第44回偽エッセン会
僕が参加できなかったり、最後のラウンドの得点の伸びがかなりあるのに時間の都合で途中終了になってしまったりで、ブログ上ではかなり回次が開いてしまいましたが毎月開催はされていた偽エッセン会。今回はちょうど会場として使わせていただいているフローチャートが7周年ということでお祝いさせていただいたりしつつ、くじ引きをしたり。記念料理とかもありました。
ダイナスティ

今回はぐんまさんが個人輸入されていたハンスの新作であるこちらを。
テーマは政略結婚で、中世ヨーロッパを舞台に各国に自分の一族の人間を送り込んでマジョリティ争いをするゲームです。
プレイヤーは手番に手札を1枚プレイしてそのカードに書かれたアクションの中から1つを選択して実行します。これを全員がパス抜けするまで時計回りに実行します。手札は使い切る必要はなく、次ラウンドに持ち越すこともできます。
その後、ラウンド終了時の処理をしたのち、手札が補充され、次ラウンドに…というのを規定ラウンド繰り返し、勝利点の高いプレイヤーが勝利します。
カードに書かれたアクションは基本的には、婿を決める、嫁を決める、交易する、有力者の力を使うのうちのいずれか2つと、スペシャル効果の3つです。カードプレイ時にはその中から1つを選択します。交易以外のアクションには対応するリソースがあり、それを規定数支払う必要があります。

(手札にはアイコンが3種類とスペシャル効果が書かれています)
たる田さん、しのぽさん、ぐんまさん、僕の4人で。
ゲーム開始時にハンスお得意の目的カードが2枚ずつ配られます。このカードには都市名が2つずつ書かれており、その都市の婿か嫁に自コマがおいてあれば得点になります。

(僕に配られた初期目的カード。ちなみに都市名が指定されているのは初期目的カードだけで、ゲーム中に手に入る目的カードは、「あるリソース数が現時点でトップ」とか、「ボード上に嫁としておいたコマ数×○点」みたいなのです)
まず、婿と嫁ですが、ボード上の各都市に婿スペース、嫁スペースがあります。対応するアクションの書かれたカードをプレイし、置きたいスペースに書かれたリソース(婿なら黒、嫁なら白のリソース)を支払って自コマを置きます。当然、各都市には婿1スペース、嫁1スペースしかなく、また、置かれたコマをどかすことはできないので目的カードを達成したければ先に置く必要があります。
正直、僕はハンスの目的カードによるゲームバリエーションの付け方は好きではないのですが、今回、お、と思ったのが2点。
まず1点目、ゲーム中にも目的カードを手に入れる機会がありますが、ラウンドを持ち越せる枚数に制限があったり、ゲーム終了時だけでなくラウンド終了処理中に得点化することができたりと、得点機会がゲーム終了時だけではなくなっている点。このため、”その時点で”あるリソース数がトップであることでX点だったり、ラウンド1なら1コマ5点、ゲーム終了時なら1コマ3点みたいなのがあります。
(でも、ゲーム開始時の目的カード、都市2つにコマを置くというのはどれも変わらないのにコマを置く際に支払うリソース数によって得点に(数点ではありますが)差がつけられてるのは納得いかないですがw)
2点目は目的カードから得られる点が低くなっていることです。得点機会はだいたい以下の4つで
・1,2ラウンド終了時、各都市に置かれた独身(婿or嫁が単体)のコマ
・結婚(1都市の婿、嫁の両スペースが埋まった)時に振られるダイス
・目的カード
・ゲーム終了時、各国においてるコマによるマジョリティ
たいていのゲームだと目的カードとか最後のマジョリティの得点が大きいんですが、ダイナスティでは特に目的カード1枚当たりの点数が低めに抑えられているように感じました(そうはいっても大きく得点源ではあるんですけど)。
まあ、ともあれ、特に指針もないし、ラウンドを跨げる目的カードの枚数も制限があるので、とりあえず最初にもらった目的カード達成に向けて動こうとしましたが、初期にもらえるリソースだと目的カード達成に全然足りないので、リソースを取ることにしました。
リソースを獲得する方法はいくつかあるんですが、運の要素なしで取れるのは、交易アクションを行うか、有力者の力を借りるかの2択。
そのうち、有力者の力を借りるは対応するアクションの書かれたカードをプレイし、青のリソースを支払うことで実行できます。
いわゆる特殊能力タイルというのがランダムに並べられており、そのうち1つを実行できます。内訳は、交易船から1つずつリソースをとったり、他人からリソースを奪ったり、アクションカードを2枚新たにもらったり、黒白リソースなしで婿or嫁コマを置けたりなどなどと結構強いです。
交易は、ボード上に3つある交易船から1つに自コマを置きます。交易船にはリソースが5コマ置かれています。ただし、プレイヤーのコマが1つしか置かれてない時点ではリソースは獲得できません。最初に置いたプレイヤー以外がコマを交易船に置くと、あとから置いたプレイヤーが交易船に置かれたリソースを2つにわけ、先にコマを置いていたプレイヤーが好きな方を取るといういわゆる「ケーキの切り分け」が行われ、ようやくリソースが獲得できます。

(交易船にはリソースが置かれ、各船にプレイヤーがコマを2つ置くと分配がはじまります)
各有力者は1ラウンド1回使われると自ラウンドまで使用できなくなるので、リソースを主に手に入れる方法は交易になります。
なるんですが、上記の通り、自分の手番にすぐに手に入るわけではないですし、手に入ったとしても、「ケーキの切り分け」が行われるので、交易ではある色のリソースを集中して手に入れることはほぼできません。黒や白はたいていの都市で同色のが2つとか3ついるので、まとめて渡すようなことはあまりされないのです。
そんな中、有力者タイルで各交易船から1つずつ好きなリソースを取れるフランシスドレイクを選んだたる田さんが、まとまって同じ色のリソースを手に入れて、他プレイヤーに先んじてパリに嫁を送り込みます。
都市には王冠マークのつくものがあり、その国の全ての王冠マーク付き都市に自コマを置いていればゲーム終了時にボーナスがもらえます。そして、この王冠マーク付きの都市の数は国によって異なっており、なんとフランスはたる田さんが置いたパリのみ。
これでたる田さんは王冠ボーナスの7点(ここの点はゲームごとに異なりますがだいたいこんなもんです。あと、目的カードからは10点前後もらえます)を獲得。
パリが得点的においしいのは、当然みなさん把握しており、続けてぐんまさんがパリの婿側のスペースにコマを置いて結婚成立!
