ニザヴェッリル/ Nidavellir

(4人でインスト込み70分ほど)
【概要&ルール】
ドラゴンを倒すための軍隊を作り上げて欲しい!王からの勅命を受け、あなたは国中の酒場をめぐり、力になってくれるドワーフたちを集めるのだ!
プレイヤーは5つのコインを持っており、ドワーフカードを手に入れるために、それらをブラインドビッドします。
毎ラウンド開始時に、各プレイヤーは手元にある5つのコインのうち3つを使い、3つの酒場に1つずつブラインドビッドします。
その後、ゴブリン亭→ドラゴン亭→馬亭の順番で解決します。
各酒場にはプレイヤー人数に等しいドワーフカードが並べられており、コインの値が大きいプレイヤーから好きなカードを取り、手元に並べていきます。タイの時にはジェムと呼ばれるタイルがあり、その数字の大きいプレイヤーが勝ちます(タイブレイク後に、ジェムタイルをタイのプレイヤー同士で交換します)

(こんな感じで個人ボード上にコインを配置します。写真は2つ目の競りまで終わった(コインを公開したところ))
それを規程ラウンド分繰り返し、点数の高いプレイヤーが勝利します。
・勝利点について
ドワーフからの点、コインの価値の合計、ヒーローからの点の合計です。
ドワーフたちは5種類の職業があり、それぞれ得点方法が異なります。
戦士:書かれた数字の合計。ランク(カードに書かれた矢印というかプラカードというか的な数字の書かれたマーク)数が一番多いプレイヤーは手持ちで最も高いコインの価値を追加できます
ハンター:枚数の乗数
鍛冶:枚数に応じた点数(3,7,12,18,25,33、…と枚数-1ずつ増えていきます)
抗夫:書かれた数字の合計×ランク数
探検家:書かれた数字の合計

(ドワーフカード。カード左肩の数字の下にあるのが”ランク”です。通常はカード1枚1ランクですが、写真右下のカードだと1枚に3ランク書かれています)
ヒーローは基本的に書かれた数字分の点がはいりますが、色々な能力を持っています。
・コインの変換について
コインは以下の2つの場合、高額のコインに変換できます。
1.値がゼロのコインをビッドする:金貨袋上に置いた、このラウンドビッドに使っていない2つのコインの合計値のコインと、2つのうち数字の大きいコインを交換します。
2.コインの額を+Xするカードを手に入れる:ただちに任意のコインと、そのコインの額に+Xした額のコインを交換します。
この時、交換する値とちょうどの値のコインがなかった場合、一番近い、在庫のある高額のコインと交換します。

(上から2番目に公開されているゼロのコインにはコイン変換の能力がついているので、個人ボード下部に避けておいた2つのコインを公開し、その合計値(この場合は3+5で8)を獲得します。その後、変換に使ったコインのうち、高い方を捨てます)

(コインはこのようにディスプレイ上におかれています。場所はとりますが、どのコインが残っているかは一目瞭然です)
・ヒーローについて
ランクが5種、1列そろったら任意のヒーローカードを手に入れます。2列目がそろったら2枚目、3列目がそろったら3枚目…と手に入れることができます。
ヒーローには、ランク数の多い職業として使えるもの、単に基礎点が高いもの、点数は低いが能力(競りを全部後出しできるなど)がついているものなどがいます。

(結構人数が多い&全員並べるためのカード立てがついてますが、かなり場所をとります)

