ミステリー・エクスプレス

(5人でインスト込み3時間ほど)
【概要】
パリからイスタンブールまで走行する寝台列車の中で殺人事件が発生した。
偶然乗り合わせた探偵たちは情報を集め、真実を暴くため東奔西走する…。
【ルール】
ランダムに決められた殺人事件の真相をゲーム終了時にどれだけ当てられるかを競うゲーム。
全体から抜いたカードが真相となるクルー形式ではあるものの、クルーでは真相を当てる人が出るまで捜査ができ、真相を当てた人が勝利者になるのとは異なり、一定ラウンド経過後に一斉に推理の発表が行われ、そこで凶器、動機、犯人、犯行場所、犯行時間のうち、真相を多く当てた人が勝利となります。
各ラウンドごとにプレイヤーが捜査を行える時間が決められており、その枠に収まるように捜査を行います。
捜査は7種類用意されており、操作方法ごとに消費される時間と情報の入手方法が異なります。
情報とは、真相に選ばれなかったカードです。カードは各種類2枚ずつ用意されていて、真相として抜かれた種類のカードだけが、ゲーム中に1枚のみ登場することになります。
つまり、2枚確認できた情報は真相ではないということになります。
基本的には消去法での推理ということです。
また、プレイヤーはキャラクターをゲーム開始時に選択しますが、キャラクターごとに1ラウンドに1度だけ使える特殊能力があります。これによって情報を入手することもできます。
【プレイ内容】
全員クルーは知っていたので、概要の説明はスムーズでしたが、捜査方法が7種類もあるので、その説明に手間取りました。
最初に配られた手札はだいたいばらけていましたが、何故かFのところに容疑者カードがかたまっており、しかも最初の手番だったFは、情報の種類を指定し、対象のプレイヤーから一気に情報を入手できる捜査を選択して一気に容疑者の絞り込みを行います。
他の種類の情報はばらけてしまっていたこともあり、他のプレイヤーは手探り的な意味もあり、色々な捜査方法を試してました。
これは全員が初プレイということもあったのかもしれませんが、全プレイヤーで最適解を探しているような感じでした。例えば、プレイヤーの特殊能力を使うタイミングについて助言し合ったり残った時間をどの捜査に使えば効率的かを話したり、捜査する時にも指定する種類や人を相談したりしてました。
一度見たカードの内容と行方を全て覚えていれば別ですが、カードは2枚ずつあるので、2枚同時にゲーム中に存在していることを確認できないと、真相ではないと断言することはできません。
なので、このラウンドはこの種類のカードを集める!と決めて集めるようにしてました。
が、捜査の種類によって、手札からだったり捨て札(基本的に情報は確認後に捨て札になり、ラウンド開始時に自分の前に置かれた捨て札がそのラウンドの手札になる)だったり指定されているので、自分の手番時の他プレイヤーの手札、捨て札の状況によって効果的な捜査方法は異なります。
犯行時間は他の情報と違い、ゲーム中に3回、見せ方は3回とも異なりますが、「見ている間はメモ禁止」「見れる時間は数秒」ということは共通しています。
これが短期記憶が死んでる身としてはきついです。
ルール説明した段階では、1回の機会に4パターンずつ程度潰していけば楽勝だと思っていたのですが、最初に候補を確認しておかなかったというポカをしていたことに加え、僕は画像で記憶するタイプではなく、言葉で記憶するタイプなので、カードに描かれたアナログ時計の絵を見て、えーっと、これは6時45分??とやっていたので、とても覚えられるわけもなく、最初の機会はほぼ無駄にしてしまいました。
1つの種類に特化するように情報を集めていたせいか、容疑者はほぼ確定しましたが、凶器については中盤を過ぎても1枚も見たことすらない情報だらけです。
幸い、僕のキャラクターの特殊能力は毎ラウンド捜査時間を+1するという能力だったので、他の人よりも時間には余裕があります。その時間を利用して、途中乗車してきた客が持っている情報の取得や
車掌のいる車両へ移動して車掌の持っている情報の取得を進めます。
まあ、一度手札に入ってしまえば、後はなんらかの捜査で他の人にその情報もかっさらわれてしまうわけですが…。
何度も書いていますが、僕は1種類の情報獲得に特化して捜査していましたし、他のみんなも基本的に同じように動いてたので、5人に分散していた情報が4人だけに、3人だけに…と徐々に集約されていき、最終的にひとりが一気に情報を集める(手元の情報だけで真相がわかる)という流れになっていきました。
そこまではいいのですが、カードの種類を指定して情報を集める捜査は、
「2人を指名し、同じ種類のカードを全て渡される」という内容です。
つまり、自分以外の2人に情報が集まれば手元に集められます。(集まった後は捨て札にする)
そして、「誰かひとりの捨て札から1種類を指定して手札にする」という捜査もあるので、ひとりが集めて、もうひとりがそのおこぼれをもらうということになります。
問題はその次です。
ひとりのプレイヤーの手札に情報が集まった時、それを一気に取る方法はありません。
種類指定して手札からかっさらう捜査は、“2人”を指名する必要があるので、ひとりのとこに情報が全部集まっていた場合、2人目が指定できず、捜査自体実施不可と解釈してました。
(ルールの解釈がおかしいのかもしれませんが、一度誰かが情報を集めれば、その情報を回覧すればいいというのも変な話なので、間違ってはいないと思いますが…)
