新世界/Mundus Novus

(3人でインスト込み1時間半ほど)
【概要】
16世紀、新大陸から持ちかえられる様々な珍しいものは、ヨーロッパでは高値で取引されていました。
プレイヤーは商人となり、船や倉庫、優秀な人材を手に入れながら一番の富豪となることを目指します。
【ルール】
ゲームは以下の流れで進行する各ラウンドをいずれかのプレイヤーが勝利条件を満たすまで繰り返します。
1.イベントの発生
2.補給(資源カード補充)
3.交易(資源カード交換)
4.発展(勝利点or発展カードの獲得)
1.イベントの発生
場に出ている発展カードのうち、1番端のカードに示されたイベントが発生します。
イベントは、基本的にプレイヤーが不利になります(勝利点の獲得効率が落ちる、ある種の発展カードが使えなくなる等)。
2.補給(資源カード補充)
5枚ずつプレイヤーに手札が配られます。
その後、全プレイヤーが持っているカラベル船カードの枚数分、追加の補充用の資源カードが場に並べられ、カラベル船カードに書かれた数字の合計が小さいプレイヤーから順に好きな資源カードを手札に入れます。
3.交易(資源カード交換)
交易長トークンを持つプレイヤーが指定した枚数の資源カードを全プレイヤーが場に出し、交換しあいます。

(2枚ずつ場に出され、これから交換が開始となる場面)
交換は、交易長トークンを持つプレイヤーがまず、好きな資源カードを取り、その取られた資源カードを場に出していたプレイヤーが好きな資源カードを取り…と、資源カードを取られたプレイヤーに手番が移る形で行います。
カードは各プレイヤーが場に出したものだけでなく、場に市場として並べられた資源カードも対象となります。
4.発展(勝利点or発展カードの獲得)
手札を組み合わせて役を作り、勝利点、又は、発展カードを手に入れます。
勝利点を手に入れるには異なる種類のカード、発展カードを手に入れるためには同じ種類のカードを組にします。この時、インカの黄金カードはワイルドカードとしてどの種類のカードとしても使えます。
役の公開は交易長トークンを持っているプレイヤーが指定したプレイヤーから時計回りに行い、交易長トークンは指定されたプレイヤーに渡します。
勝利点は資源カードの種類が多ければ多いほど高得点となり(7種:15点、9種25点等々)、発展カードは同じ資源カードの枚数が多ければ好きなカードを選択できるようになります(低価値のカード3枚では1番端の発展カードしか取れないが、5枚あれば場に出ている好きな発展カードが選択できる)。

(7種15点です(実際には発展カードの特殊効果で右端の8を5として扱うことにして8種20点を獲得していますが))
勝利点、発展カードの獲得に使った資源カード、使ってない資源カードの全てを捨て札とした後に自ラウンドに移ります。
勝利条件について
ラウンド終了時に以下の3つのうち、いずれかを満たす場合、ゲームは終了します。
A.勝利点(お金)が75以上ある。
B.発展カードの山札がなくなった。
C.手札に10種類のカードを集めた(1~9のカード+インカの黄金)。
A,Bの場合には、その時点で最も勝利点(お金)を持つプレイヤーが勝利します。
Cの場合には、条件を満たしたプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
4人くらいいた方が良いのかなと思いつつも、僕、F、Sの3人で。
Fは年に1,2回程度遊ぶ程度、Sは自分でもボードゲームを買うくらいの人たちです。
僕が交易長になってスタートです。
序盤、とりあえず手札枚数を増やさないとダメだろうと、とりあえず全員でカラベル船の発展カードを取りに行きます。
一応、カラベル船に書かれた数字の合計が小さい~とはなっていますが、基本的に枚数を取れば合計の数字もでかくなるので、大したカードはもらえません(いいカードは先に取られます)。
そんな中、任意のカードを7~9のいずれかに変換する発展カードが出てきます。
カードは全て同じ枚数が用意されているわけではなく、7~9は1~3の半分の枚数しかありません。というわけで、かなり強めの発展カードです。これは欲しいと思ったものの、手元にあるカードの役では取ることのできない位置にあったので、発展トークンをSに渡し、自分のところにまわってくるまでに他の発展カードをSとFに取ってもらうことで、僕の役で取れる位置までさげてもらおうと画策します。
が、Sの役はどの発展カードでも手に入れることのできるものだったので、まんまと欲しかった発展カードはSの手元に。
そして、この後、Sは任意のカラベル船の数字を0にすることができる発展カードを手に入れます。つまり、Sは余程のことがない限り追加の補充カードを常に一番に選べるようになったわけです。
追加の補充で好きなカードを選べる上に、変換効果の発展カードも持っているので、カード交換を希望する枚数も少なめです。一方で僕はカラベル船の数は多いのですが、もちろん書かれた数字の合計も大きいわけで、余り物のカードしかまわってこない上に、交換したくとも交易長であるSは少ない枚数しか指定しないという非常にいけていない状態になります。
この状況を打破するためには、倉庫を使ってラウンド間でカードを持ち越せるようにするしかない!と倉庫の発展カードを2枚手に入れたところで、火事のイベントが発生します(火事:倉庫の効果無効)。しかも、そのイベントが書かれた発展カードは造船所(自分より多くのカラベル船を持っているプレイヤー数分だけ勝利点を獲得する)だったので、カラベル船を数多く持っている僕には全く不要の発展カードで…。

