スモーキー・バレー / The Smoky Valley
(3人でインスト込み5時間半ほど)
【概要&ルール】
1840年、ここはカナダのグリフィントウンの街に産業を誘致しつつ、運河を広げ、街を発展させるとともに、海外に商品を輸出し、街での名声を高めよう。
産業(建物)の建築、建物からの資源獲得、各資源を使ってのエリアの価値を高めたり、特殊能力を獲得したり、資源を海外に輸出して勝利点にしたりと、街を発展させながら勝利点を稼ぐ系のゲームです。
毎手番、お金を払ってアクションをするか、パスしてラウンドから抜けるかの選択をし、規程ラウンド終了時に勝利点が高いプレイヤーが勝利します。
アクションをすると選択した場合、以下の流れで手番を行います。
1. アクションする地区の選択
2. アクション実施
+フリーアクション(資材の売却/購入)
●アクションする地区の選択
各プレイヤーの手元にある水先案内ボード上でアクションを行いたいエリアに船コマを移動させます。この時、ボード上に示されたエリアの並びで、今船コマのあるエリアと同じ、またはより左側のエリアにコマを移動させる場合、1金かかります。船コマを右に移動させる場合は無料です。

(各プレイヤーがこんな感じのアクション位置を決めるためのボードを持ってます。エリアの並びはゲーム開始時にランダムです)
●アクション実施
手番にお金を払って実施できるアクションは以下の通り(※お金≒APと捉えてもらった方がわかりやすいです)
※基本的に手元のボード上で船コマが置かれているのと同じエリアでしかアクションは行えません。
・産業の設立:2金と必要な木材を払って、サプライにある産業タイルをメインボード上に配置します。
・産業の改良:1金と必要な資源を払って自分の産業タイルを裏返し、タイルに書かれた点を得ます。
・生産:エリア内の任意の数の産業をコスト(主にお金)を払って起動します。産業の持ち主が自分以外の場合、持ち主に何かしらおまけがもらえます(麦を2つ生産する産業の場合、麦1つもらえるとか)
・公共施設の建設:1金と必要資源を払って公共施設ボードに置かれたタイルから、エリアに建設可能なものを選んで配置します。
・運河タイルの獲得:1金と必要資源を払って自分の場所に対応した候補から運河タイルを獲得し、個人ボード下部に配置します。また、運河の基礎点があがります。
・カード獲得:1金と必要資源を払って候補の中から特殊効果カードを獲得します
・貿易商/荷物を船に積む:1金払ってメインボード上にある船に貿易商コマ1つ、もしくは手元の資源2種1コマずつを配置します。船タイル1つにつき、1種しか荷物は詰めず、1つ目の荷物を積むプレイヤーが指定できます。
●人気について
自分以外も得するアクション(産業設立とか、公共施設作るとか、他人の産業使って生産するとか)を行うと人気があがります。規程ラウンドごとに市長選があり、人気が最も高いプレイヤーが市長に選ばれます。市長は優遇する政策を決定(実質的にはどの色のカードが何点か決める)し、所持しているカードに応じて点数が入ります。
●船の輸送について
船の輸送先は3つあり、輸送先ごとに輸送できる荷物と輸送による得点が決まっています。船単位に輸送先は固定&1種類の資源しか積むことができません。輸送先に置かれているトークンを船の先頭において載せている資源を表すので、トークンのない資源を載せる船は作ることができません。
また、船には貿易商を1人載せることができ、貿易商が輸送先につくと特定の資源などがもらえる他、加工資源(小麦粉やビール、蒸気機関など)1つあたりの点数が上がります。
●ゲーム終了
規程ラウンド終了後、各エリアに設立していた産業の個数×そのエリアの価値点(基礎点+公共施設点)、各プレイヤーの運河の基礎点×そのエリアの産業などの点数を得た上で、もっとも点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
一味さん、キノさん、僕の3人で。
Spielworxxのルールはお世辞にも構成が良いとは言えないことも要因かとは思うのですが、それ以上に、このゲーム、要素も多いうえに、ひとつのアクションで段取りが4つくらいあり、しかも、アクション間で共通のものもあればそうでないのもあると、なかなかインストがすんなりいかない作りです(初プレイでしたし)。
そんなわけで90分程度かけてインストがようやく終わりゲーム開始です。
(モノも多いのでセットアップも少し手間がかかります)
で、スタートプレイヤーの一味さん。
「何やっていいかわからん!」
手番でやることは、
・アクションするエリアを決めて
・アクション
という2段階で、まあ、よくあるやつではあるんですが、
このゲームでは、毎回エリアは移動しないと追加APが必要、しかも、エリアの並びに順番があり、並びに逆らう方向のエリア選ぶと追加APという作りなので、追加APを払いたくなければ、5つのエリアを順番に並び通りに選択するしかありません(3人プレイではスタート時は7APあるので少し余裕はありますが)。
※AP,APと書いてますが、ゲーム的な名称はお金(ドル)です。全てのアクションでお金を使うので、わかりやすさ優先でAPと書いてます。
