フォールアウト/ Fallout

(4人でインスト込み4時間)
【概要&ルール】
※以下フォールアウトの内容を知らないひとにもわかるように書いたつもりですが、知ってる人から見ると、不自然に見える記述があるかもしれません。逆に知らない人から見てわからーんということもあるかもしれません。むかーし体験版を少し触った程度なのでご容赦いただければと思います。
Falloutの世界がボードゲームになった!それ以上でも以下でもないぜ!
デジタルゲームFalloutのボードゲームです。世界観的にはFallout3と4のあいのこくらいだそうです。
プレイヤーはFalloutの世界の住民となり、ゲームブック風に提示されるシナリオをこなしながら勝利点(指針カード)を集めます。
規定の点数に達したプレイヤーがいるか、全プレイヤー敗北条件(後述)を満たすとゲーム終了です。
ゲーム開始時に、Vault、スーパーミュータント、グール、ウェストラント人など、何になるか決めます(各プレイヤーが異なるものを選びます)。それぞれ初期アイテムや、RAD(放射能)を受けた時の扱いなどが異なります。

プレイヤーボードはこんな感じ。
赤のピンがライフで減ると死亡。緑がRADでライフの下限です。(RADを受けると下限が徐々に上がっていきます。赤が緑を超えると死亡です)
白のピンは経験値です。右端まで行くとレベルアップして、SPECIALのアルファベットうちのいずれかがランダムにもらえます。経験値はアルファベットの埋まっている部分にしかピンを指さないので、写真の状態だと3経験値で右端まで行きます。レベルアップを繰り返すたびにレベルが上がりにくくなるという仕組みです。
ボード下部には、アイテムカードを武器、防具、コンパニオン(仲間)、その他のアイテムというように分けておきます。
ゲームを進めるシナリオの選択肢でダイス判定が要求されることがあり、その際、判定ごとに指定されたアルファベットは持っているとダイスを振り直せます(アルファベットのAならアジリティ(敏捷さ)なので、何かを避ける判定とか)。
プレイヤーは以下のうち2つを手番に行い、それを誰かが勝利条件を満たすまで時計回りに繰り返します。
(ルールブック持ってないで単語が違っているかもしれません)
・移動:基本的に2マス分移動できる。荒地っぽいところだと1マス
・探索:あるタイルの外周のマスにいる際、隣接するタイルがまだ表返ってないなら表に返せる
・遭遇:街、または廃墟マスにいる際に、該当の山札からカードを1枚引きます。街や廃墟のカードには短い物語と選択肢がかかれており、複数人で遊んでいる際には隣の人に読んでもらい選択肢を選ぶ→ダイス判定などで効果が決まるという流れになります。
・戦闘:同じマス(遠隔武器を持っていれば隣のマスも含む)にいる敵を攻撃する。
・クエスト:場にでているシナリオカードに指定されている場所・条件を満たしていれば実行可能
・シナリオについて
いくつかシナリオが用意されており、ゲーム開始時にどのシナリオで遊ぶかを決めます。シナリオで使うカードは200枚弱あり、数字がふられています。遊ぶシナリオを決めると指定されたカードをそこから抜いて、場に出します。
シナリオカードにはストーリーと選択肢が書かれており、プレイヤーの行動で次に出てくるシナリオカードが変わります。

(ぼかし入れてますがシナリオカードはこんな感じで、頭にストーリー、その下に選択肢とそれをこなしたあとの解決が小さめの字で結構みっしり書かれてます)
(全部のシナリオ見てるわけではないのでたぶんですが)各シナリオでプレイヤーとは別に2つの勢力が勢力争いをしており、シナリオカードの選択肢はどちらの勢力に味方するか?とイコールです。
各勢力の強さはボードで示され、味方した側の強さが徐々に上がります。一番上まで上がるとその勢力が勝ったということでゲーム終了です(この場合、全プレイヤーが敗北扱い)。

(勢力を示したカード)
・点数について
シナリオを進めると勢力とは関係ないサブクエストも発生します(メインシナリオのシナリオカードに加えて、サブクエスト用のシナリオカードを場に出すよう指示がある)。サブクエストをクリアすることで、指針カードが手に入ります。指針カードは基本的に1点ですが、お金を○金以上持っていることなどの条件が書かれており、それによってボーナスで追加点数がもらえます。
これが既定点以上になったプレイヤーはで指針カードを公開し、ゲームの勝者となります。
【プレイ内容】
※本来、ゲーム開始時に指針カードが1枚ずつ配られますが、それを忘れてのプレイとなります。たぶん終了タイミングやゲーム途中の選択にちょっと影響があると思われます。
タムラさん、如月さん、ねんそさん、キノさん、僕の5人で(最大プレイ人数は4までです。立卓状況の関係でキノ&ひだりチームでのプレイになってます(中盤以降はキノさんが別ゲームに参加されたので、僕だけでやってます)
もとのデジタルゲームは、タムラさん、キノさん、如月さんは遊んだ経験あり。僕は体験版を少し。ねんそさんは全くの未プレイ。
そんなわけでタムラさんからひと通り、フォールアウトというゲームの概略とこの世界の設定的なものの説明がありました。
なるほどねえとあまりプレイしてない組も理解できたところでゲームスタート。
まず最初、自分のキャラクター決めです。
如月さんがスーパーミュータント、ねんそさんがVault、タムラさんがグール、僕(&キノさん)がBoSを選択。
BoSは最初からパワードアーマーを持ってます。防御力が2ある代わりに移動アクション選択時に1移動力しかもらえません(通常は2移動力)。
フォールアウトの3だか4(失念)でパワードアーマーを最初に取ると無敵すぎて、ストーリーと全然関係ないところにつっこんでいけちゃって、なんかよくわからないイベントが始まっちゃったんですよねみたいなことをキノさんから伺いながら、自分らの手番を待ちます。
最後手番なのは、まあ、じゃんけんで負けて決まったことなのでいいんですけどちと困ったことが。
フォールアウトでは、メインボードというかマップは主要な都市の場所だけ決まっており、あとはタイルをランダムに裏向きに配置します(たぶんシナリオごとに色々変わります)。裏向きのタイルは隣接する場所で“探索”アクションを行って表に返すことで移動可能になります。
タイルには街や敵が書かれており、それもタイルが表向きになることで登場したり、移動可能になるわけです。
敵は戦闘で倒されるとラウンド終了時の判定によって再出現します。ちゃんと計算したわけではないですが感覚的には1/3くらいの確率です。
僕のキャラは移動力がみなさんに比べてないわけですが、手番が来たときには移動可能な範囲は全て探索済&敵は倒され済という状況。
仕方ないので、移動だけして1ラウンド目は終了。
ラウンドごとに手番が変わるわけではないので、2ラウンド目も僕の手番になるころにはみなさん先に進んで、そこの敵を倒しており、盤面はさびしい感じになってました。
しかも、シナリオカードで〇〇をするとXXみたいな指定がされているのですが、その指定が特定の種類の敵を倒したり、先の街に踏み入れたりという内容なので、僕(&キノさん)はここまで完全に蚊帳の外。敵を倒すのもみなさんがやりますし、街も先に行動する人が訪れてしまいます。
なんじゃこりゃと思いながらも、敵が再出現したり、探索がある程度されていま見えている範囲の中でイベントが起こるようになれば、遅れて進んで行ってる僕らにもチャンスはあるはずと信じて進みます。
シナリオには絡めませんが、廃墟マスで遭遇アクションはできます。
遭遇アクションはちょっとしたゲームブックのような内容で、例えば「あなたがビルに入ると女が1人こちらを見ていた。どうする? 選択肢1:攻撃する。選択肢2:話しかける」みたいな感じになってます。
お金はたぶん遭遇アクションでしか獲得できません。選択肢によっては敵がでてくることもありますが、敵を倒すとアイテムがもらえるので、(特に移動力と手番順の関係でマップ上の敵と会えていない)僕らとしてはとにかく何にしても得なことしかありません。
如月さんは1度の遭遇アクションでアイテムを4つも手に入れており、おいおい、そんなにもらえるんならやるしかないだろうと、僕らも遭遇アクションを実施します。
すると目標値4の判定が選択肢にあります。これまでみなさんの判定の様子も見てましたが、これまでに出てきた判定の目標値は3が最大だったものの、みなさん難なく成功されていたので、まあ、4になっても大丈夫だろうとそちらの選択肢を選択。
そして、華麗に失敗。
このゲームで判定に使うダイスは、0,1,2しか目がなく、判定には3つのダイスしか使わないので、必ず2の目が1つは出る必要があります。しかも、2の目は1面にしかないんで、普通のサイコロでいうと、サイコロ3つ振って6が1つは必ずでないと目標値4は達成できないということになります。目標値が3だと1,1,1でも良く、3面くらいが1なので(能力で振り直しも使えれば)大抵は成功するんですが…。
目標値4って難しすぎるぞ!ということに後で気づきました(実際今回のゲームに登場した目標値の最大は4でした)。

(これが4が出た時のダイス。人形の横のドットが判定時に使う目です。人形は敵との戦闘で使います。敵の弱点箇所がでればヒットに勘定します。写真だと胴体に3ヒットしてることになります)
他にも選択肢で失敗したのかしょぼい報酬しかもらえなかったりと明らかに出遅れた感じのスタートになりました。
(みなさんがついてたのかもしれませんが)
しかし、とにかく目の前のタイルを探索して進めばよかった序盤とは異なり、中盤に入ると進む方向の選択肢も増えますし、既に見えている部分で敵を倒したり遭遇したりしてイベントを進めるかと色々とプレイヤーごとに色がでてきます。
如月さんはボードの南西にすすみ、そこで発生したイベントに対応、ねんそさんはXXの種類の敵を倒すというイベントのクリアを狙われているのかその種類の敵がいるボード中央に残られています。タムラさんは遭遇イベントで見つけたシェルターの連続イベントにおひとりで挑まれています。
そして僕は、序盤に探索できなかったうっぷんをはらすべくまだ未開の地である(そしてタイルの裏面から察するに放射能リスクが高そうな)南東に進みます。
ここら辺までは遭遇アクションを起こして、ちょっとしたゲームブックを楽しんだり、シナリオをなんとなく進めたりと、新鮮さのある行動をしてましたが(そして、それで十分楽しかったのですが)、指針カードを集めないと勝てないんだなあと今さら思い至ります。
(ここまででゲーム開始から約2時間が経過しています)
序盤に色んなイベントをこなしていた如月さんタムラさんが指針カード2枚ずつでトップ。僕とねんそさんは1枚です。
指針カードはメインシナリオを進めると発生するサブシナリオをクリアするともらえるので、どうやったら取れるのかをようやく真面目に考え始めます。
とりあえず、いまでてるサブシナリオではまだ登場していない街にいかないとならないので、探索!探索!と僕とねんそさんが未開の地を切り開いていき、条件を満たす街を発見。
サブシナリオの内容は「Aの街の2マス以内に敵がいない、もしくはBの街の2マス以内に敵がいない」のどちらかでクリアです。
ねんそさんがAの街に、僕がBの街にいます。そして、さらにAの街とBの街は敵が再出現する場所であり、かつ、お互いに2マス以内にあるという立地。手番のアクション順によっては、迂闊に敵を倒すと相手が得をするという状況になります。
が、ここのAとBにわく敵が強い!
お互いに条件を満たせないままダメージが徐々に蓄積していきます。僕はコンパニオン(仲間)の能力で敵を任意の方向に1マス移動させることができるので、ねんそさんよりは条件を満たしやすくはあるんですが、絶妙に条件を満たしそうになると、敵が再出現するという無間地獄に陥ります。

