サンティアーゴ・デ・クーバ

(4人でインスト込み1時間半ほど)
【概要】
キューバ第二の都市「サンティアーゴデクーバ」。
港には様々な商品を求めた船が次々にやってきます。あなたはこの街の仲買人のひとりになり、商品やお金、名声を街にいるキューバ人や色々な場所を訪れて手に入れながら、金とコネを使って船が求める商品をどんどん売って名声を高めましょう。
【ルール】
サンティアゴデクーバの街を車で周り、様々なひとや建物を訪問して、金、商品、勝利点を稼ぐゲームです。ゲーム終了時に勝利点が最も高かったプレイヤーが勝利します。
プレイヤーは各手番で、以下の2つのアクションを行います。
1.車で街を移動する
2.建物を訪ねる
1.車で街を移動する。
サンティアゴデクーバの街の道路は10マスの円周状になっています。その道路を全プレイヤー共有の1台の車で移動します。
手番のプレイヤーは、車を何マス移動させるか選びます。1マスであれば無料、2マス以上移動したければ、余分に移動する分だけお金を支払います。
港のマスを除き、各マスにはキューバ人の家があります。移動した先のキューバ人の効果として、お金や商品、勝利点を得たり、建物を自分のものにすることができます。
キューバ人の家ではなく、港に移動した場合、各プレイヤーは持っている商品を船に運び入れることができます。
運び入れた商品の数に応じて勝利点を得ます。
※船に関するルールの詳細は後述します。
2.建物を訪れる
建物は黄、赤、青、白の4つのエリアにわかれており、1で移動したキューバ人によってどのエリアの建物に訪れることができるか決まります(キューバ人のタイルに書かれている花の色が訪問可能なエリアになります)。
建物には、お金や勝利点が得られるもの、商品を別の商品に変換(さとうきび⇒ラム酒等)するもの、商品を売却して勝利点に変えるもの等があります。
この際、キューバ人の効果であるプレイヤーのものになっていた建物を、いずれかのプレイヤーが訪れた場合、持ち主のプレイヤーは勝利点を得ます。
なお、訪問した建物にはプレイヤーコマを置きます。既にプレイヤーコマが置かれている建物は別のプレイヤーは訪れることができません。
船に関するルール
ゲームには6つの商品(さとうきび、シトラスフルーツ、タバコ、ラム酒、葉巻、木材)が登場し、木材以外の5種類の商品に対応したダイスがあります。ゲームスタート時及び、新しい船が入港してきた時に5つのダイスを振り、その中から4つを選んで船に乗せます。この時のダイスの目が、各商品の需要になります。
港に車が止まった時、各プレイヤーは商品を1種類選択し、船に運び込みます。この時、運び込んだ数に応じてダイスの目を減らします。0の目まで減った商品は、それ以上運び込むことはできません。プレイヤーは運び込んだ商品数×1商品の価値分の勝利点を得ます。
運び込むこめる商品を持っていないプレイヤーはパスし、全員がパスするか、全てのダイスの目が0になったら商品の運び込みは終了します。
全てのダイスの目が0になった船は出港し、新しい船が入港します。
船が出港せずに港を通過すると、商品の価値が1あがります(全員パスで運び込みが終了した場合、及び、お金を払って車の移動で港をとばした場合)。商品の価値は2~4があり、既に4の時点で価値が上がるとダイスの目が0でなくとも船は出港します。
7つの船が出港したらゲームは終了し、手元に残った商品を一定数ごとに勝利点に変換した後、合計得点が最も高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
僕がテーマ買いをすることが多いので、こういうまさにドイツゲーム!というのはあまりやったことがなかったような気がしたので、TとYが来ている時に出してみました。
見た目で惹かれるものがなかったようで、Yは嫌がっていましたが、まあ、ものは試しだからと強引にはじめてしまいました。
とりあえず序盤は全員無難に1マスずつ進めつつ、淡々とキューバ人の家や建物を訪問していました。
商品のうち、さとうきび、タバコの葉、シトラスフルーツ、木材は2つずつもらうことのできるキューバ人がいますが、ラム酒と葉巻は、「いずれかの商品を1つもらう」効果のキューバ人からもらうか、商品を交換する建物の効果でないと手に入りません。
建物による交換も「いずれかの商品1つ同士を手元とサプライから交換する」闇市場の他に、「さとうきびを任意の数、ラム酒に変換する」醸造所や、「タバコの葉を任意の数、葉巻に変換する」葉巻工場があり、一方は商品に縛りはない代わりに1つしか交換できない、一方は商品に縛りはある代わりに持っている限り交換できると違いがあります。
単純に変換効率だけを比べると醸造所や葉巻工場の方がよかろうと、Yが醸造所、僕が葉巻工場を自分の建物にします(他プレイヤーも使用することはできますが、他プレイヤーが使うたびに、持ち主に1勝利点ずつ入ります)。
僕は(多分Yも)変換効率が良いから使われるだろうと思ったわけですが、変換効率が良すぎてそう度々使う必要がないせいか、結局それほど使われることはありませんでした。
船も最初の1,2回はダイスの目が悪かったせいもあり、全員が1つ2つの商品を運び込んで出港。という感じで波乱はなかったです。
しかし、中盤以降、プレイヤーごとに色が出てきます。
Yは弁護士を積極的に訪問して自分の建物を増やし、相方はスリや銀行の効果でお金を増やし、Tは建物の効果で手持ちの商品を変換したり踊り子の効果で勝利点を増やし、僕はじゃらじゃらと商品を貯め込むといった感じです。
そして、4隻目の船でダイスの目が爆発します。
4-3-2-2とこれまでの目に比べれば段違いに目が良かったので、既にある程度商品を持っていた僕は建物の効果で商品の価値(1つあたりの勝利点)をあげた後は、一気にお金を使って移動距離を増やして港に飛び込みました。

