2019年振り返り
書き始めた時点で既に年越しまで2時間半くらいですが、なんとか年内に書き上げたいと思ってます。
はじめに今年印象に残ったゲーム、最後に雑感という感じでまとめてみます。以前、記事を書いたゲームは概要を端折ったりしてます。ご容赦を。
とりあえず、2019年初プレイ(ベータ版は含まず)で面白かったゲーム10選から。タイトル並べて、あとから各ゲームの感想で。順番にはうっすら意味があるかもしれません。
(以前、ブログ記事を書いているゲームはリンクをつけてます)
Q.E.
フェイト・オブ・ザ・エルダー・ゴッズ
シティ・オブ・ザ・ビッグショルダーズ
サン・ドニ
バラージ
エンデバー:エイジ・オブ・セイル
プライマリー
厄介なゲストたち
イッツ・ア・ワンダフルワールド
チャーターストーン
Q.E.

好みだったゲームオブザイヤーはQ.E.です。
場にはプレイヤー間の相場観しかないので、どんどん場はカオスになり、プレイヤーは疑心暗鬼になっていくゲームです。
システム的に理屈をこねて、これが好き、あれが好きというのももちろんあるんですが、やっぱ自分のゲームの好みの根源はどんだけカオスになるかなんだなあと再確認できました。プレイヤーの顔が見えるようなゲームです。
インフレになるゲームのように思われることが多いですが、鉄の意志を持ったプレイヤーばかりだとまったくインフレせずに終わりますし、インフレと一言でいっても徐々に上がっていくもの、一気に上がるもの、それをコントロールしている1人がいるもの、コントロールしているつもりの1人の制御を外れてどーんと上がるものなど、色々バリエーションもあり、小さい経済世界がプレイヤー間の思惑で作られていくのが大変面白いです。
こういうことか、わかった!とゲーマーは思いがちですが、案外、想定外の動きもするので楽しんで欲しい。
システムの動きとか小難しいことはおいておいても、親にだけ見せられる入札価格、そっと子から渡されて目を通した瞬間の「マジか!」が最高に面白いです。自分だけこっそり見るのは最高ですね。
・フェイト・オブ・ザ・エルダー・ゴッズ

正直言ってしまって手番でやることは他愛もないというか、延々とルーレットをまわしてるみたいな感じで、勝利に近づいているというよりも、誰かに何かが起こるのを待っているという感じ。
じわじわと上がる不幸ゲージが誰のところで爆発するのかをドキドキしながら待っている、そんなゲームです。
(自分含め)誰かのロッジが攻撃されたり、何かしらひどい目にあうんですが、誰かがひどい目にあうのは避けようがなく、その原因はシステムにあるので、もうギャグでしかないですし、テーマ的にもクトゥルフなので、まあ、ひどい目にあうのは仕方ないなと諦めもつきます。
何かしらのアクションなどのせいで受けた呪いを上家が管理するというルールが最高で、早く指定のアクションやらないかな(下家がひどい目にあわないかな)と、上家はなんの罪悪感も持たずに純粋に楽しみにできます。
呪いが発動しても、自分もさらに下家がひどい目にあわないかなと思ってたわけですし、効果がひどすぎるので逆に清々するという素晴らしいゲーム。
カードの回転が悪くなったり、プレイヤー能力の組み合わせによってはだれるなど、欠点もありますが、1時間前後で終わるバカゲーなので、そんなのは細かいことかと。
テーマとわくわくとバカさが見事に融合しているゲームだと思います。
・シティ・オブ・ザ・ビッグショルダーズ

単純に会社を経営するのが面白い。株価の上がり方や需要の満たし方による売り上げボーナスなど、このラウンドでどこまで成長させるのが得なのか、どこまで成長させないとならないのかをわかりやすく提示して、ゲームの長期目標はさておき、「このラウンドでは」とわかりやすく目標を提示しているとか、生産部分で材料購入に運がはいるので手堅く経営かリスク取ってもうけを伸ばすかとか選択肢があるとか、システム的には何の変哲もない作りなのに、システム的な特徴と関係ないところが面白い、良く出来ているのが良い。
もちろんシステム的にもプレイヤー=投資家なので、複数会社経営もできるが、経営する会社が増えても、会社を成長させるために必要なワーカー数は変わらないので、どのタイミングで会社を増やすか、それとも会社の儲けはいったんおいておいてとにかくワーカーを増やす方に舵を切るか等々、ワカプレと他要素の組み合わせで新しい面白さを提供してくれてます。
まあ、一番好きなのは、4業種ありながら、明らかに強い会社を作って、さらにそれを殴るための会社を作って…と、会社間の殴り合いを明らかに推奨している作りなところ! 単純に経営しているだけでも楽しい(上に苦しい)のに、他社を殴れ!他社の需要を奪え!生産させないために資源を絞れ!とめっちゃ攻撃的なところ(ルールブックにも資源購入で楽させるな的なことは書かれてます)。
普通に経営するだけでも楽しいんですが、他所から殴られないために、他所を殴るために手番順を争いあう、ボードゲームとして非常に原始的な面白さを主体にした作りなのがお気に入りです
(繰り返しますがそういうプレイングしなくても会社経営してるだけで楽しいです。)
ガチで遊ぶと4人専用で5時間ゲームなんですが、会社経営ゲームとして楽しむなら3人で短めのプレイ時間(3時間半かからないくらい)で遊ぶのもありかなと思います。
余談ですが、仕手戦(株の売りあい)は、大抵の場合、不毛な上に第三者が得をすることが多いのでやめた方がいいと思います。よほどうまいプレイヤーがやるなら別ですが。
・サン・ドニ

同人ゲーム枠ではありますが、ワーカープレイスメントの特徴(他人の手の絞りあい)を突き詰めた、ワカプレの中のワカプレ感は商業ゲーム含めて一番かと思います。
左から右に徐々に強くなっていくアクションスペースのいずれかにワーカーを置いてアクションするわけですが、アクションコストが、「アクションスペースに書かれた金額、ただし、そのスペースから左の空きスペースに書かれたコストの合計値」というのが効いていて、アクションスペースにワーカーを置くこと自体が下家が強いアクションを実施することへのトスになってしまうという、インストでこの部分の説明を聞いた時点で、おいおい、こいつは最高じゃないですかとゲーマーが舌なめずりするゲーム。
お金以外の資源の次ラウンドへの持越しができないので、序盤は少ない資源で作れる建物で収入を増やし、中盤で能力は強いが資源が多く必要な建物を建て、終盤はその建物効果でなぐりあうという展開になるんですが、終盤の「特殊効果で殴り合う」が、実は、普通に相手に置かれる前に置きたいスペースにワーカーを置くという、通常のワーカープレイスメントゲームになってる(特殊効果のおかげでそういう立ち回りができるまでプレイヤーが成長している)という、世界の真実を突き止めたつもりが、戦っているのは自分自身だった!みたいな、ストーリー性のあるどんどん最適解が変わっていく作りが非常に好みでした。
ただ、ずっときっついこのゲーム特有のワーカープレイスメントをやらせてくれという意見もあるでしょうし、建物効果が強力すぎるというのもあって、ここは賛否両論あるんじゃないかと思いますが、とにかく、短いラウンド数でめまぐるしく、世界が変わっていく、そういうゲームが僕は好きなのです。
・バラージ

今年遊んだ中では、一番、くせもなく、出来が良く、奥も深そうで、しかも、初プレイからちゃんと楽しめる懐の広さを持っているという、今後、定番化していくぞ!という印象を受けたゲーム。
僕らの考えているダムの作りそのまま(水をためて流せばよい。水は多い方がよい。水は勝手に流れない等々)得点システムに使って、わかりやすさを確保しながら、建築ホイールという工夫のし甲斐のある要素をぶち込んできたのが上手い。
ワーカープレイスメント部分とボード上のポジション争いでプレイヤーインタラクションを確保しつつ、自分のダムに溜まった水を流すのは自分以外できず、ホイールをどう回すかも自分次第という、強インタラクションとソロゲー部分を両立させてる。
ソロゲー部分のおかげで、どんなにワカプレやポジショニングで死んでいても、うまくやった、自分が主人公になれる瞬間がある。
建築時の資材の管理やホイールの回し方、水の確保など、ゲーム中に学んでどんどん上達する要素もあるし、簡単に上達できない部分もある。
繰り返しになりますが、本当に懐の広いゲームだと思ってます。
・エンデバー:エイジ・オブ・セイル