(右下にある2つのコマが僕とねんそさん。ちなみにコマはタムラさんが塗装されてます(僕のコマ以外はまだ塗り途中とのこと)
この間に、如月さんは南西のイベントを終え、誰もいない北東に向かいます(如月さんのクリアしたイベントはかなりドラマチックな展開になりましたがネタバレ回避のため内容は割愛します)。
この時進行していた(僕とねんそさんがクリアしようとしていたのとは別の)シナリオのクリア条件の1つが北東の場所であるアクションをすることだからです。
もう1つの選択肢は南東、僕の今いる位置に近い場所でのアクションだったので、如月さんがクリアする前にこちらの選択肢でクリアしてしまえとそちらに向かいます。
目標値は4と高かったのですが、運良くダイス判定に成功してクリアしました。そして、クリア報酬でもらったのはスーパースレッジ!
※旧世代の超技術で作られたとにかくすごい武器です。
スーパースレッジカードの山から引き当てたのは3回振り直し可能&振り直し機会を2回破棄することでヒット数を1増やすというインチキ効果(振り直しは大抵1回ですし、武器は振り直しなどによって壊れてしまうものが多いです)。
元々パワードアーマー持ちで防御力が2あり、ダメージに関してはほぼ受けないキャラクターでしたが、攻撃面に関してもぶっちぎりの能力を獲得しました。
よっしゃー、最強じゃああと近くにいる敵に手当たり次第に喧嘩を売り、経験値をどんどん稼いでレベルアップ&敵撃破時にもらえるアイテムを拾いまくります。(まあ、もともとそいう方向のプレイングだったんですけど)
それでも点数になるのはあくまで指針カード。どうしても「AまたはBの街の2マス以内に敵がいない」をクリアしたいです。
とはいえ、にっちもさっちもいかないんだよな…と思ってると、シェルターに通い詰めてたタムラさんが数ラウンドを費やしてようやくイベントクリア&指針カードを獲得。
うむ、やることが段々減ってきてるから僕とねんそさんのやってるサブクエストにいらっしゃるかもなあと思っていたところ、たまたま僕がこれまでとちょっとずれた場所で移動を終えたタイミングで敵の移動が発生。タコ殴りにされましたが、スーパースレッジ&パワードアーマーのおかげで1体を残して返り討ちにできました。しかも、ラッキーなことに敵が移動してくれたおかげで僕のコンパニオンの能力を使えば、サブクエストクリアの条件を満たします。
やっと終わったとサブクエストをクリアして指針カードを獲得しました。
ここでメインクエストも最後の(と思われる)メインシナリオが発生。ゲームもいよいよ最終盤です。
指針カードは僕とねんそさんが2枚ずつ、如月さんとタムラさんが3枚ずつです。指針カードは最低1点はあり、さらにカードに書かれた条件を満たすことで3~4点もらえます。つまり、如月さん、タムラさんは条件の達成状況では勝利条件&終了条件である10点に達しそうです。
メインシナリオが最後のクエストになっており、しかもこれはクリア不可(クリアするとプレイヤー以外の勢力が優勢になりすぎてプレイヤーの敗北になる)、サブクエストももうないので、指針カードの追加獲得はもうありません。タムラさんか如月さん、どちらが勝つか…と思ってると、如月さんがショップにアイテムを売りまくってお金を稼ぎ、これによって指針カードの条件を満たして10点到達、見事勝者となりました。

(如月さんが持っていた指針カード)
※プレイ内容の頭にも書きましたが、ゲーム開始時に全プレイヤーに指針カードを1枚ずつ配るという処理を忘れてたため、こんな感じなってますが、本来はもっと早く終わってるはずです。
【感想】
うまくデジタルゲームをボードゲーム化しているゲームだと思います(自分が本格的にはデジタルゲーム版のフォールアウトをプレイしていないので完全に比較はできないのですが)。
固有名詞やコンポーネントの形を無理やり元ネタにあわせただけというゲームではなく、さほど違和感なく、ああ、こういうもんだよねとプレイヤーに納得させる程度にデジタルゲームとボードゲームの扱いが合わせられているように思います。特に『気にした方がいいけど、気にしすぎても始まらない』という放射能の扱いとか。
元ネタをがっつり遊んでいる方々からは、シナリオもプレイヤー、NPC含め様々な勢力がいてそれぞれがそれぞれの目的に従って(勝手に)行動してるところがそれっぽいという話もありました。
単純にボードゲームとしてみると冒険&戦闘のアクション選択制のゲーム+シナリオ付(ゲームブック)なわけですが、アクション選択制のゲームとしては、目新しさや独自の面白さがあるというわけでもなく、正直平凡です。前述の元ネタがあるからこその面白さのプラス点をどこまで感じられるか次第だとは思いますが。
戦闘メインのゲームなので武器や防具、アイテムでガラッとプレイ感が変わるのも、ダイスじゃらじゃら振るのもまた楽しいです。
ダイス判定も難しい判定なら4(前述の通り、6面ダイス3つ振って6が1つは出ないといけない)、ぼちぼちでよければ3とダイスの作りで目標値設定を割り切って設定しているのも選択肢を選ぶ際にわかりやすくて良いです。
ゲームブック部分に関しては楽しいは楽しいですが、遭遇時のカード1枚で完結する街や廃墟のストーリーはAbove&Belowみたいに種類があるわけでもないので、4人プレイだとさっきもこのカードなかったっけみたいなことになるのがちと残念。4シナリオ分遊ぶ頃には頭の文章が読まれた瞬間に選択も完了してるみたいなことになりそうです。
全員に公開されているカードの上で展開されるメインシナリオの方は何枚もカードを渡って展開されるので次の展開が楽しみにもなりますし、選択肢次第で出るカードが変わっていく(はず)なのでリプレイ性もあります。
しかし、フォールアウトは協力ゲームではなく対戦ゲームであるため、どの選択肢にしても基本的に1人でクリアできる範囲の内容にしかなっていません(僕が遊んでないシナリオでは違うかもですが)。なので、全体的にこじんまりとしているというか、協力ゲーム/準協力ゲーム的な壮大、もしくは超難易度のお題が出て、うがー無理じゃないのこれ!?→やった!クリアだ!まじすげえ!というような展開にはなりません。ストーリー上の盛り上がりなどはさておき小さくまとまっている感じにはなります。
さらにいえば、対戦ゲームなため本来選びたい選択肢を選べるのかというと、他人にクリアされるくらいなら、場所が近くてクリアしやすい選択肢を選ぶということになりがちです。ここらへんはプレイ人数を減らせばいいという話ではありますが(ちなみにBGGのベスト人数は1人になってます)。
ただ、とりあえず近い場所にいるプレイヤーが選択してクエスト/シナリオを進めるというのは、Aさんが依頼された話を何故か遠くにいる赤の他人のBさんが勝手にこなしてしまうという、どこで情報共有してるんだよ!というか、話つながるんかい!という、妙な味があって僕は楽しかったです。
この選択肢に対して責任感がないというか、どの選択肢を選ぶかの必然性がプレイヤーに欠けているのがすごくデジタルゲームっぽいなあと感じました(同じ選択肢が何度も出てくるところも)。デジタルゲームの場合は、どちらの選択肢でも結果が変わらなかったり、セーブ&ロードがあるせいで責任感のなさは生まれてるんでしょうけど。
ゲームのシステムとして多人数でプレイする意義は薄いと思いますが、元ネタを知ってる人たちでワイワイと楽しむのは良いゲームだと思います。逆説的ですがシナリオをおうゲームは難易度が高いものが多いので、軽くシナリオも楽しみながらダイス振ってガハガハ楽しめるカジュアルなゲームでした。
1,2年前からある(Avobe&Belowやグループヘイブンみたいな)簡易TRPG系のゲームの流れの中では、キャラクター能力の抽象化、戦闘有無や頻度などなどが全体的にヒャッハーノリなので、細かいことはいいんだよ!と楽しめるのが魅力だと思います。
(僕は気にしませんが、本当jにカジュアルゲームしか遊ばない人だとプレイ時間が長めなのがネックだとは思います…)
Marché de France/マルシェ・ド・フランス

(インスト込み4人で2時間半ほど)
【概要&ルール】
流通会社だったかの社長になって、市場を牛耳ったり、小売りしたりして勝利点を稼ぐゲームです。
アクションカードを使ってゲームを進めるのですが、アクションカードには、各市場(チーズやワインなど)のアイコンが2~3個とアクションの1つが書かれてます。

(こんな感じ)
各ラウンドの流れは以下の通り。
1.自分が持っている全てのアクションカードから、このラウンドに使う手札を選ぶ。残りはわきに山札にして置いておく。
2.各ラウンド始まったらスタートプレイヤーから時計回りに以下を行います。
・手札からアクションカード1枚プレイする
・場のアクションカードを1枚選び、そのカードに書かれたアイコンの市場(チーズとかワインとか)に自分のキューブを置いた後、選んだカードを自分の山札にいれる。
・手札からプレイしていたカードのアクションを実施する

