大阪の商人たち/Traders of Osaka

(2人でインスト込み40分ほど)
【概要&ルール】
うん、これで僕の持っている品物の船は江戸に着くよね。それで君の持っている品物の船は沈むと。
以前、カワサキファクトリーやZ-manが販売していたカルタゴの貿易商たちのテーマ変え版です。(元版やったことないのですが、)製品版からのルールの差分はないそうです。
プレイヤーは商人になり、集めた金で商品を買って船を進め、目的地である江戸で売ることで勝利点を稼ぐゲームです。
手番に以下から1アクション行い、終了条件を満たすまで時計回りに手番を行います。
1.お金を得る:市場にあるカードのうち1枚を手札にいれます。
2.市場のカードを買う:市場にある全てのカードを購入して自分の前に並べます。購入する全てのカードに書かれた数字の合計以上の数字分手札を捨てます(場にあればカードの数字は品物の価格、手札にあれば数字はお金ということになります)
その後、購入した品物に応じて船が進みます。船が江戸に着けば品物を売却する手続を行います。
3.カードを予約する:市場または農場(次に市場に補充されるカード)にあるカード1枚に予約トークンを配置する。そのカードは予約したプレイヤーしか購入/お金にすることはできません。
・品物の売却について
船が江戸に入ったならその船に対応する品物を全プレイヤーが売却します。売った品物のカード枚数×カードに書かれた最大の数字÷5(あまりは切り上げ)が点数になり、さらに売った品物の達成トークンを1つ得ます。達成トークンは品物売却時にカードに書かれた数字を個数分増やすことが出来るほか、所持数が規定数を超えたらゲーム終了となります。
この時、江戸の手前の2マス(遠州灘)にあった船は高波にやられて沈没、その色の品物はお互いに捨てなければならなくなります)
【プレイ内容】
※本来は木製の船コマ(進め!!海賊さんについてるのみたいな)を使うのですが、欠品していたため、代用品でエイリアンフロンティアの宇宙船ダイスを使ってます

(こんな感じです)
一味さんと僕の2人で。
プレイ可能人数は2~4と人なっていますが「2人で鉄板」、「フェドゥッティが2~3人用ゲームのベストにいれてる」などなど、少人数で遊んだ方が良いという話を聞いていたので、2人で遊んでみました。
市場に並んだカードは買うときは全部一度にしか買えないので、手持ちより購入に係る金額の方が大きければお金として取るしかないのですが、自分の持ち金が増える代わりにその分相手が購入に必要な金額は減って買われやすくなるというわかりやすさ。
まあ、買われやすくなるといっても相手が全部で何金持っているかはわかりませんし(どのカード取ったのか、どのカード使ったのか覚えてればわかりますが)、買えなきゃお金としてカード取るしかないので、せめてもの嫌がらせと、相手が買いたそうなカードを取るわけなんですが、序盤はどれを取りたい、取りたくないということもないので適当に。
僕はとにかく数を買って船を先に進め、達成トークンをがっつり取って、点数を伸ばそうとしました。そのため、序盤から中盤にかけては(クローズなのでたぶんですが)点数はリードしていたのですが、ふと気づくと手札の枚数が全然違いますw。
僕はお金を少し貯めては買って、買っては貯めて…と繰り返していたのでほぼ手札=お金がないのに対して、一味さんは10枚くらい手札を持ってます。
これは、何でも好きなことされてしまうんじゃ…と思いながらも、僕も金を貯めていきます。
カードの数字は2,3,5の3種類しかなく、やってみるとわかるのですが5が圧倒的に強いカードです。お金としても2や3のほぼ倍の価値がありますし、品物としても5が1枚あれば売った品物数=点数が確定、達成トークンがあればそれ以上の点数になります。
ちょっと計算すればわかるのですが、2や3だと品物を2枚以上にすると効率が落ちます(例えば品物の最大の数字が3の場合、売った品物が1枚なら1点(3×1÷5の切り上げ)、2枚なら2点(3×2÷5の切り上げ)になりますが、3枚だと2点、4枚で3枚…となります)。
まあ、2や3のカードは5にはない「保険」という使い方があり、船が沈んでも品物を守れたりするのですが。
そんなわけで、お互いに5のカードが買われたら、全力でその色の船を沈めにいきます。船は最大2マスまでしか進まないルールがあるので江戸の手前2マスを占める遠州灘に止まらずに江戸に飛び込むのは不可能です。
この残し方だと5を持っていない色の船は江戸に入れるけど、5を持っている色の船は沈むというようにカードを残したり、相手が買いたいカードを予約したりで牽制していたのですが、さすがに市場に出てくるカードの運や、そもそもこちらの手番が回ってくる前にうなるほどのお金で購入されてはどうしようもなく。

