バラージ / Barrage

(4人でインスト込み3時間~4時間ほど)
【概要&ルール】
コートの襟が凍り付くほど寒い山の上で行われるエネルギー争奪戦!自国のダムを他国のダムの上流に置け!ダムと水を制する者が世界を制する!
※化石燃料が枯渇しただかで、水力発電万歳という世界設定です
山にダムを作って水をため、発電所やら導管やら作って発電して点を稼ぐゲームです。AP制とワーカープレイスメントが混ざっており、各ラウンド規定数のワーカーをもらい、手番にアクション場所に置いてアクションを実施します。アクションスペースによって、効果が違うのはもちろん、同じ効果でも必要なワーカー数が違ったりしてます。
手番に選べる主なアクションは以下。
・建設:資源を払って、個人ボード上のダム基礎、ダム上部、導管、発電所をボード上に置きます。ちょっと特殊なので詳細を後述。
・発電:ダムにたまっている水を使って発電します。発電に使えるのは1つの導管を自分もしくは中立のダムと自分の発電所が挟んでいる&ダムに水がたまっている状態の時に実行でき、導管の数字(水の落差)×水コマの数分の発電ができます。
・契約獲得:場に並んでいる契約をとります。契約には達成に必要な発電量と達成時にもらえるボーナスが書かれています
・資源購入:建設時に必要となる資源を購入します。
・建設ホイールをまわす:建設ホイール(後述)をまわします
・水:ボード上に水をためたり、流したりします。
このうち、建設のみ各プレイヤーの個人ボード上にワーカーを置くスペースがあり、他アクションはメインボード上にあります。同じアクションでもお金が余計にかかったりワーカー数が異なるなど、基本的に先に実行する方が得するようになってます。
全プレイヤーがワーカーを使い切ったらアクションフェイズが終了します。その後、次ラウンドで使える水が流れてくるフェイズ、そのラウンドの発電量をもとに得点するフェイズ、次ラウンドの準備フェイズがあり、次ラウンドに移ります。
こうして規程ラウンド終了後に最も点数の高いプレイヤーが勝利します。
・建設について
建設は以下の流れで行います。
1. 個人ボード上の建設アクションスペースにワーカーを配置する。
2. 建設場所と建設するコマを決める。
3. 建設ホイールに場所とコマに対応した必要資源とタイルをぶちこんで1回まわす。
建設ホイールは中が6等分されており、ホイールを回すアクションをするか、新たに建設を開始するたびに1つずつ回っていき、1周すると資源もタイルも再利用可能になります。

