ヒット・ザ・ロード/Hit Z Road

(3人でインスト込み70分ほど)
【概要&ルール】
ゾンビが蔓延る世界でシカゴからロサンゼルスまで旅するロードムービーボードゲーム。
プレイヤーは何人かの生存者コマを持ち、規定ラウンド生き残ることが目的です。シカゴからロサンゼルスを目指して旅をしているという設定で、各ラウンドでカード2枚分旅していきます。
各ラウンド、人数×2枚のカードが公開され、そのうちどれを取るかを競りで決めます。競りで使われるのは王冠(ビンのフタの方)型のトークンで支払った数が多い人からカードを選んでいきます。

(競りは、右側の数字が書かれたトラックを使って行います。ソフトパス、全プレイヤーがパスした時点での数字分お金を払います)
カードには、得られるリソース(王冠やその他のアイテムトークン)、襲ってくるゾンビの数、得点、イベントテキストなどが書かれており、得点以外はただちに解決します。
ゾンビに襲われて場合、ダイスロールで解決します。生存者数分のダイスを振り、ゾンビを倒したり、生存者コマが死んだりをゾンビか生存者がなくなるまで続けます。手持ちの生存者コマがなくなったプレイヤーはゲームから脱落します。

(サイトマークがでればゾンビは倒せます。黒色ダイスではドクロマークがでて、なおかつ、やる気が支払えない場合に限り生存者が死にます。一発死亡の目がある赤色ダイスもあります)
全プレイヤーが競りで獲得したカードを解決したら、次ラウンドに進みます。最終ラウンドだった場合、まだ生存者コマを持っているプレイヤーの中で最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
如月さん、タムラさん、僕の3人で。
毎ラウンド競るカードは序盤、中盤、終盤の3種類あり、カードの山を作る際にその順に重ねているので徐々にゾンビが増えるような作りになっている…というのは想像がつきます。
しかし、全員初プレイで具体的なカード構成など知らないので、カードでもらえるリソースと同じくらいなら損はしないから…と1ラウンド目からそれなりに全力で競りにいきます。
カードからは王冠以外がもらえる場合もあるんですが、そのもらえる地図だったりバイオハザードマークだったりはもらった時には効果はわからず(※)、後から出てくるカード上で「地図を持っていればXX」のように指定されてます。
一部のアイテム効果はルールブックに載っていますが、大半は載っていないようです。まあ、使い方に色々種類があるわけでもないので2回目以降は全て効果はわかった状態で競るわけなんですが。
僕は効果はわからないけどもとっとけば何かしら面白いことが起こるだろうと、カードの素点はおいといて王冠やアイテムの獲得できそうなものを優先して取っていきました。
僕はチキンなのでしゃがんで競りから抜けるとかあまり出来ないんではじめの数ラウンドは常に1番手か2番手を取ってました。今回は幸いなことに、競りに全く王冠を費やさずにゼロで抜けるということを如月さん、タムラさんがそれほどせず、また、熱くなったプレイヤー2人がとんでもなくせり上げるということもなかったため、競りに費やした王冠数はほとんど差がつきませんでした。
王冠、王冠と書いてましたが、王冠は実は3種類あります。競りでお金として使う場合は種類を問わず同じものとして扱いますが、「ゾンビとの戦闘時2つ捨てることで先頭を回避できる”燃料”」、「ゾンビとの戦闘開始前に捨てることで遠隔攻撃できる(ダイスを振れる)”弾薬”」、「戦闘時、使用することで追加でゾンビを倒せたり、生存者死亡を回避できる”やる気”」と使うことで有利にゲームを進められます。
当然、競りで1番手、2番手を取れば王冠を多く使うんですが、如月さん、タムラさんはゾンとの戦闘前に結構”弾薬”として王冠を消費されてた&前述の理由もあり、なんだかんだで中盤くらいから王冠が一番多いのは僕になってました。
しかも、序盤で取っていたアイテムのトークンや競りの時に支払う王冠の種類の関係で、如月さん、タムラさんは競りの選択肢がどんどんなくなっていってしまうということが発生。
”弾薬”、”やる気”は戦闘で使うからと”燃料”を多めに支払われてたんですが、カードのイベントとして、燃料消費できなかったら生存者コマ1つ死ぬとか出てくるので、回避不能で1つ死ぬならゾンビとの戦闘を選ぶかなどなど、後半になると当然出て来るゾンビの数も増えるので戦闘でも厳して消費も激しくなりどんどんジリ貧に。
けれども、競りで勝とうにも王冠数で負けてしまっていて足元を見られるという負の連鎖。
最初に死亡者が出た如月さんが徐々に生存者を減らしていき、最序盤の伏線を回収する形で最後のひとりも死亡して脱落。
ミス・ダイナマイトを仲間に加え、最も多い生存者を誇っていたタムラさんも赤ダイス(団体ででくるちょっと強いゾンビ)の効果によって死亡者を出し、その後”やる気”も使い果たして最終ラウンド開始時には最後のひとりに。