全体の商品数は全て8つなので、自分の持っている個数と場に残っている数から、自分以外のプレイヤーが持っている個数はすぐにわかります。あとは、ひとりのプレイヤーがまとめて持っているのか、それとも、1、2個ずつが分散しているのかです。
僕は4の目が出ていたシトラスフルーツと3の目が出ていたタバコの葉をそれぞれ3つずつ持っていました。他の商品は2つずつしか持っていなかったので、最初に売るのはシトラスフルーツかタバコの葉かです。
シトラスフルーツはYに3~4つかたまっているのはわかっていました。一方でタバコの葉をまとめて持っている人がいるかは把握していませんでした。
建物やキューバ人の効果で勝利点を得ているTを警戒すべきだと思っていたのですが、タバコの葉は分散している可能性にかけて、シトラスフルーツを売りました。
幸いシトラスフルーツ以外は、まとめて持っていた人はいなかったらしく、僕以外はそれほど点数を伸ばさずに、かつ、僕の手番にさとうきびのダイスの目が2残ったまままわってきたので、それも売ってしまい、この時点で(多分)僕がトップに躍り出ました。
そして、次の船が入港してきます。この船も3-3-2-0とそれなりにダイスの目は良かったのですが、僕の手元にはほとんど商品が残っておらず、唯一大量に残っていたラム酒は船にダイスをのせてもらえませんでした。
キューバ人の配置的にも僕が大量の商品をまた集めるには、移動にお金を消費するしかなかったのですが、さっきお金も使ったばかりでそんなお金はありません。
うーん、どうしようと思っていたところ、妙案を思いつき、幸い、その妙案に使うことのできる木材を僕の手番でお金を支払わずにキューバ人から手に入れることができました。
そして相方がうなるほど持っていたお金を使い、港に飛び込み、即、自分の持っている商品を3つ売ってしまいました。
これはしょうがないですが、この船で僕ができることは、他のプレイヤーにできる限り勝利点を渡さないことです。
というわけで、木材を3つ売ってしまいます(木材は木材以外の商品の代用として売ることができます。ただし、その際に獲得できる勝利点は1点です)。自分がもらえる勝利点も大したことはないですが、他人に大量得点をされるよりはましです。
最後の2隻はダイスの目の平均が1か、それ以下くらいの酷い出目が多く、4の目がでたときも建物の効果で需要を0にしたりしていたので、逆転されるような危機は訪れず、Tが建物に商品を売りまくって勝利点を稼いでいましたが、それも一歩及ばすで、僕が勝利することができました(僕44点、T39点、相方&Y33点でした)。

(ひどい出目です。4はこのあと建物効果で0にされます)
【感想】
非常に端正に色々な要素が適度な量詰め込まれ、それらがスムーズに機能し、プレイヤーも効果に迷うことなくゲームのギミックを満喫できる。そんなゲームです。
上手に作られたゲームというのが感想です。
面白くはないのか?
面白いです。
ゲームの肝がわかりにくいのか?
そんなことはないと思います。
考えることが少ないのか?
そんなことはなく、色々と考える要素があります。
では、何が不満なのか?
きれいにまとまり過ぎていて、アクが全くない。これが不満です。
人間はきれいなだけの世の中では生きていけないのです。
というのは冗談ですが、全体的に優等生すぎて面白味がないというのは本当です。
不思議なもので、欠点があればそれについて文句をいうのに、欠点がなければ、今度は欠点がないことに文句を言うという我ながら贅沢だなあと思います。
ゲームの仕組みは非常にうまくまとまっています。
プレイヤーごとに色がでる戦略をとる余地がありますし、どの戦略が有利と言うこともない気がします。それでいて、船への運び込み、売却を軽んじていては勝てないといういいバランスかと思います。
キューバ人や建物からお金、商品は意外と簡単に手に入るものの売れる数を押さえようとする効果の建物が多かったり、全体の商品数が少ないので誰が有利か(自分に不利か)の把握はしやすかったりするので、船への売却は重要ではあるものの一気に売り抜けることができるチャンスは少ないです。
下手に商品の価値をあげようものなら、僕がやったみたいに木材売りや、少しでも売ろうとする他プレイヤーに潰される機会も増えますし。
その少ないチャンスをいかに捕らえるか、そのチャンスを逃しても大丈夫なようにしっかりと建物やキューバ人を使って得点できているかも問われます。
また、キューバ人や建物はボード上にランダムに配置するので、ゲームごとに毎回異なる盤面で遊ぶことができますし、本当にそつないゲームです。
僕は正直な話、あまり好きにはなりませんでしたが、いいゲームとはこういうゲームのことを言うのだと思います。
あと、先日テンデイズゲームズで購入したDGTCubeというタイマーを使ってみました。1手番1分の制限でやってみましたが、展開は速くなりましたね。相方は「あせった」と言ってましたが、1分過ぎてもペナルティなしだったので、やりたいことはできていたのではないかと思います。
僕、相方、Yは案外長考するので使ってよかったです。個人的には長考してもそうでなくても結果は大きくは変わらんと言う考えなので。
これは、うちら以外にはそうないかもしれませんが、考えすぎて自分の手番がきたことに気づかないことがうちらは結構あります。タイマーが自分の面にまわされるので、さすがにそれはなくなってました。