ロンドン

(2人でインスト込み2時間半~3時間ほど)
【概要】
西暦1666年、ロンドン大火が起こり、ロンドンの街の大半は消失してしまった。あなたは政治、経済等のバランスを考えつつ、ロンドンの街を復興させるのだ。
【ルール】
ゲームは、各プレイヤーが手番を繰り返すことで進み、山札が尽きてから全プレイヤーが1手番ずつ行うと終了します。
アクション
手番は以下の手順で行います。
1.1枚カードを補充する。
2.以下のアクションのいずれかを実行する。
ア.カードをプレイする。
イ.都市を発展させる。
ウ.土地を購入する。
エ.カードを3枚補充する。
3.手札枚数の調整
1.カードを補充する。
カードは山札、もしくは、カードディスプレイから補充します。
※カードディスプレイ:ボード下部にあるカード置き場のことで、基本的にカードを捨てる際にはここにおかれます。カードが完全にゲームから除外されるのは、カードディスプレイから溢れた時とそのカードの特殊効果を使った時(カード2枚補充など)です。
2-ア.カードをプレイする。
手札から建築したい(効果を受けたい)建物カードを、自分の前にプレイします。
プレイする際には、基本的にプレイするカードと同じ色のカードをカードディスプレイに捨てる必要があります。更に建物名の横に金額が書かれていれば、その金額を銀行に支払います。
1度のアクションでプレイできるカード枚数に上限や、手札をだしきらなければならないという制限はありません。
※ゲーム中、どんなタイミングでも借金ができます。借金は10ポンド単位で上限はなく、借金したことを示すタイルを受け取ります。
2-イ.都市を発展させる。
自分の前にプレイ済のカードから好きなカードを複数枚選んでアクティブにします(効果を使います)。
カードによっては、更に追加でカードを捨てる必要があるもの、お金を支払う必要があるものがあります。カードをアクティブにすると大概のカードは裏返されます(裏返しの建物はアクティブにできないので、使えるのは1回限りということです)。
カードの効果を得た後、貧困ポイントの計算をします。
(自分の手札枚数)+(自分の前にプレイされているカード(の山)の数)-(購入している土地)
上記の計算式の結果分だけ、貧困ポイントをキューブorディスク(キューブ5つ分)で受け取ります。計算結果がマイナスであれば、手元からキューブを戻すことができます。
2-ウ.土地を購入する。
どのプレイヤーも占有していない区を、ボード上に書かれたお金を支払うことで購入します。購入した区には自分のカウンターを置き、さらに区にかかれた枚数だけカードを補充します。
最初はロンドンの中心にあるシティを始めとする3つの区のうちのいずれかを購入する必要があり、その後はいずれかのプレイヤーが占有している区に隣接するように購入する必要があります。
2-エ.カードを3枚補充する。
まんまです。カードを3枚補充します。
3.手札枚数の調整
手札が10枚以上あれば、9枚以下になるようにカードディスプレイに捨てます。
カードには色々な効果があり、それによりお金を手に入れたり、地下鉄を作ったり、貧困ポイントを減らしたりとプレイをしやすくしたりします。

得点計算
終了時(山札尽きてから全員1手番実施後)に、以下の要領で得点計算をします。
A 利子の付いた借金を返却する。
B 残ったお金を勝利点に変換する。
C ゲーム中にプレイした建物(裏返したもの、裏返してないもの全て)カードに書かれた勝利点を全て足す。
D 占有している(購入した)区の勝利点を足す。
E 占有した区に地下鉄があればその点を足す。
F ゲーム中に建物の効果で得た勝利点を足す。
G 残った借金に比例した勝利点を引く。
H 貧困ポイントが最も少ない人のポイント分だけ、全プレイヤーの貧困ポイントを引く(最も少ない人はゼロになる)。その上で残った貧困ポイントに応じた勝利点を引く。
A~Hを行った上で最も勝利点が高い人が勝利します。
【プレイ内容】
今年のエッセン新作で、BGGの評判もそこそこ高く、早くプレイしたかったのですが、それなりに長時間ゲームということで相方をくどくのに時間がかかり、初版についてくる木製の建物でのアピールと2,3日にわけてのプレイでいいからという条件で、無事プレイにこぎつけました。
ルールは間違ってるんじゃいかというほど単純なので、すぐにインストは完了。建物の効果については、BGGにあった建物のリストは渡したものの、僕も全ては見切れてなかったので効果はプレイしながらおいおいという具合でスタートしました。
