ヴィティカルチャー(ブドウ栽培)/Viticulture

(5人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
プレイヤーはワイン製造業者となって自分の農園を拡大したり、ワインを作ったりして、ワインを売却し、他の農園よりも名声をあげることが目的です。

(ボード全景。ボード上に簡単な説明が書かれた面と絵だけの面があります)
ゲームは1年間を1ラウンドとして、いずれかのプレイヤーが規定点を達成するまでラウンドを繰り返します。
1ラウンドは春夏秋冬の4つのフェイズで構成されています。
春:手番順決めフェイズ
スタートプレイヤーから時計回りに、そのラウンドの手番順を決めます。手番順が遅くなるほど何かしらをもらうことができます。1番手は何ももらえませんが、2番手はブドウの木カード、3番手はワイン注文カード、…、7番手は追加ワーカーといった具合です(空いた番手の部分は詰めてアクションを行います。4人プレイであれば、1番手、2番手、3番手、5番手、7番手のような感じになります)。
夏:夏アクションフェイズ
手番順に夏のアクションを実施します。夏に実施できるのは以下の主にワイン農場の整備に係るアクションです。
・ブドウの木カードを引く
・ブドウの木を自分の農場に植える
・農場見学ツアーを行う(現金をもらう)
・ブドウを売る(冬に収穫したブドウを売り、価値に応じた金をもらう)
・春の訪問者カードを使う(イベントカードを使います。夏アクションに関連する効果が主です。)
・建物を建てる(お金と引き換えに農場の設備を作ります)
・ブドウの木を引きぬく(※くびきが必要)
建物には、それぞれ特殊効果があります。
ブドウ棚や給水塔は、ブドウの木を植える際の条件になり、中規模/大規模セラーは高価値のワインを製造/保管するために必要です。くびきは夏と冬にそれぞれ個人ボード上でアクションが行えるようになります。テイスティングルームや風車はそれぞれツアーやブドウの木を植えた際に点数が入るようになります。コテージは秋フェイズに引くイベントカード枚数を増やします。

(春の手番の決め(左側)と夏アクション部分)

(個人ボード)

(建物を建てると対応するコマを個人ボード上に配置します)
秋:訪問者カードのドロー
手番順に夏、もしくは冬の訪問者カードを引きます。
冬:冬アクションフェイズ
手番順に冬のアクションを実施します。冬に実施できるのは以下の主にワイン作成に係るアクションです。
・ワイン注文カードを引く。
・ブドウを収穫する(畑を選んでブドウの価値にあったブドウを収穫します)。(※くびきがあれば個人ボード上でも実施可能)
・ブドウを搾ってワインを作る(ワインを1種類選んで、それにあった収穫済のブドウを消費し、ワインを作ります)
・注文を達成する(ワイン注文カードをプレイし、カードの内容を満たすワインを消費することで、カードに書かれた得点と定期収入を得ます)
・従業員を雇用する(お金を払ってワーカーを1つ増やします)
・夏の訪問者カードを使う(イベントカードを使います。ワイン作りに関する内容が主です)
・従業員を働きに出す(1金得ます)
ワインを作る際、赤/白ワインであれば、赤/白ブドウがあれば作ることができます。ブラッシュワイン(ロゼ?)であれば、赤ブドウと白ブドウを1:1で消費して1本、スパークリングワインであれば赤ブドウと白ブドウを2:1で消費して1本作れます。

