マグノリア / Magnolia

(5人でインスト込み20分ほど(2戦目からは10~15分ほど))
【概要&ルール】
うちの国が一番すごいんじゃーいを証明するために、色んなひとを雇って戦力や技術力をあげていくぞ。仲間がそろうとパワーアップだ!
手札からコストを払って場にプレイしていき、様々な手段で勝利点を稼ぐゲームです。
以下の流れを終了条件を満たすまで繰り返します。
・ドローフェイズ:手札を好きなだけ捨てて上限までドローします。
・配置フェイズ:コストを払って1枚配置するor1金もらうを2回行います。
・戦闘フェイズ:配置フェイズにて配置したカードから戦闘力を計算し、高い順に勝利点を得ます。
・発展フェイズ、収入フェイズ、VPフェイズ:配置済カードの発展能力、VP能力を解決します。収入は基本3金+能力での追加です。
VPフェイズ終了時に40点以上、もしくは9枚のカードを配置済のプレイヤーがいたらゲーム終了で、最も勝利点の高いプレイヤーが勝利します。
・カード配置について
カードは、最大で3×3に収まるように、かつ、既に配置したカードに隣接するように配置しなければなりません。ただし、これは最前列のカード!とか決めて配置する必要はなく、最前列のつもりだったけど、こいつの上にカードを配置して2列目にしようとかはやってよいです。(配置後に他カードとの位置関係を変えるのはダメですが)
縦でも横でも3枚配置した際に、職業、または種族が3枚ともそろっていた場合、職業や種族に応じたボーナスを獲得できます(カードの端に書かれている帯の色で職業や種族は区別でき、また効果もカード下部に書かれています)
【プレイ内容】
一味さん、キノさん、タムラさん、彼葉さん、僕の5人で。
どんなゲームなんですかねと別ゲーム目的で集まっていた面子で遊んでみました。
初期手札、強そうなデーモンがいます! が、配置コストが9金なので、初期資金の5金ではプレイできません。

(強そう!出したい!)
なので諦めて、ゴブリンの祈祷師(コスト1金)とエルフの神秘家(コスト2金)をプレイします。

この2ユニットは、ともに配置の際の即時効果で信仰が1あがり、かつ、ベースの戦闘力に信仰レベル×〇(ゴブリンは1でエルフが2)の補正があります。
しかも、2ユニットとも職業が魔法使いなのでもう1枚並べればボーナスで1金3VPがもらえます。
その強いデーモンは種族はもちろんデーモンですし、職業も王様のようなので、隣接ボーナスはないのですが、強そうなのでとっておくことにして、残りのカードは捨てました。
2枚とも戦闘力に補正の入る能力だし、それなりに戦闘力は強いのでは?と思っていたのですが、彼葉さんが完全に戦闘に特化したカードを配置されたようで、彼葉さんには及ばず。
戦闘力1位の彼葉さんが5点、2位の僕は3点を得ます。
彼葉さん:「戦闘に勝ったら1VPの効果があるから追加で1点ください」
これは、次ラウンド以降も戦闘特化できそうな予感がします。
一方で戦闘を捨てたのがキノさん。「戦闘に勝たなかったら2VP」の効果のカードをプレイされていますし、他の能力も収入増です。