結婚が成立するとおめでとうございます!ということでご祝儀のダイスが振られます。実は婿スペース、嫁スペースには大小があり、小さいスペースにコマをおいたプレイヤーがダイスを振り、そのあと、2つと1つに「ケーキの切り分け」を行い、大きいスペースにおいてたプレイヤーが好きな方を取り、残ったのを小さい方においてたプレイヤーが獲得します。
そして、このダイスが強い!運次第なので必ずしも強いわけではないですが、勝利点で5、6点もらえる目や、目的カードを手に入れる目、ゲーム終了時のマジョリティ勝負時にコマ数+1する紋章がもらえる目などなど、3種類のダイスの18個の目の中に半分かそれ以上くらい強い効果の目が入ってます。
(まあ、政略結婚のゲームなので結婚したらご褒美が強力ってのはわかるんですが)
そして、僕としのぽさんもウィーンにコマを置きあって結婚。僕としのぽさんもダイスの恩恵を受けました。
ダイス効果が強いですし、結婚成立しなくても1ラウンド終了時に盤面に置かれていた独身の婿コマ、嫁コマから得点できるので結婚に向けたアクションを行うべきではあるんですが、前述のとおり、リソースが足りないので僕は1ラウンドはしゃがみ気味でしたが、僕以外の3方はカードのスペシャルアクション「金色のリソースを支払うとカードに指定された都市に婿or嫁コマが置ける」も使うことで2,3都市にコマを置かれてました。
いや、これはまずいなーと思いはするものの、貴重なアクション回数やリソースを無駄に使うわけにもいかないので我慢しました。どうも3方はうまいこと目的カードにあった都市におけるカードを持っていたようです。
そして2ラウンド目開始。1ラウンド目に溜めたリソースでようやく都市にコマを置いていけるので、どの都市にどの順番で置くかを考えます。ダイス効果が強いので婿、嫁問わず大きいスペースの方にできるだけ置くべきだよなと思いつつ、その分のリソースも確保できていることを確認し、使うカードはこれだなーと手番を待っていると、僕の目的カードに指定されている都市の大きいスペースに上家のぐんまさんがコマを配置されました。
ぐんまさんがその都市に置かれたのはたぶん目的カードの目的地だったためでしょうし、初期目的カードの目的地が3人以上で被っているとは考えにくいので、僕の目的地になっている都市にぐんまさんにコマを置かれたとしても焦る必要はないとは思いました。思いましたが、各都市には婿、嫁が1つずつしか置くことはできないので、もうひとりどなたかがその都市にコマを置くと僕の目的カードは達成不可能になってしまいます。
それはさすがに避けたかったので、この手番に置こうとしていた都市から変更して、つい先ほどぐんまさんがコマを置いた都市にコマを置きました。
まあ、いま置こうとしてた都市には次手番でコマを置けばいいや…と思っていると、下家のたる田さんがその都市の大きい方のスペースにコマを配置w。
さすがに、ええええええーーーーと思わず口に出してしまいましたw。
しかも、この2都市はともに嫁側が大きいスペースだったので僕は嫁コマを置くための白いリソースをためていましたが、どちらもおさえられてしまったので、婿側に置くための黒いリソースが必要になってしまいました。
幸い、2つで任意の色1つとして使えるピンクのリソースがいくつかあったので、それを使ってコマを配置しましたが、えらく計画が変わってしまいました。
とはいえ、手元に白いリソースが残っていることには変わりないので、このリソースを使って空いてる嫁スペースにコマをどんどん配置しました。
そして最終3ラウンド目に突入です。
前述のとおり、主な得点源は目的カードと結婚時のダイスと、そして各国のマジョリティです。
さすがにここまでくると誰がどの国を取れそうかはわかります。
たぶん初期の目的カードで指定された都市に配置してる間に、ここの国のマジョリティとれそうだから、目的カード関係ないけどコマおいといくかという流れになっているかと思うのですが、イギリスはしのぽさん、スペインとフランスがたる田さん、そしてローマ帝国は僕、ぐんまさんは大きいスペースには数多く置いているものの全体のコマ数は少な目でボード上のコマでマジョリティを取っている国はなしという状況でした。
前述のとおり、各国の王冠マーク付き都市すべてにコマを置くとボーナス点がもらえ、フランスはパリ1都市のみですが、ローマ帝国は4都市も王冠付きがあり、僕は目的カードでそのうち1都市にコマを置いたついでに他の王冠付き3都市にもコマをおき、他にの都市にもコマを置いていたので、2ラウンド目開始時点でローマ帝国内に合計6個もコマがありました。次点が2個のぐんまさんだったので、まあ、逆転狙うような無駄なリソースを突っ込む人はいないだろうし、いてもその都度僕もローマ帝国内にコマをおけば大丈夫だろうと思ってました。
