。
ようやく動き始めたレジスタンス的な我々。
容疑レベルが最高ではないプレイヤーが刑務所まできて解放アクションをしてくれれば、逮捕されたプレイヤーを解放できますが、残念ながら解放される前に僕の手番がきてしまいました。
逮捕者の手番は『知ってることを吐け!』と書かれた尋問カードを引き、その指示に従わなければなりません。
尋問カードには、仲間を売る(仲間の容疑レベルをあげる)、計画をばらす(解放される代わりにアイテムだったか暗殺計画カードを捨てる)、抵抗する(ダイスロールで成功すれば解放)という選択肢が書かれていました。相談せずにどの選択肢にするか選ばなければならず、結果に他プレイヤーは文句をいってはならず、カード自体も公開されることなく山札に混ぜられるという、代官し放題システムではありますが、さすがにみなに迷惑をかけるのは気が引けるというか、できません。そんなわけでダイスロールでの判定にかけます(失敗するとアイテム捨てるだか、モチベーション下がるだか、結局ひどい効果であったんですが)。
なんとなんと1/6の判定に成功して、僕は単独で解放されました。次手番のウキンさんがさくらさんも解放して、全員無事出所です。
暗殺計画カードがなかなかでないため、結局、どのアイテムが必要なのか、不要なのかわからない状況ではあるものの、容疑レベルを自発的に下げるにはアイテムを届ける(指定の場所にいってアイテムをゲームから除外する)しかないので、ぼちぼちとアイテムを届けて容疑レベルを下げます。
ステージが3から4に入ったあたりでようやくウキンさんと如月さんが暗殺計画カードを獲得して、暗殺に向けてアイテムを収集したり、ヒトラーの動きを注視したりし始めます。

(ステージ3のイベント、パリ陥落!)
そして、ステージが4になったので強制収容所が完成。アウシュビッツやトレブリンカといった強制収容所のスペースに移動すると、容疑レベルが1上がる代わりにモチベーションが2段階上がります。
「強制収容所なんて作って、ユダヤ人にこの仕打ち…。ナチ野郎め…。許せねえ!!」
てなもんで次々にやる気になるプレイヤーのキャラクターたち。

(強制収容所のスペースに訪れるとやる気があがります)
そしてモチベーションが上がれば各キャラクターの能力が解禁されるため、一気にいろんなことができるようになります。
さくらさんのアジり能力でイベントなどでモチベーションが下がればまた上げ直し、ウキンさんは常時アクション数+1で僕らよりも多くのことをこなし、そして、僕はイベントカードの上3枚をみて、並べ替えれる能力で、先に起こること、ゲシュタポがいつくるか、副官たちはいつ移動するかなどをみんなに伝えます。ゲシュタポがきそうなら、如月さんの能力で容疑レベルを下げて逮捕を回避します。
なんか、協力ゲームらしくなってきました!
モチベーションが上がれば暗殺計画も実行できるので、手元に暗殺計画カードのあるウキンさん、如月さんは機会をうかがいます。僕とさくらさんは必要なアイテムを渡すなどのサポートです。
特に僕の引いた共謀者カード“真実の瞬間”は、暗殺実行時に振れるダイスを2つ増やせるめっちゃ強いカードです。これを暗殺チームに渡さないとなりません。

(たぶん実用度最高のカード。青がちょっと効果弱めの合法のカード、赤が効果強めの非合法カードです。非合法カードはゲシュタポの手入れが入る度に捨てるか、容疑レベルを上げるかの選択がはいります)
まず準備完了したのがウキンさん。実行条件はヒトラーが警戒地域(タカのマークつきのスペース)外にいる時で、まさに今ヒトラーは警戒地域外。次の手番で行きますという話をしていたところ、ちょうど僕のモチベーションが下がってイベントカードを見れなくなっていたタイミングだったこともあり、直前でヒトラーは警戒地域に移動。チャンスを逃します。
ステージ3,4、5あたりはドイツがイケイケの時期で、軍事的に優勢(さっきのパリ陥落とか、ポーランド占領とか)なイベントが多く、ヒトラーの警備レベルが上がりがちで条件を満たしていてもダイスロールに失敗しそうで暗殺に踏み切れません(暗殺時のダイスロールの目標値=ヒトラーの警備レベルです。大抵の暗殺計画は準備し尽してようやくダイスが4つになるくらいなので、ヒトラーの警備レベルが4以上あると暗殺する気になりません)。
