アークライト/Arkwright

(3人でインスト込み3時間ほど)
【概要&ルール】
こんにちは!僕はリチャード・アークライト!産業革命の立役者さ!
君たちはひとりの起業家として工場を建設して品を作り、その品質や価格を武器に儲けて株価をあげていってくれたまえ。
ざっくり言うと一番の金持ちになったプレイヤーが勝者です。
※以下は基本ルールの内容で、上級ルールについて言及していません
ゲームはセットアップとして全プレイヤーが初期工場をふたつ建設した後、以下を流れを1ラウンドとして、3ラウンド行います。最後に株を売って一番かねを持っているプレイヤーが勝利します。
アクション選択→食料決算→アクション選択→衣料品決算→アクション選択→食器決算→アクション選択→ランプ決算→ラウンド終了処理。
・アクション選択について
プレイヤーは手元にあるアクショントークンをボードに配置してトークンに書かれたアクションを行います。
ボードには、2ポンド刻みで2~10ポンドのマスがあり、トークン配置時にマスに対応したお金を払います。
品質向上、宣伝、機械化は配置時に払ったお金を使ってアクションします

(2ポンドのとこにおけば、2ポンド分のアクション、10ポンドのとこにおけば10ポンド分のアクションができます)。
工場建設、株式投資は配置時のお金に加えて建設する工場に書かれたお金や購入する分の株価も支払います。株は売ってお金を得ることもできます。ワーカー雇用は配置時のお金に関係なく何人でも雇用/解雇できます。
また、各アクショントークンにはサブアクションとして、アクション効率があがる上位マーカーの獲得か、販売価格の調整かのどちらかがついてきます。
・決算について
各商品の決算は、ジョブマーケットの空き具合に応じて決まった需要がアピール度の高いプレイヤーから割り振られます。各プレイヤーは需要に対して製造した商品を販売でき、収入を得ます。
この時、販売数、アピール度に応じて株価があがります。
その後、決算対象の品を生産している工場に雇用しているワーカーに給料、機械のメンテナンス代を支払います。
【プレイ内容】
Sさん、Fさん、僕の3人で。
ゲーム開始時に各プレイヤー、2種類の製品の工場を建設できます。このゲームでは製品を売りやすくなるアピール度というものがあり、製品の品質と宣伝を足したものから、価格を引くことで決まります。売りにくくはなれど価格を高く設定した方がいいのか、やはり売れなきゃ意味ないので安くした方がいいのか…と悩んでましたが、初回はどうにもわからんねということで、ルールブックにあるオススメセットアップを使うことにしました。これで僕は衣料品と食器の工場を持ってスタートすることに。ちなみに、Sさんが食品と食器、Fさんが食品と衣料品の工場を持ってます(要はランプ以外の3種をふたつずつ持ちあってます)。
さて、最初は食品の決算なので次の衣料品の決算までに僕は2回アクションを行えます。
まあわかりやすく、ワーカー雇用して生産量増やすのと、機械化してランニングコスト減らそうということで、どちらでも変わらんだろうし機械化からと思ったら、ワーカーのサブアクションで機械化の上級アクション(費用対効果があがってる)がとれそうだったので雇用からスタート。何人雇っても雇用時はタダですし、何人でも雇えるのでついでに食器工場の分まで雇用しました。
雇用されたことでジョブマーケットから一気に減るワーカー。ワーカーがジョブマーケットから減っていくと決算時に支払うワーカーひとりへの給料があがっていきます。
まだひとりあたり2金ですが、FさんかSさんが雇用すれば3金に達しそうです。いま僕の衣料品は5金に価格設定しており、4つ生産するためにワーカー7人を必要にしているので…、給料3金ずつ払うと1金しか儲かってませんw。
機械化すればメンテナンス代の1金にまで維持コストがさがるので機械化してようやくまともな収入になるのか…と一瞬安堵しかけましたが、アクションに10金かけるとワーカー3人分の機械化ができるので、6金維持費が下がるって、決算1度だけみると赤字です。
まあ、何回も決算がくればどんどん費用対効果は良くなっていくというのが大抵のゲームですが、基本ルールでは各商品決算は3回しかありません。つまりこのままではゲーム終了時に数金しか黒字になりません。
方向性としては、現金収入は少なくても商品が売れていれば株価はあがるのでこのまま工場への投資を最低限にとどめ、支出を減らしつつ株価をあげるか、品質向上や宣伝をあげつつ単価をあげて儲けを増やすか、工場を近代化して生産数を増やし、価格はたいしてあげずに数売るかの3パターンかなと、少し悩んだ結果、もうワーカー増やしちゃったし生産数増やす戦術でいくことにしました。
工場の近代化は次のラウンドから可能になるのでこのラウンドでは機械化と品質向上に専念。同ラウンド内で同じアクションをするとアクションコストがあがるので余りやりたくはないのですが、まあ、しゃあないです。
一方でSさんはライバルのいないランプ工場を建設して3工場体制に。Fさんは宣伝することでアピール度と単価をあげ、儲けたお金で2ラウンド目にもともと持っている工場の近代化と一気に近代化後のランプの工場を建ててきました。
Sさんも順番は逆ですが、各工場を近代化。近代化することで各商品の品質があがりますが、価格を変えないことでアピール度を大きくあげて数が売れるようにした僕、生産数やアピール度はそのままに単価をあげたSさん、Fさんとなりました。
(アピール度の値分までしか商品は売れません。例えば5つ生産してもアピール度が3なら需要が余っていても2つは売れ残って倉庫に送られます)
1ラウンドに行える4アクションで3つの工場を改善していかなければならない二人に対して、僕は2つでいいため比較的、アクション数に余裕があったので、ない金をなんとか工面して株を追加購入。各ラウンド1度なら額面の半分で買えますし、株が上昇あるゲームなら買っておくのが基本的に正解のはずです。
株買ったからともいえるのですが、2ラウンド目はきつかったです。Fさんのランプ工場の建設に伴うワーカー雇用でひとりあたりの賃金が4金にまであがり、機械化を進めているとはいえ、生産ラインがおおい僕の工場ではもろコストに響きました。作った品が全部はけているのだけがせめてもの救いです。特にFさんが生産数と単価のバランスがいいのか1度の決算で数十金儲けているのを羨ましく見ていました。
そして、最終3ラウンドに向けて宣伝や広告品質向上アクションを行ない更に単価をあげてくるFさん、Sさん。僕もようやく増えた品を売るためのアピール度を確保できたので単価をあげられましたが、このままで勝てるのかな?と思ってました。
しかし、3ラウンド目で情勢が変わってきました。工場の拡張で多く雇用され、ジョブマーケットから減っていたワーカーが、機械化で解雇されて徐々にジョブマーケットに戻ってきていたのです。ワーカーがジョブマーケットに戻るとどうなるかというと、需要が下がります。今までは低いアピール度でも需要が確保できていたのが、僕ら3人の生産数に対して需要が足りなくなってきたのです。
需要の確保は、アピール度の差分だけ、まず高い方が取った後、余りを折半です(正確には違うのですが)。そんなわけで、僕の圧倒的なアピール度が功を奏し、僕は2ラウンド目までと同じ数をさっきあげた単価で売れるのに対して、Sさんたちは2つくらいしか売れなくなってました。