(特殊能力がない代わりに枚数を増やすと点数があがっていく5人兄弟(カードの名前が同じ)のヒーロー。毛と髭の量が違うのがなんとも)
【プレイ内容】
ニコさん、ピーヨツさん、ゆれひさん、僕の4人で。
やることは基本的にずっと一緒ですが、ゲームは前半と後半に分かれており、ちょうど真ん中で職業ごとにランク数を比べてトップのプレイヤーにちょっとした能力のついた勲章的なカードが配られます。
例えば、戦士なら即座に+3のコイン変換効果のカード、抗夫ならタイの際に必勝になるジェムがもらえる等です。
そんなわけで、前半は、どの勲章カードを取りたいかを考えつつ、ドワーフたちを取っていきます。
僕が重点的に集めようと決めたのは抗夫。勲章カードの効果は、タイの際に必勝になる金色のジェムがもらえます。
抗夫は、1枚に書かれた数字は0~2と小さいですが、最終得点はランク数との掛け算なので、集めれば強いかなと思ったのですが、はてさて。
それ以外はとりあえず手なりというか、プレイヤー人数分カードは用意されているので、取れるカードを取っていくみたいな感じでやってました。

(1ラウンド目が終わったところ辺り。オレンジ色の抗夫を集めてみてます)
そして、3ラウンド目、このラウンドの終わりで勲章カードの獲得フェイズに入るので、みなさん、自分が狙っているカードが取れるのか、ちょっと慎重に考えてビッドしてらしたのですが…。
ゆれひさん:「ゴレンジャイ!」(5職業で1ランクずつそろって、ヒーローカードを取る条件を満たしたということの模様)
3ラウンド目の最初の競りでゆれひさんとニコさんがヒーローカード獲得条件を満たしました。
インスト時にひと通りヒーローは説明してたんですが、ここで改めてヒーローを見てみると…。
どれも強い!(強そう)
特殊能力付きのヒーローももちろん強そうなんですが、特に能力のない、5職業のヒーローも1枚のカードにランクが3つ付いていたり、コインの交換能力がついてたりと、便利そうです。
が、ここで重要なのは、『複数ランク付きのヒーローとれば、逆転が難しいと思ってた職業の勲章カードもとれるんじゃないの?』ということ。
僕もこのあと、ヒーロー獲得条件を満たして、上記のように、これ取れば、こっちの職業の勲章カードとれる?ということで、それなりに悩んだんですが、まあ、誰がトップかもわからない状態で邪魔するようなプレイングはやめようということで、抗夫の点数を伸ばす(3ランク付き)のヒーローを獲得しました。
他の皆さんも、これまでの取得傾向のまま、特に誰かを邪魔するようなことはされていませんでした。
これで、抗夫の勲章は僕が獲得。その効果で、タイブレイクで必勝のジェムを獲得しました。
しかし、このあたりになるとみなさん、それなりにコインを変換しているので、そうそうタイが発生しなくなってたんですが。
まあ、狙ってたもんは仕方ないですし、あったらあったで便利なのも確かなので、良しとします。
そして、勲章カードの効果を得た後、後半戦に突入します。
後半なったからといって、特に強力なドワーフカードが登場するということもなく、基本的には前半と同じ程度の強さのものがでてきます。
が、前半と後半とで大きく違うことがあります。それはプレイヤーの持っているコインの価値です。
スタート時点では全員同じ価値のセットを持っていたわけですが、前半でみなさんそれなりに変換しており、かなり構成が変わってます。
カード効果ではなく、コインを変換する際には、変換効果付きの価値ゼロのコインをビッドした上で、ビッドで使わなかったコイン同士をその合計値に変換するので、
・ゼロのコインをビッドしないとならない(トップは諦めないとならないビッドが必ず出てくる)
・高い価値のコインを作りたければ、高い価値のコインをビッドに使わずにとっておかないとならない
ということになります。
僕はとにかくこのコインをビッドすれば必ず勝てる!という高価値のコインを作るべく、高い値のコインは競りでは使わずに変換に回してたんですが、そうすると競りに使えるのは低い値のコインばかりになるので、当然競りでは勝てませんw。
勝てないといっても、みなさんも変換するためのゼロのコインは毎回使ってますし、毎回4番手になるということではないんですが、カードを取るのは大抵3番か4番ということが続きます。
それでも、前半集めていた抗夫や戦士のカードは取れていました。戦士はプレイヤー内で一番集めていればゲーム終了時に、手元で一番価値の高いコインを追加点として得ることができるので、最強のコインを作ろうとしている自分の戦術とは相性がよいなと抗夫が取れない時は、戦士を取っていたのですが…。
誤算というか、見誤っていたのが2点。
まずヒーローカードが強い!取れたら取るかでやってたんですが、感覚的に通常のドワーフカード2,3枚分かそれ以上の強さがあるようなので、積極的にとって良いというか、取らないと勝てなそうです。
そして、2点目。通常のドワーフカードの職業間で結構強さの差がありそうということ。これは最初からわかってたことですが、余りものを取ってるだけでは勝てなさそうです。
そんなわけで、もう終盤も終盤になってから積極的に競りに勝ちに行ってみることにしました。
ピーヨツさんやゆれひさんは、ゼロビッドについてる変換効果だけでなく、勲章カードや競りでたまにでてくるコイン価値をあげるカードの効果で価値をあげていたこともあり、僕のように1つの超高価値のコイン(20後半))を作るというよりも、それをやりながら、ぼちぼち価値の高いコイン(5~9程度)も作られていました。
そして、これが非常に厄介です。実質最強のコインで勝ち目がないわけなんで。
ゼロビッドからの変換も使われていたので、当然、そこで僕のゼロと被れば、タイブレイクでは必勝なんですが、当然、欲しいカードの時には、前述の実質最強コインを出してくるわけで。ピーヨツさんたちをかわしながら2枚目、3枚目のヒーロー獲得の条件を満たすべく、色々あがいてみました。
まあ、僕がヒーローを獲得するために必要なカード=ピーヨツさんやゆれひさんが多く持っており、僕のところに回ってきてなかった職業のカードなので、ピーヨツさんたちがその職業を今以上に伸ばそうとすると、競りで勝てない僕(とニコさん)はにっちもさっちもいかないんですけどね…。
最終ラウンド、これまで育ててきたコインを使って、1戦は狙ったカードが取れてヒーローを獲得できたものの他2戦はピーヨツさん、ゆれひさんが順当に勝ち、また余りものしか取れないということになり、うーん、これでは厳しいかもなあと思っていた通り、ピーヨツさんが頭2つほど飛び出てるくらいの点数で勝利されました。