やっぱ冒険だよあな。大航海時代好きですよねえというのが大きいのだけど、カード獲得ルールの変更などちょっとした改良でゲームシステムとしても旧作のもっさりした部分がなくなり、今風の爽快感のあるゲームになってる。
ヨーロッパから航路を開拓して、世界に進出して、その土地を占領して得点にするという愚直すぎる大航海時代っぷりが素敵。
ゲームの肝である建物建築という名のアクションスペース作成は、いま自分のやりたいことと、ゲーム終盤に大事なこととの折り合いをどうつけるかが大事で、目の前しか見てない楽観的な僕は大抵最後で、あー、こっちにしておけばよかったとなります。
ゲームは基本的に先取りしあう、他プレイヤーを出し抜くを延々と続けるというゲーマーが好きなつくりなので、拡張要素によるちょっとした遊びが飛び道具になっていて僕は好みです。
盤面に全ての情報が出ており、トップを直接攻撃してとめるというマルチですが、そこも含めて好きです。ただ、あまりにもガチな人はひたすら盤面の得点計算して、トップを教えてくれたりします。それはちょっとやりすぎかなw。
・プライマリー

プロット式のアクション+マジョリティ争いというシンプルながら、後戻りも他人の様子を見てからの行動もできない状態でマジョリティ争いをさせると酷いことになると知れたゲーム。
特殊能力によるまぎれがない分、シンプルに読みあいと殴り合いになるので仲の良い面子でやった方が良いかと思います。
プロットで何をするかは決まっていても、何に対して行うのか目的語は決めないので、そこでなんとかやりくりするわけですが、行動はどうしようもないので逆にストレートな行動にでるしかなく、まわりくどいことも、搦手もないのがプロットと行動順によるドラマを呼んで楽しめました。
厄介なゲストたち

推理ゲーム枠。今年はマーダーミステリーも初体験しましたが、とくべき謎があるという意味でこちらの方が好みです。
遊んでみるとやはり消去法の推理ゲームってちょっと古いというか、スマートさはないんですが、それでも、ちょっと頭をひねって他人より先に答えを見つけてやるぜーというのは純粋に楽しいです。
犯人が嘘をついている(情報カード間に矛盾がある)というのは、もう推理ゲームとしてはかなり上がる設定ですし、他にも情報間の関連で正解を絞り込むような仕組みもあって、消去法による推理ゲームの現状での最高傑作だと思います。
一度しか遊べない協力タイプの謎解きもいいけど、同じゲームでなんども遊べて他人と推理合戦というのもよいものです。
イッツ・ア・ワンダフルワールド

Engamesさんから日本語版がでることも発表されているドラフトゲーム。
各建物が生産する資源が一気に作られずに種類にごとに順々に生産される&建築は必要資源がそろった瞬間に完成という点が特徴で、資源A生産→資源Aを使って資源Bを生産する建物を建築→ 資源B生産 → 資源Bを使って資源Cを生産する建物を建築~と、自分の工夫次第で1ラウンドに何回も生産→建築のルーチンをまわすことができます。
このコンボ的な作りを考えながらどのカードをピックするのか、得点源も基本的には自分で建築しない限りは手に入らないので、資源のことばかり考えているわけにもいかず、資源のコンボを回しながら、いつか建築する得点建物もピックしておくという長い目でみた戦術も必要になるのが良いところ。
ピックした建物カードを捨てることで、即座に資源がもらえる仕組みも、ちょっと生産を手助けしてくれる大事な要素で、超短期、短期、長期の3つにどうカードを割り振るのか、それだけでもかなり楽しいです。
さらに言えば、資源の種類が、エネルギー、科学、金などの普通っぽいのに混ざって探求心みたいなのがあり、アレキサンダー大王の墓やアトランティスを発見(建築)することができるなど、ロマンもあふれていて、単にカードプレイだけの淡々としたプレイ感になりがちなシンプルなカードゲームにも関わらず、プレイしがいがあります。
チャーターストーン

全12話のキャンペーンタイプのレガシーゲーム。実はまだ6話が終わったところまでしかやってません。
なので、本当なら来年の振り返りに書いた方が良いかと思うのですが、今のところの面白さを記録しておくという意味で。
ある村を発展させていく体で、各プレイヤーが建物を建てたり、新しい文化を導入したりして点数を稼いでいくんですが、純粋に徐々に村が発展していく様子が楽しく、早く次の話を遊びたいのがとまりません。
文化=新しいゲーム要素も徐々にゲームにとりこまれていき、ゲーム展開が派手になっていきます。
実は派手になっていく要素はそろそろさすがに打ち止めでは?というところになっており、この後、半分のシナリオがどうプレイヤーを楽しませてくれるかが、非常に楽しみです。
今年は大鎌戦役のキャンペーンタイプであるフェンリス襲来もやりましたが、あれはちょっと得点システムが納得できなかったので、このゲームが終わった時どういう感想になってるか。
・雑感
去年くらいからBG statsというアプリでゲームの記録をつけているのですが、それによると、約180種類のゲームを300プレイしたそうです。
結構な数のようにも思いますが、それでも全然遊びたいゲームは遊べているわけでもなく、もっともっと遊んでみたいタイトルは沢山あります。
しかし、ゲームをする機会的にはもう十分かなあ(むしろ多いかなあ)という気もしているので、来年は若干減るくらいになるかと思います。
去年は18xxなどのシリーズものを除いて、これだ!というのに出会えなかったのですが、今年は運よく楽しいゲーム、好みのゲームにたくさん出会うことができました。ラッキーでした。
ボードゲームの遊ぶ環境では、今年も多くの方々と新しく出会うことができました。
自分から積極的にでていったというよりも、周りの方々に紹介してもらったり機会をもらったりなので、ちょっと自分でも積極的にやらんとなあとは思います。
遊ぶ以外のボードゲーム関連のイベントも今年はほとんど参加することはなく、まったりのんびりの年でした。
購入の方も以前ほどチャレンジするようなこともなくなってますし。
何かしら楽しいことがしたいとは常に思ってますので、自分で機会作って楽しんでいかないとなあとはこれを書いている時点では思ってます。
今年は仕事で大きな変動があり、なかなか思うようにブログを書くことのできなくなった年でした。
特に後半は書きたいゲームはあるのに書けないという状態が続いて、結構つらかったです。
それでも、ブログ10周年記事にはたくさんの方がアンケートの回答をしてくださり、大変うれしかったですし、内容も興味深いものがたくさんありました。ありがとうございました。
去年の振り返り記事で、毎週1更新と目標を書いてました。まったく達成できてませんが今年も(来年も)同じ目標でやってみたいと思います。
この記事の直前にまとめきれずにあげたタペストリーの記事を書いていて感じたのですがやはり、書くことによって気づくこともあるし、それが刺激になるので。
それでは、もう年が明けますが、2019年、ブログを読んでくださりありがとうございました。
遊んでくださった方々もありがとうございます。また来年もよろしくお願いいたします。
はじめに今年印象に残ったゲーム、最後に雑感という感じでまとめてみます。以前、記事を書いたゲームは概要を端折ったりしてます。ご容赦を。
とりあえず、2019年初プレイ(ベータ版は含まず)で面白かったゲーム10選から。タイトル並べて、あとから各ゲームの感想で。順番にはうっすら意味があるかもしれません。
(以前、ブログ記事を書いているゲームはリンクをつけてます)
Q.E.
フェイト・オブ・ザ・エルダー・ゴッズ
シティ・オブ・ザ・ビッグショルダーズ
サン・ドニ
バラージ
エンデバー:エイジ・オブ・セイル
プライマリー
厄介なゲストたち
イッツ・ア・ワンダフルワールド
チャーターストーン
Q.E.

