ロールプレイヤー/Roll Player

(4人でインスト込み1時間ちょっと)
【概要&ルール】
あなたは選ばれた勇者である!壮大な冒険に旅立ち、帯びた使命を果たさなければならない。
さあ、まず初めにやることは、王様に会いに行くことか?それとも武器や旅の必需品を買いに行くことか?酒場で最初のクエスト(きっとゴブリン退治)を受けることか?
いやいや、それよりなによりキャラクターメイクですよね。
電源、非電源を問わずRPGの最初にやるべき(勝手にやられてる場合も多々ありますが)キャラクターメイキング。その部分だけを抽出したゲームです。
ガントレット・オブ・フールズやダンジョン・オブ・マンダムみたいに冒険の前段階の装備を決めたりキャラクター性能を作るとこからゲームになっているゲームはいくつかありますが、それらのゲームはそのあと、そのキャラクターで冒険に出かけるというフェイズがあります。
しかし、ロールプレイヤーは、本当に「キャラメイク部分だけ」のゲームです。キャラメイクが終わったらゲーム終了です。
1. セットアップ
ゲーム開始時に自分の種族(人間、エルフ、ハーフリング、竜人などなど)を決めて対応する個人ボードを取ります。
この個人ボードには、力や敏捷度、体力など6つの能力値の枠が用意されています。

(こんな感じ)
次に職業カード、アラインメントカード、バックストーリーカードをランダムに取ります。
職業カードは裏表があり(シーフとローグ、バードとレンジャーのように方向性が同じ職業がカードの表裏に記載されています)、どちらにするかはプレイヤーが決めます。
背景カードも既定枚数配った後、好きな1枚を選びます。
職業カードには各能力値の目標値と達成時の点数(ローグなら敏捷度が18あれば4点、カリスマは15~16であれば2点など、全能力値に設定されています)、アラインメントカードには属性(善、悪、秩序、混沌というあれ)状態での点数(中立なら3点とか、悪だとマイナス点とか)、バックストーリーカードにはどういう経歴を持っているのかとともに能力値の特定の位置に特定の色のダイスを配置した際の点数が書かれています。
基本的に、これら3種のカードがプレイ時のダイスを取る方向性が決まります。
その後、初期配置として袋からランダムに取り出した既定数のダイスを振ってから各能力値に割り振り(個人ボードに配置し)、お金を既定数受け取ってからゲームスタートです。
2.ゲーム中の手順
手番プレイヤーが既定数のダイスを振り、場に並べられた1~5の数字カード上に1つずつ配置します。これを手番プレイヤーから時計回りにダイスと数字カードを一緒にとっていきます。