(左下に移っている丸いのがホイールです。仕切られた中に空っぽのとこと、タイルと何かコマが入っているところがあるのがわかるかと思います)
【プレイ内容】
カヤさん、一味さん、ウキンさん、僕の4人で。回数差はあれど全員プレイ経験ありです。
このゲーム、個人ボード(国)ごとに特殊能力があり、さらに重役という体で追加能力がゲーム開始時にランダムで組み合わせれます。
んで、手番順と逆に好きな組み合わせをとっていってからスタートという流れです。
手番順は忘れましたが、みなさんが選んだ能力は↓な感じです。
カヤさん 国:契約の達成値をマイナス3、重役:地形によらず資源3つでダムの基礎を作れる
一味さん 国:発電後、もう1回発電できる、重役:契約達成時、発電量を分割して複数契約達成可能
ウキンさん 国:発電量+3(契約達成にはプラス前の値しか使えない)、重役:他人の能力をコピーして利用可
僕 国:自然に水が流れた(非発電)時に自分の発電所を通れば発電量+1、重役:3段のダムに水コマを4つためられる(通常は3つまで)
※国の能力は初めからは使えず、3つ以上発電所を建設してから使えるようになる能力です。
基本的に発電するためには、水コマが置かれているダム、導管、発電所がないとなりません。必ず発電所は自分のものでないとなりませんが、導管はコストを支払って他人のものを使うこともできますし、ダムは自分のもの、または中立ダムでも使えます。
そして、1ラウンド目に発電をするのであれば、基本的に中立ダムを使わないと発電できません(一応、頑張る&横やりが入らなければ全部自前でそろえて発電できるっちゃできます)。
僕はこれまでのプレイでは1ラウンド目はいつも発電しない選択をしていたので、今回は中立ダムを使うことにしてみました。
そんなわけで中立ダムの横に導管を作り、そこからつながる場所に発電所を建設、そのまま発電アクションを行いました。
発電アクションはアクションスペースによって補正が入るのですが、補正値はプラス2~マイナス2と結構幅が広いので、プラス2が取られる前に発電しちゃおうとさっさと発電したんですが、僕と同じく中立ダムを使う選択をした一味さん、カヤさんにラウンド中の総発電量で上回られてしまい、慌ててやった意味は薄い結果に。
このゲーム、発電するゲームではあるんですが、発電しただけでは点数になりません。発電で点数を取るには、
・発電時に点数がもらえる契約を達成する
・ラウンド中の総発電量で1位、もしくは2位を取る
・ラウンドごとの目標タイル(各ラウンドで1種建物が指定され、建築数に応じて点数が入る。ただし一定以上の総発電量に達していないとダメ)
・ゲームを通しての目標タイル
と、あくまで発電した上で+アルファ(事前に契約を取っておいてその契約値以上の発電をする、総発電量で他人を上回る、事前に建築を頑張った上である程度発電を頑張る)が必要です。
1ラウンド目に大した得点できないまま2ラウンド目に突入。ここからは1ラウンド目に作った自分で発電できる場所を活かしながら、他にもダムや発電所を作って、発電できる場所を盤上で増やしていきます。ダムなどの建築物は配置制限がありますし、発電するために必要となる“水”は上流から下流に流れるので、他人のダムの上流を押さえたり、自分のダム同士で発電した水を再利用できるようにしたりと、ポジション取りが熱いです。
が、やっかいなのが建設に使うホイール。資源は消費はされませんが、ホイールが一周しないと再利用できませんし、資源があっても建設する建物の種類のタイルがないと作れないので、同じ種類のものが連続して作れなくなってます。
僕は1ラウンド目に導管と発電所をつくっているので、ホイールを回してそれらのタイルと資源を回収しないとなりません(今回は上級技術タイルを入れてないので『?』というどの建物でも作れるタイルも持ってはいますが)。
とにかくホイール回さないとなーと思っていたのですが、僕と条件が同じはずのカヤさん、一味さんはもう回収が終わっていて、次の建設を始めています。え?なんで?とこのセッション中、何度も思うことになるのですが、お二人ともいつの間にか必要なアクションを終えてます。アクション選択の段取りがよかったり、発電時、契約達成のボーナスでホイールを回したりしてるのか、(そういう作りのゲームではないはずなんですが)ガンガン建設してガンガン発電してるように見えてました。
とはいえ、やれることをやるしかないなとホイールを地道に回し、今度は、ダム、発電所、導管のセットを全て自分の分で作りました。
僕の国の能力はどうも弱そうにみえたので、発電所は後回しにしてダム基礎やダムの上部をどんどん作っていくことにしました。一定以上建設するとラウンド頭に収入が入るようになるので。
この時、特に深い考えもなくなんとなく場所を選んだんですが、たまたまみなさんの狙いから外れた場所に作れていたようで、しかも、次ラウンドに水が2コマ流れてくるのは確定してるというちょっとおいしいことになってました。

(ボード中段あたりにあるピンクのダムが僕のです)
2ラウンド目も一味さん、カヤさんがガンガン発電&契約達成され、点数的には2トップとそれ以外という状況。ウキンさんはどうも4,5ラウンド目に賭けるプレイングを試されているようで、序盤から最高の発電力を持つ5導管の横にダムを作り、導管を作るために大量に必要になる資源をちょっとずつ貯め…と、かなりしゃがまれてました。
3ラウンド目。流れてきた水の具合もあり、ちょっと発電量が落ちたカヤさん、一味さんを上回るだけの発電量を確保することができ、ちょっと差を詰めます。
そして、4ラウンド目。3ラウンド目にダムをの3段目を作り、上流に作られたダムを超えてくるよう水もセットし…と段取りを整えていたのが爆発します。
僕の重役能力は3段のダムに水を4コマ貯めることができるので、導管レベルが高くなくてもそれなりの発電量を出すことができます(レベル3の導管だと通常は3コマしか貯められないので、3×3=9なのが、4コマ貯められるため3×4=12になります)。
補正の高い発電アクションをラウンド開始早々に抑えて、個人ボード上の補正も足して、15発電量が必要となる政府契約を達成。さらにその契約達成ボーナスで水が3コマ流れてきたので、さらに水1コマを追加して、もう一度4コマで14発電量の政府契約を達成します。