好みだったゲームオブザイヤーはQ.E.です。
場にはプレイヤー間の相場観しかないので、どんどん場はカオスになり、プレイヤーは疑心暗鬼になっていくゲームです。
システム的に理屈をこねて、これが好き、あれが好きというのももちろんあるんですが、やっぱ自分のゲームの好みの根源はどんだけカオスになるかなんだなあと再確認できました。プレイヤーの顔が見えるようなゲームです。
インフレになるゲームのように思われることが多いですが、鉄の意志を持ったプレイヤーばかりだとまったくインフレせずに終わりますし、インフレと一言でいっても徐々に上がっていくもの、一気に上がるもの、それをコントロールしている1人がいるもの、コントロールしているつもりの1人の制御を外れてどーんと上がるものなど、色々バリエーションもあり、小さい経済世界がプレイヤー間の思惑で作られていくのが大変面白いです。
こういうことか、わかった!とゲーマーは思いがちですが、案外、想定外の動きもするので楽しんで欲しい。
システムの動きとか小難しいことはおいておいても、親にだけ見せられる入札価格、そっと子から渡されて目を通した瞬間の「マジか!」が最高に面白いです。自分だけこっそり見るのは最高ですね。
・フェイト・オブ・ザ・エルダー・ゴッズ

正直言ってしまって手番でやることは他愛もないというか、延々とルーレットをまわしてるみたいな感じで、勝利に近づいているというよりも、誰かに何かが起こるのを待っているという感じ。
じわじわと上がる不幸ゲージが誰のところで爆発するのかをドキドキしながら待っている、そんなゲームです。
(自分含め)誰かのロッジが攻撃されたり、何かしらひどい目にあうんですが、誰かがひどい目にあうのは避けようがなく、その原因はシステムにあるので、もうギャグでしかないですし、テーマ的にもクトゥルフなので、まあ、ひどい目にあうのは仕方ないなと諦めもつきます。
何かしらのアクションなどのせいで受けた呪いを上家が管理するというルールが最高で、早く指定のアクションやらないかな(下家がひどい目にあわないかな)と、上家はなんの罪悪感も持たずに純粋に楽しみにできます。
呪いが発動しても、自分もさらに下家がひどい目にあわないかなと思ってたわけですし、効果がひどすぎるので逆に清々するという素晴らしいゲーム。
カードの回転が悪くなったり、プレイヤー能力の組み合わせによってはだれるなど、欠点もありますが、1時間前後で終わるバカゲーなので、そんなのは細かいことかと。
テーマとわくわくとバカさが見事に融合しているゲームだと思います。
・シティ・オブ・ザ・ビッグショルダーズ

単純に会社を経営するのが面白い。株価の上がり方や需要の満たし方による売り上げボーナスなど、このラウンドでどこまで成長させるのが得なのか、どこまで成長させないとならないのかをわかりやすく提示して、ゲームの長期目標はさておき、「このラウンドでは」とわかりやすく目標を提示しているとか、生産部分で材料購入に運がはいるので手堅く経営かリスク取ってもうけを伸ばすかとか選択肢があるとか、システム的には何の変哲もない作りなのに、システム的な特徴と関係ないところが面白い、良く出来ているのが良い。
もちろんシステム的にもプレイヤー=投資家なので、複数会社経営もできるが、経営する会社が増えても、会社を成長させるために必要なワーカー数は変わらないので、どのタイミングで会社を増やすか、それとも会社の儲けはいったんおいておいてとにかくワーカーを増やす方に舵を切るか等々、ワカプレと他要素の組み合わせで新しい面白さを提供してくれてます。
まあ、一番好きなのは、4業種ありながら、明らかに強い会社を作って、さらにそれを殴るための会社を作って…と、会社間の殴り合いを明らかに推奨している作りなところ! 単純に経営しているだけでも楽しい(上に苦しい)のに、他社を殴れ!他社の需要を奪え!生産させないために資源を絞れ!とめっちゃ攻撃的なところ(ルールブックにも資源購入で楽させるな的なことは書かれてます)。
普通に経営するだけでも楽しいんですが、他所から殴られないために、他所を殴るために手番順を争いあう、ボードゲームとして非常に原始的な面白さを主体にした作りなのがお気に入りです
(繰り返しますがそういうプレイングしなくても会社経営してるだけで楽しいです。)
ガチで遊ぶと4人専用で5時間ゲームなんですが、会社経営ゲームとして楽しむなら3人で短めのプレイ時間(3時間半かからないくらい)で遊ぶのもありかなと思います。
余談ですが、仕手戦(株の売りあい)は、大抵の場合、不毛な上に第三者が得をすることが多いのでやめた方がいいと思います。よほどうまいプレイヤーがやるなら別ですが。
・サン・ドニ

同人ゲーム枠ではありますが、ワーカープレイスメントの特徴(他人の手の絞りあい)を突き詰めた、ワカプレの中のワカプレ感は商業ゲーム含めて一番かと思います。
左から右に徐々に強くなっていくアクションスペースのいずれかにワーカーを置いてアクションするわけですが、アクションコストが、「アクションスペースに書かれた金額、ただし、そのスペースから左の空きスペースに書かれたコストの合計値」というのが効いていて、アクションスペースにワーカーを置くこと自体が下家が強いアクションを実施することへのトスになってしまうという、インストでこの部分の説明を聞いた時点で、おいおい、こいつは最高じゃないですかとゲーマーが舌なめずりするゲーム。
お金以外の資源の次ラウンドへの持越しができないので、序盤は少ない資源で作れる建物で収入を増やし、中盤で能力は強いが資源が多く必要な建物を建て、終盤はその建物効果でなぐりあうという展開になるんですが、終盤の「特殊効果で殴り合う」が、実は、普通に相手に置かれる前に置きたいスペースにワーカーを置くという、通常のワーカープレイスメントゲームになってる(特殊効果のおかげでそういう立ち回りができるまでプレイヤーが成長している)という、世界の真実を突き止めたつもりが、戦っているのは自分自身だった!みたいな、ストーリー性のあるどんどん最適解が変わっていく作りが非常に好みでした。
ただ、ずっときっついこのゲーム特有のワーカープレイスメントをやらせてくれという意見もあるでしょうし、建物効果が強力すぎるというのもあって、ここは賛否両論あるんじゃないかと思いますが、とにかく、短いラウンド数でめまぐるしく、世界が変わっていく、そういうゲームが僕は好きなのです。
・バラージ

今年遊んだ中では、一番、くせもなく、出来が良く、奥も深そうで、しかも、初プレイからちゃんと楽しめる懐の広さを持っているという、今後、定番化していくぞ!という印象を受けたゲーム。
僕らの考えているダムの作りそのまま(水をためて流せばよい。水は多い方がよい。水は勝手に流れない等々)得点システムに使って、わかりやすさを確保しながら、建築ホイールという工夫のし甲斐のある要素をぶち込んできたのが上手い。
ワーカープレイスメント部分とボード上のポジション争いでプレイヤーインタラクションを確保しつつ、自分のダムに溜まった水を流すのは自分以外できず、ホイールをどう回すかも自分次第という、強インタラクションとソロゲー部分を両立させてる。
ソロゲー部分のおかげで、どんなにワカプレやポジショニングで死んでいても、うまくやった、自分が主人公になれる瞬間がある。
建築時の資材の管理やホイールの回し方、水の確保など、ゲーム中に学んでどんどん上達する要素もあるし、簡単に上達できない部分もある。
繰り返しになりますが、本当に懐の広いゲームだと思ってます。
・エンデバー:エイジ・オブ・セイル

やっぱ冒険だよあな。大航海時代好きですよねえというのが大きいのだけど、カード獲得ルールの変更などちょっとした改良でゲームシステムとしても旧作のもっさりした部分がなくなり、今風の爽快感のあるゲームになってる。
ヨーロッパから航路を開拓して、世界に進出して、その土地を占領して得点にするという愚直すぎる大航海時代っぷりが素敵。
ゲームの肝である建物建築という名のアクションスペース作成は、いま自分のやりたいことと、ゲーム終盤に大事なこととの折り合いをどうつけるかが大事で、目の前しか見てない楽観的な僕は大抵最後で、あー、こっちにしておけばよかったとなります。
ゲームは基本的に先取りしあう、他プレイヤーを出し抜くを延々と続けるというゲーマーが好きなつくりなので、拡張要素によるちょっとした遊びが飛び道具になっていて僕は好みです。
盤面に全ての情報が出ており、トップを直接攻撃してとめるというマルチですが、そこも含めて好きです。ただ、あまりにもガチな人はひたすら盤面の得点計算して、トップを教えてくれたりします。それはちょっとやりすぎかなw。
・プライマリー

プロット式のアクション+マジョリティ争いというシンプルながら、後戻りも他人の様子を見てからの行動もできない状態でマジョリティ争いをさせると酷いことになると知れたゲーム。
特殊能力によるまぎれがない分、シンプルに読みあいと殴り合いになるので仲の良い面子でやった方が良いかと思います。
プロットで何をするかは決まっていても、何に対して行うのか目的語は決めないので、そこでなんとかやりくりするわけですが、行動はどうしようもないので逆にストレートな行動にでるしかなく、まわりくどいことも、搦手もないのがプロットと行動順によるドラマを呼んで楽しめました。
厄介なゲストたち