(こんな感じ)
ダイスは取ったらすぐに能力値に割り振ります。
この時、配置した能力値ごとに追加のアクションが発生します。たとえば、力なら配置済のいずれかひとつのダイスをひっくり返す、敏捷値なら配置済の2つのダイスの位置を交換するなどです。他にも振り直しやお金の獲得、アラインメントの移動などのアクションがあります。
その後、数字カードの数字の順に場に並んだカードの買い物を行い、手番プレイヤー(ダイスを振るプレイヤー)を時計回りにまわす…を全ての能力値の枠がダイスで埋まるまで繰り返します。
買い物するカードの種類は、武器、防具、スキル、特徴があり、それぞれ、ゲーム中に使える特殊効果やセット点がもらえる、条件を満たしていれば終了時に得点などの効果があります。
3.ゲーム終了
キャラメイクが完了したら(個人ボード上の全部の枠がダイスで埋まったら)、ゲームは終了です。
種族ごとの補正値(ハーフリングなら力をマイナスするなど)を適用しつつ、職業カード、アライメントカード、バックストーリーカード、ゲーム中に買い物したカードからの得点を計算し、もっとも点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
しゅだっちさん、ウキンさん、一味さん、僕の4人で。
前日もしゅだっちさんはプレイされたようで、その様子がツイッターにあがっており、面白そうだなと思っていたところ、ジャストタイミングで遊ばせてもらえました。
ウィザードリィなど、キャラクターメイクのあるゲームで遊んだことがあるメンツばかりだったこともあり、インスト中から盛り上がっていましたが、種族決め後、職業カードをランダムに配るところでまたひと盛り上がり。
一味さん:「(自分の種族は)竜人だから前衛系の職業がいいな」
で、結局。
一味さん:「レンジャーかバードかよ!(職業カードは両面仕様で似たような2つの職業がかかれており、どちらを選ぶかは任意です)」
今回のメンツは、一味さんは竜人のレンジャー、しゅだっちさんはドワーフのバーバリアン、ウキンさんはエルフのウィザード、僕はハーフリングのローグということに。
その後、アラインメントカード、バックストーリーカードも受け取ってゲーム開始です。
僕はアラインメントカードはハーミットでゲーム終了時アラインメントが中立なら得点、バックストーリーはメンター。王立騎士団の師範代だったが自分自身の冒険を求めて職を辞した男です。
(一応ですが、個人ボードは両面仕様で同じ種族の男と女になってます)
ダンジョンズ&ドラゴンズのWEBサポート記事によると、『敵を倒すためなら恥知らずな戦術や詐術を用いることもいとわない無頼漢。それがローグだ。』とのことなのですが、性格はハーミットで元メンターのローグ。ようわからんローグですが、きっと色々と複雑な経緯があったのでしょう。
僕はハーフリングなので、力にマイナスの補正が、カリスマにプラスの補正が入ります。補正値を考慮しつつ職業カード記載の目標値を達成するための値を改めて計算してみると、力と敏捷は18、体力は14~15、知性と賢さは14以上、カリスマは13~14となり、これをそれぞれダイス3つで達成することを目指します。
って、うおおおい、6の目6つは必須、それ以外も平均で5以上の目じゃないと目標達成できねえじゃねえか!
僕:「これ、目標達成するの厳しくないですか」
しゅだっちさん:「アクションでダイス目を操作できるので案外高い目作れますよ」
みなさん:「ほうほう」
そんな会話をしつつ袋に入ったダイスを8つ取り出して個人ボード上に初期配置します。
ここはダイス目操作とかできず、平均して3~4とかくらいのダイスを並べることになるので、目標値のことを考えるとほとんどのダイスで目が小さすぎます。どうせ操作するのならと、ダイス目は気にせずにバックストーリーカードで指定されている特定箇所の特定色を重視して並べることにしました。
各能力値にダイスを置く際は左詰めにする必要があり、バックストーリーカードによる指定は左から1つめのこともあれば2つめ、3つめでも指定されてます(要はバランスよく指定されています)。左から1つ目にある指定色と同じ色のダイスがあれば、そこに置くとして、3つ目も置けるやつは置いちゃおうかな…などと考えて配置していて、気づいたのですが、前述のとおり、各能力値にはその能力にダイスを置いた際に発動するアクションが設定されています。
初期配置で配置した分はアクションは発動しないので、初期配置で埋めなかった枠の数=ゲーム中に使えるアクション数です。
む、そうか、なるほどなるほどと、指定色で埋められるとこは埋めつつも、どのアクションを残すか、やりたいかを考え始めます。
うんうん悩んだ結果、↓のようにしました。やはり、力にダイスを置いた際に発動するひっくり返すアクションが便利なんじゃないかという判断です。