しかし、ステージが進むと徐々にドイツの旗色が悪くなるイベントが増えてきます。つまり、ステージ3,4,5と逆にヒトラーの警備レベルがイベントで下がるわけです。
そろそろ暗殺できそうじゃないと、次は如月さんが動きます。
如月さんの持っている計画は、ヒトラーがステージ3,4,5に開放されるいずれかの場所にいることが条件。3,4,5で開放されるスペースは東部戦線、要はソビエト側です。この暗殺計画カードは、「同じ場所に全てのプレイヤーがいればダイス+2」という条件があります。ちょうどヒトラーが東に移動していたので、いくか?いってみましょう!では決行で!と全員で東にいるヒトラーの場所に向かおうとした時、撤退するようなイベントがあり、3,4,5で開放される地域から追い出されてしまいました。


(如月さんの持ってた暗殺計画”待ち伏せ”と、タイミング悪く発生してしまった戦線から退却してくるイベント)
なかなかうまくいきませんねと言い合いますが、そろそろステージは最後である7に入ります。
ステージ7のデッキが尽きるか、ステージ7のデッキの中にあるアジトがばれるイベントが出てきたら終わります(イベントカードは数枚ゲーム開始時に抜いているので、起こらないイベントもあります)
如月さんは実はもう1つ暗殺計画を持っており、条件はヒトラーが警戒地域にいること。アイテムは毒とカギがあればダイス追加です。
毒はお持ちですが、カギはお持ちではありません。しかし、ウキンさんが持ってます。アイテムは同じスペースにいる仲間が持っていても効果は同じなので、ウキンさんもヒトラーのとこにいけば如月さんのダイスが増えることになります。
警戒地域外に移動すればウキンさんが暗殺実行し、警戒地域に移動すれば如月さんがやりましょうと確認しつつ、僕がイベントカードを見ると、ヒトラーはどうも警戒地域に移動してくる模様。
ではと、ウキンさんはその移動先に待機。そして、そこにやってくる如月さん。
長かった。ゲーム開始から2時間強、ようやくヒトラー暗殺のチャンスがやってきました。それでもダイス6つを振って、4つ照準の目を出す必要があり、成功率は高いとは言えません。
しかし、振らねば勝てぬのです。
ルールに則り、振るダイスを手に取り、心を落ち着け、立ち上がって、勇気を持ってダイスロール!歴史を作る瞬間なのだ!
(ルールにほぼまんま書いてあります)
結果は…。成功!すげー、如月さんすげーと盛り上がり、ヒトラー暗殺成功で幕を閉じました。

(官邸での暗殺に成功!)
官邸に戻るという情報を手に入れた我々レジスタンスは、国防軍の軍人であるウキン氏の手引きにより、官邸に入った如月氏はヒトラーのいる部屋のカギを受け取り、そのまま毒ガスを持って突入。見事本懐を遂げたのであったという感じじゃないかと。
「とはいえ、ノルマンディ直前にヒトラー暗殺してもあんまり歴史変わったとはいえないねw」
確かに!
【感想】
不満を持った人物たちがじっくりじっくり準備を重ね、少ないチャンスをなんとか見つけて、暗殺にまでこぎつける。
協力ゲームによくある目の前の逼迫した、どんどんこなしていかないと敗北につながる細かいタスクが存在せず、ひたすら大目標の達成に向けた準備と機会をうかがうという、なんというか、独特のプレイ感のするゲームです。
面白いか面白くないかと言われると、面白いのは間違いありません。
しかし、逼迫したタスクがなく、やってることは暗殺計画カード引かないかなー、強い効果のカード引かないかなー、暗殺計画に使えるアイテムどこにあるかなーと、明確にこれをやろうあれをやるべきがなく、運任せにカード引いてアイテムを表に向けているだけなので、正直、ぬるいと感じます。
モチベーションが上がるまでは暗殺の実行もできないので、ダイスロールとカード引きを延々としてる手番が何度かあります。