推理ゲーム枠。今年はマーダーミステリーも初体験しましたが、とくべき謎があるという意味でこちらの方が好みです。
遊んでみるとやはり消去法の推理ゲームってちょっと古いというか、スマートさはないんですが、それでも、ちょっと頭をひねって他人より先に答えを見つけてやるぜーというのは純粋に楽しいです。
犯人が嘘をついている(情報カード間に矛盾がある)というのは、もう推理ゲームとしてはかなり上がる設定ですし、他にも情報間の関連で正解を絞り込むような仕組みもあって、消去法による推理ゲームの現状での最高傑作だと思います。
一度しか遊べない協力タイプの謎解きもいいけど、同じゲームでなんども遊べて他人と推理合戦というのもよいものです。
イッツ・ア・ワンダフルワールド

Engamesさんから日本語版がでることも発表されているドラフトゲーム。
各建物が生産する資源が一気に作られずに種類にごとに順々に生産される&建築は必要資源がそろった瞬間に完成という点が特徴で、資源A生産→資源Aを使って資源Bを生産する建物を建築→ 資源B生産 → 資源Bを使って資源Cを生産する建物を建築~と、自分の工夫次第で1ラウンドに何回も生産→建築のルーチンをまわすことができます。
このコンボ的な作りを考えながらどのカードをピックするのか、得点源も基本的には自分で建築しない限りは手に入らないので、資源のことばかり考えているわけにもいかず、資源のコンボを回しながら、いつか建築する得点建物もピックしておくという長い目でみた戦術も必要になるのが良いところ。
ピックした建物カードを捨てることで、即座に資源がもらえる仕組みも、ちょっと生産を手助けしてくれる大事な要素で、超短期、短期、長期の3つにどうカードを割り振るのか、それだけでもかなり楽しいです。
さらに言えば、資源の種類が、エネルギー、科学、金などの普通っぽいのに混ざって探求心みたいなのがあり、アレキサンダー大王の墓やアトランティスを発見(建築)することができるなど、ロマンもあふれていて、単にカードプレイだけの淡々としたプレイ感になりがちなシンプルなカードゲームにも関わらず、プレイしがいがあります。
チャーターストーン

全12話のキャンペーンタイプのレガシーゲーム。実はまだ6話が終わったところまでしかやってません。
なので、本当なら来年の振り返りに書いた方が良いかと思うのですが、今のところの面白さを記録しておくという意味で。
ある村を発展させていく体で、各プレイヤーが建物を建てたり、新しい文化を導入したりして点数を稼いでいくんですが、純粋に徐々に村が発展していく様子が楽しく、早く次の話を遊びたいのがとまりません。
文化=新しいゲーム要素も徐々にゲームにとりこまれていき、ゲーム展開が派手になっていきます。
実は派手になっていく要素はそろそろさすがに打ち止めでは?というところになっており、この後、半分のシナリオがどうプレイヤーを楽しませてくれるかが、非常に楽しみです。
今年は大鎌戦役のキャンペーンタイプであるフェンリス襲来もやりましたが、あれはちょっと得点システムが納得できなかったので、このゲームが終わった時どういう感想になってるか。
・雑感
去年くらいからBG statsというアプリでゲームの記録をつけているのですが、それによると、約180種類のゲームを300プレイしたそうです。
結構な数のようにも思いますが、それでも全然遊びたいゲームは遊べているわけでもなく、もっともっと遊んでみたいタイトルは沢山あります。
しかし、ゲームをする機会的にはもう十分かなあ(むしろ多いかなあ)という気もしているので、来年は若干減るくらいになるかと思います。
去年は18xxなどのシリーズものを除いて、これだ!というのに出会えなかったのですが、今年は運よく楽しいゲーム、好みのゲームにたくさん出会うことができました。ラッキーでした。
ボードゲームの遊ぶ環境では、今年も多くの方々と新しく出会うことができました。
自分から積極的にでていったというよりも、周りの方々に紹介してもらったり機会をもらったりなので、ちょっと自分でも積極的にやらんとなあとは思います。
遊ぶ以外のボードゲーム関連のイベントも今年はほとんど参加することはなく、まったりのんびりの年でした。
購入の方も以前ほどチャレンジするようなこともなくなってますし。
何かしら楽しいことがしたいとは常に思ってますので、自分で機会作って楽しんでいかないとなあとはこれを書いている時点では思ってます。
今年は仕事で大きな変動があり、なかなか思うようにブログを書くことのできなくなった年でした。
特に後半は書きたいゲームはあるのに書けないという状態が続いて、結構つらかったです。
それでも、ブログ10周年記事にはたくさんの方がアンケートの回答をしてくださり、大変うれしかったですし、内容も興味深いものがたくさんありました。ありがとうございました。
去年の振り返り記事で、毎週1更新と目標を書いてました。まったく達成できてませんが今年も(来年も)同じ目標でやってみたいと思います。
この記事の直前にまとめきれずにあげたタペストリーの記事を書いていて感じたのですがやはり、書くことによって気づくこともあるし、それが刺激になるので。
それでは、もう年が明けますが、2019年、ブログを読んでくださりありがとうございました。
遊んでくださった方々もありがとうございます。また来年もよろしくお願いいたします。
タペストリー / Tapestry

(4人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
国土拡大だ!発明だ!探索だ!科学発展だ! うちの国を発展させるぞ! あれ?なんか隣の国の発展スピード、うちの倍くらいあるんですけど…。
手番でやることはシンプルながらしっかり国が発展していく拡大再生産のゲームです。
手番には以下のいずれかを行います。
・進歩:科学、発明、軍事、探索の4つのトラックのいずれか1つを選んで、自分のコマを1マス進めます。進んだ先のマスにかかれたコストを払った後、利益やボーナスを得ます。
・時代を進める:新たなタペストリーカード(特殊能力カード)をプレイしたり、自文明の能力を使ったり、収入(リソース&点数)を得たりします。
時代を規定回数進めたら、そのプレイヤーはゲームから抜けます。全プレイヤーがゲームから抜けたらゲーム終了です。
(プレイヤーによってゲームから抜ける時期はまちまちです)
・トラックの固有アクション
各トラックの利益には、アクションが実施できるものもあります。
科学:ダイスを振って、出目に対応したトラックを進めることができます(進んだ先の利益がもらえない場合もあります)。
技術:入手済の技術を1段階アップグレードすることができます(技術には2段階もらえるものがあり、アップグレードごとに1つずつもらいます)
軍事:自分の領地に隣接する土地にアウトポストを置き、新たな領地にします。その後、戦争ダイスを振り、点数やリソースを手に入れます。
探索:手元から土地タイルをボード上の空きスペースに配置します。周りの土地タイルを模様があっていたら得点になります。
・収入
個人ボード上の収入トラック上で見えているマス(セットアップ時に家コマをおいて埋めています)に書かれた収入(リソースや点数)を得ます。
【プレイ内容】
一味さん、キノさん、僕の3人で。
まず最初に自分の国の文明を決めます。ランダムに文明カードが2枚ずつ配られるので、そこから1枚を選びます。
僕が引いたのはミスティックスとアーキテクト。XXは、ゲーム終了時に自分の国がどの程度発展しているかをゲーム開始時に予想して、正解していたらボーナス点がもらえるというギャンブル能力です。初プレイでは予想もくそもなかろうともう一方のアーキテクトを使うことにしました。
アーキテクトの能力は、自分の首都ボードの縦列、横列が埋まっている場合にもらえる点数が1点から2点になるというもので、これも使えるんかな?とは思いましたが、まあ、ないよりはましということで。
一味さんはアルケミスト。時代が新しくなる際に、サイコロを振って、目が被らなければ最大で4つ、出目に対応したトラックを進めることができる能力です。
キノさんはフューチャリスト。全てのトラックが4段階進んだところから始まります。
トラックを進めるためのコストは、全トラック共通で以下の通りです。
1~3段階:任意の資源1つ
4~6段階:任意の資源1つ+トラックに応じた資源1つ(科学なら人、探索なら食料など)
7~9段階:任意の資源2つ+トラックに応じた資源1つ
10~12段階:トラックに応じた資源2つ
つまりキノさんは、20個くらい資源を払わずにトラックをあげた状態からスタートです。
強すぎねえか?という話も出ましたが、1~4段階目の利益を得る機会はなくなってますし、この後は、トラックをあげて利益を得るためのコストは初期の2倍かかるんで、フェアな設定になってるんじゃないのかな?と、まあ、やってみましょうとスタート。
ゲーム開始一番初めのアクションは必ず「時代を進める」です。ここで資源とタペストリーカードを1枚手に入れることができます。
タペストリーカードは、次からの時代を進めるアクション時にプレイ可能になるカードで、その時代の間ずっと効果を発揮するものと即時効果のみのものがあります。
この時、僕が引いたカードの効果は「技術カード獲得時に中段の効果がもらえる」でした。
技術カードは通常、獲得時に技術スペースの下段に置かれ、アップグレードというアクション効果で中段→上段とあがることで、各段に対応した効果を得ます(アクションが出来たり資源がもらえたり等)。要は1回分余計にカード獲得だけでもらえてしまうという効果で、これ、強いのでは?と考え、進めるトラックを発明中心にすることにします。