(最終ラウンド開始時。右下が僕で、戦士(赤)と抗夫がそれなりに集まってます。左上がめっちゃ鍛冶屋(紫)をのばしてるピーヨツさん。左下のニコさんは抗夫がとれればヒーローが連続して獲得できる状態ですが、各酒場に1人しかいないので、カットされやすい状態です(僕とゆれひさんにたまたまだったり狙われてカットされてました))
【感想】
(パブリッシャーは“コインビルディング”と呼んでますが)競りで使うコインの価値を自分で育てていくというところが面白いゲームです。
単純に1点突破型にするか、それとも満遍なく勝てるようにするかなどという選択肢があるところも良いですが、単純に数字を大きくすれば良いということではなく、ベースに“他人との競りに勝つため”というところがあるため、他プレイヤーの持つコインとの相対的な価値が重要になるのが(僕の好みとして)また良いです。
例えば、20のコインは絶対値的にはかなり大きいですが、他プレイヤーが21とか22を持っていれば、相対的な価値はそれほど高くありません。それよりも、6のコインを3つ持っていた方が、絶対的には負けていても他人が1つのコインしか強くしていなければ勝てる可能性は高い=相対的な価値が高くなります。
見た目は3か所の競りを毎ラウンドするゲームですが、コインを競りで勝つための手段とするなら、何を返還対象にするかで次ラウンドも見越した4つ目の競りが行われているとも言えます。
(+Xのカード効果ではなく)変換対象にするコインは競りでは使えないのも効いており、プレイヤー間で一番大きい数字のコインもそのプレイヤーが淡々と変換に使い続けるなら別に怖くはないわけです。
単純にどのコインをいつ、どのように育てるかだけでも結構楽しいんですが、対象のコインがない時は、一番近い価値が上のコインを獲得できるというのも面白く、こちらは+Xの変換の時に、5+3で8にしようかと思ってたけど、6のコインが枯れてるからちょっと得するように3+3で7のコインを取る!とか、まあ、ちょっとした工夫と、それによる楽しさも演出してくれてます。
カードのセットコレクションも正直言って、得点形態的にはよくあるやつです。カード集めれば集めるほど1枚の得点効率が大きくなるもの、何枚目でも得点効率は変わらないものの組み合わせというか。
なんですが、ヒーローの獲得条件とその強めの能力がセットコレクションを面白くしています。
ドワーフは基本的に1つの職業を集中して集めた方が点数効率は高いです。一方でヒーローは各職業のランクが1列(5職業分)そろったらなので、両立することはできません。しかし、各競りはプレイヤー人数分のドワーフカードが用意されるので、狙ってない職業のカードも徐々に集まってきますし、集まってきたなら1枚か2枚、欠けている職業を取ってヒーロー獲得というのも自然な流れになります。
まあ、ヒーロー強いので、そうならなくても狙ってヒーロー重視という戦術もありそうなんですが。
(今回、200点前後の勝負になりましたが、状況次第で1枚で40点になるヒーロー等がいます)
ヒーローが完全にドワーフと別枠というわけでもなく、ちょっと強い職業カード的なドワーフ(ランクが3つあるとか、数字が大きいとか)もいるので、ヒーローを獲得することによって、更にヒーローの獲得条件を満たす的な動きもあり、正直、ちょっとぬるくて味気ない競りに対して、いい感じでプレイヤーに方向性と熱さを与えてくれているように思います。
ただ、ヒーローの強さは多種多様な能力のおかげ(色んな戦術と相性のよいカードがあるし、逆に戦術のもとになるだけの強い能力もちもいる)でもあるんですが、山札からめくられてくるとかではなく、最初から全てのヒーローが獲得可能ですし、ある程度、事前に説明する必要があり、どうしてもそこの説明で時間がかかるのが欠点だと思います。
競りやコイン変換のルールがシンプルな分、どうしてもそこが目立ちます。初回の印象はこのプレイ時間だとヒーローの説明時間の方が長かったなでしたし(※感覚的なもので実際にはもちろんプレイ時間の方が余裕で長いです。プレイ時間の割に長め、程度です)
そこは若干アンマッチさを感じますが、前述までの理由などゲームの出来はよいですし、きっちりプレイヤーのプレイングが勝ち負けに反映されるよかゲームだとも思います。
ウォーターゲート / Watergate

