インペリアル

(2人で初回インスト込み3時間半ちょい)
【概要】
1900年代初頭、緊張感の高まったヨーロッパが舞台。列強各国は虎視眈々と他国への侵略を狙い、軍備を増強していた。政治家は自国の利益、国民のためと言いつつ、裏には自分たちの財力にしか興味がない資本家たちの影があった…。
【ルール】
プレイヤーは資本家のひとりとなって、ヨーロッパ列強を裏から操ります。
自分が債権を持つ国の国力をあげることで債権の価値を高め、莫大な資産を手に入れることが目的です。
プレイヤーは、各国の債券を購入できますが、プレイヤー内で最も債権の合計金額が大きいプレイヤーがその国の行動を決める権利を得ます。
各国の行動は、“ロンデル”という輪の形に並べられた各行動にマーカを置くことで選択し、実行します。各国の行動の種類は以下。
工場:国の中に工場を建てます。工場には、戦車工場と造船所があり、建てる場所に応じて種類は決まっています。
生産:工場で軍隊を生産します。戦車工場で戦車を、造船所で艦船を1部隊ずつ生産できます。
輸入:軍隊を最大3部隊購入します。戦車と艦船の組み合わせは自由です。
移動:全部隊を移動させます。移動先に敵部隊がいれば戦闘となり、敵と自国の部隊数の差が、残ります(敵1部隊のところに2部隊で攻め込めば自国の部隊が1部隊残り、敵3部隊のところに、3部隊で攻め込めば、お互いに部隊は残らない)。戦車が海を越える際には、艦船で輸送する必要があります。海や中立国に部隊を進めた場合、徴税マーカが置かれます。
徴税:工場数、徴税マーカに応じて税収が決まり、そこから部隊の維持費を引いた分が国庫に入ります。さらに税収額に応じて国力があがります。また、場合によっては、プレイヤーにボーナスでお金がもらえます。
配当:債権にかかれた額を、債権を持つプレイヤーに国庫から配ります。
上記の6つに加え、プレイヤーの行動も存在します。
投資カードを持つプレイヤーは、いずれかの国のマーカがロンデル上で配当に止まった場合、または配当を通過した場合に、銀行から融資を受けつつ、いずれかの国の債権を購入できます。債権を購入した金は債権の対象国の国庫に払います。行動実施後には、投資カードを隣のプレイヤーに渡します。
いずれかの国の国力が25以上になれば、ゲーム終了で、その時点で最も資産を持つプレイヤーが勝者です。
【プレイ内容】

相方とふたりでプレイしましたが、ふたりとも初プレイだったのでインストにえらい時間がかかりました。
一度通しでやっていれば、かなり単純なルールだということはわかるのですが、“ロンデル”、国庫からお金を払う場合とプレイヤーがお金を払う場合等々、実際にやってないと直感的にわかりづらく、時間がかかってしまいました。
で、プレイですが、僕がイタリア、ロシア、イギリス、相方がオーストリア、ドイツ、フランスという担当でスタートしました。
序盤は、国の行動にどういうものがあるのかといった感じで、お互いに色々試していました。
試しつつも方針としては、第一次大戦前ということで、気分の盛り上がる『ヨーロッパの火薬庫』ことバルカン半島に
イタリア、ロシアを共に進めます。イギリスはスカンジナビア半島方面に。
相方はフランスをイベリア半島方面、ドイツをスカンジナビア半島方面、オーストリアをバルカン半島方面に進めてきました。
イタリアとロシアでバルカン半島を征服しちゃると思っていましたが、これは完全にミスで、イタリアはアフリカ方面または、イベリア半島方面に進めるべきでした。バルカン半島に2国いようがなんだろうが、オーストリアはバルカン半島に侵攻するしかないんですよね…。
というわけで、バルカン半島は3国入り乱れる乱戦に、序盤から突入します。
債権もどう買えばよいのかわからず、とりあえず、自分の担当国の中で最も成長しそうなイギリスを買っていましたが、相方がイタリアの債権を大量購入し、支配権を奪われました。つまり、バルカン半島を西から侵攻していた2国ともが相方の支配になったわけです。相方としては、オーストリアとイタリアで争っても仕方ないので、イタリアは一路アフリカ方面に転進しました。アフリカや地中海を、イタリアと争う存在であるフランスも相方の支配国なので、うまいこと領地をわけあってます。
