モダンアート

(4人で1時間ほど)
【概要】
画商になり、様々な競りを通して絵を売買し、流行を作り、大金持ちを目指せ!
【ルール】
ゲーム終了時に一番金を持っていた人が勝利です。
ゲーム開始時に絵画が手札としてプレイヤーに配られ、プレイヤーは絵画を売買することで金を儲けます。
プレイヤーは手番に売りたい絵画(カード)を場に出し、競りを行います。
競りの方法はカードごとに指定されており、それに従います。
競り落としたプレイヤーは、カードを場に出したプレイヤーにお金を払い(自身で競り落とした場合は銀行に払い)、カードを自分の前に並べます。
こうして競りを繰り返していき、ある画家の作品の5枚目が場に出たら、そのラウンドは終了です。なお、ゲーム中に登場する絵画は5人の画家によって描かれています。
場に出ている枚数の多い画家ほど、流行しているということで絵に高い値段がつきます。
ただし、値段がつくのは上位3人の画家までで、4番目、5番目の画家の作品には値段がつきません。(同枚数の場合、全カードに含まれる割合の少ない画家を優先します)
全プレイヤーは自分の前にあるカードを、つけられた値段で売り(値段のつかないカードは捨て)、手札を補充し、次のラウンドに進みます。
2ラウンド目以降も1ラウンド目と同様に手札からカードを出し、競りを行い…と進行しますが、ラウンド終了時の絵の値付けの時の扱いが少し異なり、絵の価値は、前のラウンドから積算になります。ただし、あくまでそのラウンドで売れるのは、そのラウンドで場に出ている枚数が多い3人の画家のみです。(1ラウンド目:画家A、B、Cが上位3人、2ラウンド目:画家A、B、Dが上位3人であった場合、AとBは1,2ラウンドの積算の、Dは2ラウンド目のみの値段が付けられ、Cは価値がつかない。)
つまり、後半のラウンドになればなるほど、1枚の値段が高くなります。(ならない画家もいますが)
なお、競りは、フリーオークション、売値指定、1巡オークション、一斉入札の4種類、あと、2枚同時に売れるカードがあるので、カードの種類自体は5種類です。
【プレイ内容】
※北欧版のため、メイフェア版などとお金の単位が異なります。3桁削られている(メイフェア版の1万が北欧版では10です)前提でお読みください。
実は購入時に相方と2人用バリアントでのプレイはしており、かなりきつい(頭を使う)ゲームだねとお互いに話してました。もうこのゲームを出した時点で、それなりに夜が遅かったので、大丈夫かと確認すると、F,T,Yからは大丈夫だと心強い返事。プレイすることになりました。
なら、私が抜けてもいいよねと相方は抜けましたが。
まずは、ラウンド終了時につくと予想する値段の半額が、競りでつける適正価格になるということを全員に伝えました。それ以上で買えば、売り手に得をさせてしまい、それ以下なら買い手が得をすると。ただし、ラウンド終了時の売値がどれくらいになるかは、プレイヤー間で異なる場合もあるので、そこの読み合いがポイントかもしれないことも伝えました。(なんで半額かは、いらんことかもしれませんが後述します)
あとは、2枚売りカードが強いということ、枚数には画家ごとに偏りがあることを伝えてゲーム開始です。
初手は僕の右隣のYからでいきなり2枚売りカードを出してきました。オークションの種類はフリーオークションです。
次が僕の手番で、手札に同じ画家の2枚売りカードがあったので、多少高めに買ってもいいなと判断して、ちょっと高めの値付けをして落札しました。そして、次番である自分の手番で同じ画家の2枚売りカードを出します。
まあ、1ラウンド目なのでラウンド終了後の売値は最大でも30と、それほど高くはないので、そこそこの儲けをゲットして、さあ、別の画家は何がでる?と思ったところで、僕から落札したFが、同じ画家の5枚目になるカードを出して、わずか3人で1ラウンド完となりました。
こんなことあるんだな!と思いつつ、2ラウンド目開始です。
2ラウンド目は、TとYが画家を重ねてきたのに対して、僕が別の画家を出し、それをFが重ねます(つまり2-2になってます)。
Fは手札が偏っているらしく、僕が出したカードだけでなく、自分で出したカードも強気入札してきます。
これは…と僕は、Fが支持している以外の画家を手札から出すようにし、考えは同じかどうかはわかりませんが、T、YもFの支持画家以外の画家で散らしてきます。