(2人専用でインスト込み40分ほど)
【概要&ルール】
ウォーターゲート事件:ニクソン大統領の再選を狙うグループがウォーターゲートビル内に盗聴器をしかけようとして逮捕された事件を発端に、最終的にニクソン妥当領が辞任することになった。事件発覚当初、ホワイトハウスは関係を否認したが、ワシントンポスト紙が調査報道をし、ニクソン大統領自身がもみ消し工作に関与した等の事実が明らかになり、辞任に追い込まれた。
ところで、このゲームではニクソン側とジャーナリスト側に分かれて、タイルとトークンを引っ張り合います。
カードドリブン式の非対称の2人専用ゲームです。歴史的なイベント+カードドリブン+2人専用ということで、トワイライト・ストラグルや1960大統領になる方法などと同じですが、プレイ時間は圧倒的に短く30分程度です。
ゲームは勝利条件をどちらかの陣営が満たすまでラウンドを繰り返します。
おおよその流れとして、ボード右側にある枠の中にある、イニシアチブトークン、時間トークン、証拠タイルをプレイした手札の効果でニクソン側とジャーナリスト側とで引っ張り合います。ラウンド終了時、各トークンとタイルをより近くに引っ張っていた側が獲得するという、カードパワーで綱引きを行うゲームになってます。
ラウンドの流れは以下の通り。
1. 山札から手札を補充する。
2. イニシアチブを持つ側から1枚ずつ手札をプレイして効果を適用する
3. 両者とも手札を全て使いきったら、イニシアチブトークン、時間トークン、証拠タイルの獲得と処理を行う。
・カード使用について
手札には、左上にカードの強さと適用できる対象、中央にイベント効果が書かれています。カードによっては、相手がXXをした時に発動する効果を持っているものもあります。
カードはイベントとして使用すると強い効果がありますが、大抵の場合、ゲームから除外されます。イベントとして使用しない場合、左上に書かれた数字分、書かれた対象を自分側に移動させます。イニシアチブトークン、時間トークンはどのカードでも移動させられますが、証拠タイルは青緑黄色の3色があり、カードによって指定された色のタイルしか移動させられません(詳しく見てませんが、たぶん色でどの情報筋に関連するものかわかれていると思われます)。
・勝利条件について
ニクソン側:時間トークンを5つ集める
ジャーナリスト側:メインボード中央のニクソンの写真と、情報提供者の写真がつながるように証拠タイルを配置する。2つつながったら勝ち。