最後の得点計算時、貧困ポイントによってひかれる点数がかなり大きい割に、都市を発展させるたびに結構な数が手元に入ってきそうだったので、貧困ポイントを抑えることが大事だなと思いました。が、相方も同じことを考えていたようで、最初のアクションが土地の購入ときました。
う、と思いはするものの、同じことするのもなあと、僕はカードをプレイする手から入りました。
いま振り返ると、ここが相方の失敗の起点だったように思います。
僕はとりあえず、プレイして手札が減ったので、いいタイミングだと都市を発展させます。
この流れがゲームの基本です。都市の発展後に受け取る貧困ポイントは、自分の前にプレイしたカード(の山)数+手札-購入済の土地数なので、手札減った時に都市の発展をするのが基本となり、手番内の動きとして規定されていなくても、補充⇒プレイ⇒都市発展のサイクルをまわすことになります。
さっきも書いたように貧困ポイントを気にして、できるだけ自分の前にプレイするカードの山の数は増やしたくなかったのですが、なんとなくで最初4つ⇒途中から5つにしました。手札の上限が9枚で手番の最初に1枚引くので、カードの特殊効果を使わない限り、アクション実施時に持てるカードの最大枚数は10枚です。1度の手札プレイアクションで一気に手札を全てプレイ&プレイするカードごとに同色のカード1枚をカードディスプレイに捨てると、自然と自分の前に5つの山が出来ると言うのが一応根拠です。実際には、プレイするカードと同色のカードが手元にうまく来るわけでもないですし、カードのプレイには使えない乞食カードもあるので、大概、1,2枚は手札に残ります。
とりあえず占有している区を増やして、発展時に受け取る貧困ポイントを減らそうとは思うのですが、まあ、金がないです。借金を返せない時の減点もかなり大きいので、どうするかなあと思いつつも、タダでプレイ&アクティブにできるカードが序盤は多いので、それを中心にプレイして、ちょびちょびと金を増やします。
相方は、追加効果(カードをプレイした数に応じて金が貯まり、アクティブにした際にそのお金を入手できる 等)のあるカードをメインにプレイしていました。そういった追加効果のある建物は、アクティブにしても大概裏返す必要がないので、場に表向きのままの建物が残ることになり、もったいないからと山を増やす作戦にでて、序盤から7つくらいの山になってました。
これで、僕と相方とでは、都市を発展させるだけで貧困ポイントがだいたい2つくらい差がつくようになってしいました。更に、初手で区を購入したせいでお金もが無いにもかかわらず相方は(それ自体に制約はないとはいえ)借金をできるだけやりたくないらしく、プレイするのにお金のかかるカードはプレイを渋ってました。
プレイするのにお金のかかるカードはタダのものと比べると効果がでかく、相方がカードディスプレイに捨てたお金のかかるカードをハイエナのように拾って使っていた僕の方はどんどん肥えていきます。
相方もやばいとは思ったようで、ようやく借金をしてお金のかかるカードもプレイするようになりました。
とはいえ、その時点で最大5,60ポンドほどお金には差がついており、ここから僕は土地購入ラッシュに入ります。安い土地ほど購入時のカード補充枚数が多くなっており、安い土地買う⇒カードが一気に増える⇒プレイ⇒都市発展⇒金増える⇒また安い土地を…のループができました。
このままいこうかとも思いましたが、相方も土地を変える程度のお金の余裕は出来てきたので、相方も土地購入に手を出してきます。しかも相方はアクティブにしても裏返らない建物がいくつかあるので、プレイ時の手札はそれほど多くなくともアクションにそれほど無駄がでません。カードの補充枚数の少ない土地はその分、最終決算時に得られる勝利点が高いため、相方と僕が購入、プレイ、発展のループをまわしていくと勝利点では僕の方が低いことになります。
なんかないかなと考えたところ、貧乏根性を捨て、カードを無駄にしてもいいから土地を連続で購入することにしました。多い時には手札が14、5枚にもなり、一瞬でカードディスプレイが埋まるほどのカードを捨ててました。
山札も残り1/3を切り、地下鉄など、多くの勝利点を得られる代わりに金も結構かかる建物が増えてきました(山札は序盤、中盤、終盤ごとに作り、各建物の登場するタイミングはある程度コントロールされてます)。終盤になってから、借金してまで土地を買う価値はないと思っていたので、土地の購入をやめ、プレイと都市の発展だけのサイクルに戻します。
ところが、終盤に出てくるカードは勝利点を得るものが多く、お金がもらえるカードはほとんどありません(最初からカードリスト見とけって話ですが)。
やばい、地下鉄をプレイするお金が…、ぎりぎり足りたー!やったー! あ、借金返せない…とひとりで喜怒哀楽激しくなってましたが、最終的には購入済の区の数に比例してお金がもらえる建物が手札に入ったので、借金も返却できるだけのお金は貯まりました。