(せっかくなので記念撮影させていただきました)
全く狙ってダムを建てたわけではないので、完全に棚ぼたですが、これで点数的にカヤさん、一味さんに肉薄します。
そんなわけでラッキーラッキーとうはうはしてましたが、これで割を食ったのがウキンさん。最高レベルであるレベル5の導管も完成し、このラウンドからガンガンいくぞ!と思われていたところを美味しい政府契約を横からかっさらわれてしまったわけなので。
それでも、このラウンドの発電量は1位僕、2位がウキンさんでした。
そして、最終ラウンド。カヤさん、一味さん、僕がいい勝負してる形です。
(大抵のセッションでこうですが)とっとと埋まっていく発電アクション。それでも、上述の通り、発電だけでは点数にならないので、おいしい契約を事前に取っておく必要があるわけですが、場に出てる契約では3点もらえるものが一番ましという状況。
みんな誰か取ってくれよとなっていたのですが、2回発電&分割での契約達成可能と一番契約の数を使う一味さんが、最初に動きます。
そして、点数が入らないよりはマシだからと、3点の契約を獲得されます。めくられて出てきた契約の点数は6点!
一味さん:「取るんじゃなかったわ!」
僕:「ありがとうございます!」
で、僕が6点の契約を取ると、今度は9点の契約が! そして、次手番のカヤさんにとられましたw。
結局、このめくり運の差がほぼ最終得点差になり、カヤさんが勝利されました!(僕が2位、一味さんが3位でしたが、9点契約を取った人が勝ってたといういい勝負でした)

(最終盤面)

(僕の個人ボードの最終状況。国の能力は使いにくいですが、それ以外の部分、開けたらもらえるボーナスは使いやすいので、能力にこだわらずどんどん開けていけば良い初心者向けのキャラかもしれません)
【感想】
まだ4,5回しか遊んでませんが、遊ぶたびに新しい発見や、あー、それいい手ですねみたいなのがあるゲームです。
システム的にも、建設ホイールをどううまく回すかの工夫のし甲斐や、水コマの移動経路の絡みに起因するメインボード上のポジション取りの熱さ、アクションスペースをメインボードと個人ボード上に分けたことによる遊び易さ、その上できちんとあるベーシックなワーカープレイスメントの面白さ、契約タイルの引き運でかすぎやろ等々。
もちろん、これらも面白さの重要な要素だとは思うのですが、それよりもこれよりも、とにかくこのゲームで偉大なのが水!水コマの挙動!
「ダムにたまった水はダムの持ち主以外にはどうにもできない」、「水源からの水量はかなり制限されている」、「発電したり、ダムからあふれた水は下流のダムに流れ込む」など、いくつか特徴があるんですが、一番特筆すべきなのが、「ダムにたまった水はダムの持ち主以外にはどうにもできない」ことによって発生する諸々です。
正直言って、バラージはかなり難しいゲームです。自分の思い通りに建物を建てて、発電するというだけの行為でも、慣れるまでは全くうまくいきません(だからこそ楽しいともいえるのですが)。
ホイールの挙動、マップのつながり、水の挙動、発電と得点の関係等、「あー、そういうことか」、「あ!失敗した!」、「これ、無駄だったわー」などなど、後悔したり、次こそはと思うことばかりです。
それでも、初回、複数回目関係なく、とにかくダムに一度たまった水は発電しない限りなくならないので、どんなに失敗してようが、なんだろうが、ダムを建設している限り、そこに水は溜まっていて、その水を使う瞬間は主役になれるんです!
このゲーム、初回プレイ時に驚くくらい水の供給は絞られていますし、ダムを超えて水を奪う手段はないので、自分が発電できない/しない限り、その水コマは下流の奴らの発電機会を奪っており、逆に自分だけのアドバンテージになってるわけです。
なので、初プレイだったり、重ゲーにあまり慣れていない人がプレイしても、うまいことやれるタイミングが必ず訪れます。
この成功体験というか、気持ちよい瞬間をほぼ全てのプレイヤーに提供できる仕組みがあるため、ハードなソロゲー(ホイールの制御)とプレイヤーインタラクション(マップの状の絡み&先取り有利のワカプレ)のゲームでありながら、遊んだ人の大半に『楽しい』『面白い』を感じさせてくれるゲームになっています。
(前ラウンドの発電量が少ない人が先手番になるせいで、ダムに水をためたまま使えてない人ほどプラス補正のついている有利なアクションをとりやすいというシステムのトスにも助けられてはいますが)
ちょっと慣れてくるとどうすれば有利に水を取れるか、水の流れや供給を考えたやり取りが始まるわけですが、それも水がアクション選択中はほぼ流れてこず、次ラウンドの準備として流れてくるというちょっと独特のずれた挙動をするので、ここもこれまでにない感覚での思考が要求されます。
ワカプレなので基本的には先取り有利ではありますが、発電に関しては下流に水を流す行為でもあるので、発電待った方が良い?みたいな考え方をする瞬間もあって、やはり、ここも水の挙動で面白いことになってます。
んで、このゲームの一番の面白さのポイントである水の挙動が、ダムに溜まった水で発電するというテーマやプレイヤーの直感的な理解とずれがなく、理解しやすいってのもまた良かったです。
得点のベースになっているリソースがちょっと変わった挙動をするというと、とっつきにくかったり、納得しづらかったりすることもありますが、ほぼ現実ベースですし、こうなるってことかがわかりやすいのは僕には助かりました(水量が安定しないところにダム作るなやというのはリアルではあるでしょうがw)。