Q.E(キュー・イー) / Q.E.

(4人でインスト込み30~40分ほど)
【概要&ルール】
Q.E.=Quantitative easing=量的緩和だそうです。プレイヤーは国になって、各国の会社に投資していく…という体で、競りゲーをします。
※プレイヤーは国(EUもありますが)なので、資金は無尽蔵にあります。
1.手番プレイヤーがカンパニータイルを公開します。
(カンパニータイルには、ゲーム終了時の勝利点と、会社が属する国、産業が書かれています)
2.手番プレイヤーはそのカンパニータイルに値付けをします。自分のボードに金額を記入し全プレイヤーに公開します。
3.手番プレイヤー以外のプレイヤーも、自分のボードに落札希望金額を記入し、手番プレイヤーに渡します(手番プレイヤー以外には見せません)。
4.手番プレイヤーは自分の分も含め、全プレイヤーの中で最高金額をつけたプレイヤーに、カンパニータイルを渡します。この時、カンパニータイルの裏面に落札金額を記入しておきます(手番プレイヤーと落札したプレイヤー以外に、落札金額は公開されません)

(カンパニータイルの表面と裏面。表には国や産業、勝利点が書かれ、裏には落札額を記入できるようになってます)

(こんな感じで落札額を記入します(実際にはゲーム終了まで公開はしません))
1~4をカンパニータイルがなくなるまで繰り返します。その後、獲得したカンパニータイルに書かれた勝利点、国や産業のセットコレクションによる点数を合計します。
ゲーム中に使ったお金(獲得したカンパニータイルに書かれた金額の合計)が最小のプレイヤーはボーナス点が得られます。最大のプレイヤーはゲームから脱落です。

(得点計算ボード。全プレイヤー、担当国だけが異なり、他は同じです。同じ産業を集めたり、異なる産業を集めたりするとボードに書かれた点が入ります。3~4人プレイ用と5人プレイ用とで若干内容が異なります)
こうして最も勝利点を稼いだプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
さくらさん、ハルバラドさん、しゅだっちさん、僕の4人で。
僕の担当国はJP=日本です。
ゲーム開始時に全プレイヤーにランダムに産業タイルが配られており、これもゲーム終了時のセットコレクションの点数計算時に含めます。
僕の産業タイルは製造業でした。
タイルに書かれた勝利点はともかく、セットコレクションでも得点しないと非効率なので、どう集めるかの方針を決めます。
セットコレクションの種類は、自国のタイルを集める、同種の産業タイルを集める、異種の産業タイルを集めるの3種。とりあえず、自国のは集めつつ、産業タイルは流れに任していい感じでいいかーと、若干いい加減に決めてスタートです。
最初に出てきたのは、日本の金融業の1点タイル。
手番であるしゅだっちさんが提示したのは様子見の50金。
国があってるので欲しいは欲しいですが、1点ですし出しすぎるのもなあと思いつつ、61金を提示。
安いかな?と思っていると、しゅだっちさんが僕にタイルを渡してくれました。
しゅだっちさんの値付けよりちょっと上で買えたので、まあ、いいかと思いながら、続いて、さくらさんの手番。
めくられたのは、また日本。2点の製造業です。さくらさんは60金を提示。
製造業は最初に配れた産業タイルとあっていますし、欲しい!と、ちょっと強気に入札して、これまた獲得。
実はこれはこの日、僕(としゅだっちさん)は2戦目。僕は1戦目、お金を使いすぎて最後に脱落していました。なので、この流れはちょっと危険だなと思いながらの3番手、ハルバラドさん。
めくられたカンパニータイルは中国の3点のもので僕の点数に絡まなかったので、ここでゼロビットをします。
各プレイヤー、各ラウンド1回だけゼロで入札することができます(手番プレイヤーはゼロ禁止)。ゼロビットすると、その競りから相場に関する情報は得られませんが、ゲーム終了時に2点もらえます。
タダで2点もらえるなら貰っておかないとということで。
中国はハルバラドさんの国なので、結構強気の値付けをされてましたが、それを上回る値付けをされたようで、さくらさんに持っていかれてました。
そして、僕の手番。めくったタイルはEUの4点、産業は製造業です。
タイルに書かれた点は1~4点なので4点は最高点ですし、EUの人(しゅだっちさん)も欲しかろう。さっきの3点の値付けを考慮して…と、つけた価格は、
280金
かなり強気ではありますが、まあ、さっき1点を61金で競り落としてるし、その4倍の点なので、そこまで高くないんじゃない?と思っていたのですが、僕はラウンドの最後手番ということを忘れていました。
購入相手として見込んでいたしゅだっちさんは2点を取りに来てゼロビット。そうなると、購入してくれる人はおらず、EU4点のタイルは僕の手元に。マジか! まあ、産業は狙っていたのとあっているので、点数的には良し!
しかし、お金使いすぎて足きりにあいそうです。なので、ここからはしゃがみます(たまたま欲しいタイルが出てこなかったというのもありますが)。