普通なら、このゲームやれることねえぞ!となるわけですが、ブラックオーケストラは何しろ歴史的な背景という、有無を言わさぬ歴然とした事実があるため、「この時期はヒトラーを暗殺する理由がない」というのもまたわかるわけです。大してあるわけでもないモチベーション(このゲームのモチベーションはヒトラーに対するやる気(懐疑度だったり許せない度だったり)です)で、仲間うちで集まって酒を飲んで文句をぶちぶち言ってる状況が目に浮かびます。
それが、戦火が徐々に大きくなり、ユダヤ人の強制収容所が作られ、どんどんドイツ国内の状況は悪くなってくる…。イベントによって背景をプレイヤーに認識させながら、キャラクターのモチベーションがどんどん上がってくるのは本当にドラマチックです。
モチベーションも上がり、暗殺計画の準備が整っても、ヒトラー暗殺の機会はなかなか訪れません。前線だったり官邸だったり、ヒトラーは様々なところを目まぐるしく移動しており、いざ計画の実行にぴったりの場所に、タイミングよく自分も訪れ、暗殺できる機会はまさに千載一遇。警備をかいくぐり、暗殺を成功させられるのか!? 実際にヒトラー暗殺は何度か企てられ、ことごとく失敗してるという事実を知っていれば、低めのダイス目にも納得できますし、このゲームの面白さのポイントは、「暗殺(ダイスロール)の機会を何度ゲーム終了までに設けられるか?」というところです。
今回は最後の最後に1度だけのチャンスがきて、それを逃さずに成功したという回を記事にしましたが、別のところでは、『ゲーム序盤に暗殺計画の準備は整うがヒトラーと同じ場所に行けずに断念。そこから警備レベルが上がってしまったので、ひたすら待ち続け、後半に差し掛かったところで、ヒトラーが駅にひとりでいるとう情報を得てスーツケース爆弾での暗殺を試みるもダイスロール失敗。さらにヒトラーが移動するために乗った飛行機に爆弾をしかけるもまたまた失敗。刑務所から出所したばかりの男がラジオ放送にて国民に呼びかけ、(社会的に)殺そうとするも成功までダイス1つ足りずに失敗。その直後、全員で官邸につっこんでクーデターを決行して、ようやく成功!勝利!』という、ひたすら失敗という回もありました。
“暗殺の機会”は運任せでもいいんですが、ヒトラーを移動させるカード、イベントを1ターンだけ起こさなくするカード、移動力をあげる特殊能力、先のイベントカードを見れる能力など、カード効果と各キャラクターの能力の組み合わせで、「今ならその機会を作り出せる!」という瞬間が訪れます。それを逃さずに、僕がこうするから、Aさんははこうして、そして、Bさんが暗殺実行だ!と、コンボ的に協力しあう瞬間があり、しかも、それが素晴らしく気持ちいいんです。
淡々と、うっぷんがたまるような展開が続くせいもあるとは思いますが、その準備期間、どういう状況を作り出せばヒトラー暗殺まで持っていけるのかを作っていく期間。まさに暗殺を企てているようなゲームで普段は何もあまり起こらない、淡々としたプレイ感と、一気に盛り上がる瞬間の差が最高なゲームでした。
繰り返しになりますが、歴史的な事実が背景にあるというのがやはり強く、色んな所に説得力ができているだけでなく、ゲーム終了間際に暗殺できてもなあとか、逆にゲーム序盤に暗殺すれば、すげえ!でも、なんで殺したの?とか面白いことになるんですよね。
特に今回のプレイでは、ウキンさんがウォーゲーマーだからか、ここら辺の歴史に詳しく、色んなイベントの詳細や、プレイヤーキャラクターの背景、ゲームと歴史的な事実がどの程度あっているか等々、色々と途中途中にお話ししてくださり、それも大変楽しかったです。
例えば、ロンメル死亡のイベントが起こった時、
ウキンさん:「ヒトラーの暗殺に関与してたの疑われて殺されたんですけど、それは隠されて病死ってことで国葬になったんです」
僕:「ほー。ロンメルって砂漠行く前はなにやってたんですか」
ウキンさん:「山岳部隊の隊長とかですね。この人ね、ベストセラー作家なんですよ。歩兵の戦い方に関する本を書いたのがベストセラーになって、ヒトラーの目に留まったんです。」
僕ら:「ほほー」
ちょっと聞いただけでツラツラと大量に薀蓄がとびでてくる!
