演技ゲーム会(ハリウッド・ライヴス、フリーズ)/ Hollywood Lives, Freeze
先日のゲームマーケット2018春でテンデイズゲームズから日本語版が発売されたハリウッド・ライヴス(オリジナルは2004年発売)。大変面白そうなゲームなんですが、まあ、機会はそうそうないよなと思っていたところ、彼葉さんに誘っていただき、ハリウッド・ライヴスを遊ぶ集まりに参加してきました。
・ハリウッド・ライヴス

ハリウッド・ライヴスは1950年ごろのハリウッドスターになりきり、映画を作るゲームです。「映画を作るボードゲーム」というと、脚本や撮影機材、役者などの書かれたカード/タイルを入手してそれを組み合わせて、はい、映画できましたとするようなものを想像されるかもしれませんが、『役者になりきり』とある通り、いや、それ以上なんですが、タイトルだけ指定されている映画の製作権を落札し、役者(プレイヤー)を集め、プレイヤーたちで映画のあらすじ、登場人物などを決め、3分間のトレーラーという名の演劇を行い、その後、プレイヤー同士で投票しあって女優賞、男優賞、作品賞を決めます。
ゲームの勝ち負けはお金を1番集めた人、星を一番集めた人が勝者になります。
お金は映画を作成することで「出演した役者の持っている星の数×定数」の興行収入が、映画が作品賞に選ばれれば賞金がもらえます。
星は映画に出演したり賞をとるともらえます。
今回は彼葉さんはゲームディレクター(GMみたいなもの)になり、その他の12人はプレイヤーとして参加しました。
会場に着くとまず、自分の役名を決めます。この後は、その役者として振舞うわけです。
僕の名前はユル・アークライトに。アークライト好きですし(※ゲームのアークライトはイギリスに産業革命をおこした1人の発明家の人名からとられてます)。
12人ともプレイヤーは男性でしたが、7人が男優、5人が女優になりました。
※いつもと違いプレイヤー名ではなく、役者名で書きます。
ゲームディレクターからひと通り、この後の流れなどの説明があり、その後、映画の製作権の競りです。
人数によりますが、今回は毎ラウンド3つの映画が作られ、そのいずれかに参加することになります。
映画はタイトル、撮影費用、興行収入(の計算式)、役者に与えられる星の数が決まっており、競り落とした人(プロデューサー)が撮影費用を払う代わりに興行収入を全て獲得できます。
とはいえ、1人では映画は取れないので、「報酬でXXドル支払うから」だとか、「もらえる星の数が多い役をあげるから」などと言って、製作権を落札していない役者を誘っていくことになります。役者は役者で「脚本は任せてくれてよいので、XX円以上は報酬が欲しい」とか、「星の多い役をくれるなら報酬はいらないし、むしろXX円払ってもいい」などといって自分からアピールしていっても構いません。
しかし、まあ、全員初プレイですしどの程度が競りの相場なのかとか、その後のプロデューサーと役者の交渉もまったく何を基盤にすればいいのか手探りです。
興行収入で儲かるのはわかるんですが、参加してくれた役者にどれくらい払うもなのか等まったくわからないので、僕は競りには手を出さず、星での勝利を狙うことにしました。
そんなこんなで競りといってもほぼやりたい人が最初に言った金額で落札できてしまいました。
1ラウンド目(1951年)の映画は、以下の3つに。
・レミングの夜(プロデューサー:サー・リチャード・レヴィ)
・素晴らしき哉、妻君(プロデューサー:ミリ・ゼニリ)
・サムソンとダビデ(プロデューサー:リタ・バーゴット)
映画タイトルはルールブックに挙げられているもので、実際の映画タイトルをもじったものになってます。
サムソンとダビデは興行収入も最も期待でき、かつ、もらえる星の数が3つの役が2つもあります。レミング~は収入の期待値はそれなり、役は星3:1つ、星2:2つ。素晴らしき~は、収入の期待値は低いですが星2の役が5つと人が集め易そうです。
ミリ・ゼニリの人徳なのか、素晴らしき~がさくっと5人の役者を集めてしまいました。プレイヤーはプロデューサー含めて12人なので平均すれば1つの映画に4人ずつ参加することになるわけですが、早くも偏りができてしまいました。
僕は星狙いだったので、星3の役もらえませんかねとリタに働きかけます。
すると、同じく星が欲しいフレディ、逆に星はいらないが報酬は高くして欲しいオリビアがやってきたので、サムソン~もさくっと4人揃うことに(他の映画は最低でも星が2つもらえる役が空いていたので、0個または1個の役しか空いてないサムソン~にオリビアはやってきたようです)。
さくっと決まったと書いてますが、プロデューサーと報酬に関する話をします。興行収入は参加する役者の持っている星の合計数×映画ごとに決まってる定数から費用を引いたものになります。
役者は全員ゲーム開始時に星を5つ持っているので、1ラウンド目は5×参加人数×定数になります。これによるとサムソン~の興行収入は約80M(というお金の単位)なので、まずはこれをどう分配するかということで、オリビアがもっと欲しい!というようなことを言ってやや揉めましたが、もらえる星の数に反比例して割合分け、作品賞でボーナスがもらえたら別途分け合うという契約になりました。
(ここら辺のルールの覚えがあいまいなのですが、本当は、映画に参加するか決める際に、プロデューサーと話しておかないとダメだったかもしれません)
そして、この後、各映画で3分間の予告編を作ります(プレイヤー達が3分間演劇します)。
映画はタイトルとジャンルしか決まってないので、そこから想像をふくらませるわけですが、うちのサムソンとゴリアテはジャンルはエピック。『サムソンとデリラ』と『ダビデとゴリアテ』を混ぜたタイトルでエピックなので、どちらかの物語をベースにしつつまとめるのだろうと思っていたのですが…。
なんとフレディからとんでもないアイディアが。
ちょっと公序良俗に反する内容なので具体的には書かないことにしますが、フレディとアークライト(僕です)は、伝説の○○になり、伝説の時代からワームホールで現代にやってきて、そこでオリビアと出会い、○○をした後でなんやかんやがあってまたワームホールで帰っていくという話。
ワームホールってどうやって表現すればええんじゃ?というか、エピック要素なくないですか?などと色々あったのですが、プロデューサーであるリタも気に入った設定だったようなので、それに肉付けしていくことに。しかし、ワームホールとか表現できないとこは結局削り、これ頑張っても3分演じるのは無理だぞ…というところで、準備時間が終了(映画を競り落とした後、役者集め~予告編を完成させるまでルールブック上では30分となってます)。
いやー、これはやばいなあと思いながらも、他の方々がどんな予告編を作ってるのかはやはり気になる&楽しみで、ワクワクしながら上映を待ちます。
最初は、『レミングの夜』。こちらは元ネタであろう『ジャッカルの夜』から殺し屋テーマを引き継いで、アレックスが演じる殺し屋レミングと、ノエルの演じる女殺し屋の物語に(プロデューサーであるリチャードは最初に死ぬ役でしたw)。
会場がたまたま和室で、縁側や障子のある部屋だったんですが、障子をスクリーンにしてシルエットだけ見せる、最後のアクションシーンでは特撮風の演出もあるなど、かなり出来が良く、うちのチームはますます、これはやべえという感じに。