そして2ラウンド目終了時にはFの支持画家は3位で、とりあえずあからさまに自分の手札に多い画家を集めようとしていたFの戦術はつぶせました(Fの落札額から想像する、期待額までは伸びてないように見えました)。
そして、売値が徐々に高額になってくる3ラウンド目、Yがガンガン色々な画家の絵を購入します。それは高すぎだろう!と思うような額に見えるようなものでも、大丈夫なのかと確認しますが、大丈夫だと強気な回答です。(最大でも60×2枚の2枚同時競りを100以上で落札とかはやりすぎではないかと)
一方、Tは入札はするものの、ある程度高値になってくると見切りをつけてそれほど絵は買わずに、ゲームを進めてました。
僕はとりあえず3位になった時の売値の半額程度を目安に、ある程度伸びそうな画家の絵を落札していったのですが、Yと、
僕:「この絵いるの?」
Y:「いりませんよ。と見せかけて入札!」
僕:「僕なら入札せんな。と見せかけて入札!」
とかやってたら、思った以上の値段で買っちゃうことも、1,2回あったりなかったり。
正直、結構な高値で自分の手札はさばけていたし、勝っただろう!と思っていたところ、僕:340、T:360、Y:320と上位(というかF以外)は意外と僅差でした。
うーん、途中、Yと競り合ったのはTが出した絵だったし、Yが法外な値段をつけてたのもTの絵だったなあ。
でも、Yはそこまで下位じゃないってことは、Yの値付けはそこまで法外じゃなかったってことなんかな。
つうことは、僕がYと競り合って熱くなった値付けが敗因ってことになりますねえ。
しかし、逆に考えれば一番熱くならずにプレイしていたTが勝ったとも言えるわけで、ヤフオクでも相場より高く落札することがよくある僕としては、やっちゃったなあとしか言えないです。
【感想】
全員が全員、「難しい。だけど、楽しい」と言っていたのが印象的でした。
この難しいというのは、どこまで値付けをするのかというところにかかっているのは、すぐわかるんですが、楽しいが何に対するものなのかは、きっと人それぞれですよね。
例えば、僕はオークションをやっているだけで楽しいんですよ。相方は、お金がじゃらじゃらしてるだけで楽しいって言いますし、色んな絵があるのも楽しさの一因である人もいておかしくないと思います。
では、このゲームの場合、難しさを感じているところが楽しさに結び付いているのかというと、正直、これは微妙かなと。
理由としては2点です(2つめは1点目の派生ではありますが)。
1.値付けが良かったのか、悪かったのかわかりづらい。
2.案外、自分の勝敗を左右するのは自分の値付けよりも、他人の値付けだったりする。
結果が伴わない楽しくない行為を楽しいと思うのは、非常に難しいことというか、辛いことも報酬があるからこそ、やって良かったとか、楽しいとかの評価ができるわけで、このゲームの値付けは、そういう意味で楽しいさと結び付きにくいと思ってます。
あとは、自分がベスト!と思うプレイングをしたのに、他人に台無しにされるようなことを、「いやー、今回は残念だったなー」と思えるほど、出来の良い人はそんなにいないです。
まあ、かといってそこまで値付けが難しいのかと言われると、そこまでではないと僕は思ってます。
まず、自分が20で買った絵が、ラウンド終了時に40で売れたら、他プレイヤーは±0なので、売り手と自分だけが得しています。基本はこの『他人よりも得をする』の繰り返しで、あとは売り手よりも少しだけ儲かるような値付けをしていけば勝てます。
例としてA、B、Cの3人で遊んでいるとして、お金の動きだけ抜粋してみます。
パターン1(Aが売り手、Bが20で購入、ラウンド終了時の値段が40)
【競り終了時】 A:+20、B:-20、C:±0
【ラウンド終了時】 A:+20、B:+20、C:±0
パターン2(Aが売り手、Bが19で購入、ラウンド終了時の値段が40)
【競り終了時】 A:+19、B:-19、C:±0
【ラウンド終了時】 A:+19、B:+21、C:±0
パターン1では、A、BはCに比べると勝っていますが、お互いの利益はトントンです。パターン2ならBがちょっとだけ多く儲けてます。
上述の通り、このちょっと多く儲けるを繰り返せば勝てます。
この理屈がわかっていれば、基本的に「値付け」に限れば難しくはないです。
では、何の勝負になるのかと言うと、場の流れの読み、コントロール、この勝負だと思います。
『値付けは“予想”売値の半額』が基本ではありますが、“予想”なので、外れることがあります。