僕の残りの支配国はロシアとイギリスで、共にマップのはじっこなので挟撃されることはないのですが、それでも四ヶ国相手に二ヶ国で戦うのも歩が悪いです。ということで、相方の支配国の債権を買うぞと決めたものの、ドイツ・フランスには相方が入れ込んでおり、その二国の支配権を奪うのは、その時点でのお金では厳しく、イタリア取り返しても最初と同じ展開になるだけだと思ったので、オーストリアの債権を購入し、支配権を奪います。
が、オーストリアは、正直、序盤の対イタリアや、これまでの対ロシアで戦力がそがれており、それほど成長が見込めないし、立て直すのも大変だなーと思っていたので、バルカン半島を放棄し、隣国であるドイツやイタリアに侵攻しました。早い話がロシアの壁にしたわけです。
相方は、これを許さずすかさずオーストリアの債権を買い足して支配権を取り戻すと共に、その後、イギリスの債権にも大きな投資を仕掛けてきました。これでまた、相方が4国、僕が2国の状態になります。イギリスを買い戻しても良かったのですが、手番的に、次のイギリスの行動までに2回は、投資のチャンスがありそうだったので、相方の虎の子、フランス債権を大量購入し、フランスの支配権を奪い取りました。
フランスは、相方が債権への増資を行っており、高額債権がほとんどなくなっていたので、相方は、最高額の再建である25ミリオンの債権を買わない限り、僕から支配権を取り戻すのは無理な状況でした。ここで、相方は、ドイツまで取られてはたまらないと、ドイツの債権を購入しました。そして、次の投資で僕はイギリス債権を購入し、なんとか3国と3国の支配国的にはイーブンな状況に戻しました。
ここで、ふと国力を見てみると、全ての国家がひどい国力です…。その時点で国力が最高だったイギリスでも7しかありません。ドイツ、オーストリアに至ってはゼロです。
すっかり忘れていたのですが、国力に応じて係数がかかるので国力をとっととあげないと、大量の債権を持つイギリスでも紙くず同然です。幸い、イギリスとフランスを支配できたので、フランスが壁になりつつ、イギリスの領土を広げました。相方は、領土を広げたくてもイタリア、ドイツ、オーストリアは内部で固まっているため、お互いを気にし過ぎてうまく領土を広げられなくなっていました。
そうこうしている間に、イギリスがどんどん国力をあげ、ゲームは終了しました。そして、係数が大きい場所まで国力をあげられていたのは、イギリスとフランス、ロシアだったため、計算するまでもなく、僕の勝利となりました。
【感想】
評判にたがわぬ面白さでした!
最大6人プレイ可能ということなので、ふたりだと微妙かなと思っていましたが、十分面白かったです。
しかし、どうも、できることと、得点方法(勝利方法)がイコールではないゲームは、目的を見失いがちです。
インペリアルで言えば、ゲーム終了にはいくら戦争で勝とうが負けようが関係ないですが、国の行動として選択するものは、軍備の増強に関するものがメインであるため、戦争を主体に考えてしまいます。
しかし、大事なのは金儲けなので国力を増やすだけで良いのです。別に戦争はする必要はありません。
戦争は、あくまで国力をあげる1手段にしかすぎないってちゃんと覚えてないとダメですね。
工場の建設も、部隊を作成⇒戦争ではなく、国力アップのための手段として捉えないとダメなわけです。
しかし、本当に、つい忘れてしまうんですよね…。
前にちょろっと書いた、パンデミックも似ていて、ウィルスを除去しないとすぐに敗北になりますし、敵からの攻撃はウィルスの増加しかないので、ウィルスの除去をすることが目的と勘違いしてしまうんですよね。いくらウィルスが置かれていようと、いくらパンデミックが起こりそうでも、ゲームの目的であるワクチンの製造を第一に考えないと勝てないんですよね。
ふたりとも国力の増強というのをすっかり忘れて、投資家としての相手に負けないように債権を買い、国の支配者としての相手に負けないように、軍備を整え、戦争をして、とそちらが目的になってしまっていました。