(戦闘向いてなさそうなキノさんの場)
お、色んな戦術取るのいいですね!と2ラウンド目開始です。
1ラウンド目の流れからすると信仰点があがるカードが欲しいですが…と思っていると、ゴブリンの錯乱者がありました。これのコストは低いのでプレイすることにします。
さらに、ゴブリンのガラクタ集めのカードもあります。これは彼葉さんが使っていた戦闘でVPを得たら追加でVPのもらえる能力持ちです。配置時に技術点が+1でこれは僕の狙いとあってないのですが、縦に並べればゴブリンが3体そろうので、ボーナス狙いでこれもプレイすることにします。
が! このゲームの戦闘の戦力の計算は、各列の最前列のカードの戦闘力の合計なので、縦にカードを並べても戦力は上がりません(一番戦闘力の強いゴブリンの祈祷師を最前列にしてました)。
まあ、みんながみんな戦力あげてくるわけでもないだろうし……と甘い考えを持っていましたが、当然のように裏切られ、このラウンドは戦闘での勝利点はゼロ。ゴブリンのガラクタ集めの能力意味ない!
彼葉さんはさらに戦力を伸ばしつつ、勝ったらVPのカードを追加して、戦闘で獲得できる勝利点を増やしていきます。
僕はなんとか信仰点の上がるカードが手札にこないものかなあと思うものの、ドローできません。
しかし、何もプレイしないよりはマシかと、最前列が魔法使いでそろうゴブリンの戦術家のカードをプレイ。能力は基本戦力4以上のカード1枚につき1点です。これまで配置したカードとのシナジーはほぼないですが……。
なんとか信仰点あげたかったですが、もうどうにもならんなとそちらは諦めます。
基本戦力が4以上のカードはそこそこ引いたので、そちらに染めることにします。と思ったところでドワーフの神官を引きました。発展フェイズで技術、信仰ともに+1です。もうゲームの終わりの気配がしている中、今更毎ラウンド+1になっても微妙ですが、やれることはやろうの精神です。
ドワーフの神官は戦力も6あるので、一応、ゴブリンの戦術家のVPが増えますし。
なんてやってる間に、キノさんが技術染め! ドワーフを揃えてボーナスで2技術点をもらったり、ドワーフの王様をプレイして+5技術点を獲得し、技術レベルを3にまで上げつつ、「技術レベル×〇点」のカードを何枚かプレイされています。
キノさん:「VPフェイズで十何点」
戦闘では勝利点を稼いでないですが、VPフェイズで多くの点を稼いでいます。
彼葉さんの戦闘特化+勝利時VP獲得とキノさんの戦いになりそうです。
僕は戦力4以上のカード~の能力で6点稼げるようになりましたが、その頃、キノさんは
キノさん:「VPフェイズで18点。このドワーフのビール職人めっちゃ強い」
とかなので、全く届かずキノさんが勝利されました。


(終了時の自分の場と全体。カード9枚出てない人もいますが、コストと収入次第なので、9枚出し切らずに終わることの方が多かったです)
一味さん:「信仰ほぼマックスになったけど、点数化するカードがこねえ!」
まあ、だいたいわかったということで続けて2戦目。
戦闘に勝つだけじゃだめで何かしらの強いシナジーがある得点源が必要だな!と思いながらスタートした2戦目でしたが、技術点や信仰点が上がるカードがくるわけでもなく、かといって、別の得点になるカード(1戦目に持っていた戦力4以上のカードごとに1点とか)がくるわけでもなく……。3ラウンドくらいを無為に過ごします。

(こういう早取りの目標カードみたいなのを選択ルールでいれることもできます)
今回もいい感じに進めてらしたのはキノさん。
職業が商人のカードをたくさん配置して、金を潤沢にしつつ、商人を揃えると5点の効果で勝利点も稼ぎます。しかし、
キノさん:「やべえ。金はあるけど、安いカードしか来ない」
そんなわけで伸び悩み(といっても金があったので、残ったお金3金で1点の効果でかなり最後に点数を伸ばしましたが)、1戦目と同様に戦力特化&勝ったら勝利点の得点力強化版で挑んだ彼葉さんがトップで終了しました。
と思ったんですが、
一味さん:「VPフェイズで37点」
という、合計が40点になったらゲーム終了条件なんやぞわかっとるのかという、鬼のような点数をとった一味さんが一気にまくって勝利されました(技術レベルだけで、4×9点ももらえるようになっていたみたいです。)