(『レミングの夜』で印象的なスクリーン(障子)を使ったシルエットでのノエル演じる女スパイジャッカルの初登場シーン。リチャードの「ファムファタールとの出会いは3年前…」というナレーションも最高でした)
その次の『素晴らしき哉、妻君』も、義理の父親を看病する妻。しかし、旦那は浮気。妻も義父のところにきた医者と…という話をうまくコメディタッチにまとめてました。妻役のジーナの体力ぎりぎりの演技(旦那の不倫の場面をしている横でずっとスキップしてる)も素晴らしかったですが、特筆すべきは義父を演じたシニアの切れのいいダンス! レミング~の真っ当な予告編も思っていたよりかなり上の出来で驚きましたが、まさかこんなダンスが見れるとは!とかなり持っていかれました。

(『素晴らしき哉、妻君』の最初の場面)
そして、ますます…な、サムソン~班。
体育の授業で創作ダンスを作ることになって、適当にやってたら最後の発表時にみんな真面目に作ってて、え?うちはこんな出来なんだけど…となる、あれをまさかこの年になってやっちまうとは思いませんでした。
そんなわけでプレイヤー全員が、男優賞、女優賞、作品賞に投票します。自分自身と自分の出演した作品には投票できませんが、自分と同じ映画に出演した役者には投票できます。
そして、結果発表!
女優賞はレミング~のノエル、素晴らしき~のジーナ、サムソン~のオリビアと、各映画のヒロイン達が同票数となり、決選投票で決めるという激的な流れの末、ノエルが勝利。
男優賞はやはりダンスが全員の心をつかんだようで、シニアがダントツで獲得。お2人には星2つがボーナスとして送られました。
(女優賞、男優賞ともに2位、3位もノミネートとして星1つが送られます)
そして作品賞。初っ端でこんな出来のができるのか!と僕らの度肝を抜いた『レミングの夜』が獲得。ボーナスで賞金100Mと参加者全員に星1が送られました。作品賞2位は素晴らしき~でこちらは賞金50Mがもらえました。
ゲームディレクターである彼葉さん的には、そこまでサムソン~も酷くないというか、他とめちゃくちゃ差があるわけでもなかったと思われてたようで、サムソン~、ゼロ票だったんだけど、ゼロってほどでもなかったよねみたいなことを後ほど仰ってましたが、いわなくていいですよ!w

(1951年の結果)
そして、1952年という名の2ラウンド目に。
また映画の競りから開始です。
今回は、『大羊』、『月夜の決斗』、『錨を降ろせ』の3作品。今回競り落としたのは、それぞれ、リチャード、オリビア、ノエルの3人。
リチャードは1年目と同じくプロデューサーになって、お金勝利を狙っているようです。オリビアは役者としてよりやはり映画を作った方が儲かると思ったようで、2年目はプロデューサーに名乗りを上げました。
そして、ノエルは1年目に女優賞、作品賞を取ったことで星の数は11個と単独トップ。しかし、当然、プレイヤーはゲーマーなわけで逆転勝利を狙ってノエルの星獲得は邪魔する可能性があります(狙って邪魔しなくても、みんな星の多い役を狙えば、ノエルの邪魔になる)。『錨を降ろせ』はプロデューサーに自動的に星3の役が振られるので、落札さえ出来ればかなり星勝利で有利になるわけです。
そんなわけで、『錨を降ろせ』は1年目の男優賞であり、当然星勝利を狙っていたシニアと猛烈な競り合いになり、結構な額まで競りあがったんですが、ノエルは1年目の出演作のプロデューサー、リチャードをパトロンにしていたため、お金が無尽蔵にでてきます(おそらく1年目の作品賞ボーナス100Mのほとんどをリチャードがもらってる)。途中でシニアは諦めたため、前述のとおりノエルが落札しました。
僕は星勝利を狙っていたわけですが、ノエルとの差はこの時点で星3つです。ちょっと3つを逆転するのは難しくないか?と若干弱気になったことで、星3の役のある月夜~に参加交渉する気にならず、名プロデューサーリチャードの手腕を見たくなったこともあって『大羊』に参加することにしました(競りの段階で錨~だったか月夜~に人が集まっているように見えたというのもあったんですが、なんか人が流れてきて大羊は5人の大所帯になってました)。
リチャードは「脚本は任せる」と言い残して、どこかにいってしまったので、残った面子で脚本の検討に入ります。といっても、ミリがほぼ決めて、ハンフリーやフレディがアイディアを出していくという形で、僕はほぼ参加してなかったんですが…。
(1ラウンド目に複数人で脚本作ったら、まとまらずに支離滅裂な感じになってしまったというのもあり、かなり引いた感じになってました)
しかし、ミリがすぱっとストーリーを決めてくれたので、1ラウンド目と違い演出に時間を割くことができます。小道具は何を使うか、スクリーン(障子)はどう使うか、音響は?などなど、結構余裕を持って色々決めることができました。
僕は主人公であるミリの父親で大羊に殺される役です。どう殺されるかじっくり考えれました。
2年目はみなさん慣れたのか、各映画とも見ごたえのあるもので、それぞれに見所があり盛り上がりました。
そして、投票なわけですが、ここでふと気づきます。自分達の出演作には投票できないってことは、出演人数少ない方が、自作への投票権を持つ人数が多くなるので有利なんじゃない?=最大の5人が出演してる大羊は作品賞取るのには不利なのでは?と。まあ、今気づいてもどうしようもないんですが。
そして、2年目の投票結果発表です。
女優賞は、『錨を降ろせ』で女海賊ストロング・ゼロを演じたジーナと、『月夜の決斗』で兄弟ふたりの恋心を翻弄する酒場の給仕を演じたオリビアとで決選投票になり、オリビアが受賞。
男優賞は『月夜の決斗』での兄弟を演じたシニアとバジルの決選投票でシニアが勝利。(ありがたいことに僕も男優賞3位に選んでいただきました。死に際に凝った甲斐がありました)