知らなければ単なるフレーバーですが、イベントカードのデッキは1ステージだいたい1年くらいになっており、実際の出来事が順番にでて(順番的に整合性がとれなくなるようなイベントは、「キーイベントが既に出ていたら無視する」という注釈があってとばされます)。きますし、いくつか気になるイベントだけでもゲーム中にWikipediaでも検索すると良いかと思います。
そのイベント自体は知らなくても、詳細を知ることで自分の知っている有名どころの知識と結びついて気分が上がるので是非お試しください。
※今回は最高でしたが、嫌がる人がいないか、長すぎないかは各卓でお気をつけくださいませ。
カリマラ/Calimara

(5人でインスト込み1時間半ほど)
【概要&ルール】
カリマラとはフィレンツェにあった布ギルドのこと。プレイヤーはギルドの一員となり、布を生産しヨーロッパの有力都市に卸したり、協会の建築資材を寄進することで影響力を増やすのだ。
コマを送りこむのに色んなルートがあるエリアマジョリティのゲームです。
プレイヤーは時計回りに手番を行います。
手番には、アクションディスクをボード上の既定のスペースに1つ置くだけです。
ボード上には9種類のアクションが3×3に並んでおり、そのアクションの間がディスクを置くスペースになっています。
(アクションをA~Iのアルファベットで表現し、スペースを○とすると、
A○B○C
○ ○ ○
D○E○F
○ ○ ○
G○H○I
という感じです。)

(写真貼れやという話なのではっときます)
アクションは中央の1つを除いてゲームごとにランダムに配置されます。
ディスクを置くと、そのスペースに隣接するアクションが両方実行できます。
このアクションディスク、既に置かれているスペースにもディスクを重ねておくことができます。
その際は、配置したプレイヤーがスペース両隣のアクションを実行した後、下側の(重ねられた方の)ディスクの持ち主(置き主)が両隣のアクションを実行します。
これはディスクが3つであっても同様に、一番上のプレイヤー → 真ん中のプレイヤー → 一番下のプレイヤーとディスクの持ち主が両隣のアクションを実行します(複数ディスクの持ち主が同じプレイヤーであっても、異なっていても処理は同じです)。
そのスペースの全てのディスクのアクションが解決されたら手番が左隣のプレイヤーに移り、そのプレイヤーがまたディスクを置いて…と終了条件を満たすまで続けます。
・アクションについて
アクションはシンプルなものばかりで、石材を1つもらう、材木を1つもらう、レンガを1つもらう、手元にある素材(石、木、レンガ)を1ついずれかの寺院に寄進する、手元の素材を消費して船/商館/工房のいずれかを作る、石を消費して彫像を寄進する、工房で布を作る、手元の布を船で都市に出荷する、手元の布を商館に出荷するの9種類です。
アクションが実行できない(消費する素材がない、生産/もらったものを置く個人ボード上のスペースがない)場合、いずれかのアクションが書かれているカードを山札からドローします。
このアクションカードは自分がアクション実施中であれば手番でなくても任意の枚数使うことができます。
・決算について
寺院や都市単体、輸送方法、素材の種類などなどのくくりでどのプレイヤーのコマ数が多いかの決算を行います(布でも素材でもコンポーネント的には各プレイヤーカラーのキューブで見た目に変わりはありません)。
決算場所はゲーム開始時に1列に並べられ、その順に決算が発生します。
決算発生のタイミングは、既に3つのディスクが重なっているスペースにさらにディスクが置かれた時で、この時、4つ目が置かると一番下のディスクがはじき出され、アクションはディスク3つ分しか行われません。はじき出されたディスクが決算列に置かれます。
・ゲーム終了について
全ての決算が起こるか、または、全プレイヤーがディスクを使い切ったらゲーム終了です。
最後に、各プレイヤーにゲーム開始時に配られる秘密の決算カードの解決(その場所で決算)を全プレイヤー分解決し、最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
あらいさん、たる田さん、しのぽさん、一味さん、僕の5人で。
僕と一味さんが経験者で残りの3方は初プレイです。
決算の起こる場所は大きく分けて、寄進でコマを送り込むところと、布を送り込むところです。寄進はレンガや石材などの素材をそのまま寺院に送り込むか、石材を彫刻して送り込むかです。布を送り込むのは、いったん船や商館を作った後に布アクションで生産した布を船や馬車(商館への配布)アクションで街に送り込みます。
ちなみに布関連の決算は8回、寄進関連の決算は7回、ゲーム中に発生します。
