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デザインノート的なもの (「犯人はお前だ!」について)

※以下の記事ではカジタブリッジ製作のゲーム「犯人はお前だ!」のことについて書いていますが、ゲーム自体については特に説明をしていません。興味のある方は、概要説明書当ブログのプレイ記事等ををお読みいただければと思います。

前回の記事からの続きで、推理する対象を機械的にではなく、人為的に作る形式のゲームを作ろうとしたわけですが、最低限、以下の要素はゲームの流れとして出てくるだろうと考えました。

1.謎の提示
2.謎を解くためのヒント(証拠)の入手
3.推理
4.推理の発表と評価

「犯人はお前だ!」を作るにあたっては、それぞれの要素を考えることでゲームの全体像、詳細部分を決めていっています。

1.謎の提示について

まず、「1.謎の提示」ですが、これについては推理の対象を人為的に作る=参加者のうちのいずれかが謎となる(いずれかの正体を当てる)形式としたので、特に書くことはありません。

多少語弊もありますが、謎となるプレイヤーを以降、犯人役と呼びます。

2.謎を解くためのヒント(証拠)の入手について

「犯人はお前だ!」と同じような作りのゲームである人狼は、基本的にゲームの仕組み的にはノーヒントです。
ヒントを得るために、プレイヤー全員で狼につながるヒントを得るための仕組み、ルールを作る必要があります(※1)。ですので、慣れてる人たちにとっては非常にシステマチックに、慣れていない人たちにとっては何をすればよいのかわからない、そういう状況になります。

※1 占い師などの能力でヒントを得る手段は提供されていますが、そのヒントは占い師本人以外にとっては、真実かどうかの判断はできません。占い師の情報以外の真贋を判断する時と同様に、占い師の行動に関するルール(例えば占い師は必ず初日にカミングアウト&その後も指定されたひとだけを占う等)が真贋の判断に必要になります。

つまり、ゲームへの熟練度と個人のコミュニケーション力が推理ゲームとしてのポイントである「ヒントの入手」に大きく依存しています。
これでは、ヒントが得られず、結果として推理ゲームにならなかったという場合も想定され、好ましくありません(実際、初心者は手引きがないとつらいゲームです)。

よって、ゲームの仕組み的に推理の元になる情報(ヒント)を手に入れる仕組みが必要と考えました。

ただし、ゲームとして謎の全体の枠組みを提供しない(クルーのように真相の候補が決まっていない)のであれば、ヒントを出すことができるのは謎を知ることのできる人物、犯人役自身、もしくは、ゲームマスター(ゲームに参加せずに犯人役を知ることができる人物)だけです。
ゲームマスターを作るのは最低プレイ人数を増やすことになりますし、ゲームマスターも面白くはあるのですが、プレイヤーと別ゲームをやっているのに近い(同じ楽しさは享受できない)ので、ゲームマスターを作ることは無しとしました。

では、犯人役自身がヒントを出すわけですが、ヒントを出すには、犯人が何かに干渉し、それを他プレイヤーの元に公開する必要があります。無論、ヒントを出すことで犯人がばれるのは最悪なので、干渉か公開、または両方を隠すことになります。
隠す方法として色々と試してみましたが、「犯人はお前だ!」で採用している“カードをテーブル下でまわして、犯人だけがカードを裏返す”が最も、何かを調べている感覚、プレイヤー間の緊張感があり、かつ、上手く隠すことができる方法だと判断しました。他には人狼の夜のようにプレイヤーが顔を伏せている間に犯人が何かを行う、投票のようにプレイヤー全員が(例えば)カードを提示してシャッフルしたあとに公開する等を試しています。

ただし、いずれの方法も隠すことの失敗=犯人役がばれる、もしくは虚偽の情報が公開されることになるので、推理を主眼としている場合、ゲーム全体が壊れます。これは非常にリスキーです。そのため、ゲームを通して三回ほどが限界と判断しました。もちろん、ゲームが壊れないヒントの出し方はあるかもしれませんが、カードを裏返す方法の持つ捜査している感などのメリットを取りました。
また、これだけが理由ではないのですが、ゲームが壊れることも考慮してプレイ時間は短めにすることにしました。

(このゲームが壊れると言うのも逆手にとって、倒叙もの(コロンボや古畑任三郎のような犯人がわかっていて、探偵役が犯行のほころびから謎を解く形式)みたいにして、犯人役のミスを誘発または待つ…みたいなゲームも突き詰めれば形になるかもしれませんが、別の話なので割愛します)

