デューン 砂の惑星:インペリウム拡張 ライズ・オブ・イックス/Dune: Imperium – Rise of Ix

(4人でざっくりインスト込み2時間ほど)
【概要&ルール】
デューン 砂の惑星インぺリウムに色々要素やカードが追加された拡張です。
基本についてはこちらの過去記事とか、日本語版も発売されたので、どこかしらに詳しい情報があるかと思います。
大きそうなところでは、スパイスをお金に変えるアクションなど、メインボード右上のアクションが一新(基本のボードの上に拡張ボードを乗せる)されたことと、スパイスで購入できる特殊能力タイルが追加されたことでしょうか。
もちろん、選択可能なキャラクター、手札になるカードや、陰謀(策謀)カード、毎ラウンドの戦いでもらえる物を決めるカードも追加され、バランス調整が行われています。
【プレイ内容】
ウキンさん、さくらさん、酒元さん、僕の4人です。
ウキンさんは何度かプレイ済(ハンデとして、まだ勝ったことのないキャラクターを使われてました)、さくらさんも2回目?、僕は拡張は初、酒元さんは基本含めて初プレイ。
おそらく基本を含めて10~20回くらいされているウキンさんの立て板に水のごとくのインストを受け、プレイ開始です。
使用キャラクターの能力毎に使いやすさみたいなものが書かれており、さくらさんと酒元さんは1、僕は2、ウキンさんのは3です。1の方がどの場面でも使いやすく、数字が大きくなるに従って能力がピーキーというか、うまくはまれば強いというような能力になっているそうです。
僕のキャラクターは、常時発動能力が「同盟以外の場所にワーカーが2つ以上あれば、このラウンド使用したカード1枚を捨て札にできる」、カードの指輪アイコンでの能力が「購入コスト3以下のカードを購入できる」でした。一応、キャラクターは2枚渡され、そのうち1枚を選ぶというルールでしたが、デッキ構築なら圧縮でいいんじゃないという安易な発想で選んでみました。
ウキンさん:「圧縮の条件にもなってるから、ワーカーを3体に増やすの必須!」
僕:「ほー。たしかに増やした方がよさそうですね」
そして1ラウンド目。
デューンの大きな特徴の1つに、『常時場にある3種以外、購入可能として場に出てくるカードは完全ランダム』というのがあります。購入コストは1~9とかなり幅があり、もちろんコストが高い方がカードの効果は高いです。払えるコストが6あるのに場には1とか2のカードしかなくて、デッキを膨らませるのも嫌だし、5とか6の強いカード買いたいのに買えないとなるのが、デューンあるあるでもあります。
この時、最初に公開されたカードの中に購入コストが5のカードが1枚ありました。そして、僕の手札は3枚だけで払えるコスト5を満たせる手札です(※)。手番順は3番手でしたが、上家のさくらん、うきんさんの反応を見ると、どうも買えるのは僕だけっぽいです。
※ワーカー2体を配置するために手札の内2枚は使うので、初期手札5枚のうち、カード購入に使えるのは3枚になります。ワーカーを使わないという手ももちろんあるんですが。
先に3番手なのであまりよいアクションスペースが空いておらず、購入コスト5分のカードを残すのを諦めようかなとも思いましたが、そこは初志貫徹しよう!ということで、初期手札に1枚だけある、任意の同盟アクションを実施できる(ただし、使い捨て)カードを使って、策謀カード1枚を獲得。
※デューンは基本の時から、コストを払わないアクションスペースは微妙な効果なものが多かったですが、拡張入ってもそこは変わりません。
※デューンはワカプレですが、ワーカー配置時にプレイしたカードに書かれたアイコンと同じアイコンの場所にしかワーカーを置けません。なので、プレイするカードを変えればワーカーを置けるアクションスペースの候補が変わります。
この後は予定通り、購入コスト5のカードを獲得『このカードで配置したワーカーでもらえるスパイス2倍』の効果です。

(結果的にはめちゃくちゃ使えたので購入は正解でした)
ちなみに手に入れた策謀カードの効果は『(フリーアクションとして)3金で戦艦(ドレッドノート)を購入できる』でした。
この戦艦、拡張で追加された要素で、戦場に投入した場合、3戦力になり、かつ戦いに勝っても負けてもなくならない(勝ったら1ラウンド使用不可)というお得仕様。普通の兵士コマは2戦力&戦場に投入したら勝っても負けても消えるので、かなりお得なように見えます。
実際、お得な存在のようでウキンさんはほぼ初手から戦艦を購入するアクションを行っていました。

