ニザヴェッリル/ Nidavellir

(4人でインスト込み70分ほど)
【概要&ルール】
ドラゴンを倒すための軍隊を作り上げて欲しい!王からの勅命を受け、あなたは国中の酒場をめぐり、力になってくれるドワーフたちを集めるのだ!
プレイヤーは5つのコインを持っており、ドワーフカードを手に入れるために、それらをブラインドビッドします。
毎ラウンド開始時に、各プレイヤーは手元にある5つのコインのうち3つを使い、3つの酒場に1つずつブラインドビッドします。
その後、ゴブリン亭→ドラゴン亭→馬亭の順番で解決します。
各酒場にはプレイヤー人数に等しいドワーフカードが並べられており、コインの値が大きいプレイヤーから好きなカードを取り、手元に並べていきます。タイの時にはジェムと呼ばれるタイルがあり、その数字の大きいプレイヤーが勝ちます(タイブレイク後に、ジェムタイルをタイのプレイヤー同士で交換します)

(こんな感じで個人ボード上にコインを配置します。写真は2つ目の競りまで終わった(コインを公開したところ))
それを規程ラウンド分繰り返し、点数の高いプレイヤーが勝利します。
・勝利点について
ドワーフからの点、コインの価値の合計、ヒーローからの点の合計です。
ドワーフたちは5種類の職業があり、それぞれ得点方法が異なります。
戦士:書かれた数字の合計。ランク(カードに書かれた矢印というかプラカードというか的な数字の書かれたマーク)数が一番多いプレイヤーは手持ちで最も高いコインの価値を追加できます
ハンター:枚数の乗数
鍛冶:枚数に応じた点数(3,7,12,18,25,33、…と枚数-1ずつ増えていきます)
抗夫:書かれた数字の合計×ランク数
探検家:書かれた数字の合計

(ドワーフカード。カード左肩の数字の下にあるのが”ランク”です。通常はカード1枚1ランクですが、写真右下のカードだと1枚に3ランク書かれています)
ヒーローは基本的に書かれた数字分の点がはいりますが、色々な能力を持っています。
・コインの変換について
コインは以下の2つの場合、高額のコインに変換できます。
1.値がゼロのコインをビッドする:金貨袋上に置いた、このラウンドビッドに使っていない2つのコインの合計値のコインと、2つのうち数字の大きいコインを交換します。
2.コインの額を+Xするカードを手に入れる:ただちに任意のコインと、そのコインの額に+Xした額のコインを交換します。
この時、交換する値とちょうどの値のコインがなかった場合、一番近い、在庫のある高額のコインと交換します。

(上から2番目に公開されているゼロのコインにはコイン変換の能力がついているので、個人ボード下部に避けておいた2つのコインを公開し、その合計値(この場合は3+5で8)を獲得します。その後、変換に使ったコインのうち、高い方を捨てます)

(コインはこのようにディスプレイ上におかれています。場所はとりますが、どのコインが残っているかは一目瞭然です)
・ヒーローについて
ランクが5種、1列そろったら任意のヒーローカードを手に入れます。2列目がそろったら2枚目、3列目がそろったら3枚目…と手に入れることができます。
ヒーローには、ランク数の多い職業として使えるもの、単に基礎点が高いもの、点数は低いが能力(競りを全部後出しできるなど)がついているものなどがいます。

(結構人数が多い&全員並べるためのカード立てがついてますが、かなり場所をとります)

(特殊能力がない代わりに枚数を増やすと点数があがっていく5人兄弟(カードの名前が同じ)のヒーロー。毛と髭の量が違うのがなんとも)
【プレイ内容】
ニコさん、ピーヨツさん、ゆれひさん、僕の4人で。
やることは基本的にずっと一緒ですが、ゲームは前半と後半に分かれており、ちょうど真ん中で職業ごとにランク数を比べてトップのプレイヤーにちょっとした能力のついた勲章的なカードが配られます。
例えば、戦士なら即座に+3のコイン変換効果のカード、抗夫ならタイの際に必勝になるジェムがもらえる等です。
そんなわけで、前半は、どの勲章カードを取りたいかを考えつつ、ドワーフたちを取っていきます。
僕が重点的に集めようと決めたのは抗夫。勲章カードの効果は、タイの際に必勝になる金色のジェムがもらえます。
抗夫は、1枚に書かれた数字は0~2と小さいですが、最終得点はランク数との掛け算なので、集めれば強いかなと思ったのですが、はてさて。
それ以外はとりあえず手なりというか、プレイヤー人数分カードは用意されているので、取れるカードを取っていくみたいな感じでやってました。

