ミスタージャック イン ニューヨーク

(2人専用で30分程度)
【概要】
ロンドンで大暴れしたジャックがニューヨークにやってきた。
今度は、ニューヨークで殺人だ!
【ルール概要】
基本はミスタージャックと同じ。変更点はマップとキャラクターの特殊能力くらいです。
とはいいつつも、ざっとルールを。
2人専用ゲームでジャックと警察側をそれぞれが担当します。
プレイヤー達が操るキャラクターは8人いますが、ゲーム開始時にジャック担当のプレイヤーがアリバイカードを1枚引きます。
この時、引かれたカードに描かれたキャラクターの正体が実はジャックということになります。
ゲームの進行は、ジャックの目撃者有無の判定、キャラクターの操作の繰り返しで1ラウンドになります。
ゲームは全8ラウンドで、8ラウンド内にジャックを捕まえれば警察側の勝利、8ラウンド逃げ切るか、途中のラウンドでマンハッタン島から脱出できればジャックの勝利です。
ラウンド開始時の目撃者有無の判定は、ジャックのキャラクターの隣に別のキャラクターがいるか、または、街灯に隣接するマスにいる際は、「目撃者有り」となります。例外として、今回から導入された公園タイル上にキャラクターがいる時には隣接するキャラクターがいようと、街灯があろうと「目撃者無し」と判定します。
なお、1ラウンド目開始時は例外的にジャックのキャラクターの位置に関係なく必ず「目撃者有り」の判定になります。
キャラクターの操作は以下の流れで行います。
奇数ラウンドではキャラクター8人の中から4人がランダムで選ばれ、その4人を「警察⇒ジャック⇒ジャック⇒警察」の順にひとりずつ動かします。
偶数ラウンドでは、前ラウンドに選ばれずに残った4人を「ジャック⇒警察⇒警察⇒ジャック」の順にひとりずつ動かします。
キャラクターは、基本的に全員が1~3マス移動可能で、プラスして何らかの特殊能力(別キャラクターとの位置交換、街灯の建設など)を使うことができます。特殊能力はキャラクターごとに異なります。
既に他のキャラクターがいるマスにキャラクターを移動させることで、逮捕することができますが、誤認逮捕時は、警察側の負けになります。
マップ上には2艘の船と陸路でのマンハッタン島からの出口があり、ラウンド開始時に「目撃者無し」であった時に、船か出口にたどり着ければ逃走成功でジャックの勝ちです。
あと、前作に無かった要素として情報屋が登場しています。情報屋のいるマスに行くとアリバイカードを1枚引くことができ、そのキャラクターはジャックではないことを知ることができます。
思い出しましたが、前作(ロンドン版)であった街灯が徐々に消えていく演出は無くなっています。
【プレイ内容】
相方から、負けやすい方を僕にプレイしろとのお達しが出たので、前作では圧倒的に負けやすかった(7,8割は負ける)ジャックを僕が、警察を相方がプレイすることにしました。
前作も相方と結構やったので、ジャックの逃げにくさは知っており、ルールを読んでいる段階から、「クラウドライダー」というキャラ(建物内を移動コスト1で通過できる、つまり1度で長距離の移動が可能)以外だと、逃げ切れないだろうなーと思っていました。
が、見事にジャックとして引いたキャラクターは「クラウドライダー」。これはいけるかもと幸先いいです。
基本的に前作と同じで、ジャック側はできるだけ多くのキャラクターの目撃者有無の状態を同じにしようとし、警察はそうさせまいとキャラクターを動かします。
(判定時に、「目撃者無し」と判定されれば、別キャラクターの隣にいる等「目撃者有り」状態のキャラクターはジャックの候補から外すことができるので)
最初のラウンドでちょっとした勘違いもありましたが、4人-4人に目撃者有り無しを綺麗に分けられました。
これで候補は4人です。
今回のジャックである「クラウドライダー」は、建物内を通るだけでなく、建物を建てることもできるので、マップの
半分くらいを一気に移動することもでき、遠いと思っていてもあっという間に出口まで到達できます。
実は2ラウンド終了時に「クラウドライダー」は、建物を通れば出口まで到達可能という位置におり、
3ラウンド目に脱出して勝ちだわと思っていました。しかし、よく見ると街灯の隣にいたため目撃者有無判定は、
「目撃者有り」です。このままだと脱出できません。
3ラウンド目開始時に「クラウドライダー」ともうひとりにまで絞られており、迂闊に動かすと、その動きだけでばれそうです。
とはいうものの、相方が情報を確定させる機会はラウンド開始時の目撃者判定のみです。
そして、僕が逃亡するために「目撃者無し」にできるのも、ラウンド開始時の目撃者判定のみです。
前のラウンドに多少変な動きをしてでも「クラウドライダー」を「目撃者無し」に強引にして脱出を試みることもできますが、
相方の方が先に動けた場合、逮捕される可能性も大きいです。
つまり、逃げるのならばジャックが先行できる偶数ラウンドが狙い目だ!と思ったところ、3ラウンド目に選ばれた4人の中に「クラウドライダー」はおらず、4ラウンド目(偶数ラウンド)に操作できる状況がやってきました。
3ラウンド目最後の相方の行動で「クラウドライダー」が「目撃者有り」の状況にされないように、近くにいるキャラクターを自分の操作キャラクターとして選んで移動させ、次のラウンドで「クラウドライダー」を脱出させて勝利しました。