相方も僕が土地の購入をやめたあたりで、同じように土地転がしをやめ、同じようにお金がなくてひーひー行ってました。そして、金欠のせいで十分にカードをプレイすることもできなくなってましたが、最後に地下鉄を作って、アクティブにしたところで山札が尽き、ゲーム終了となりました。

(ゲーム終了時のボード)
勝利点計算では、まず借金の返済と貧困ポイントの精算が行われます。僕は借金は無事返済、最終的には都市の発展も貧困ポイントを減らせるようになってたので貧困ポイントも4ポイントくらいと問題なかったのです。しかし、一方で相方は借金が返せず、山の数を増やし過ぎ&貧困ポイントを減らす建物もあまり建てないということで31ポイントも貯まってました。
貧困ポイントによって引かれる勝利点は、プレイヤー内で最も少ない貧困ポイントを全プレイヤーの貧困ポイントから減算し、残った貧困ポイントに比例します。よって、相方は27ポイントに比例した点数が引かれます。これだけで、66点も勝利点を引かれた相方が勝てるわけもなく、僕の勝利となりました。

(相方の大量の貧困キューブ&ディスク)
【感想】
プレイ感覚は非常に軽いです。カードをプレイする時の制限はほぼ無いですし、カードをアクティブにする時も大概は何もいらないか、なんでもいいからカードを捨てるだけなので、手詰まりになって困るということはないです。
悩むのは、どのカードをプレイするのか(逆に捨てるのか)と、自分の前のカードの山をいくつにするのかにとりあえずは集約されます。
カードの効果も序盤なら序盤なりの、中盤なら中盤なりの効果で、カード間でそれほど差はないので、ゆるく遊ぶなら、特殊効果を使いたいか、お金が欲しいか程度の優先度付けで十分だと思います。捨てるといってもカードディスプレイ上になので、また拾えるかもしれませんし(でも、序盤の東インド会社、終盤の地下鉄は“強い”カードだと思います)。
というわけで、かなりサクサクと進みます。ブラスでのワレスの印象とはえらい違います。
では、単純なゲームなのかというと、そうではない感じがガンガンしてます。
後半に行くほど効果が強くなるというわけではなく、お金の入手機会が徐々に減少していくなど、一筋縄ではいかないカード構成、単純に勝利点を増やすのか、それとも貧困ポイントを減らして相対的に相手の勝利点を下げるのかと、ぱっと見ただけでも複数ある勝利へのアプローチと、スタートした時点から最後までを見通したプレイに十二分に耐えられるゲームだと思います。
他人にちょっかいだす効果も少しはあるとはいえ、多くは自分だけに影響があるカードなので、ソロプレイ感が強かったかな?と自問してみますが、そんな感じはなかったです。
カードディスプレイに捨てられたカードを他プレイヤーも使えるという物理的な関係だけでなく、相方の減点っぷりを見てもわかるかと思いますが、貧困ポイントによる勝利点の減少が半端ないので、少なくとも一番貧困ポイントが少ない人とのポイント差は意識した方がよいかとは思います。そういう点で他プレイヤーの動向も気にせざるを得ないです。
ああ、あと、プレイ内容では、相方が山の数を増やし過ぎたのは失敗だったと書いてますが、相方との感想戦の中では、そうとも言い切れないかもと言う話をしています。
例えば、以下の2つの例を考えます。
例ア.「Aさんは山の数が5つです。ゲーム中、2回都市を発展させた時点で貧困ポイントは14になりました(都市発展時の手札枚数は共に2枚と仮定)」
例イ.「Bさんは山の数が10です。ゲーム中、1回都市を発展させた時点で貧困ポイントは12になりました(都市発展時の手札枚数は2枚と仮定」
例ア、イはともに10個の建物から効果を受けたことになりますが、貧困ポイントは山の数が多い例イの方が少ないですし、都市発展の回数が1回少ないのでアクション回数的にもイの方が得してます。
1回の都市発展で一気に効果を得ているので効果を得る間隔は開きますが、こういう考え方もありかなーと。色々試せそうです。
まあ、最初にも書きましたが、そこまで悩まなくてもお手軽にプレイできるゲームでもあり、重宝しそうです。とはいっても、ボードはあってもメインはカードゲーム的な操作ばかりですし、手軽プレイは真剣プレイにおそらく100%勝てません(大差で負けることも覚悟しないとダメかも)。そういう意味で物足りなさを感じたり、手軽なプレイ感覚だからとあまりに気軽にプレイするとショックを受けるかもしれないことには注意かなと。
そういえば、木製の建物なかったら、薄暗い色のボードと半分以上茶色と灰色のカード、黒色のキューブととことんコンポーネント地味ですね。これ。