(よさげなタペストリーカード)
※このゲームの特徴として、プレイヤーが行えるアクションは「進歩=資源を払ってトラック上でコマを1つ進める」ですが、進めた先のマスの効果として、家を建てるアクション、発明品をアップグレードするアクション、探索アクション、他人を攻めるアクション等が行えます。
自分でやりたいアクションを選ぶことはできません。あくまでプレイヤーが選べるのはどのトラックを進めるか(または時代を進めるか)だけです。
技術のトラックを進める際の固有資源はお金です。そして、お金を手に入れるためには、発明トラック上にあるアクションで建てることのできる種類の家を多く建てる必要があります。
家を建てようとそのアクションまでトラックを進めると、その間にある技術カード獲得のアクションもしてしまうのですが、仕方ないと割り切ります。
そして、タペストリーカードを使うべく時代を進めます。1時代目に建てた家の分、もらえる資源も増えていますが、消費資源も増えているので、アクション数はそう変わらなそうです。
というところで、ふと気づきます。初期は1アクションのコスト=資源1つですが、キノさんは4段階進んだところからスタートしてるので、コスト=資源2つです。なので、僕らの半分しかアクションをこなせないはずですが、時代を進めるタイミングがほぼ同時でした。
キノさん:「この文明、初期に追加で4つ資源もらえるんです」(通常は4つなので、要は倍もらってる)
僕&一味さん:「強すぎやろ!」
僕と一味さんが取った戦術もよくありませんでした。
最初に場に出ていた技術カードが強そうだったせいか、一味さんも技術トラックをメインに進める戦術を取っており、軍事、科学、探索を一番進めているのがどれもキノさんというイケてない状態です。
といっても、僕はタペストリーカード的に少なくともこの時代は技術トラックを進めるしかないんですが。
技術カード獲得時に利益を得る効果はやはり強く、この時代でそれなりに躍進することはできました。
(場に並んでいるものから選ぶので、、良いカードが出てくるとキノさんたちに取られてしまってましたで、効果はぼちぼちでしたが)。

(拾ってきた技術カード。なんか時代がめちゃくちゃな感じしますが)
しかし、それでもキノさんがやはり強い。トラックが進んだ状態だとコストも上がってますが、効果もいいものが多いせいか、まあ、徐々に独走態勢に入りつつあります。
探索トラックを進めて土地を広げ、軍事トラックを進めて領土を広げ、キノさんの土地を攻めれば少しは止められそうではありますが、キノさんが先に領土を広げているのがよくありません。
一味さん:「これ、土地広げてキノさんとこに隣接したら先に殴られない?」
僕:「殴られますね。判定とかなく、殴った側が勝ちますし、1つの土地におけるアウトポストコマの数は2つまでなので、1度殴られると、元々あったアウトポストと攻め込んできた側のアウトポストで2つになるので、その土地は不可侵になります」
一味さん:「殴られた方もその先の土地に攻め込めるの?」
僕:「できませんね。殴られた側のアウトポストは横倒しにされて、自分の土地ではなくなるので。攻め込めるのは自分の領土に隣接する土地だけです」
一味さん:「じゃあ、(後から領土を広げていく側は)どうしようもねえじゃねえか!」
その通りで、このゲーム、圧倒的に先に領土を広げた方が有利です。1度戦闘があって不可侵になった土地は、攻め込んだ側はそこを拠点に接してる敵国に攻め込めるのですが、攻め込まれた側は不可侵土地が邪魔で敵国を殴りにいけません。
しかし…、
僕:「タペストリーカードの中に、トラップっていうカードがあって、それを持っていれば攻め込まれた側が逆に勝てます。なので、一応、防御というか、止める手段はあります。全体の10%弱がそのカードで結構枚数があるので、まあ、タペストリーカードを2,3枚持ってるなら、そのうちの1枚がトラップでも不思議ではないので、殴りにくくはなります」
一味さん:「ほー。でも、それは攻め込まれた時だけの話? キノさんがトラップ持ってたら攻め込んでも負けるってこと?」
僕:「そうですねえ」
キノさん:「トラップカードねえ」(と言いながら、そっと手元のカードに視線を送る)
僕:「あ!持ってるっぽいですよ!」
キノさん:「どうですかねえ」
このゲーム、他プレイヤーより先に達成するとボーナス点がもらえる要素がいくつかあります。
ボード中心の島を占拠するとか、戦闘で2勝するとかです。
キノさんが中心の島にも手を出そうとされていたのもあり、先ほどのような会話をしたんですが、止めに行く?と一味さんと顔を見合わせます。

(キノさんの国が真ん中に進出したあたり)
一応、戦闘は戦闘アクションのマスに軍事トラックを進めないとできないので、キノさんが戦闘アクションのマスを全部通過した後から、一気に隣接して攻め込むとか、戦闘アクションまで2マス以上あるタイミングで隣接するなど、やれる手はありますが、今すぐに止めるということはできず、キノさんがボード中央に進出。ボーナス点を獲得されます。
僕と一味さんも苦しい状態ではありましたが、キノさんを止められないだけで、自分たちのやりたいことはできるため、淡々とキノさんに絡まない場所でソロプレイ。
しかし当然やりたいことを好きにやってる人の方が伸びはいいですし、このゲーム、非常にシンプルな拡大再生産なので、僕らがトントンと点を稼いでる間に、キノさんはドーンドーンドーンと点を稼いで拡大もやってと、もうどうしようもありません。
僕はアーキテクトの能力を活用するためにランドマーク(首都ボードにおけるでっかい建物コマ)を多く取得して首都ボードを埋めたかったんですが、そちらもイマイチうまくいきません。
ランドマークの獲得は2つ方法があり、1つは技術カードのアップグレード時に獲得する方法、こちらからはいくつかランドマークを獲得できましたが、上段まで上げた際の報酬なので、終盤になってようやくでした。もう1つの方法は、各トラックの4、7、10段階目に一番先に到達することですが、こちらはもうキノさんを止めることなどできず、キノさんが「置ききれないけど、ボードの外においていいの?」と聞くくらいの独占状態。
フューチャリストはツヨイナア。
中盤以降は、もう勝ち目ないけど最善を尽くすというスタイルで僕も一味さんもプレイしており、キノさんには勝てなかったが、自分の国でやりたいことはやってやるぜ!と望んだ最後の時代。
一味さんは技術トラックがもう少しで最後まで進むのでそれをやりきるのが目的のようです。
キノさん:「このタペストリーカードの効果で一味さんの技術トラックを指定します」
何を言ってるのかとカードの効果を確認してみると、「指定したプレイヤーが指定したトラックを進めた場合、同じ利益を獲得できる」という効果。
一味さん:「じゃあ、俺が技術トラック進めたら、キノさんもトラック終盤の効果がもらえるってこと!?」
キノさん:「そう」
一味さん:「マジか!?」
僕:「技術上げるの諦めて別のトラック進めればキノさんは得しませんよ」
まあ、ひどい効果のカードで一味さんは何も損はしません、しませんが、それでも、効果だけさらっていくとかやりきれません。
最後の時代なので、この時代は諦めて後で上げるというのもできませんし、これは辛い。
(結局、やってられない的なことをおっしゃりながら、技術トラックを上げ、キノさんはありがとうと効果を受け取ってらっしゃいました)
僕は技術トラックは最後までは進められませんでしたが、技術トラックを進めることで建てられる家をすべて建てることが3時代目あたりでできたため、時代を進める際の得点でドーンドーンと稼ぐことができ、最後にグンと点数を伸ばしてフィニッシュ!
やりきった!


