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厄介なゲストたち/ Awkward Guests

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(4人でインスト込み60分ほど)

【概要&ルール】

ウォルトン氏が死体で発見された! 氏は昨夜パーティーを開いており、招待されたゲストたちの中に犯人がいるらしい。ゲストや召使いたちに話を聞いて、犯人を導き出せ!

消去型の推理ゲームです。70枚のカードの情報を突き合せると「犯人」「動機」「凶器」が明らかになるようになっています。

・カードについて
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左上に情報力(大きいほどその情報で確定できる範囲が広い)
右上に情報の対象(情報と関連する容疑者名、もしくは場所が書かれてます)
下部にテキストで情報そのものが書かれています(「死体には争った傷はなかった」とか「俺は事件当時はキッチンにいたんだ」とか)。
背景として発言者の絵と、メモ用紙にどうメモを取ればいいかが書かれています。
※メモ用紙が機能的で基本的にはカード通りにメモしていれば大丈夫です
※テキストは何種類かの定型文なので、定型文のパターンと固有名詞(容疑者名とか)を理解していれば大丈夫です。

・事件(山札)作成について
ゲームには約250枚のカードが入っています。そこから、ルールブックまたは公式アプリ上に示されている70枚(カード裏面に番号が振られています)を選ぶことで1つの事件を作ります。

難易度は7段階あり、ルールブック上には40~50種類の組み合わせが書かれています。アプリを使えば、ランダムに事件を選ぶこともできます。

・ゲームの流れについて
ラウンド開始時に手札が規定枚数ずつ全プレイヤーに配られます。

手番は以下の流れで行います。

1.手番プレイヤーは、容疑者と部屋(ベッドルームとかガレージとか)を任意の組み合わせで2つ宣言します。「Aさんとキッチン」とか「AさんとCさん」とか。
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(こんな感じ)

2.手番以外のプレイヤーは手札の中で、宣言した要素を含むカードのうち、手番プレイヤーに渡して良いカードに書かれた情報力の合計値をトークンを使って示します。(例:手番プレイヤーの「Aさんとキッチン」宣言に対して、Aさんについて書かれたカードを3枚、キッチンについて書かれたカードを2枚持っていたので、Aさんの情報は隠すことにして、キッチンの2枚のみ提示した)

3.手番以外の全プレイヤーがトークンを提示したら、手番プレイヤーは交換したいプレイヤーに手札から情報力が同じカードを渡して、カードを交換します。

これを全プレイヤーが1度ずつ行ったらラウンド終了です。

ラウンド終了時に、推理するか、次ラウンドも捜査するかの意思表示を行います。推理を選んだプレイヤーは「犯人」「動機」「凶器」(高難易度だと共犯者についても「名前」「動機」が必要です)をメモし、解答を確認します。正解していたら勝利です。
捜査を選択したプレイヤーは任意の枚数のカードを捨て、規定数まで補充した後、次ラウンドに進みます。

【プレイ内容】

俺の名前はヒダリ。ケチなプライベート・アイだ。灰色探偵社という名のちっぽけな探偵事務所の所長ということになっている。社員は俺とたまに転がり込んでくる猫だけだが。

今日は、富豪として地元では知らない者のいないウォルトン氏の殺害事件の調査で、氏の邸宅の調査に訪れている。よほど早く解決したいのか、猫の手でも借りたいのか、たいした実績があるとも思えない俺の事務所にも依頼の電話があったからだ。

どういうことかはわからないが、俺が現場に到着してみると、3人の探偵たちが既に調査を始めているとのことだった。タロ吉探偵、ヒガ探偵、酒元探偵だ。
なるほど。金の有り余っている連中のやることはよくわからないが、どうもこいつらはライバルということらしい。情報はお互いにやり取りしながら、最初に事件の真相をつきとめるか勝負するのだ。真相を突き止めたかどうかに関係なく、金はもらえるということなので俺たちに文句はない。

●捜査初日~2日目 『探偵たち、捜査を始める』

捜査の流れはこうだ。探偵たちは各自、1日かけて聞き込みを行う。その後、探偵全員で顔を突き合わせて情報を交換したいやつは交換するということにした。

※1ラウンド=1日だと解決まで時間が経ちすぎるので、実際は1,2時間くらいのことかと思います。
※ラウンド頭に配られる手札を各自の聞き込み、その後のプレイヤー間での情報のやり取りを情報交換という体にしています。


俺は死体の発見現場である書斎で警官たちに死因について話を聞くとともに、メイドたちに事件当時怪しい人影を見なかったか聞いて回った。
結果、2日目までに凶器については半数以上が捜査対象から外れることになったし、家の中で誰も通っていない場所をいくつか特定することができた。

※手札は完全にランダムに配られるので、狙ったわけではないですが、何故か、書斎のカードと、メイドの証言カードが多めに手元に来ました。
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(めっちゃ集まる凶器についてのカード)