(初期配置直後の個人ボードの様子。バックストーリーカードは正しくは個人ボードの右下に置きます)
そして、みなさん悩みながらも初期配置を終えて、いよいよゲーム本編スタートです。
毎ラウンドダイス1つ獲得と買い物1つをしていくだけとはいえ、大きい目のダイスを取ると買い物手番が後ろになりすし、買い物もそれなり以上に良いものばかりが毎ラウンド並びます。
買い物できるのは、ざっくりいうと特殊能力カード、セットコレクションのカード、ゲーム終了時に条件を満たしていれば得点のカードと大きく3種類です。
特殊能力カードも比較的効果は弱めだが使用制限のない『武器』(ただし両手分しか手に入れられません。片手武器なら2本、両手武器なら1本です)と、使用するたびにアラインメントが移動してしまうものの効果が強めな『スキル』の2種類があります。
※アラインメントを移動させる(アラインメントカード上のコマを動かす)ことができるのは、スキル使用時にスキルごとに決まっている方向に動かす、賢さにダイスを配置した際に任意の方向に動かす、買い物でカードを獲得した際に指定されている方向に動かすの3つしかなく、スキル使用と買い物で動く際にはそれ以上移動させることができない場所にコマがあったらそもそもスキル使用やそのカードを買うことができません。
僕の職業であるローグは『スキル使用時にアラインメントの移動をしなくてもよい(してもよい)』なので、制限なくスキルを使うことができます(1度使ったスキルは1ラウンドに1つだけ再利用可能にできるので、より正確に言えば制限なく使えるということでもないんですが)。
制限があって思い通りに使えないものを制限なく使えるとなれば、積極的に使っていかない手はなかろうということで、序盤から優先してスキルを買っていきます。
優先して買っていこうとしたというのももちろんあるんですが、使用することのデメリット(アラインメントのコマ移動)があるせいで、余程便利そうな効果でなければ人気がなく、他の武器や防具、特徴をみなさんに取られていたせいというのもあります。
武器は地味ながらある条件を満たすと追加でお金がもらえるようになったりする便利な効果がノーリスクで使えますし、防具も何も考えずに買うだけで得点になるというのは魅力なので、スキルの優先度が低いというのもわかりますし、そもそも僕がどうしても買い物を先にしたいので低い目のダイスを取って小さい数字カードを取ろうとしなかったってのが余りものを買ってる大きな理由ではあるんですけど。
(大きめの目のダイスを取らないととてもじゃないけど能力値の目標値を達成できる気がしなかったので)
※武器、防具は職業や種族などによる装備の制限はないです。ただ、防具には適した職業が設定されており、レザー系ならシーフやローグ、バードにボーナス点、チェイン系なら戦士系の職業にボーナスというようになってますが、ボーナス点は非常に小さくおまけみたいなものです。
ウキンさんは防具を優先的に取っていくスタイルで、中盤くらいにはレザーブーツとチェインヘルム、チェインレギンスを装備したウィザードというよくわからない人になってました(一般的に魔法職は金属装備ができないという設定のゲームは多く、基本的にウィザードがチェイン系装備をしているのはありえません)。
しゅだっちさんはバーバリアンの能力である「手が4本分の武器を装備できる」を活かして序盤から両手武器を2本獲得され、その能力を(使ってもなくなりませんし)有効活用して進める&ゲーム終了時に得点になる特徴カードを多く獲得されていました。
一味さんは武器、防具、スキル、特徴と満遍なく取りつつ、若干、防具重視という形でしたが、獲得したカードの組み合わせが極悪で、「5以下の能力値が1つごとにゲーム終了時に2点」の特徴があるため、小さい目のダイスも余裕を持って取れ、それによって欲しいカードを真っ先に買えるようになっている上に、自分が小さい目のダイスを取った後、「場にあるダイスをひっくり返す(1を6に、2を5に…のように)」の能力で5や6の目を1や2にしてしまうという悪行ぶり。
一味さん:「カリスマ3だから酷いことするのも仕方ない」

(一味さんの個人ボード。カリスマはなんと1の目3つの3と最低値!)
一味さんが持っているような能力の種類に関係なくというのは買い物時に高いお代を払う必要がありますが、そこまではいかなくても、「ゲーム終了時、AまたはBの能力値がX以下なら2点」みたいなカードは何枚かあり、それなりに安い値段で買えます。買えますが、前述の通り、もともとの目標値が高すぎるて人気のカードになってしまうため、結局僕は1枚も買えませんでした。
そうなれば、全部高い目にするしかない!ということで、ダイス目操作のスキルカードを集めたり、「個人ボード上の空きスペースに任意のダイス1つを移動させる」能力のスキルを使って、通常であれば3枠しか無い能力値の枠を強引に増やして、振り直し、交換、ひっくり返すなどダイス操作のアクション回数を増やしたりと、なんか途中からパズルゲームみたいになってました。
このゲーム、お金の入手機会はあまりなく、しかも、その全てで1~2金しかもらえません。お金は買い物でしか使いませんが、カードの価値はだいたい3金前後、高いものは6金とかするのでお金は足りなくなり、僕は最後2ラウンドくらいはほぼ常に素寒貧でぎりぎりでやりくりしてました。
といっても、なんか僕以外の3人の方々は、武器やスキルなどの能力をうまく使われていたのか、ゲーム終了時間際も結構お金に余裕があったように見えたんですが。
お金のやりくりやダイス目操作にひーひー言いながらも最後のラウンドまでやりたいことをやり遂げて、いよいよ得点計算です。

(最終形をとったはずが最後1つ手前でした)
ウキンさんの防具のセットコレクション点、しゅだっちさんの特徴点など、みなさん得点源にされているところは違っていましたが、防具点、特徴点を高い水準でバランス良く獲得された一味さんが勝利されました。
僕は能力値点はダントツでしたし、特徴点などもそれなりにとってたんですが、今一歩及ばず。
みなさん、能力値が低くても点数がもらえるカードがあったり、なくてもそもそも達成を諦めて捨てている能力値(能力値は目標達成時に点が1~4点と幅が大きいので1点のとことか低い目のダイスの置き場にしてしまう)があったりして、能力値が全般的に高かったのは僕だけ。操作系のスキルが多かったとは言え、もっと諦めてよかったのか!と思いましたw。
とはいえ、能力値も高いし、スキルも沢山持ってるしで僕は満足です。

