ミステリーホームズ

(3人でインスト込み1時間ほど)
【概要&ルール】
夜が明けると館に死体が! 警察の助けは借りられない。館の中にいる我々だけで各部屋を調べ、証拠を探し、事件を解決するのだ!
犯人1人、他一般人で遊ぶ1対多のゲーム(他の方は協力ゲーム)です。
まず、役割カードとアリバイカードをプレイヤー全員に配り、各プレイヤーは配られたカードの中身を確認します。
役割カードは犯人か一般人かが、アリバイカードには犯行時どこにいたのかが書かれています。
その後、フェイズは夜になります。犯人はルールブックに書かれた指示の通り、セットアップを行います。この間、犯人以外は顔を伏せて目を閉じています(人狼的なあれです)。
(凶器や証拠を館内におくので、犯人以外は手を出せません)
凶器カードに書かれた凶器(と付随する証拠品)を指定の場所に置きます。その後、2枚トリックカードを引き、その通り操作をします(死体を隣の部屋に動かしたり、実際には使われていない証拠をおいたり、自分のアリバイカードを入れ替えたり等)。
セットアップが完了したらみなで顔をあげてゲームスタートです。
ゲーム中は、残り時間を消費してアクションを行います。残り時間が一番多いプレイヤーが手番を行います。
できることは、移動&探索と、推理の2つ。移動&探索は館内を移動して移動先にあるタイルから1つを獲得するか、それとも犯人などを指摘する“推理”か。
移動&探索で見つけたタイルは基本的に他人に内容を見せることはできません。口頭で伝えることはできます。
推理では、犯人(プレイヤー)、凶器、事件に使われたトリックカード2枚を宣言し、犯人として指摘されたプレイヤーが正解か不正解かを答えます(内容を問わず、正解/不正解のみ答えるので、犯人でなくても判定できます)。
犯人以外のプレイヤーは誰かひとりが正解を当てれば勝利、犯人役は一般人プレイヤー全員の残り時間がなくなったら勝利です。
【プレイ内容】
一味さん、彼葉さん、僕の3人で。
最初に犯人をランダムに決めます。
配られたカードをこっそり見ると、「犯人」の文字が。
そうかー。犯人かー。大変そうだ。
みんなで顔を伏せたあと、僕だけ顔を上げて犯人の仕事をします。
犯人がやるのは、凶器カード1枚、トリックカード2枚をランダムに引いて、その内容に合わせてルール通りに凶器トークンと証拠品トークンをセットアップすることです。
犯行時間に犯人がどこにいたかは、役職のカードと一緒に全員に配られたアリバイカードに記載されています。
このアリバイカードに記載されている部屋と、凶器の特性に応じて、死体が置かれる場所が変わります。
拳銃なら隣接する部屋におかれ、ナイフやロープならアリバイカードと同じ部屋に置かれます。
ただし、毒ナイフなら(たぶん時間差で死ぬということで)凶器はナイフになりますが、死体は隣接する部屋に置かれます(ただし、証拠品として毒が登場するようになります)。
今回僕が引いた凶器は『ロープ』。特別な証拠品も登場せず、かつ、アリバイカードと同じ場所に死体と凶器が置かれます。
(めっちゃどうでもいい話なんですけど、アリバイは本来“現場不在証明”=犯行現場以外の場所にいたということを示す言葉なので、犯行時間にいた場所という意味で使われているのは、文章書いてて違和感というか不思議な感じがめっちゃしてしまいます。犯行時にいた場所という意味で使われがちなのもわかりますが)
ロープ! ロープかあ…。僕のアリバイカードに書かれてる部屋に死体と“犯行現場と同じ部屋に置かれる”ロープが置いてあったら、すぐに犯人だと特定されるでしょう!?