(1ラウンド目が終わったところ辺り。オレンジ色の抗夫を集めてみてます)
そして、3ラウンド目、このラウンドの終わりで勲章カードの獲得フェイズに入るので、みなさん、自分が狙っているカードが取れるのか、ちょっと慎重に考えてビッドしてらしたのですが…。
ゆれひさん:「ゴレンジャイ!」(5職業で1ランクずつそろって、ヒーローカードを取る条件を満たしたということの模様)
3ラウンド目の最初の競りでゆれひさんとニコさんがヒーローカード獲得条件を満たしました。
インスト時にひと通りヒーローは説明してたんですが、ここで改めてヒーローを見てみると…。
どれも強い!(強そう)
特殊能力付きのヒーローももちろん強そうなんですが、特に能力のない、5職業のヒーローも1枚のカードにランクが3つ付いていたり、コインの交換能力がついてたりと、便利そうです。
が、ここで重要なのは、『複数ランク付きのヒーローとれば、逆転が難しいと思ってた職業の勲章カードもとれるんじゃないの?』ということ。
僕もこのあと、ヒーロー獲得条件を満たして、上記のように、これ取れば、こっちの職業の勲章カードとれる?ということで、それなりに悩んだんですが、まあ、誰がトップかもわからない状態で邪魔するようなプレイングはやめようということで、抗夫の点数を伸ばす(3ランク付き)のヒーローを獲得しました。
他の皆さんも、これまでの取得傾向のまま、特に誰かを邪魔するようなことはされていませんでした。
これで、抗夫の勲章は僕が獲得。その効果で、タイブレイクで必勝のジェムを獲得しました。
しかし、このあたりになるとみなさん、それなりにコインを変換しているので、そうそうタイが発生しなくなってたんですが。
まあ、狙ってたもんは仕方ないですし、あったらあったで便利なのも確かなので、良しとします。
そして、勲章カードの効果を得た後、後半戦に突入します。
後半なったからといって、特に強力なドワーフカードが登場するということもなく、基本的には前半と同じ程度の強さのものがでてきます。
が、前半と後半とで大きく違うことがあります。それはプレイヤーの持っているコインの価値です。
スタート時点では全員同じ価値のセットを持っていたわけですが、前半でみなさんそれなりに変換しており、かなり構成が変わってます。
カード効果ではなく、コインを変換する際には、変換効果付きの価値ゼロのコインをビッドした上で、ビッドで使わなかったコイン同士をその合計値に変換するので、
・ゼロのコインをビッドしないとならない(トップは諦めないとならないビッドが必ず出てくる)
・高い価値のコインを作りたければ、高い価値のコインをビッドに使わずにとっておかないとならない
ということになります。
僕はとにかくこのコインをビッドすれば必ず勝てる!という高価値のコインを作るべく、高い値のコインは競りでは使わずに変換に回してたんですが、そうすると競りに使えるのは低い値のコインばかりになるので、当然競りでは勝てませんw。
勝てないといっても、みなさんも変換するためのゼロのコインは毎回使ってますし、毎回4番手になるということではないんですが、カードを取るのは大抵3番か4番ということが続きます。
それでも、前半集めていた抗夫や戦士のカードは取れていました。戦士はプレイヤー内で一番集めていればゲーム終了時に、手元で一番価値の高いコインを追加点として得ることができるので、最強のコインを作ろうとしている自分の戦術とは相性がよいなと抗夫が取れない時は、戦士を取っていたのですが…。
誤算というか、見誤っていたのが2点。
まずヒーローカードが強い!取れたら取るかでやってたんですが、感覚的に通常のドワーフカード2,3枚分かそれ以上の強さがあるようなので、積極的にとって良いというか、取らないと勝てなそうです。
そして、2点目。通常のドワーフカードの職業間で結構強さの差がありそうということ。これは最初からわかってたことですが、余りものを取ってるだけでは勝てなさそうです。
そんなわけで、もう終盤も終盤になってから積極的に競りに勝ちに行ってみることにしました。
ピーヨツさんやゆれひさんは、ゼロビッドについてる変換効果だけでなく、勲章カードや競りでたまにでてくるコイン価値をあげるカードの効果で価値をあげていたこともあり、僕のように1つの超高価値のコイン(20後半))を作るというよりも、それをやりながら、ぼちぼち価値の高いコイン(5~9程度)も作られていました。
そして、これが非常に厄介です。実質最強のコインで勝ち目がないわけなんで。
ゼロビッドからの変換も使われていたので、当然、そこで僕のゼロと被れば、タイブレイクでは必勝なんですが、当然、欲しいカードの時には、前述の実質最強コインを出してくるわけで。ピーヨツさんたちをかわしながら2枚目、3枚目のヒーロー獲得の条件を満たすべく、色々あがいてみました。
まあ、僕がヒーローを獲得するために必要なカード=ピーヨツさんやゆれひさんが多く持っており、僕のところに回ってきてなかった職業のカードなので、ピーヨツさんたちがその職業を今以上に伸ばそうとすると、競りで勝てない僕(とニコさん)はにっちもさっちもいかないんですけどね…。
最終ラウンド、これまで育ててきたコインを使って、1戦は狙ったカードが取れてヒーローを獲得できたものの他2戦はピーヨツさん、ゆれひさんが順当に勝ち、また余りものしか取れないということになり、うーん、これでは厳しいかもなあと思っていた通り、ピーヨツさんが頭2つほど飛び出てるくらいの点数で勝利されました。

