大鎌戦役/Scythe

(インスト込みで5人で2時間半ほど)
【概要&ルール】
メック(ロボ)と農民が共存するマルチゲーム。でっかい動物とおっさんもいるぞ。
プレイヤーはある一国を担当し、最も国を盛り上げることを目指します。
終了条件を満たすまで時計回りに手番を行います。手番にはプレイヤーは個人ボード上のアクションスペースひとつにワーカーを置き、そこに書かれたアクションを実行します。
各アクションスペースにはふたつずつアクションが書かれており、アクションスペースの上側に書かれたもの、下側に書かれたものの順に実行します(順番は固定ですが実行しなくても構いません)。

(こんな感じになってます。このアクションスペースは上側が『生産』、下側が『改善』で、赤アイコンがアクション時に支払うコスト、緑アイコンがもらえるものです)
上側のアクションは、自コマを1マス動かす『移動』、3種類の自コマ(ワーカー、メック、キャラクター)のうちワーカーのいるマスを指定して資源を得る『生産』、規定数の資源を買う『交易』、戦力を増やす『軍備』の4種類、下段のアクションは、上段アクションでもらえるものを増やして、同時に下段アクションのコストをさげる『改善』、建物を建てる『建築』、メックを作る『配備』、自分&隣接プレイヤーが該当アクションを行った際に金などがもらえるようになる『徴兵』の4種類です。
どの上段アクションとどの下段アクションが同じアクションスペースにあるかはプレイヤーごとに異なります。
また、『移動』で他プレイヤーのコマがいるマスにも、メックまたはキャラクターなら進めることができます。この際、他プレイヤーのコマもメックかキャラクターの場合、戦闘が発生します。戦闘は戦力と戦闘カードをいくつ使うかを秘密裏に決めて、一斉公開して勝者を決めます。
勝った側は相手側のコマにワーカーが含まれていれば、その数だけ民心を下げ、負けた側は本拠地までコマを戻さなければなりません。
民心はゲーム終了時の得点計算における倍率に影響します。
ゲームには星トークンを配置する条件(改善を6回行うや、戦闘に勝利するなど)が10個設定されており、ひとりのプレイヤーが6個達成(星トークンを配置)したらゲーム終了で、配置済みの星トークン数、自コマが置かれているエリア数、持っている資源数に民心に応じた倍率をかけて点数計算し、最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
一味さん、如月さん、ノンさん、ひげさん、僕の5人で。
ゲーム開始時に国と個人ボードがランダムで決められ、僕は黒国を担当することになりました。
国の本拠地は決まっており、僕の黒国から時計回りに、白国(ひげさん)、青国(如月さん)、赤国(ノンさん)、黄色国(一味さん)という並びです。
国には特殊能力があり、僕の黒国は、星トークン配置条件である、「目的カードを達成する」と「戦闘に勝利する」の配置上限がとっぱわれます(他の国は目的カードは1回のみ、戦闘は2回のみ達成可能(星トークン配置可能)です)。
他には赤国は続けて同じアクションスペースを選べるとか、青国はワーカーが川を渡れるとかなどなどです。
各国共に本拠地とそこに隣接する2エリアにコマがある状態からスタートするのですが、その2エリアに隣接する1エリアを加えた3エリアはどの国も川に囲まれています。川は通常はどのコマも渡ることができないため、メックを配備して渡河能力を開放するか、建設で鉱山を建てて川を越えた先のトンネルにつなげるしかありません。
そんなわけでまずは自分の本拠地周りの3エリアでちょこちょこと資源集めて、ある程度国が発展してから中央へ進んでいくという流れに自然となります。
このゲームの『生産』アクションで手に入るものは、金属、食料、原油、木材、ワーカーの5種類です(ワーカーも資源と同じ『生産』アクションで増えます)。何が『生産』できるかはエリアの地形に依存している(山で金属、畑で食料とか)ので、最初の3エリアによって各国で『生産』できるものが異なります。
僕の国の最初の3エリアで取れるのは、金属、原油、ワーカー。そして、僕の個人ボードの上段、下段のアクションの組み合わせでは『生産』アクションの下に、原油を消費する『改善』アクションがあります。
(ワーカーを除く4種の資源は4種の下段アクションに対応しており、下段アクション実施に対応する資源を支払う必要があります。『建築』なら木材、『配備』なら金属とかです)
これは、生産してその資源をすぐに下段アクションで使えるって国の立地と個人ボードがかみ合ってていい感じなんじゃない?