(『月夜の決斗』の酒場のシーン。シニアとバジルの2ショットです)
女優賞、男優賞とも『月夜の決斗』から選ばれているわけで、作品賞もか…!?と緊張したものの、『月夜の決斗』は作品賞では2位。我らがリチャードP製作の『大羊』が見事作品賞に選ばれました!
これでボーナスの賞金と星1つを獲得です。
星勝利は運動会の玉入れ方式(徐々に数字をあげていって、自分の星数以上になったら座る)で発表され、ノエルとシニアが同点勝利。僕は星2つくらい及ばず。まあ、男優賞とらないと無理!
お金勝利もいくら持ってる人!みたいな玉入れ方式での発表だったんですが、リチャードがダントツすぎ(2位の1.5倍くらい持ってた)で、勝利されてました。リチャードは1ラウンド目も2ラウンド目も作品賞とってるわけで、名プロデューサーと呼ばれてました。
僕ら大羊チームがストーリーを考えていた時に、月夜~では、オリビアが出演者には報酬は支払わない(それでも星3の役が2つあるので、人はくるはずという考えだったようで)という宣言をして、星3の役が欲しいプレイヤーでひと悶着あったとかなかったとか、リチャードはノエルのところに借金の取立てにいっただけでなく興行収入からもいくらかもらう契約をしてきたとか、2年目は色々あったようです(錨~は興行収入のほとんどがリチャードに持っていかれたとか)。
ノエルの演技、2ラウンド目も悪かったというわけではないんですが、1ラウンド目に星トップということで目立ちすぎて、投票してもらえなかったようで(僕もノエルと書いてたのを直前にオリビアに変えましたし)、お金についても星についても2ラウンド目は盛り上がりました。

(1952年の結果)

(僕のキャラの最終成績。星12個でした!)
んで、感想なわけですが参加者のおひとりが「自分の良く遊ぶ面子とやろうとしたら、断固反対という声があってできなかった」と仰っていましたが、確かに、ストーリーを参加者で考えて、さらにただのボードゲーマーが演じるというのはハードルの高いゲームではありました。この日は結局ゲーム開始から終了までインスト込みで4時間ほどかかったわけですが、普段4時間ゲームしたのとは比べ物にならないくらい疲れましたし、自分の予告編を演じる前はほぼ全員が知り合いという場ではありましたが、めっちゃ緊張してました。ルール通りの時間配分だと細かい演技や台詞まで決めるのは無理で、各自のアドリブなのでそこらへんのせいかもしれません。
しかし、その分、いや、それ以上に楽しい体験ありがとうございましたという思いのほうが強いです。もちろん面子にもよりますが、またやりましょうといわれれば、是非是非というくらいには楽しかったです。
一体感、やりきった感などなど半端無いです。
ゲームとしてみると大変難しいです。ゲームが自由すぎるのと、初回はどの程度お金や星がもらえるものなのか(勝利ラインはどのへんなのか)がさっぱりわかりませんし、前述のとおり、作品賞を取りたければ出演人数は少ない方が(一応)有利とか、勝ち負けを考えた投票というのもあるんでしょうけど、前もってそこまで考えられないというか、決断ポイントが少ない割りに影響がでかすぎるように思います。
といっても、結局のところ、作品賞のボーナスや男優賞/女優賞のボーナスがもらえないとお金勝利も星勝利もおぼつきません。
そう、要は素晴らしい脚本を考えて素晴らしい演技をするのが一番勝ちに近づく方法なんじゃないかと。
プレイング次第で勝ち負けが決まる、普段やってるのと変わりません。
といっても、1ラウンド目開始時に決めた方向性を2ラウンド目でも突き進むしかなく(途中で星からお金とかに変えても勝てない)、2ラウンド目開始時に人によっては、もうこれ勝ち目ないな…とやる気がなくなることもあるかもしれません。
そういう意味でも2ラウンド目の役者の選択は重要かも?
あと、今回、気にはしてたもののほとんど小道具を持ち込めなかったのですが、リチャードが大量に衣類などを持ち込んでくれたのが大変助かりました。小道具は必須だと思います。3分という短い時間ですし、当然、テロップなどもでないので、スカート、長髪、コート、帽子、拳銃などなど、一見して役の特徴のわかる”記号”として使える小道具のあるなしでだいぶ印象が変わります。
僕が1ラウンド目に出演したサムソン~ではオリビアは女性役でしたが、服装を用意しなかったので、最初女性と思わなかったという声がいくつかありました。
人は選ぶかもしれませんが、素晴らしい体験であることは間違いなく、是非是非遊んでみて欲しいゲームです。
どうでもいいようなよくない話として、感想戦してる時に1951年、52年の映画なのに『サムソン~』では舞台が2018年、『大羊』も1980年代のアメリカ~とか言ってて、めっちゃSFだと思ったといわれてしまいました。設定は大事ですね!(映画もやりやすさもなじみの深い年代に移して遊んでも良いかもしれません)
ーーー
・フリーズ

