プラトン3000/Plato3000

(2人で1ディール5~10分)
【概要】
技術が衰退し、古代の機械を操作できる人々が崇拝されている世界。唯一の希望は完璧な世界の構築方法を記した古代の本の発見であった。3000年後、プラトンの共和国は現実のものになるかもしれない。
【ルール】
基本はジン・ラミーです。ただし2~4人用(4人時はペア戦)です。
以下をいずれかのプレイヤーの手札がなくなるまで繰り返します。
1.カードをドローする
2.カードをプレイする
3.カードを捨てる
1.カードをドローする
ドローには二通りの方法があります。
・捨て札の山の一番上のカードを1枚ドローする(捨て札の山はResarch用とScrap用の2種類ありますが、いずれかを選択できます)
・山札から2枚ドローし、1枚を手札に入れ、もう1枚をResarch用の捨て札に捨てる。(この引き方をResarchといいます)
2.カードをプレイする
以下を任意の順で行えます。
・セオリーカードを1枚プレイする(1手番1回のみ)
・ジョブカードの組をプレイする(通常同じジョブ3枚でひと組です。エンジンカードと組み合わせることで3枚なくても組が作れます。1手番1回のみです)
・ジョブカードをプレイする。(他プレイヤーがプレイ済のジョブカードの組と同じジョブのカードを1枚プレイします。1手番に何回でもできます)
3.カードを捨てる
手札からカードを1枚Scrap用の捨て札の山へ捨てます。(こちらの捨て方がScrap)
得点計算
いずれかのプレイヤーの手札がなくなった時点で得点を計算します。
各プレイヤーが自分の場にプレイしているカードに書かれた数字の合計から、手札に残ったカードの数字を引いたものが得点になります。
規定点を達成したプレイヤーが勝利します。
特殊効果
基本的に全てのカードには特殊効果があります。
セオリーカードは1枚で、ジョブカードは2枚以上が場にあれば効果が発動します。
効果は、山札からカードを引く際に3枚引ける(2枚捨てる)ものや、場の任意のカードを捨てるもの、エンジンカードのマイナスを打ち消すもの等があります。
【プレイ内容】
たぶんグローリー・トゥ・ローマの黒箱の生産が遅れたお詫びだったと思いますが、メーカーがおまけにつけてくれたゲームで、トンデモマシン系の絵柄は好みではあるものの、ジンラミーの亜種ゲームには食傷気味だったため、しばらく放置していたのですが、同僚のK君との2人会のネタに困って持って行ってみました。

(こういう見た目の機械は嫌いではないです)
とりあえず1戦目は、お互いに恐る恐ると言う感じで、3つそろったので~とか、これはセオリーカードだから~とやっていたのですが、僕のところにはエンジンカードが2枚ほどきたこともあり、さくっとジョブカードの組を作り、そのまま出しきって1戦目の終了トリガーは僕が引きました。
で、得点計算してみると、K君は手札分のマイナスがあるにも関わらず、エンジンカードのマイナスが響いて場に出したカードは僕の方が多いにも関わらず、得点は負けてしまいました。
ん。このアホウみたいに考えなしでやっていてはダメな感じは…!と続けて2戦目です。
K君はドロー効果を持つセオリーカードが大量にあったようで毎ターン細かく手札を増やしつつ、順調に場にカードを出していっています。僕はと言えば、手札が見事にばらばらで、ここからそろえるのは結構骨だし、組を作るのは諦めて順調なK君に乗っかる形で細かく出していくか…?と考えていたところ、Mechanicを引いてきます。Mechanicの効果はエンジンカードによる失点の無視です。

エンジンでないかなーと思っていたところに、K君はさっきの僕のエンジンカードによる失点の大きさを見ていたのか、Scrap用の捨て札にエンジンが!
お、これは!とすかさず拾ってMechanicとあわせてプレイ。これでエンジンのマイナスはなくなります。
これが追い風になったのか2戦目も僕が出しきって終了。今度はマイナスもなかったので、得点でも上回り、合計得点で並びます。K君はドローしたカードを2枚手札に入れることの出来る効果のジョブをプレイする等、手札は充実していたのですがカードがそろいすぎ、出す機会を失ってしまったようです。
時間的にも最後の3戦目。
僕は七対子的な手札で引き運にも恵まれ、特にドラマもなくサクサクとカードを出し切って終了。この勝負での得点で合計得点でも勝利しました。
【感想】
これは面白かったです。ベースのシステムは元々完成されたものですし、それに加わった特殊効果が「ゲームをしている楽しさ」を増しています。
完成されたものと書きましたが、ジンラミー系の「山札と捨て札置き場があり、ドロー時はいずれかから選択できる」ゲーム(記事を書いているものでは、カーニバル、ボニー&クライド、ネコノス)では不満を2つ持っていました。
1つ目は、延々と2人で山札を引きあっても必要がカードが出てこず、手札が貯まるだけでゲームが停滞する時があること、2つ目は、捨て札の山は欲しいカードがあってもそれを掘りだすことができない(捨て札に欲しいカードがあっても相手が捨てた次のターンでなければ埋まってしまって取ることができない)ことです。
要は欲しいカードは明確なのに中々手に入らないことが不満でした。基本的に2人用で彼我の得点差だけがキーになるため、カードが大量貯まってそれを使って大量得点できてもそれほど嬉しくはありません。自分が大量にカードを持っていれば相手も大概カードを大量に持っており、それなりの得点をするからです。
Plato3000では捨て札の山を2つに分け、山札とあわせてドロー時の選択肢を3つにすること、山札から引く際に2枚引いて1枚捨てるというドロー方法になっていること、ドロー系の特殊効果をいくつか用意することで必要なカードが引きやすくなり、ゲームの停滞をなくしています。
エンジンカードという組を作る労力を減らすカードもあります(マイナス点もありますが)。
そのおかげでストレスが溜まることなくサクサクとゲームは進行します。
単に早いだけであればスカッ、サクッとして終わりなのですが、1ターンにプレイできるセオリーカードとジョブカードの組は1つずつです。セオリーカードはともかく、ジョブカードはどちらを先に出すかという地味な選択肢があり、ゲーム自体がサクサクと進むのでどの効果を先に発揮させるのが良いのか、さらに手札に残ってはマイナスなので相手より先に出し切れるかを考えて効果よりも得点を優先させるのかという、小さい選択肢がそのゲームの勝ち負け、得点に地味に効いてきます。
地味地味とさっきから書いていますが、特殊効果はその1つでゲームの勝ち負けがどうこうなるものではありません。本当に少し助かるレベルのものばかりなのです。それでも、そもそものシステムの小さくまとまっているので、それとあわせて、ゲーム全体が非常にまとまりの良いものになっています(システムが小さくまとまっているので、小さな能力でもしっかり効果が実感できるといったところでしょうか。その効果で得られる得点は本当に地味だと思うのですが)。
しかも、遊んでいてフラストレーションの溜まるところはほぼなく、特殊効果がついていくのも気持ちいい。
1戦10分程度のゲームですが、特殊効果の妙もあり、ゲームをやった感とさっくり終わる小気味よさが味わえる良作だと思います。少なくともジンラミー系のゲームはこれあれば他はなくてもいいかなというくらいに気にいりました。
(調べてみたら、もともと評価の高いUtopian Rummyというゲームのテーマ変えリメイクのようでした。そちらは2人専用のようですが。BGGリンク)
人によってはボリュームが足りない! これからというところで終わるという感想も持たれるかもしれませんが。
たぶん3人でもプレイ感はそう変わらないと思うのですが、4人時のペア戦がどんな感じなのかちょっと気になります。