この調子で一気に凶器の特定を試みようと、2日目の情報交換で書斎に関する情報はないか?と尋ねてみた。

ヒガ探偵:「ないでーす」
酒元探偵:「3です」
タロ吉探偵:「6です!」

※情報交換では手番プレイヤーが場所と容疑者を任意の組み合わせで2つ指定します。手番以外のプレイヤーは手元に該当の場所/容疑者の情報があれば、交換対象として提示できます。この際、提示する情報の情報力みたいなものがカードの左肩に書かれており、その数字の合計をカードとともに提示します。
手番プレイヤーは合計が同じか上回る情報力のカードを交換対象として提示する必要があります。
この時、手番以外のプレイヤーは該当の場所/容疑者の情報を持っていたとしても、出したくないカードは提示する必要はありません。
ただし、合計の情報力が大きくなるように提示できれば、手番プレイヤーから交換として出てくる情報も情報力の大きいものになります。


思惑通り、大きい情報が手に入った。これで凶器に関してはかなり特定が進んだぞ。

しかし、問題だったのはこのあと。

タロ吉探偵:「M(モロー)とトロフィールーム」
僕:「ありません(書斎の情報しか手元にない!)」
酒元探偵:「5」
ヒガ探偵:「2」
タロ吉探偵:「では、お二人ともと交換で」

書斎の情報の代わりに俺の手持ちの情報を全て渡してしまったため、その後の探偵間の情報のやり取りに参加できなくなってしまったのだ。
タロ吉探偵のあと、ヒガ探偵、酒元探偵も書斎は指定しなかったため、苦々しい思いをしながら二日目は終わった。

●捜査3日目~4日目 『凶器特定!』

3日目の調査でまたまた俺は書斎で鑑識官から話を聞くことができた。
この情報で凶器を特定することができた。

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(凶器はベッドルームに置かれていたリボルバー銃だ!)

次に犯人と動機だ。

俺は凶器に関する情報中心に集めていたから、犯人のめぼしは全く立っていない。
しかし、凶器を特定できているので、ここから突き止めることもできそうだ。

凶器は館の中に元々あったものが使用されており、犯人は凶行の直前に凶器を手に入れ、犯行現場である書斎へ移動している。つまり、凶器が元々置かれていた場所を通っている人物のいずれかが犯人だし、逆に言えば、通っていない人物たちは犯人ではないのである。

メイドに話を聞くと、事件当夜、キッチンとベッドルームの間を行き来した容疑者は誰もいなかった等と、部屋に入っていない人物の話をしてくれた。
そういった情報を集めていけば、犯人も特定することが出来そうだ。

相変わらずタロ吉探偵の情報交換での眼力というか、ヒガ探偵、酒元探偵がどういった調査をしてきたのかを見極める目はすさまじく、多くの情報を二人から引き出していた。
俺はみなとの相性が悪いらしく、この情報が欲しいといってもほとんど情報が出てこなかった。

どこにいってもやはり大事なのは人とのコミュニケーション能力ということだろうか。

俺は、犯人の特定に向け、犯人が通った場所として確定しているベッドルームや、手元の少ない情報からバーウィック姉妹に犯人ではと考え始めていた。この姉妹の情報が欲しかった。
何故必要かは伏せつつ、3人の探偵に必要な旨を伝えると、ヒガ探偵が情報量は多くはないが…と言いつつ、1枚のカードを出してきた。

いやいや、今は少しでも情報が欲しい時なのだ、情報量の過多によらず、大変ありがたいと伝えながら、俺の手札からもカードを1枚渡し、交換でカードを受け取った。

そのカードを見た俺の手は思わず震えた。ヒガ探偵から渡された情報は、以前、俺がヒガ探偵へ渡したカードだったからだ。

やられた。見事に俺は何の価値もない情報と、自分が一日聞き込みに回って手に入れた情報を交換してしまったのだ。
全くとんだお人よしだ。

※大げさに書いてますが、まあ、よくあることです。
ラウンド中、手番が後ろだと指定して集めたカードが以前自分が渡したカードだったということにはなりがちです。また、ラウンド終了時に手札を捨てて山札から補充できるのですが、わざと交換用に他プレイヤーが知っている情報の手札にカードを残している人もいますし、逆に捨て札にして情報を埋めてしまう人もいます。


●5日目~6日目 『推理披露!その結果は…?』

俺は焦っていた。リボルバーという凶器は特定できている、そして、バーウィック姉妹が犯人なら動機はこれだという特定もできていたが、もう1歩、犯人だと確定させるにはもう1つ確かな情報が欲しかった。
バーウィック姉妹が犯行時にいたと話しているビリヤードルームからベッドルームへはトロフィールームとガレージを通れば行くことができる。
他の容疑者たちの位置と比べて移動距離も短く、可能性は高そうだ。

しかし…。トロフィールーム周辺での「誰もここを通らなかった」という情報があるのではないかという思いがどうしてもぬぐえなかった。

またはバーウィック姉妹の3つある動機のうちでまだ否定できていない残り1つに関する情報。

バーウィック姉妹以外もまだ可能性としては残っており、単に「凶器のあった部屋まで一番近い」「現時点の情報では犯人でないといえない」という消極的な理由で、犯人であると考えているだけなのだ。

やはり、凶器に絞った情報を集めすぎたのか…? タロ吉探偵が調子よく情報を集めているのも気になる。あと1日捜査をしてもう少し情報を集めるか? そろそろ他の探偵たちも真相に近づいているはずで、先に当てられては報酬を受け取ることはできない。

先に答えられるくらいなら、ギャンブルにでるか…?