(最後の最後、食器の売り上げが爆発したところ。工場が被っていたSさんはアピール度不足でひとつしか売れてませんでした)
これは、もしかしてもしかするかも…と思いつつ、最後に株売却して出た結果は数金差で僕の勝利!
かなり3ラウンド目に収入で差をつけたと思ったのですが、結局、2ラウンド目に無理して買った株分で勝つことができました。




(最終図)
【感想】
正直いって地味なゲームです。アートワークは全体的にくすんだ色合いですし、システムも派手なテキスト効果や大々的なギミックなどもありません。
しかし、ひとつひとつのシステムがうまいこと噛み合っており、面白かったです。
まあ、全てが「金がなくて終始貧乏」ということに起因してるといえばそうなんですが。
僕が一番面白いと思ったのはアクションと決算のずれで、アクションはどの工場に対しても行えるが、決算は決まった順番でまわってくるというとこです(後日遊んだサンクトペテルブルクとかも似た感じですが)。
アクション内で融通が利いて、複数の商品に対して行えるものと回数制限があるものがあるため、工場建設や雇用といった生産の拡大は楽にできる一方で、品質向上や宣伝は(例えいくら金があっても)一部の工場にしかできません。そのため、決算前でもあえて力を入れなかったり、泣く泣く工場を閉鎖するという選択肢もでてきます。
工場へのアクションはともかく、僕以外のふたりはお金はあっても株を買う暇はまったくなさそうでした。
アクションすうの余裕をコントロールできるのが面白いなーと。
また、食品は最終決算まで9アクションしかない一方、ランプは12アクションあると不均衡なのも個人的には面白いなーと思ってます。フルにそこまでのアクションを使って儲けをだそうとしたランプ工場持ちのSさん、Fさんよりも、ランプの決算は無視して楽々と株購入のアクションを行えた僕が今回は勝った訳ですが。
今回は正直ぬるいプレイだったので、ありゃー、アピール度あげてないから少ししか作ってないのに売れ残ったわーなどとのんきなことが起こりましたが、ちょっとでもガチな方々とのプレイなら、このままだと売れ残るからあえて値段さげてアピール度をあげる、宣伝にリソースをもっと割くなどといった熱い販売競争も起きるはずで、たぶんただでさえ少ない金がますますきゅうきゅうになるはずです。
アクションの配置時には最低2金必要で、そのマスが埋まっていればより多くの金を要求され、手持ちの金がなければ株売って払え(株価下がります)と言われます。
まだ上級ルールもあるというのに、基本ルールだけでかなり楽しめそうか気がしています。
アークライトは版元品切れですが、Funagainでまだプレオーダーを受け付けています。といってもこのゲームだけで$100もしますし、かなり重いのでたぶん送料もそれなりにかかるはずです。そこまでして買うゲームではないと思うのですが興味がある方は今のうちにどうぞ。
コンポーネント説明24ページ、基本ルール24ページ、上級ルール36ページとルールブックはかなり量がありますが、えらい丁寧に書いてあるだけなので実質的にはそこまでではないです。