(今市場には黄色3枚、緑1枚が並んでます。値段的には結構安くてお買い得なんですが、緑、赤、青の船が江戸の1マス手前(遠州灘)におり、一味さんはこれを買うと緑の船が江戸に入った際に、青と赤の船が沈んで手持ちの赤と青の品物を捨てなければならなくなるので市場のカードを買うことは出来ません。なので必然的に緑のカードをお金として取ることになります)
この青色の品物を売れれば、勝ち目がある…!という状況ではあったんですが、それは叶わず一味さんが有利な色の船を江戸にいれられて一味さんの勝ちでゲーム終了しました。
その後、いつきさんを加えての3人戦も遊びました。

前回は予約で相手の手を絞ることに力を入れすぎた(予約で手番を使うので予約して5金を取れたとしても2金と3金を1枚ずつとるのと獲得したお金的には変わらない)と思っていたので、今回は予約は出来るだけ使わない方針でプレイしました。
市場へのカードの補充ルールが、農場に出ているカード+山札2枚という形なので農場にでた5を一味さん、いつきさんに予約されても運よく山札から引かれたカードが5なら購入することができますし、どうしてもこの色のカードを買われる訳にはいかない/買いたいという時以外は予約しませんでした。
ゲームを通して何故かカードの周り運が悪く、5のカードは面白いくらいに一味さん、いつきさんに取られていきましたが、お2人が江戸にたどり着かせたい色の安いカードを買っておくことで漁夫の利的に達成トークンを貯めて、後半は5のカードを品物として買って保険もかけて…と少ない金を大事に大事に使った結果、(いつきさんの虎の子の品物を保険を沈めることができたこともあって)僅差で勝つことが出来ました。
【感想】
「相手の船を沈める」とか「いま買うと自分で船を沈めてしまうという状況に相手を追い込む」という若干のいやらしさがあることは確かなんですが、カードの色数や船が進むマス数、江戸までのマス数によって、そういった相手を絞る、相手に絞られる状況が作られやすくなっていて、とっつきやすいというのが、非常に良いゲームだと思います。
ややこしいゲームの解法を自分で見つける楽しさというのもボードゲームにはあると思いますが、プレイヤーの能力やゲームの習熟度によらず、駆け引きが楽しめる&駆け引きを楽しめる状況を作れるゲームも、どこでも出しやすく、誰とでも楽しめるという魅力がありますし。
市場のカードをお金として取れば、購入に必要な金額が下がるので相手に買われやすくなるという、自分の得と相手の得、どっちが大きいんだ?という作りは、クニツィアジレンマを思い浮かべてしまうのですが、そこまで悩ましくはないです。悩ましくないというのが別にけなしているのではなく、クニツィアのジレンマの悩ましさって僕にとっては、「結局、得だったのか損だったのかようわからんので悩み続ける」というとこに帰結するんですが、大阪の商人たちの場合、相手がこれを買いたいか、それとも、金として取られるのが嫌かが、相手が持っている品物やいま船がいる場所などから、案外わかりますし、その直後の相手の行動で結論がさくっとでるので、悩ましさはあっても格段に遊び易いです。
それは、どうやってもお金(手札)か購入した品物が増えざるを得ない(どちらかを増やすアクションしかないんで)という、プラス方向によく進む作りのせいかもしれませんし、冗談みたいにしょっちゅう沈むので船の沈没イベントに対するショックが麻痺しているのかもしれません。
どちらにせよ、打つ手にしても打たれる手のダメージにしても絞り絞られという感覚はあってもえらい気軽に遊べるゲームでした(遊んでくださったみなさんの人徳のせいかもしれませんが)。
コンポーネントも分厚いボードやトークン、しっかりエンボスの効いたカードなどリッチな作りになっていますし、Z-manのリメイクのタイトルはあまり国内流通しないようなのですが、(デザイナーは日本人ですし)是非、国内流通して欲しいゲームです(小箱サイズなんですが結構値が張るのだけが欠点かもしれません…)。