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自分が支援するならこんなクラウドファンディング

秋のゲームマーケットに向けてなのか、なんなのか最近国内でクラウドファンディングを使って資金を集めるボードゲームが増えてきています。Kickstarterというアメリカのクラウドファンディングサイトではちょっとバック(支援)したことがあるのですが、そこでバックした経験をもとにどういうものにクラウドファンディングとして(僕は)惹かれるのか、支援する気になるのかを書いてみました。

1.ルール、コンポーネント、カードやボードのデザインが完成している

当たり前といえば当たり前ではあるんですが。

クラウドファンディングを支援して対価としてボードゲームを手に入れるのと、ショップで売られているものを買って手に入れるのとで、大きく異なるのは、「クラウドファンディングでは支援時(金を払った時)にモノがない(これから作る)」ことです。

また、更に当たり前の前提としてクラウドファンディングで集金しているものを支援したとして、対価(この場合ボードゲーム)が必ずしも得られるわけではありません
先にあげたKickstarterでボードゲームに限っても何件か集まったお金を持ち逃げされた話がありますし、持ち逃げとまではいかなくても本来対価が届くはずだった日を1年、2年と過ぎても「俺、頑張ってるから!」という連絡だけが届くことも結構ざらです。

クラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げた側は、このプロジェクトは信用できるだったり、モノはないが魅力があるものだと支援する側に思わせることが必要になります。

要はプレゼンテーションするわけです。

その時に、プレゼンの材料として自分の作ろうとしているゲームの完成品(売り物ではなくプロトタイプでもテストプレイ用のものでも)があるにこしたことはないですし、少なくともポイントをアピールするための材料は必要です。革新的なシステムなのであればルールは必要ですし、アートワークやコンポーネントに凝ったものであればその実物(アートワークであればデータレベルでもいいかもしれません)がなければ十分にアピールできないでしょう。

一例として、Kickstarterのプロジェクトで未完成版のアートワークで立ち上げたプロジェクトでは十分に資金が集まらず、その後、完成版で立ち上げたプロジェクトでは目標(失敗時に集められていた金額と同額)の9倍近く集めて成功したものがあります。具体的に額で書けば、75万程度しか集められなかったものが700万近く集めました。
Fallen City of Karezっていう一部で有名なゲームなんですけどね(失敗時達成時)。

まあ、ルールが完成しているからといってルールへのリンクをはっつけているだけとかだと、効果薄いでしょうが。

クラウドファンディングは短くても数日、長ければ2,3ヶ月の期間で集金するものなので、徐々に出来上がった情報を公開していく形もとれなくはないですが、一般的にもっとも注目される、ウェブページが見られるのは立ち上げた時なので、あとで公開した情報は目に留められない可能性も高いです。

そんなわけで当たり前ではありますが、ファンド開始時に完成していることは大事です。

2.お買い得感がある

そのゲームがめちゃくちゃ魅力的なものであったとして、クラウドファンディングのプロジェクトとしての魅力、達成後にショップから購入するのではなく、わざわざモノが出来る前にプロジェクトを支援する理由は必要です。
「モノはないけど、出来上がったときに渡すから100円くれ。出来上がったのをそこらの店で買っても100円で売る予定」と言われてしまうと、出来上がる前に持ち逃げや今言われているものと異なるものを渡されるリスクを犯してまで100円を払う理由は希薄です。出来上がった時に買えばいいやと判断されてしまいます。

国内のものとは事情が異なりますが、自分がKickstarterで支援する理由として案外大きいのは、国内流通しそうかというのがあります。酷いのになると海外での流通すら怪しいものがあり、そういったものは、(自分が魅力的だと思ったゲームが)手に入るというだけで、クラウドファンディングを支援する価値があると思っています。
まあ、本当に魅力的なものであればいまは国内にも入ってくるし、下手すると日本語版が作られてしまったりするので、このメリットで支援するものはそう数はありませんが。