(場にはこんな感じにカードが並んでます。手札→場札→自分の山札→手札と回す感じになります)
3.手札がなくなったプレイヤーはとばし、全員が手札がなくなるまで2を続けます。
4.各市場のマジョリティを確認して、1~3位に点数を入れる。
5.次のラウンドに
アクションは、特殊カードを取ったり、キューブをワーカーとして消費して様々な効果を得たり、山札上限を増やしたりなどなどができます。
【プレイ内容】
たる田さん、しのぽさん、ぐんまさん、僕の4人で。(要は偽エッセン会で)
得点方法は大きく二つあって、各ラウンド終了時の各市場でのマジョリティ争いと、ワーカー配置のアクションで市場においていたキューブを戻す(戻す数に応じて3パターンの得点)です。
戻して得点ってどうなんですかねえ。
そこのマジョリティ争いを諦めたらやるんですかね?
でも、戻したらマジョリティを争っていた他プレイヤーが楽になっちゃいませんか。
などなど、得点方法だけでゲーム開始前にひと盛り上がりしてからスタートです。
ラウンド開始前の手札にするアクションカードの選択(=実施したいアクションの選択)のあと、手番順に手札をプレイして行動していきます。
まず、手札プレイ後、アクションの実施前に場にあるアクションカードを選んで、カードに書かれたアイコンの市場にキューブを置きます。その後、プレイしたカードのアクションを実施します。プレイしたアクションカードが今度は場に出ていき、次手番のプレイヤーから、他の場のカードと同様に選択肢に入ります。
つまり、他プレイヤーにアクションとしてや市場に送り込むアイコンとして使わせたくないカードは、プレイしない方がいいんですが、まあ、まだ最初ですしそんなこと言ってても始まらないので、やりたいことをやっていこうの精神です。
ゲーム開始時は手札上限が2枚なので、全員が2手番を行ったらラウンド終了です。
手番数が増えれば送り込めるキューブ数も増えるので、手札上限増やした方がいいのかなあ?と思っていると、ぐんまさんは初手でマネージャーカードの獲得を実施。
マネージャーカードは6種類あり、それぞれ強力な効果を持ってます。ぐんまさんが獲得したのは「手札上限を+1する」マネージャー。通常、手札上限をあげるためにはワーカー配置のアクションを使って、手札上限+1のアクションにワーカーを置き、各市場から1つずつキューブを払わないと実施できませんが、マネージャー獲得アクションはカードプレイだけでコストないので、その分お得です(しかし、マネージャー獲得アクションは、「マネージャー獲得/各市場に1キューブずつ置く」となっており、市場に1キューブずつ置く機会を失っているんで実際お得かはわかりません)。

(ぐんまさんとしのぽさんがとった後で減っちゃってますが、全てのマネージャーカードは公開されていて、自由に選ぶことができます)
む、追加するなら追従だと、たる田さん、しのぽさん、僕の3人もワーカーのアクションで手札を1枚ずつ追加しました。
(ぐんまさんの行動を見てから、増やしたような書き方になってますが、自分が持っている6枚のカードから手札上限まで選ぶということをラウンド開始前にやっているので、たぶん、たる田さんもしのぽさんも手札を増やすつもりは端からあったのでしょう。少なくとも僕はありました)
手札をみんな増やしたこともあってか市場に置かれたキューブ数は少なかったですが、総数が少なかろうが多かろうがマジョリティ争いには関係なく、みんな同じくらいの点数をとって1ラウンド目は終了しました。

(まだキューブがまばらで寂しい市場)
そして、2ラウンド目。手札上限がみんな3枚になってます。
1ラウンド目に手元にキューブが残ったので、少なくともこれは送り込まないとなあ→もうちょっと手札=手番数があった方がいいかなあと僕は手札を増やすアクションを選べるようにしつつ、手番が増えたら増えたで今度はキューブが足りなくなるだろうと、サプライから自分の手元にキューブを持ってくるアクションのカードも手札に入れました。
ここで迷ったのはマネージャーを雇うかどうかです。
マネージャーは5種類あると書きましたが、ぐんまさんのとった「手札+1」の他には「特定条件で一気に市場にキューブを配置する」や「コンセイユカード(特定条件を満たすと点数がはいるお題カード的なもの)を毎ラウンド2枚ずつ獲得する」、はたまたストレートに「+40点」などがあります。
コンセイユカードは獲得アクションを行えば取れますが、そのカード内容が自分のやることにあっているかは少々ギャンブルで、アクション費やしてまで取るかは悩ましいなあと思っていたのですが、コンセイユカードがもらえるマネージャーを取ればノーコストで毎ラウンド2枚もらえると言われると、ギャンブルであることは変わりないまでも、やってみようかなという気になります。
初めて遊ぶゲームだし、こういう方向性もいいかな?と思い、取る気になっていましたが、僕の上家であるたる田さんが先にそのカードを獲得してしまいました。
そして、しのぽさんも「手番終了時にタレントカードを使う」というマネージャーを獲得したため、マネージャーを持っていないのは僕だけになりました。マネージャーは各プレイヤー1枚しか取れないので、僕は焦ってマネージャーを取る必要はありません。
(そのように作られているのでしょうが)残ったマネージャーは効果的にもいま取る必要はなく、むしろ終盤に取った方が強そうな効果です。
面白かったのが、「+40点」という効果のマネージャーがいるため、マネージャーの効果について話す際、「このマネージャーって40点稼げますかねえ」とか「40点取るなら、この効果だと早くに取らないと意味ないですね」などと、「この効果は強いか弱いか」という曖昧な基準ではなく、40点という具体的な数字が達成できるかできないかで評価しあっていたというところです。
残った2枚はちょっとテクニカルな効果で、正直使いこなせるか自信がなかったので、最終ラウンドに40点のカードを取ることを決心して、手札に入れていたマネージャー獲得アクションのカードはもう1つの効果である「各市場に1キューブ置く」として使用しました。
一方で、たる田さん、しのぽさんとも自分の取ったマネージャーに応じた方向性の行動をとるようになったわけですが、たる田さんが引いたコンセイユカードは「ワインを送り込むたびに〇点」など、マジョリティを取りに行けば自然と満たすような条件のもの。
そして、1回の得点単位がでかい! これ強すぎませんか?とみんなの口から思わずでてきます。
とはいえ、40点稼げる効果のはずだからなあ。1ラウンド10点以上稼がないとダメなわけだからこんなもんかなあと、納得もします。+40点のカードがあることの効果は偉大ですw。
※実際にはワインアイコンは数が少ないので得点機会は少なく、点数は妥当でした。他にも契約時に+○点など、強すぎるわけでもないけど、おまけとしてみれば優秀みたいな効果が多いように思いました。
しのぽさんのタレントカードを毎ラウンド使う効果は、「タレントカードを使う」という本来カードで行うアクションが毎手番発動するというこれまたインチキ効果(でも、40点稼げるわけだから(以下略))。
タレントカードは特定の市場にキューブを送り込んだり、契約(後述)したりと、要はアクションが1つついているカードで、経常のアクションではなく、タレントカードの実行アクションでカード効果を適用できます。1度使ったカードはラウンドを跨ぐまで使用不可になります。
※一応、カードのアクションにはタレントカードを使うだけでなく、新しいカードをひけたりなど、複数の効果が組み合わさっているので、1手番にカード1枚分のアクションがおまけでついてるわけでもないです。
そんなわけで、少なくとも手番数分のタレントカードがないとマネージャー効果が無駄になるので、しのぽさんはひたすらタレントカードを引きます。
どんなタレントカードを引くかは完全に引き運ですが、ワーカー配置のアクションは誰かに使われればもう使えません(普通のワカプレ的な)し、アイコンから市場に送り込むのも自分の必要なアイコンが常にあるわけでもないですし、アイコンよりもアクション効果を優先してカードを選ぶかもしれません(もちろんその逆もあります)というわけで、予め自分のタイミングでキューブの送り込み先や何らかのアクションができるのが確定するタレントカードも大変便利です。
なので、マネージャー効果を持っているしのぽさんだけでなく、たる田さん、ぐんまさんも何枚かは取ってました。僕は後述の理由でタレントカードを取ったりはせず、ひたすらキューブを送り込んでましたが。
このゲーム、市場のキューブを手元に戻しても得点できるというのは前述しましたが、それは“契約”というアクションで、ラウンド終了時に契約数でも順位がついて点数が入ります。
ぐんまさんは1ラウンド目からこの契約数を重視して、一歩先行されてました。たる田さん、しのぽさんもトップが一番点数がいいにも関わらず、大した契約数でないのにその恩恵をとらせてなるものかと、2ラウンド目から追いかけていました。
そうなると、僕は追いかけるのではなく、市場にキューブを置いてマジョリティ点を取った方がよいということになります。
これは、僕がマネージャーをとらなかった分、市場のキューブ数でみなさんより先行しており、1位を逆転するのは難しそうだ、それなら契約数で…とみなさんが考えたということもありますが。
そして、また全員が手札上限+1のアクションを行ったため、全員が4枚になった状態で3ラウンド目に入ります。
僕はマジョリティ優先していたこともあって、4つの市場の内、2つでトップ、残りでも得点圏内(2位、3位)に入って点数ではトップになります。
このままマジョリティトップで進めばいいんだけど…と思っているところ、3ラウンド目に方針の転換を迫られます。
それは、キューブの枯渇です。
アクションカードプレイ時に、選択した場のカードのアイコンの市場にキューブが送り込めるのは前述の通りで、かつ、大抵のカードには2つアイコンがあります。つまり、手番数×2のキューブが手元にないと、送り込める機会を無駄にしてしまいます。
ゲーム開始時にはキューブは6つあり、手札上限(=手番数)は2枚なのでむしろもっと手番回数が欲しい!と思ってましたが、マジョリティを取ろうとすれば市場にキューブを置きっぱなしになりますし、サプライから手元にキューブを持ってくるにしても限界はあります(確か初期6個+サプライに8個の合計14個がゲーム中に使える最大数)。
マジョリティを取ろうと市場に送り込みまくっていたら、手元のキューブがなくなってしまったわけです。
みなさんもこの後、キューブを送り込むにしても、現時点で僕がいくつかの市場で有利になっているのは間違いなく、現時点でもトップなわけだから無理しなくても良いのでは?とも思いましたが、そんなのはつまらんぜ!ということで、市場から手元にキューブを戻すべく“契約”を行います。
契約は、任意の市場から2,3個キューブを戻す専門店(6点)、全市場から1つずつキューブを戻す商店(10点)、全市場から2つずつキューブを戻す大規模小売店(20点)の3種類があります。これまでみなさんがやっていた契約は専門店ばかりでしたし、特定の市場で優位を保ったままにしたいなら、専門店がよさそうではありますが…。
迷いに迷った挙句、全市場から2つずつキューブを戻す大規模小売店を選択しました。1アクションあたりの点数効率は一番いいですし、4手番あるんだからキューブは4つないとダメなんだから!と自分を鼓舞しつつ強気の選択をしてみました。
(結局、最終的には手数の割にキューブが足りないという状況にみなさん陥ったので、大規模小売店はこのあと何回か行われていました)
そして、またマジョリティをとるべく必死にキューブを送り込みます。が、ここでようやくカードのアイコンに偏りがあることがわかってきました。点数が高く、かつ、1位と2位の点差がでかいチーズやワインはアイコンが少ないので、送り込む機会自体が絞られているわけです。
やっぱ2キューブずつとか戻すんじゃなかったかな?と思いながらもワーカーで行うアクションなども駆使し、ワインは無理でしたが、チーズではマジョリティを獲得できるまで増やせました(といっても、単独トップではなかったですが)。
たる田さんはコンセイユカードの点数が1回1回は小さいものの重なるとやはり大きく、徐々にトップになり、そのまま差を広げていっています。しのぽさんはタレントカードの効果で実質的に1回あたりの手番が僕らよりも少しずつ多くアクションを実施していることになり、マジョリティ獲得では苦労されてますが、コンセイユカードもうまく絡めてたる田さんを追随します。
僕は大規模小売店の20点の効果はでかかったですが、それでなんとかしのぽさんと同じくらい、たる田さんには離され始めています。と言っても、最終ラウンドにマネージャーによる+40点は確実なわけで、それを踏まえればなんとかなるんじゃないかというくらいの点差です。
契約数でも後塵を拝しているだけでなく、マジョリティ争いでもうまくかみ合わずに微妙にトップがとれないなど、独自の得点要素がなく苦しそうでした。点数的にはそれほど差はまだついていないものの、ここで起死回生を狙って手札上限をさらに増やして5枚にあげられました。
手札枚数が増える=送り込めるキューブ数アップではありますが、既に僕とたる田さんは全部のキューブをサプライから出し切っており、送り込む数は少なくとも市場に送り込み済ですし、ワーカーを使ったアクションはワカプレなので、僕らが先に使ってしまえば、手番数が多くてもやりたいことはできません。
とはいえ、手番数が多ければ、要は最終手番がとれるということです。
マジョリティ争いで最終手番をとれるのであれば、自分に有利な状況を作ってラウンドを終えることができます。果たして…!?
最終ラウンドはみんなキューブを戻して、また市場に置いて~とキューブマネジメントをひたすら行い、その過程で、他人に使わせてなるものかと、ワカプレ部分のアクションをつぶしまくりという、隙のないプレイをみなさんやりましたが、ぐんまさんが最終手番の有利さを活かして、ワイン、チーズの高得点市場でマジョリティトップを取って終了しました。

