ペンデュラム / Pendulum

(4人でインスト込み90分ほど)
【概要&ルール】
君は新しいTimeless Rulerとなるべく、他の候補者とワーカープレイスメントで競うのだ!ただし、砂時計がないと行動はできないが…。
砂時計でワーカーの動きが制限されるワーカープレイスメントゲームです。実質的なことをいえば、ワカプレで資源を獲得しつつ、手札を早回ししていくゲームです。
手番という概念はありません。ラウンドが開始したら全プレイヤーが同時に行動をします。
ラウンド中にプレイヤーが行えるのは以下の3つ。
・ワーカーの移動
・ワーカーによるアクション
・ワーカーを使わないアクション
・ワーカーの移動:ワーカーをアクションスペースに配置、もしくは、アクション済スペースから別のアクションスペースに移動させる。この時、ワーカーを移動させられるのは砂時計が配置されていないアクションスペース/アクション済スペースのみ。
でかいワーカーは配置制限なしですが、一部アクションスペースは既にワーカーが置かれている場合、小さいワーカーは配置できません。
・ワーカーによるアクション:アクションスペースから対応するアクション済スペースへワーカーを(コストが必要ならコストを払って)移動させることでアクション効果を得る。この時、アクションできるのは砂時計が配置されているアクションスペースのみ。

※このゲーム、まったく同じアクションスペースが2列ずつ配置されており、砂時計が各列をいったりきたりします。その砂時計が置かれている(砂が落ちきっているかどうかは関係なし)か、どうかで移動できるアクションスペース列とアクション出来るアクションスペース列に分かれています。
・ワーカーを使わないアクション:ワーカーを使わずに出来るアクションがいくつかあります。
-手札をプレイする:手札を(必要ならコストを払って)プレイして効果を得ます。
-手札を回収する:コストを払ってプレイ済のカードを手札に戻し、再プレイ可能にします。
-砂時計を反転させる:砂が落ちきっている砂時計を今のアクションスペース列から対応するアクションスペース列に反転させつつ移動させます。
-目標達成:目標カードに示された資源を持っていれば、目標達成を宣言して、伝説的達成トークン、またはカードに示されたボーナスを獲得できます。
●ラウンドの終了
紫色の砂時計が3回反転させられたら(カウンターがあります)、ラウンド終了です。アクション可能なワーカーをアクションさせるなどをした後に、ラウンド終了時の処理に移ります。
そのラウンド中に手に入れた票数の多いプレイヤーが上になるように優先度トラックの順番を入れ替え、トラックの順番に応じた報酬をプレイヤーが得ます。
その後、場のカード等をリフレッシュした後、次ラウンドに移ります。
●ゲームの勝者について
規程ラウンド終了後、各プレイヤーの勝利点トラックの全てのマーカーが規定値を超えていれば、そのプレイヤーが勝利します。複数人が規定値を超えていた場合、より多く超えているプレイヤーが勝利します。
【プレイ内容】
ありきりさん、カヤさん、うきんさん、僕の4人で。
このゲーム、選んだキャラクターによって能力(個人ボード&手札の内容)が異なっています。
キャラクター5人×個人ボード表裏で10種類です。
表面の方が遊びやすい作りっぽいですが、知ったことかとみなさん自由な感じで。
(僕も裏面を選択)
スタートのかけ声がかかれば、一斉にみんな動き始めます。
ワーカーをアクションスペースに配置して、もう一方の列にある砂時計を持ってくれば、アクションが実行できるようになります。ここで、「みんな置きました?じゃあ砂時計を移動させますよ」とかやってくれるような人は1人もいないので、全員、自分がやりたいアクションの場所にササッとおいて、素早く砂時計を移動させます。
ラウンド内なら何度でも砂時計の移動はできるとはいえ、全体のラウンド時間は限られているので、ワーカーを無駄に遊ばせておくよりは、アクションをさせないと損ですし、一方で、他人がアクションしない方が、汚い考えではありますが、得は得です。
そんなわけで、みなさん動きが素早い!