(写真タイルはこういうイベントで配置します)

(ただし、写真タイルは、ニクソン側のイベントで黒く塗りつぶされた面が置かれることもあります。)
【プレイ内容】
一味さんと僕の2人で。
どっちがいいです?と聞かれたので、なんとなくジャーナリスト側で!と答え、一味ニクソン、ひだりジャーナリスト側で遊びました。
ゲーム開始時、イニシアチブはジャーナリスト側が持っています。そんなわけで、手札を5枚ドローして、中身をみてみると、強さが4のものが何枚かあります。カードの強さは2~4なので結構強いカードを引けたようです。
イベントも強いものがあるので、4のカードでいくつかのタイルとトークンをこちらに引っ張って、イベントで攻勢という手で行ってみることにしました。
そんなわけで、初手は黄色の4のカードをプレイ。
僕:「黄色!」
一味さん:「あります」
各ラウンドで引っ張り合う証拠タイルはラウンド開始時にニクソンがランダムに袋から3枚引きますが、ボード上には裏向きにセットアップされるので、何色のタイルを引いたのか、ラウンド開始時にはわかりません。
カードをプレイし、タイルを引っ張る旨と色を宣言するとありなしをニクソンプレイヤーが教えてくれ、ある場合にはタイルが公開され、そのタイルを移動させるという流れになってます。
証拠タイルは2色(黄と青が半々で塗られているとか)のものもありますし、1ラウンドで同じ色のタイルを複数枚引かれていることもあります。また次ラウンドのイニシアチブトークンの開始位置を中央から自分側にずらせる効果がついているタイルもあるので、ジャーナリスト側が宣言した色であっても、どのタイルを表にするかはニクソン側が決めることができます。
一味さんがいやらしいというかお上手なのが、こちらの宣言した色がある場合、ない場合問わず、全部のタイルをひと通り確認するんですよね。他に同色のものがあるのか? それとも何かしら他の意図があるのか?といちいち勘ぐってしまいます。
一味さんは4!強い!と言いながら、僕の引っ張ったタイルをほおっておいて時間トークンを引っ張ります。
ニクソン側は時間トークンを5つ集めたら勝利なので、まあ、順当な手に見えます。
一番手前まで引っ張ればラウンド終了を待たずに確定となり、移動させることができなくなるんですが、できれば1ラウンドでたくさんのタイルやトークンをこちら側に持ってきたいので、他の物を選びます。
地道に引っ張る僕と、イベントでがんがん押してくる一味さんという形で、あー、ちょっと分が悪いけど、これからこちらもイベントで巻き返すぜ!と思っていたところ…、
一味さん:「イベント効果で今の状態でラウンド終了」
僕:「マジか」
証拠タイルはとりあえず1枚確保しましたが、それ以外は全て一味さんに持っていかれるという、おいおい勘弁してくださいということになってしまいました。
証拠タイルはメインボードの左側、紐が縦横に貼られているような部分にピンでとめる形になるように配置していきます。
中央にニクソンの写真、端に情報提供者の名前が書かれており、各情報提供者からニクソンまでつながるよう紐の交点に証拠タイルを配置していきます。
2人の情報提供者からニクソンまでつながるルートができればジャーナリスト側の勝利です。
そう、このラウンドはやられてしまいましたが、最終的やられる前にこちらがやってやればいいんです!
が、イニシアチブを取られたのが非常に痛いということに、すぐ気づきます。
各ラウンドで引っ張り合うのは、イニシアチブトークン、時間トークン、証拠タイル3枚の計5つです(イベントの効果で証拠タイルが増える場合もありますが)。
このゲーム、イニシアチブがあれば手札5枚、なければ手札は4枚です。イベントを使わなければ4枚で引っ張れる対象は4つということは馬鹿でもわかりますし、5枚ある側が各ラウンドの最初と最後の手番を行うので、相手の手に対応する形でラウンドを行い、仮に有利な状況を作っていても、最後手番ですいっと向こうに持っていかれてしまうのです。
