レガシー:公爵の遺言/Legacy: The Testament of Duke de Crecy

(4人でインスト込み90分ほど)
【概要&ルール】
我が家は今では没落してしまったが、お前の力で再興して欲しい。社交界デビューして良い縁談を引っ張ってきて、子作りに励むのだ…!
ゲームは三世代で構成され、各世代は2,3,4ラウンドからなっています。三世代目が終わればゲーム終了です。
システムは非常にオーソドックスなワーカープレイスメントです。手番になったらワーカーをひとつ、いずれかのアクションに置き、そのアクションを実行します。他のワーカープレイスメントゲームと同様にワーカーが既にあるアクションにはワーカーは置けません。全てのプレイヤーがワーカーを置ききったらラウンド終了でワーカーを回収します。
改めて丁寧に書いて見ましたがもうなんの変哲もないワーカープレイスメントです。
特徴(と言えるかも怪しいレベルですが)をあえていえば、ワーカーは基本2個しかないことと、使えるアクションが限定された使い捨てワーカーを手に入れれば使えることくらいです。
アクションには個人ボードのものと共通ボードのものがあります。要は個人ボードのものは他人に先をこされることがなく、共通ボードのものは全プレイヤーで1ラウンドに1回しか行えません。
■個人ボード
結婚/婚約:手札の友人カードをその世代の未婚の成人に対してプレイすることで結婚できます。次世代の人(この世代では子供)に対してプレイすれば婚約となります。
結婚する際に友人カードにかかれたお金や名誉、収入の増減、特殊効果の解決をした上で、子供が産まれます。
子作り:子供を作ります。コストを払うと性別が選べます。
お金を無心する:友人にお金を無心します。友人カードを捨てれば獲得するお金が増えます。
友人を作る:友人カードをドローします。名誉を減らせば獲得する友人カードが増えます。
■共通ボード
称号を得る:コストを払って称号カードを得、名誉などを増やします。
寄付する:コストを払って寄付カード得、名誉などを増やします。
マンションを買う:お金を払ってマンションを得、名誉を増やします。
ベンチャーを始める:名誉を払って収入を増やします
医者を雇う:コストを払ってふたり子供を産みます。
ミッションカードを得る:ミッションカードを獲得します。ミッションカードには家族に芸術家がふたりいればお金を得るなど書かれており、手番中、いつでも使用できます。
ラウンド間に収入を得ます。世代間には名声(家の名誉が名声という勝利点になります)を得たり、子供が成長して大人になり、もし婚約していれば即結婚成立します。
こうして3世代プレイ後に最も名声を稼いだプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
偽エッセン会にてぐんまさん、たる田さん、しのぽさん、僕の四人で。
まず、家の当主を男か女か決めます。各家で微妙に能力は異なりますが、男はお金は少ないが収入があり、女はお金は多いが収入が少ないというようになってます。お金が少ないといってもせいぜい1,2ラウンド過ぎれば収入の差でまかなえそうだったので男を選択。みなさん同じ考えだったようで男ばかりでした。
この時、当主によって初期の友人カードの枚数も決まるのですが、友達の多い少ない、どんなのとつきあってるんだというようで、なかなか面白いです。
僕は手札にあまりよい友人がいなかったこともあり、なんらかの指標になればと初手からミッションカードを取りにいったところ、引いたのは達成条件が家にスペイン人がふたり以上というカード。手札にちょうどスペイン人のミランダさんがいたので、お、ちょうどいいやと当主の結婚相手は決定。
しのぽさん:「男か女かわからない友人がいるんだけど」
いやいやデフォルメされてるので多少わかりにくいとは言え、見ればわかるでしょうと答えたものの、僕の手札にもよくわからんのがひとりいます。
結局、友人カードの名前が書かれているとこの地が青と赤で色分けされていることがわかり、ああ、じゃあ、やっぱり女なのかと当主の結婚相手に選んだのは、確かに男だといわれても仕方ないアンジェリークたん。「通常3人が限界のところ、4人まで子供が産める」という見た目を裏切らない能力を持ってます。
1世代目は2ラウンドしかないので4人とまではいきませんでしたが、見事に3人の子供を作ってました。