(エリアの並びは個人ボード上にタイルで示されていて、順番ランダム=各プレイヤーで並びが違う&特殊効果で並び替えもできる、です)
とはいえ、ゲーム終了時の得点である公共施設の点にせよ、運河からの点にせよ、そこらへんを考慮すると分散させるよりもある程度はまとめた方がよさそうです。
そんなわけで、3人とも初期配置で自分の製材所を置いたエリアを中心にすることにしました。といっても、ずっと1つのエリアに力入れて過度に移動/同エリアに立ち止まるのにAP使うのも微妙っぽいんだよなーと、個人ボードの左のエリアから、アクションは始めて、右へ移動、右へ移動、立ち止まる、立ち止まる、右へ移動…みたいな感じにしましたが。
多少の順番の違いはありますが、3人ともまずは運河タイル=特殊能力を獲得します。
運河タイルは、運河に面している3つのエリアのどこでも獲得できますし、獲得したエリアに関係なく、個人ボードの好きな場所におけますが、獲得対象のタイルの候補は3エリアで全て異なる上に、タイルを獲得したエリアでだけゲーム終了時の運河点の係数があがるので、自分が力をいれたいエリアで運河タイルを獲得したいとなります。
運河タイルの種類はほぼユニークで結構な数があるので、自分がやりたいことにあった能力のタイルが都合よく、力を入れたいエリアのサプライにでてくるとは当然限りません。
そんなこんなで、みんな、それがやりたかったのかはさておき、
キノさんは改良アクション付きのタイル、一味さんは産業設立時に1金安くなるタイル、僕は産業設立時に人気が+1もらえるタイルを最初にとりました。
あと、序盤で重要視されていたのは収入アップ! まあ、これはAPアップなので当然っちゃ当然ですね。収入トラックの作りがいやらしいというか、なかなか収入が増えない作りで1金(1AP)収入増やすのに、2段階トラックを進めないとならず、どうやって進めるんだ!?(手が回らん)ってなってました。
(これは公共施設作った時にも収入トラック進むという処理を何故か全員忘れていたのが原因なので、実際には1ラウンド中に1金収入増やせると思います)
序盤、強力だったのはキノさんの改良能力! 前述の通り、プレイヤーは個人ボード上で対象に選んだエリアでしかアクションを行えないのですが、運河タイルの能力は任意のエリアを対象に使うことができます(ただし、運河タイルはエリアにつくので、使いたい運河タイルを配置したエリアでアクションを行わないと効果が発動しませんが)。
改良すると即点数が入る他、生産アクションで作れる資源数が増えます。他人の産業も使うことができるので、まあ、僕らも嬉しいと言えば嬉しいのですが、他人の産業を使うと持ち主に1資源(大抵は作った資源と同じもの)が入るので、あまり嬉しがってもいられませんし、点数がぱかぱかぱかぱかキノさんに入るので、おいおいこれ大丈夫か?と心配になります。
1つのエリアに力をいれるためにはそこに留まらないとならない(=APを余計に使う)という縛りに対して、運河タイルの能力で任意のエリアを選べるので移動せずに別エリアをいじれるというのがすごく強そうに見えてました。
(あとで、一味さんも同じ能力のタイルをとってましたw)
そして、一味さんは設立コストが安くなってるので、当然、産業を作ることに力を入れます。産業タイルの配置数数=ゲーム終了時の得点の一方の係数なので、これもまた強烈な得点要素です。
僕やキノさんとは異なり、移動へのコストも心持ち多めに使われていた(=特定エリアに集中されていた)ように思います。
僕の人気+1の能力も、人気を上げればお金や資源もらえますし、決して弱くはないのですが、運河タイルでアクションしたり、ある程度移動にコストを使っている二人に比べるとどうも手が遅く、ラウンドからパス抜けした際にもらえる1金や1資源分で多く行動されて結局人気も似たような感じになるということを1、2ラウンド目では繰り返してました。
うーん、これはちょっと目先変えて勝負どころを別のところに求めないとダメだなと、3人とも一切触っていなかった船での輸送に手を付けます。そのために、僕が選んだのは船アクションを選んだ際に追加で貿易商を1コマ乗せることができる能力を持った運河タイルです。
貿易商は上級資源を輸送した際にもらえる点数をあげられるほか、輸送先に到着(船が荷物で埋まるか、ドックが埋まって押し出されると出港)すると、輸送先に応じて3木材や1蒸気機関など、それなりの資源がもらえます(点数をもらうこともできます)。
僕は二人に比べて施設数も施設の生産力も劣っていたので、船を自力で埋めるのはちょっと難しいのですが、序盤に貿易商を置いておけば押し出しで勝手に出港します。なので、貿易商による資源獲得と終盤の点数を見越してみました。

(序盤に写真を撮り忘れてたのである程度形ができてきたところから)
それぞれが得意分野を作りつつゲームは中盤に。中盤に猛威を振るったのは水力マークの公共施設。
公共施設の効果は、ゲーム終了時にもらえる産業1つあたりの点数アップと、産業設立or改良時にボーナスがもらえる、または、産業で生産した時におまけがもらえるの2つ。
水力マークの公共施設は「同エリアに産業設立/改良した場合、対象産業が1回起動する」です。