強めのイベントで対応したいところですが、イベントが強いのはお互い様なので、結局、最後手番を持ってる(イニシアチブを持っている)側のプレイヤーが圧倒的に有利なことに変わりありません。
しかも、手札運があまりよろしくなく、2や3の強さのカードしかでてきません(あとでわかったんですが、そもそも強さ4のカードは数があまりないので、強さ4のカードが手札に何枚かあった1ラウンド目は運が良かったみたいです)。イニシアチブを取り返そうにも、ちょっと引っ張ってかなり引っ張り返されるという、苦しい展開です。勝利条件である時間トークンに重きを置いて、1,2枚の証拠タイルは見逃してもらえるかも?と証拠タイルはちょこちょこと獲得しますが、全体から見れば証拠タイルも一味さんの方が多く獲得しているので、あっという間にメインボード、中央のニクソンの写真が黒いタイル(証拠タイルの裏面は黒色になっており、ニクソン側はこれで情報がつながらないようメインボード上で邪魔してきます)で囲まれます。
うーん、うーん、これはもうどうしようもないなと思いながらも、とにかくイニシアチブを取り返すか…とイニシアチブトークンのみを引っ張って、4ラウンド目あたりでイニシアチブを取り返しましたが、そこまでの全ラウンドで時間トークンを一味さんに取られており、既にリーチ状態。
その後、さくっと負けて続けて2戦目。
陣営変えます?と聞かれましたが、ジャーナリスト側で絶対に勝ってやらあ!と続けてジャーナリスト側を選択させてもらいました。
2戦目に意識したのは、以下の2点。
・イベントはガンガン使う!山札が切れると捨て札をシャッフルして山札を作るので、イベント効果を使ってカードをゲームから除外していくとどんどん山札は弱くなっていくんですが、山札を何回も作るみたいな状況になってから考える!
・とにかくイニシアチブは譲らない!
イニシアチブを取られると、手数が減る&最後手番を取られるのが非常につらいというのは1戦目に痛いほど身に染みたので、とにかくイニシアチブ!でいくことにしました。
イベントは大きく分けて、2つです。
1つは複数の対象をこちら側に引っ張るもの。これはおまけで証拠タイルが追加されたりもします。
2つ目は情報提供者の写真をメインボードにおくもの。勝利条件が「2人の情報提供者とニクソンを証拠タイルでつなぐ」ではありますが、実は情報提供者はゲーム開始時にはいません。スペースだけがあり、そこにイベントでタイルを配置する必要があります。
なので、証拠タイルがうまくつながりそうだなと思われるスペースに情報提供者を配置すればいいですし、逆に序盤に情報提供者を配置すればその周りをニクソンに塞がれてしまうリスクがあります。
まあ、カードによって配置できる場所が指定されているので、タイミングよく狙っているカードが引けるか次第ですし、引けないと思うなら、リスクはありますが、早めに情報提供者配置のイベントを起こす必要があります。
写真を配置するイベントは、トークンやタイルの引っ張り合いを1手ほったらかすことにもなるので、ちょっと怖く、証拠タイルがうまくつながったらそこに写真を配置することにし、こちらに引っ張る系のイベントは使用し、そうでないイベントはイニシアチブトークン中心にしつつ、証拠タイルを引っ張るを基本戦術にしました。
引っ張る対象の5つのうち、2つ、3つを毎回取りつつ、進めます。序盤は、お、なかなかいい調子じゃないか?と思うほど、イニシアチブを渡さないだけでなく、時間トークンも(なぜか)取れていましたし、証拠タイルもそこそこ手に入ってました。
一味さんのイベントもキャンセルできるカードがたまたま手札に入っていることも多く、強そうなイベントのキャンセルも何度か成功し、「お、これは勝てるんじゃない?」と思えるほどいい感じです。