砂時計の落ちる時間は同じではなく、45秒、2分、3分の3種類があります。
そして、アクションスペースも大きく3つに分けられています。
45秒のところは黒のアクションスペースで、どれも効果は低い(1アクションで1資源とか)ですが、ここのアクションスペースのみ、同じスペースに制限なくワーカーを配置できます。
2分のところは緑のアクションスペースで、それなりに効果は高いですが、基本的に1スペースに1ワーカーしか置けません(ただし、大きいワーカーは制限なく後から配置できます)
3分のところは紫のアクションスペースで、どこも効果は高いです。ワーカーの配置制限は緑と同じです。
それに加えて、紫のアクションスペースでは砂時計のひっくり返す回数に制限があります。3回移動(ひっくり返される)とラウンド終了です。
黒ならまだしも紫や緑に乗り遅れるとダメージが大きく、次にやればいいやって3分後(2分後)かよ!ってなります。
このゲームのアクションは全てシンプルで、お金をもらう、資源をもらう、赤の勝利点を得る、青の勝利点を得る等なのですが、生産アクションと呼ばれるものだけちょっと毛色が違います。アクション部分には、茶、赤、青、黄の旗のようなマークが書かれており、効果は、対応した個人ボードに示されているリソースを得るです。
この獲得できるリソースが、個人ボードごとに効果が違っていたり、領地カードを手に入れることで強化できたりします。
どうせ同じ時間がかかるアクションなら、一度でたくさんのものがもらえた方が良いのは当たり前なので、領地カードを手に入れることに力を入れることにしました。
そして、領地カードを手に入れるには、軍事力(赤いリソース)を規定数払って、領地カード獲得のアクションを行う必要があります。軍事力を手に入れるのは赤い旗での生産アクションなので、それをやろう…とするのですが、赤い旗での生産アクションは緑のアクションスペースにあり、緑と紫のアクション実施のためには、2金ずつ必要です。
そして、金を手に入れるには黄色の旗の生産アクションで2金もらえます。
これは黒のアクションスペースなので、45秒ですし、コストのかからないアクションです。よしよしって、使えるワーカーがない! スタートの声と同時に紫と緑のアクションに配置してしまったので、次に使えるようになるのは、2分後、3分後です。
ゲーム開始時には、大きいワーカーと小さいワーカーが1つずつしか持っていないので、もっと欲しい!
各プレイヤーの手札に「コストを払って小さいワーカーを得る」カードがあり、それをプレイすることで増やせはするんですが、僕のキャラクターの場合、軍事4とお金4が必要です。
効率よく手に入れるには領地が~って、なんぼ軍事と金が必要なんだ!
と一人で勝手に憤りながらも、完全に待ってるだけの時間ができたので、盤面を見てみると、ウキンさんのワーカーが既に3体います。
はやくない!?とつい声にだしてしまいましたが、「開始すぐに必要資源だけ手に入れて増やした」とのこと。
ワカプレの王道ですし、2つのワーカーが3つになるのは生産力1.5倍でかなり違います。
まあ、僕の必要資源を考えると、いきなりワーカー増やすのはかなり頑張らないと無理ぽかったですが…。
紫の砂時計が落ちきって、ワーカーが使えるようになったので、お金の獲得に向かいます。
黒アクションは45秒と早いので、さっさと次のアクションに向かえて助かります。
しかし!僕はお金が欲しいわけで、お金を取れるアクションはここにしかないので、ワーカー1つでは、
ワーカー配置→最大45秒待つ→砂時計をひっくり返してアクションできるように→アクション→45秒待ってようやくワーカーを動かせるようになるので、またアクションスペース側に移動→45秒待って~と2回アクションするだけで2分以上の時間がかかります。うーん、効率悪いな…。
などと考えながらプレイしていると、うっかり紫のアクションスペースでのアクション用にとっておいた2金を使ってしまったことに気づきます。既に砂時計は僕のワーカーが配置済の列に移動してきており、ここで2金用意できなければ、このワーカーは無駄に3分を過ごすことになります。
いやいや、さすがにそれはできないと、砂時計がない列に配置していた他のワーカーをお金が獲得できる黒のアクションに動かして、紫の砂落ちるなよー、まだ落ちるなよーと念じつつ、ささっと黒砂時計を動かして2金獲得→なんとか紫砂時計を移動される前にアクションを行うことができました。