Kickstarterで多いのは、目標額を達成し一般向けに小売する際の価格を明記した上で、それから○○%引きの価格を支援してくれれば対価としてゲームを渡すという、価格面でお買い得感をアピールしたものです。
今なら○○ドルお得だよ!というわけです。
また、限定カードや限定コンポーネントにしているものもありはしますが、1枚数十円で作れるカード程度ならまだしも、コンポーネントにしてしまうと支援者だけ向けでは製造原価があがりますし、そのカード、コンポーネントに魅力を感じた人にしかアピールできないこともあるのか、限定で価値をつけているものは案外多くありません(注1)。

注1:ストレッチゴール(目標達成後に余剰で資金が集まった際につけるおまけ)として、限定カードや限定拡張、限定コンポーネントをつけているゲームは結構あります。めちゃくちゃおまけがついてきたユーフォリアとかも基本的には一般販売分と差はなく、ストレッチゴールとして支援者限定のおまけがついてきてました。つまり、未達成時に支援した人たちは、○○が限定でつくからという理由で支援しているわけではないのです。

さらっとかいてますが、○○%お得!とアピールするには製造原価と小売価格が決まっていなければならないわけで、そういう意味でも完成していることはお買い得感のアピールにも必要なことです。

3.国内クラウドファンディングサイトを使っていない

なんか元も子もない話ではあるのですが、僕は国内クラウドファンディングサイトを使って集金しているボードゲームを支援する気になりません。

その理由として元締めへの手数料が馬鹿にならないからです。
おそらく最も国内クラウドファンディングで有名なサイトはCAMPFIREですが、集まったお金の2割は手数料としてとられます(カードの決済手数料込み)。国内製作の(同人)ボードゲームでゲームマーケットの販売価格で儲けを多くの割合積めている人たちってほとんどいないと思われます。そこに2割を手数料で取られて販売価格に影響がないとは僕には考えられません。
数百万単位で集めて、数千単位で製造するのであれば2割取られても採算が取れるのかもしれませんが、数十万しか集めていない時点で数百部単位での製造だと思われますし…。

2にお買い得感~という話を書きましたが、国内クラウドファンディングサイトを使っている時点でお買い得感が感じられないのです。もちろん、その思い込みを覆すようなことが書かれているプロジェクトであれば喜んで支援します。

無論、クラウドファンディングサイトを使うメリットは、プロジェクトを立ち上げる側にはあります。お金の管理だったり、プロジェクトページを作るサポートだったり、そこにページを作るだけでみんなに見てもらえることだったり。
といっても、数十万・数十人レベルのお金ですし、ページもフォーマットを埋めただけだったりしますし、ボードゲームクラスタには結局、ツイッターや有名サイトの記事で知られることの方が多いんじゃないのかという気もします。

(2014.8.23 8:00追記) Kickstarterには利用規約の関係でアメリカやイギリスなどに住所や口座が無いと申請できません。日本人でkickstarterでお金を集めている人もいますが、あれはアメリカにも法人を立ち上げたりしていたり、代行会社を使っていたりするようです。ちなみにkickstarterの手数料は1割程度です(Kickstarterへの手数料は5%、カードの決済手数料は3~5%。その合計で約1割。ただし、送料へ補助費用がでるので一概に”集まったお金の1割が取られる”ともいえません)。
あと、誤解のないように書きますが別に2割とられてもビジネスとして成り立たせる(十分利幅を確保する)は可能だと思っています。でも、じゃあどうすんだとは聞かないでくださいw。

4.だらだら雑感

自分が支援するならこんなプロジェクトという話は1~3で以上になります。以下は雑感というかだらだらと思うところです。

クラウドファンディングを立ち上げる側の人に知っておいて貰いたいのですが、第一印象、ぱっと見で伝わる内容は超重要です。細かい記述もあったほうが良いことは良いですが、その細かい記述を読むのは興味を持ってくれた人だけです。如何に興味を持っていないひとに興味を持たせるのか、そしてお金をださせるのか、それがあなたのやろうとしていることの目的です。
いくら素晴らしいゲームだろうとそれが伝わらなければ意味ないですし、伝わっても金を出させるところまでいかなければ意味ないです。聞いた話なのでうろ覚えですが、経営者がある資料を判断する時間は数十秒程度だそうです。