(最後の最後にこれでもかとキューブが置かれたワカプレスペース)
たる田さんが逃げ切るかと思われましたが+40点のマネージャー効果で4点差でまくることに成功した僕の勝利となりました。
白菜(野菜?)の市場にもう1つキューブをたる田さんが置くか、ぐんまさんが勝ちを狙った市場が別のとこだったらたぶんたる田さんが勝っていたくらいの僅差での勝負でした。

感想戦ででた話ですが、しのぽさんはまだサプライにキューブを残していたのが、ぐんまさんはマネージャーカードで40点分稼げてなさそうなのが敗因ではないかという話になりました。ぐんまさんのマネージャーは他プレイヤーより手札上限を多くして、最終手番を常にとっている形にしないと40点稼ぐのは難しいのではなどなど、かなり感想戦は盛り上がりました。
【感想】
なんかすげえ気持ちよく遊べるゲームでした。
ゲームが出しゃばりすぎておらず、システムに振り回されるのではなく、プレイヤー自身がが色んなことに気づいていける品の良いゲームです。
そう感じるのは徹底的なフェア精神というか、丁寧な作りに起因していると思います。
ゲーマーズゲームでもあることは間違いないのですが、ゲーマーズゲームにありがちな得点効率の不透明さ、ブラックボックス部分がほぼなく、プレイヤー単体で点が取れる部分は各要素がどの程度の強さなのかはプレイヤーに公開されていますし、他プレイヤーの動向次第という部分もプレイヤー自身がある程度はコントロール可能です。
得点効率の不透明さというのは、ゲーマーズゲームって(特に初回は)ある程度以上ギャンブル性の高いゲームだと思ってます。取り得る選択肢A,B,Cがあるとして、どれが強いのか、どれでも同程度の点数が取れるのか、正直なところ全く分からない状態で、それでも、俺はこれ!僕はこっち!と各自がデザイナーはきっとどれも同じくらいに調整してくれているはず!と信じて選択して、その方向に突き進みます(そして、ゲーム終了時、この戦術ダメだったわwwと気づくこともよくあります)。
なんでそうなるかというと、どの選択肢をとると、どの程度点数が伸びるのかパッと見ではわからなくなってるからなんですよね。得点機会と得点の大小が見えているようで見えてないというか。最適解がすぐにばれないようわかりにくく作ってる、見えてないからこそゲーマーズゲームは楽しいという向きもありますが。
ゲーム終了までいって、思いがけず点が伸びたり、逆に伸びなかったりすることがあるあれです。
でも、このゲームはプレイ内容に書いたようにマネージャー(特殊カード)の強さも+40のものを並列において、他の能力でもそれを目安にプレイするんだなとわかりやすくしてます。40点以上取れるように能力を活かすんだなと。
マネージャーの能力がこのゲームに登場するほぼ全てのアクションに対応している(コンセイユカードに関するもの、タレントカードに関するものなどなど)というのも、これくらいでこの強さ(40点相当)なのかな?と厳密に計算するまではいかないでしょうが、感覚的に知ることができます。
マネージャーについてさらに言及するなら、よくある各プレイヤーがスタート時に異なる能力を割り振られる作りではなく、ゲーム中に選択するのも、また良い仕組みだなあと思いました。自分のプレイスタイルやゲームのシステムをある程度知った上で選べるからです。各マネージャーで、このカードは早くとった方がよさそう、このカードは後半強そうと能力発揮タイミングに差を設けているのも序盤はマネージャーアクション一択!などとプレイングを縛ってないですし(同サークルの前作Improvement of the POLISも非常にバランスが練り込まれたゲームでしたが、最初に決まる各国(各プレイヤー)の能力がやりこまないと使いこなせない国、初見でもなんとなる国という差があった(のに無理やりゲーム開始時に選ばされる)のが改善されているかなと)。
これ、うまいなあと思うのは初期のキューブ数と手札上限が、いまの手札上限、いまのキューブ数でできること、やれることがシステム的には不足してないんですよね。手札上限の割にキューブが足りないとか、キューブ数の割に手札(手番数)が足りないということは決してなく、ミニマムな世界でマジョリティ争い&契約で点数はきっちり取れるようになってます。
ただ、ゲームを進めるともっとキューブが多い方がorもっと手札数が多い方が有利になるだろうなとプレイヤーが判断して行動すると、何かしらのひっかかり(キューブ数を有効に使うだけの手札が足りなかったり、手番数を有効に使うだけのキューブが足りなかったり、その他だったり)が生まれます。それをまたプレイヤーが判断して、解決の方法に自分の意思で決断する(決断した)と思わせるようになっています。
キューブを増やしたから強くなったとか、手札を増やしたから強くなったとか、そういうゲームではないんです(と数回プレイした時点では思ってます)。
何かしら初期状態からパラメータを強化すると何かが不足してうまく回らなくなるので、そちらのパラメータも強化しないとならないという作りになっているように感じました。
要はすごいパワーアップさせてるさせてないは関係なく、いまの状態をうまくまわして得点化したプレイヤーが強いというような作りかなと(それでも、手数増やしてキューブ増やしてどんどんぐるぐる回して得点化したいんじゃああってゲーマーのあくなき挑戦魂に火をつけられると、つい手札上限増やす方に進んでしまうんですが)。
誤解されないように書いておくと、もちろん手札増やして、キューブ増やしての方が点数は稼げるはずです(キューブ=点数元、アクション回数=得点に絡める回数なので当たり前です)。ただ、そこにかけたリソース分、その瞬間は盤面が疎かになるので、単純な点数の増えた減ったではなくプレイヤー間の点差でみると差はそれほどないんかなと思っています。
特に手札上限アップはアクション回数増以上に、最後手番がもらえるという効果が大きいと思ってます。なので、他人に追従されると弱い、自分だけだと効果がでかいという、人次第とか結局自分はどうすればいいんじゃい!ってのも楽しいです。
他人がやってないことをやった方が強い、得点タイミングを読んだ方が強いというのは、まあ、よくあるっちゃよくあるんですけど。
長くなったのでざっくり書きますが、アクションカードの補充は場(=他プレイヤーの捨て札)からしかできないというのも、うまく機能していて、マジョリティ争いなどの得点獲得方法について、「自分で取りに行く」の反対、「他人に取らせない」もある程度コントロールできます。今回書いたプレイ内容で僕は最後に+40のマネージャーを最後に取ってますが、最後の最後まで獲得アクションの付いたカードが出てこなくてめっちゃ焦りました(要は他プレイヤーが絞ろうと思えば絞れる)。
まだ詳しく見れてませんが、カードに書かれたアイコン数は各市場で均一ということはなく、ワインは少ないなど偏りがあるので、これまたある程度はコントロールできそうです。マジョリティ争いは自分で大量に送り込まなくても、他人が送り込めないなら、自分の送り込んだ量が少量だろうと問題ないので、そこまで考えられるとまた面白さが増しそうです。
最後。欠点というほどではないですが、手なりにプレイしようとすればプレイできてしまうゲームです。それでも、普通に楽しいゲームだとは思いますが、プレイヤーの上昇志向や、こう工夫したらいいんじゃない?をがしっと受け止めてくれる大人なゲームですので、やったるぜえええとゲーマー丸出しで遊ぶのがよいかと思います。
演技ゲーム会(ハリウッド・ライヴス、フリーズ)/ Hollywood Lives, Freeze
先日のゲームマーケット2018春でテンデイズゲームズから日本語版が発売されたハリウッド・ライヴス(オリジナルは2004年発売)。大変面白そうなゲームなんですが、まあ、機会はそうそうないよなと思っていたところ、彼葉さんに誘っていただき、ハリウッド・ライヴスを遊ぶ集まりに参加してきました。
・ハリウッド・ライヴス