しかし、よく見るとぐんまさんの手元には紋章トークンがたくさん!紋章トークンはゲーム終了時のマジョリティを見る際にコマ1つと同等の扱いになります。
ぐんまさんは大きいスペースにコマを置くことが多く、結婚時のダイスボーナスをたいてい2つ獲得されていたのでたまっていたようです。ぶっちゃけマジョリティ争いはローマ帝国以外に興味がなく、6個もおいてれば大丈夫だろうと紋章トークンはノーマークでした。紋章トークンを入れるとぐんまさんはローマ帝国では僕とコマ2つ差、フランスではたる田さんを抜いてマジョリティトップでした。コマ2つ差というのも、1つコマを置いて、その結婚でふったダイスに”子供が産まれる”目がでて子供コマも置かれると一気に追いつかれてしまいます。
さすがにここは守らねば!と思いはしますが、それでも一気に追い抜かされるわけでもないので、まだぐんまさんの動きを見てからでいいやと別のことをやることにしました。
強力な有力者の力を借りるアクションも使いたかったのですが、なんとこのラウンド開始時に補充された僕の手札にはそのアクションを行えるカードは全くなし!
まあ、逆に迷うことなく淡々とリソース補充とコマ配置をやればいいということでもあります。
ローマ帝国以外のマジョリティ争いのトップを取るのは難しいですが、フランス、イギリス、スペインともにうまいこといけば2位ならなんとか狙えそうです。幸い手番は最後だったのでみなさんの動きを見て、するっと2位に滑り込むようにコマをおいていきます。
なんとかフランス、イギリスでマジョリティの2位を、ローマ帝国で1位を取れる状況で手札がきれたので僕はパス抜け。
手札を増やすアクションを行ったしのぽさんだけが最後まで残ってアクションをされてました。
しのぽさんはまだ初期の目的カードを達成されておらず、最後のアクションでローマ帝国のある都市にコマを置いてようやく目的達成できた!と喜ばれてました。
が、それは喜ばしいこととして、なんか大変なことが起こったような…。
この最後にコマを配置した都市には、”本トークン”が置かれていて、コマ配置時に獲得できます。本トークンにはリソースが獲得できたり、即時アクションができるものなど色々効果があるのですが、そのなかに紋章トークンと同じ効果のものがあります。
そして、しのぽさんが引いた本トークンにはローマ帝国の紋章が。
しのぽさんはこれまでにもダイス効果でローマ帝国の紋章を1つ獲得されていたのでマジョリティ争いではコマ数+2になりました。
んんんん?とちょっと慌てて数を数えてみたところ、しのぽさんのコマ数は3個なので紋章を入れてもまだ5つ。僕の6つにはぎりぎり達してませんでした。
自分がパス抜けした後で逆転されたら洒落にならんかったですよーとか言いながら、ラウンド終了時の処理に。
ラウンド終了時には、パス抜けした順番で勝利点やリソースなど各人1つずつもらえます。これは先に取られると同じものは取れません。先抜けすると欲しいものが取れるというようになってます。
一番先に抜けたぐんまさんは目的カードの達成にかかわっているようで、新しく都市を任意の国に作り出すものを選択。たる田さんはマジョリティ争いの得点にボーナス点を追加するクレストを獲得。ローマ帝国は都市数が多く、マジョリティ争いに参加するためにそれなりのリソースを割かなければならないためかクレストのボーナス点が大きく、正直欲しかったのですが、取られたものは仕方ないということで、僕は目的カードを引くことに。
そして最後にパス抜けしたしのぽさんはNPCコマを任意の都市において独身コマを結婚させることのできるものを選択。
この時も結婚祝いのダイスは振られますが、切り分けは発生せず、自分の好きな2つを選ぶことができます。
しのぽさんの振った目は…。

なんと子供が産まれるとローマ帝国の紋章獲得の目が!(ともに6面ダイスに1つしかない目なので1/36の確率です)
しのぽさんは当然これを選択して一気にローマ帝国のマジョリティ争いにコマを2つ追加。これで僕が6つ、しのぽさん7つと逆転!
そりゃあ、ねえぜえええええええと大変落胆しましたが、目的カードからの点数、マジョリティ争いの争いの点数も入れていくと、なんとしのぽさんが1点差でぐんまさんをまくって勝利!