(画像右下のごっついのがアンジェリークたん。当主は確実に生気吸い取られますね)
うちのミランダさんはもとの職業が占い師というたぶん当時は下賤だったと思われるものだったので、結婚すると名誉が下がりましたw。名誉は世代終了時に勝利点に変換され、かつ、ゲーム終了時まで蓄積されるため、下がって良いことはありません。そういうわけでこの世代の残りのアクションは称号をもらったり、マンション買ったりして名誉を増やして終了。
そして2世代目開始です。
ぐんまさんが1世代目にベンチャービジネスを始めていたり収入増に努められた結果、お金はぐんまさんが一歩リード。勝利点は似たりよったりというところでした(僕は名誉をあげるのに1世代目頑張りましたが、作った子供の数も点数になるため、子作りに励まなかった代わりに名誉をあげた僕と、子供をそれなりに作ったみなさんで大して変わらなかったのです)。
たる田さん:「これ、同じ国のひと集めるの大変じゃない?」
たる田さんはミッションカードは取られていなかったのですが、結婚時の特殊効果で、家族に○○の人がいれば~というのが結構あり、たぶんその発動が大変だと思われての発言だと思います。
友人カードには、男女の他に、職業と国籍が決められており、職業は5種類、国籍は10種類あります。結婚するためには、家の子供に対応した性別である必要があるので枚数が均等にだとしても、狙った国籍、狙った性別の友人を引いてくるのは5%程度とそれなりに至難の業です。
一方でぐんまさんの家はいつの間にか芸術家一家になっており、当主の奥さまからその子供結婚相手まで全員芸術家。
なんか芸術家ってお金に困っているイメージがあるのですが、もう既に芸術家として名を成している人たちなのか、結婚することで収入、名声もあがりますし、「家族に芸術家がいれば~」という条件の特殊効果も適用され、明らかに調子良く家柄が立派になっていってました。
しのぽさんは、アンジェリークが女の子しか産まない!と1世代目から仰っていましたが、その女系家族の流れは2世代目でも健在のようで、女の子ラッシュ状態でした。そして、僕は僕で家に男の子しか産まれないという、男系家族の流れ。
男の友人には結納金として多額のお金が必要ではあるものの一気に収入を増やすカードが多く、それを使いたくて手札にずっと持っていたのですが、それもかなわず。一応、コストを払えば子供の性別を選べるアクションもあるのですが、お金も友人カードもカツカツで、しかも、男か女であれば1/2ということで、さすがに今度こそは!と思って子供のカードを引くのですが、何故か偏ります。手元のカツカツ感をなんとかせねばとリソースのマイナスのない女性の友人と婚約し続けたら、美人を選んで結婚してるとしのぽさんに言われるし。

(嫁をとってばかりの我が家)
あと、僕のパトロンカードは「3世代目の友人カードの国籍の種類分得点」というものだったのですが、1世代目で子供をひとりしかもうけなかった関係で、3世代目の子供は最大で3人、つまり、友人カードも3人分しか置けないことにようやく気づきました。産めよ増やせよのゲームで子供を産まずに代替手段で~という戦術はさすがにダメだったようです。
しかし、ゲームの勝ちを諦めるわけにもいかんので、もうひと踏ん張りできることを考えました。とりあえず、この世代に子供数が足らずに結婚できない分、婚約して次世代の結婚アクションをこの世代に代わりにやってしまうことにします。それで次世代の結婚アクションが空く分、次世代に子供を産みまくって子供の数による勝利点でみんなを上回ることにしました。
だいたい目論見通りまわり、3世代目で産んだ子供は8人!ひと組から産まれる子供は最大3人なので3組から8人はかなり頑張ってはいます。
そして、パトロンカードのサブのお題「4世代目の外交官の人数」が得点になるのに対して、外交官の友人カードを運良く引くことができ、3世代にある4回の結婚アクションのうち、3回で外交官と結婚(婚約)できました。
一方で、最終世代と言うことでかなりの高得点を得ることができた称号カードや寄付カードは(コスト的にもぎりぎりではありましたが)みなさんに取られてしまいました。
まあ、それでも結果は最下位で、1世代目から友人カードによるプラス効果を得て、それを元に家を興し、さらに、さらにとうまくサイクルをまわしていたぐんまさんがダントツで勝利されました。たる田さんも3世代目の称号カードや最後のパトロンカードによる得点でかなり点は伸ばされたのですが、追いつかずでした。