そして、ハリウッド・ライヴス終了後、同じく演じるゲームということでフリーズをやりませんかと彼葉さんから提案がありました。
興味はあるが疲れた…ということで、何人かの方は帰ってしまいましたが、残った8人でフリーズをやりました。
フリーズは4人で即興劇を演じるゲームです。劇のあと、劇の参加者、観覧者が劇の参加者の序列を当てます。
劇の参加者には1~4のいずれかの数字が書かれたカードが渡されます。同じ数字を持ってる人がいることもあれば、1~4のうち欠番があることもあります。参加者でも自分以外が何のカードを持っているかはわかりません。
劇の後、まず、その舞台設定はなんだったのかの質問があり、その後、ダイスを振って出目の序列の人、例えば2の人が誰かを全員で当てあいます。当たると点数で規定点を誰かが取るまで続けます。
ちなみに当てられる側は誰からも当てられないと減点(ディクシットとかでもあるルールですね)なので、伝わるように必死に演じます。
僕が演じる側だった時の例として、舞台は船上(カードが大量にありランダムに決まります)、序列は2でした。
船の上の序列で2番目? 船の上の序列ってなんだろう? やっぱ船長が1番かな?と開始前に考えて、即興劇開始直後に、
僕:「船長!船長はどこですか」と発言したところ、彼葉さんが「うむ」みたいな返事をしてくれました。
よしよし、これで船長確定、僕は船長より下の序列だということが伝わっただろうと思っていると、舞台中央に置かれた椅子に座ったSさんが、「船長、この船はいつ到着するのかね」みたいな発言をされました。
あああああ、客船設定だ! 僕はタンカーみたいな客のいない船を想定してたんですが、お客さんが現れました。言葉の感じからして序列は1番で間違いありません。そして、彼葉さんがお客さんの言葉に答えてます。
これでSさんよりも彼葉さんの序列が下であることもわかります。
劇は4人でやるので、もう1人残ったIさんは甲板を掃除をしているような動きをしてます。これも序列はかなり下。たぶん4位でしょう。
そうすると、見る側からすると、1位Sさん、2位彼葉さん、3位僕、4位Iさんで確定だと思われているはず。
しかし実際には僕の序列は2位なので、なんとか彼葉さんと同列だということを伝えなければなりません…。
とかいうような感じで、お互いに台詞や行動を元に相手の序列を推理して自分の行動や台詞に反映していくわけです。
(この後、僕はあまりにいい手が思いつかないので反則みたいなことをしてしまいますが、まあ、難しいです)
序列が単純に1〜4で決まっているわけではない(船の例では、1,2,2,4)というのが効いていて当てる側としても簡単ではないですし、それ以上にこのせいで演じる側のハプニングが結構起こります。
今回は最初の舞台設定が取り調べ室だったんですが、中央に置かれたテーブルとそれを挟むように置かれて椅子。刑事と容疑者が座る想定だったかと思うのですが、両方とも刑事が座ってしまい、「はけ!」と言われて、「はけ?俺にはけっていうのか!」と謎の刑事同士のやり取りが発生し、実は容疑者役になっていたであろう序列4位の人はいなかった(1,1,2,3だった)という奇跡みたいなことが起こり、これは最高のゲームじゃないか!?と参加者全員感じたと思います。
即興劇(エチュード)をやるというとハードルが高いように思われるかもしれません。しかし、演技力はほぼ必要ありません。スパイフォールやキャットアンドチョコレートとかみたいに与えられたお題に応じて話すことを考える系統のゲームとやってることはほぼ変わらないんじゃないかと思います。
でも、他のプレイヤーに合わせる、自分の発言をどうすれば良いか考える度合いはフリーズの方が上だと思われます。瞬発力、対応力がいるというか。
やり取りをする中で発生するアクシデントもフリーズでは、別に起こっても構わないですし、むしろルールでアクシデントを誘発しようとしてる節もあります。見てても演じても楽しいとか最高じゃないですか!
どの序列を当てるのかは、劇が終わって回答直前にダイスで決めるため、どの序列の人も油断できずちゃんと伝わるよう、勘違いされぬよう演じる必要があって、2位や3位の人はそれなりに難しい場合があるんですが、1位や4位は楽といえば楽です。とにかく偉そうなのと偉くなさそうなのをやればいいので。4位だと実際に演じられたのだとキャンプファイヤーの火や、パン屋のオーブンなどがありますが、なんか考えが行き過ぎるとキャンプファイヤーの主役(序列1位)って火じゃないのかとか認識が崩壊してきてまたそれも面白いです。
要は他プレイヤーと認識をあわせるゲームですが、やっぱりみんな同じというのはそうそうないんですよね。客商売をしてる人ならまず1位には客が浮かぶでしょうし、客と会う機会のない仕事なら社長が浮かぶでしょう。でも、それを45秒の即興劇の中でお互いの認識のズレを察して、演じる人、見てる人で合わせていく。ズレのせいで起こるハプニングや綺麗に認識があった時のやったぜ感など、単にわちゃわちゃしてるだけでなく、逆にきっちりかっちりしてるだけでもない楽しさと面白さが同居してるゲームでした。
演じるゲームということで、人数必要ということ以上にハードルが高く、普段なかなか機会のないものを遊ぶ機会に誘っていただいて、彼葉さん、ありがとうございました。
また、ご一緒した方々もサイコーでした!
・ハリウッド・ライヴス