(めっちゃ買ってしまいました)
ここからはさくらさん、しゅだっちさんのお二人が分け合うように獲得されてました。
プレイヤー数分の競りが1ラウンドにあるので、ラウンド数分のタイルを獲得するのが「バランスが良い」んでしょうが、僕は1ラウンド目に3枚とっちゃってますし、2ラウンド終了時点で、ハルバラドさんは1枚しか獲得できてません。
まあ、欲しいのが出てきすぎたり、出てこなかったりするので、枚数の多い少ないはあくまで“目安と比較して”ですけど。
1ラウンド目は僕が買いすぎたわけですし、2ラウンド目はハルバラドさんが買ってない/買えてない分、しゅだっちさん、さくらさんが買ってるわけで、購入者の妙な偏りができてました。
この時の妙な感覚。僕はしゅだっちさんやさくらさんの方がお金を使っているように思えてましたし、ハルバラドさんはもっとお金使わないとと思ってらしたでしょうし、どうもしゅだっちさんとさくらさんはお互いに「相手の方が使ってるな」くらいに思っていたように僕には感じられてました。そうなると、みんなこう思うわけです。
もっとお金使っていいんじゃない?
そんなわけで3ラウンドくらいから、(僕からすると)相場が妙な感じになってきてました。
まず、手番プレイヤーが提示する金額が高い! 2点のタイルを150金とか200金とかで値を付けて公開します。
いやいや、高すぎでしょうという空気にはなるんですが、落札者は手番プレイヤーではなくて、大抵は別の人です(=提示された値付け金額よりもっと高い金額で競り落としてます)。
タイルからの得点はセットコレクションなので、集めれば集まっただけ点になるので、どんどん欲しくなるとはいえ、みなさん、なんかめっちゃ加熱してます。
僕が引いた中国の2点のタイル。ゲーム序盤なら100金前後で買えてましたし、僕の値付けは100金。
しかし、みなさんから提示されたのは、
しゅだっちさん201金、ハルバラドさん250金! (さくらさんはゼロビッド)
(1ラウンド目の最後に4点のタイルが280金の値付けにみなさん入札しなかったのに!)

(こんな高額マジか!ってなります)
相場が序盤の2倍以上になってます。こういう値付けを見てしまうと、自分しか欲しくなさそうなタイルも「買われそう…」と、つい高額をつけてしまいます。が、それでも買えなかったりして、まじかー、めっちゃぶち込んできてるなーと、場がわき、また高額が…のループです。
相場はどんどんインフレしていき、最後のタイルに。僕の手番です。引いたのは中国の4点のタイル。ここまでの感じで、僕はこのままでは点数的に勝てそうにないことはわかってました。なので、買えるならこのタイルは買いたいです(でも、1金でも上回れるとそちらが買うので、手番プレイヤーは狙って買うのはほぼ無理なんですが)。
それでも欲しい!とつけたのは380金。1ラウンド目、EUの4点のタイルが280金で誰も買ってくれなかったことを考えると、破格の金額ですが、どうなるか?と、みなさんの入札金額を見てみると、ハルバラドさんが480金! マジか!
そして、得点計算をして、最後に、いくらお金を使ったかを各自計算します。
見事ハルバラドさんが最後の480金の分、使用金額の足切りに引っかかって脱落してしまわれました…。
(でも、最後のタイルは誰が落札してもその金額分で使用金額がトップになってしまう相場だったようで。足切り会わなくても点数で負けてたら仕方ないですし、致し方なしかと)
僕はゼロビットで細かく稼いだり、最小使用金額で6点もらったりしたもののセット点がもう一歩伸びず、序盤から中盤にタイルを集められたしゅだっちさんが勝利されました。