(我が家最終形。2世代目に血が絶えるかとも思われましたが、4世代目は子沢山。ようやく4世代目に女の子も何人か産まれました。そして、全員外交官に嫁がせてます。ブルジョア嗜好です)

(みなさんの最終形。並べ方に性格でます。場所を結構とる関係もあるかと思いますが、ぐんまさん、しのぽさんは誰が見てもすぐわかる家系図なのに一方で・・・)

(勝たれたぐんまさんの家。なんかこうちゃんとした家系図してます)
【感想】
友人カードにしても子供にしてもカード引き運がめっちゃあるので、戦術性もくそもありはしません。でも、家系図ができあがっていく様も、ゲーム終了後に家系図を見合うのもとても楽しいゲームです。
狙ったわけではないのに、男の子ばかり産まれて、手札から出せるカードだしていったら、なんかべっぴんな嫁さんばかりもらってたみたいな。
もちろん、引いたパトロンカードやミッションカードの内容によって、狙って結婚相手を決めたり、産んだ子供の数=得点なのでガンガン子供を作るアクションを選んだりするわけですが、それすらも、お前のところ外交官ばっかりだな!とか、芸術家の家系なんだとか、アンジェリークたん当主に頑張らせたんだなーとか、色々と楽しい想像につながります。
真面目なことを書けば、定期的に入るのはお金と勝利点ですが、色々なアクションで必要なリソースとしては友人とお金で、そのふたつを結婚時の友人の効果だけでどうまわしていけるかがポイントだと思います。
一応、友人カード、お金を得るためのアクションもありますが、他のゲームと同じようにあまり効率は良くないように感じます。
手札=支払コストというゲームだとサンファンやレース・フォー・ザ・ギャラクシーがありますが、あちらは使ったカードによる拡大もありますし、手軽に複数のカードを引いたり、複数のカードから1枚を選んだりする手段があるので、「この手札をコストとして使ってよいのか?」というのはあっても、欲しいカードが全く引けない、カードが枯渇して増える見込みもないという局面はあまりないと思います(まあ、だからこそ『拡大再生産』なんでしょうが)。
レガシーは友人カードの引きや使い方によっては、勝ち目が薄くなる、にっちもさっちもいかなくなるという局面があり得ます。
しかし、それを「うちの家、ロクな友達がいないんだよー」と笑うゲーム、そこで苦労して良い縁組ができたことを自分の子供の結婚のように喜ぶゲームです。
勝ち負けは…、戦術でどうこうなるとは僕はあまり思えませんでしたが、子供は産みまくって婚約よりもできるだけ結婚した方が良い(結婚時にもらえる報酬が婚約だと次世代にまでのびてしまうので、他プレイヤーに比べて不利になります)とか、こうした方が良いのではという話は感想戦で出てはいました。
まあ、パトロンカードのお題は3世代目の国籍の種類を求められたりする一方で、とにかく手札が大量にありさえすればよかったり、4世代目の家族にいる外交官の人数次第で、外交官をひかなければどうにもならないもの、家族にいるカップル数×○点と、え、それってゲーム中に普通にやってたらいいんじゃない?というものなどなど、お題の差も結構あったりするので…。
非常にオーソドックスなワーカープレイスメントですし、手札もお金も基本足りないのでゲームとしても楽しく(新鮮味はないですが)、どんどん卓上の自分の家系図に彩りがでてくるのも楽しく、僕は好きなタイプのゲームでした。
(2014.1.17追記)
書き忘れと書いておいた方が良いと思ったことを以下に追記です。
まず、友人カードに書かれた人物には(たぶん)全てモデルがいるようです。ヨーロッパの歴史好きのひとはそういう面からも楽しめるかもしれません。何人かについては、BGGに以前のったデザイナーノートにモデルが書かれています。
あと、記事中には書きませんでしたが、子供カードの山札の中に「合併症」カードとでも言うカードが入ってます。これを引くと、子供が死んだことになり子供を作らないか、または、母親が死んだことにしてカードを除去して子供カードは引きなおすという二択が迫られます。そういうのが苦手なひとはこのゲームに手を出す際はお気をつけ下さい。BGGにも、「突然母親か子供が死ぬとかマジ超ショックなんだけど」というスレッドがあります。