ハリウッド・ライヴスは1950年ごろのハリウッドスターになりきり、映画を作るゲームです。「映画を作るボードゲーム」というと、脚本や撮影機材、役者などの書かれたカード/タイルを入手してそれを組み合わせて、はい、映画できましたとするようなものを想像されるかもしれませんが、『役者になりきり』とある通り、いや、それ以上なんですが、タイトルだけ指定されている映画の製作権を落札し、役者(プレイヤー)を集め、プレイヤーたちで映画のあらすじ、登場人物などを決め、3分間のトレーラーという名の演劇を行い、その後、プレイヤー同士で投票しあって女優賞、男優賞、作品賞を決めます。
ゲームの勝ち負けはお金を1番集めた人、星を一番集めた人が勝者になります。
お金は映画を作成することで「出演した役者の持っている星の数×定数」の興行収入が、映画が作品賞に選ばれれば賞金がもらえます。
星は映画に出演したり賞をとるともらえます。
今回は彼葉さんはゲームディレクター(GMみたいなもの)になり、その他の12人はプレイヤーとして参加しました。
会場に着くとまず、自分の役名を決めます。この後は、その役者として振舞うわけです。
僕の名前はユル・アークライトに。アークライト好きですし(※ゲームのアークライトはイギリスに産業革命をおこした1人の発明家の人名からとられてます)。
12人ともプレイヤーは男性でしたが、7人が男優、5人が女優になりました。
※いつもと違いプレイヤー名ではなく、役者名で書きます。
ゲームディレクターからひと通り、この後の流れなどの説明があり、その後、映画の製作権の競りです。
人数によりますが、今回は毎ラウンド3つの映画が作られ、そのいずれかに参加することになります。
映画はタイトル、撮影費用、興行収入(の計算式)、役者に与えられる星の数が決まっており、競り落とした人(プロデューサー)が撮影費用を払う代わりに興行収入を全て獲得できます。
とはいえ、1人では映画は取れないので、「報酬でXXドル支払うから」だとか、「もらえる星の数が多い役をあげるから」などと言って、製作権を落札していない役者を誘っていくことになります。役者は役者で「脚本は任せてくれてよいので、XX円以上は報酬が欲しい」とか、「星の多い役をくれるなら報酬はいらないし、むしろXX円払ってもいい」などといって自分からアピールしていっても構いません。
しかし、まあ、全員初プレイですしどの程度が競りの相場なのかとか、その後のプロデューサーと役者の交渉もまったく何を基盤にすればいいのか手探りです。
興行収入で儲かるのはわかるんですが、参加してくれた役者にどれくらい払うもなのか等まったくわからないので、僕は競りには手を出さず、星での勝利を狙うことにしました。
そんなこんなで競りといってもほぼやりたい人が最初に言った金額で落札できてしまいました。
1ラウンド目(1951年)の映画は、以下の3つに。
・レミングの夜(プロデューサー:サー・リチャード・レヴィ)
・素晴らしき哉、妻君(プロデューサー:ミリ・ゼニリ)
・サムソンとダビデ(プロデューサー:リタ・バーゴット)
映画タイトルはルールブックに挙げられているもので、実際の映画タイトルをもじったものになってます。
サムソンとダビデは興行収入も最も期待でき、かつ、もらえる星の数が3つの役が2つもあります。レミング~は収入の期待値はそれなり、役は星3:1つ、星2:2つ。素晴らしき~は、収入の期待値は低いですが星2の役が5つと人が集め易そうです。
ミリ・ゼニリの人徳なのか、素晴らしき~がさくっと5人の役者を集めてしまいました。プレイヤーはプロデューサー含めて12人なので平均すれば1つの映画に4人ずつ参加することになるわけですが、早くも偏りができてしまいました。
僕は星狙いだったので、星3の役もらえませんかねとリタに働きかけます。
すると、同じく星が欲しいフレディ、逆に星はいらないが報酬は高くして欲しいオリビアがやってきたので、サムソン~もさくっと4人揃うことに(他の映画は最低でも星が2つもらえる役が空いていたので、0個または1個の役しか空いてないサムソン~にオリビアはやってきたようです)。
さくっと決まったと書いてますが、プロデューサーと報酬に関する話をします。興行収入は参加する役者の持っている星の合計数×映画ごとに決まってる定数から費用を引いたものになります。
役者は全員ゲーム開始時に星を5つ持っているので、1ラウンド目は5×参加人数×定数になります。これによるとサムソン~の興行収入は約80M(というお金の単位)なので、まずはこれをどう分配するかということで、オリビアがもっと欲しい!というようなことを言ってやや揉めましたが、もらえる星の数に反比例して割合分け、作品賞でボーナスがもらえたら別途分け合うという契約になりました。
(ここら辺のルールの覚えがあいまいなのですが、本当は、映画に参加するか決める際に、プロデューサーと話しておかないとダメだったかもしれません)
そして、この後、各映画で3分間の予告編を作ります(プレイヤー達が3分間演劇します)。
映画はタイトルとジャンルしか決まってないので、そこから想像をふくらませるわけですが、うちのサムソンとゴリアテはジャンルはエピック。『サムソンとデリラ』と『ダビデとゴリアテ』を混ぜたタイトルでエピックなので、どちらかの物語をベースにしつつまとめるのだろうと思っていたのですが…。
なんとフレディからとんでもないアイディアが。
ちょっと公序良俗に反する内容なので具体的には書かないことにしますが、フレディとアークライト(僕です)は、伝説の○○になり、伝説の時代からワームホールで現代にやってきて、そこでオリビアと出会い、○○をした後でなんやかんやがあってまたワームホールで帰っていくという話。
ワームホールってどうやって表現すればええんじゃ?というか、エピック要素なくないですか?などと色々あったのですが、プロデューサーであるリタも気に入った設定だったようなので、それに肉付けしていくことに。しかし、ワームホールとか表現できないとこは結局削り、これ頑張っても3分演じるのは無理だぞ…というところで、準備時間が終了(映画を競り落とした後、役者集め~予告編を完成させるまでルールブック上では30分となってます)。
いやー、これはやばいなあと思いながらも、他の方々がどんな予告編を作ってるのかはやはり気になる&楽しみで、ワクワクしながら上映を待ちます。
最初は、『レミングの夜』。こちらは元ネタであろう『ジャッカルの夜』から殺し屋テーマを引き継いで、アレックスが演じる殺し屋レミングと、ノエルの演じる女殺し屋の物語に(プロデューサーであるリチャードは最初に死ぬ役でしたw)。
会場がたまたま和室で、縁側や障子のある部屋だったんですが、障子をスクリーンにしてシルエットだけ見せる、最後のアクションシーンでは特撮風の演出もあるなど、かなり出来が良く、うちのチームはますます、これはやべえという感じに。