ローマ帝国のマジョリティ点が最後のしのぽさんの手番まで、僕15点、ぐんまさん8点、しのぽさん0点だったのが、最終的には、しのぽさん15点、僕8点、ぐんまさん0点と大きく点数が動いての逆転だったので劇的というか…。
ぐんまさんは合計20点くらいになる目的カード2枚を達成したつもりになって実は達成条件を満たしてなかったという悲劇もあったりしましたが、最後、かなり低い確率から本トークンでローマ帝国を引き当て、さらに1/36のダイス目を振って逆転されたしのぽさん。お見事でした!

(ゲーム終了時)
ちなみに、3位、4位だったたる田さんと僕の感想戦ひとこと目は、「(プレイ内容的には負けた気がしないので)全く悔しくないな!」でしたw。
さすがハンス!傑作!といっても過言ではない面白さでした。
勝ち負けに関しては正直なところ運要素も大きいんですが、リソースの手に入りにくさ、カードによるアクションの制限、ボードの狭さ(コマ配置箇所の唯一無二さというか)などなどが絶妙で、いま手元にある手札やリソースをもとにどう自分の理想に近いプレイ(コマの配置)ができるかを計画して実行するのが非常に楽しいゲームでした。
リソース獲得して、(ワーカープレイスメントとか、カードプレイとかで)制限のあるアクションをうまいことやりくりして、得点していくというゲームは腐るほどあるわけで、別にこのゲーム独自のものというわけではないです。
では、何がこのゲームを特別面白く感じたのかというと、”盤面の狭さ”じゃないかと思います。最終ラウンドにマジョリティ争いのためにとにかくなんでもどこでもコマを置きたい!という時を除けば、ほとんどの場合で、「この都市でないと困る」ケースですし、選択肢がある時もボード全体で2,3個、しかもいくつかはもう埋まってるということが多いです。
なので、急いでコマを配置しないとならない→コマ配置のための計画実行難易度が高い&急がないとならないように思える→焦る→無事配置!→やったぜ!みたいな。
あと、全ての都市でコマを配置する際、婿と嫁にリソースの差(婿は黒リソース1個に対して、嫁は白リソース2個とか)があるのに対して、一部の目的カードを除けば婿でも嫁でも目的達成する際には関係ないというのも、達成はちょっと難しいがそれなりのバックもあるAコースと、達成はちょっと簡単だけどバックもそれなりのBコースのように計画立てる選択肢ができて計画立案のしやすさや楽しさを増していたり、他プレイヤーに置きたい場所に先置きされた際のリカバリーを容易にしてたりと、ゲーム全体が優しい作りなのもポイント高いです。
交易のリソースやダイスの「ケーキの切り分け」も、ランダムに出てきたリソースやダイス目をどんな場面でも一方が得し過ぎないように人間がコントロールする仕組みとして取り入れられてるのも、こういう手があるのかと思わされました。
「ケーキの切り分け」を主眼においたゲームって、例えばセットコレクション点に傾斜がついているなどの形でプレイヤー間での価値の違いを作り、それによって不平等な切り分け(1:5とか)でも成立する場面があったりもしますし、それが悩ましさの元になっている面もあるんですが、大抵、”全部同じくらいの価値”になってしまうことが多いんですよね。
その”全部同じくらいの価値”に人間が分けるのを運要素の軽減方法として使われてるのはうめえなあと。
まあ、それでも分ける方は、ほんとこの分け方でいいの!?って「ケーキの切り分け」独特の悩ましさにやられるのは同じなんですけど。
「ケーキの切り分け」で分け合う2人の間では出来るだけ差が大きくならないような作りになっているといっても、前述のとおり、勝ち負けはダイスの運要素がかなり大きいです。ダイス3つともカスみたいな目になることもあれば、3つともすごい良い目というのがもちろんありますし、何故か、こういうのって偏るんですよね。今回のゲームでもたる田さんが絡んだ時の目とぐんまさんが絡んだ時の目では全然価値が違ってました(具体的に言うとぐんまさんはダイスから目的カードを、3枚前後は取っている一方でたる田さんは1枚も目的カード無しだったり)。
まあ、ダイスに関して言えば、切り分け後にダイスを2つ取る側のほうが圧倒的に強いのは確かなので、婿や嫁コマの配置時に(今回のぐんまさんのように)大きいスペースばかりにコマを置いて運の偏りを減らす手も有ります。
運要素に関しては、プレイ時間もそれほど長くないですし、絶対に俺は勝ってやるぞ!!!とか思って遊んでるわけでもないですし、上記の通り、計画をうまいことやって大きいスペース中心にコマを置けば軽減される問題なので、それほどマイナス点とは思ってません。
それでも一応、不満もあります。僕はもともとハンスのプレイヤーに自由にやらせてるようで、その実、デザイナーが敷いたレールの上を走らせるような作りはあんま好きではないのですが(自分が勝手に思ってることなので、あんましっくりこない方ばかりかもしれませんがw)、前述の”盤面の狭さ”も初期目的カードの都市をプレイヤー間で被らせることなどで煽ることによって実際のボードの作り以上にプレイヤーに意識させてる(焦らせている)という面もあり、ハンスの手の上で踊らされてるなあというのは、正直気に入らないです。
気に入らないですが、それでも魅力のほうが上回って、早くリプレイしたいなーと思わせてくれるタイトルでした。
ダイナスティ

今回はぐんまさんが個人輸入されていたハンスの新作であるこちらを。
テーマは政略結婚で、中世ヨーロッパを舞台に各国に自分の一族の人間を送り込んでマジョリティ争いをするゲームです。
プレイヤーは手番に手札を1枚プレイしてそのカードに書かれたアクションの中から1つを選択して実行します。これを全員がパス抜けするまで時計回りに実行します。手札は使い切る必要はなく、次ラウンドに持ち越すこともできます。