(画像が天地逆なのでちょっと見づらいですが、みなさんの得点ボード)
【感想】
プレイヤー間の無言での思惑のやり取りが面白く、また、他の人が何を考えているかを読み、それが当たった、外れたを楽しむゲームです。
奇妙なもんなんですが、大抵、想定以上の方向に外れるので、マジか!ってなったり笑うしかなかったりと、読みが外れても楽しいんですよね。むしろ、外れる(想定以上を他プレイヤーがいく)のを楽しむゲームですらあります。
(一番お金を使ってるプレイヤーがまだ高額入札してきたりとか)
お金のインプットがシステム上コントロールされているゲームであれば、得点するためにインプットに対して適正なアウトプットというのがあってしかるべきですが、このゲームではインプットが無限(!)なため、システム上での適正なアウトプットというのはありません。
あるのはプレイヤー間での「こいつらなんぼ使ってるんだ?」という読み合いだけです。
この読み合いが本当に楽しいです。あー、わかった。これくらい使ってるんでしょ?ならこれくらいで落とせるわって思う人もいるでしょうし、全然わからん!って人もいます。
でも確実に言えるのは、これくらいで落とせるでしょ?って余裕こいてる人も、殆どの場合、マジか!これで落とせないのか!ってなってますし、最終的に全然わからん!って大抵なります。
手番以外で、思い切って書いた金額で競り落とせないの!?ってなったり、えー、払いすぎだわーと思いながら競り落としたりも楽しいんですが、一番楽しいのは、手番プレイヤーで、みんなが思い切って書いてきたであろうとんでもない金額たちを自分一人だけで確認して、ぐふふふ、マジか、マジかwってやってる時です(個人の感想です)。

(値付け100金に対するマジか!の例)
これ、よく出来てるなあと思うのが、セットコレクションの条件が難しいものではなく、1つ2つタイルを買えば、どのタイルを買っても点が入るみたいになるので、このタイル欲しいの1人だけでしょ(ライバルがいないので安く買える)という状況になりにくいところと、どれだけお金使おうと足切りは1人だけなので、「あいつがお金使ってるならもっと使っても大丈夫」ってみんな思っちゃうところです。
この「もっと使っても大丈夫」というのが本当にやばい作りで、確実に買おうと思えば、相場かな?と思う額の上の額を書かざるを得ない、そして、誰かがその金額を書けば、そこまでは許されるのか、点数をとって勝つためにはそれくらい払わないとなと、インフレインフレインフレと際限がなくなります。
「これくらいなら出しても大丈夫」という表現は同じなんですが、相場を作ってるというのとは全然違います。ほんと変なゲームです。
案外すぐにセットになるので、実際、金額だけでなくタイル1枚で得られる点数もどんどん増えていくので、感覚的にも高くして構わないと後押しされますし。本当にプレイ感がやばいです。考えなしにお金を与えてはならないということがよくわかります。
しかし、何度か遊びましたが、一度だけインフレが発生しなかった回もありました。高額値付けをすることは序盤に安くかったプレイヤーたちを得させるだけであるという、鉄の意志でつながった(僕以外の)3人が序盤と同じ相場観を守ったまま、ゲーム終了までいきました。
逆に、最終ラウンドになっても明らかに一番お金使ってるプレイヤーが果敢に競り落としてきて、他プレイヤーが2倍、3倍と値を吊り上げていって、結果、結局はその一番使ってるように見えていたプレイヤーが足切りにあったものの、金額は僅差だったということもありました。
実は2点、構造上の欠点があるにはあります。興を削ぐ内容なので、詳しくは書きません。1つはめっちゃ重大な欠点なのですが大抵のプレイングでは発生しませんし、大変楽しい経験ができるゲームなので、気づいても内緒で、楽しいプレイング重視でお願いします。プレイ済で何の話か興味があるかたはお教えしますので、メールかツイッターのDMかでこっそり聞いてください。)
おまけ。
箱の中にパブリッシャーのカタログが入ってるのですが、このゲームのパブリッシャーはボードゲームテーブル屋さんなので、ガチのテーブルのカタログが入ってます。オーダーメイドで布や木なども選べるようで見るだけでなかなか楽しいです。




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