(『レミングの夜』で印象的なスクリーン(障子)を使ったシルエットでのノエル演じる女スパイジャッカルの初登場シーン。リチャードの「ファムファタールとの出会いは3年前…」というナレーションも最高でした)
その次の『素晴らしき哉、妻君』も、義理の父親を看病する妻。しかし、旦那は浮気。妻も義父のところにきた医者と…という話をうまくコメディタッチにまとめてました。妻役のジーナの体力ぎりぎりの演技(旦那の不倫の場面をしている横でずっとスキップしてる)も素晴らしかったですが、特筆すべきは義父を演じたシニアの切れのいいダンス! レミング~の真っ当な予告編も思っていたよりかなり上の出来で驚きましたが、まさかこんなダンスが見れるとは!とかなり持っていかれました。

(『素晴らしき哉、妻君』の最初の場面)
そして、ますます…な、サムソン~班。
体育の授業で創作ダンスを作ることになって、適当にやってたら最後の発表時にみんな真面目に作ってて、え?うちはこんな出来なんだけど…となる、あれをまさかこの年になってやっちまうとは思いませんでした。
そんなわけでプレイヤー全員が、男優賞、女優賞、作品賞に投票します。自分自身と自分の出演した作品には投票できませんが、自分と同じ映画に出演した役者には投票できます。
そして、結果発表!
女優賞はレミング~のノエル、素晴らしき~のジーナ、サムソン~のオリビアと、各映画のヒロイン達が同票数となり、決選投票で決めるという激的な流れの末、ノエルが勝利。
男優賞はやはりダンスが全員の心をつかんだようで、シニアがダントツで獲得。お2人には星2つがボーナスとして送られました。
(女優賞、男優賞ともに2位、3位もノミネートとして星1つが送られます)
そして作品賞。初っ端でこんな出来のができるのか!と僕らの度肝を抜いた『レミングの夜』が獲得。ボーナスで賞金100Mと参加者全員に星1が送られました。作品賞2位は素晴らしき~でこちらは賞金50Mがもらえました。
ゲームディレクターである彼葉さん的には、そこまでサムソン~も酷くないというか、他とめちゃくちゃ差があるわけでもなかったと思われてたようで、サムソン~、ゼロ票だったんだけど、ゼロってほどでもなかったよねみたいなことを後ほど仰ってましたが、いわなくていいですよ!w

(1951年の結果)
そして、1952年という名の2ラウンド目に。
また映画の競りから開始です。
今回は、『大羊』、『月夜の決斗』、『錨を降ろせ』の3作品。今回競り落としたのは、それぞれ、リチャード、オリビア、ノエルの3人。
リチャードは1年目と同じくプロデューサーになって、お金勝利を狙っているようです。オリビアは役者としてよりやはり映画を作った方が儲かると思ったようで、2年目はプロデューサーに名乗りを上げました。
そして、ノエルは1年目に女優賞、作品賞を取ったことで星の数は11個と単独トップ。しかし、当然、プレイヤーはゲーマーなわけで逆転勝利を狙ってノエルの星獲得は邪魔する可能性があります(狙って邪魔しなくても、みんな星の多い役を狙えば、ノエルの邪魔になる)。『錨を降ろせ』はプロデューサーに自動的に星3の役が振られるので、落札さえ出来ればかなり星勝利で有利になるわけです。
そんなわけで、『錨を降ろせ』は1年目の男優賞であり、当然星勝利を狙っていたシニアと猛烈な競り合いになり、結構な額まで競りあがったんですが、ノエルは1年目の出演作のプロデューサー、リチャードをパトロンにしていたため、お金が無尽蔵にでてきます(おそらく1年目の作品賞ボーナス100Mのほとんどをリチャードがもらってる)。途中でシニアは諦めたため、前述のとおりノエルが落札しました。
僕は星勝利を狙っていたわけですが、ノエルとの差はこの時点で星3つです。ちょっと3つを逆転するのは難しくないか?と若干弱気になったことで、星3の役のある月夜~に参加交渉する気にならず、名プロデューサーリチャードの手腕を見たくなったこともあって『大羊』に参加することにしました(競りの段階で錨~だったか月夜~に人が集まっているように見えたというのもあったんですが、なんか人が流れてきて大羊は5人の大所帯になってました)。
リチャードは「脚本は任せる」と言い残して、どこかにいってしまったので、残った面子で脚本の検討に入ります。といっても、ミリがほぼ決めて、ハンフリーやフレディがアイディアを出していくという形で、僕はほぼ参加してなかったんですが…。
(1ラウンド目に複数人で脚本作ったら、まとまらずに支離滅裂な感じになってしまったというのもあり、かなり引いた感じになってました)
しかし、ミリがすぱっとストーリーを決めてくれたので、1ラウンド目と違い演出に時間を割くことができます。小道具は何を使うか、スクリーン(障子)はどう使うか、音響は?などなど、結構余裕を持って色々決めることができました。
僕は主人公であるミリの父親で大羊に殺される役です。どう殺されるかじっくり考えれました。
2年目はみなさん慣れたのか、各映画とも見ごたえのあるもので、それぞれに見所があり盛り上がりました。
そして、投票なわけですが、ここでふと気づきます。自分達の出演作には投票できないってことは、出演人数少ない方が、自作への投票権を持つ人数が多くなるので有利なんじゃない?=最大の5人が出演してる大羊は作品賞取るのには不利なのでは?と。まあ、今気づいてもどうしようもないんですが。
そして、2年目の投票結果発表です。
女優賞は、『錨を降ろせ』で女海賊ストロング・ゼロを演じたジーナと、『月夜の決斗』で兄弟ふたりの恋心を翻弄する酒場の給仕を演じたオリビアとで決選投票になり、オリビアが受賞。
男優賞は『月夜の決斗』での兄弟を演じたシニアとバジルの決選投票でシニアが勝利。(ありがたいことに僕も男優賞3位に選んでいただきました。死に際に凝った甲斐がありました)