と彼葉さん、一味さんに気づかれないよう慌てます。
しかし、この後、トリックカードを引いて、犯行現場やら周りの部屋に色々と細工をします。これで大丈夫になるはずです。
僕が引いたのは「死体を犯行現場と隣接する部屋に移動させる」ものと、「任意の証拠品を任意の部屋における」もの。
これでなんとかなるかなーと死体を隣接する風呂場に運び、適当に選んだ証拠品をマップ上に配置します。
(セットアップを早く終わらせた方がよいと思って、あまり考えなかったんですが、この時もう少し考えておけば…)。
セットアップが完了し、夜が終わったことを彼葉さん、一味さんに伝えます。この時はセットアップが完了したら携帯のタイマーを10秒くらいでセットして鳴らす(誰でもセットできるよう、鳴らす用の携帯を机上においておきました)という方法を取りました。
死体のある部屋に全員のコマを集めてスタートです。ここから、この部屋を調べたり、別の部屋に移動してその部屋を調べたりしていきます。「調べる=その部屋に置かれてるタイルを自分だけが見て、内容を他のプレイヤーに教える」です。
この時に目撃証言タイルを引くと他人のアリバイカードを見ることができますが、他のタイルは何が引かれたかは引いた本人しか本当のところはわかりません。
セットアップ時に凶器タイルや証拠品タイルなども置いていますが、タイルの大半は何も書かれていないハズレのタイルです。
セットアップを僕=犯人がやっているということは、どれが凶器のタイルかわかっているということです。
ぐはは、まっさきに凶器のタイルを引いて嘘情報を流してやるわ!と思いながら自分の手番を待っていると、先に一味さんが凶器を見つけてしまいました。いきなりつまづきます。
同じことが起こらないようにとっとと本当の犯行現場である隣の部屋に移動して、自分で凶器を見つけた方が良いかとも思ったのですが、直前に、「いきなり移動するより、とりあえず今いる部屋を調べた方が時間効率はいいですよねー」という話をしたばかりだったので、移動すると怪しまれるかな?と思い、ハズレなのはわかっていますが、スタート位置の部屋を調査。
そして、2手番目。今いる浴室からは玄関と寝室(本当の犯行現場)につながっています。僕より前手番になった彼葉さんが玄関に移動して調べられたので、じゃあ、僕は寝室に行きますねと、スムーズに犯行現場に移動することに成功!
ぐはははは、凶器のタイルをさくっと取って、証拠隠滅してやるわーと思いながら取ったタイルは無地のモノ。
あれ?間違った!というわけですが、表情には出さずに、ハズレでしたーとだけ伝えます。
まあ、浴室からの移動経路は玄関に出る方が短く、その後別の部屋に行くのも玄関からの方が短い(廊下の1マス移動するのに1分消費します)ので、時間効率を考えるなら、次手番の一味さんはこっちにこずに玄関に行くだろうとタカをくくっていると…。
一味さん:「寝室行くわ」
僕:「え! 玄関の方が近いし、その後、さらに先の部屋に行くのも廊下が短いですよ!?」
一味さん:「お! なんか怪しい! 絶対に寝室行く」
僕:「なんで真っ当なこと言ってるのに怪しまれるんだよ!」
※数日前のゲーム会で一味さん相手に三味線を駆使して勝ってるからです
そして、凶器であるロープのタイルを引き当てる一味さん。
やっばーいです。
一味さんの手番で寝室のタイルは全部見たので、僕は隣のダイニングに移動して調査です。
この部屋には偽の凶器と、トリックカードで仕込まれた事件に無関係な証拠品があります(各部屋にタイルは3枚ずつあるのでハズレ(もしくは目撃証言)も一枚あります)。
そして、1枚しかないハズレタイルを引く僕。
一味さん:「こいつ、ハズレしか引かねえ。怪しいぞ!」
僕:「犯人だったらもっと凶器とか引いてるわ!(実際引くつもりだったのに引けなくて悲しいわ!)」
まあ、次手番では凶器を引いたので、ハズレばかりではなくなったわけなんですが、一味さんがこの前に証拠品(毒でした)を引いて、残り一枚が凶器だっただけなので、疑いは晴れず。
それより、その前に、彼葉さんの手番だったわけなんですが、彼葉さんは玄関にまだタイルが2枚あるにも関わらずさらに隣のリビングに移動。いやいやいや、玄関のタイル2枚のどちらかは凶器(偽ですが)なんだからちゃんと調査してよと言いましたが、残り時間的に玄関を全部調べるかリビングを調べるかなので、リビング調べたいとスルー。
うおーいと思いましたが、まあ、怪しげな行動してくる分にはいいかとあまり追及はせず。
そして、その後、残っている部屋を調べたりしましたが、全部調べるには時間が足らず、若干の不明点を残したまま推理タイムに。