ハリウッド・ライヴスは1950年ごろのハリウッドスターになりきり、映画を作るゲームです。「映画を作るボードゲーム」というと、脚本や撮影機材、役者などの書かれたカード/タイルを入手してそれを組み合わせて、はい、映画できましたとするようなものを想像されるかもしれませんが、『役者になりきり』とある通り、いや、それ以上なんですが、タイトルだけ指定されている映画の製作権を落札し、役者(プレイヤー)を集め、プレイヤーたちで映画のあらすじ、登場人物などを決め、3分間のトレーラーという名の演劇を行い、その後、プレイヤー同士で投票しあって女優賞、男優賞、作品賞を決めます。
ゲームの勝ち負けはお金を1番集めた人、星を一番集めた人が勝者になります。
お金は映画を作成することで「出演した役者の持っている星の数×定数」の興行収入が、映画が作品賞に選ばれれば賞金がもらえます。
星は映画に出演したり賞をとるともらえます。
今回は彼葉さんはゲームディレクター(GMみたいなもの)になり、その他の12人はプレイヤーとして参加しました。
会場に着くとまず、自分の役名を決めます。この後は、その役者として振舞うわけです。
僕の名前はユル・アークライトに。アークライト好きですし(※ゲームのアークライトはイギリスに産業革命をおこした1人の発明家の人名からとられてます)。
12人ともプレイヤーは男性でしたが、7人が男優、5人が女優になりました。
※いつもと違いプレイヤー名ではなく、役者名で書きます。
ゲームディレクターからひと通り、この後の流れなどの説明があり、その後、映画の製作権の競りです。
人数によりますが、今回は毎ラウンド3つの映画が作られ、そのいずれかに参加することになります。
映画はタイトル、撮影費用、興行収入(の計算式)、役者に与えられる星の数が決まっており、競り落とした人(プロデューサー)が撮影費用を払う代わりに興行収入を全て獲得できます。
とはいえ、1人では映画は取れないので、「報酬でXXドル支払うから」だとか、「もらえる星の数が多い役をあげるから」などと言って、製作権を落札していない役者を誘っていくことになります。役者は役者で「脚本は任せてくれてよいので、XX円以上は報酬が欲しい」とか、「星の多い役をくれるなら報酬はいらないし、むしろXX円払ってもいい」などといって自分からアピールしていっても構いません。
しかし、まあ、全員初プレイですしどの程度が競りの相場なのかとか、その後のプロデューサーと役者の交渉もまったく何を基盤にすればいいのか手探りです。
興行収入で儲かるのはわかるんですが、参加してくれた役者にどれくらい払うもなのか等まったくわからないので、僕は競りには手を出さず、星での勝利を狙うことにしました。
そんなこんなで競りといってもほぼやりたい人が最初に言った金額で落札できてしまいました。
1ラウンド目(1951年)の映画は、以下の3つに。
・レミングの夜(プロデューサー:サー・リチャード・レヴィ)
・素晴らしき哉、妻君(プロデューサー:ミリ・ゼニリ)
・サムソンとダビデ(プロデューサー:リタ・バーゴット)
映画タイトルはルールブックに挙げられているもので、実際の映画タイトルをもじったものになってます。
サムソンとダビデは興行収入も最も期待でき、かつ、もらえる星の数が3つの役が2つもあります。レミング~は収入の期待値はそれなり、役は星3:1つ、星2:2つ。素晴らしき~は、収入の期待値は低いですが星2の役が5つと人が集め易そうです。
ミリ・ゼニリの人徳なのか、素晴らしき~がさくっと5人の役者を集めてしまいました。プレイヤーはプロデューサー含めて12人なので平均すれば1つの映画に4人ずつ参加することになるわけですが、早くも偏りができてしまいました。
僕は星狙いだったので、星3の役もらえませんかねとリタに働きかけます。
すると、同じく星が欲しいフレディ、逆に星はいらないが報酬は高くして欲しいオリビアがやってきたので、サムソン~もさくっと4人揃うことに(他の映画は最低でも星が2つもらえる役が空いていたので、0個または1個の役しか空いてないサムソン~にオリビアはやってきたようです)。
さくっと決まったと書いてますが、プロデューサーと報酬に関する話をします。興行収入は参加する役者の持っている星の合計数×映画ごとに決まってる定数から費用を引いたものになります。
役者は全員ゲーム開始時に星を5つ持っているので、1ラウンド目は5×参加人数×定数になります。これによるとサムソン~の興行収入は約80M(というお金の単位)なので、まずはこれをどう分配するかということで、オリビアがもっと欲しい!というようなことを言ってやや揉めましたが、もらえる星の数に反比例して割合分け、作品賞でボーナスがもらえたら別途分け合うという契約になりました。
(ここら辺のルールの覚えがあいまいなのですが、本当は、映画に参加するか決める際に、プロデューサーと話しておかないとダメだったかもしれません)
そして、この後、各映画で3分間の予告編を作ります(プレイヤー達が3分間演劇します)。
映画はタイトルとジャンルしか決まってないので、そこから想像をふくらませるわけですが、うちのサムソンとゴリアテはジャンルはエピック。『サムソンとデリラ』と『ダビデとゴリアテ』を混ぜたタイトルでエピックなので、どちらかの物語をベースにしつつまとめるのだろうと思っていたのですが…。
なんとフレディからとんでもないアイディアが。
ちょっと公序良俗に反する内容なので具体的には書かないことにしますが、フレディとアークライト(僕です)は、伝説の○○になり、伝説の時代からワームホールで現代にやってきて、そこでオリビアと出会い、○○をした後でなんやかんやがあってまたワームホールで帰っていくという話。
ワームホールってどうやって表現すればええんじゃ?というか、エピック要素なくないですか?などと色々あったのですが、プロデューサーであるリタも気に入った設定だったようなので、それに肉付けしていくことに。しかし、ワームホールとか表現できないとこは結局削り、これ頑張っても3分演じるのは無理だぞ…というところで、準備時間が終了(映画を競り落とした後、役者集め~予告編を完成させるまでルールブック上では30分となってます)。
いやー、これはやばいなあと思いながらも、他の方々がどんな予告編を作ってるのかはやはり気になる&楽しみで、ワクワクしながら上映を待ちます。
最初は、『レミングの夜』。こちらは元ネタであろう『ジャッカルの夜』から殺し屋テーマを引き継いで、アレックスが演じる殺し屋レミングと、ノエルの演じる女殺し屋の物語に(プロデューサーであるリチャードは最初に死ぬ役でしたw)。
会場がたまたま和室で、縁側や障子のある部屋だったんですが、障子をスクリーンにしてシルエットだけ見せる、最後のアクションシーンでは特撮風の演出もあるなど、かなり出来が良く、うちのチームはますます、これはやべえという感じに。

(『レミングの夜』で印象的なスクリーン(障子)を使ったシルエットでのノエル演じる女スパイジャッカルの初登場シーン。リチャードの「ファムファタールとの出会いは3年前…」というナレーションも最高でした)
その次の『素晴らしき哉、妻君』も、義理の父親を看病する妻。しかし、旦那は浮気。妻も義父のところにきた医者と…という話をうまくコメディタッチにまとめてました。妻役のジーナの体力ぎりぎりの演技(旦那の不倫の場面をしている横でずっとスキップしてる)も素晴らしかったですが、特筆すべきは義父を演じたシニアの切れのいいダンス! レミング~の真っ当な予告編も思っていたよりかなり上の出来で驚きましたが、まさかこんなダンスが見れるとは!とかなり持っていかれました。

(『素晴らしき哉、妻君』の最初の場面)
そして、ますます…な、サムソン~班。
体育の授業で創作ダンスを作ることになって、適当にやってたら最後の発表時にみんな真面目に作ってて、え?うちはこんな出来なんだけど…となる、あれをまさかこの年になってやっちまうとは思いませんでした。
そんなわけでプレイヤー全員が、男優賞、女優賞、作品賞に投票します。自分自身と自分の出演した作品には投票できませんが、自分と同じ映画に出演した役者には投票できます。
そして、結果発表!
女優賞はレミング~のノエル、素晴らしき~のジーナ、サムソン~のオリビアと、各映画のヒロイン達が同票数となり、決選投票で決めるという激的な流れの末、ノエルが勝利。
男優賞はやはりダンスが全員の心をつかんだようで、シニアがダントツで獲得。お2人には星2つがボーナスとして送られました。
(女優賞、男優賞ともに2位、3位もノミネートとして星1つが送られます)
そして作品賞。初っ端でこんな出来のができるのか!と僕らの度肝を抜いた『レミングの夜』が獲得。ボーナスで賞金100Mと参加者全員に星1が送られました。作品賞2位は素晴らしき~でこちらは賞金50Mがもらえました。
ゲームディレクターである彼葉さん的には、そこまでサムソン~も酷くないというか、他とめちゃくちゃ差があるわけでもなかったと思われてたようで、サムソン~、ゼロ票だったんだけど、ゼロってほどでもなかったよねみたいなことを後ほど仰ってましたが、いわなくていいですよ!w

(1951年の結果)
そして、1952年という名の2ラウンド目に。
また映画の競りから開始です。
今回は、『大羊』、『月夜の決斗』、『錨を降ろせ』の3作品。今回競り落としたのは、それぞれ、リチャード、オリビア、ノエルの3人。
リチャードは1年目と同じくプロデューサーになって、お金勝利を狙っているようです。オリビアは役者としてよりやはり映画を作った方が儲かると思ったようで、2年目はプロデューサーに名乗りを上げました。
そして、ノエルは1年目に女優賞、作品賞を取ったことで星の数は11個と単独トップ。しかし、当然、プレイヤーはゲーマーなわけで逆転勝利を狙ってノエルの星獲得は邪魔する可能性があります(狙って邪魔しなくても、みんな星の多い役を狙えば、ノエルの邪魔になる)。『錨を降ろせ』はプロデューサーに自動的に星3の役が振られるので、落札さえ出来ればかなり星勝利で有利になるわけです。
そんなわけで、『錨を降ろせ』は1年目の男優賞であり、当然星勝利を狙っていたシニアと猛烈な競り合いになり、結構な額まで競りあがったんですが、ノエルは1年目の出演作のプロデューサー、リチャードをパトロンにしていたため、お金が無尽蔵にでてきます(おそらく1年目の作品賞ボーナス100Mのほとんどをリチャードがもらってる)。途中でシニアは諦めたため、前述のとおりノエルが落札しました。
僕は星勝利を狙っていたわけですが、ノエルとの差はこの時点で星3つです。ちょっと3つを逆転するのは難しくないか?と若干弱気になったことで、星3の役のある月夜~に参加交渉する気にならず、名プロデューサーリチャードの手腕を見たくなったこともあって『大羊』に参加することにしました(競りの段階で錨~だったか月夜~に人が集まっているように見えたというのもあったんですが、なんか人が流れてきて大羊は5人の大所帯になってました)。
リチャードは「脚本は任せる」と言い残して、どこかにいってしまったので、残った面子で脚本の検討に入ります。といっても、ミリがほぼ決めて、ハンフリーやフレディがアイディアを出していくという形で、僕はほぼ参加してなかったんですが…。
(1ラウンド目に複数人で脚本作ったら、まとまらずに支離滅裂な感じになってしまったというのもあり、かなり引いた感じになってました)
しかし、ミリがすぱっとストーリーを決めてくれたので、1ラウンド目と違い演出に時間を割くことができます。小道具は何を使うか、スクリーン(障子)はどう使うか、音響は?などなど、結構余裕を持って色々決めることができました。
僕は主人公であるミリの父親で大羊に殺される役です。どう殺されるかじっくり考えれました。
2年目はみなさん慣れたのか、各映画とも見ごたえのあるもので、それぞれに見所があり盛り上がりました。
そして、投票なわけですが、ここでふと気づきます。自分達の出演作には投票できないってことは、出演人数少ない方が、自作への投票権を持つ人数が多くなるので有利なんじゃない?=最大の5人が出演してる大羊は作品賞取るのには不利なのでは?と。まあ、今気づいてもどうしようもないんですが。
そして、2年目の投票結果発表です。
女優賞は、『錨を降ろせ』で女海賊ストロング・ゼロを演じたジーナと、『月夜の決斗』で兄弟ふたりの恋心を翻弄する酒場の給仕を演じたオリビアとで決選投票になり、オリビアが受賞。
男優賞は『月夜の決斗』での兄弟を演じたシニアとバジルの決選投票でシニアが勝利。(ありがたいことに僕も男優賞3位に選んでいただきました。死に際に凝った甲斐がありました)