(序盤終わったくらい)
このゲーム、毎ラウンド末にある戦闘がかなり重要で、リソースや得点(ゲームの目標は10点に達すること)がもらえるため、みんな戦闘が有利になるような行動をしっかりやってきます。
ウキンさんは前述の通り、戦艦を上限の2隻をとっとと購入、さくらさんは元々戦艦が4戦力になるというキャラクターなのに加えて、(条件はあるけれど満たした後は常時)戦力を+4する&兵士を1つボードに送り込む特殊能力タイルを購入、酒元さんも交易(※)アクションで手に入れた兵士をすぐに戦闘に送り込める特殊能力タイルを獲得します。
僕は戦艦は持ってるとはいえ、戦闘力強化系の能力はないので、どこかで皆さんが戦力が減ったタイミングでどばっといかないと勝てなそうだなーと思ってみてました(もちろんちょろっと絡んで3位とか、そういうのをちょこちょこやってはいましたが)。
これは、策謀カードの運にかけるしかねえ!と、みなさん、策謀カードを取るアクションをあまり行わなかった(アクションスペースがよく空いてた)のもあり、策謀カードを多めにとっていく戦術をとってみることに。
一方で、またこれもウキンさんからの指南があったのですが、ボード上のスパイス獲得アクションのスペースはコストで水が必要で、水2払ってスパイス3つとかなんですが、1ラウンド目に購入したスパイス2倍効果で、水2払ってスパイス3つ、その後、同盟側のアクション効果でスパイス6つ払って、5兵士+水2を獲得というアクションを実施すれば、スパイスと水は無限循環で兵士5つだけ得するという作りなのに気づきます。
さらに固有能力のデッキ圧縮があるので、基本的に2ラウンドに1回スパイス2倍カードが手札に入ります。
スパイス4つ払ってで5金+αがもらえるアクションや、交易アクションで5金もらったり(その代わり全プレイヤーに1金ずつ渡される)で稼いだお金で3つ目のワーカーも獲得します(ワーカーを増やすアクションのコストが8金かかるのです)。
ウキンさんとさくらさんの手札やボードのタイミングがあっていたのか、お互いに経験者なのでマークしていたのかはわかりませんが、同じラウンドで戦闘に戦力を注ぎこむことが何度かあり、次ラウンドに、おらああスパイス6つで5兵士!さらに戦艦と普通の兵士1つじゃああ、1手で15戦力!で、漁夫の利的に2回ほど勝たせてもらいました。
スパイス2倍カードを軸にうまいことやってる一方で、圧縮のためもあってワーカーを3体配置している=手札5枚の内、カード購入に使えるのは2枚ということで、購入コストは手札運が良くて3、大抵2と、全く強いカードを買うことができません。
手札ドロー効果を上手く使って、購入にまわせるカードを増やしたいのですが、どうも僕はそれが苦手です。
ウキンさんやさくらさんが手札を増やしまくってカード購入を有利に進めますが、場に超ハイコストのカードがでてこないようで、結局4とか5のカードしか買えていません(それでも僕からすれば十分強いカードを買われているんですが)。
特にさくらさんは、他プレイヤーの手札を2枚捨てさせるという鬼のような効果のカードを持っており、かなり痛い目にあわせられました。
そしてラウンドが進み終盤に。
戦闘勝利で手に入る勝利点が2点のカードもでてきますし、みなさんの勝利点も6,7点とちょっとしたことでゲームが終了しそうです。
ここで戦闘勝利後に、スパイスやお金などを払うことができれば最大3点獲得できるというカードがめくられました。
僕は手元にスパイスがないタイミングだったので、戦闘はみあわせますが、うきんさん、さくらさんがどんどんどんと兵士を戦場にどんどんいれていきます。
その結果は、ともに20を超える大戦争になり……、結果、同点!
ウキンさん:「戦力あげる策謀カードを別の効果で使っちゃったー。やっちゃったー」
双方2位で1点ずつ! ここでウキンさんが3点取ってると10点達成していた可能性もあり、あぶねーとみんなで言い合います。
この時点で僕はまだ7点、ゲーム終了時に1点追加という効果のタイルは持っていましたが、それでもさすがにすぐには勝てなそうです。唯一、策謀カードも点数になるものがあるんですが、僕は引けていません。しかし、購入コストを2下げるというかーどは持ってました。要は手札で7に達すれば、購入コスト9の1勝利点カードを購入できるのです。
が! ラウンド最後に残せるカードでは6にしかなりません!あと1、あと1あれば、1勝利点カード買えたのにーーー!