その後、ラウンド終了時の処理をしたのち、手札が補充され、次ラウンドに…というのを規定ラウンド繰り返し、勝利点の高いプレイヤーが勝利します。
カードに書かれたアクションは基本的には、婿を決める、嫁を決める、交易する、有力者の力を使うのうちのいずれか2つと、スペシャル効果の3つです。カードプレイ時にはその中から1つを選択します。交易以外のアクションには対応するリソースがあり、それを規定数支払う必要があります。

(手札にはアイコンが3種類とスペシャル効果が書かれています)
たる田さん、しのぽさん、ぐんまさん、僕の4人で。
ゲーム開始時にハンスお得意の目的カードが2枚ずつ配られます。このカードには都市名が2つずつ書かれており、その都市の婿か嫁に自コマがおいてあれば得点になります。

(僕に配られた初期目的カード。ちなみに都市名が指定されているのは初期目的カードだけで、ゲーム中に手に入る目的カードは、「あるリソース数が現時点でトップ」とか、「ボード上に嫁としておいたコマ数×○点」みたいなのです)
まず、婿と嫁ですが、ボード上の各都市に婿スペース、嫁スペースがあります。対応するアクションの書かれたカードをプレイし、置きたいスペースに書かれたリソース(婿なら黒、嫁なら白のリソース)を支払って自コマを置きます。当然、各都市には婿1スペース、嫁1スペースしかなく、また、置かれたコマをどかすことはできないので目的カードを達成したければ先に置く必要があります。
正直、僕はハンスの目的カードによるゲームバリエーションの付け方は好きではないのですが、今回、お、と思ったのが2点。
まず1点目、ゲーム中にも目的カードを手に入れる機会がありますが、ラウンドを持ち越せる枚数に制限があったり、ゲーム終了時だけでなくラウンド終了処理中に得点化することができたりと、得点機会がゲーム終了時だけではなくなっている点。このため、”その時点で”あるリソース数がトップであることでX点だったり、ラウンド1なら1コマ5点、ゲーム終了時なら1コマ3点みたいなのがあります。
(でも、ゲーム開始時の目的カード、都市2つにコマを置くというのはどれも変わらないのにコマを置く際に支払うリソース数によって得点に(数点ではありますが)差がつけられてるのは納得いかないですがw)
2点目は目的カードから得られる点が低くなっていることです。得点機会はだいたい以下の4つで
・1,2ラウンド終了時、各都市に置かれた独身(婿or嫁が単体)のコマ
・結婚(1都市の婿、嫁の両スペースが埋まった)時に振られるダイス
・目的カード
・ゲーム終了時、各国においてるコマによるマジョリティ
たいていのゲームだと目的カードとか最後のマジョリティの得点が大きいんですが、ダイナスティでは特に目的カード1枚当たりの点数が低めに抑えられているように感じました(そうはいっても大きく得点源ではあるんですけど)。
まあ、ともあれ、特に指針もないし、ラウンドを跨げる目的カードの枚数も制限があるので、とりあえず最初にもらった目的カード達成に向けて動こうとしましたが、初期にもらえるリソースだと目的カード達成に全然足りないので、リソースを取ることにしました。
リソースを獲得する方法はいくつかあるんですが、運の要素なしで取れるのは、交易アクションを行うか、有力者の力を借りるかの2択。
そのうち、有力者の力を借りるは対応するアクションの書かれたカードをプレイし、青のリソースを支払うことで実行できます。
いわゆる特殊能力タイルというのがランダムに並べられており、そのうち1つを実行できます。内訳は、交易船から1つずつリソースをとったり、他人からリソースを奪ったり、アクションカードを2枚新たにもらったり、黒白リソースなしで婿or嫁コマを置けたりなどなどと結構強いです。
交易は、ボード上に3つある交易船から1つに自コマを置きます。交易船にはリソースが5コマ置かれています。ただし、プレイヤーのコマが1つしか置かれてない時点ではリソースは獲得できません。最初に置いたプレイヤー以外がコマを交易船に置くと、あとから置いたプレイヤーが交易船に置かれたリソースを2つにわけ、先にコマを置いていたプレイヤーが好きな方を取るといういわゆる「ケーキの切り分け」が行われ、ようやくリソースが獲得できます。

(交易船にはリソースが置かれ、各船にプレイヤーがコマを2つ置くと分配がはじまります)
各有力者は1ラウンド1回使われると自ラウンドまで使用できなくなるので、リソースを主に手に入れる方法は交易になります。
なるんですが、上記の通り、自分の手番にすぐに手に入るわけではないですし、手に入ったとしても、「ケーキの切り分け」が行われるので、交易ではある色のリソースを集中して手に入れることはほぼできません。黒や白はたいていの都市で同色のが2つとか3ついるので、まとめて渡すようなことはあまりされないのです。
そんな中、有力者タイルで各交易船から1つずつ好きなリソースを取れるフランシスドレイクを選んだたる田さんが、まとまって同じ色のリソースを手に入れて、他プレイヤーに先んじてパリに嫁を送り込みます。
都市には王冠マークのつくものがあり、その国の全ての王冠マーク付き都市に自コマを置いていればゲーム終了時にボーナスがもらえます。そして、この王冠マーク付きの都市の数は国によって異なっており、なんとフランスはたる田さんが置いたパリのみ。
これでたる田さんは王冠ボーナスの7点(ここの点はゲームごとに異なりますがだいたいこんなもんです。あと、目的カードからは10点前後もらえます)を獲得。
パリが得点的においしいのは、当然みなさん把握しており、続けてぐんまさんがパリの婿側のスペースにコマを置いて結婚成立!