と心の中でにやにやします。
最初は村にワーカーを集中させてワーカーを増やし、それを山地やツンドラに送り込んで原油と金属を生産しまくります。
アクションスペースでいうと、『生産』と『移動』を交互にやる感じです。
ワーカーを増やすと『生産』に必要なコストが増えて、戦力や民心を消費するようになるので『軍備』なども挟みながら。
キャラクターを遭遇トークンのあるエリアに移動させると、ちょっとしたものもらう、コスト払っていいものもらう、民心を減らしていいものをもらうという3択から1つを選択するイベントが発生するのですが、今回はこのイベントで民心がらもらえたため、『生産』で民心が不足することがなかったのが大きかったです。

(イベントはこんな感じで、民と交流する、酒を渡して宴会を行う、民が飼っている動物を殺して食料にするみたいな感じでちょっとしたテキストがついてます)
僕は自分の国のとこに引きこもって淡々と『生産』していましたが、青国の如月さんはワーカーが川をこえられる特徴を活かして最初の3エリアの資源にこだわることなく、やりたいことをどんどんやっている感じで、最初にメックを開発して渡河能力を獲得、キャラクターを中央のファクトリーに送り込んでアクションスペースが1つ増えるファクトリーカードを獲得されてました。
ひげさんも白国の能力である遭遇時に3つから2つを選ぶことができるを最大限活かすべく、さくっと鉱山を作ってトンネルとつなげてからは、どんどん移動して遭遇を繰り返し、イベントの恩恵で国力を上げられていました。
ノンさんも僕と同じく最初の3エリアの資源で国を成長させて徐々に中央に向けて進出という思惑だったようですが、どうも進みたいエリアに如月さんがことごとくいるらしくちょっとどけてくれませんかとよく言われてましたw。
一味さんは隣の僕が戦闘で勝利する度に何個でも星トークンが置ける(通常は2個まで)とい特徴を持っていたせいか、戦力を優先して上げられてるように見えました。
当の僕は戦力消費して生産しまくってたので戦闘仕掛ける気はまったくありませんでしたが(その分他人に攻められると大変まずかったですが)。
本拠地周辺の3エリアで手に入らない資源を求めて中央に出て行ってからはいつ攻め込まれるか冷や冷やしてました。『生産』のためにワーカーを大量に連れて行ってたので、民心を3,4段階も落とすのは痛いということで他国からすれば攻め込むという選択肢はなかったようですが。
戦力捨てて『生産』中心にアクションをまわしてたおかげで、資源を消費して行うアクションに関する星トークンも順調におけていきました。最後の得点計算の倍率のために民心をもうちょっとあげたいなー。そうすると、まずここのアクションやって、こっちやって…、民心の倍率がもう1段階上にあがるのは3,4ラウンド後になるかと思いながらよくよく個人ボードを見ると、この手番で6個の目の星トークンを置いてゲームを終わらせられます。
倍率上げて磐石にしたい気持ちもありましたが、他プレイヤーはまだ2,3個しか星トークンを置いてないので星トークン以外の土地や資源、あと今の手持ちのお金(勝利点)が同じくらいなら倍率上げなくても勝てます。
星トークンはやろうと思えば1手番に3つ置けるので一気にまくられる可能性もあり、終わらせるのが得策だろうな…と終了トリガーをきろうとしたら、各国から一斉にブーイングがw。
これやって、ここで作ったこれを使ってあれやって、今度はそれができるようになるから…と計画が描き易く、計画通りに進めて国が充実してくるのが楽しいゲームなので、それを途中でぶちきられるのは嫌なのはよくわかるし、僕も点数伸ばせるしいいかということで終了トリガーきらずに1ラウンドだけ続行。
次手番でまたブーイングされましたが、もういいでしょ!?ということで終了トリガーをきって終了。事前の思惑通り、星の数の差で勝つことができました。
【感想】