(アラインメントがニュートラルなので盗賊の短刀使って忍者になります!)
【感想】
キャラクターメイクってなんであんなに楽しいんですかね。ウィザードリィとか、ボーナスポイントの高いキャラが出てくるまで延々とキャラ作る→消すを繰り返すだけなんですが、別に苦行と思えない不思議。
そんなわけでキャラクターメイクが楽しいゲームです。終わり!
ではあるんですが、こういうファンタジーテーマのTRPGとかRPGでのお約束的な要素がちゃんと基本的なところを抑えつつ、てんこ盛りになっているので、ネタをある程度知っている面子で遊ぶと自然と盛り上がるゲームです。
要素は盛り込まれているものの、ゲームとして楽しく遊ぶために縛りは緩めにしてあるので、前述の通り、全身チェインメイルのウィザードとか、メンターのローグとか、お約束で構成されている割に、出来上がるのは微妙にお約束とずれたキャラクターというのがまた面白さを作ってます。
もちろん俺はXXの○○だから、この装備を買うとか、スキルを手に入れるとか、そういうロールプレイをするのもまた楽しいとは思いますし、やろうと思えばできるゲームです。
んじゃ、設定の面白さで楽しむゲームなのか?と言われると、僕はそれだけではないと答えます。きっちりゲームとしての楽しさがあります。
「キャラクターメイクだけで終わる」と言われると、ホントかよwとなるんですが、ダイスを1つずつ取ってあるものを作るゲームと言われると、案外よくあるテーマのゲームではあります。
しかし、遊んでみて思ったのは、ダイスを使って何かしら目標を達成するゲームって、短いスパン、せいぜい2,3手番、ほとんどが1手番でダイスを何回か振って、短期的な目標達成を繰り返して最終的な目標を目指す形式のものが圧倒的に多い中で、ロールプレイヤーみたいな長いスパン、10ラウンドもかけて最終的な形を目指していくゲームってほぼなかったんじゃないのかということです(知らないだけで、きっといくつかはあるんでしょうけどあまりないのは確かかなと)。
短期的な目標もなく、10ラウンドかけて最終型を形作っていくダイスゲームが面白いのか?というと、面白いんですよね。
なんらかのリソースを使って、数ラウンドかけて最終形を目指すというのは、正直ありふれてますし、逆にいえば、面白いからこそありふれてるわけで、そのリソースがダイスになっただけなので、面白くない理由がありません。
しかも、ダイスってすごいリソースで、ひっくり返せば劇的に姿を変え、プラスマイナスの操作も容易にでき、ランダムに操作するのもそのダイスを振り直せばすむという、恐ろしいほど使い勝手がよく、また、わずらわしい説明など全く不要なまま、慣れ親しんだ存在としてすんなりプレイヤーにその千変万化ぶりを受け入れさせてしまうくっそ便利さです。
リソースをどう使って10ラウンドかけて最終形を目指していくか、ダイス目操作がやりやすい&慣れ親しみ過ぎていて、パズル的な要素が強いようにも思いますが、ちょっと遊んだことのないリソースマネジメントゲームとして楽しかったです。
あと、僕が面白いと思ったのは、初期配置時にゲーム中に使えるアクションの種類と回数を完全にプレイヤーに決めさせるところです。バックストーリーカードなどの条件によっては好き勝手に決められるわけでもないんですが、それでも、このゲームを通してどういうアクションをするべきかという、最終目標に向けたパズルを解くための重要要素を自分で決める、プレイヤー間で差ができるというのは非常に興味深かったです。遊び始めると、スキルなどのカード効果に埋もれて、ここの差がどう影響を及ぼしてるのかはようわからんのですが。
(名前を知らないんですが)一部のRPGやTPRGにある魔法やスキルを予めセットするところにも通じており、テーマ的にもあってるよい仕組みだとは思います。
そもそも、バックストーリーカードで指定されている場所に特定の色のダイスを置きたいのや、ダイス目の関係上ここに置きたい!というのと絡んで、いまこのアクションやりたいわけではないんだけど…、でも、ここにこのダイスは置きたい…、どうすりゃあいいんじゃーというジレンマもあってダイス配置とアクションをセットにしてるの自体が良いシステムでした。
まあ、ダイス獲得や買い物で絡みは多少あるものの、他人をカットするというような邪魔したり邪魔されたりという強いインタラクションにはなっておらず、システム的にはほぼ他プレイヤーとの絡みはないソロゲーに近いプレイ感ではあるのですが、そもそもキャラクターメイクするゲームですしw(ほんとこのテーマ最強です)。自分のキャラクター、他人のキャラクターがどんなのか気になる、それだけで十分だとは思います。