(ほぼ終盤。結構裏向きタイルは残ります)
目撃証言タイルを彼葉さん、一味さんともに1,2枚見つけており、お互いにアリバイを確認しあい死体の近くの部屋にはいなかったことを確認済。そして、見つかっている証拠品がずれた時計ではない(ずれた時計はアリバイカードを山札もしくは他プレイヤーと交換するトリックの時にでてきます)ということで、一味さんも彼葉さんもお互いは犯人はないと思っています。
(一味さんが犯人で時計の証拠を握りつぶした、もしくは、時計が見つかっていないだけでアリバイカードは交換されているという可能性もありえるはずなので、インスピレーションで決められたのかもしれないんですが)
とりあえず、もう一度状況を書き出すと、死体は浴室で見つかっています。
そして、一味さんが証拠品の毒を見つけています。それ以外の証拠品の話は出てきていません。
(浴室などで見つかった凶器も書ければよかったのですが、失念してしまいました。すいません)
そして、一味さんは僕のアリバイカードを見ており、そこには寝室と書かれています。
つまり、僕が犯人なら、犯行当時にいた場所と異なる場所に死体があるトリック、または凶器が使われているはずです。
このゲームでは毒は凶器を遅行性にする効果があり、ナイフなどとあわせると毒ナイフとなり、刺した場所(犯行現場)の隣に死体が置かれます。毒が見つかっているということで、この効果によって死体が移動したのだろうとあたりをつけ、色々と検証が始まります。
しかし、毒とナイフが見つかったのはダイニングです。2部屋隣まで死体が移動することはありませんし、血痕も見つかっていません。
うーん、わからんけど、言ってみるかと、彼葉さんが僕が犯人だと指摘しつつ、凶器とトリックカード2枚を宣言します。
まあ、推理が中途半端なのでこれは当然外れ。
最後、一味さんが推理を当てれば彼葉さん&一味さんの勝ち、外せば時間切れとなり犯人である僕の勝ちです。
ぶっちゃけた話、「任意の証拠品を任意の場所に置く」というトリックに気づいてないだけで、それに気づけば今の状況なら僕を犯人すれば辻褄が合うんだけどなー、気づかなきゃいいなーと思ってみてました。
しかし…、
彼葉さん:「あ、こんなトリックあるじゃん」
というわけで当てられてしまいましたw。
セットアップでトリックめいたことは仕掛けてないですし、ゲーム開始後もだますようなムーブはできてないのですが、タイルを全部見るだけの時間がないからか案外、気づかれないもんです。
続けて2戦目を遊びました。
また、僕が犯人カードを引いたのですが、次あたったら大人しく犯人やるので、一回だけ引き直させて欲しいとお願いして、引き直し、今度は無事、一般人になりました。一味さんか彼葉さんが犯人なわけです。
今度の死体発見現場は館の中央にあるダイニング。四方に廊下が伸びてます。流石に今度は移動効率を考えると同じ方向に移動するわけにはいかないので、3人とも違う方向に行きます。
彼葉さんは下方向にいって、玄関を調査しますが、証拠品は見つからず。僕は上方向、客間に移動して血痕を発見!
僕:「血痕見つけました!」
一味さん:「さっき何も見つけられなかったのに、いきなり見つけるとか怪しいぞ!」
僕:「なんでも怪しまれるじゃねえか!」

(よっしゃああ、血痕見つけた! といっても、タイルの内容は他人に見せられないので、本当かどうかの判断は他人に任されます。もしくは日頃の行いによります)
などとコントもしつつ、一味さんがダイニングの右方向、寝室に移動して調査したところ、目撃証言タイルを引いたので、彼葉さんのアリバイカードを見ようとします。
彼葉さん:「客間だよ」
一味さん:「玄関って書いてある」
何故かみられる前にカードの内容を宣言した彼葉さん。これで一味さんが見た内容と同じなら潔癖の証明になるとのことだったんですが、実際には異なってます。
んー?わざわざ自発的にすぐ嘘だとばれる宣言するメリットが彼葉さんにあるんか? となると一味さんが嘘ついてるの?
どちらにせよ。どちらかが犯人のようです(知ってた)。
その後、時間内にできる限りの調査(タイルめくり)をし、あーだこーだと出ている証拠とあり得る可能性をぶつける検討タイムに突入です。
結局今回の事件も死体発見の部屋と各人のアリバイの内容が合わず、毒かアリバイカード交換のトリックが使われている模様となり、僕は彼葉さんが嘘をつく意味ないので嘘をついたのは一味さんと判断して、一味さんが犯人ならこうなってるはずという内容の推理を宣言します。
が、ハズレ。たぶん、一味さんが犯人だと他の組み合わせはないはずなので、彼葉さんが犯人なのか?