(『月夜の決斗』の酒場のシーン。シニアとバジルの2ショットです)
女優賞、男優賞とも『月夜の決斗』から選ばれているわけで、作品賞もか…!?と緊張したものの、『月夜の決斗』は作品賞では2位。我らがリチャードP製作の『大羊』が見事作品賞に選ばれました!
これでボーナスの賞金と星1つを獲得です。
星勝利は運動会の玉入れ方式(徐々に数字をあげていって、自分の星数以上になったら座る)で発表され、ノエルとシニアが同点勝利。僕は星2つくらい及ばず。まあ、男優賞とらないと無理!
お金勝利もいくら持ってる人!みたいな玉入れ方式での発表だったんですが、リチャードがダントツすぎ(2位の1.5倍くらい持ってた)で、勝利されてました。リチャードは1ラウンド目も2ラウンド目も作品賞とってるわけで、名プロデューサーと呼ばれてました。
僕ら大羊チームがストーリーを考えていた時に、月夜~では、オリビアが出演者には報酬は支払わない(それでも星3の役が2つあるので、人はくるはずという考えだったようで)という宣言をして、星3の役が欲しいプレイヤーでひと悶着あったとかなかったとか、リチャードはノエルのところに借金の取立てにいっただけでなく興行収入からもいくらかもらう契約をしてきたとか、2年目は色々あったようです(錨~は興行収入のほとんどがリチャードに持っていかれたとか)。
ノエルの演技、2ラウンド目も悪かったというわけではないんですが、1ラウンド目に星トップということで目立ちすぎて、投票してもらえなかったようで(僕もノエルと書いてたのを直前にオリビアに変えましたし)、お金についても星についても2ラウンド目は盛り上がりました。

(1952年の結果)

(僕のキャラの最終成績。星12個でした!)
んで、感想なわけですが参加者のおひとりが「自分の良く遊ぶ面子とやろうとしたら、断固反対という声があってできなかった」と仰っていましたが、確かに、ストーリーを参加者で考えて、さらにただのボードゲーマーが演じるというのはハードルの高いゲームではありました。この日は結局ゲーム開始から終了までインスト込みで4時間ほどかかったわけですが、普段4時間ゲームしたのとは比べ物にならないくらい疲れましたし、自分の予告編を演じる前はほぼ全員が知り合いという場ではありましたが、めっちゃ緊張してました。ルール通りの時間配分だと細かい演技や台詞まで決めるのは無理で、各自のアドリブなのでそこらへんのせいかもしれません。
しかし、その分、いや、それ以上に楽しい体験ありがとうございましたという思いのほうが強いです。もちろん面子にもよりますが、またやりましょうといわれれば、是非是非というくらいには楽しかったです。
一体感、やりきった感などなど半端無いです。
ゲームとしてみると大変難しいです。ゲームが自由すぎるのと、初回はどの程度お金や星がもらえるものなのか(勝利ラインはどのへんなのか)がさっぱりわかりませんし、前述のとおり、作品賞を取りたければ出演人数は少ない方が(一応)有利とか、勝ち負けを考えた投票というのもあるんでしょうけど、前もってそこまで考えられないというか、決断ポイントが少ない割りに影響がでかすぎるように思います。
といっても、結局のところ、作品賞のボーナスや男優賞/女優賞のボーナスがもらえないとお金勝利も星勝利もおぼつきません。
そう、要は素晴らしい脚本を考えて素晴らしい演技をするのが一番勝ちに近づく方法なんじゃないかと。
プレイング次第で勝ち負けが決まる、普段やってるのと変わりません。
といっても、1ラウンド目開始時に決めた方向性を2ラウンド目でも突き進むしかなく(途中で星からお金とかに変えても勝てない)、2ラウンド目開始時に人によっては、もうこれ勝ち目ないな…とやる気がなくなることもあるかもしれません。
そういう意味でも2ラウンド目の役者の選択は重要かも?
あと、今回、気にはしてたもののほとんど小道具を持ち込めなかったのですが、リチャードが大量に衣類などを持ち込んでくれたのが大変助かりました。小道具は必須だと思います。3分という短い時間ですし、当然、テロップなどもでないので、スカート、長髪、コート、帽子、拳銃などなど、一見して役の特徴のわかる”記号”として使える小道具のあるなしでだいぶ印象が変わります。
僕が1ラウンド目に出演したサムソン~ではオリビアは女性役でしたが、服装を用意しなかったので、最初女性と思わなかったという声がいくつかありました。
人は選ぶかもしれませんが、素晴らしい体験であることは間違いなく、是非是非遊んでみて欲しいゲームです。
どうでもいいようなよくない話として、感想戦してる時に1951年、52年の映画なのに『サムソン~』では舞台が2018年、『大羊』も1980年代のアメリカ~とか言ってて、めっちゃSFだと思ったといわれてしまいました。設定は大事ですね!(映画もやりやすさもなじみの深い年代に移して遊んでも良いかもしれません)
ーーー
・フリーズ

