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ウォーターゲート / Watergate

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(2人専用でインスト込み40分ほど)

【概要&ルール】

ウォーターゲート事件:ニクソン大統領の再選を狙うグループがウォーターゲートビル内に盗聴器をしかけようとして逮捕された事件を発端に、最終的にニクソン妥当領が辞任することになった。事件発覚当初、ホワイトハウスは関係を否認したが、ワシントンポスト紙が調査報道をし、ニクソン大統領自身がもみ消し工作に関与した等の事実が明らかになり、辞任に追い込まれた。

ところで、このゲームではニクソン側とジャーナリスト側に分かれて、タイルとトークンを引っ張り合います。

カードドリブン式の非対称の2人専用ゲームです。歴史的なイベント+カードドリブン+2人専用ということで、トワイライト・ストラグルや1960大統領になる方法などと同じですが、プレイ時間は圧倒的に短く30分程度です。

ゲームは勝利条件をどちらかの陣営が満たすまでラウンドを繰り返します。
おおよその流れとして、ボード右側にある枠の中にある、イニシアチブトークン、時間トークン、証拠タイルをプレイした手札の効果でニクソン側とジャーナリスト側とで引っ張り合います。ラウンド終了時、各トークンとタイルをより近くに引っ張っていた側が獲得するという、カードパワーで綱引きを行うゲームになってます。

ラウンドの流れは以下の通り。

1. 山札から手札を補充する。
2. イニシアチブを持つ側から1枚ずつ手札をプレイして効果を適用する
3. 両者とも手札を全て使いきったら、イニシアチブトークン、時間トークン、証拠タイルの獲得と処理を行う。

・カード使用について
手札には、左上にカードの強さと適用できる対象、中央にイベント効果が書かれています。カードによっては、相手がXXをした時に発動する効果を持っているものもあります。
カードはイベントとして使用すると強い効果がありますが、大抵の場合、ゲームから除外されます。イベントとして使用しない場合、左上に書かれた数字分、書かれた対象を自分側に移動させます。イニシアチブトークン、時間トークンはどのカードでも移動させられますが、証拠タイルは青緑黄色の3色があり、カードによって指定された色のタイルしか移動させられません(詳しく見てませんが、たぶん色でどの情報筋に関連するものかわかれていると思われます)。

・勝利条件について
ニクソン側:時間トークンを5つ集める
ジャーナリスト側:メインボード中央のニクソンの写真と、情報提供者の写真がつながるように証拠タイルを配置する。2つつながったら勝ち。
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(写真タイルはこういうイベントで配置します)
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(ただし、写真タイルは、ニクソン側のイベントで黒く塗りつぶされた面が置かれることもあります。)

【プレイ内容】
一味さんと僕の2人で。
どっちがいいです?と聞かれたので、なんとなくジャーナリスト側で!と答え、一味ニクソン、ひだりジャーナリスト側で遊びました。

ゲーム開始時、イニシアチブはジャーナリスト側が持っています。そんなわけで、手札を5枚ドローして、中身をみてみると、強さが4のものが何枚かあります。カードの強さは2~4なので結構強いカードを引けたようです。
イベントも強いものがあるので、4のカードでいくつかのタイルとトークンをこちらに引っ張って、イベントで攻勢という手で行ってみることにしました。

そんなわけで、初手は黄色の4のカードをプレイ。

僕:「黄色!」
一味さん:「あります」

各ラウンドで引っ張り合う証拠タイルはラウンド開始時にニクソンがランダムに袋から3枚引きますが、ボード上には裏向きにセットアップされるので、何色のタイルを引いたのか、ラウンド開始時にはわかりません。
カードをプレイし、タイルを引っ張る旨と色を宣言するとありなしをニクソンプレイヤーが教えてくれ、ある場合にはタイルが公開され、そのタイルを移動させるという流れになってます。
証拠タイルは2色(黄と青が半々で塗られているとか)のものもありますし、1ラウンドで同じ色のタイルを複数枚引かれていることもあります。また次ラウンドのイニシアチブトークンの開始位置を中央から自分側にずらせる効果がついているタイルもあるので、ジャーナリスト側が宣言した色であっても、どのタイルを表にするかはニクソン側が決めることができます。