結婚が成立するとおめでとうございます!ということでご祝儀のダイスが振られます。実は婿スペース、嫁スペースには大小があり、小さいスペースにコマをおいたプレイヤーがダイスを振り、そのあと、2つと1つに「ケーキの切り分け」を行い、大きいスペースにおいてたプレイヤーが好きな方を取り、残ったのを小さい方においてたプレイヤーが獲得します。
そして、このダイスが強い!運次第なので必ずしも強いわけではないですが、勝利点で5、6点もらえる目や、目的カードを手に入れる目、ゲーム終了時のマジョリティ勝負時にコマ数+1する紋章がもらえる目などなど、3種類のダイスの18個の目の中に半分かそれ以上くらい強い効果の目が入ってます。
(まあ、政略結婚のゲームなので結婚したらご褒美が強力ってのはわかるんですが)
そして、僕としのぽさんもウィーンにコマを置きあって結婚。僕としのぽさんもダイスの恩恵を受けました。
ダイス効果が強いですし、結婚成立しなくても1ラウンド終了時に盤面に置かれていた独身の婿コマ、嫁コマから得点できるので結婚に向けたアクションを行うべきではあるんですが、前述のとおり、リソースが足りないので僕は1ラウンドはしゃがみ気味でしたが、僕以外の3方はカードのスペシャルアクション「金色のリソースを支払うとカードに指定された都市に婿or嫁コマが置ける」も使うことで2,3都市にコマを置かれてました。
いや、これはまずいなーと思いはするものの、貴重なアクション回数やリソースを無駄に使うわけにもいかないので我慢しました。どうも3方はうまいこと目的カードにあった都市におけるカードを持っていたようです。
そして2ラウンド目開始。1ラウンド目に溜めたリソースでようやく都市にコマを置いていけるので、どの都市にどの順番で置くかを考えます。ダイス効果が強いので婿、嫁問わず大きいスペースの方にできるだけ置くべきだよなと思いつつ、その分のリソースも確保できていることを確認し、使うカードはこれだなーと手番を待っていると、僕の目的カードに指定されている都市の大きいスペースに上家のぐんまさんがコマを配置されました。
ぐんまさんがその都市に置かれたのはたぶん目的カードの目的地だったためでしょうし、初期目的カードの目的地が3人以上で被っているとは考えにくいので、僕の目的地になっている都市にぐんまさんにコマを置かれたとしても焦る必要はないとは思いました。思いましたが、各都市には婿、嫁が1つずつしか置くことはできないので、もうひとりどなたかがその都市にコマを置くと僕の目的カードは達成不可能になってしまいます。
それはさすがに避けたかったので、この手番に置こうとしていた都市から変更して、つい先ほどぐんまさんがコマを置いた都市にコマを置きました。
まあ、いま置こうとしてた都市には次手番でコマを置けばいいや…と思っていると、下家のたる田さんがその都市の大きい方のスペースにコマを配置w。
さすがに、ええええええーーーーと思わず口に出してしまいましたw。
しかも、この2都市はともに嫁側が大きいスペースだったので僕は嫁コマを置くための白いリソースをためていましたが、どちらもおさえられてしまったので、婿側に置くための黒いリソースが必要になってしまいました。
幸い、2つで任意の色1つとして使えるピンクのリソースがいくつかあったので、それを使ってコマを配置しましたが、えらく計画が変わってしまいました。
とはいえ、手元に白いリソースが残っていることには変わりないので、このリソースを使って空いてる嫁スペースにコマをどんどん配置しました。
そして最終3ラウンド目に突入です。
前述のとおり、主な得点源は目的カードと結婚時のダイスと、そして各国のマジョリティです。
さすがにここまでくると誰がどの国を取れそうかはわかります。
たぶん初期の目的カードで指定された都市に配置してる間に、ここの国のマジョリティとれそうだから、目的カード関係ないけどコマおいといくかという流れになっているかと思うのですが、イギリスはしのぽさん、スペインとフランスがたる田さん、そしてローマ帝国は僕、ぐんまさんは大きいスペースには数多く置いているものの全体のコマ数は少な目でボード上のコマでマジョリティを取っている国はなしという状況でした。
前述のとおり、各国の王冠マーク付き都市すべてにコマを置くとボーナス点がもらえ、フランスはパリ1都市のみですが、ローマ帝国は4都市も王冠付きがあり、僕は目的カードでそのうち1都市にコマを置いたついでに他の王冠付き3都市にもコマをおき、他にの都市にもコマを置いていたので、2ラウンド目開始時点でローマ帝国内に合計6個もコマがありました。次点が2個のぐんまさんだったので、まあ、逆転狙うような無駄なリソースを突っ込む人はいないだろうし、いてもその都度僕もローマ帝国内にコマをおけば大丈夫だろうと思ってました。