(一味さんの鬼強い場)
【感想】
カード効果やカード配置をつなげるのが人ってのは楽しく感じる生き物なのだなあと実感させられるゲームです。
効果をつなげる(コンボさせる)や、配置をつなげる(線路を敷く)のは、他のゲームでもよくある作りですが、カードに複数の要素があり、その全てが何かしらにつながるような仕組みになっているので、例えば、Aの要素をつなげて点を伸ばそう!と決めていたとしても、お、BもCも“つながる”カードだぞという状態になります。
つまり、ほぼ必ずつながるゲームです。
これが単につながるだけでなく、つながればつながるほど点が伸びる作りなので、つながる楽しさからの何か(勝利点)がもらえる楽しさも味わえて、これは楽しいいいゲームとなります。
「つなげたいのに、つながらない」が楽しくない要因になるわけですが、そういう事故を減らすために、カード効果は基本的に2種類ずつ持ち、配置のつながりも職業と種族の2種類、さらに縦軸横軸の2軸というつながりやすさ。そして、そのつながりやすさがあるからこその単調さを防ぐつながりのバリエーションの豊富さ。
こういうつながりもあったのかと、カードドローのたびに発見があり、つながらなかったと思いきや、別の軸でつながる。
ずーっと楽しさがつながっていくような作りのゲームです。
この楽しいゲームを1ゲーム10~15分くらいで体験できるというのは本当に素晴らしいです。
しかも、ハンドマネジメント要素を捨てて、毎ラウンド何枚でも捨てて良く、必ず上限まで補充できるので、よりよいつながりに挑戦できますし、これもまたつながりやすさにつながるシステムになってます。
良くできてると思います。
ただ、欠点もあります。
(拡張でフォローされる気はしますが)自分の場でのつながりを楽しむ方向に特化しすぎていて、他人との絡みがほぼありません。戦力を比べる要素はありますが、あくまでつながりの1つの方向性としてあるだけで、他人の動きをみてどうこうという部分がないため、複数人で遊ぶ意義は薄いです(もちろん、他人の場の効果や配置のつながりを共有しあうことも楽しいですが、ちと後述します)。
あと、配置の公開時以外、他人の手番を待つ必要がないため、慣れたプレイヤーは、配置フェイズ以外はとっとと1人で回してしまいます。
ダウンタイムがほぼないというのは素晴らしいことですが、これもソロ感を強めることにつながってます。
そして、短時間で遊べることもあり、繰り返しプレイするんですが、徐々に、意味のないつながりが見えてくるようになります。なんでもつながるといっても、勝利点的に有効なつながり、そうでないつながりをプレイヤーが次第に学んでしまいます。こうなると、他人と場を共有する楽しさも薄れます。
ある程度、プレイ時間のかかるゲームなら序盤はダメでも中盤が、中盤がダメでも終盤にというゲーム全体の山谷があるのですが、短時間に遊びやすさと楽しさをぎゅっと詰め込んだため、序盤から中盤(1~3ラウンドくらい)で、勝ち負けが見えちゃいます。
繋がること自体は楽しいけれど、こんなつながりできてもなあ……ってなります。他人との競争なので、他プレイヤーよりも良いつながりであれば問題ないんですが。そうはいってもです。
より良いつながりに挑戦できるシステムであるところの、何枚でも捨てて良く、必ず上限までドローできるシステムもどんどん理想が高くなり、細いつながりに望みをかけるギャンブルみたいな行為になっていきます。こうなると面白さは半減します。(プレイ人数が多いと、上手くいってる人が大抵出てきてしまうので、上手くいってない同士で争うみたいな場面も作りえる少人数の方が楽しいゲームなのかもしれません)
後半、文句も書きましたが、前述の通り、楽しさを凝縮したようなゲームで、その楽しさのためにシステム周りも、コンポーネントの量も調整されている素晴らしいゲームであることは間違いないです。
複数の要素をわかりやすく詰め込んだカードのアートワークも素晴らしく、海外メーカーから発売されるのは間違いないでしょう。
余談ですが、キャラクターの魅力を増すために、キャラクターとカード背景の書き込みがそれなりにすごいので、海外からでるとしたら、どういうデザインにされるのか、シンプルな機能重視か国内版踏襲か等々、見てみたい気持ちもあります。