一味さんがいやらしいというかお上手なのが、こちらの宣言した色がある場合、ない場合問わず、全部のタイルをひと通り確認するんですよね。他に同色のものがあるのか? それとも何かしら他の意図があるのか?といちいち勘ぐってしまいます。

一味さんは4!強い!と言いながら、僕の引っ張ったタイルをほおっておいて時間トークンを引っ張ります。
ニクソン側は時間トークンを5つ集めたら勝利なので、まあ、順当な手に見えます。

一番手前まで引っ張ればラウンド終了を待たずに確定となり、移動させることができなくなるんですが、できれば1ラウンドでたくさんのタイルやトークンをこちら側に持ってきたいので、他の物を選びます。
地道に引っ張る僕と、イベントでがんがん押してくる一味さんという形で、あー、ちょっと分が悪いけど、これからこちらもイベントで巻き返すぜ!と思っていたところ…、

一味さん:「イベント効果で今の状態でラウンド終了」
僕:「マジか」

証拠タイルはとりあえず1枚確保しましたが、それ以外は全て一味さんに持っていかれるという、おいおい勘弁してくださいということになってしまいました。

証拠タイルはメインボードの左側、紐が縦横に貼られているような部分にピンでとめる形になるように配置していきます。
中央にニクソンの写真、端に情報提供者の名前が書かれており、各情報提供者からニクソンまでつながるよう紐の交点に証拠タイルを配置していきます。
2人の情報提供者からニクソンまでつながるルートができればジャーナリスト側の勝利です。

そう、このラウンドはやられてしまいましたが、最終的やられる前にこちらがやってやればいいんです!

が、イニシアチブを取られたのが非常に痛いということに、すぐ気づきます。

各ラウンドで引っ張り合うのは、イニシアチブトークン、時間トークン、証拠タイル3枚の計5つです(イベントの効果で証拠タイルが増える場合もありますが)。

このゲーム、イニシアチブがあれば手札5枚、なければ手札は4枚です。イベントを使わなければ4枚で引っ張れる対象は4つということは馬鹿でもわかりますし、5枚ある側が各ラウンドの最初と最後の手番を行うので、相手の手に対応する形でラウンドを行い、仮に有利な状況を作っていても、最後手番ですいっと向こうに持っていかれてしまうのです。
強めのイベントで対応したいところですが、イベントが強いのはお互い様なので、結局、最後手番を持ってる(イニシアチブを持っている)側のプレイヤーが圧倒的に有利なことに変わりありません。

しかも、手札運があまりよろしくなく、2や3の強さのカードしかでてきません(あとでわかったんですが、そもそも強さ4のカードは数があまりないので、強さ4のカードが手札に何枚かあった1ラウンド目は運が良かったみたいです)。イニシアチブを取り返そうにも、ちょっと引っ張ってかなり引っ張り返されるという、苦しい展開です。勝利条件である時間トークンに重きを置いて、1,2枚の証拠タイルは見逃してもらえるかも?と証拠タイルはちょこちょこと獲得しますが、全体から見れば証拠タイルも一味さんの方が多く獲得しているので、あっという間にメインボード、中央のニクソンの写真が黒いタイル(証拠タイルの裏面は黒色になっており、ニクソン側はこれで情報がつながらないようメインボード上で邪魔してきます)で囲まれます。

うーん、うーん、これはもうどうしようもないなと思いながらも、とにかくイニシアチブを取り返すか…とイニシアチブトークンのみを引っ張って、4ラウンド目あたりでイニシアチブを取り返しましたが、そこまでの全ラウンドで時間トークンを一味さんに取られており、既にリーチ状態。
その後、さくっと負けて続けて2戦目。

陣営変えます?と聞かれましたが、ジャーナリスト側で絶対に勝ってやらあ!と続けてジャーナリスト側を選択させてもらいました。

2戦目に意識したのは、以下の2点。
・イベントはガンガン使う!山札が切れると捨て札をシャッフルして山札を作るので、イベント効果を使ってカードをゲームから除外していくとどんどん山札は弱くなっていくんですが、山札を何回も作るみたいな状況になってから考える!
・とにかくイニシアチブは譲らない!