どちらかに偏らせるのか、それとも万遍なくやるのかどうしようかと思ってましたが、僕の手番は5番手。とりあえず、みなさんの様子を見ようとしていると、レンガを取るアクションと木材を取るアクションとの間のアクションスペースが大人気で、ファーストプレイヤーのあらいさんから、たる田さん、しのぽさんと連続でそこにディスクを配置されました。
そして、一味さん、僕と続くわけですが、ちょっといくらなんでも同じスペースにディスクを置くのは前手番のプレイヤーのためになりすぎるだろうと、置きたい気持ちをこらえて別アクションを選択しました。後でも踏んでもらえるなら、今は先行プレイヤーが有利になっても別にかまわないっちゃ構わないんですが、ちょっと趣向を変えてみたかったのと、誰もまだコマを送り込んでないのにいきなり木材の決算(ボード上の木材寄進数の合計)を起こすのもなあと考えたからです(先に木材を取られているわけなので、後手番としては追いつけないので全員仲良くゼロ点という手もありはありですが、経験者がそういう手を打つのはなんかいやらしいなあとw)。
一味さんはレンガを取りつつ、馬車アクションを選択。馬車アクションは商館に布を送り込むアクションですが、布も商館もまだ持ってないのでこれはアクションの代わりにアクションカードのドローになります。この後も、一味さんはアクションカードを積極的に集めていく戦術をとられていました。
僕は石材を取るアクションと寄進アクションの間のスペースに配置。とった石材をそのまま寺院に寄進します。寺院は3つあり、それぞれ、寄進できる数が異なります。僕は真ん中の寺院を選択しました。これは最初に配られた秘密の決算カードがそこだったからなのですが、3つの寺院のうち、2つは見た目が似ており、間違えそうだったのでコマを置く前に一応カードを見て間違いないことを確認。
余談ですが、この時に寄進 → 石材獲得という順番でアクションを行うこともできます。寄進するものがないので、アクションカード獲得 → 石材獲得となりますが。
あらいさん、たる田さんは木材とレンガを複数個持っていたので、製造アクションができるスペースを選択されました。
製造で作れるものは全て布を送り込むことにつながっています。木材2つで作れる船は航路でつながっている街へ布を送り込む船アクション実行に必要ですし、船の数が増えれば1アクションで送り込める最大数が増えます。レンガ2つで作れる商館は陸路でつながっている街へ布を送り込む馬車アクション実行に必要で、商館のない街に布は送り込めないので、送り込みたい街が複数あれば商館も複数建てる必要があります。
レンガと木材1つずつで作れる工房は、1回の布アクションで作れる布数を増やします。各工房に1つずつ布はできるので、工房数=生産力です。
そんなわけで、あらいさんとたる田さんは布の生産&送りこみルートを選択されたようです。しのぽさんは迷われてましたが、寄進と布を半々くらいでやる模様。そして、僕と一味さんが寄進で争うことになりました。
僕は調子にのったというか、一度やってみたかったので、初手でおいた石材獲得&寄進のスペースに連続配置です。
他人にディスクを配置してもらわなくても、とにかくいまの手番プレイヤーが置いたディスクの下に自分のディスクがあればよいので、2手番目は2アクション、3手番目は3アクションです。石材の配置可能な場所は3寺院あわせて12か所。3手番で6つ石材を寄進したので、3寺院の石材の場所に、半分は僕のコマが置かれています。うーん、こんだけ馬鹿な手を打っておいて、あげくにタイブレイクで負けるのもバカバカしいなあと過半数を取るために、最終的には4つディスクを同じ場所に置きましたw。
(これは流石にやりすぎで、誰もディスクを同じところに置いてくれなくなってしまいました。もう少し乗ってくれる余地を残しておくべきでした)

(序盤)
たる田さんが途中、「如何に、ディスク1枚が3回アクション出来るかってゲーム」と仰っていましたが、そういう側面はあるかと思います。
あらいさんが序盤に工房&船を複数作られて、どばっと布を作り、どばっと街に送り込むという形を作られます。たる田さんは商館建設を優先させつつ、工房も最大数作って陸路で優位に立たれます。
しのぽさんは色んなところでいっちょかみはされているのですが、1位が取れずに苦しそうです(決算の種類に依らず、1位3点、2位2点、3位1点です)。
んで、寄進で争っている僕と一味さんですが、局所的に集中してマジョリティを一気に取りに行こうとする僕と、適度にちらしつつ決算順序を考慮しつつ徐々に優位を築こうとする一味さん。今回のプレイングだと性急すぎてこのゲームとあってないようで、ガッといきすぎて他人に乗ってもらえないのがつらい!