生産アクションも当然コスト(お金=AP)払うのですが、お金は不要で起動するので手番+コスト圧縮できます。しかも、改良すれば点数も入りますし。
水力マークの公共施設が強いのは効果見た時からわかっていたのですが、1ラウンド目に出てきた時には全員”自分の”エリア的なものがなかったので、公共施設作るのだけ自分がやって、他の人の方が施設たくさん建てられたら嫌だなあと思って、手を出していませんでした。
無事、2ラウンド目に僕が力を入れていたエリアに配置することができたので、うっしゃうっしゃです。そして、一味さんが力を入れていたエリアにキノさんが水力マークの公共施設を配置(キノさんが力を入れていたエリアのキノさん施設は既に全て改良されていたので、まだ未改良の施設がある方を選ばれたようですが…)。
余剰などないので、1ラウンド目に出て来たぶんも含めて、水力マークはこれで枯れました。
水力マークの公共施設のおかげか改良を繰り返されたこともあり、生産力が全体的に上がってます。僕はここらへんでようやく生産した資源をどう得点化するかに目が行くようになりました。

(見づらいですが、中央奥に公共施設の配置されたボードがあります。毎ラウンド3枚ずつでてきて、ラウンド中の補充はありません。また、その下にあるタイル並んだボードが建設可能な産業の残りが置かれたタイルです。3人プレイでは全体でも置ききる程度くらいの数しかなかったので、建てたい産業を先に取られるとかも良くありました)
このゲームの主な得点手段は、産業を作ってそのエリアの基礎点+公共施設点を得たり、改良して点数を得る「建築型」と、貿易商を送り込んで1資源当たりの点数をあげてからの上級資源を輸送する「出荷型」。
貿易商を送り込むのは序盤の人だけおいて放置とか、中盤になってからも貿易商ばらまき&下級資源で出荷をそれなりに行っていたので、この後、上級資源を出荷できればかなりの点数が見込めます。
現に小麦粉を満載した船を出荷して一気に得点し、最下位から頭1つみなさんからとび出たくらいの位置まで得点トラックを進めることができました(といっても、一味さんは手元に大量の資源を持っており、かなり不気味というか、この後、ガンガン得点化されるのが見えていたのですが)。
しかも、貿易商をのせているので出荷の都度、3木材やらの資源が手に入り、獲得した資源で産業を作ったり改良したりと、出荷と建築を両方こなすことができるように!
しかし、船に荷物を載せるアクションは「2つの異なる資源を船に載せる」効果なので、上級資源が手元に2種類ないとどうにも非効率さを感じます。
この頃になると、設立可能な土地もかなり減ってきていましたが、さらなる出荷を狙ってビール工場を新しいエリアに作りました(結果的にはこれが良くなかったのですが…)。
これで、出荷が効率的になったぜと思ったのですが、実はそんなことはなく…。
これまでは、小麦粉を作れるエリアで小麦粉+下級資源を手に入れる→出荷という流れだったのが、小麦粉とビールの獲得エリアがわかれているので、出荷前に2手番かけて資源を用意しないとならなくなりました。この手番損がじわじわと効いてきます。
さらに言えば、終盤に入って産業を新たに作る場所がもうほぼない状態になっており、一味さんもキノさんも意識がかなり出荷よりになっていました。
(作れる場所はあるけど、最終得点計算で得られる点が少なく得点効率が悪い)

(これはたぶん中盤終わったくらいらへん。序盤は僕しか置いてなかった船の上に各プレイヤーのコマが置かれています。これでも少し減ったくらい)

(終盤に入りかけくらいの盤面。右上、一味さんの個人ボード上にやべえ数の資源コマが置かれてます)
キノさんは貿易商を送り込むことで蒸気機関がもらえる出荷先を優先、されてはいたんですが、前述の通り1度の出荷アクションで異なる2つの船に資源を載せられるので、僕が既に貿易商を送り込み済で高得点を狙っていた出荷先にも手元にある資源をどんどん送ってきます。
おかげで僕が載せたかった資源は載せられなくなるし、船の荷物の積み場所も埋まるわで、さっきまでの得点源をつぶされていくことに。
困ったなあと思いながらも、僕ら3人の中で一番船に手を出すのが遅れていた一味さんには、まだ…と甘い考えを持っていたのですが、いつの間にか「貿易商を追加で1人載せる」効果の運河タイルを獲得されており、なかつ、この時点では唯一蒸気機関を力を入れているエリアで作れるプレイヤーでもあったので、貿易商を送って得点をあげてからの蒸気機関×3つを一気に出荷して18点!とか獲得されてました(ゲーム終了時にトップが160点くらいだったので、1割以上の点をここで取ってます)。
この蒸気機関の船、出荷前からやばいなーとは思っており、僕も荷物を載せる機会を狙っていたのですが、残りのアクションポイント(お金)や手元の資源などの関係から、僕の方が1手早く載せられるはず!だったのが、場に並んだカードに連続手番の効果があるのを見逃しており、見事にカード獲得からの連続手番で思いっきり思惑を崩されたところでした。
まあ、後手を踏んだのなら改めて手元の資源を得点化すればいいやというわけにもいかず、このゲーム、先ほど産業建てる場所がなくなったと書きましたが、今度は船が枯れました。共有の船は有限です。