※ラウンド間に回答するか、次ラウンドも捜査を続けるのかの意思表示をトークンを使って一斉に行います。表面なら回答、裏面なら操作続行です。

俺の選択は回答。バーウィック姉妹がfamily vendetta(家同士の抗争、復讐)の動機で、リボルバーを使って殺したと推理を書いたのち、解答を確認する。
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(字が汚いのはお許しください)

結果は……。不正解。凶器は正解したが、犯人が違っていた。

バーウィック姉妹でなければ、こいつだろうと睨んでいたやつが犯人だった。

残りの探偵たちは捜査を続けるが、俺はここで屋敷をあとにした。

※このあともゲームは続き、タロ吉探偵、ヒガ探偵、酒元探偵も推理を披露しましたが。結果的には全員不正解でしたw
僕と反対で犯人を当てて、凶器を外すという方もいらしたので、カードが偏っていたのかもしれません。


【感想】

消去法を使った推理ゲーム(クルードとか)の中では、情報の示され方、システム等々、含めて現時点で最高のゲームだと思います。

メモ用紙の使い勝手が良いとか、まあ、細かい話もあるんですが、僕がこのゲームを気に入った理由は、

・消去法で消された(残った)情報によって、カードに示されていない情報を推測できること
・犯人自らが話している情報は嘘であること

の2点です。

逆説的な話になりますが、クルードを代表とする普通の消去法の推理ゲームで僕が残念なところに証拠間の関連が全くないことがあります。
犯人、凶器、犯行現場が4種類ずつあるとしたら、単に4×3のマスを1つずつ塗りつぶしていくだけっちゃだけなんですよね。(なので、その塗り潰し方自体が面白かったり、ゲーム性があったりするわけですけど)

厄介なゲストたちは、犯人、動機、凶器を当てるゲームですが、誰それは犯人ではないという直接的な情報はありません。
犯人を当てるには使用人たちの、どの部屋に事件当時何人いたか、どの部屋の間を通ってないかなどの情報と、容疑者たちの事件当時は誰それと一緒にいた、とか、どこそこにいたという情報を組み合わせる必要があります。
仮に上記の情報が手に入らなかったとしても、動機や凶器を特定することによっても犯人を特定する情報の集め方もあります。

所詮はデザイナーが作った枠の中と言ってしまえばその通りなんですが、それでも、このAの情報があるということはXXか!?とか、この凶器ならBが犯人ということはないなとか実際の謎解き的に思考することになりますし、Cが犯人ならベッドルームを通っているはずなのでその場所の情報を集めようなどと情報収集の指針にもなります。
(旧来の消去法の推理ゲームは他人の情報収集のやり方から捜査状況を類推する以外、指針的なものは作りようがないものが多かったと思います)。

そして、この情報間の関連の極め付けが「犯人自身の供述は嘘」であることです。

ふむふむ。AさんはBさんと事件当時一緒にいたのか。あれ? Bさんは事件当時ひとりで図書館にいたって言ってなかったっけ?
使用人も事件当時図書館にいたゲストは1人だけだって言ってる! つまり犯人は…。

これです。

もちろん、犯人役をプレイヤーが務めるタイプの推理ゲームなら普通にあることです。しかし、これを、(指定の山札を作る必要はあるとはいえ)プレイヤー全員が探偵役を務め、かつ、繰り返し遊べるタイプの推理ゲームで実現してるのがすごいと思います。
遊んでみても嘘ついてるやつが1人いるってのは、推理が一筋縄でいかなくなり、面白さに繋がっていますし。
犯人特定の情報収集ルートのひとつになってもいます。

では、文句無しなのかと言えばそうでもありません。
情報交換ルールは、プレイヤー間の情報量を保ちながら、指定の場所や人のものが獲得できるものではありますが、正直、少人数(3人くらい)だと指定の種類の情報を持ってる人がおらず、機能しないラウンドも多々ありますし、「欲しい情報宣言→手札から探す→どれを提示するか決める→手番プレイヤーが交換材料を選ぶ」という流れがもっさりしており、人数が多すぎるとダウンタイムが長くなります。

交換材料として以前もらった情報を返すことで自分だけ情報を得るというプレイングも、やれば楽しいですし、やられた方もげらげら笑ったりもするんですが、終盤、山札がリシャッフルされてからは故意ではなくとも頻発するようになると、まあ、勘弁してくれってなります。

結局、ラウンド間での手札交換がメインの情報獲得手段で、プレイヤー間の交換はおまけ程度に考えた方が良いんかな?と思います。

あればあったで、他の消去法の推理ゲームと同じく、メタ的な他人の捜査状況を類推することもできますし、後手番のプレイヤーは前手番のプレイヤーと同じ対象を宣言すれば、一定量の情報が出てくることは出てくるんですけどね。

最後に細かい話ですが、一部の情報を除けば、カードに示されている通り専用のメモ用紙にチェックするだけで情報の整理ができるというのも、プレイアビリティにつながってますし、最初は、おおおと驚きます。

マーダーミステリーだったり、アンロックやExitなどだったりと、謎解きゲームにも色々バリエーションが増えてきて、明らかに消去法の推理ゲームって地味なんですが、証拠集めてロジカルに解ける、繰り返し遊べる、閃きや知識量の差など関係ないなど、やはり手堅い面白さがあると思います。
候補を消していってるだけでは?感の薄い、謎解いてる、捜査している感の強いゲームもこのゲームやミステリーホームズなど増えてきてますし、ちょっと面白さの種類は違いますがクリプティッドもあります。
まだまだいけるな!進化するな!という気がします。