自分にすぐには不要なアクションだけど、他人にも需要がありそうなスペースにうまくディスクを一味さんは置かれているため、直接的なアクションへの配置数なら僕の方が勝っていても、他人にのってもらうことでアクション数を挽回したり、できないアクション選択からのアクションカード獲得&使用で、いざ決算する時には1つ差やタイブレイクで一味さんにトップを持って行かれる始末。
自分の手番にしかほぼ行動できない僕に対して、序盤から中盤にかけていろんな場所に置いていたディスクのおかげで色んな人の手番で動ける一味さんが有利なのは当然です。
自分の持っていた秘密の決算カードの対象の寺院でも一味さんに逆転を許し(コマ置く時にカード確認してたからわかったby一味さん)、一味さんが寄進系の場所でほぼ1位を取りつつ、アクションカードを活かして布にもちょっと手を出したりして点数を重ねられ、勝利されていました。

(終了図)
【感想】
エリアマジョリティのゲームって、すげえ当たり前なことをいえば、あるエリアに自分以外がマジョリティを取りに来なければ低コストで得点できます。人と被れば被るほど、点数に対してかけるコストがあがっていくので、「人と被りたくない」ゲームです。一方でカリマラのディスクが重ねられることで再度アクションができるシステムは「人に被せて欲しい」システムです。
このエリアマジョリティの勝負としてと、ゲームを有利に進めるためとで相反することが求められていて、そこが悩ましさ、面白さになってます。
“人”に被せて欲しいと書きましたが、カリマラの面白いところは“人”が他プレイヤーである必要はなく、自分で自分のディスクを踏んでも効果は他人が踏んだ時と変わらないところです。でも、自分で踏んでしまうと、「ここに置くと、こいつ2回も行動させちゃうのか。それは嫌だな」と他プレイヤーに避けらられてしまうようにもなります。
通常のエリアマジョリティのゲームだと、いかに目立たないかが勝ち負けに重要に関係してきますが、直接的ではないにせよ、他人に必要以上に警戒心を抱かせないプレイが勝つためには求められているように思います。
人と被りたくない/人と被りたいの矛盾は結局、人に注目されないことで解決される気がします。
そして、エリアマジョリティってもともと他人の動向を見ながら遊ぶ傾向の強いゲームかと思うんですが、毎ゲームランダムに配置されるアクションと決算順序がゲームの展開に大きく影響を与えて、毎ゲーム毎ゲーム、どう行動するのが良いのかをきっちり考えさせてくれるのが、やはり面白いです。
どのアクションスペースが使いやすいか、人も使いたくなるのか、決算順序からみてどこのエリアに手を付けていくのが良いのか、人が狙ってないところはどこか等々。ゲームと勝負しているだけでなく、人と勝負するのがやっぱ好きです。
といっても、ひと昔前のむき出しのエリアマジョリティというわけでもなく、今風のプレイヤー個人個人が手元で工夫する楽しさもあるというのも良いところで、手に入れた木材を船などに加工するのか、そのまま寄進するのか、船を作るにしても何隻作るのか、1隻余計に作るのにかけた手番を回収できるだけの効果が見込めるのか、船を作るなら工房も作って生産力を上げなくてよいのか、アクションをそのまま実行するのではなく実行順序を変えることでアクションカードを手に入れるようにした方が良いのかなどなどの判断が一本調子というわけでもなく、プレイヤーに考えさせて決断させる。その要素の入り具合がいい具合に手ごたえを感じさせてくれる程度になっています。
複数の決算個所や複数のアクションルート、秘密決算カード等で見えにくくはしてますが、そうはいっても、所詮はエリアマジョリティで、これどうやっても勝てそうにないとわかるとか、中盤までの布石がなければ逆転要素が薄いというのはありますが、そうはならないよう、しっかり考えてプレイすれば、その結果をきっちり返してくれる良いゲームだと思います。
バトルシティ・ボードゲーム/Танчики

(7人でインスト込み1時間ほど)
【ルール&概要】
ファミコン中期の名作と呼ばれているらしいバトルシティ大好きなロシアの方が、ボードゲームにしてやる!と作ったゲームです。(Танчикиはロシアでのバトルシティの”unofficial name ”(愛称なのか、海賊版の名前なのか不明)だそうなので、ほんとまんまバトルシティボードゲームです)。
箱絵とかまんまバトルシティのドット絵じゃねえか!大丈夫なのか?と思ってしまいますが、一応、ドット絵に見えるようブロックを組んで作ったような絵なのでセーフセーフ(たぶんアウト)。