産業として造船所を作っておけば、マイ船を作ることもできるのですが、今回は造船所を建てられる場所を他産業で埋めてしまったため、今回のゲームでは造船所は存在せず(造船所を作った本人のメリットより、他人に船を作られるデメリットの方が大きそうに見えたので建てなかったというのもあるんですが、実際のところはどうかわかりません)。

(個人ボードの下に置かれた運河タイル、出荷寄りのものを終盤でも追加でとったんですが、上記の通り、船がなくなってほぼ活用する前にお役御免に…。上手く使ってやれなくてごめんなさい…)
そうなると、やれることはもう少ないですが、とりあえずやれることやるかーと、各自が自分のAPと所持資源をどう消費するかというソロゲーを考えて、淡々とこなして終わりました。
結果的に中盤で作った僕のリードは見事に終盤に先に出荷されることなどでなくなり、まくった一味さんが勝利されました。

(終了時。結局、出荷した上級資源1つ差くらいで負け。序盤にぶいぶいやってたキノさんいわく、(いい場所押さえたりが優先で)アップグレードしてる場合じゃなかったとのこと)
結局、序盤から通してAPを上手く消費することに目がいってしまい、スピード勝負!みたいなところで1,2歩遅れてしまうようなプレイングが敗因でした…。
まあ、みんなよりもゆっくりのプレイだったため人気ではまくりやすかったこともあり、市長選後のカードからの得点ではたぶん一番稼げているので良し悪し…、いや、単に先に船などの取り合い部分を優先してそこからのんびりでも構わないので、得点源の確保は早めの方が良い気がします。
【感想】
ソロでどう回すのが効率的かと、他人との先取りの争いの2点でプレイヤーへの負荷が高く、悩ましくも楽しいゲームでした。
ほぼすべての要素で先取りされると狙っていたことができなくなるので、他プレイヤーが何をやりたいか、何を優先して実施するのが大事かのゲームではあるんですが、序盤から中盤にかけてはまだ各エリアの空きも多い、船もたくさん残っている、どのエリアでアクションするのが有利とか決まっていないということもあり、運河タイルの特殊能力も含め、どういう路線で自分はこのゲームを回すかの方針付けと、それをどう実現するかに非常に頭のリソースを使います。
(一度、方針立てちゃったり、少し進めば空きが減ってきて見通しは徐々によくなってくるんですが)
「運河タイルの能力やこれまでに設立した産業的にこのエリアでアクションした方がよい、だが、エリアを(右に)移動すればその分ラウンド内に行えるアクションは増える」
ゲームを通してずーっとこれに悩まされます。
実施アクションを増やせば当然、設立したり改良する産業は増えますし、公共施設も沢山作れるでしょう。
実施アクションを増やす=複数エリアでアクションするになりますが、点数の構造上、アクション実施するエリアはまとめた方が得点効率は良いはずです。
移動とアクションにどうAPを振り分けるかが、他プレイヤーとの先取りと混ざり合うことで、非効率だが優先度は高い行動と、効率的だがのんびりな行動の選択も生んで、上手く回すだけのソロゲーに依らず、(ちょっとモダンではないですが)熱いインタラクションを持ったゲームになってます。
特に船の積み荷の種類決めや船倉の取り合いは、往年の名作プエルトリコを思い出しました(プエルトリコほど、自分の損より相手の損がより大きければ得みたいな酷い絞り合いではないですが)。
そして、僕が好きな要素である「ゲーム中に重要視すべき要素がゆるく変わっていく」ところもあります。
プレイングのところに建築型、出荷型と書きましたが、スモーキーバレーはそこまではっきり分かれていることはないです。(たぶん初プレイの序盤・中盤は両立とか無理じゃね?ってなりはするかと思いますが)一方に偏りながらでも十分手を出せる程度のバランスだと思います(APのやりくりや注ぎ込み次第なので、取り合いが熱くなればなるほど、先取りのためにAP使って、色んな所に手を出す余裕はなくなるので、絶対という訳ではないですが)。
この、両立できるというのが曲者で、終盤、運河タイルの獲得が大きな得点源になるということもあり、終盤で各プレイヤーの持っている特殊効果の追加/更新が起こるのですが、これにより、あっという間にそれまでの各プレイヤーの得意なプレイスタイルが変わり、それまで力を入れてなかった方にもずんずんずんと力をいれることができるようになります。
特殊効果タイルって、大抵のゲームでは「強いけど、獲得に使う手番/APとのバランス(取りすぎたら弱くなる)」という作りなのが、スモーキーバレーの終盤では、「得点としても強い」という作りなのが、ちょっと斬新というか、いい感じにゲームの流れが変わって面白いです。
※コストは高いので、“うまく回している”が前提にはなりますが。
欠点は、長時間であるということ。APをどううまく使うかとか、上記の特殊効果タイル獲得によるプレイスタイルの変化を効果的に感じさせるためとか、色々な要素が長時間である必要性につながってはいますし、冗長ということはないのですが、まあ、あと1,2時間短い方が遊びやすいです。
とはいえ、プレイ内容のところでも触れていませんが、フリーアクションを使ったAP+人気獲得や、どの産業を自分で建てるか、他人のAPや資源をみつつのアクション優先度決め等々、細かいところも含め、魅力の多いゲームではあると思います。