フォアシュピール2019秋に参加してきました その2

その1の続きです。

その1で書いたゲーム以外にももちろん遊んだのでそちらの感想になります。

斯くして我は独裁者に成れり 幕末
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全員共通の手札を持ち、各ラウンド1~2枚ずつ捨てていって、最後に手元に残した1枚に書かれた勝利条件を満たしていたプレイヤーが勝利(複数人勝利や勝者無しの場合もあり)という基本ルールは同じで、テーマと勝利条件を変更した第二弾。

※まだ調整中とのことでゲームマーケットでの販売はないそうです。

勝利条件が結構複雑に絡み合ってる(第1弾の方はシンプルなつくりにしたので、今作は複雑にされたそうです)ので、ひと通り説明を聞いただけでは、えーっと、新選組のカードで勝とうとしたら、他の人が残すカードってどうなってりゃいいんだっけ?というのが正直全く分かりません。
しかし、卓のメンツの1人として参加してくださっていたサークルの方や構造をさくっと理解された方が、例えばこういう勝ち方があるので、これを目指してみましょうとゲームを進めてくださいました。


何を捨てるか、何を残すかは毎ラウンド話し合いをしたうえで、秘密裏に捨てます。そして、誰が捨てたかわからない状態で、捨てられたカードは全て公開されます。なので、誰が持っているかはわからないが、どのカードが残っているか、はたまた話し合った内容を裏切ろうとしているやつがいるのかいないのかも、ラウンド間にははっきりします。

話し合いは、全員が納得しやすい「全員勝利」を目指す方向で進みました。全員勝利するパターンも数通りありましたが、幕府を1人立てて、残り全員が大名になるパターンで進みました。
最終ラウンドではカードを1枚捨て、残ったカードが話し合いの通りなら無事全員勝利というところまで来ました。最終ラウンド開始時、僕が手元に残していたカードは黒船と大名の2枚。

黒船の勝利条件は、「朝廷、新選組が0枚で、黒船が1枚(自分だけ)なら勝利」というもの。つまり、話し合いの通り幕府+大名を目指すなら、僕は黒船を残せば1人だけ勝利になるわけです。
当然、こういう二択になるようカードを残してきたわけですが、問題が1つ。

捨てられたカードを見るにまだ朝廷と黒船を持っているプレイヤーがいます。素直に大名を残して全員勝ちを狙うか、それとも1人勝ちを狙うか…。
(これ、いま考えるとあまり選択肢になってませんね。どちらにせよ自分以外は幕府+大名でないと僕は勝てないので、どっち出しても構わないように今は思います)

結果は、幕府役になってもらうつもりだった方が裏切り、幕府を捨てるというプレイングで、誰も勝利条件を満たさず、全員負けということになりました。
やはりみなさん、最終ラウンド開始時に残していた2枚はどちらでも勝ちを狙えるカードだったようで、隣の方も商人(勝利条件を満たしたプレイヤーがいない場合に勝者になる)残せばよかったーと仰っていました。

第1弾の評判も良く、この第2弾も面白かったです。書いた通り、当初はどうプレイすれば良いか全くわかりませんでしたが、1、2ラウンドもプレイすれば、自分の手札や捨て札から、やることが絞られていくので迷うことは少なくなりはします。
正直、腹の探り合いと自分がどう決断するのかが面白いゲームなので、1,2回遊んで終わりにするのではなく、何回も遊ぶことが推奨されるゲームとは思います。

ただ、勝ちの価値が薄いというか、勝ちを目指す動機づけが弱いとは思います。勝てばいいのであれば、ほんとに全員勝利めざしましょう→その通りカード出して終わりなんですよね。勝者を自分1人だけにする、他人を勝者にしない理由がないので。いやいやいや、最後に裏切るのがいいんじゃないですかーとか、なんとかして自分1人だけが勝てるように議論を誘導するんですよ!とか、そういう面白さを見つけられる人向けです。
そういった自由さも含めて面白さとは思いますが、ゲームとして、各自が(他人を裏切ってでも)勝とうとする動機づけがシステム的にあった方が好みではあります。

試遊後、カード間の関連図が欲しいとのコメントに「良く言われるが、見やすく、わかりやすいものを作るのが難しい」というようなことを回答されてました。関連図が難しいのであれば、量はかさむでしょうが、〇〇の勝利時の具体例みたいな感じで、ゲーム終了時、どういう状態だったら勝てるのか(どの状態を目指せばいいのか)のパターンを網羅したものがあると、遊びやすそうとは思いました。

ねこマジョ
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堀場工房さんの新作。同じコンポーネント(ボードは両面仕様)を使って複数ゲームが遊べます。そのうちの1つを遊ばせてもらいました。

4人戦でボード上に置かれた得点チップを取り合うゲームです。
ボードは4×4のマス目に区切られており、各マスの間(仕切り線の交点)得点チップが裏向きにおかれています。プレイヤーは0~4の数字の書かれた猫チップを毎手番1枚ずつ任意のマスに裏向きにおきます(既に猫チップが置かれているマスにも配置可能です)。
こうして、ある得点チップに隣接する4マスのうち、3マスに1つ以上の猫チップが置かれたら得点チップが公開され、さらに4マス全てに猫チップが1つ以上置かれたら、4マスにある猫チップを公開します。猫チップに書かれた数字の合計が一番大きいプレイヤーが得点チップを獲得します。
同じマスに複数プレイヤーの猫チップが置かれていた場合、そのマスの中で一番数字の合計が大きいプレイヤーだけが、得点チップ獲得判定の数字にそのマスの値を加算できます。