そして、ハリウッド・ライヴス終了後、同じく演じるゲームということでフリーズをやりませんかと彼葉さんから提案がありました。
興味はあるが疲れた…ということで、何人かの方は帰ってしまいましたが、残った8人でフリーズをやりました。
フリーズは4人で即興劇を演じるゲームです。劇のあと、劇の参加者、観覧者が劇の参加者の序列を当てます。
劇の参加者には1~4のいずれかの数字が書かれたカードが渡されます。同じ数字を持ってる人がいることもあれば、1~4のうち欠番があることもあります。参加者でも自分以外が何のカードを持っているかはわかりません。
劇の後、まず、その舞台設定はなんだったのかの質問があり、その後、ダイスを振って出目の序列の人、例えば2の人が誰かを全員で当てあいます。当たると点数で規定点を誰かが取るまで続けます。
ちなみに当てられる側は誰からも当てられないと減点(ディクシットとかでもあるルールですね)なので、伝わるように必死に演じます。
僕が演じる側だった時の例として、舞台は船上(カードが大量にありランダムに決まります)、序列は2でした。
船の上の序列で2番目? 船の上の序列ってなんだろう? やっぱ船長が1番かな?と開始前に考えて、即興劇開始直後に、
僕:「船長!船長はどこですか」と発言したところ、彼葉さんが「うむ」みたいな返事をしてくれました。
よしよし、これで船長確定、僕は船長より下の序列だということが伝わっただろうと思っていると、舞台中央に置かれた椅子に座ったSさんが、「船長、この船はいつ到着するのかね」みたいな発言をされました。
あああああ、客船設定だ! 僕はタンカーみたいな客のいない船を想定してたんですが、お客さんが現れました。言葉の感じからして序列は1番で間違いありません。そして、彼葉さんがお客さんの言葉に答えてます。
これでSさんよりも彼葉さんの序列が下であることもわかります。
劇は4人でやるので、もう1人残ったIさんは甲板を掃除をしているような動きをしてます。これも序列はかなり下。たぶん4位でしょう。
そうすると、見る側からすると、1位Sさん、2位彼葉さん、3位僕、4位Iさんで確定だと思われているはず。
しかし実際には僕の序列は2位なので、なんとか彼葉さんと同列だということを伝えなければなりません…。
とかいうような感じで、お互いに台詞や行動を元に相手の序列を推理して自分の行動や台詞に反映していくわけです。
(この後、僕はあまりにいい手が思いつかないので反則みたいなことをしてしまいますが、まあ、難しいです)
序列が単純に1〜4で決まっているわけではない(船の例では、1,2,2,4)というのが効いていて当てる側としても簡単ではないですし、それ以上にこのせいで演じる側のハプニングが結構起こります。
今回は最初の舞台設定が取り調べ室だったんですが、中央に置かれたテーブルとそれを挟むように置かれて椅子。刑事と容疑者が座る想定だったかと思うのですが、両方とも刑事が座ってしまい、「はけ!」と言われて、「はけ?俺にはけっていうのか!」と謎の刑事同士のやり取りが発生し、実は容疑者役になっていたであろう序列4位の人はいなかった(1,1,2,3だった)という奇跡みたいなことが起こり、これは最高のゲームじゃないか!?と参加者全員感じたと思います。
即興劇(エチュード)をやるというとハードルが高いように思われるかもしれません。しかし、演技力はほぼ必要ありません。スパイフォールやキャットアンドチョコレートとかみたいに与えられたお題に応じて話すことを考える系統のゲームとやってることはほぼ変わらないんじゃないかと思います。
でも、他のプレイヤーに合わせる、自分の発言をどうすれば良いか考える度合いはフリーズの方が上だと思われます。瞬発力、対応力がいるというか。
やり取りをする中で発生するアクシデントもフリーズでは、別に起こっても構わないですし、むしろルールでアクシデントを誘発しようとしてる節もあります。見てても演じても楽しいとか最高じゃないですか!
どの序列を当てるのかは、劇が終わって回答直前にダイスで決めるため、どの序列の人も油断できずちゃんと伝わるよう、勘違いされぬよう演じる必要があって、2位や3位の人はそれなりに難しい場合があるんですが、1位や4位は楽といえば楽です。とにかく偉そうなのと偉くなさそうなのをやればいいので。4位だと実際に演じられたのだとキャンプファイヤーの火や、パン屋のオーブンなどがありますが、なんか考えが行き過ぎるとキャンプファイヤーの主役(序列1位)って火じゃないのかとか認識が崩壊してきてまたそれも面白いです。
要は他プレイヤーと認識をあわせるゲームですが、やっぱりみんな同じというのはそうそうないんですよね。客商売をしてる人ならまず1位には客が浮かぶでしょうし、客と会う機会のない仕事なら社長が浮かぶでしょう。でも、それを45秒の即興劇の中でお互いの認識のズレを察して、演じる人、見てる人で合わせていく。ズレのせいで起こるハプニングや綺麗に認識があった時のやったぜ感など、単にわちゃわちゃしてるだけでなく、逆にきっちりかっちりしてるだけでもない楽しさと面白さが同居してるゲームでした。
演じるゲームということで、人数必要ということ以上にハードルが高く、普段なかなか機会のないものを遊ぶ機会に誘っていただいて、彼葉さん、ありがとうございました。
また、ご一緒した方々もサイコーでした!