(火事イベント発生)
Fは、倉庫を僕よりも持っており、カラベル船は僕やSよりも少なかったので、Fが火事イベントを起こしている発展カードを購入してくれることを期待しますが、そこにイベント無視の効果を持つ発展カードが出てきたので、Fはそれを手に入れ、火事の被害を被るのは僕だけという状況になってしまいました。
これは全くもっておえん状況なわけですが、一方でFとSがそういった発展カードを手に入れている間に僕は、変換系の発展カードを2枚手に入れていました。
FやSと比べると発展カードが潤沢なわけではないですが、これ以上待っていてもチャンスはこない!と判断して、6,7種類のカードで手札で用意して、勝利点をもらい始めました。
FやSはまだ発展カードを取っています。
FやSが勝利点を取るようになるまでにどれくらい稼げるかが勝負!と思っていたのですが、カードの巡りもようやく良くなってきて、時には8種類の組も作れるなど、想像以上に点を稼ぐことができました。
Fたちもこれは逃げ切れられると思ったのか、カラベル船を追加で手に入れたり、多くのカードを次ラウンドにまわすようにしたりとあからさまに10種類勝ちを狙い始めます。
これで勝ったと思ったら、73点しかなかった次のラウンド、ここでFたちのどちらかが10種類集めなければ僕の勝利です。
カラベル船からの追加補充ではインカの黄金が2枚も出て、それをSが取っていきました。これは…と思っていると、Sが「1,2,3,4,5,6,7,8,9! これで僕の勝利です!」と高らかに勝利宣言したわけですが、それでは9種類のわけで…。実はSはカラベル船を4枚、倉庫は0枚だったので10種類集められるわけはなかったのですが、カードは1~9だから9種類で勝てると思いこんでしまったとのことです(勝利条件では10種類と言っていたのは聞いていたのですが…と言っていたのでインストミスではなかったようでほっとしました)。

(惜しいSのカード)
Fもインカの黄金を3,4枚持っていましたが、カード運が悪かったことに加え、変換系の発展カードを持っていなかったので10種類集めることができなかったようです。
と、そんなこんなで75点を超えることができ、僕の勝利となりました。
【感想】
ルール自体はややこしいわけでもなく、同じカードを集める、違うカードを集めるということだけですが、10種類集めると点数関係なく勝利!というサドンデスルールのおかげもあって、戦略に幅が出ており、なおかつ、一本調子にもならないので遊んでいて楽しいです。
たぶん勝利点を集めるというだけでは、単に先に形を作って逃げ切った人が勝つというだけになっていたように思うので。
ただ、運よく10種類集めたら勝てるし、たくさんの種類を持てるようになれば得点も稼げるしと中途半端な考えでやっていると、一直線に75点稼ごうとした人や、10種類集めようとしたひとには負けることが多いと思います。
そういう点でルール通りに遊んでいるだけで楽しいようなひとには勝ちにくいゲームです。
(インスト時にがっつり勝ちに行くためには…という説明もしてよいのかもしれませんが、勝ち負けだけが重要でもないですし、自分で気づけば良いようにも思います)
とはいえ、いまの自分の状況を考えつつ、何が必要なのか、どう動けばいいかをきちんと考えれば、きちんと結果に出るので、作戦がはまればカードゲームとは言っても爽快感も達成感もあると思います。
例えば、今回の僕は手札は多くてもそれほど良いカードはないという状況だったので、少なめの点数を稼ぐようにしたり、ひとりだけ倉庫が活用できたFは10種類勝ちを狙いに行ったりしたようにです。カラベル船からの補充では良いカードがもらえる代わりに倉庫が使えなかったSは(Sの考えはわかりませんが)僕よりも少し多めの勝利点を毎ラウンド稼ぐという戦略もありだったのかもしれません。倉庫なしで10種類集めるのは結構きついです。
ですので、発展カードの獲得から勝利点の獲得へ切り替えるタイミングがポイントと言う話を聞いていましたが、発展カードの獲得のなかでも、自分のそれまでに取ったカードを元に何らかの戦略を決めるタイミングもポイントかもしれません。
イベントも今回のゲーム中ではずっと火事だったわけですが、ずっと固定ってどうなのよ?というよりも、戦略を決めるにあたっての要素として考えれば、ずっと固定で良かったようにも思います。不要な発展カードはどうしても出てくるので、むしろ数ラウンド目から固定と言うのはよくあるパターンかもしれません。
今回も一見、僕だけが被害にあっているように見えますが、Sが倉庫を使えるようになるのは、自分が倉庫を使えるようになるメリット以上に、デメリットだと感じたので放置して、その中でなんとかしようと思ったわけですし。与えられた状況内でベストを模索し、多少不利な状況でも勝つことができるのは良いゲームだと思います。
また、大航海時代と言う、数多くのボードゲームになってる上に、ロマンを感じるような、好きなひとの多いテーマであることも、このゲームのポイントかと思います。
様々な実在の人物が発展カードとして登場しているので、好きなひとにはたまらないかもしれません(新大陸発見後と、僕が好きな年代よりは先ですが)。
テーマ(というよりは設定上の年代)は異なるようですが、システム的にはマレ・ノストラムというゲームの一部を切り取ったゲームになっているようです。こちらも7不思議を集めるのが勝利条件の1つにあったり、テーマも良いですし、システム的にも面白そうです。
最後に。このゲーム、勝利点や発展カードの獲得をするために交換とかを行うわけですが、ラウンドの流れに沿って説明すると1つ1つのアクションの中身は伝わっても、目的が最後までいかないと明確にならないので、説明がどうも上滑りしているような、耳に上手く入っていっていない感じがしました。
いっそ逆に、10種類集めたり、勝利点を手に入れるためには手札のカード枚数と種類を増やす必要がある、そのためには発展カードを手に入れる必要がある、発展カードを手に入れるには同種のカードを集める必要がある…のように、目的を達成するにはという流れで説明した方が良いように感じました。