ゲームは大きくファミコン版からルールが変わっています。元々は自分の基地(イーグルマーク)を守りながら、湧き出てくる敵を全滅させればクリアという面クリアタイプのゲームでしたが、敵を倒すか、イーグルトークンを取れば勝利点が獲得でき、終了条件を満たした際に最も勝利点の多いプレイヤーが勝ちというゲームになってます。
ゲームはアクションの書かれた手札をプロットして、一斉に解決していくとう形で進みます。
1.プロット:全プレイヤー同時に手札から2ヵ所に手札をプロットします。この時、同種(ターン系とか、前進系とか)のカードは複数出しできます。
2.アクション:2ヵ所のプロットの内、1ヵ所のカードを公開し、その内容通りに親から時計回りに戦車を動かします。
3.プレイヤーの戦車が進んだマス数に応じた行動力分、行動します。
4.プレイヤー&敵の全戦車が攻撃を行います。敵に弾が当たれば破壊して勝利点を獲得し、プレイヤーに弾が当たれば手札を規定枚数減らされます。
5.2枚めのプロット済のカードの解決を2~4と同様に解決する。
6.自分の山札から手札を上限まで補充する。
1~6を終了条件(イーグルトークンが規定数取られる等)を満たすまで行います。
【プレイ内容】
しのぽさん、たる田さん、ねんそさん、さくらさん、一味さん、タロ吉さん、僕の7人で。
1箱で遊べるのは4人までですが、2箱混ぜることで8人まで遊べるようになります。その場に2箱あったのでせっかくだから7人みんなでやろうということになりました。
(ルールでは人数増えてもボードは増やさないんですが、いや、狭いでしょう、信用できないということでボードを追加してた写真が↑にあります。人数増えても移動力変わるわけではないのでボード増やす必要なかったので、数ラウンド後に4枚に直してます)
僕&一味さん「てけててけて、てけててけて、てけててけて、てけててけて、て、ててて(バトルシティのステージ開始時のテーマ)」
(2手ではありますが)数手分プロットするゲームでちゃんと他人の動きを考慮しつつ、自分の行動を決めるというのはかなり難しいというか、ほぼ無理なわけですが、プロット解決ごとに必ず攻撃するというルールのため、かなり阿鼻叫喚の場になりました。
というか、初期配置でまっすぐ進めばイーグルトークン方面に進めたタロ吉さんが、何故か初手で方向転換し、まんまとそこに進んできた僕を攻撃w。得点にもならないのに何故、積極的に殴ってきたのかわかりませんが、もう次の行動までプロットしているのでどうしようもありませんw。
プロット時には、既にそこにタロ吉さんはいないはずだったので、「右を向く」アクションを選んでましたが、右を向くと見えているのはタロ吉さんの戦車の砲塔。
またもや攻撃を食らってしまい手札が減ります。まあ、この手札の減少自体はラウンド終了時に上限まで手札の補充があるので、大丈夫だったとは言え、危うく1ラウンド目から自分の戦車が死ぬところでした。
(手札は7枚、そこから2枚(+α)プロットしてラウンド開始 → 攻撃1回くらうごとに2枚捨てる、手札が足りなければ1機死んでスタート地点に戻るという仕組みなので、3発食らったら死にます。死んでもスタート位置に戻るだけっちゃだけなんですが)
しかし、僕の今いる位置は、1方はブロックに塞がれ、一方は水で進めず、一方はタロ吉さん戦車があり、何もない最後の一方は来た方向と、戻るのも嫌なので八方塞がりです。このラウンドの2回行動を通してタロ吉さんから攻撃されても死にはしないことはわかっているので、ブロックの方を向いてブロックを攻撃で破壊して抜けることにしました。
(ようはタロ吉さん戦車に閉じ込められている状態)
こんな風に僕とタロ吉さんがスタート地点から中々でられずにいる間に、残りの皆さんはさくっと隣のボードに進まれてました。
隣のボードまで行くと敵もいます。
敵の行動ロジックは、「射線の通る位置にプレイヤーの戦車がいればそちらに1マス進む」「複数いる場合は、方向転換の手間の少ない方を優先」「斜線の通る位置にプレイヤー戦車がいなければ1マス前進する」という単純なものなものなので、ある程度は読めはします(といっても近くに他プレイヤーがいるとそのプレイヤーの行動次第で押し出されたりして、敵の動きは読めても自分が思い通りに行動できないこともありますが)し、そもそも、プレイヤーの方に突っ込んできてくれる行動ルーチンなので、方向さえだいたい敵の方向いてれば倒せることも多いです。
そんなわけで、先陣を切って進んでいたさくらさん達が敵戦車を何台か撃破します。
敵は倒される度にストックからボード上に配置されます。配置場所はトークンの裏に書かれているので、いざ配置するときまでどこに湧くかはわからないのですが…、