(『月夜の決斗』の酒場のシーン。シニアとバジルの2ショットです)
女優賞、男優賞とも『月夜の決斗』から選ばれているわけで、作品賞もか…!?と緊張したものの、『月夜の決斗』は作品賞では2位。我らがリチャードP製作の『大羊』が見事作品賞に選ばれました!
これでボーナスの賞金と星1つを獲得です。
星勝利は運動会の玉入れ方式(徐々に数字をあげていって、自分の星数以上になったら座る)で発表され、ノエルとシニアが同点勝利。僕は星2つくらい及ばず。まあ、男優賞とらないと無理!
お金勝利もいくら持ってる人!みたいな玉入れ方式での発表だったんですが、リチャードがダントツすぎ(2位の1.5倍くらい持ってた)で、勝利されてました。リチャードは1ラウンド目も2ラウンド目も作品賞とってるわけで、名プロデューサーと呼ばれてました。
僕ら大羊チームがストーリーを考えていた時に、月夜~では、オリビアが出演者には報酬は支払わない(それでも星3の役が2つあるので、人はくるはずという考えだったようで)という宣言をして、星3の役が欲しいプレイヤーでひと悶着あったとかなかったとか、リチャードはノエルのところに借金の取立てにいっただけでなく興行収入からもいくらかもらう契約をしてきたとか、2年目は色々あったようです(錨~は興行収入のほとんどがリチャードに持っていかれたとか)。
ノエルの演技、2ラウンド目も悪かったというわけではないんですが、1ラウンド目に星トップということで目立ちすぎて、投票してもらえなかったようで(僕もノエルと書いてたのを直前にオリビアに変えましたし)、お金についても星についても2ラウンド目は盛り上がりました。

(1952年の結果)

(僕のキャラの最終成績。星12個でした!)
んで、感想なわけですが参加者のおひとりが「自分の良く遊ぶ面子とやろうとしたら、断固反対という声があってできなかった」と仰っていましたが、確かに、ストーリーを参加者で考えて、さらにただのボードゲーマーが演じるというのはハードルの高いゲームではありました。この日は結局ゲーム開始から終了までインスト込みで4時間ほどかかったわけですが、普段4時間ゲームしたのとは比べ物にならないくらい疲れましたし、自分の予告編を演じる前はほぼ全員が知り合いという場ではありましたが、めっちゃ緊張してました。ルール通りの時間配分だと細かい演技や台詞まで決めるのは無理で、各自のアドリブなのでそこらへんのせいかもしれません。
しかし、その分、いや、それ以上に楽しい体験ありがとうございましたという思いのほうが強いです。もちろん面子にもよりますが、またやりましょうといわれれば、是非是非というくらいには楽しかったです。
一体感、やりきった感などなど半端無いです。
ゲームとしてみると大変難しいです。ゲームが自由すぎるのと、初回はどの程度お金や星がもらえるものなのか(勝利ラインはどのへんなのか)がさっぱりわかりませんし、前述のとおり、作品賞を取りたければ出演人数は少ない方が(一応)有利とか、勝ち負けを考えた投票というのもあるんでしょうけど、前もってそこまで考えられないというか、決断ポイントが少ない割りに影響がでかすぎるように思います。
といっても、結局のところ、作品賞のボーナスや男優賞/女優賞のボーナスがもらえないとお金勝利も星勝利もおぼつきません。
そう、要は素晴らしい脚本を考えて素晴らしい演技をするのが一番勝ちに近づく方法なんじゃないかと。
プレイング次第で勝ち負けが決まる、普段やってるのと変わりません。
といっても、1ラウンド目開始時に決めた方向性を2ラウンド目でも突き進むしかなく(途中で星からお金とかに変えても勝てない)、2ラウンド目開始時に人によっては、もうこれ勝ち目ないな…とやる気がなくなることもあるかもしれません。
そういう意味でも2ラウンド目の役者の選択は重要かも?
あと、今回、気にはしてたもののほとんど小道具を持ち込めなかったのですが、リチャードが大量に衣類などを持ち込んでくれたのが大変助かりました。小道具は必須だと思います。3分という短い時間ですし、当然、テロップなどもでないので、スカート、長髪、コート、帽子、拳銃などなど、一見して役の特徴のわかる”記号”として使える小道具のあるなしでだいぶ印象が変わります。
僕が1ラウンド目に出演したサムソン~ではオリビアは女性役でしたが、服装を用意しなかったので、最初女性と思わなかったという声がいくつかありました。
人は選ぶかもしれませんが、素晴らしい体験であることは間違いなく、是非是非遊んでみて欲しいゲームです。
どうでもいいようなよくない話として、感想戦してる時に1951年、52年の映画なのに『サムソン~』では舞台が2018年、『大羊』も1980年代のアメリカ~とか言ってて、めっちゃSFだと思ったといわれてしまいました。設定は大事ですね!(映画もやりやすさもなじみの深い年代に移して遊んでも良いかもしれません)
ーーー
・フリーズ

そして、ハリウッド・ライヴス終了後、同じく演じるゲームということでフリーズをやりませんかと彼葉さんから提案がありました。
興味はあるが疲れた…ということで、何人かの方は帰ってしまいましたが、残った8人でフリーズをやりました。
フリーズは4人で即興劇を演じるゲームです。劇のあと、劇の参加者、観覧者が劇の参加者の序列を当てます。
劇の参加者には1~4のいずれかの数字が書かれたカードが渡されます。同じ数字を持ってる人がいることもあれば、1~4のうち欠番があることもあります。参加者でも自分以外が何のカードを持っているかはわかりません。
劇の後、まず、その舞台設定はなんだったのかの質問があり、その後、ダイスを振って出目の序列の人、例えば2の人が誰かを全員で当てあいます。当たると点数で規定点を誰かが取るまで続けます。
ちなみに当てられる側は誰からも当てられないと減点(ディクシットとかでもあるルールですね)なので、伝わるように必死に演じます。
僕が演じる側だった時の例として、舞台は船上(カードが大量にありランダムに決まります)、序列は2でした。
船の上の序列で2番目? 船の上の序列ってなんだろう? やっぱ船長が1番かな?と開始前に考えて、即興劇開始直後に、
僕:「船長!船長はどこですか」と発言したところ、彼葉さんが「うむ」みたいな返事をしてくれました。
よしよし、これで船長確定、僕は船長より下の序列だということが伝わっただろうと思っていると、舞台中央に置かれた椅子に座ったSさんが、「船長、この船はいつ到着するのかね」みたいな発言をされました。
あああああ、客船設定だ! 僕はタンカーみたいな客のいない船を想定してたんですが、お客さんが現れました。言葉の感じからして序列は1番で間違いありません。そして、彼葉さんがお客さんの言葉に答えてます。
これでSさんよりも彼葉さんの序列が下であることもわかります。
劇は4人でやるので、もう1人残ったIさんは甲板を掃除をしているような動きをしてます。これも序列はかなり下。たぶん4位でしょう。
そうすると、見る側からすると、1位Sさん、2位彼葉さん、3位僕、4位Iさんで確定だと思われているはず。
しかし実際には僕の序列は2位なので、なんとか彼葉さんと同列だということを伝えなければなりません…。
とかいうような感じで、お互いに台詞や行動を元に相手の序列を推理して自分の行動や台詞に反映していくわけです。
(この後、僕はあまりにいい手が思いつかないので反則みたいなことをしてしまいますが、まあ、難しいです)
序列が単純に1〜4で決まっているわけではない(船の例では、1,2,2,4)というのが効いていて当てる側としても簡単ではないですし、それ以上にこのせいで演じる側のハプニングが結構起こります。
今回は最初の舞台設定が取り調べ室だったんですが、中央に置かれたテーブルとそれを挟むように置かれて椅子。刑事と容疑者が座る想定だったかと思うのですが、両方とも刑事が座ってしまい、「はけ!」と言われて、「はけ?俺にはけっていうのか!」と謎の刑事同士のやり取りが発生し、実は容疑者役になっていたであろう序列4位の人はいなかった(1,1,2,3だった)という奇跡みたいなことが起こり、これは最高のゲームじゃないか!?と参加者全員感じたと思います。
即興劇(エチュード)をやるというとハードルが高いように思われるかもしれません。しかし、演技力はほぼ必要ありません。スパイフォールやキャットアンドチョコレートとかみたいに与えられたお題に応じて話すことを考える系統のゲームとやってることはほぼ変わらないんじゃないかと思います。
でも、他のプレイヤーに合わせる、自分の発言をどうすれば良いか考える度合いはフリーズの方が上だと思われます。瞬発力、対応力がいるというか。
やり取りをする中で発生するアクシデントもフリーズでは、別に起こっても構わないですし、むしろルールでアクシデントを誘発しようとしてる節もあります。見てても演じても楽しいとか最高じゃないですか!
どの序列を当てるのかは、劇が終わって回答直前にダイスで決めるため、どの序列の人も油断できずちゃんと伝わるよう、勘違いされぬよう演じる必要があって、2位や3位の人はそれなりに難しい場合があるんですが、1位や4位は楽といえば楽です。とにかく偉そうなのと偉くなさそうなのをやればいいので。4位だと実際に演じられたのだとキャンプファイヤーの火や、パン屋のオーブンなどがありますが、なんか考えが行き過ぎるとキャンプファイヤーの主役(序列1位)って火じゃないのかとか認識が崩壊してきてまたそれも面白いです。
要は他プレイヤーと認識をあわせるゲームですが、やっぱりみんな同じというのはそうそうないんですよね。客商売をしてる人ならまず1位には客が浮かぶでしょうし、客と会う機会のない仕事なら社長が浮かぶでしょう。でも、それを45秒の即興劇の中でお互いの認識のズレを察して、演じる人、見てる人で合わせていく。ズレのせいで起こるハプニングや綺麗に認識があった時のやったぜ感など、単にわちゃわちゃしてるだけでなく、逆にきっちりかっちりしてるだけでもない楽しさと面白さが同居してるゲームでした。
演じるゲームということで、人数必要ということ以上にハードルが高く、普段なかなか機会のないものを遊ぶ機会に誘っていただいて、彼葉さん、ありがとうございました。
また、ご一緒した方々もサイコーでした!
・ハリウッド・ライヴス