こうして、全ての得点チップが取られたらゲーム終了で、獲得した得点チップの合計点が一番高いプレイヤーが勝利します。

4人だとあっという間にマスが埋まります。既に猫チップが置かれているマスにチップを置かなければ、4手番で全部のマスが埋まります。
手番が2周もすれば大抵の得点チップは公開されてますし、3周したらあとは詰め将棋という展開の早いゲームです。

序盤はどこに大きい数字の猫チップを置くのか/おかれるのかでドキドキしましたし、3手番目くらいからはもう誰が何を手元に残しているかもだいたいわかるので、ほぼ完全情報ゲームとしての詰め将棋感も楽しかったです(この試遊では僕は見事に詰めを誤ってしまいましたが)。さくさくさくっと、インスト含めて15分程度で終わるのも手軽ですし。

いくつかのゲームが遊べるということなので、他のゲームも同じ感じならミニゲーム集的で良いと思います。

ボス猫といううまく使えば他プレイヤーの猫チップを追い出すチップもあるので単純な数字比べにはならないですし、同じマスに複数の猫チップが置かれると、得点チップの取り合いに絡めるのは優勢(猫チップの合計値がトップ)な1人のプレイヤーの猫チップだけなので、そのマスの優勢の取り合いが熱い…んかなあと思いはするんですが、この時はあっという間にマスが埋まっていくので、同じマスに複数の猫チップが置いてる場合ではなく、その妙味は味わえませんでした。

よくよく考えれば、1つのマスで4つの得点チップに絡めるので、1マスに何個も猫チップをおいて強化するのが効率的(ただし、ボス猫で追い出されるリスクあり)なので、単に何を置いたか/置かれたかに追加して、複数マス重視と1マス重視での読み合いも生まれるのかもしれません。
僕は正直アブストラクトが苦手なので、そこに到達できるかは定かではありませんが…。

レビュアー天国
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1980年から2020年までの間で流行したものが書かれたカードを5枚とり、そのうちの1枚を場に並んだ修飾語と名詞のカードを使って表現(「サイコーな」「世界」とか)するクイズゲーム(選ばなかった4枚が外れの選択肢になる)。

ゲームとして見てしまうと、まあ、流行対象を知っている人が同卓しているかどうかでほぼ決まっちゃいます。カード2枚を使って表現するのも、最初に取ってくる流行したものの選択によっては似たものが選択肢に入っちゃうので、正直、うーん…です。

ゲームというよりも、流行したものを見て、あーだこーだ言い合うコミュニケーションツールなように思いました。あー、これをそう表現する!?とか、そのカードを選ぶの!?だの、自分がそれ取りたかったーだの、そういう楽しさのゲームかなと。
上記の似たものが選択肢に入るのもわざとやってるんでしょうし。

他人の語りに対して、いいね!を表現するカードもコンポーネントにありますし、コミュニケーション寄りのゲーム化と思います。
しかし、このゲーム、あーだこーだ言ってしまうと減点(カードでの表現以外、流行したものについて話したりしてはいけない)というルールなんですよね。それでも語ってしまうからこそのいいね!だとは思うんですが。

流行したもののカードは全部見たわけではありませんが、各年代とも、バリエーションがあって見ているだけでも楽しかったです。

ブログ書くのに写真を見返したんですが、自分、80年代のカードしかとってないですね…。

アウルバウト
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トランプなし、スートなし(1種)、数字が上回るように必ずプレイ(上まわるカードがなければ何出しても良い)というシンプルなルールのトリックテイキング。

スートがないですが上回るようにプレイするという数字の縛りがマストフォロー的な役割を果たしていて(というかインスト時に数字のマストフォローですみたいな説明があった)、覚える事柄を少なくしつつしっかりカウンティングの面白さは残してます。

1ディールごとに最多得点プレイヤーとの差分が得点(最多得点プレイヤーはそのまま得点)になる。規定点に達したら負けなので、最多得点から1点低くなるようトリックを取るのが基本的には良く、最後のトリックまで緊張感を保たせてるのと、勝ちすぎず負けすぎずと勝ち負けをコントロールする意識をプレイヤーにしっかり持たせる作りなのは◎。

数字の強さが場のカード次第で変わるカードもあって、カウンティングしてないと予期せぬ勝ちを拾うこともありますし。

「マストフォローのトリックテイキング」自体が面白いので、もちろん面白かったです。
単にマストフォローのトリテをスート減らしてシンプルにしましたではなく、トリックテイキングの面白さを感じさせやすい作りにしてますというのが良いかなと。

あと、今回はお試しということで、本来ならあるトリック獲得時の特殊効果(獲得トリックを入れ替えたり、カードの強さが変わったり)をいれないバージョン(たぶん初心者向け版)だったんですが、いれたらどうなるのか、アンコントーラブルな部分が増していわゆる変態的な作りになるのか、少し気になります。