3.推理について

ゲーム中に得られたヒントを元に推理を行った場合、100%正解できるようなデザインにすべきでしょうか。僕の答えはNOです。

推理に主眼をおいたゲームとしても、推理小説としても、推理が一番の花形になるべきであり、プレイヤーに推理した!と思わせるには一定以上の不確定要素と、プレイヤー自身の主観が入る余地がないといけません(前回の記事にも書きましたが、推理小説の推理は誰がやっても同じ結論になるような単なる論理的な思考ではないと考えています)。

そのため、ゲーム中に得られるヒントは直接、犯人役が誰かということを示すものではなく、間接的に示すものということにしました。

「犯人はお前だ!」では、当てるべき対象を犯人役と事件の真相(被害者、犯行現場、凶器)の2つに分け、ゲームの仕組みとしては事件の真相に関するヒントだけが手に入るようにし、一方で、犯人役を当てるためのヒントは犯人が真相を隠そうとする行動自体とすることで、犯人役の正体に関するヒントは直接的ではなくしました。

ヒントを間接的にしたことにより、ヒントの多寡と推理の正解率は比例しなくなりました(※2)。そのため、ヒントを手に入れる機会を必要以上に増やしていません。なので、犯人役の正体につながるヒントが得られる機会が非常に少なくなる場合もあるゲームデザインになってしまいました。

※2 客観的かつ直接的なヒントが得られない状況では、バイアスが非常に大きな働きをします。バイアスなどの話を持ち出さなくとも、あなたがAさんが犯人だと考えている時にBさん自身が「俺、犯人だよ」と言ったとします。自分で犯人だと言っているのですからBさんは犯人なのでしょう。しかし、あなたはAさんを怪しんでおり、かつ、客観的、直接的にBさんが犯人であることを示すヒント(証拠)はありません。この時、あなたはどちらを犯人として指摘しますか?という話です。

多すぎるヒントはいらないとはいえ、ヒントがないのも困ります。ゲームの仕組みで手に入るヒントは犯人役ではなく真相を当てるためのヒントなので、犯人役が怪しまれるような行動を取らなければ犯人役を当てるヒント自体が出てこなくなります。そういう状況で犯人役が積極的に行動する理由はありません。

それを回避するためには、どうすれば良いでしょうか。木の葉を隠すなら森の中、死体を隠すなら○○の中の考え方とは逆ですが、木の葉は森以外にあれば目立つという考え方もできるでしょう。つまり、犯人役以外が積極的に行動する状況を作れば、犯人役も怪しまれないために積極的に行動する理由が生まれます。

一見理屈は通ってますが完璧にアホの考えです。

では、どうすれば犯人役以外が積極的に行動するか? いくつか方法はあると思いますが、当時、チバテレビで太陽に○えろ!の再放送を見ていたこともあり、刑事ごっこの中にプレイヤーを入れると方法を取りました。
これがニックネーム制誕生の理由です。(というのは半分で、僕の嗜好としてゲームの重い軽いに関係なく、黙々と遊ぶよりも盛り上がって遊ぶべきだという考えも理由になってはいますが)

4.推理の発表と評価について

ゲームの作りの関係上、犯人役以外が結託すると犯人役はわかりやすくなりますし、犯人役があからさまに仲間外れになって面白くなくなります。そのため、個人戦として、犯人を当てる、真相を当てる/隠すことによって、個人にポイントが入ると言う形式にしました。
これに伴い、個人の思惑も反映できる仕組み(捜査結果を隠す)もゲームに取り入れ、単純に思惑が計れないようになりました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕が「犯人はお前だ!」をデザインした時に考えたことは大体以上の内容になります。もう前回の記事からお分かりかと思いますが、僕がは、推理(小説)のロールプレイをどうやって面白いボードゲーム、カードゲームに落とし込むかという考え方をしています。
そのため、普通のゲームデザインとは考え方や優先度がおかしいことになっている部分も多々あるかと思います。

次回のゲームマーケットには理由があって参加できないので、このような文章を書いてみたわけですが、自分の中で思った以上に収穫もありましたし、改めて自分の考えを整理してみて、ボードゲーム的な面白さをゲームに入れようとする努力や考えが抜けているなと思い知りました。

あとは、コンポーネントに関することも記事になるような内容が書けるようなら書きたいと思います。

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プロフィール

ひだり

Author:ひだり
川崎市で相方や友人たちとボドゲやってます。

オールタイムベストは、
・グローリー・トゥ・ローマ
・バサリ
・インペリアル
・アフター・ザ・フラッド
・ゴッズプレイグラウンド
・HABA社製品 全般

推理ゲーム好きだけど↑には入ってないという
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連絡先:hidarigray@gmail.com
※当blogはリンクフリーです

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