ハリウッド・ライヴスは1950年ごろのハリウッドスターになりきり、映画を作るゲームです。「映画を作るボードゲーム」というと、脚本や撮影機材、役者などの書かれたカード/タイルを入手してそれを組み合わせて、はい、映画できましたとするようなものを想像されるかもしれませんが、『役者になりきり』とある通り、いや、それ以上なんですが、タイトルだけ指定されている映画の製作権を落札し、役者(プレイヤー)を集め、プレイヤーたちで映画のあらすじ、登場人物などを決め、3分間のトレーラーという名の演劇を行い、その後、プレイヤー同士で投票しあって女優賞、男優賞、作品賞を決めます。
ゲームの勝ち負けはお金を1番集めた人、星を一番集めた人が勝者になります。
お金は映画を作成することで「出演した役者の持っている星の数×定数」の興行収入が、映画が作品賞に選ばれれば賞金がもらえます。
星は映画に出演したり賞をとるともらえます。
今回は彼葉さんはゲームディレクター(GMみたいなもの)になり、その他の12人はプレイヤーとして参加しました。
会場に着くとまず、自分の役名を決めます。この後は、その役者として振舞うわけです。
僕の名前はユル・アークライトに。アークライト好きですし(※ゲームのアークライトはイギリスに産業革命をおこした1人の発明家の人名からとられてます)。
12人ともプレイヤーは男性でしたが、7人が男優、5人が女優になりました。
※いつもと違いプレイヤー名ではなく、役者名で書きます。
ゲームディレクターからひと通り、この後の流れなどの説明があり、その後、映画の製作権の競りです。
人数によりますが、今回は毎ラウンド3つの映画が作られ、そのいずれかに参加することになります。
映画はタイトル、撮影費用、興行収入(の計算式)、役者に与えられる星の数が決まっており、競り落とした人(プロデューサー)が撮影費用を払う代わりに興行収入を全て獲得できます。
とはいえ、1人では映画は取れないので、「報酬でXXドル支払うから」だとか、「もらえる星の数が多い役をあげるから」などと言って、製作権を落札していない役者を誘っていくことになります。役者は役者で「脚本は任せてくれてよいので、XX円以上は報酬が欲しい」とか、「星の多い役をくれるなら報酬はいらないし、むしろXX円払ってもいい」などといって自分からアピールしていっても構いません。
しかし、まあ、全員初プレイですしどの程度が競りの相場なのかとか、その後のプロデューサーと役者の交渉もまったく何を基盤にすればいいのか手探りです。
興行収入で儲かるのはわかるんですが、参加してくれた役者にどれくらい払うもなのか等まったくわからないので、僕は競りには手を出さず、星での勝利を狙うことにしました。
そんなこんなで競りといってもほぼやりたい人が最初に言った金額で落札できてしまいました。
1ラウンド目(1951年)の映画は、以下の3つに。
・レミングの夜(プロデューサー:サー・リチャード・レヴィ)
・素晴らしき哉、妻君(プロデューサー:ミリ・ゼニリ)
・サムソンとダビデ(プロデューサー:リタ・バーゴット)
映画タイトルはルールブックに挙げられているもので、実際の映画タイトルをもじったものになってます。
サムソンとダビデは興行収入も最も期待でき、かつ、もらえる星の数が3つの役が2つもあります。レミング~は収入の期待値はそれなり、役は星3:1つ、星2:2つ。素晴らしき~は、収入の期待値は低いですが星2の役が5つと人が集め易そうです。
ミリ・ゼニリの人徳なのか、素晴らしき~がさくっと5人の役者を集めてしまいました。プレイヤーはプロデューサー含めて12人なので平均すれば1つの映画に4人ずつ参加することになるわけですが、早くも偏りができてしまいました。
僕は星狙いだったので、星3の役もらえませんかねとリタに働きかけます。
すると、同じく星が欲しいフレディ、逆に星はいらないが報酬は高くして欲しいオリビアがやってきたので、サムソン~もさくっと4人揃うことに(他の映画は最低でも星が2つもらえる役が空いていたので、0個または1個の役しか空いてないサムソン~にオリビアはやってきたようです)。
さくっと決まったと書いてますが、プロデューサーと報酬に関する話をします。興行収入は参加する役者の持っている星の合計数×映画ごとに決まってる定数から費用を引いたものになります。
役者は全員ゲーム開始時に星を5つ持っているので、1ラウンド目は5×参加人数×定数になります。これによるとサムソン~の興行収入は約80M(というお金の単位)なので、まずはこれをどう分配するかということで、オリビアがもっと欲しい!というようなことを言ってやや揉めましたが、もらえる星の数に反比例して割合分け、作品賞でボーナスがもらえたら別途分け合うという契約になりました。
(ここら辺のルールの覚えがあいまいなのですが、本当は、映画に参加するか決める際に、プロデューサーと話しておかないとダメだったかもしれません)
そして、この後、各映画で3分間の予告編を作ります(プレイヤー達が3分間演劇します)。
映画はタイトルとジャンルしか決まってないので、そこから想像をふくらませるわけですが、うちのサムソンとゴリアテはジャンルはエピック。『サムソンとデリラ』と『ダビデとゴリアテ』を混ぜたタイトルでエピックなので、どちらかの物語をベースにしつつまとめるのだろうと思っていたのですが…。
なんとフレディからとんでもないアイディアが。
ちょっと公序良俗に反する内容なので具体的には書かないことにしますが、フレディとアークライト(僕です)は、伝説の○○になり、伝説の時代からワームホールで現代にやってきて、そこでオリビアと出会い、○○をした後でなんやかんやがあってまたワームホールで帰っていくという話。
ワームホールってどうやって表現すればええんじゃ?というか、エピック要素なくないですか?などと色々あったのですが、プロデューサーであるリタも気に入った設定だったようなので、それに肉付けしていくことに。しかし、ワームホールとか表現できないとこは結局削り、これ頑張っても3分演じるのは無理だぞ…というところで、準備時間が終了(映画を競り落とした後、役者集め~予告編を完成させるまでルールブック上では30分となってます)。
いやー、これはやばいなあと思いながらも、他の方々がどんな予告編を作ってるのかはやはり気になる&楽しみで、ワクワクしながら上映を待ちます。
最初は、『レミングの夜』。こちらは元ネタであろう『ジャッカルの夜』から殺し屋テーマを引き継いで、アレックスが演じる殺し屋レミングと、ノエルの演じる女殺し屋の物語に(プロデューサーであるリチャードは最初に死ぬ役でしたw)。
会場がたまたま和室で、縁側や障子のある部屋だったんですが、障子をスクリーンにしてシルエットだけ見せる、最後のアクションシーンでは特撮風の演出もあるなど、かなり出来が良く、うちのチームはますます、これはやべえという感じに。

(『レミングの夜』で印象的なスクリーン(障子)を使ったシルエットでのノエル演じる女スパイジャッカルの初登場シーン。リチャードの「ファムファタールとの出会いは3年前…」というナレーションも最高でした)
その次の『素晴らしき哉、妻君』も、義理の父親を看病する妻。しかし、旦那は浮気。妻も義父のところにきた医者と…という話をうまくコメディタッチにまとめてました。妻役のジーナの体力ぎりぎりの演技(旦那の不倫の場面をしている横でずっとスキップしてる)も素晴らしかったですが、特筆すべきは義父を演じたシニアの切れのいいダンス! レミング~の真っ当な予告編も思っていたよりかなり上の出来で驚きましたが、まさかこんなダンスが見れるとは!とかなり持っていかれました。

(『素晴らしき哉、妻君』の最初の場面)
そして、ますます…な、サムソン~班。
体育の授業で創作ダンスを作ることになって、適当にやってたら最後の発表時にみんな真面目に作ってて、え?うちはこんな出来なんだけど…となる、あれをまさかこの年になってやっちまうとは思いませんでした。
そんなわけでプレイヤー全員が、男優賞、女優賞、作品賞に投票します。自分自身と自分の出演した作品には投票できませんが、自分と同じ映画に出演した役者には投票できます。
そして、結果発表!
女優賞はレミング~のノエル、素晴らしき~のジーナ、サムソン~のオリビアと、各映画のヒロイン達が同票数となり、決選投票で決めるという激的な流れの末、ノエルが勝利。
男優賞はやはりダンスが全員の心をつかんだようで、シニアがダントツで獲得。お2人には星2つがボーナスとして送られました。
(女優賞、男優賞ともに2位、3位もノミネートとして星1つが送られます)
そして作品賞。初っ端でこんな出来のができるのか!と僕らの度肝を抜いた『レミングの夜』が獲得。ボーナスで賞金100Mと参加者全員に星1が送られました。作品賞2位は素晴らしき~でこちらは賞金50Mがもらえました。
ゲームディレクターである彼葉さん的には、そこまでサムソン~も酷くないというか、他とめちゃくちゃ差があるわけでもなかったと思われてたようで、サムソン~、ゼロ票だったんだけど、ゼロってほどでもなかったよねみたいなことを後ほど仰ってましたが、いわなくていいですよ!w

(1951年の結果)
そして、1952年という名の2ラウンド目に。
また映画の競りから開始です。
今回は、『大羊』、『月夜の決斗』、『錨を降ろせ』の3作品。今回競り落としたのは、それぞれ、リチャード、オリビア、ノエルの3人。
リチャードは1年目と同じくプロデューサーになって、お金勝利を狙っているようです。オリビアは役者としてよりやはり映画を作った方が儲かると思ったようで、2年目はプロデューサーに名乗りを上げました。
そして、ノエルは1年目に女優賞、作品賞を取ったことで星の数は11個と単独トップ。しかし、当然、プレイヤーはゲーマーなわけで逆転勝利を狙ってノエルの星獲得は邪魔する可能性があります(狙って邪魔しなくても、みんな星の多い役を狙えば、ノエルの邪魔になる)。『錨を降ろせ』はプロデューサーに自動的に星3の役が振られるので、落札さえ出来ればかなり星勝利で有利になるわけです。
そんなわけで、『錨を降ろせ』は1年目の男優賞であり、当然星勝利を狙っていたシニアと猛烈な競り合いになり、結構な額まで競りあがったんですが、ノエルは1年目の出演作のプロデューサー、リチャードをパトロンにしていたため、お金が無尽蔵にでてきます(おそらく1年目の作品賞ボーナス100Mのほとんどをリチャードがもらってる)。途中でシニアは諦めたため、前述のとおりノエルが落札しました。
僕は星勝利を狙っていたわけですが、ノエルとの差はこの時点で星3つです。ちょっと3つを逆転するのは難しくないか?と若干弱気になったことで、星3の役のある月夜~に参加交渉する気にならず、名プロデューサーリチャードの手腕を見たくなったこともあって『大羊』に参加することにしました(競りの段階で錨~だったか月夜~に人が集まっているように見えたというのもあったんですが、なんか人が流れてきて大羊は5人の大所帯になってました)。
リチャードは「脚本は任せる」と言い残して、どこかにいってしまったので、残った面子で脚本の検討に入ります。といっても、ミリがほぼ決めて、ハンフリーやフレディがアイディアを出していくという形で、僕はほぼ参加してなかったんですが…。
(1ラウンド目に複数人で脚本作ったら、まとまらずに支離滅裂な感じになってしまったというのもあり、かなり引いた感じになってました)
しかし、ミリがすぱっとストーリーを決めてくれたので、1ラウンド目と違い演出に時間を割くことができます。小道具は何を使うか、スクリーン(障子)はどう使うか、音響は?などなど、結構余裕を持って色々決めることができました。
僕は主人公であるミリの父親で大羊に殺される役です。どう殺されるかじっくり考えれました。
2年目はみなさん慣れたのか、各映画とも見ごたえのあるもので、それぞれに見所があり盛り上がりました。
そして、投票なわけですが、ここでふと気づきます。自分達の出演作には投票できないってことは、出演人数少ない方が、自作への投票権を持つ人数が多くなるので有利なんじゃない?=最大の5人が出演してる大羊は作品賞取るのには不利なのでは?と。まあ、今気づいてもどうしようもないんですが。
そして、2年目の投票結果発表です。
女優賞は、『錨を降ろせ』で女海賊ストロング・ゼロを演じたジーナと、『月夜の決斗』で兄弟ふたりの恋心を翻弄する酒場の給仕を演じたオリビアとで決選投票になり、オリビアが受賞。
男優賞は『月夜の決斗』での兄弟を演じたシニアとバジルの決選投票でシニアが勝利。(ありがたいことに僕も男優賞3位に選んでいただきました。死に際に凝った甲斐がありました)