しかし、よく見るとぐんまさんの手元には紋章トークンがたくさん!紋章トークンはゲーム終了時のマジョリティを見る際にコマ1つと同等の扱いになります。
ぐんまさんは大きいスペースにコマを置くことが多く、結婚時のダイスボーナスをたいてい2つ獲得されていたのでたまっていたようです。ぶっちゃけマジョリティ争いはローマ帝国以外に興味がなく、6個もおいてれば大丈夫だろうと紋章トークンはノーマークでした。紋章トークンを入れるとぐんまさんはローマ帝国では僕とコマ2つ差、フランスではたる田さんを抜いてマジョリティトップでした。コマ2つ差というのも、1つコマを置いて、その結婚でふったダイスに”子供が産まれる”目がでて子供コマも置かれると一気に追いつかれてしまいます。
さすがにここは守らねば!と思いはしますが、それでも一気に追い抜かされるわけでもないので、まだぐんまさんの動きを見てからでいいやと別のことをやることにしました。
強力な有力者の力を借りるアクションも使いたかったのですが、なんとこのラウンド開始時に補充された僕の手札にはそのアクションを行えるカードは全くなし!
まあ、逆に迷うことなく淡々とリソース補充とコマ配置をやればいいということでもあります。
ローマ帝国以外のマジョリティ争いのトップを取るのは難しいですが、フランス、イギリス、スペインともにうまいこといけば2位ならなんとか狙えそうです。幸い手番は最後だったのでみなさんの動きを見て、するっと2位に滑り込むようにコマをおいていきます。
なんとかフランス、イギリスでマジョリティの2位を、ローマ帝国で1位を取れる状況で手札がきれたので僕はパス抜け。
手札を増やすアクションを行ったしのぽさんだけが最後まで残ってアクションをされてました。
しのぽさんはまだ初期の目的カードを達成されておらず、最後のアクションでローマ帝国のある都市にコマを置いてようやく目的達成できた!と喜ばれてました。
が、それは喜ばしいこととして、なんか大変なことが起こったような…。
この最後にコマを配置した都市には、”本トークン”が置かれていて、コマ配置時に獲得できます。本トークンにはリソースが獲得できたり、即時アクションができるものなど色々効果があるのですが、そのなかに紋章トークンと同じ効果のものがあります。
そして、しのぽさんが引いた本トークンにはローマ帝国の紋章が。
しのぽさんはこれまでにもダイス効果でローマ帝国の紋章を1つ獲得されていたのでマジョリティ争いではコマ数+2になりました。
んんんん?とちょっと慌てて数を数えてみたところ、しのぽさんのコマ数は3個なので紋章を入れてもまだ5つ。僕の6つにはぎりぎり達してませんでした。
自分がパス抜けした後で逆転されたら洒落にならんかったですよーとか言いながら、ラウンド終了時の処理に。
ラウンド終了時には、パス抜けした順番で勝利点やリソースなど各人1つずつもらえます。これは先に取られると同じものは取れません。先抜けすると欲しいものが取れるというようになってます。
一番先に抜けたぐんまさんは目的カードの達成にかかわっているようで、新しく都市を任意の国に作り出すものを選択。たる田さんはマジョリティ争いの得点にボーナス点を追加するクレストを獲得。ローマ帝国は都市数が多く、マジョリティ争いに参加するためにそれなりのリソースを割かなければならないためかクレストのボーナス点が大きく、正直欲しかったのですが、取られたものは仕方ないということで、僕は目的カードを引くことに。
そして最後にパス抜けしたしのぽさんはNPCコマを任意の都市において独身コマを結婚させることのできるものを選択。
この時も結婚祝いのダイスは振られますが、切り分けは発生せず、自分の好きな2つを選ぶことができます。
しのぽさんの振った目は…。

なんと子供が産まれるとローマ帝国の紋章獲得の目が!(ともに6面ダイスに1つしかない目なので1/36の確率です)
しのぽさんは当然これを選択して一気にローマ帝国のマジョリティ争いにコマを2つ追加。これで僕が6つ、しのぽさん7つと逆転!
そりゃあ、ねえぜえええええええと大変落胆しましたが、目的カードからの点数、マジョリティ争いの争いの点数も入れていくと、なんとしのぽさんが1点差でぐんまさんをまくって勝利!
