カリマラ/Calimara

(5人でインスト込み1時間半ほど)
【概要&ルール】
カリマラとはフィレンツェにあった布ギルドのこと。プレイヤーはギルドの一員となり、布を生産しヨーロッパの有力都市に卸したり、協会の建築資材を寄進することで影響力を増やすのだ。
コマを送りこむのに色んなルートがあるエリアマジョリティのゲームです。
プレイヤーは時計回りに手番を行います。
手番には、アクションディスクをボード上の既定のスペースに1つ置くだけです。
ボード上には9種類のアクションが3×3に並んでおり、そのアクションの間がディスクを置くスペースになっています。
(アクションをA~Iのアルファベットで表現し、スペースを○とすると、
A○B○C
○ ○ ○
D○E○F
○ ○ ○
G○H○I
という感じです。)

(写真貼れやという話なのではっときます)
アクションは中央の1つを除いてゲームごとにランダムに配置されます。
ディスクを置くと、そのスペースに隣接するアクションが両方実行できます。
このアクションディスク、既に置かれているスペースにもディスクを重ねておくことができます。
その際は、配置したプレイヤーがスペース両隣のアクションを実行した後、下側の(重ねられた方の)ディスクの持ち主(置き主)が両隣のアクションを実行します。
これはディスクが3つであっても同様に、一番上のプレイヤー → 真ん中のプレイヤー → 一番下のプレイヤーとディスクの持ち主が両隣のアクションを実行します(複数ディスクの持ち主が同じプレイヤーであっても、異なっていても処理は同じです)。
そのスペースの全てのディスクのアクションが解決されたら手番が左隣のプレイヤーに移り、そのプレイヤーがまたディスクを置いて…と終了条件を満たすまで続けます。
・アクションについて
アクションはシンプルなものばかりで、石材を1つもらう、材木を1つもらう、レンガを1つもらう、手元にある素材(石、木、レンガ)を1ついずれかの寺院に寄進する、手元の素材を消費して船/商館/工房のいずれかを作る、石を消費して彫像を寄進する、工房で布を作る、手元の布を船で都市に出荷する、手元の布を商館に出荷するの9種類です。
アクションが実行できない(消費する素材がない、生産/もらったものを置く個人ボード上のスペースがない)場合、いずれかのアクションが書かれているカードを山札からドローします。
このアクションカードは自分がアクション実施中であれば手番でなくても任意の枚数使うことができます。
・決算について
寺院や都市単体、輸送方法、素材の種類などなどのくくりでどのプレイヤーのコマ数が多いかの決算を行います(布でも素材でもコンポーネント的には各プレイヤーカラーのキューブで見た目に変わりはありません)。
決算場所はゲーム開始時に1列に並べられ、その順に決算が発生します。
決算発生のタイミングは、既に3つのディスクが重なっているスペースにさらにディスクが置かれた時で、この時、4つ目が置かると一番下のディスクがはじき出され、アクションはディスク3つ分しか行われません。はじき出されたディスクが決算列に置かれます。
・ゲーム終了について
全ての決算が起こるか、または、全プレイヤーがディスクを使い切ったらゲーム終了です。
最後に、各プレイヤーにゲーム開始時に配られる秘密の決算カードの解決(その場所で決算)を全プレイヤー分解決し、最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
あらいさん、たる田さん、しのぽさん、一味さん、僕の5人で。
僕と一味さんが経験者で残りの3方は初プレイです。
決算の起こる場所は大きく分けて、寄進でコマを送り込むところと、布を送り込むところです。寄進はレンガや石材などの素材をそのまま寺院に送り込むか、石材を彫刻して送り込むかです。布を送り込むのは、いったん船や商館を作った後に布アクションで生産した布を船や馬車(商館への配布)アクションで街に送り込みます。
ちなみに布関連の決算は8回、寄進関連の決算は7回、ゲーム中に発生します。
どちらかに偏らせるのか、それとも万遍なくやるのかどうしようかと思ってましたが、僕の手番は5番手。とりあえず、みなさんの様子を見ようとしていると、レンガを取るアクションと木材を取るアクションとの間のアクションスペースが大人気で、ファーストプレイヤーのあらいさんから、たる田さん、しのぽさんと連続でそこにディスクを配置されました。