(イニシアチブの取り合いに焦点があったからか、何故かたまる時間トークン。ジャーナリスト側は集めても勝てるわけではありませんが、有利なイベントが発生します)
が、手札運の偏りもあったのか、徐々に一味さんも盛り返してきます。時間トークンもいくつか取られ、いい勝負になってきました。
ここらへんで、お互いに一度山札が切れたので、イベントとして使ったものを除いてリシャッフルし、再度山札を作ります。1巡目にきた、あのカードきてくれ!あのカードきてくれ!と思いながらのプレイになります。
そして、証拠タイルがつながってくると、どこを邪魔すれば接続が切れるかも見えてくるため、ピンポイント、ピンポイントで一味さんに邪魔されるようになり、そして、手札運のあまりよろしくないラウンドでイニシアチブも取られてしまいました。
しかし、さすがにこれはいかーんと、すぐに全力でイニシアチブだけを引っ張って取り返しました。しかし、このラウンドは、イニシアチブ以外は全部一味さんに取られてしまいました。
盤面には黒い証拠タイルが並び、時間トークンもリーチという状態。苦しい! しかし、実はこの前のラウンドで不利になるのを承知で2枚目の写真タイルを配置しており、証拠タイルの出方次第では勝てる状況ではあります。
あと1枚、青い証拠タイルがとれさえすれば!

(見えにくいですが右上に青い地の写真タイルがあり、そこにつながるよう証拠タイルがおければ勝ちです)
そんな状況で手札には「バッグからランダムに1枚証拠タイルを獲得する」イベントのカードが。
証拠タイルの色は3色なので、青が引けるのは3分の1。イベントで手が遅れるのは痛いですし、このラウンドでイニシアチブが取れなければ、たぶん一味さんに写真につながるポイントを黒いタイルで防がれるでしょう。
手堅くイベントではなく、タイルを引っ張る効果で使った方が良いのか?とも思いましたが、いや、いくぞ!と腹を決めてバッグからドロー!
そして、見事勝利!でした!