(終了時の僕の首都ボードと全体の様子)
まあ、僕と一味さんを足してもキノさんに届かないくらいの点数だったんですけどね。
キノさんは2つのトラックを最後まで進め、1つは一味さんのおかげで最後までの効果を受けともう本当にやりたい放題で圧倒的大差で勝利されました。
(領土からの収入を終始忘れていたので、実際はもう少し点が伸びたとは思いますが、まあ、伸び幅は当然キノさんが一番なので…)
【感想】
面白いか、面白くないかといわれると、間違いなく面白いゲームです。
ただ、文明能力とタペストリーカードの能力差がとんでもないので、プレイヤー間でインタラクションはあるにも関わらず、勝負してる感が薄い、やってらんないという不思議なゲームです。
フューチャリストは最強の文明ですが、他にもこれ強すぎるやろという文明がいくつかあります。強すぎてもいいんですけど、弱い奴らもいるんで、文明間の差がものすごいことになる場合があります。タペストリーカードも、思わず二度見するほど弱い効果のものもあれば、キノさんが使ったみたいなめっちゃ強いのもあります。
プレイヤーインタラクションもタペストリーカードで一方的に攻撃したり搾取したりとか、先に殴った(攻撃成功した)方が圧倒的有利な妙な戦闘システムとかで、相互と言うには弱いので、一方通行とすら言えます。
(戦闘に関してはトラップカードの存在=逆襲されると痛すぎるから初めから攻めない方がいいよという作りかとは思うんですが)
じゃあ、何がいいんやねんというと、単純にプレイングが楽しい。それに尽きます。
本来、ちゃんと準備して、手順を考えて行うことを簡略化して、深く考えることなく、過程をすっ飛ばしつつ、ちゃんと4X(「ストラテジーゲームの中でも、"eXplore":探検、"eXpand":拡張、"eXploit":開発、"eXterminate":殲滅、の4つの性質を兼ね備えた作品を指す」(wikipedia)をプレイさせてる感じを味合わせる。そういうゲームです。
このすっ飛ばし具合がうまくて、例えば、カード1枚をプレイして、唐突に、それであなた帝国を作り上げました!やったね!と言われても、なんのこっちゃとなります。タペストリーでは、アクションを簡略化させつつも、これは残しておかないと「〇〇をやった」感が薄れる/なくなる部分を残してます。
この残してる部分の抽出がうまいんですが、デザイナーが必死に抽象化したというよりは、「プレイヤーの他ゲームの経験上、こういう要素を〇〇だと思ってるだろうな」という部分を残してる感じがするんですよね。
まあ、徹底的にテストプレイをするパブリッシャーなので、プレイヤーたちの考える〇〇の平均値が残ったのかもしれませんが、どちらにせよ、こういう他ゲームで似たようなことをやってたから、この行為は〇〇だ!って感じるのはちょっと面白かったです。
このすっ飛ばし=簡略化ですが、1つのアクションを簡略化しているのももちろんですが、プレイ内容の方にも書いた通り、プレイヤーは自由にアクションを選ぶことはできず、通常なら、3つ4つのアクションをどの順で行うのかを自分で考えて実行していくところを、トラック上で決められた通りの順番で実行することしかできない=アクション選択を簡略化されています。
つまり、最適なアクション順がゲームによって決められているわけです。
家を建てる際に、石を手に入れ、木を手に入れ、設計図を作り、職人を雇い、家を作るという段階を踏む場合、最後の家を作る以外をどういう順序で行うかはプレイヤー次第です。
しかし、タペストリーでは、別にそんなのどうでもええやろと、順番を決め、やるかやらないかの2択にしてしまっています。
んで、恐ろしいのが、これで十分面白いんですよね。もちろん段階を踏む過程に面白さがあるゲームも存在はしますが、そこは切り捨てても問題ないという。
むしろ、資源を払い続ければ間違いなく、やりたい方向に進めるという。さらに言えば、そこで人と差が付くことはありません(※)。
単純に、自分のやりたい(国を発展させたい)ことを決め、そこに資源を払うか払わないか、トラックが4つなので、ほぼ四択をずっと続けるだけのゲームなんですが、前述のとおり、それでもしっかり国を発展させてる感じはするし、面白い。
※トラック上にそって成長させても全部の家を建てることはできませんし、うまくやる余地は残ってるんですが、あくまで通常のアクションの範囲ではということで。
資源の支払いも簡略化されており、トラックの進んでいる段階で数は決まり、後はトラックの種類で一部特定の資源が必要というだけ。特定トラックを進めるのに必要な特定資源がなくなったら、余ってる資源でどこか別のトラックを進めればよいというわかりやすさ。
さらに言えば、資源がもらえるのは基本的に時代を進めた時だけなので、
時代を進めて資源をもらう → どのトラックを進めるかの四択で資源を消費する → 時代を進めて資源をもらう
という、考えるのはどう使うかだけで済むという、完全に収入と消費をわけた、わかりやすさ重視の作りです。
4Xゲームの要素のみを抽出し、特定ジャンルを成長させる際の選択肢をなくし、資源の支払い方やマネジメントを簡略化した、徹底的なわかりやすさ、プレイヤーの手間を省いた面白さ一直線のゲームだと思います。
(徹底的にすぎた結果、インタラクションや時代に関係なく登場する技術など一部が正直いびつになってるとも思いますが)
ぶっちゃけた話、もっと泥臭いのが好きなので、面白いゲームではあるものの僕の好みではないんですが。トラック上のアクションを行うだけでは上限がある、特化できないなど、コントロールされすぎてるようにも感じますし。
※いつも以上にまとまりのない感じになっておりますが、年こすまでにもう1記事書きたいのでご容赦ください。
アボミネイション:フランケンシュタインの後継者 / Abomination: The Heir of Frankenstein

(4人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
フランケンシュタイン博士をご存知だろうか。これは博士の後継者たちが同じく怪物を作ろうとする物語である。
ワーカープレイスメントでリソースを手に入れたり、自分のパラメータを強化し、研究所で怪物の作成を行います。
ゲームは4つのフェイズで構成されています。
1.イベントフェイズ:スタートプレイヤーがイベントカードを引きます。発動タイミングが即時のものはいま解決し、タイミングが支持されているものはその時までスタートプレイヤーが管理します(あるアクションをしたプレイヤーにイベントが発生するとかです)
2.都市フェイズ:ボード上(パリの街)のアクションスペースに手番順にワーカーを配置します。
ワーカーには科学者とアシスタントの2種類がおり、科学者のみしか配置できないスペース(アクション)があります。
3.研究所フェイズ:都市フェイズで獲得した素材(筋肉、内臓、骨、血液)を使い、怪物を作成します。
4.リセットフェイズ:次ラウンドの準備をします。街の各所にカードが補充され、一部の素材の鮮度が1段階悪くなります。
●アクションについて
アクションの種類は大きく4つです。
・素材獲得系:パリの街の各所で死体を獲得します。獲得できる死体の鮮度や獲得コストが場所で異なります。例えば、墓場からは大量にほぼコストなしで死体を獲得できますが、鮮度は悪いですし、骨だけしか手に入らない場合もあります。ギロチンイベントが発生すると、鮮度最高の死体をお金を出して購入することができます。
(色々な死体。Iが鮮度最高、Ⅳが鮮度最低です。骨は鮮度関係ないです)
・パラメータアップ系:知識、人間性、評判の3つのパラメータがあります。知識が高いと作成可能な怪物のパーツが増えたり、大学でアクション出来るようになったりします。評判はあげることでワーカーが増えたり、アシスタントが科学者にバージョンアップしたりします。人間性は一部アクション(殺人とか死体あさりとか)をすることで下がります。下がりすぎるとマイナス点になります。
いずれのパラメータも一定値ごとにゲーム終了時にボーナス点がもらえます。
・アイテム購入:商店で余っている肉や骨を売ったり、腐敗を遅らせる氷や怪物に命を吹き込むのに使うライデン瓶(電気をためておく瓶)を買ったりできます。
・個人ボード上のアクション:自分の研究室で自分の血を抜いたり、ライデン瓶を充電したりなど、補助的なアクションを行います
●怪物の作成について
怪物の作成は、ベース作成(肉と骨で形を作る)、完全化(皮膚はったり血液流したりする)、電流を流して命を吹き込むの3段階があります。
ベース作成と完全化では、両足、両手、胴体、頭の4種6パーツごとに、必要とされる素材と知識量を満たしていれば、作ることができます。この時、鮮度の良い素材を使えば、パーツ作成時の点数が高くなります。
命を吹き込むのはダイスロールです。都市フェイズで手に入れていたライデン瓶(電気をためておける瓶)の個数に応じたダイスを振り、活性化の面がでればそのパーツに命が吹き込まれたことになります。ダイス目によっては、作ったパーツが損傷する(作り直し)になったりします。