そして、一味さん、僕と続くわけですが、ちょっといくらなんでも同じスペースにディスクを置くのは前手番のプレイヤーのためになりすぎるだろうと、置きたい気持ちをこらえて別アクションを選択しました。後でも踏んでもらえるなら、今は先行プレイヤーが有利になっても別にかまわないっちゃ構わないんですが、ちょっと趣向を変えてみたかったのと、誰もまだコマを送り込んでないのにいきなり木材の決算(ボード上の木材寄進数の合計)を起こすのもなあと考えたからです(先に木材を取られているわけなので、後手番としては追いつけないので全員仲良くゼロ点という手もありはありですが、経験者がそういう手を打つのはなんかいやらしいなあとw)。
一味さんはレンガを取りつつ、馬車アクションを選択。馬車アクションは商館に布を送り込むアクションですが、布も商館もまだ持ってないのでこれはアクションの代わりにアクションカードのドローになります。この後も、一味さんはアクションカードを積極的に集めていく戦術をとられていました。
僕は石材を取るアクションと寄進アクションの間のスペースに配置。とった石材をそのまま寺院に寄進します。寺院は3つあり、それぞれ、寄進できる数が異なります。僕は真ん中の寺院を選択しました。これは最初に配られた秘密の決算カードがそこだったからなのですが、3つの寺院のうち、2つは見た目が似ており、間違えそうだったのでコマを置く前に一応カードを見て間違いないことを確認。
余談ですが、この時に寄進 → 石材獲得という順番でアクションを行うこともできます。寄進するものがないので、アクションカード獲得 → 石材獲得となりますが。
あらいさん、たる田さんは木材とレンガを複数個持っていたので、製造アクションができるスペースを選択されました。
製造で作れるものは全て布を送り込むことにつながっています。木材2つで作れる船は航路でつながっている街へ布を送り込む船アクション実行に必要ですし、船の数が増えれば1アクションで送り込める最大数が増えます。レンガ2つで作れる商館は陸路でつながっている街へ布を送り込む馬車アクション実行に必要で、商館のない街に布は送り込めないので、送り込みたい街が複数あれば商館も複数建てる必要があります。
レンガと木材1つずつで作れる工房は、1回の布アクションで作れる布数を増やします。各工房に1つずつ布はできるので、工房数=生産力です。
そんなわけで、あらいさんとたる田さんは布の生産&送りこみルートを選択されたようです。しのぽさんは迷われてましたが、寄進と布を半々くらいでやる模様。そして、僕と一味さんが寄進で争うことになりました。
僕は調子にのったというか、一度やってみたかったので、初手でおいた石材獲得&寄進のスペースに連続配置です。
他人にディスクを配置してもらわなくても、とにかくいまの手番プレイヤーが置いたディスクの下に自分のディスクがあればよいので、2手番目は2アクション、3手番目は3アクションです。石材の配置可能な場所は3寺院あわせて12か所。3手番で6つ石材を寄進したので、3寺院の石材の場所に、半分は僕のコマが置かれています。うーん、こんだけ馬鹿な手を打っておいて、あげくにタイブレイクで負けるのもバカバカしいなあと過半数を取るために、最終的には4つディスクを同じ場所に置きましたw。
(これは流石にやりすぎで、誰もディスクを同じところに置いてくれなくなってしまいました。もう少し乗ってくれる余地を残しておくべきでした)

(序盤)
たる田さんが途中、「如何に、ディスク1枚が3回アクション出来るかってゲーム」と仰っていましたが、そういう側面はあるかと思います。
あらいさんが序盤に工房&船を複数作られて、どばっと布を作り、どばっと街に送り込むという形を作られます。たる田さんは商館建設を優先させつつ、工房も最大数作って陸路で優位に立たれます。
しのぽさんは色んなところでいっちょかみはされているのですが、1位が取れずに苦しそうです(決算の種類に依らず、1位3点、2位2点、3位1点です)。
んで、寄進で争っている僕と一味さんですが、局所的に集中してマジョリティを一気に取りに行こうとする僕と、適度にちらしつつ決算順序を考慮しつつ徐々に優位を築こうとする一味さん。今回のプレイングだと性急すぎてこのゲームとあってないようで、ガッといきすぎて他人に乗ってもらえないのがつらい!