相方が、「負けやすい方を選んでもらったはずなのに、おかしい」と文句をつけつつ、
ジャックと警察を交代して再スタート。
1ラウンド目で候補を8人の半分の4人に絞り、2ラウンド目でさらに半分の2人にまで減らすようプレイしていたところ、適当に建てた街灯(街灯を任意の場所に建てることができるキャラがいる)が相方に利用されて4人のままで3ラウンド目に。
ここで相方が驚異のプレイングを見せます。
相方:「クラウドライダーを選んで、1,2,3と船に乗って脱出! やったー」
僕:「あの~、ジャックの目撃者有無が「目撃者有り」だと逃げられないよ」
(気まずい沈黙)
相方:「へへ」

この後、人に見られているのに高飛びしてしまうクライドライダー女史。
僕は何も見ていなかったことにして続行の運びに。
そして3ラウンド目の僕の手番、この時点でジャック候補はまだ4人残っており、このラウンド中に操作できるキャラクターは、そのうち2人。そして、その2人がマップの下方にぽつーんといました。
4人の候補は全員出口または船まで、3歩以内におり、「目撃者無し」になれば逃げ切れます。
しかし、このラウンドの操作対象外のジャック候補キャラは偶然にも隣接するキャラクターまたは街灯があり、無視したとしても「目撃者有り」になるので、少なくとも次ラウンドで逃げられることはなさそうです。
一方でこのラウンドの操作可能キャラの2人「クラウドライダー」と「ミセス・エマ・グラント」は他のキャラや街灯からも遠く、2人とも「目撃者有り」状態にすることはできなさそうでした。
もし、このラウンド終了時にジャックの目撃者判定が「目撃者無し」になった場合、5ラウンド目の最初のキャラクター選択は僕なので1人はなんとかできますが、それ以上は無理です。
その後、相方が操作することになります。
5ラウンド目に「クラウドライダー」「ミセス・エマ・グラント」が選ばれた場合、今の2択次第では逃げられるということになります。
うーん、どうしようか…と思っていたところ、ふと閃くものがあり、説明書を見直してみると、街灯のあるコマへはキャラは入ることができないとあります。これだ!と「クラウドライダー」を選択し、街の出口から遠ざけると共に、特殊能力を使って「ミセス・エマ・グラント」に近い街の出口横に建物を建てました。始めの方のラウンドで相方が適当に建てていた街灯と建物でこの出口は封鎖です。(街灯や建物、地下鉄出入り口を公園に変えるキャラがいるので、そのキャラクターの使われ方次第では封鎖は突破されますが)
そして、5ラウンド目の開始時のジャックの目撃判定は「目撃者無し」になり、候補は「クラウドライダー」と「」の2人に。
そして6ラウンド目の目撃判定で「クラウドライダー」に絞り込まれ、そのまま、6ラウンド目最初の僕の手番でジャック逮捕と相成りました。

【感想】
前作の無印ミスタージャックは、マップ中に出口が少ないわ、通路も狭いわ、他キャラクターを自由に操れる特殊能力持ちはいるわで、マップ外に逃げることはほぼ不可能なので、如何に警察から逃げるかということよりも、ジャックだと絞り込まれないようにひたすら2,3人のキャラクターを固めたり、ばらけさせたりするだけのゲームになってしまい、なんだかなあという感じがしていました。
ところが、ニューヨークになって出口がかなり増え、また、出口自体を操作(非常線を移動させたり、船を移動させたり)できるキャラクターも増えたので脱出が格段にしやすくなっています。
どうせ似たようなもんだろうと購入を渋っていましたが、この脱出のしやすさの向上でかなり面白くなっています。少なくとも、捕まえようとする警察と逃げようとするジャックという、設定どおりの形に実際のゲームでもなるようになってます。
まだプレイ回数が2回(警察、ジャックを1回ずつ)と少ないので、まだ断言はできませんが、前作ほどのジャック不利もなさそうです。
前作に飽きた人も、前作をまだ未プレイの人も2人専用ゲームの需要があり、推理ゲームが嫌いでないのであれば、手番の有利不利や鬱屈したゲーム展開もなくなっているので複数プレイにも耐えることができ、ミスタージャック イン ニューヨークはかなりのオススメです。
相方は元々前作も大好きだったので、何回かやって研究したいと言ってました。
研究と言っても、相方はまだ「偶数ラウンドで動かせるキャラクターは奇数ラウンドで確定する」といったこともそれほど意識していないようなので、そこらへんからなのですが。
まあ、残念なところもいくつかあります。
例えば、今回の追加要素の情報屋ですが、おまけ程度にしか機能していません。警察側が本当に欲しい情報を手に入れることができる確率は低く、序盤で取りに行ったとしても5割以上は無駄な情報(既にジャック候補外のキャラクターに関する情報)になってしまうと思います。あえていうなら、ジャック側がキャラクターを選択、移動する際に警察側にも非公開情報ができるので、迷わせることができるくらいでしょうか。
最後にどうでもいいですが、ジャックってゲームの中では殺人しませんね。
警察側殺して逃げればいいのに。

最後に相方いわく「シールとコマの大きさがぴったりすぎて貼りにくい!」と不評のシールには貼り方の図解がついてます。