今回は、相方がまだ間違っているうちに、国力あげないとダメだわと気付くことができたので、僕が勝利できたという
ことだと思います。
あとは、感想戦で相方と僕の意見が異なったところがありました。
相方はイタリア、ドイツ、オーストリアの3国の領土が伸び悩んだことを重視したのか、「徴税マーカをおけないと国力があがらない」という説を展開し、僕は「工場をもっと建てて、自国内で国力の増強に努めないと国力があがらない」と言いました。徴税マーカを置ける国や海域は思っていたよりも数が置けないので、いつなくなるか不安な徴税マーカに頼るよりも地盤を固める意味も含めて、工場作った方がいいんじゃないのかなーと思ったわけです。
結局は、ケースバイケースだねというところに落ち着きましたが、お互いに反対のことを考えていたわけです。
確かに、思い返してみると、相方は国中に最大数の工場を建設していましたが、僕は3,4つ程度しか建設できておらず、相方を羨ましく思っており、相方は、支配国が固まってしまったが故に、徴税マーカを思うように増やせず、工場建設で国力を上げるしかなかったようです。
相方の支配国が固まっていたことに関して、相方は、どこにも攻めることができなかったと言っていましたが、そこは逆に、捨てる国を選ぶべきだったのではないかという話をしました。このゲーム、ゲーム終了時の国力に応じて、債権に係数がかかるので、今回のプレイで言えば、係数の低い国3つの債権よりも、係数の高い国1つの債権の方が価値が高くなってました。(下の方では×0とか×1なので、国力25以上の国の係数である×5には敵いようがありません)
まあ、よく話を聞いてみると、相方はフランスを僕に取られた時点で勝つのを諦めたそうです。相方的にはフランスの国力を伸ばして勝利するつもりだったのが、逆にどうやってもフランスの債権額で、僕を上回れなくなった時点で、これはどうにもならんと思ったとのことでした。
相方は、あの前にオーストリアやイタリアの債権にちょっかいを出したのが敗因だと言っていました。僕としては、フランス債権を買った時点ではまだまだ勝ちの目は見えてなかったので、ゲームに勝ちはしましたが、相方の方が先を見れていたようです。
最後に。実際にプレイするまではルールがややこしいなと僕も相方も思っていましたが、やってみると単純なルールでした。おそらく、以下の2点を明確に説明するだけで分かりやすさは全然違うと思います。
①国の行動とプレイヤー(資本家)の行動は、しっかり区別する。
②国の支配権よりも、国力をあげないと勝てない。
③移動と戦争は別物だということを意識する。
①は、まず、国とプレイヤー、どっちの財布からお金が出て行くのかが分かりにくいですが、その問題が解決します。あと、たぶん、これはルールブックが悪いのですが、ルールブック上では、配当と投資を1つの説明箇所に混ぜこぜになっています。が、投資はプレイヤー(資本家)の行動なので、配当はあくまでロンデル上の配当マスに止まった際の国の行動、投資は、配当マスをマーカが通過した際に行うプレイヤーの行動として区別すべきです。行動がごっちゃになるのは、ここだけなので、国の行動は国から、プレイヤーの行動はプレイヤーからお金が出て行くのがはっきりすると思います。
②は、散々上に書いているので割愛しますが、シミュレーションゲームみたく、つい局地的な戦争に勝ってやったー、負けて残念ってなっちゃうんですよね。でも、それはゲームの勝利においては、遠因になれど、直接の原因ではないということはしっかり説明しておかないと、わかっていないプレイヤーは絶対に勝てないので。
③ですが、移動、戦争がらみのところは、細かいルールが多いです。友好的に他国に入るとか、船で移動するとか。細かいルールはさておき、とにかく移動は移動ですぱっと説明して、移動した先に敵戦力があれば戦うか戦わないかを選べる程度の説明で良いと思います。
とりあえず、初回はこんな感じでしたが、近いうちに2回目をやりたいです。