特殊効果なしのシンプル版での話ですが、“トリックテイキング”を名乗った時点でシンプル版を必要とする層には届きにくいのではないかというのは気になりました。うまいこと面白さを残して簡略化していると思うので、もう一歩進んで、見た目や売り文句はトリックテイキングではない、遊ぶと根底の面白さはトリテじゃん!って作りの方が、シンプル版トリテを訴求したい層に届くかなと思いました。

めがねっ子あわせ
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花札の花合わせのカードを眼鏡カードと眼鏡っ子カードに変えたゲーム。一応、おばあちゃんというオールマイティのカードが追加されていますが、まあ、花合わせです。
役も単純化されていますが、本来、役にならない組み合わせでもストーリーを熱弁出来れば役になるというのがゲームのポイント。
今回は試遊卓だったので、その語りフェイズは省略されましたが、ベースは花合わせをシンプルにした作りですし、テーマ勝負のゲームなので、本体はその語り部分かなと。

とはいえ、語り部分が定型化してもつまらないんで、そこにバリエーションを増やすために、カードの種類としては同じに扱うけどシチュエーションなどがちょっと違う(例えば、同じ「さくら」というキャラでも、〇〇しているとか、XX時代のとか)という仕組みにしても良かったかなと思いました。
(妄想語れればルール無視して得点というところで、むかーし、友人に遊ばせてもらった同人ゲームの「俺の嘘彼女は世界一」というゲームを思い出しました)

あざらしアタック(拡張入り)
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AP制で自分のあざらしを動かして、獲物(カニとかイカ)を取っていくゲームの拡張入り。
盤面が氷のため、移動は何かにぶつかるまで進むというアレ。なので、ぶつかると止まれる氷を盤面に配置したり、隣のマスの他人のあざらしや氷を吹っ飛ばして隣のマスに移動するというあざらしアタック!を使ったりして、獲物マスの上で出番を終えられるようにする(手番終了=獲物獲得アクション発動です)。

拡張でミッションカードが追加されていて、達成すると加点になるなどが追加されたとのことです。

獲物が1〜3点(4点のもあったかも)程度のところ、ミッションカードも1〜3点なので重要な得点源、なのですが、「あざらしへの愛を語る」とかもありますし、獲物が規定数取られた時にゲーム終了手番順の影響をもろに受ける作りで傾斜も得になかったりで、パーティ寄りのゲームです(プレイ時間もインスト込みで30分かかりません)

毎手番3APをどう使えば獲物が取れるか、ミニパズルを解いていく感覚です。ちょっとしたアクセントとしてミッションカードがあるみたいな。

前述の通り、何かを話すようなミッションカードもそれなりの数があり、やはり、口を開いて何かを話し合うようなゲームは盛り上がります。
ミニパズルも(大人には簡単すぎるかもしれませんが)、こうしてああしてと考えるのは楽しいです。

ただ、ミッションカードで達成が他人のアクションにに依存するもの(他人が緑アイコン上に移動する等)があるのは、まだ良いとして、その種類には高難易度のものはいらなかったんじゃないかなと思いました。基本的にミッションは簡単に達成できるものが多いので、こんなの達成できないだろというのを持たせるのは結構なフラストレーションになる気がします(一応、ミッションカード入れ替えのアクションはありますが、このテーマ、このプレイ感なら、ミッションカード入れ替えはAP不要&回数制限ありとかが良かったかと思います)。

静岡冨嶽六景
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6種類の富士山の絵のいずれかが描かれたカードで作られた山札から1枚めくって、絵を確認した後に、裏向きにして、自分を含むいずれかのプレイヤーに渡すというのを手番をぐるぐるまわしながら繰り返します。

山札が尽きたらゲーム終了で、手元のカードを公開し、種類ごとに奇数なら枚数分得点、偶数なら枚数分減点になります。

ルールは簡単ですし、判断材料は記憶力だけなので、サクサクとよく試遊がまわっていました(インストされてる方も大変手慣れた感じでお上手でした)。

これ、100%記憶できるのであれば、めくったカードで自分が奇数になるなら取り、偶数になるなら他人に(できれば偶数になる人に)渡すというだけのゲームなんですが、もちろん100%記憶できるわけではないので、そうはプレイできません。
面白いのが、他人と自分との記憶のムラで、自分は偶数だと思っている種類のカードを他人がぽいっと渡してきたりするんですよね。
あれ?間違ってた?とか余計なことを考えちゃうとますますカウントできなくなりますし。

ただ、シンプルに自分と周りの記憶力の揺らぎを楽しむゲームなので、何度も繰り返し遊ぶ要素が低いようには思いました。
上達したり、次は勝ってやるとか、次はこうプレイしようという何回か遊ぶモチベーションがあまりわかないからなんですが、逆にそれは後腐れなく、すぱっと、サクッと遊べるということでもあるので、良いフィラーという面でもあるので、好みの話ですね。

僕くらいの記憶力だと途中からはもう記憶力よりも勘がメインになってきちゃうので、(わからないなりに遊ぶのはそれはそれで楽しいんですが)山をいくつかに分けて、その都度、得点計算してくれれば、そこからまた記憶力勝負に復帰できたのになとは思います(そして、そこでトップのやつを潰すためだけに記憶容量を使ってやるぜ!とか、考えちゃうのはまあクソゲーマーです)。