自分にすぐには不要なアクションだけど、他人にも需要がありそうなスペースにうまくディスクを一味さんは置かれているため、直接的なアクションへの配置数なら僕の方が勝っていても、他人にのってもらうことでアクション数を挽回したり、できないアクション選択からのアクションカード獲得&使用で、いざ決算する時には1つ差やタイブレイクで一味さんにトップを持って行かれる始末。
自分の手番にしかほぼ行動できない僕に対して、序盤から中盤にかけていろんな場所に置いていたディスクのおかげで色んな人の手番で動ける一味さんが有利なのは当然です。
自分の持っていた秘密の決算カードの対象の寺院でも一味さんに逆転を許し(コマ置く時にカード確認してたからわかったby一味さん)、一味さんが寄進系の場所でほぼ1位を取りつつ、アクションカードを活かして布にもちょっと手を出したりして点数を重ねられ、勝利されていました。

(終了図)
【感想】
エリアマジョリティのゲームって、すげえ当たり前なことをいえば、あるエリアに自分以外がマジョリティを取りに来なければ低コストで得点できます。人と被れば被るほど、点数に対してかけるコストがあがっていくので、「人と被りたくない」ゲームです。一方でカリマラのディスクが重ねられることで再度アクションができるシステムは「人に被せて欲しい」システムです。
このエリアマジョリティの勝負としてと、ゲームを有利に進めるためとで相反することが求められていて、そこが悩ましさ、面白さになってます。
“人”に被せて欲しいと書きましたが、カリマラの面白いところは“人”が他プレイヤーである必要はなく、自分で自分のディスクを踏んでも効果は他人が踏んだ時と変わらないところです。でも、自分で踏んでしまうと、「ここに置くと、こいつ2回も行動させちゃうのか。それは嫌だな」と他プレイヤーに避けらられてしまうようにもなります。
通常のエリアマジョリティのゲームだと、いかに目立たないかが勝ち負けに重要に関係してきますが、直接的ではないにせよ、他人に必要以上に警戒心を抱かせないプレイが勝つためには求められているように思います。
人と被りたくない/人と被りたいの矛盾は結局、人に注目されないことで解決される気がします。
そして、エリアマジョリティってもともと他人の動向を見ながら遊ぶ傾向の強いゲームかと思うんですが、毎ゲームランダムに配置されるアクションと決算順序がゲームの展開に大きく影響を与えて、毎ゲーム毎ゲーム、どう行動するのが良いのかをきっちり考えさせてくれるのが、やはり面白いです。
どのアクションスペースが使いやすいか、人も使いたくなるのか、決算順序からみてどこのエリアに手を付けていくのが良いのか、人が狙ってないところはどこか等々。ゲームと勝負しているだけでなく、人と勝負するのがやっぱ好きです。
といっても、ひと昔前のむき出しのエリアマジョリティというわけでもなく、今風のプレイヤー個人個人が手元で工夫する楽しさもあるというのも良いところで、手に入れた木材を船などに加工するのか、そのまま寄進するのか、船を作るにしても何隻作るのか、1隻余計に作るのにかけた手番を回収できるだけの効果が見込めるのか、船を作るなら工房も作って生産力を上げなくてよいのか、アクションをそのまま実行するのではなく実行順序を変えることでアクションカードを手に入れるようにした方が良いのかなどなどの判断が一本調子というわけでもなく、プレイヤーに考えさせて決断させる。その要素の入り具合がいい具合に手ごたえを感じさせてくれる程度になっています。
複数の決算個所や複数のアクションルート、秘密決算カード等で見えにくくはしてますが、そうはいっても、所詮はエリアマジョリティで、これどうやっても勝てそうにないとわかるとか、中盤までの布石がなければ逆転要素が薄いというのはありますが、そうはならないよう、しっかり考えてプレイすれば、その結果をきっちり返してくれる良いゲームだと思います。