と激しくなんとかならんかねとボードと手札を、交互に見ている僕の横で、さくらさんはこのラウンドも戦闘で勝てそうな戦力を戦場に投入。

(そろそろ終了するか!?ってラウンド。戦闘を仕掛けるか悩みましたが、さくらさんがここの2点以上の点がとれないのに賭けました)
さくらさんは、このラウンドも戦闘に勝利して2勝利点獲得。勝利目前の9点。リーチです。
購入コスト9のカードを買われたら終わるので、さくらさんの手元にみんな注目していましたが、9には足らず!
ゲーム終了は次ラウンドに持ち越しです。
このラウンドで戦闘に勝てば2勝利点もらえるので、いま7点の僕にも十分勝ちはあります。さくらさんが何かで1勝利点稼いだとしても10点ちょうどにしかならないので、ゲーム終了時に1点もらえるタイルのおかげで同点にはなります(タイブレイクは基本的に残りリソースです)。
よっしゃー、5兵士購入でがっつり戦力送り込むぞーと思ってるとこで、天啓が!
さっきワーカー1つプレイせずに購入フェイズに入れば1勝利点カード買えたわ!!
天啓、5分くらい遅い!
まあ、過ぎたことはしょうがないなと思っていると、さくらさんがなんとか勝利点を稼ごうと、策謀カードを引きに来ます。戦闘勝利以外で勝利点を獲得するのは、策謀カードで条件付きの勝利点獲得カードを引くか、購入コスト9のカードを買うか同盟のトークンを他人から奪うかののどれかくらいで、同盟トークンを取るのは今からだとちょっと無理なので、策謀カードを狙ってくるのは正しい選択です。
さくらさん:「1枚引いて…。違う! けど更にアクション効果で4枚以上持ってるプレイヤーから1枚策謀カードを奪います! ひだりさんは4枚持ってるはず!」
僕:「ばれとるがな」
この時、僕が持っていた策謀カードは、購入コスト2減、他人が置いているスペースにワーカー配置できる、戦力+3、スパイス払って戦力+4の4枚。
さくらさんは兵士コマを送り込みやすいので、戦力を持っていかれるのも嫌ですが、それ以上に持っていかれたくなかったのは他人が置いているスペースにワーカー配置できるカード。もちろんコスト2減も1勝利点につながるので、嫌です。
本当に、さっきのラウンドで策謀カード使って1勝利点のカードを買っておけばよかったー!
で、ランダムで引かれたカードは、コスト2減!
さくらさん:「あぶねー、こんなカード持ってた!(1勝利点カード買われるところだった!)」
まあ、さくらさんに得点機会を渡したのは厳しいですが、どうせ僕の手札では購入コスト9のカードには届かないので、ワーカー配置の方のカードを持っていかれるよりはマシでした。
さくらさんにカードを取られる前手番の酒元さんが交易を2回行うスペースにワーカーを置いていたのですが、ここにどうしてもおきたかった!
交易は拡張で追加されたアクションで、アクション効果が3段階あり、効果を1段階上げるか、効果(利益)を得るかを1アクションごとに選べます。1段階目は5金or2スパイス、2段階目は同盟を1つ上げる+兵士2つボードに送り込む、3段階目は2スパイス安く場に出ている特殊能力タイルを買う、です。
どうもゲームに登場する最高コストのタイルらしいのですが、スパイス8つのところを6つにして、即時で1勝利点もらえるタイルを購入、これで8点! さらにボードに兵士を送り込みます。
その後、ボード上の兵士をほぼ全て戦場に送り込みます。
そして、カード購入フェイズではさくらさんが僕から奪ったカードの効果も使って1勝利点のカードを購入。さくらさん10点到達で終了トリガーが引かれます。
その後処理した戦闘は、最後だからと大変盛り上がりましたが、それでも策謀カードの効果もあり、僕が勝利。これで僕も10点です。
ここからは策謀カードや特殊能力タイルなどで、ゲーム終了時に点がのびるものがあれば……、そいつがまくるかも!?とドキドキしましたが、終了後に点数が伸びるようなものは僕のタイルだけだったようで、その1点分抜け出ることとなり、勝利できました。
感想戦で話がでましたが、購入コスト6とか7のカードが今回は出てこなかったようで、ワーカー3体いたし、プレイング的に購入コストを稼ぐのが苦手な僕には有利な展開だったようです。さくらさんとかうきんさんとか、知らん間に手札が増えてて購入コストがほぼ毎ラウンド5以上確保されてました。プレイング上手い方々の手札増やすプレイは(今回みたいな不運がなければ)基本的には強いと思います。
序盤に戦艦買えたりなど、便利な策謀カードを引けてましたし、全体的に運が良かったですね。

(最終ラウンド、戦闘にみなさんぶっこんだところ)
【感想】
基本ゲームの特徴はそのままに、狙い処をより明確化し、プレイヤーごとのプレイスタイルをより伸ばせるようにした拡張だと思います。