(こんな感じで作るパーツごとのコストと点数はサマリがあります)
●ゲーム終了について
いずれかのプレイヤーが怪物の全てのパーツに命を吹き込むか、船長コマが規定数進んだらゲーム終了です。
※船長コマは毎ラウンド1マスずつ進みます。船長は小説『フランケンシュタイン』の登場人物で、怪物を殺すよう怪物を作った博士に頼まれるキャラクターです(Wikipediaにもあらすじがあります)。要はプレイヤーたちが作ろうとしている怪物を殺しに来ている設定なので、船長がパリに到達したらゲーム終了となります。
●物語について
このゲーム、イベントカードなどを契機にちょっとしたストーリー+選択肢や効果というゲームブック的なものが始まります(ボードゲームだとAbove&Below的というと近いです)。ぶっちゃけ、ストーリーは読まず選択肢や効果だけ読んでもゲームとしては成り立つんですが可能な限り、ストーリーも読んだ方が盛り上がるかと思います。
ゲーム終了時も終了条件によってエピローグが異なる作りになってます。

(ゆるーくモザイクかけてますが、イベントカード上に確認する番号(B18とか)が書かれており、そこにストーリーの続きと選択肢があります)
【プレイ内容】
ありきりさん、カヤさん、一味さん、僕の4人で。
セットアップ時に、能力の異なるキャラクターが各プレイヤーに配られます。キャラクター能力説明の裏面には、そのキャラが何故、怪物作りをしているのか等、背景が書かれています。が、今回はとりあえずそこはスルー。
キャラクター能力は↓。
カヤさん:怪物のパーツ作成時に毎ラウンド1つ資材が少なくても良い。
ありきりさん:人間性のパラメータを上限以上上げようとした際に点数が入る
一味さん:ラウンド終了時、お金が2金より少なければ1金もらえる&カード効果で知識を得る際、効果+1
僕:命を吹き込む際にダイス追加&ライデン瓶1つを毎ラウンドチャージする
僕とありきりさんの能力は序盤は出番がなさそうですし、毎ラウンド使える上に便利そうなので、カヤさんのキャラクターの能力が強そうに見えるのですが、とりあえず、スタートです。
ゲームスタート時、手持ちのワーカーは科学者1にアシスタント2ですが、評判をあげることでアシスタントが1追加されます(そのあとはアシスタントが科学者になっていくので、ワーカー数は最大4です)。ワカプレならワーカー増やすのが王道でしょうと、ありきりさん、一味さん、僕の3人は評判をあげる系のアクションを中心に選びます。評判は大学で講義したり、病院でボランティアをすることであがります。さらに、大学では特殊カードを手に入れることができ、これも、何かしらの条件を満たした時にパラメータがあがったり、お金がもらえたりするものです。
この特殊カードの強さに結構幅があり、無条件で使用可能なカードと、特定イベント発生時にようやく使用可能になるカードとで、もらえるものにそれほど差がなかったりします。
ワーカープレイスメントなので、他人が行ったアクションは実施できません。が、このゲームではバンプ(押し出し)というルールがあり、押し出すプレイヤーに金を払いさえすれば、既にワーカーで占拠されているアクションも実施できます(※1ラウンド中に可能なバンプの回数制限はあります)。
そんなわけで、他人と同じことをするにも限界はあります。
そこでカヤさんは(自キャラの能力ともあいますし)パラメータ強化よりもパーツ作成を優先させることにされたようで、資源を手に入れに町に繰り出します。
まあ、怪物を作るテーマですし、パーツを作る度に点数が入る上に命を吹き込んだパーツごとにゲーム終了時に結構大きい得点がはいるようなので、あー、先越されたと思ってみてました。
怪物のパーツの資源/材料は、内臓、筋肉、骨、血液です。
んで、その資材はどこで手に入れるかというと、パリの街の色んなところから、死体を調達してくるってゲームです。
場所によって死体カードの取れる数とその鮮度が異なっており、
墓場:墓場を掘り起こす。最大3枚。鮮度はかなり悪く、骨だけのカードもある。
警察:死体置き場のものを金を出して買う。最大2枚。(事件性のある死体なので)状態は良くなく、鮮度も良くはない。
病院:評判が良くなると病死した死体を引きとれる。評判に応じて最大2枚。鮮度はそれなりに良い。
港:人を雇って死体を調達する。最大1枚。人の種類で鮮度や資材数が異なる。腕の良い人殺しならコストはかかるが鮮度のとても良い死体を調達してくるが、腕の悪いやつだとコストは安いが鮮度が悪い等。
広場:ギロチン刑イベント(※)が発生すると鮮度の高い死体カードが出てくる。最大1枚。鮮度はかなり良い。
殺人:自ら殺人を犯す。人間性は下がるが、鮮度の高い死体が1枚手に入る。
となってます。
※ギロチンによる公開処刑は当時の市民の娯楽だったので、広場で死体が手に入ることになってます。
墓場だと骨だけの死体も山札にそれなりにはいってるため、僕やありきりさんは評判をあげていたこともあり、主に病院から死体を引き取ってきます。
カヤさんは鮮度よりもとにかく資材量ということか、死体置き場を中心に。一味さんは空いているところを優先されたのか、墓場中心のように見えました。
(墓場+死体置き場で5枚の死体カードから資材を手に入れた結果。白いキューブは骨です。カヤさんはボーンコレクター!と呼ばれてました)

(めっちゃ白いキューブ(骨)を持ってる人)
3人がパラメータ上げに力を入れていたというのもあるかもしれませんが、カヤさんがパーツを作っていくスピードが速い!
まだ3人が1,2パーツしか作ってないにもかかわらず、もう全身が完成し、皮膚をつける作業に入られていました。

(まだ片手片足しかない、うちの怪物)
ゲーム中に入る主な点数は怪物作成なので、点数でもカヤさんが突っ走ってます。
ゲームの終了条件は、誰かが怪物を完成させる(全パーツに皮膚つけたのち、命を吹き込むのに成功する)、もしくは、船長が船長トラック上で13マス目に到達するかです(船長は毎ラウンド1マス進み、たまにカードの効果で進んだりします。つまり、10ラウンドくらいで終わるということです)。
そんなわけで、ひとりが走っていくと終わってしまうので、周りのプレイヤーもそろそろ本腰いれるか!とますます死体漁り関連のアクションスペースが混雑しはじめます。
前述の通り、僕やありきりさんは評判が高いので、病院から鮮度の高い死体を受け取れ、結果的に点数の高い良いパーツが作れます。
すると、明らかに作っているパーツ数は少ないのにカヤさんに点数が追い付いてきました。
カヤさん:「腐りかけの死体で作ったポンコツだってことがバレた」
量でごまかされていましたが、質でこれだけ点数挽回できるなら、まだまだ勝負になるなと、怪物作成遅れていた組もやる気がでてきます。
この後、1,2ラウンドはいい感じに質の良いパーツが作れてたんですが、胴体や頭を作ったり、皮膚を貼り始めると、カヤ博士のすごさがわかってきます。
怪物作成には資源以外に、規定値以上の知識が必要です。知識はアクションでも増やすことができますが、パーツを作る度にも1ずつ上がるようになってます。なので、パーツをたくさん作った方が知識はあがってますし、鮮度の低い死体は1アクションで多数手に入るのに対して、鮮度の良い死体は1アクションで基本的には1体しか手に入りません。
そのため、資源(死体)を集めるためのアクションに圧迫されて知識をあげる方までなかなかワーカーがまわせなくなります。
死体が手に入らない部分は動物の死体(オールマイティの資源ですが、1つでも混ぜるとパーツ作成時の得点が減ります)。
なんとか胴体までは土台を作りましたが、知識が足らず、頭を作ることができません。それではと、手足に皮膚を貼る作業に入ります(頭を作るよりは低い知識でできます)。
が、今度は血液が足りません。血液は鮮度がある程度良くないと死体から獲得できませんし、手に入れても腐敗が3段階目まで進むと破棄することになります(内臓と肉は5段階まで腐ると破棄です)。
この段階まで進むとみんな血液が欲しいので、あっという間に獲得できるスペースが埋まっていきます。一応、自分の血を抜くというアクションがあり、それは個人ボード上のアクションスペースを使うので他人に邪魔されることはありません。
ありませんが、それだけでも足りないので、まあ、結局はどうにか死体から獲得しないと…と熱いアクションスペースの取り合いが繰り広げられます。
しかし、実は港(殺し屋を雇う)や自分が殺人を犯すアクションスペースはそれほど使われていませんでした。前者はコストが結構高かったり、殺し屋の実力がピンキリで欲しいものと合致していない場合があったりしたためですし、後者は人間性がかなり下がってしまう(人間性が下がりすぎると失点)ので、使いにくかったのです。
使われていないといえば、広場も全くイベントでのギロチン刑が起こらないので使いたくても使えませんでした。
あまりに起こらないので、まだかなーまだかなーとみんなが待ち望んでいたギロチンイベントが終盤ついに発生しました! その時、スタートプレイヤーだった僕がありがたくギロチン刑にあった死体を引き取らせて頂きました。