ローマ帝国のマジョリティ点が最後のしのぽさんの手番まで、僕15点、ぐんまさん8点、しのぽさん0点だったのが、最終的には、しのぽさん15点、僕8点、ぐんまさん0点と大きく点数が動いての逆転だったので劇的というか…。
ぐんまさんは合計20点くらいになる目的カード2枚を達成したつもりになって実は達成条件を満たしてなかったという悲劇もあったりしましたが、最後、かなり低い確率から本トークンでローマ帝国を引き当て、さらに1/36のダイス目を振って逆転されたしのぽさん。お見事でした!

(ゲーム終了時)
ちなみに、3位、4位だったたる田さんと僕の感想戦ひとこと目は、「(プレイ内容的には負けた気がしないので)全く悔しくないな!」でしたw。
さすがハンス!傑作!といっても過言ではない面白さでした。
勝ち負けに関しては正直なところ運要素も大きいんですが、リソースの手に入りにくさ、カードによるアクションの制限、ボードの狭さ(コマ配置箇所の唯一無二さというか)などなどが絶妙で、いま手元にある手札やリソースをもとにどう自分の理想に近いプレイ(コマの配置)ができるかを計画して実行するのが非常に楽しいゲームでした。
リソース獲得して、(ワーカープレイスメントとか、カードプレイとかで)制限のあるアクションをうまいことやりくりして、得点していくというゲームは腐るほどあるわけで、別にこのゲーム独自のものというわけではないです。
では、何がこのゲームを特別面白く感じたのかというと、”盤面の狭さ”じゃないかと思います。最終ラウンドにマジョリティ争いのためにとにかくなんでもどこでもコマを置きたい!という時を除けば、ほとんどの場合で、「この都市でないと困る」ケースですし、選択肢がある時もボード全体で2,3個、しかもいくつかはもう埋まってるということが多いです。
なので、急いでコマを配置しないとならない→コマ配置のための計画実行難易度が高い&急がないとならないように思える→焦る→無事配置!→やったぜ!みたいな。
あと、全ての都市でコマを配置する際、婿と嫁にリソースの差(婿は黒リソース1個に対して、嫁は白リソース2個とか)があるのに対して、一部の目的カードを除けば婿でも嫁でも目的達成する際には関係ないというのも、達成はちょっと難しいがそれなりのバックもあるAコースと、達成はちょっと簡単だけどバックもそれなりのBコースのように計画立てる選択肢ができて計画立案のしやすさや楽しさを増していたり、他プレイヤーに置きたい場所に先置きされた際のリカバリーを容易にしてたりと、ゲーム全体が優しい作りなのもポイント高いです。
交易のリソースやダイスの「ケーキの切り分け」も、ランダムに出てきたリソースやダイス目をどんな場面でも一方が得し過ぎないように人間がコントロールする仕組みとして取り入れられてるのも、こういう手があるのかと思わされました。
「ケーキの切り分け」を主眼においたゲームって、例えばセットコレクション点に傾斜がついているなどの形でプレイヤー間での価値の違いを作り、それによって不平等な切り分け(1:5とか)でも成立する場面があったりもしますし、それが悩ましさの元になっている面もあるんですが、大抵、”全部同じくらいの価値”になってしまうことが多いんですよね。
その”全部同じくらいの価値”に人間が分けるのを運要素の軽減方法として使われてるのはうめえなあと。
まあ、それでも分ける方は、ほんとこの分け方でいいの!?って「ケーキの切り分け」独特の悩ましさにやられるのは同じなんですけど。
「ケーキの切り分け」で分け合う2人の間では出来るだけ差が大きくならないような作りになっているといっても、前述のとおり、勝ち負けはダイスの運要素がかなり大きいです。ダイス3つともカスみたいな目になることもあれば、3つともすごい良い目というのがもちろんありますし、何故か、こういうのって偏るんですよね。今回のゲームでもたる田さんが絡んだ時の目とぐんまさんが絡んだ時の目では全然価値が違ってました(具体的に言うとぐんまさんはダイスから目的カードを、3枚前後は取っている一方でたる田さんは1枚も目的カード無しだったり)。
まあ、ダイスに関して言えば、切り分け後にダイスを2つ取る側のほうが圧倒的に強いのは確かなので、婿や嫁コマの配置時に(今回のぐんまさんのように)大きいスペースばかりにコマを置いて運の偏りを減らす手も有ります。
運要素に関しては、プレイ時間もそれほど長くないですし、絶対に俺は勝ってやるぞ!!!とか思って遊んでるわけでもないですし、上記の通り、計画をうまいことやって大きいスペース中心にコマを置けば軽減される問題なので、それほどマイナス点とは思ってません。
それでも一応、不満もあります。僕はもともとハンスのプレイヤーに自由にやらせてるようで、その実、デザイナーが敷いたレールの上を走らせるような作りはあんま好きではないのですが(自分が勝手に思ってることなので、あんましっくりこない方ばかりかもしれませんがw)、前述の”盤面の狭さ”も初期目的カードの都市をプレイヤー間で被らせることなどで煽ることによって実際のボードの作り以上にプレイヤーに意識させてる(焦らせている)という面もあり、ハンスの手の上で踊らされてるなあというのは、正直気に入らないです。
気に入らないですが、それでも魅力のほうが上回って、早くリプレイしたいなーと思わせてくれるタイトルでした。