ただ、悪く言えば再調整版なので、面白くなっていることは確かですが、最初からこの作りにしとけばよかったのでは?と感じる人もいるとは思います(それなりに要素はボリュームがあるので、基本があったからこそすんなり入れるという面もあるでしょうが)。
基本ゲームの特徴は、
・自分が伸ばそうとする方向性にあったアクションスペースを使えるよう、効果+アイコンを考慮しつつ構築する必要のあるデッキ
・低コストで弱い効果と高コストで強い効果のアクションスペースのメリハリがはっきりしている
・リソース貯めて変換するなどという優しい方法ではなく、他人に勝ったり、運がないと獲得できない勝利点
・3種の共通カードを除き、購入コスト(1~9?とめっちゃ幅広い)に関係なく、完全ランダムに購入候補として場に出てくるカード
・1金獲得から、(条件満たせば)1勝利点獲得まで効果に幅がある策謀カード
という、しっかり戦術・戦略を考えながら進める部分と、それが上手くいくかは他人/運次第という洗練されていない部分の混在具合が魅力的なゲームでした。
そこは拡張が入っても変わってないです。カードや策謀カードは追加されたものもありますが、基本ゲームと同じというか、カード間のシナジーが増えたのでむしろ特徴は強まってます。
大きくバランス調整されたと感じたのは、(まあ、ボードみりゃわかるんですけど)スパイスの使い道です。
基本ゲームではスパイス→お金の変換アクションがあり、ちょっと高価なリソースという程度でしたが、変換アクションがなくなり、スパイスでしか行えないアクション(特殊能力タイルの獲得)が増えたので、ちゃんと狙い定めてリソースも獲得していかないとダメという作りがここでも強化されているように思います。
その他、拡張で追加された要素、交易アクション、特殊能力タイル、戦艦、どれもゲームの面白さを増していて、ゲームを“完成版”に近づけているように思います。
交易は、やってみると強く実感するんですが、めっちゃ手間がかかる!んですね。最終的に、利益獲得を行うまでは何ももらえないので、何もやってないかのような手番を何度か行わないとなりません。
アクション権や手番をコストとしてはいますが、高いコストで高い効果を得るというこのゲームのベースに即しつつ、効果を得るまでじりじりとじれったい、プレイヤーごとの好みで選ばれるかが決まる、良い追加アクションだと思います。
特殊能力タイル自体は、よくある要素、ではありますが、それなりに強力な飛び道具としてや、各プレイヤーの狙いところを明確にしてワカプレの面白さ(誰がどこを先取りしたいかや、このゲームのメインギミックであるワカプレのためのデッキ構築等々)を感じる機会を増やすことに貢献してます。
戦艦(ドレッドノート)も拡張でやること/やれることが増えたので、消えることのない兵士コマとして大変便利なんですが、これもコスト払って高い効果を得るで、徹底しているなと。
しっかりコストを払えばその分のリターンがありますし、うまくプレイしないとコストを用意できないので、プレイングの楽しさもかなりあります。
まあ、やはり、好みを分けるのは、根底にある強めの運要素ですね。
策謀カードの引き運と、場に並んでる購入可能カードのまわり運は、好みが得に出るのではないかと。
積み上げた努力を運で否定されたり、他人の唐突な飛び道具で負けるのは納得いかない、気に食わないというのはよくわかります。
購入カードを入れ替えるアクションがない上に完全ランダムなので、せっかく手札がいいのに、場にはコスト安いカードしかない!ということはよくありますし、そこまでいかなくても、支払える範囲で最高コストのカードを買いたいと思っちゃいますよね。
でも、ノーコストながら山引きになる策謀カード、スパイスを払う特殊能力タイルは山が3つ(で補充も山がわかれていて尽きたら終わり)と、獲得方法やコスト、補充がいちいち違うんですよね。僕はここはデザイナーの強い意志を感じました。
(とはいえ、そこが気持ちよく遊べないので嫌い!というにはもったいないゲームなので、カード流したり補充ルール変えちゃってもいいとは思いますが)
強いアクションや強い戦法が固定化するわけでもなく、プレイングの上手い下手はあるけれど、他プレイヤーの仕掛けタイミングや手札、山札運も大きく作用する、おおらかさも持っているところがやはり魅力のように僕は思います。
繰り返しになっちゃうのですが、拡張は、特殊能力タイルや戦艦などの恒常効果の要素のおかげで、スピードアップ、ダイナミックさアップしつつ、様々な追加要素で基本ゲームの魅力を強化し、完成度を上げているものと僕には感じられました。基本ゲーム気に入った方は是非、拡張入りで遊んで欲しいです。