(ギロチンから手に入れた死体。首はまあ、当然離れてます。カード下部に鮮度と入手できるリソース数が種類ごとに書かれてます)
みんな死体が欲しい、新鮮な死体が欲しいと死体に飢えているのに、港に並んでいる殺し屋候補は全部ドッグキャッチャーだったり。
ドッグキャッチャーの効果は、コストを払って、人間性を大幅に上げるか、動物肉を手に入れるかのどちらかです。
「人間性あがるのって、捕まえてきた犬を放すか、飼うかしてるんだよね。めっちゃいい人じゃん」
と、みんなで笑っていたのですが、僕には狙いがありました。笑ってはいましたが、取るなよー取るなよーと祈ってました。
このゲームでは、ゲーム終了時、パラメータを一定以上あげているともらえるボーナス点、それがめっちゃでかいのです。
ありきりさんも気づかれているようで、評判と知識あげのアクションを多めに取られていましたが、人間性をあげようとしているのは僕だけの模様。
ぶっちゃけた話、カヤさんの怪物が腐りかけの部品でできているといっても、先行してパーツを作っていたのはやはりでかく、命を吹き込むために必要なライデン瓶や、資源が腐らない(ラウンドを跨っても鮮度を維持できる)氷の塊などを誰ともアクションが被らないうちに入手されていて、怪物作成に専念できるのに対し、僕ら後続組はライデン瓶などの購入のために商店へ向かう行列(ワカプレ的な争い)が発生しており、僕はもう命を吹き込むのは無理だなと中盤入ったくらいで考えてました。
そこで何かしら勝つ手はないかと盤面を見ていて気付いたのがパラメータボーナスでした。
そこで、犬を助けたり、教会で懺悔したり、病院でボランティアをしたりと、最終盤の2,3ラウンドで善行を重ね、ゲーム終了時には人間性を最大まで上げていました(評判や知識もボーナス点が切りあがるところまでは上げるよう調整しました)。
ありきりさんは人間性をあげ切ると点数が入るようになるキャラクターだったのですが、逆に、最終ラウンドでついに殺人を犯してしまわれてました。キャラクター能力は活かせませんが、そこで手に入れた新鮮な材料を使った怪物の点数のおかげでありきりさんがトップになり、ゲーム終了時のボーナス点の争いに突入。

(ちょっと殺人を犯しにいくありきりさんのワーカー)
完成まではいかなかったものの両足や手に命を吹き込んだことよるボーナス点でカヤさんがトップに出たのを、ありきりさんが評判や知識のパラメータボーナス(両方とも最大まで上げられていました)で抜き返し、最後、1点差で人間性のボーナス点で僕が逆転するという流れで勝つことができました。
(知識や評判はみんなそこそこあげていたので差がそこまでつかなかったのに対して、人間性はみなさん±ゼロあたりだったので、ボーナス点の差が大きくなったようです)


(終了時の全体とうちの盤面。結局僕は個人ボード上のアクションは実施しませんでした(個人ボード上のは怪物作成用の補助アクションで僕は怪物作成にあまり力をいれなかったため))
【感想】
妙なテーマとイベントカードなどによってルールブックに書かれたストーリーが進むというのが特徴ではありますが、純粋にリソースマネジメント&ワーカープレイスメントのゲームとしても良くできています。
イベントカードにかかれた条件を満たしている1人に対して、数文のストーリーが読まれ、最後に、選択肢(逃げる、逃げないとか)を選ぶとパラメータが変化するなどの何かしらが起こるというAbove&Below式のゲームブック的なやつがあるんですが、イベントカードは毎ラウンド1枚ですし、条件を満たさないために発生しない場合もあるので、(雰囲気はとても良いですが)おまけ的な感じはしました。
(パブリッシャーのPlaid Hat gamesはマイス・アンド・ミスティクスや来月日本語版が出るヌイグルミ騎士団と少女の夢のところなので、ストーリー性の高いゲームというのは代名詞なのかもしれませんが)
死体を取ってくる。できれば鮮度の高いものを! まあ、どうしても手に入らないなら動物の肉でも代用可能とか、死体を手に入れる手段の多さ(墓あらし、警察の死体置き場、病院、殺人鬼の調達、自分で殺人する)とか、氷を買ってくれば腐らないとか、真面目にやってるんでしょうけど、笑えるというか、面白さがあります。
なので、陰湿さはなく、あるのは、ブラックコメディ的な不謹慎さです。
ゲーム的な面白さは、ワーカープレイスメントのきつさに起因する諸々です。
同じアクションができる、代替となるようなスペースがほぼなく、毎ラウンドにプレイヤー人数分の押し出しができるだけなので、他人とやりたいことが被るのがめっちゃつらいです。死体の獲得は前述の通り選択肢があるんですが、鮮度や量にこだわるとオンリーワンの場所しかありませんし、命を吹き込むのに必要なライデン瓶や死体保存用の氷は商店という1つしかないアクションスペースでしか手に入らないので、購入タイミングが他人と被ると結構な事故が起こります。
だから、というわけでもないですが、遊びやすくなるように色々な要素がうまく調整されています。例えば、
・鮮度にこだわらなければ1アクションで多くの資源が手に入る→パーツ作りが先行できる→ライデン瓶などの購入の必要性が早くやってくる
・序盤から死体を集めまくっていると、パラメータ上げが遅くなり、ワーカーの追加や強化が遅れる → 上記と同様、その分、他人と必要なアクションの時期がずれるので、ワーカーの少なさがカバーされる
・得点源として、怪物作成だけでなくパラメータ強化によるボーナス点が大きくなっている
などなどです。
リソース管理も一気にどばっと手に入る(死体1体分手に入る)ので、楽なようでいて、一度に複数パーツを作ろうとすれば、1体分では足りない場合もありますし、逆に種類によっては余る場合もあります。余ったリソースはラウンド跨る際に腐敗するので、使い切れないと点数が下がることもあります。処理すれば肉や骨として売れますが、できればうまいこと使い切って、本当に必要な分だけお金に変えたいと思うのが人の常です。
皮膚を張るようになる中盤以降は、血の獲得や鮮度の条件の厳しさなどが土台作成よりリソース獲得&管理の難易度を上げており、ゲームを通して、プレイヤーが徐々に考え方を変えていかないとならない(最適解が変わる)のも僕の好みでした。
獲得リソース量と費やすアクション量、必要リソース量と得点量で絶妙にバランスを取っている、やりたいアクションがすぐに埋まる苦しさはありながら、別の道筋をそっと提示してプレイヤーに気づかせるという遊びやすさと、量と質という2つの軸によるリソース管理のパズル的な面白さをうまく作り出している佳作だと思います。
テーマやストーリー性の高さだけの色物というよりも、しっかりしたユーロゲームをより楽しめるようテーマとストーリーで強化しているゲームです。まあ、テーマやストーリーがあわなければ、当然、そこはマイナス評価になるんでしょうが。絵面だけでなくテーマもストーリーもグロいですしね。