【概要&ルール】
1840年、ここはカナダのグリフィントウンの街に産業を誘致しつつ、運河を広げ、街を発展させるとともに、海外に商品を輸出し、街での名声を高めよう。
産業(建物)の建築、建物からの資源獲得、各資源を使ってのエリアの価値を高めたり、特殊能力を獲得したり、資源を海外に輸出して勝利点にしたりと、街を発展させながら勝利点を稼ぐ系のゲームです。
毎手番、お金を払ってアクションをするか、パスしてラウンドから抜けるかの選択をし、規程ラウンド終了時に勝利点が高いプレイヤーが勝利します。
アクションをすると選択した場合、以下の流れで手番を行います。
1. アクションする地区の選択
2. アクション実施
+フリーアクション(資材の売却/購入)
●アクションする地区の選択
各プレイヤーの手元にある水先案内ボード上でアクションを行いたいエリアに船コマを移動させます。この時、ボード上に示されたエリアの並びで、今船コマのあるエリアと同じ、またはより左側のエリアにコマを移動させる場合、1金かかります。船コマを右に移動させる場合は無料です。

(各プレイヤーがこんな感じのアクション位置を決めるためのボードを持ってます。エリアの並びはゲーム開始時にランダムです)
●アクション実施
手番にお金を払って実施できるアクションは以下の通り(※お金≒APと捉えてもらった方がわかりやすいです)
※基本的に手元のボード上で船コマが置かれているのと同じエリアでしかアクションは行えません。
・産業の設立:2金と必要な木材を払って、サプライにある産業タイルをメインボード上に配置します。
・産業の改良:1金と必要な資源を払って自分の産業タイルを裏返し、タイルに書かれた点を得ます。
・生産:エリア内の任意の数の産業をコスト(主にお金)を払って起動します。産業の持ち主が自分以外の場合、持ち主に何かしらおまけがもらえます(麦を2つ生産する産業の場合、麦1つもらえるとか)
・公共施設の建設:1金と必要資源を払って公共施設ボードに置かれたタイルから、エリアに建設可能なものを選んで配置します。
・運河タイルの獲得:1金と必要資源を払って自分の場所に対応した候補から運河タイルを獲得し、個人ボード下部に配置します。また、運河の基礎点があがります。
・カード獲得:1金と必要資源を払って候補の中から特殊効果カードを獲得します
・貿易商/荷物を船に積む:1金払ってメインボード上にある船に貿易商コマ1つ、もしくは手元の資源2種1コマずつを配置します。船タイル1つにつき、1種しか荷物は詰めず、1つ目の荷物を積むプレイヤーが指定できます。
●人気について
自分以外も得するアクション(産業設立とか、公共施設作るとか、他人の産業使って生産するとか)を行うと人気があがります。規程ラウンドごとに市長選があり、人気が最も高いプレイヤーが市長に選ばれます。市長は優遇する政策を決定(実質的にはどの色のカードが何点か決める)し、所持しているカードに応じて点数が入ります。
●船の輸送について
船の輸送先は3つあり、輸送先ごとに輸送できる荷物と輸送による得点が決まっています。船単位に輸送先は固定&1種類の資源しか積むことができません。輸送先に置かれているトークンを船の先頭において載せている資源を表すので、トークンのない資源を載せる船は作ることができません。
また、船には貿易商を1人載せることができ、貿易商が輸送先につくと特定の資源などがもらえる他、加工資源(小麦粉やビール、蒸気機関など)1つあたりの点数が上がります。
●ゲーム終了
規程ラウンド終了後、各エリアに設立していた産業の個数×そのエリアの価値点(基礎点+公共施設点)、各プレイヤーの運河の基礎点×そのエリアの産業などの点数を得た上で、もっとも点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
一味さん、キノさん、僕の3人で。
Spielworxxのルールはお世辞にも構成が良いとは言えないことも要因かとは思うのですが、それ以上に、このゲーム、要素も多いうえに、ひとつのアクションで段取りが4つくらいあり、しかも、アクション間で共通のものもあればそうでないのもあると、なかなかインストがすんなりいかない作りです(初プレイでしたし)。
そんなわけで90分程度かけてインストがようやく終わりゲーム開始です。
(モノも多いのでセットアップも少し手間がかかります)
で、スタートプレイヤーの一味さん。
「何やっていいかわからん!」
手番でやることは、
・アクションするエリアを決めて
・アクション
という2段階で、まあ、よくあるやつではあるんですが、
このゲームでは、毎回エリアは移動しないと追加APが必要、しかも、エリアの並びに順番があり、並びに逆らう方向のエリア選ぶと追加APという作りなので、追加APを払いたくなければ、5つのエリアを順番に並び通りに選択するしかありません(3人プレイではスタート時は7APあるので少し余裕はありますが)。
※AP,APと書いてますが、ゲーム的な名称はお金(ドル)です。全てのアクションでお金を使うので、わかりやすさ優先でAPと書いてます。
(エリアの並びは個人ボード上にタイルで示されていて、順番ランダム=各プレイヤーで並びが違う&特殊効果で並び替えもできる、です)