イニシアチブを取られると、手数が減る&最後手番を取られるのが非常につらいというのは1戦目に痛いほど身に染みたので、とにかくイニシアチブ!でいくことにしました。

イベントは大きく分けて、2つです。
1つは複数の対象をこちら側に引っ張るもの。これはおまけで証拠タイルが追加されたりもします。
2つ目は情報提供者の写真をメインボードにおくもの。勝利条件が「2人の情報提供者とニクソンを証拠タイルでつなぐ」ではありますが、実は情報提供者はゲーム開始時にはいません。スペースだけがあり、そこにイベントでタイルを配置する必要があります。

なので、証拠タイルがうまくつながりそうだなと思われるスペースに情報提供者を配置すればいいですし、逆に序盤に情報提供者を配置すればその周りをニクソンに塞がれてしまうリスクがあります。
まあ、カードによって配置できる場所が指定されているので、タイミングよく狙っているカードが引けるか次第ですし、引けないと思うなら、リスクはありますが、早めに情報提供者配置のイベントを起こす必要があります。

写真を配置するイベントは、トークンやタイルの引っ張り合いを1手ほったらかすことにもなるので、ちょっと怖く、証拠タイルがうまくつながったらそこに写真を配置することにし、こちらに引っ張る系のイベントは使用し、そうでないイベントはイニシアチブトークン中心にしつつ、証拠タイルを引っ張るを基本戦術にしました。

引っ張る対象の5つのうち、2つ、3つを毎回取りつつ、進めます。序盤は、お、なかなかいい調子じゃないか?と思うほど、イニシアチブを渡さないだけでなく、時間トークンも(なぜか)取れていましたし、証拠タイルもそこそこ手に入ってました。
一味さんのイベントもキャンセルできるカードがたまたま手札に入っていることも多く、強そうなイベントのキャンセルも何度か成功し、「お、これは勝てるんじゃない?」と思えるほどいい感じです。
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(イニシアチブの取り合いに焦点があったからか、何故かたまる時間トークン。ジャーナリスト側は集めても勝てるわけではありませんが、有利なイベントが発生します)

が、手札運の偏りもあったのか、徐々に一味さんも盛り返してきます。時間トークンもいくつか取られ、いい勝負になってきました。

ここらへんで、お互いに一度山札が切れたので、イベントとして使ったものを除いてリシャッフルし、再度山札を作ります。1巡目にきた、あのカードきてくれ!あのカードきてくれ!と思いながらのプレイになります。

そして、証拠タイルがつながってくると、どこを邪魔すれば接続が切れるかも見えてくるため、ピンポイント、ピンポイントで一味さんに邪魔されるようになり、そして、手札運のあまりよろしくないラウンドでイニシアチブも取られてしまいました。
しかし、さすがにこれはいかーんと、すぐに全力でイニシアチブだけを引っ張って取り返しました。しかし、このラウンドは、イニシアチブ以外は全部一味さんに取られてしまいました。

盤面には黒い証拠タイルが並び、時間トークンもリーチという状態。苦しい! しかし、実はこの前のラウンドで不利になるのを承知で2枚目の写真タイルを配置しており、証拠タイルの出方次第では勝てる状況ではあります。
あと1枚、青い証拠タイルがとれさえすれば!
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(見えにくいですが右上に青い地の写真タイルがあり、そこにつながるよう証拠タイルがおければ勝ちです)

そんな状況で手札には「バッグからランダムに1枚証拠タイルを獲得する」イベントのカードが。
証拠タイルの色は3色なので、青が引けるのは3分の1。イベントで手が遅れるのは痛いですし、このラウンドでイニシアチブが取れなければ、たぶん一味さんに写真につながるポイントを黒いタイルで防がれるでしょう。

手堅くイベントではなく、タイルを引っ張る効果で使った方が良いのか?とも思いましたが、いや、いくぞ!と腹を決めてバッグからドロー!