戦闘要素ありますし、戦闘で勝てば色々メリットもあるしで、一見地政学マルチゲーム的なんですが、内政中心に自分の国を成長させていくのが楽しい、その成長をどうすれば効率的にまわせるのかを計画するのが楽しい類のゲームです。
下段アクションの『改善』『建築』『配備』『徴兵』はいずれもそれなりに効果が大きく、成長した!とアクションの効果を毎回毎回実感できるため内政が楽しいです。
移動の制限がちょっと厳しめだったり、4人以上で遊ぶと案外マップが狭く、欲しい資源が他国と競合すると思うように取れなかったり(もうその資源がいらなくても移動の手がまわらなくてほったらかしにされてたりするのが非常に邪魔です)と、若干の難しさをこえて計画し、ちょっとした他プレイヤーの手で計画修正を余儀なくされて、それでもえいやっと計画をまわしていく。そんなとこが楽しいんだと思います。
前述のとおり、戦闘要素はあるんですが他のマルチゲームのように殴り合いが頻発したり、エリアに関して他国と協定を結んだりというようなことはあまりありません。
それは、最後の得点計算で民心高いほうが得点高くなる(民心最高と最低ではエリア点は倍、資源点は3倍も違う)ので、民心は高くしておきたいのに対して、戦闘でワーカーを巻き込むと民心が下がるというのが効いていて戦闘が起こりにくい…というようなことがルールブックに書いてあり、そのほかにも、戦力を戦闘で消費せずに最大まで貯めれば星トークンがおける、戦闘に3回以上勝っても直接得点にならない等など、戦闘が起こりにくい要素がいくつかあるから…と思ってたんですが、実際のところ、戦闘が起こらないのは、戦闘しなくても勝てるからですね。
地政学マルチで戦闘が中心になるのは、勝利条件や得点方法がある土地をおさえることだったり、空きエリアがなかったりと戦闘しないと始まらない作りになってるからで、大鎌戦役がゆるいマルチゲームになってるのは、戦闘が起こりにくい要素があるからよりも、勝利条件/得点方法の大半が戦闘を行わなくても達成可能なものだからだなと。
しかし、そうなると単に効率よく内政アクションを回したプレイヤーが勝つゲームになってしまいます。
個人ボードは全員異なるとはいえ、基本的な作りは同じですし内政だけの場合、他プレイヤーとのインタラクションが「行きたいエリアに誰かいる」のと「遭遇トークンを先にとる」くらいしかないんで、トップが何かしら失敗しない限り逆転できません。
前述のとおり、内政中心に計画をちゃんとまわすのも面白いんですが、それでいいんかいという思いになります。
じゃあ、どないすればいいんじゃいというと、やっぱ戦闘するしかないんですよね。
前述のとおり戦闘しにくい要素だらけのゲームではありますが、トップを止められる手段が戦闘しかないんで、他プレイヤーの状況を見て、内政の進み具合で負けてるプレイヤーは、淡々と内政を計画通りにまわすというそれなりに楽しい作業から抜けてトップ(に見えてる)プレイヤーを殴るというマルチゲームらしいことを始めないと勝てません。
(何度も書いてますが、内政まわすだけで楽しいんで、ずーっとみんなで内政やって、あー勝ち/負けましたねーでもいいんですけどね)
本拠地周辺の3エリアだけでは資源が不足するというのも前線にでてくるようシステムに強いられてますし、移動が結構大変なゲームでもあるので前線にいるトップを殴ればそれなりに手を遅らせられます。資源奪えるので『生産』の代わりに戦闘という考え方もできますし(民心のマイナスが勝利時に獲得できるものでまかなえるのかは難しいところですが)。
まあ、殴り合いを始めちゃうとゲームが長引きますし、平和なゲームの方が明らかに万人向きなのでトップをとめるために戦闘を吹っかけるとかは擦れたゲーマーで遊ぶ時だけでいいかもしれません。
箱絵にもメックとかいて、いかにも戦闘起こりそうな雰囲気のゲームではあるんですが、基本的には内政をどう計画してどう効率的にまわすかというゲームで、それだけで面白いので、「戦闘があるから(マルチだから)」と敬遠されるのはもったいないよく出来たゲームだと思います。