パターン3(Aが売り手、Bが19で購入、ラウンド終了時の値段が30)
【競り終了時】 A:+19、B:-19、C:±0
【ラウンド終了時】 A:+19、B:+11、C:±0
パターン3では、パターン2と同じ『売り手よりもちょっと儲ける値付け』をしたはずなのに、売り手であるAが一番儲けてます。
これはBが売値の読みを誤ったからです。では、何故誤ったのかと言うと、まあ、要因はたくさんありますが、端的に書けば『思ったよりもその画家の絵が場に出なかった』からですよね。他プレイヤーが意図的に出さなかったのか、みんなの手札になかったのかはわかりませんが。
つまり、より正確な売値の“予想”をすること=場に出てくるカードを予想する、コントロールすることってのが、重要と考えたわけです。
今回のプレイの1ラウンド目の僕みたいに、『確実に4枚は場に出る』ことがわかっていれば、他の人よりも高値で、かつ、売り手よりもちょっと多く儲ける値付けができて、他プレイヤー全員より、有利にたてます。
まあ、これは理想というか、本当に理屈だけです。
完全に場の流れをコントロールすることなんてできませんし、自分の“予想”と異なる考えを持ったプレイヤーがいれば、途端に絵を購入することができなくなります。(各パターンにおけるC=±0のひとになります)
値付けが全くの見当はずれだと↓のパターン4になりますし。
パターン4(Aが売り手、Bが19で購入、ラウンド終了時の値段が0(売れない))
【競り終了時】 A:+19、B:-19、C:±0
【ラウンド終了時】 A:+19、B:-19、C:±0
このパターン4は最悪ですが、プレイヤーは、他のプレイヤーにのっかろうと動きますし、1ラウンドで場に出る同じ画家の絵の最大枚数が5枚と少ないので、全く売れない絵をつかまされるというのは、1ラウンド中にそうそう起こりえません。(起きても1,2枚分じゃないかと。それ以上の枚数になれば、余程じゃない限り値はつくはず)
でも、購入を積極的にすることにリスクが伴うのは認識するべきです。
まあ、この場の流れコントロール理論を本当に難しくしている要因で最も大きいのは、上に書いた2つめ「勝負を決めるのは自分の値付けよりも他人の値付け」だと思います。
いくつかパターンを書きましたが、±0のプレイヤーCは、売り手、買い手以外のその取引に関係の無い全てのプレイヤーに該当します。これは例えばプレイ人数が3人ならひとりですし、5人なら3人が該当します。
4人以上のプレイなら半数以上のプレイヤーは、取引において結局蚊帳の外ということです。どんなに華麗な値付けをするメンバがそろっていても、ひとりがその値付けより高額を付ければ、華麗だろうがなんだろうが意味のないものになります。
そして、蚊帳の外になれば少なくとも売り手には必ず差がつけられます。(買い手は必ずしも儲かるわけではない(パターン4)ので)
そして、じわじわと負けちゃうわけです。
かといって、華麗な値付けをやめて競りに勝ちにいけば、それはそれで売り手の方が利益大きくなっちゃいますしね。
一般的には『どう相場を読み、どう値付けをするか』のゲームですが、高い値付けをする人がおり、自分の値付けでは勝負できないと判断した場合には『自分の手札を如何に高値で売り付けるか』のゲームとして立ちまわれば良いのかなとも思いましたが、自分がトップになるには、自分の手札をトップに高めの価格で買ってもらうか、高い値付けをする人の欲しがっているカードが手札に入っているかで運次第になっちゃいますし、自分自身の実力だけで勝つ!というのは、やはり難しそうです。
プレイヤー全員がある程度の相場の共通認識を持っていれば、純粋に場の流れを読んでからの値付け勝負になるとも思うので、インストが重要ですね。
あとは、トップに売値のつきそうな絵を買わせない(多少高値で買おうが、売値を超えない限り得はするんで)ようにして、下位が徐々に追いつくってこともできるというか、トップが絵を買えば買うほど、蚊帳の外プレイヤーとの差は広がるってことも事前に言った方がよさそうです。
最後に話は変わりますが、パッケージ絵が可愛いので北欧版を購入したのですが、やはり雪ばかりで外に出る機会がそれほどないせいなのか、5人とも画風に鬱屈したものを感じるのは気のせいでしょうか。芸術性は低くなるでしょうが、コミカルな感じの絵柄のモダンアートがあっても良いように思います。