そして、見事勝利!でした!
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(青いタイルを見事引き当て、ニクソンまで2つの情報提供者の写真から証拠タイルがつながりました)

【感想】


プレイ時間を短くしたカードドリブン式のゲーム。ではあるんですが、ボードの端っこを使ったタイル&トークンの引っ張り合いと、ボードの大半を使ったタイル配置の陣取りに戦いをわけたことで、カードドリブンの魅力を残しつつ、うまいこと短時間化していると思います。

カードドリブン式のゲームって、イベント効果がド派手なくせに陣営間のバランスが取れているので、始終スリリングな戦いが繰り広げられるところが魅力だと思ってます(もちろんそうでない外れみたいなのもきっとあるんでしょうが、少なくともカードドリブンの代表的なゲームとして語られるものは前述の魅力があると思ってます)。

カードドリブン式のゲームは、手札を強力なイベントとして使用するか、それとも、カードのパワーとして使用するかの選択が悩ましいゲームではあるんですが、イベントが(めっちゃ)強力なため、良い意味で何が起こるかわからない(大抵のカードドリブン式のゲームは歴史テーマのゲームなので、詳しければ、この場所でこういうイベントがあるはずだと見当はつくはずではありますが)というのが、魅力の元でもありながら、同時にとっつきにくさや長時間化の元にもなってました。

このゲームでは、ほぼ全てのイベント効果がタイル&トークンの引っ張り合いに関することなので、派手な効果は残しつつ、具体的にどの程度かはさておき、効果として『思いもよらない』というのはおおよそありません(ラウンド終わっちゃうのかよ!みたい少し意表をつくものはありますが)。
これでえらい遊びやすくなってます。

とはいえ、イベントの効果場所を局所化すると似たような効果が増えるため、陣営間の差は薄くなります。

しかし、ウォーターゲートは戦いの場を二つに分けたことによって、陣営間の差がうまく表現できるようになってます。

引っ張り合い部分だけ見ると、あからさまにニクソン側が強いです。
どちら側にも引っ張れなかったタイルは破棄されるので、引き分けはほぼニクソン側の勝ちみたなもんですし、ラウンドに登場している証拠タイルの色をラウンド開始時から見ることができたり、時間トークンだけ引っ張ってても5ラウンドで勝てるなど、少しずつニクソン側が有利なルールになってます。確認してないですが、ラウンドを途中で終了させるイベントなど、カード自体も引っ張り合い部分で有利なものが多いと思います。
ジャーナリスト側は引っ張り合いにかける手を少なくして、写真配置のイベントも起こさないとならないですし。引っ張り合いでは正直いって、不利です。イニシアチブをとって、手札数+1と最後手番をもらって、ようやく6:4くらいの強さ比率になるような感覚です。

ところが、タイル配置の陣取りでは、ジャーナリスト側が強いです。プレイ内容の方にも書きましたが、どことつなげるかを選べるジャーナリスト側に対して、ニクソン側は全面的にとめにいくか、ジャーナリスト側の動きを見てからしか対応できませんし、なにより、タイルひとつで最大6方向につなげられる、いわば"面"でプレイするジャーナリスト側に対して、ニクソン側は"点"での配置になります。
この差がかなり大きく、ジャーナリスト側は盤面の見た目が苦しいようでいても、こちらから繋げられる、こっちもまだ可能性はある、としぶとく食らいつける作りになってます。

ゲームで使う時間のほとんどは引っ張り合いやってるので、普段はめっちゃ強大な力を持つ権力者と、なんとか弱いなりにフットワークなどで立ち向かうジャーナリストという馴染みのある構造で、これまた遊ぶ時の有利不利が、権力者/ジャーナリストだから仕方ないというテーマから納得のいくものになっていて、どちらの側のプレイでも、要するに燃えます!

あえていうなら、短時間化するためにゲームの中心をシンプルにしてるせいで、やはりゲーム展開のバリエーションは少なくなってるのが欠点といえば欠点かもしれません(構造を単純にして遊びやすさをあげてるので仕方ないことですが)。

あと、そもそも実際の歴史ゲームテーマをあまり好まない人もいるのはわかってるんですが、そういう理由で遊ばないのはもったいないゲームだと思います。あまりに馴染みがなさ過ぎてファンタジーみたいなもんなので、そう楽しんでもいいですし、ウォーターゲート事件自体も面白いのでがっつり調べてから遊んでもまだ良いかと。

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プロフィール

ひだり

Author:ひだり
川崎市で相方や友人たちとボドゲやってます。

オールタイムベストは、
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・バサリ
・インペリアル
・アフター・ザ・フラッド
・ゴッズプレイグラウンド
・HABA社製品 全般

推理ゲーム好きだけど↑には入ってないという
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連絡先:hidarigray@gmail.com
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