もう少し遊んだゲームがあるので追記するかもしれません。

フォアシュピール2019秋に参加してきました その1

ゲームマーケット新作の試遊イベント、フォアシュピール2019秋に参加してきました。
2日間開催されており、試遊できるゲームは異なっていたようですが、特にゲームなどは確認せず、都合の良かった日程で参加してきました。

全部で11ゲームを試遊させていただきました。どれもそれぞれの面白さがありましたが、これ!というのは、以下の3ゲームでした。

・マーチヘアゲームスさんの「転がる芝浜」
・ワンモアゲーム!さんの「SCOUT!」
・バンダイナムコ研究所さんの「イロトカタチ」

【ゲームの感想】

転がる芝浜
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※コンポーネントは試遊用のもので、製品版とは異なります。
魚を市場から買ってきて、お店に卸してお金を稼ぐゲーム。
各プレイヤーが複数持っているダイスを市場に置いていって、市場のダイスの数が規定値に達したら決算となり、置いたダイスの数と価値が高いプレイヤーから、多くの魚を獲得できる。要はエリアマジョリティのゲーム。

基本的には1手番に市場へおけるダイスはひとつなんだけど、目が同じダイスは複数同時に置けたり、ダイスが6面と10面の2種類あって決算時にタイブレイクで10面多い方が勝ったりする。

決算は数多い方が有利なので複数同時置きしたり、そこに価値の高いダイスを混ぜたりなんやかんやする。

ポイントは獲得した魚が手番終了時に徐々に腐る(一番足が速い魚だと獲得した手番含め3手番で腐る)ところと、1手番に市場に出せるダイス数が0~X個と幅広いところ。
魚は腐るので、獲得後、さっさと売る必要があります。しかし、売却は契約カード形式になっており、場に出ているカードの組み合わせでないと売ることができません(正確には売れますが安くなる)。
ではどうすればいいかというと、1つの市場で決算が起きた後、他の市場でも続けて決算を起こして組み合わせを作るしか基本的にはありません(偶然、市場に出ている魚とカードの組み合わせが同一というパターンももちろんありますが)。

ここで効いてくるのが、ダイスを置く時の数の幅があるところで、他人の決算を邪魔したければ1つずつ置けばいいですし、逆に自分のために急いで決算を起こしたいのであれば、同じ目のダイスを手元に複数残しておいて一気に決算という手もあります。
使ったダイスを手元に戻すタイミングも一応任意なので、手元にはやりたいことをやれるだけのダイスはないが、回復させて、他人より有利な状況を作ってやれとかもできます。

しかし、どちらにせよ、自分単独では決算は起こせない(起こせないわけではないが難しい)ので、他人に「相乗ってくれー」とか、「お前の狙ってる決算なんて起こしてやらんからな!」とか、水面下でばちばちやり合うのが楽しいゲームでした。

ベースはイムホテップなどの、複数の決算エリアでマジョリティ争いをする、各エリアに自分のコマを1手番にX個送り込んでいくという形のゲームなんですが、獲得したリソースを活かすところまで計画に入れないとダメ(逆に他人の計画を狂わせることもやろうと思えばできる)だったり、手番で獲りえる選択肢が多かったりなど、工夫のし甲斐がありました。

あと、市場におけるダイスの最大数などでうまく調整されているのか、ダイスを使ってはいますが、遊んでいて、ダイス目の大小の影響をさほど感じなかったのも良かったです。決算時、だいたいは数と価値(10面ダイス数)でほぼ決まり、数の勝負になることが少ないので、ダイス運にやきもきすることが(少なくとも今回のゲームでは)ほぼなかったです。
同時だしできるかどうかの判断で“ダイス目”という要素が必要だからダイスを使っていますが、それ以外のところでは普通のコマと大して違わんというか。純粋にどこに、どのタイミングで、どれくらいの数を置くのかに焦点が絞られていて好みでした。
(正確に言えばダイス目の合計数でぎりぎりやるということもできると思うんですが、数や価値で殴られるとどうにもならないので、たぶんダイス目の大小が機能する場面はそう多くないと思ってます)

ただ、魚を売る際にもダイスを1つ使うのですが、その際、ダイス目によって売れる契約カードが決まってくるという仕組みになっており、結局、ダイス目次第なんかーと、ちょっと残念ではありました(同じ目であれば複数ダイスの合計値でOKなので、制限はゆるめではありますが)。

ゲームが終わって、面白かった旨をお伝えしたところ、頒布価格がそれなりの額になりそう(なので販売数は伸びなさそう)というお話をされていました。1時間程度の中量級なので、十分ありな価格かなーとは思いましたが、ゲームマーケットだと全体的に価格帯が低いので、厳しいのかもしれません。
良いゲームと思うので、売れると良いのですが。

SCOUT!
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シリメツレツをベースにした、手札を整えながら出し切りを狙うゲーム。

手札は配られた時点から並び順も上下も変えることができません。手札から出す際には、隣り合っているカードが同数、または連番なら複数枚同時だしができます。
手番時に、場に出ているカード(の組)より強いカード(の組)であれば、手札からプレイして、出ていたカードを点数(1枚1点)として獲得することができます。自分の出したカードの組が新しい場札になります。
場札が強く手札から出すことができない、または出したくない場合、スカウト!となり、場札から1枚を取り、手札の任意の場所に任意の向きで差し込むことができます(カードの数字は上下で異なっているのです)。この時、1枚とった代わりに、サプライから1点チップをその場札をプレイしていたプレイヤーに渡します。
こうして、弱くなった場札に対して、次のプレイヤーが手札からプレイするか、スカウトするか…を
・誰かが手札を全て出し切る
・誰かがプレイした場札を1巡の間、誰も上回ることができない(みんなスカウトした)
のいずれかになるまでぐるぐると手番を続けます。