(どんどん生存者が死んでいく(ドクロの目がでる)タムラさん)
僕は比較的楽なカードを競り落とせていたのと、ダイス目が走っていたこともありまだ一人も死んでません。
最終ラウンド、僕が最後のひとりまで生存者を減らしてしまうとか、最後のひとりになってたタムラさんが6体のゾンビを全て倒しきる(1ラウンドに競るカードは2枚なので2枚目のゾンビ戦ダイス1投目で死亡)という波乱もありましたが、無事にロサンゼルスまでたどり着いたのは僕のみということで僕の勝利で終わりました。

(ここまでに競り落としたカードを並べると雰囲気出ます。下段一番右の2枚は終了時に残していたリソース数トップがもらえる得点カードで、これをみるとロサンゼルスは天国のような土地だったようです(きっと続編で壊滅します))
【感想】
ダイスでゾンビでヒャッホー的なゲームです。
このゲーム、この世界にあるHit the Roadというボードゲームを加工したものという設定で、カードはトランプを流用したもののような見た目、手番順を表すタイルはポイントカードやクレジットカードなど、ばらばらのとにかくカード状のものに数字が書かれていたりと雰囲気作りに全力を注いでくれてます。それに加えて、カードに書かれた細かいフレーバーテキストが素晴らしく、淡々とゲームを進めるのではなく、ストーリーを感じさせてくれる作りになってます。
効果だけ見れば、同じカードはたくさんあります。例えば、ゾンビが5体現れるカードと生存者コマを1つ失う効果のカードは何枚かありますが、その中の1枚ずつにだけ、フレーバーとして「ゾンビどもは倒したがアーロンが怪我しちまった」と、「怪我が原因でアーロンが死んだ。安らかに眠ってくれ」とか書いてあり、アーロンの怪我カードを競り落としてた人からすれば、(同じ効果のカードが競り対象に並んでいても)アーロンが死んだカードを取るか取らないかは結構でかい選択肢になります。
生存者コマが増える効果にしても、この生存者はなんという名前なのかだとか、弾薬を手に入れるカードに今日は休んで弾丸作りさなどとゾンビから逃げつつの日常だとかが書かれてるというのが、カードを競り落として自分の手元に並べていくのが楽しいんですよね。
競りの時に場に並んだ時点で、こんなことがあんなことがとフレーバーをついつい読んで盛り上がっちゃいましたし。
ボードゲームをプレイ中に設定に乗っかった冗談(「この時代だったり食料手に入れるの超大変だから!」とか、まあ、そういうこと)を言ったり聞いたりした経験が多少なりともあるかと思うんですが、(まあ、言い過ぎなんですけど)ゾンビもの+ダイスというプレーヤーが入れ込みやすいテーマ&システムの上にさらカード間のつながりをフレーバーでもたせて、うまいことドラマを感じさせてくれるゲームです。
ボードゲーム的には肝心要のシステム部分は、下手にゾンビテーマにしてしまったためになんかおまけみたいになってしまったというか、主役から外れてしまっているように思います。
競りで使うお金をその後のダイスロールで特殊能力トークンとして使えるというのは、例えばクニツィアがのっけただけのテーマでゲーム化したなら、いいカードを競り落とすのに使った方がいいのか、それとも、競りでは節約して困った時に特殊能力として使えるようにしといた方がいいのかと、いい具合に悩ましい作りにしてくれるのではないかと思えるとても良い素材だと思うんですが。
思うんですが、このゲームだとほんと扱いが雑なんですよね。ゾンビが襲ってくるなら遠隔攻撃でぶちのめすのが当然だろ?くらえええええ(2金使って遠隔攻撃用ダイス4つを振る)とか、おらああ、燃料使ってゾンビどもを燃やしてやるぜえええ(2金を燃料として消費)とか。
競りか特殊効果か、もっと悩んでも良いような要素なのに勢いだけで決めてしまえるような雑さです。
それも、入り込めるテーマとそれにジャストフィットしたダイスロールというシステムを採用してるがためだと思うんですが、これ、デザイナー(ワレスです)がこういうアートワークでと指示したのか、パビリッシャーがこれなら受ける!とプロデュースしたのか、ちょっと気になりますw。