(『月夜の決斗』の酒場のシーン。シニアとバジルの2ショットです)
女優賞、男優賞とも『月夜の決斗』から選ばれているわけで、作品賞もか…!?と緊張したものの、『月夜の決斗』は作品賞では2位。我らがリチャードP製作の『大羊』が見事作品賞に選ばれました!
これでボーナスの賞金と星1つを獲得です。
星勝利は運動会の玉入れ方式(徐々に数字をあげていって、自分の星数以上になったら座る)で発表され、ノエルとシニアが同点勝利。僕は星2つくらい及ばず。まあ、男優賞とらないと無理!
お金勝利もいくら持ってる人!みたいな玉入れ方式での発表だったんですが、リチャードがダントツすぎ(2位の1.5倍くらい持ってた)で、勝利されてました。リチャードは1ラウンド目も2ラウンド目も作品賞とってるわけで、名プロデューサーと呼ばれてました。
僕ら大羊チームがストーリーを考えていた時に、月夜~では、オリビアが出演者には報酬は支払わない(それでも星3の役が2つあるので、人はくるはずという考えだったようで)という宣言をして、星3の役が欲しいプレイヤーでひと悶着あったとかなかったとか、リチャードはノエルのところに借金の取立てにいっただけでなく興行収入からもいくらかもらう契約をしてきたとか、2年目は色々あったようです(錨~は興行収入のほとんどがリチャードに持っていかれたとか)。
ノエルの演技、2ラウンド目も悪かったというわけではないんですが、1ラウンド目に星トップということで目立ちすぎて、投票してもらえなかったようで(僕もノエルと書いてたのを直前にオリビアに変えましたし)、お金についても星についても2ラウンド目は盛り上がりました。

(1952年の結果)

(僕のキャラの最終成績。星12個でした!)
んで、感想なわけですが参加者のおひとりが「自分の良く遊ぶ面子とやろうとしたら、断固反対という声があってできなかった」と仰っていましたが、確かに、ストーリーを参加者で考えて、さらにただのボードゲーマーが演じるというのはハードルの高いゲームではありました。この日は結局ゲーム開始から終了までインスト込みで4時間ほどかかったわけですが、普段4時間ゲームしたのとは比べ物にならないくらい疲れましたし、自分の予告編を演じる前はほぼ全員が知り合いという場ではありましたが、めっちゃ緊張してました。ルール通りの時間配分だと細かい演技や台詞まで決めるのは無理で、各自のアドリブなのでそこらへんのせいかもしれません。
しかし、その分、いや、それ以上に楽しい体験ありがとうございましたという思いのほうが強いです。もちろん面子にもよりますが、またやりましょうといわれれば、是非是非というくらいには楽しかったです。
一体感、やりきった感などなど半端無いです。
ゲームとしてみると大変難しいです。ゲームが自由すぎるのと、初回はどの程度お金や星がもらえるものなのか(勝利ラインはどのへんなのか)がさっぱりわかりませんし、前述のとおり、作品賞を取りたければ出演人数は少ない方が(一応)有利とか、勝ち負けを考えた投票というのもあるんでしょうけど、前もってそこまで考えられないというか、決断ポイントが少ない割りに影響がでかすぎるように思います。
といっても、結局のところ、作品賞のボーナスや男優賞/女優賞のボーナスがもらえないとお金勝利も星勝利もおぼつきません。
そう、要は素晴らしい脚本を考えて素晴らしい演技をするのが一番勝ちに近づく方法なんじゃないかと。
プレイング次第で勝ち負けが決まる、普段やってるのと変わりません。
といっても、1ラウンド目開始時に決めた方向性を2ラウンド目でも突き進むしかなく(途中で星からお金とかに変えても勝てない)、2ラウンド目開始時に人によっては、もうこれ勝ち目ないな…とやる気がなくなることもあるかもしれません。
そういう意味でも2ラウンド目の役者の選択は重要かも?
あと、今回、気にはしてたもののほとんど小道具を持ち込めなかったのですが、リチャードが大量に衣類などを持ち込んでくれたのが大変助かりました。小道具は必須だと思います。3分という短い時間ですし、当然、テロップなどもでないので、スカート、長髪、コート、帽子、拳銃などなど、一見して役の特徴のわかる”記号”として使える小道具のあるなしでだいぶ印象が変わります。
僕が1ラウンド目に出演したサムソン~ではオリビアは女性役でしたが、服装を用意しなかったので、最初女性と思わなかったという声がいくつかありました。
人は選ぶかもしれませんが、素晴らしい体験であることは間違いなく、是非是非遊んでみて欲しいゲームです。
どうでもいいようなよくない話として、感想戦してる時に1951年、52年の映画なのに『サムソン~』では舞台が2018年、『大羊』も1980年代のアメリカ~とか言ってて、めっちゃSFだと思ったといわれてしまいました。設定は大事ですね!(映画もやりやすさもなじみの深い年代に移して遊んでも良いかもしれません)
ーーー
・フリーズ

そして、ハリウッド・ライヴス終了後、同じく演じるゲームということでフリーズをやりませんかと彼葉さんから提案がありました。
興味はあるが疲れた…ということで、何人かの方は帰ってしまいましたが、残った8人でフリーズをやりました。
フリーズは4人で即興劇を演じるゲームです。劇のあと、劇の参加者、観覧者が劇の参加者の序列を当てます。
劇の参加者には1~4のいずれかの数字が書かれたカードが渡されます。同じ数字を持ってる人がいることもあれば、1~4のうち欠番があることもあります。参加者でも自分以外が何のカードを持っているかはわかりません。
劇の後、まず、その舞台設定はなんだったのかの質問があり、その後、ダイスを振って出目の序列の人、例えば2の人が誰かを全員で当てあいます。当たると点数で規定点を誰かが取るまで続けます。
ちなみに当てられる側は誰からも当てられないと減点(ディクシットとかでもあるルールですね)なので、伝わるように必死に演じます。
僕が演じる側だった時の例として、舞台は船上(カードが大量にありランダムに決まります)、序列は2でした。
船の上の序列で2番目? 船の上の序列ってなんだろう? やっぱ船長が1番かな?と開始前に考えて、即興劇開始直後に、
僕:「船長!船長はどこですか」と発言したところ、彼葉さんが「うむ」みたいな返事をしてくれました。
よしよし、これで船長確定、僕は船長より下の序列だということが伝わっただろうと思っていると、舞台中央に置かれた椅子に座ったSさんが、「船長、この船はいつ到着するのかね」みたいな発言をされました。
あああああ、客船設定だ! 僕はタンカーみたいな客のいない船を想定してたんですが、お客さんが現れました。言葉の感じからして序列は1番で間違いありません。そして、彼葉さんがお客さんの言葉に答えてます。
これでSさんよりも彼葉さんの序列が下であることもわかります。
劇は4人でやるので、もう1人残ったIさんは甲板を掃除をしているような動きをしてます。これも序列はかなり下。たぶん4位でしょう。
そうすると、見る側からすると、1位Sさん、2位彼葉さん、3位僕、4位Iさんで確定だと思われているはず。
しかし実際には僕の序列は2位なので、なんとか彼葉さんと同列だということを伝えなければなりません…。
とかいうような感じで、お互いに台詞や行動を元に相手の序列を推理して自分の行動や台詞に反映していくわけです。
(この後、僕はあまりにいい手が思いつかないので反則みたいなことをしてしまいますが、まあ、難しいです)
序列が単純に1〜4で決まっているわけではない(船の例では、1,2,2,4)というのが効いていて当てる側としても簡単ではないですし、それ以上にこのせいで演じる側のハプニングが結構起こります。
今回は最初の舞台設定が取り調べ室だったんですが、中央に置かれたテーブルとそれを挟むように置かれて椅子。刑事と容疑者が座る想定だったかと思うのですが、両方とも刑事が座ってしまい、「はけ!」と言われて、「はけ?俺にはけっていうのか!」と謎の刑事同士のやり取りが発生し、実は容疑者役になっていたであろう序列4位の人はいなかった(1,1,2,3だった)という奇跡みたいなことが起こり、これは最高のゲームじゃないか!?と参加者全員感じたと思います。
即興劇(エチュード)をやるというとハードルが高いように思われるかもしれません。しかし、演技力はほぼ必要ありません。スパイフォールやキャットアンドチョコレートとかみたいに与えられたお題に応じて話すことを考える系統のゲームとやってることはほぼ変わらないんじゃないかと思います。
でも、他のプレイヤーに合わせる、自分の発言をどうすれば良いか考える度合いはフリーズの方が上だと思われます。瞬発力、対応力がいるというか。
やり取りをする中で発生するアクシデントもフリーズでは、別に起こっても構わないですし、むしろルールでアクシデントを誘発しようとしてる節もあります。見てても演じても楽しいとか最高じゃないですか!
どの序列を当てるのかは、劇が終わって回答直前にダイスで決めるため、どの序列の人も油断できずちゃんと伝わるよう、勘違いされぬよう演じる必要があって、2位や3位の人はそれなりに難しい場合があるんですが、1位や4位は楽といえば楽です。とにかく偉そうなのと偉くなさそうなのをやればいいので。4位だと実際に演じられたのだとキャンプファイヤーの火や、パン屋のオーブンなどがありますが、なんか考えが行き過ぎるとキャンプファイヤーの主役(序列1位)って火じゃないのかとか認識が崩壊してきてまたそれも面白いです。
要は他プレイヤーと認識をあわせるゲームですが、やっぱりみんな同じというのはそうそうないんですよね。客商売をしてる人ならまず1位には客が浮かぶでしょうし、客と会う機会のない仕事なら社長が浮かぶでしょう。でも、それを45秒の即興劇の中でお互いの認識のズレを察して、演じる人、見てる人で合わせていく。ズレのせいで起こるハプニングや綺麗に認識があった時のやったぜ感など、単にわちゃわちゃしてるだけでなく、逆にきっちりかっちりしてるだけでもない楽しさと面白さが同居してるゲームでした。
演じるゲームということで、人数必要ということ以上にハードルが高く、普段なかなか機会のないものを遊ぶ機会に誘っていただいて、彼葉さん、ありがとうございました。
また、ご一緒した方々もサイコーでした!