とはいえ、ゲーム終了時の得点である公共施設の点にせよ、運河からの点にせよ、そこらへんを考慮すると分散させるよりもある程度はまとめた方がよさそうです。
そんなわけで、3人とも初期配置で自分の製材所を置いたエリアを中心にすることにしました。といっても、ずっと1つのエリアに力入れて過度に移動/同エリアに立ち止まるのにAP使うのも微妙っぽいんだよなーと、個人ボードの左のエリアから、アクションは始めて、右へ移動、右へ移動、立ち止まる、立ち止まる、右へ移動…みたいな感じにしましたが。
多少の順番の違いはありますが、3人ともまずは運河タイル=特殊能力を獲得します。
運河タイルは、運河に面している3つのエリアのどこでも獲得できますし、獲得したエリアに関係なく、個人ボードの好きな場所におけますが、獲得対象のタイルの候補は3エリアで全て異なる上に、タイルを獲得したエリアでだけゲーム終了時の運河点の係数があがるので、自分が力をいれたいエリアで運河タイルを獲得したいとなります。
運河タイルの種類はほぼユニークで結構な数があるので、自分がやりたいことにあった能力のタイルが都合よく、力を入れたいエリアのサプライにでてくるとは当然限りません。
そんなこんなで、みんな、それがやりたかったのかはさておき、
キノさんは改良アクション付きのタイル、一味さんは産業設立時に1金安くなるタイル、僕は産業設立時に人気が+1もらえるタイルを最初にとりました。
あと、序盤で重要視されていたのは収入アップ! まあ、これはAPアップなので当然っちゃ当然ですね。収入トラックの作りがいやらしいというか、なかなか収入が増えない作りで1金(1AP)収入増やすのに、2段階トラックを進めないとならず、どうやって進めるんだ!?(手が回らん)ってなってました。
(これは公共施設作った時にも収入トラック進むという処理を何故か全員忘れていたのが原因なので、実際には1ラウンド中に1金収入増やせると思います)
序盤、強力だったのはキノさんの改良能力! 前述の通り、プレイヤーは個人ボード上で対象に選んだエリアでしかアクションを行えないのですが、運河タイルの能力は任意のエリアを対象に使うことができます(ただし、運河タイルはエリアにつくので、使いたい運河タイルを配置したエリアでアクションを行わないと効果が発動しませんが)。
改良すると即点数が入る他、生産アクションで作れる資源数が増えます。他人の産業も使うことができるので、まあ、僕らも嬉しいと言えば嬉しいのですが、他人の産業を使うと持ち主に1資源(大抵は作った資源と同じもの)が入るので、あまり嬉しがってもいられませんし、点数がぱかぱかぱかぱかキノさんに入るので、おいおいこれ大丈夫か?と心配になります。
1つのエリアに力をいれるためにはそこに留まらないとならない(=APを余計に使う)という縛りに対して、運河タイルの能力で任意のエリアを選べるので移動せずに別エリアをいじれるというのがすごく強そうに見えてました。
(あとで、一味さんも同じ能力のタイルをとってましたw)
そして、一味さんは設立コストが安くなってるので、当然、産業を作ることに力を入れます。産業タイルの配置数数=ゲーム終了時の得点の一方の係数なので、これもまた強烈な得点要素です。
僕やキノさんとは異なり、移動へのコストも心持ち多めに使われていた(=特定エリアに集中されていた)ように思います。
僕の人気+1の能力も、人気を上げればお金や資源もらえますし、決して弱くはないのですが、運河タイルでアクションしたり、ある程度移動にコストを使っている二人に比べるとどうも手が遅く、ラウンドからパス抜けした際にもらえる1金や1資源分で多く行動されて結局人気も似たような感じになるということを1、2ラウンド目では繰り返してました。
うーん、これはちょっと目先変えて勝負どころを別のところに求めないとダメだなと、3人とも一切触っていなかった船での輸送に手を付けます。そのために、僕が選んだのは船アクションを選んだ際に追加で貿易商を1コマ乗せることができる能力を持った運河タイルです。
貿易商は上級資源を輸送した際にもらえる点数をあげられるほか、輸送先に到着(船が荷物で埋まるか、ドックが埋まって押し出されると出港)すると、輸送先に応じて3木材や1蒸気機関など、それなりの資源がもらえます(点数をもらうこともできます)。
僕は二人に比べて施設数も施設の生産力も劣っていたので、船を自力で埋めるのはちょっと難しいのですが、序盤に貿易商を置いておけば押し出しで勝手に出港します。なので、貿易商による資源獲得と終盤の点数を見越してみました。

(序盤に写真を撮り忘れてたのである程度形ができてきたところから)
それぞれが得意分野を作りつつゲームは中盤に。中盤に猛威を振るったのは水力マークの公共施設。
公共施設の効果は、ゲーム終了時にもらえる産業1つあたりの点数アップと、産業設立or改良時にボーナスがもらえる、または、産業で生産した時におまけがもらえるの2つ。
水力マークの公共施設は「同エリアに産業設立/改良した場合、対象産業が1回起動する」です。
生産アクションも当然コスト(お金=AP)払うのですが、お金は不要で起動するので手番+コスト圧縮できます。しかも、改良すれば点数も入りますし。