手札を出し切った、または誰も上回れない場札を出したプレイヤー以外は、残った手札が1枚1点のマイナスになります。こうして、獲得していたカード枚数+1点チップー残り手札枚数が得点になります。(この時は1ディールだけでしたが、たぶん人数分ディールやるルールだったはず)

試遊後に、デザイナーさんがシリメツレツの良さを熱く語ってしまうくらいシリメツレツをベースにしたゲームなんですが、プレイ感はずいぶん違っていて、あちらは1人の負けを決める、SCOUT!は1人の勝ちを決めるんで、緊張感が全然違います。
シリメツレツはどこかのんびりした印象すらあったんですが、SCOUT!は、一撃必殺を狙って手札を強化するメンツと、必殺の手札を作られるより前に逃げ切ろうとするメンツの1手を競うような争いが、淡々とした手札プレイ/強化の流れの水面下で繰り広げられています。
(必ずしも出し切らなくても、自分以外の全員がスカウト(手札強化)しても終わりってのが、ギャンブルにでる要素があっていいと思います)

しかし、そういう一撃必殺、デッドオアアライブな戦いのゲームでありながら、デザイナーさんの人柄が反映されているのか、全体的に優しい印象を受けるゲームでもあります。手札を上下反転しても良い点(配り運の軽減、自分の選んだ手札という自己責任感の強化)や、スカウト(手札強化)時にカードの代わりに渡す1点チップはプレイヤーの点が減るわけではない(サプライから渡します)点など、ちょっとした“嫌”を軽減する作りがとても好印象でした。

基本的にマイナス面はないゲームかと思いますが、誰でも遊べはするけども決して大人しいわけでもないゲームなので、そこだけ面子によっては注意かなと思います。


イロトカタチ
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手番プレイヤーが引いたお題カードの内容をランダムに配られた10枚の色カードを使って表現して、他プレイヤーに当ててもらうゲーム。
もし当てられなかったら更に色カードを10枚追加して次手番プレイヤーが同じお題に挑戦します。

ポイントは色カードを動かしてもいいところ! リアルタイムヒント!

“おにぎり”とかのお題だと、白いカード3枚くらいで三角作って、黒カードで海苔をつけて…で動かす必要ないんですが、この試遊の時に出た最高難度のお題だと、
IMG_9195.jpg

1.適当なカード3枚を横一列に並べ、それと直角になるようにもう3枚のカードを置く。
2. 左手に肌色(最近は薄オレンジとか表現されるんですがご容赦ください)カードの下2/3に青カードを重ねてもち、右手に肌色カードの下2/3に白カードを重ねて持って、両手を近づけてしばらくゆらゆらさせる。
3.横一列に並べていたカード3枚をぐいっと縦にして、直角に並べていた3枚のカードと重ねる。
4.先ほどの左手:肌色+青カード、右手:肌色+白カードを同じように持ち、右手をびくっとさせた後、テーブルの下にはけさせる。その後、右手は肌色+緑カードに持ち帰る。

とかやってました。(正解は数行下に)

制限の中で伝える表現を作ることがゲームとしての面白さというのは、過去の類似ゲームで散々僕たちは思い知ってきてるわけです。ピクテルやぽんこつペイントとか。
動かしていいですよって聞いた時は、マジか!動かしちゃっていいのか!ぬるすぎませんかって思いましたが、(実際簡単なお題だと簡単すぎると感じることはありますが)制限がゆるい分、表現の幅が半端なく広い! こういう表現をしたいんだけど、このルールだとできないんだよな…ということがほぼありません。
伝える側のスキルの受け入れ幅もものすごく、子供から大人まで。大人の中でも苦手気味の人から、こういうの得意な人まで楽しめるかと思います。

あと、ヒントを出す側って、他の類似ゲームだと伝わらない時にものすごくもどかしい思いをするのですが、このゲームはそんな時にはどんどん動かしていいし、新しいヒントを出しても良いと、もどかしさを感じるくらいなら、何かしら行動しちまえ!というアクティブなところが、とても良かったです。

コンセプトとかも追加ヒントを出せる仕組みではありますが、静的な表現と動的な表現の2軸があるので、イロトカタチはヒント出しやすいのかなと。

まあ、やはり表現の広さ=制限のゆるさなので、一部のがっちがちのゲーマー向けではないとは思います。幅広い層と遊ぶという方にかなり寄っているゲームです。そういう場で遊ぶ機会があるのならかなり良いかと思います!

ちなみに、上の例の答えはシンデレラでした。

その2に続きます。
プロフィール

ひだり

Author:ひだり
川崎市で相方や友人たちとボドゲやってます。

オールタイムベストは、
・グローリー・トゥ・ローマ
・バサリ
・インペリアル
・アフター・ザ・フラッド
・ゴッズプレイグラウンド
・HABA社製品 全般

推理ゲーム好きだけど↑には入ってないという
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連絡先:hidarigray@gmail.com
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