てんやわんやあたふたあたふたと、非効率っぽい動きしかできませんでしたが、1ラウンド目終了。優先度トラックの順序を入れ替えたのち、特殊カードをその順番でもらっていきます。ここで僕は「プレイするごとに軍事3で領地カードを獲得できる」カードを獲得しました。
いやいや、そもそも軍事が手に入らないのにこのカード取ってどうするのかという思いはもちろんありましたが、ろくなカードが残ってなかったので…。
そして、1ラウンド目終了時の僕の点数の酷いこと。
このゲーム、赤青黄灰の4種類の点数があるのですが、各種類で一定以上の点を稼がないと勝負の土台にも上がれません。この時点の僕の点は青は2点で、他はゼロ。そもそもキャラクターによって、点数マーカーの開始位置が異なるとはいえ、赤と黄色は全く獲得してないわけで、さすがにやばそうです。
そして、2ラウンド目開始です。
実は1ラウンド目に気づいていたことがあります。このゲーム、ワーカープレイスメントゲームではあるものの、ワカプレは実はおまけ、よくてもサブなのではないかということです。
前述の通り、領地カードで生産アクションの報酬は増やせるもののワカプレの報酬は基本的にシンプルですし、砂時計の縛りもあるので、実行回数に明らかに制限があります。
じゃあ、何がメインかというと、カードプレイです。
ワーカーを増やすカードは必要リソースも多く重いのですが、それ以外のカードはコストの必要はなく、プレイするだけで色んな効果が得られます。
例えば、僕のカードだと、青の点数+1、任意のリソース+1、任意のワーカーを砂時計の有無にかかわらず、手元に戻せるなどの効果はタダでプレイできます。
プレイしたカードの回収は、青の資源が5つ必要なのですが、これは紫砂時計で青の生産アクションを行えば獲得できます(キャラクターの種類ごとに生産アクションの効果は異なるので僕の場合はですが)。
つまり!
紫砂時計で青の生産アクションをやる
↓
カード効果でワーカー回収
↓
回収したワーカーは黒の砂時計のアクションスペースなどに配置
↓
その他のカードもプレイする
↓
カードを回収する
↓
紫砂時計が落ちきる前に青の生産アクションにワーカーを配置
↓
以下繰り返し…
というループをひたすら回します。ワーカーは3つあるので、1つはそのルーティンにいれて、他2つは伸びていない赤や黄色の点数あげや、紫砂時計などのアクションで必要になるお金の確保など、その時その時で必要なアクションを判断して、配置するようにします。
このゲーム、大きいワーカーの配置は自由、小さいワーカーの配置は緑と紫のアクションスペースだけ制限ありなので、比較的ゆるめとは思うのですが、それでも、うがー、埋まっとるがな!という場面もちらほら。
せっかく1ラウンド目に報酬で「プレイするごとに軍事3で領地カードを獲得できる」を取ったので、有効活用するために青の生産アクションに軍事(赤資源)を3つ獲得できる領地を追加します。
これで、青の生産アクションを行うたびに、手札の回収と手札プレイによる領地カードの獲得までセットでできるようになりました。
カードプレイで獲得できる青の点数以外はまったく伸びていませんが、青の生産アクションのたびに、生産アクションがどんどん強化できるようになりました。
生産アクションの強化=ほかのリソース獲得などにまわしていたワーカーを他のアクションに回せるようになる、もしくは、同じ生産アクションを行っていても得点が上がるようになったでもあります。
そんなわけで、3ラウンド目終了時に、領地カードの保有枚数上限を増やすカードも獲得しつつ、2ラウンド目後半から得点行動を連発できるようになりました。
ウキンさんの点数がめっちゃ伸びてはいましたが、徐々に追いつくスピードで得点はできていたのですが、序盤からワーカー数が多かった分などもあり、結果的には追いつかず。ウキンさんが勝利されていました。

(ゲーム終了時。ラウンド間はのんびりできるとはいえ、基本的にリアルタイムなのでゲーム中に写真撮る余裕がないんですよね…)
今回のハイライトは、4ラウンド目開始直後に1つだけアクションを行えば、要求されているリソース数に足りるので伝説的達成トークンを獲得できる!という状況の時に、ぱっぱっぱとワーカー配置、砂時計移動、アクション実行、リソース獲得、伝説的達成トークンをかくと…のところで、全く同じ動き(1アクション後にトークン獲得)をされたありきりさんにトークンを持っていかれたところでしょうか…。