(冬アクション部分。右側にはルールサマリーがあります)
1年の終わり
いずれのプレイヤーも規定点を満たしていなければ、次ラウンドに向けた準備をします。
・ブドウ、ワインの熟成:収穫済のブドウと作成したワインの価値が上がります。
・定期収入の獲得:定期収入トラックに合わせてお金を得ます。
ボード上のワーカー、手番順等をリセットし、次ラウンドを始めます。
【プレイ内容&感想】
プレイ内容は重げ会や偽エッセン会の記事を参照ください(すいません)。
非常に直感的なアクションが並ぶワーカープレイスメントゲームです。
「ブドウの木を植える」「ブドウを収穫する」「ブドウを搾ってワインにする」「ワインを売る(注文を達成する)」。これらのアクションがワイン作りに不要と思うひとはいないでしょう。
現実を踏襲していることと、ゲームの面白さは別に関係なく、ゲーム的にある程度デフォルメしていないと面白くないということが稀にあります。
このゲームではそんなことはありません。直感的なわかりやすさとゲームの面白さが両立しています。
アクション自体に特段変わったものもなく、お金をもらって、建物を建てて、ワインを作る、例えば、ワーカーが後からきたワーカーに押し出されたりするわけでもなく、普通のワーカープレイスメントです。それでも感想が「普通」ではなく「(結構な高評価の)面白い」なのは、自分のことながらようわかりませんでした。
これは、ただの水なのにおいしい、芋をふかしただけなのに超うまいという類のものなんじゃないかと思います。「ワーカープレイスメント」というシステム自体が、他人にアクションを行われることで自分が行えなくなる(もしくはその逆)ことや、ワーカーと言うアクション数に限りがあることなど、ボードゲームで面白さとして扱われるジレンマを既に内包していて、純粋に出来の良いワーカープレイスメントはそれだけで「面白い」んだと。
このゲームでは、ワーカーを置くスペースはアクションごとに3、4人プレイ時には2ヶ所、5,6人プレイ時には3ヶ所と変更されます。また、3人以上でプレイする際には全てのアクションについて最初にワーカーを置くプレイヤーはボーナスが得られるため、各アクションでひとり目とふたり目以降ではアクションの強さが異なります。
こういった単純ではあるもののワーカープレイスメントをより面白くするような仕組みが丁寧に組み込まれています。
一方で、強すぎるような効果のイベントカードも大量にあり、特にプロモカードやプレイ人数に比例して効果があがるカードは、強すぎるカードの中にあってそれでもなお、バランス崩しているようにプレイ中は思えました。
まあ、単に隣の芝は青い的に他プレイヤーが使ったイベントカードの効果が特によく見えているだけかもしれません。イベントカードの効果が強いことを認識して臨んだ偽エッセン会でのゲームでは、イベントカードの強さが気にならないというか、むしろ爽快で良いアクセントになっていました。
(結果的に長時間ゲームになっているものの)公称時間は45~90分であり、イベントカードがプレイ時間の短縮にひと役かっています。
ワーカープレイスメント部分が実直すぎるので、ランダム要素として、この強すぎるイベントカードの打ち合いはありだと思います。
まだ2回しか遊んでいませんが、目標点の設定も絶妙で、全てのプレイヤーが同じようなラウンドで規定点に達するような作りになっています。重げ会の時も、偽エッセンの時もあと1ラウンドあればほとんどの人は規定点を達成していたと思います。
これは、序盤から着実に点数を重ねたプレイヤーも、高得点の注文やイベントカードを用いて一気に点数を稼いだプレイヤーも、得点の取り方に関わらずです。
まあ、そんな小難しいことは抜きにして、木製コマが最高の出来というだけで十分なんですけどね!まあ、その分ちょっとお高めではあるんですが。
ちなみに拡張もあり、リンゴ、トマト、オリーブなどが栽培対象に追加され、個人ボードも増えます。ルール読んでないのでようわからんですが、HP的な要素も加わるようです。

(拡張用の個人ボードとカード)

(拡張用の個人ボードは通常の個人ボードと当然つながります)

(コンポーネント写真としてついでにコインを。かなり大きめです。しかし、このゲーム、6人プレイで使う量の3倍くらいが入ってます。コイン入れすぎです)
最後に。Kickstarterで購入したひとにおまけでついてきた、ゲーム中にワインを飲むためのコースター。紙製なので2回は使えませんw。