彼葉さんが玄関でずれた時計を見つけて、ハズレのタイルだったと報告しているとすればこの内容で辻褄が合うはずという推理を一味さんが披露し、見事正解されました。
彼葉さん:「初手で玄関いって時計拾おうとしたら、ハズレタイルで焦った」
僕:「わかる。自分で配置したはずなのに間違えますよね」

(正解暴露したところ。手前にあるのが凶器やトラックカードの一覧。ここに書かれている条件と突き合わせて正解を探っていきます)
【感想】
テーマ、推理している感、証拠隠滅の手段やその豊富さなど、システム的に型にはまっている中でかなり自由に操作側として殺人事件捜査/犯人側として証拠の隠蔽を楽しむことができるゲームです。
2回しかやってませんが、基本的に時間(手番数)が足りないので、100%当てられるという状況にはなかなかならず、こいつが怪しい&このはずだ!と思い切りも必要なはずで、そこもまた自分で決断した感じになっていいところだと思います。
予め決められた枠組みの中に決められた真実の候補があり、それを消去法で特定していくという仕組みは既存のいわゆる推理ゲームと同じなのですが、その候補を1単語や数字などではなく、非定型の推理に使われるような文章(条件)にしたところが非常にうまいと思います。
検証すべきパターンを文章というか、凶器やトリックが使われていることによって発生する要素、条件を検証する型にしていることで、推理小説やドラマなどでよく見かけるようなシーンをそのままに再現しているかのようなゲームになっています。
クルードなどの推理ゲームでよくある、凶器、場所、犯人を当てるとした時に、ナイフではなく、拳銃ではなく、ロープではなく…、毒薬のヒントがないから正解は毒薬!と単純な単語の消去法ではなく、
・ロープならば死体は犯人のアリバイカードと同じ場所にある
・毒ナイフならば証拠品の毒がゲームに登場する
という条件の精査を行うという体になっているため、やってることは単純な消去法と変わらないとしても、頭の中では、「毒が見つかっていないので、毒ナイフではない」というような、理屈を元にした推理、検証の形になっています。
これは非常に雰囲気でます(僕は推理ゲームというのは、究極的には雰囲気が推理小説やドラマっぽいかそうでないかだと思ってます。雰囲気は超大事です。多かれ少なかれ状況から何かしらを類推するという場面はほぼ全てのゲームに登場する要素なので)。うまいこと適度な時間で収束するような組み合わせにバランス取るのは大変かと思いますが。
あと、少し上の方でも書きましたが、100%当てられる状況にはならないというのも非常に良いと思います。
もしかしたら違うかもしれないという状況で“自分の考え、推理に従って”これだ!と指摘する、非常に推理ゲームしてるなあと僕は思います。
100%当てられる状況になる過程にもよりますが、パズルに近いものになっている推理ゲームと呼ばれる論理パズルゲームが多いのに対し、自分の推理(というか勘)で回答しなければならないのは、僕はとても好みです。
ただ、この100%当てられる状況にならないというのは諸刃の剣でもあって、絶対に絶対に間違いたくないという人も世の中にはいるので、そういう人とこのゲームを遊ぶとちょっと不幸かもなーとも妄想します。
なんでかというと、ゲーム上の残り時間はテーベの東式のトラックで示されているんですが、盤外の実際の時間は別に制限がルール上にないので、あと1手番で犯人側の勝ちが確定するという場面で、延々とあーでもないこーでもないと検討が始まってしまうんですよね。多かれ少なかれ間違いたくないですし、その検討の時間=真面目にゲームに取り組んでいる証拠ともいえるので悪いとはいいませんし、この検討する時間がまた“推理”ゲームしてて楽しいのも確かなんですが、プレイヤー全員の熱量が冷めない程度の時間で区切りはつけた方がよいと思います。
別ゲームですが、いざ回答するぞとなってからめっちゃくそ時間をかけて検討を始めた人と同卓したことがあるので気になってしまいました。とはいえ、そのゲームは競争式だったので、外す=他プレイヤーに負けるだったというのもあるかもしれません。こちらは協力ゲームなので(犯人も形式的には付き合うので)プレイヤー全員で検討するはずで、だとしたら杞憂かもしれません。