で、この記事を書くにあたって、2014年8月末時点でクラウドファンディング的な方法で資金を集めた/集めようとしているボードゲームを整理してみました。
CFinJ2.jpg
(新入社員かおっさんがぱぱっとまとめた感じで見苦しいですがご容赦を。クリックすると大きくなります)

一応補足しますが、バック価格というのは、ざっくりいえばクラウドファンディング中にそのゲームを買うために支払う金額です。詳しくは調べてください。一般小売予定価格は、クラウドファンディング後、ショップであったりゲームマーケットなどで販売される価格です。

見ればわかるとおり、基本的に一般小売価格はバック価格以下になっているものが多いです。つまり、国内のクラウドファンディングは、支援であったり寄付であったり呼び方はともかくそのプロジェクトを応援するような意味合いの強いものになっているといえます。
別に応援メインだろうと問題はないと思います。クラウドファンディングの成り立ちから考えても、寄付の色合いは強かったようですし。ただ、それであれば、ゲーム自体の魅力に加えて、寄付を引き出すようなアピールは必要だと思います。
若干繰り返しになりますが、ゲームを手に入れるだけであれば、誰か第三者が寄付してくれたおかげで発売されたゲームを寄付のない、ゲーム本来の価格で買えばよいのですから。

また、”アピール”という話になると、ストレッチゴール(おまけ)だとか、アーリーバード(先着何名まで通常よりも安い価格で支援できるもの)に目が行くかもしれませんが、僕はこれらは目標金額の達成にそれほど影響しないものだと思っています。

ストレッチゴールが豪華なものが多額の集金ができるわけではありません。ストレッチゴール(おまけ)は集まったお金を更に集めるための仕組みだと思ってます。
元々のゲームが良かったので多額を集めた結果さらに豪華になっただけです。それによって更に金が集まるというスパイラルにはなりますが、未達成時に「このストレッチがあるから支援」することは(少なくとも僕は)まずありません。実際、Kickstarterではストレッチにいくら魅力があってもゲーム自体の魅力がそこそこだと達成するだけで精一杯だったり未達成だったりがほとんどです。

アーリーバードもスタートダッシュをかけるのには有効ぽいですが、アーリーバード枠がなくなると全くお金が集まらなくなってるプロジェクトも見かけます。あくまで、元々のゲームの魅力と通常バック時の価格が達成するためには重要なようです。

後半は話がぶれぶれになりましたが、僕が支援するなら、支援されるようなプロジェクトにするにはこういう風にしていた方が良いんじゃないのかなあと思うところを書いてみました。大手のボードゲームパブリッシャーもどんどんクラウドファンディングを使うようになってきていますし、国内でもより多くの素敵なボードゲームを作るための方法として定着すればよいなーと思っています。

締めた後でさらに余談なんですが、パブリッシャーがKickstarterなどのクラウドファンディングを使う理由として、事前に集金できるということはもちろん、何部刷ればよいのか、その目安にしているようで、もう単純な集金手段としか見れない/使えない時代はとっくに終わってるみたいです。国内のクラウドファンディングを盛り上げる意味でもお金のあるなし関係なく、有名サークルさんとかクラウドファンディング形式でゲームを作られてはいかがでしょうかw。

(2014.08.24 12:20追記)なんかついでなので、Kickstarterのプロジェクトを立ち上げて大成功を収めた日本人のひとたちの記事も紹介しておきます。この真似をしろという意味ではなく、プレゼン大事だよーという意味で。ハードバッカーの人が話しているPodcastでもバック(支援)させるのに大事なのはプレゼン力みたいな話がでてましたし。

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ひだり

Author:ひだり
川崎市で相方や友人たちとボドゲやってます。

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・アフター・ザ・フラッド
・ゴッズプレイグラウンド
・HABA社製品 全般

推理ゲーム好きだけど↑には入ってないという
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連絡先:hidarigray@gmail.com
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