【感想】
不思議なゲームです。
理屈から言うと面白くないはずのゲームです(でも、面白いという結論のことを以下に書いてます)。
まず、ワーカープレイスメント部分が単純すぎます。ワカプレに限らないんですが、あるリソースの使い方を複数種類設けたり、同じ使い方にしても消費数と得られるもののバランスを変えるなどして、どうリソースを使うか、どうアクションを行うのかを考えさせるのが、楽しさを得る作りとして一般的だと思います。
しかし、このゲームはリソースの使い道は基本1種類です。お金はアクションコスト、軍事は領地カード獲得、文化はカードの回収と役割が決まっており、しかも、消費量は固定です。領地カードを取らないなら軍事のリソースは基本的に不要です(キャラクターごとに一部異なるコストがあるので、例外なキャラクターもいるかも)。
次に、砂時計の使い方がワーカーの移動/アクションを制限するために使われており、そして、その制御は誰でもできるため、『自分が移動/アクションをする前に、砂時計を移動されて、やろうとしていたアクションができなかった/やらせてもらえなかった』がゲーム中に何回か発生するわけですが、パーティーゲームとかならともかく、ストラテジーゲームえそれをやられて面白いのか?って話があります。AをやってBをやって、次にCを…を思っているところに、あ、Bをやるためにワーカーおいてました?もう砂時計動かしたんで、もっかい砂時計戻ってくるまで待たないとダメですねって、どうなのかと。
ターン制ならじっくり考えられるところが、時間制限がある中では、そういうわけにもいきません。
そんなわけで、やることは単純、しかも、ちょっとうっかりしていると取り返しがつかないって、理屈では面白くなさそうなんですよね。
でも、遊んでいる時は時間に追われながら色々やってるのが楽しい…、わちゃわちゃ系のゲームなんかなと思ったんですが、そういうわけでもありません。
プレイ内容のところにも書いたんですが、このゲーム、ワーカープレイスメントではありますが、ワーカーのアクションと同じかそれ以上に手札のプレイが超大事です。
この、ワーカーを配置して、砂時計が落ちている間に、カードをプレイする、そして、砂時計が落ちたら素早くカードプレイをやめてワーカーを…って、要はリアルタイムストラテジーゲームをボードゲームでやらせてるんですよね。
だからこそのアクションやカード効果の単純化なわけかと、プレイ後、しばらくして気づきました。
リアルタイムゲームはボードゲームにも複数ありますが、単に手番の時間制限というだけだったり、わちゃわちゃパーティーゲームよりのものばかりなように思います。
ペンデュラムは手札プレイとワーカープレイスというやることの異なる2つを、一方は手元を見させつつ時間の縛りはなくし、もう一方はボード上の他プレイヤーの様子を見せつつ時間の縛りを入れるという両極端な方で実装して、しかも、その2つを行ったり来たりすることでゲームが進む作りにしています。
一報を無視することもできず、かといって一方に意識を割いていてはゲームの進みが遅くなる。時間管理を徹底させつつ、気をそがせる要素の管理もさせるので、こっちをやりながら、あっちを進めるという2軸を効率的に進めるのが好きな人や、長期戦略よりもその場その場での最適解をアドリブで出して瞬発力でゲームを遊ぶ人は楽しめるゲームだと思います。
ただ、他のボードゲームの論理で評価しようとすると、”面白くない”、”作りが良くない”ゲームになります。
(面白くないはずなんだけど、なんかもっかいやりたくなる、遊んでるときは楽しかったんだよな…と不思議な感覚が味わえるともいえます)
まあ、実際に、キャラクターの能力が結構ピーキーでバランスが取れているのか怪しかったり、得点とリソースは別にアクション上での関係はないのに、色が赤青黄と同じ3色が使われていたりと、(ある意味いつものStonemaierGamensともいえますが)粗い!ゲームでもあるので、”良くないゲーム”のレッテルは貼られやすいとは思います。
あと、リアルタイムで他所見てる余裕ないので当たり前ではあるものの圧倒的なほどのソロゲー感もあります。アナログでRTSが独特で楽しいんですが、ソロゲーならデジタルで…とも、まあ、思いはしますが…。砂時計が途中で落ちるのがちょくちょく止まるところと合わせて、アナログ式RTS体験、面白いとは思います。