(青いタイルを見事引き当て、ニクソンまで2つの情報提供者の写真から証拠タイルがつながりました)
【感想】
プレイ時間を短くしたカードドリブン式のゲーム。ではあるんですが、ボードの端っこを使ったタイル&トークンの引っ張り合いと、ボードの大半を使ったタイル配置の陣取りに戦いをわけたことで、カードドリブンの魅力を残しつつ、うまいこと短時間化していると思います。
カードドリブン式のゲームって、イベント効果がド派手なくせに陣営間のバランスが取れているので、始終スリリングな戦いが繰り広げられるところが魅力だと思ってます(もちろんそうでない外れみたいなのもきっとあるんでしょうが、少なくともカードドリブンの代表的なゲームとして語られるものは前述の魅力があると思ってます)。
カードドリブン式のゲームは、手札を強力なイベントとして使用するか、それとも、カードのパワーとして使用するかの選択が悩ましいゲームではあるんですが、イベントが(めっちゃ)強力なため、良い意味で何が起こるかわからない(大抵のカードドリブン式のゲームは歴史テーマのゲームなので、詳しければ、この場所でこういうイベントがあるはずだと見当はつくはずではありますが)というのが、魅力の元でもありながら、同時にとっつきにくさや長時間化の元にもなってました。
このゲームでは、ほぼ全てのイベント効果がタイル&トークンの引っ張り合いに関することなので、派手な効果は残しつつ、具体的にどの程度かはさておき、効果として『思いもよらない』というのはおおよそありません(ラウンド終わっちゃうのかよ!みたい少し意表をつくものはありますが)。
これでえらい遊びやすくなってます。
とはいえ、イベントの効果場所を局所化すると似たような効果が増えるため、陣営間の差は薄くなります。
しかし、ウォーターゲートは戦いの場を二つに分けたことによって、陣営間の差がうまく表現できるようになってます。
引っ張り合い部分だけ見ると、あからさまにニクソン側が強いです。
どちら側にも引っ張れなかったタイルは破棄されるので、引き分けはほぼニクソン側の勝ちみたなもんですし、ラウンドに登場している証拠タイルの色をラウンド開始時から見ることができたり、時間トークンだけ引っ張ってても5ラウンドで勝てるなど、少しずつニクソン側が有利なルールになってます。確認してないですが、ラウンドを途中で終了させるイベントなど、カード自体も引っ張り合い部分で有利なものが多いと思います。
ジャーナリスト側は引っ張り合いにかける手を少なくして、写真配置のイベントも起こさないとならないですし。引っ張り合いでは正直いって、不利です。イニシアチブをとって、手札数+1と最後手番をもらって、ようやく6:4くらいの強さ比率になるような感覚です。
ところが、タイル配置の陣取りでは、ジャーナリスト側が強いです。プレイ内容の方にも書きましたが、どことつなげるかを選べるジャーナリスト側に対して、ニクソン側は全面的にとめにいくか、ジャーナリスト側の動きを見てからしか対応できませんし、なにより、タイルひとつで最大6方向につなげられる、いわば"面"でプレイするジャーナリスト側に対して、ニクソン側は"点"での配置になります。
この差がかなり大きく、ジャーナリスト側は盤面の見た目が苦しいようでいても、こちらから繋げられる、こっちもまだ可能性はある、としぶとく食らいつける作りになってます。
ゲームで使う時間のほとんどは引っ張り合いやってるので、普段はめっちゃ強大な力を持つ権力者と、なんとか弱いなりにフットワークなどで立ち向かうジャーナリストという馴染みのある構造で、これまた遊ぶ時の有利不利が、権力者/ジャーナリストだから仕方ないというテーマから納得のいくものになっていて、どちらの側のプレイでも、要するに燃えます!
あえていうなら、短時間化するためにゲームの中心をシンプルにしてるせいで、やはりゲーム展開のバリエーションは少なくなってるのが欠点といえば欠点かもしれません(構造を単純にして遊びやすさをあげてるので仕方ないことですが)。
あと、そもそも実際の歴史ゲームテーマをあまり好まない人もいるのはわかってるんですが、そういう理由で遊ばないのはもったいないゲームだと思います。あまりに馴染みがなさ過ぎてファンタジーみたいなもんなので、そう楽しんでもいいですし、ウォーターゲート事件自体も面白いのでがっつり調べてから遊んでもまだ良いかと。