水力マークの公共施設が強いのは効果見た時からわかっていたのですが、1ラウンド目に出てきた時には全員”自分の”エリア的なものがなかったので、公共施設作るのだけ自分がやって、他の人の方が施設たくさん建てられたら嫌だなあと思って、手を出していませんでした。
無事、2ラウンド目に僕が力を入れていたエリアに配置することができたので、うっしゃうっしゃです。そして、一味さんが力を入れていたエリアにキノさんが水力マークの公共施設を配置(キノさんが力を入れていたエリアのキノさん施設は既に全て改良されていたので、まだ未改良の施設がある方を選ばれたようですが…)。
余剰などないので、1ラウンド目に出て来たぶんも含めて、水力マークはこれで枯れました。
水力マークの公共施設のおかげか改良を繰り返されたこともあり、生産力が全体的に上がってます。僕はここらへんでようやく生産した資源をどう得点化するかに目が行くようになりました。

(見づらいですが、中央奥に公共施設の配置されたボードがあります。毎ラウンド3枚ずつでてきて、ラウンド中の補充はありません。また、その下にあるタイル並んだボードが建設可能な産業の残りが置かれたタイルです。3人プレイでは全体でも置ききる程度くらいの数しかなかったので、建てたい産業を先に取られるとかも良くありました)
このゲームの主な得点手段は、産業を作ってそのエリアの基礎点+公共施設点を得たり、改良して点数を得る「建築型」と、貿易商を送り込んで1資源当たりの点数をあげてからの上級資源を輸送する「出荷型」。
貿易商を送り込むのは序盤の人だけおいて放置とか、中盤になってからも貿易商ばらまき&下級資源で出荷をそれなりに行っていたので、この後、上級資源を出荷できればかなりの点数が見込めます。
現に小麦粉を満載した船を出荷して一気に得点し、最下位から頭1つみなさんからとび出たくらいの位置まで得点トラックを進めることができました(といっても、一味さんは手元に大量の資源を持っており、かなり不気味というか、この後、ガンガン得点化されるのが見えていたのですが)。
しかも、貿易商をのせているので出荷の都度、3木材やらの資源が手に入り、獲得した資源で産業を作ったり改良したりと、出荷と建築を両方こなすことができるように!
しかし、船に荷物を載せるアクションは「2つの異なる資源を船に載せる」効果なので、上級資源が手元に2種類ないとどうにも非効率さを感じます。
この頃になると、設立可能な土地もかなり減ってきていましたが、さらなる出荷を狙ってビール工場を新しいエリアに作りました(結果的にはこれが良くなかったのですが…)。
これで、出荷が効率的になったぜと思ったのですが、実はそんなことはなく…。
これまでは、小麦粉を作れるエリアで小麦粉+下級資源を手に入れる→出荷という流れだったのが、小麦粉とビールの獲得エリアがわかれているので、出荷前に2手番かけて資源を用意しないとならなくなりました。この手番損がじわじわと効いてきます。
さらに言えば、終盤に入って産業を新たに作る場所がもうほぼない状態になっており、一味さんもキノさんも意識がかなり出荷よりになっていました。
(作れる場所はあるけど、最終得点計算で得られる点が少なく得点効率が悪い)

(これはたぶん中盤終わったくらいらへん。序盤は僕しか置いてなかった船の上に各プレイヤーのコマが置かれています。これでも少し減ったくらい)

(終盤に入りかけくらいの盤面。右上、一味さんの個人ボード上にやべえ数の資源コマが置かれてます)
キノさんは貿易商を送り込むことで蒸気機関がもらえる出荷先を優先、されてはいたんですが、前述の通り1度の出荷アクションで異なる2つの船に資源を載せられるので、僕が既に貿易商を送り込み済で高得点を狙っていた出荷先にも手元にある資源をどんどん送ってきます。
おかげで僕が載せたかった資源は載せられなくなるし、船の荷物の積み場所も埋まるわで、さっきまでの得点源をつぶされていくことに。
困ったなあと思いながらも、僕ら3人の中で一番船に手を出すのが遅れていた一味さんには、まだ…と甘い考えを持っていたのですが、いつの間にか「貿易商を追加で1人載せる」効果の運河タイルを獲得されており、なかつ、この時点では唯一蒸気機関を力を入れているエリアで作れるプレイヤーでもあったので、貿易商を送って得点をあげてからの蒸気機関×3つを一気に出荷して18点!とか獲得されてました(ゲーム終了時にトップが160点くらいだったので、1割以上の点をここで取ってます)。
この蒸気機関の船、出荷前からやばいなーとは思っており、僕も荷物を載せる機会を狙っていたのですが、残りのアクションポイント(お金)や手元の資源などの関係から、僕の方が1手早く載せられるはず!だったのが、場に並んだカードに連続手番の効果があるのを見逃しており、見事にカード獲得からの連続手番で思いっきり思惑を崩されたところでした。
まあ、後手を踏んだのなら改めて手元の資源を得点化すればいいやというわけにもいかず、このゲーム、先ほど産業建てる場所がなくなったと書きましたが、今度は船が枯れました。共有の船は有限です。