(最終ラウンド開始時。右下が僕で、戦士(赤)と抗夫がそれなりに集まってます。左上がめっちゃ鍛冶屋(紫)をのばしてるピーヨツさん。左下のニコさんは抗夫がとれればヒーローが連続して獲得できる状態ですが、各酒場に1人しかいないので、カットされやすい状態です(僕とゆれひさんにたまたまだったり狙われてカットされてました))
【感想】
(パブリッシャーは“コインビルディング”と呼んでますが)競りで使うコインの価値を自分で育てていくというところが面白いゲームです。
単純に1点突破型にするか、それとも満遍なく勝てるようにするかなどという選択肢があるところも良いですが、単純に数字を大きくすれば良いということではなく、ベースに“他人との競りに勝つため”というところがあるため、他プレイヤーの持つコインとの相対的な価値が重要になるのが(僕の好みとして)また良いです。
例えば、20のコインは絶対値的にはかなり大きいですが、他プレイヤーが21とか22を持っていれば、相対的な価値はそれほど高くありません。それよりも、6のコインを3つ持っていた方が、絶対的には負けていても他人が1つのコインしか強くしていなければ勝てる可能性は高い=相対的な価値が高くなります。
見た目は3か所の競りを毎ラウンドするゲームですが、コインを競りで勝つための手段とするなら、何を返還対象にするかで次ラウンドも見越した4つ目の競りが行われているとも言えます。
(+Xのカード効果ではなく)変換対象にするコインは競りでは使えないのも効いており、プレイヤー間で一番大きい数字のコインもそのプレイヤーが淡々と変換に使い続けるなら別に怖くはないわけです。
単純にどのコインをいつ、どのように育てるかだけでも結構楽しいんですが、対象のコインがない時は、一番近い価値が上のコインを獲得できるというのも面白く、こちらは+Xの変換の時に、5+3で8にしようかと思ってたけど、6のコインが枯れてるからちょっと得するように3+3で7のコインを取る!とか、まあ、ちょっとした工夫と、それによる楽しさも演出してくれてます。
カードのセットコレクションも正直言って、得点形態的にはよくあるやつです。カード集めれば集めるほど1枚の得点効率が大きくなるもの、何枚目でも得点効率は変わらないものの組み合わせというか。
なんですが、ヒーローの獲得条件とその強めの能力がセットコレクションを面白くしています。
ドワーフは基本的に1つの職業を集中して集めた方が点数効率は高いです。一方でヒーローは各職業のランクが1列(5職業分)そろったらなので、両立することはできません。しかし、各競りはプレイヤー人数分のドワーフカードが用意されるので、狙ってない職業のカードも徐々に集まってきますし、集まってきたなら1枚か2枚、欠けている職業を取ってヒーロー獲得というのも自然な流れになります。
まあ、ヒーロー強いので、そうならなくても狙ってヒーロー重視という戦術もありそうなんですが。
(今回、200点前後の勝負になりましたが、状況次第で1枚で40点になるヒーロー等がいます)
ヒーローが完全にドワーフと別枠というわけでもなく、ちょっと強い職業カード的なドワーフ(ランクが3つあるとか、数字が大きいとか)もいるので、ヒーローを獲得することによって、更にヒーローの獲得条件を満たす的な動きもあり、正直、ちょっとぬるくて味気ない競りに対して、いい感じでプレイヤーに方向性と熱さを与えてくれているように思います。
ただ、ヒーローの強さは多種多様な能力のおかげ(色んな戦術と相性のよいカードがあるし、逆に戦術のもとになるだけの強い能力もちもいる)でもあるんですが、山札からめくられてくるとかではなく、最初から全てのヒーローが獲得可能ですし、ある程度、事前に説明する必要があり、どうしてもそこの説明で時間がかかるのが欠点だと思います。
競りやコイン変換のルールがシンプルな分、どうしてもそこが目立ちます。初回の印象はこのプレイ時間だとヒーローの説明時間の方が長かったなでしたし(※感覚的なもので実際にはもちろんプレイ時間の方が余裕で長いです。プレイ時間の割に長め、程度です)
そこは若干アンマッチさを感じますが、前述までの理由などゲームの出来はよいですし、きっちりプレイヤーのプレイングが勝ち負けに反映されるよかゲームだとも思います。