終盤、Tのところに凶器が全部集まってしまい、上記のような状態になったので、このままいくとTがかなり有利(凶器に関しては絶対に当ててくるので)だなと思い、とりあえず適当な捜査の組み合わせで1枚、Tから奪って自分の手札にしました。まあ、当然のごとく僕の次の手番だった相方が一気に情報を取り、その後、相方の捨て札からYが回収してました。
最終的には、僕とFが1つだけ、相方とYが3つ、Tが4つ正解ということでTが勝利しました。
なんか僕とFだけゲーム下手だように見えますが、まず、凶器の差で1つ差、あとは、1/2、1/3の選択を失敗したか成功したかの差でした。
情報自体は一度誰かに集まると、それほど分散はしないので、情報の収集状況にプレイヤー間でそれほど差はつかないみたいです。
【感想】
推理小説好きな人たちの集まりだったので、盛り上がりましたし、楽しかったです。
しかし、やる前からわかってましたが、これって推理ゲームじゃないですよねえ。
情報を集めてその情報をもとに真相を暴くというのが推理っぽい感じはしますが、やってることは如何に効率良くカードを集めるかなんで、どちらかというと、複数の手順の中からその時点の最適解を求めるゲーム、なんていうんでしょうか、
(全く世間一般の定義とは乖離するでしょうが)アブストラクトゲームっぽいです。
クルーも同じ消去法で真相を絞り込みますが、自分の推理をもとにカードを集めるので、まだ推理ゲームって感じがします。
と、他のサイトのレビュー記事とかを見ると、大概は「推理ゲーム」と紹介してあって少し驚きましたが、ぶっちゃけ、かつては推理小説マニア側の人間だったのでそこらへんの違いなんでしょうか。
(だけど、バトルラインとかテーマは戦争でも戦争ゲームとか言わんでしょう?屁理屈なんかな)
まあ、閑話休題です。推理ゲームの認識の差の話は個人的には面白かったので機会があればなんか書くかもしれません。
プレイ内容のとこでも少し触れましたが、誰かの犠牲的な行いが必要な時があり、個人プレイだけでは真相にたどり着くのは難しいです。
例えば、新しく乗ってきた乗客に話を聞いたり、誰かひとりのところに固まってしまったカードを別の人の手に移したり(情報をばらばらにすると元々持っていた人だけが有利になるので、まとめたまま)する時には、自分の捜査時間が減ったり、明らかに他人が有利になるとわかっていても、その行動を取らざるをえないです。
(まあ、他人がやるまで待って漁夫の利をかっさらうのが真のゲーマーなのかもしれませんが、やってるからには真相当てたいし、誰かには全て当てて欲しいので)
そういう自己犠牲か共倒れかというのは評価が難しいところです。
誰かが真相にたどり着ければいいのか、それとも、低レベルでもいいから自分が勝てばいいのかって、明らかに後者は楽しくないんで、僕なら前者選びますが、それで手番の行動を縛られるってのは納得はできません。
上記内容の解決策のひとつでもあるんですが、情報の出し惜しみというか、囲い込みと言うかが出来ても良かったかなと思います。
(ますます正解が出にくくなるでしょうが)
今は他人の捜査を妨害する手段はないので。
すっかり忘れてましたが、手番というか親番が重要です。
このゲーム、そのラウンドでプレイヤー間の授受があった情報は捨て札になります。
なので、ラウンド開始当初は手札が大量に、後半になればなるほど手札が減ります。
むしろ、手番が後半のプレイヤーは手番開始時に手札が満足に有ることの方が珍しいです。
捨て札から情報を得る捜査もある一方で、得た情報の代わりに手札から情報を提供しなければならない捜査もあるので、手番によっては、選択すらできない捜査方法ができてしまいます。
あくまで僕の感覚ですが、自分も含め手札が大量にある時の方が大量の情報を効率良く集める捜査ができるので有利な気がします。
そのラウンドの最終手番の人が次ラウンドの親(最初の手番者)になるんで、2回連続行動でき、ラウンドを跨いでの戦術も立てることができますし。そこらも考えつつやらんとおえんですね。
全体的に文句っぽい文章ですが、面白かったのは確かなんですよ。
何故かなあと改めて考えてみると、実はオリエント急行っていう舞台立てと全体を漂う古典ミステリ的な雰囲気にのまれちゃっただけかもしれません。
とはいえ、仲のいい友人のほとんどは推理小説好きなんで、ゲーム自体の受けはいいと思いますし、僕もちゃんと面白かった原因を探したいと思うのでこれも要再プレイかなと。
そうそう、プレイヤーコマや車掌コマは豪華ですし、情報の整理に使うチェックシートは旅券入れに挟むようになっている等々、コンポーネントに凝っており、それぞれの出来がかなり良いのもポイント高いです。

(一番燃える捜査「カバンの覗き見」。握った手のどちらにカバンが入っているかを当てられれば情報ゲット)
(追記)
相方にミステリー・エクスプレスって推理ゲーム?かな?と聞いたところ、「記憶ゲーム」と返ってきました。なるほど。確かにカードの行方と内容を覚えておけば勝てますし、捜査方法を決める際の指針にもなりそうです。
ちなみに相方基準だとクルーも推理するわけじゃないので推理ゲームではないそうで、僕よりも推理ゲーム基準が厳しかったです。
まあ、「推理ゲームって言われるのは、雰囲気がそれっぽいだけでしょ」とここは意見があいましたが。