産業として造船所を作っておけば、マイ船を作ることもできるのですが、今回は造船所を建てられる場所を他産業で埋めてしまったため、今回のゲームでは造船所は存在せず(造船所を作った本人のメリットより、他人に船を作られるデメリットの方が大きそうに見えたので建てなかったというのもあるんですが、実際のところはどうかわかりません)。

(個人ボードの下に置かれた運河タイル、出荷寄りのものを終盤でも追加でとったんですが、上記の通り、船がなくなってほぼ活用する前にお役御免に…。上手く使ってやれなくてごめんなさい…)
そうなると、やれることはもう少ないですが、とりあえずやれることやるかーと、各自が自分のAPと所持資源をどう消費するかというソロゲーを考えて、淡々とこなして終わりました。
結果的に中盤で作った僕のリードは見事に終盤に先に出荷されることなどでなくなり、まくった一味さんが勝利されました。

(終了時。結局、出荷した上級資源1つ差くらいで負け。序盤にぶいぶいやってたキノさんいわく、(いい場所押さえたりが優先で)アップグレードしてる場合じゃなかったとのこと)
結局、序盤から通してAPを上手く消費することに目がいってしまい、スピード勝負!みたいなところで1,2歩遅れてしまうようなプレイングが敗因でした…。
まあ、みんなよりもゆっくりのプレイだったため人気ではまくりやすかったこともあり、市長選後のカードからの得点ではたぶん一番稼げているので良し悪し…、いや、単に先に船などの取り合い部分を優先してそこからのんびりでも構わないので、得点源の確保は早めの方が良い気がします。
【感想】
ソロでどう回すのが効率的かと、他人との先取りの争いの2点でプレイヤーへの負荷が高く、悩ましくも楽しいゲームでした。
ほぼすべての要素で先取りされると狙っていたことができなくなるので、他プレイヤーが何をやりたいか、何を優先して実施するのが大事かのゲームではあるんですが、序盤から中盤にかけてはまだ各エリアの空きも多い、船もたくさん残っている、どのエリアでアクションするのが有利とか決まっていないということもあり、運河タイルの特殊能力も含め、どういう路線で自分はこのゲームを回すかの方針付けと、それをどう実現するかに非常に頭のリソースを使います。
(一度、方針立てちゃったり、少し進めば空きが減ってきて見通しは徐々によくなってくるんですが)
「運河タイルの能力やこれまでに設立した産業的にこのエリアでアクションした方がよい、だが、エリアを(右に)移動すればその分ラウンド内に行えるアクションは増える」
ゲームを通してずーっとこれに悩まされます。
実施アクションを増やせば当然、設立したり改良する産業は増えますし、公共施設も沢山作れるでしょう。
実施アクションを増やす=複数エリアでアクションするになりますが、点数の構造上、アクション実施するエリアはまとめた方が得点効率は良いはずです。
移動とアクションにどうAPを振り分けるかが、他プレイヤーとの先取りと混ざり合うことで、非効率だが優先度は高い行動と、効率的だがのんびりな行動の選択も生んで、上手く回すだけのソロゲーに依らず、(ちょっとモダンではないですが)熱いインタラクションを持ったゲームになってます。
特に船の積み荷の種類決めや船倉の取り合いは、往年の名作プエルトリコを思い出しました(プエルトリコほど、自分の損より相手の損がより大きければ得みたいな酷い絞り合いではないですが)。
そして、僕が好きな要素である「ゲーム中に重要視すべき要素がゆるく変わっていく」ところもあります。
プレイングのところに建築型、出荷型と書きましたが、スモーキーバレーはそこまではっきり分かれていることはないです。(たぶん初プレイの序盤・中盤は両立とか無理じゃね?ってなりはするかと思いますが)一方に偏りながらでも十分手を出せる程度のバランスだと思います(APのやりくりや注ぎ込み次第なので、取り合いが熱くなればなるほど、先取りのためにAP使って、色んな所に手を出す余裕はなくなるので、絶対という訳ではないですが)。
この、両立できるというのが曲者で、終盤、運河タイルの獲得が大きな得点源になるということもあり、終盤で各プレイヤーの持っている特殊効果の追加/更新が起こるのですが、これにより、あっという間にそれまでの各プレイヤーの得意なプレイスタイルが変わり、それまで力を入れてなかった方にもずんずんずんと力をいれることができるようになります。
特殊効果タイルって、大抵のゲームでは「強いけど、獲得に使う手番/APとのバランス(取りすぎたら弱くなる)」という作りなのが、スモーキーバレーの終盤では、「得点としても強い」という作りなのが、ちょっと斬新というか、いい感じにゲームの流れが変わって面白いです。
※コストは高いので、“うまく回している”が前提にはなりますが。
欠点は、長時間であるということ。APをどううまく使うかとか、上記の特殊効果タイル獲得によるプレイスタイルの変化を効果的に感じさせるためとか、色々な要素が長時間である必要性につながってはいますし、冗長ということはないのですが、まあ、あと1,2時間短い方が遊びやすいです。
とはいえ、プレイ内容のところでも触れていませんが、フリーアクションを使ったAP+人気獲得や、どの産業を自分で建てるか、他人のAPや資源をみつつのアクション優先度決め等々、細かいところも含め、魅力の多いゲームではあると思います。