なんとタロ吉さんに砲塔を向けられている僕の真横にこちら向きで登場。

(赤い戦車が僕、青い戦車がタロ吉さん、灰色の戦車は敵です)
これ死ぬんじゃないのかと一瞬慌てましたが、もう攻撃は終わっているので、攻撃があるのは次ラウンドの行動が終わってからです。
次ラウンドのプロットで冷静に敵戦車の方を向くカードを選択し、こちらも撃たれはしたもののそのまま敵を撃破します。
僕、ねんそさん、タロ吉さん、たる田さんは撃破するたびに近くに敵がわくのでその撃破を優先しますが、しのぽさん、一味さん、さくらさんはイーグルトークン獲得に真っすぐ進みます。
しのぽさんは敵の弾が当たらなくなる効果のある”森マス”の上に止まって敵弾を避けながら、カウンターで敵を撃破するといった華麗なムーブを見せつつ、イーグルトークンに向けて先頭を維持されています。
さすがに追いつけないなあと、先頭組は諦めつつ、近くの敵の撃破を続けます。

原作では赤い敵だけでしたが、ボードゲームでは敵を倒すと必ずアイテムがその場所に出現します。
敵が行動しなくなる”時計”や手札補充ができる”星”などです。時計は敵の行動が読みやすくなるので大変ありがたいアイテムだったりしますが、すごいのは”手榴弾”。
僕の倒した敵が落としたので獲得しましたが、その効果は「指定したマス中心に3×3の範囲を攻撃する」という爆撃みたいな効果で、獲得時にイーグルトークン手前に集まっていたプレイヤーを巻き込みつつというのも面白そうでしたが、真っ当に倒せる敵の数が一番多い所を選択しました。
その直後、しのぽさんがイーグルトークンを取ったところで、時間的に厳しくなったため、途中終了にしました。
終わった後、とりあえず処理は最後までやろうと、敵も行動させた結果、敵2体&さくらさんに3方向から撃たれて僕は1機死んだりもしましたが…。

【感想】
めっちゃくっちゃバトルシティじゃねえか!でお腹いっぱいになってしまうくらいバトルシティなんですが、意外なことにゲームとしても面白かったですw。
行動をプロットして一斉に解決するゲームだと、他人の行動とのバッティングをどう避けるか、確実に避けつつ手堅く行くのか、それとも、相手が避けてくれるのを期待してリスクを取るか…などといった真面目な読み合いのゲームと、わちゃわちゃと思いもよらない事が起こるのを楽しむゲームとがありますが、バトルシティはわちゃわちゃ寄りではあるんですが、一応真面目な方もいい具合に混ざってるゲームでした。
前述のとおり、2手ずつのプロットとは言え、他プレイヤーの行動を予測することはほぼ不可能なわけで、そのせいでわちゃわちゃするわけですが、勝利点の獲得に関して言えば、単純なルーチンでこちらに向かってきてくれる敵の撃破と、移動することのないイーグルトークンの獲得の2つなので、別に読み合いとかする必要もありません。
攻撃も自動的に行われるので、偶然、敵を倒したということもよくあるくらいです。
そんなわけで、ゲームの勝ち負けに関するところは、ほぼ思惑通りにプレイできるゲームだったりします。そこにランダム要素というかハプニング要素として他プレイヤーの行動が絡んでくるという感じです。
プロットが2手というのも、(手番順によっては他人の影響が大きくなることがありますが)比較的なんとか制御の効く1手目と、もうわちゃわちゃでなんじゃこりゃーってなりがちな2手目と、うまいこと完全にパーティーゲームというわけでもないというバランスに貢献してます。
勝つためには真面目にプレイしないとダメだけど、どうしてもドタバタが巻き起こってしまうというようなゲームです。
他プレイヤーや敵からの攻撃が当たると手札が削られていき、0枚になったら戦車が爆発して、スタート地点に戻るというのも、2アクションごとに手札はマックスまで補充されるので少々弾が当たろうが、全く問題にならず、ドタバタ具合だけを増幅してますし、戦車が爆発するまでダメージを受けるというのもそうそう狙ってできることはなく、また、自機の位置が変わるだけと、勝ち負けに深刻なダメージになることもそうないので、いい感じにファミコンの初期のゲームによくあった「仲良く喧嘩する」だけの要素を再現してます。
ファミコンのバトルシティとはルールは違うところはあるものの、その真面目さとドタバタのバランス、ゲームとしての楽しさはファミコンゲームを必至にコントローラーを握りしめながらも家族や友人たちとげらげら笑いながら遊んでいたそれに近く、ボードゲームになってもやっぱりバトルシティは最高でした!
(非ライセンス品ではあるですが…)